先日、Q&Aサイトでこのような相談を見かけました。「自社サイトを改善したいのですが、何から手をつければいいのか分かりません。アクセスはそこそこあるのに、問い合わせにつながらない。あちこち直してはいるのに、手応えがないんです」。文面からは、動いてはいるのに前に進んでいる実感が持てない、そんな焦りが伝わってきました。
サイト改善でいちばん多いつまずきは、手を動かしていないことではありません。直す場所を思いつきで決めてしまい、効果の小さいところに労力を注いでいることです。この記事は、限られた時間と予算で成果を出すために、どの順番でどこから直すかを1本の線で示します。読み終えたとき、自社サイトで来週いちばん最初に直す1か所が決まっている状態を作ります。手を止める必要はありません。動かす方向を、思いつきから数字へ変えるだけです。
サイト改善が失敗する最大の原因は「直す場所を思いつきで決める」こと
改善の解説を読むと、たいてい手順が並んでいます。現状を分析し、課題を洗い出し、施策を立て、実行し、検証する。どれも正しい流れです。ところが、この流れの中でいちばん大事な「どこを最初に直すか」の決め方が、たいてい曖昧なまま残ります。結果として、目についたところ、直しやすいところ、上司が気にしたところから手をつけてしまう。これが成果の出ない改善の正体です。
サイトには直せる場所が無数にあります。デザイン、文言、写真、導線、フォーム、読み込みの速さ。全部を直せば良くなる気がしますが、時間も人も限られています。効果の小さい10か所を直すより、効果の大きい1か所を直すほうが、問い合わせは動きます。改善の成否は、手数の多さで決まりません。直す場所を選ぶ精度で決まります。
思いつきで決めた改善には、もう1つ問題があります。複数を同時に変えてしまうことです。トップの文言も、色も、ボタンの位置も一度に変えると、数字が動いても何が効いたのか分かりません。効いた施策を次に活かせず、効かなかった施策も見分けられない。改善が経験として積み上がらず、毎回ゼロから当てずっぽうを繰り返すことになります。
| ありがちな改善 | いま起きていること | 本当に必要なこと |
|---|---|---|
| 目についた場所から直す | 効果の小さい所に労力が流れる | 数字で最も漏れた1か所を先に選ぶ |
| 複数を同時に変える | 数字が動いても原因が分からない | 一度に1つだけ変えて効果を確かめる |
| 見た目を新しくする | 印象は変わるが問い合わせは動かない | 言葉と導線を先に直してから見た目へ |
| 上司の気になる所を直す | 声の大きい意見に労力が寄る | 訪問者の行動データを判断の根拠にする |
この表の右の列は、どれも派手ではありません。地味に、数字を根拠に、1か所ずつ直す。この当たり前を守れるかどうかが、改善が回る会社と空回りする会社を分けています。
サイト改善は「測る・絞る・1つ変える」の順で決まる
効果の出る改善は、3つの順番でできています。まず、訪問者の行動が数字で見える状態をつくる。次に、その数字から最も漏れている1か所を絞る。最後に、その1か所だけを変えて、効果を数字で確かめる。この3つを順に回すと、改善が経験として積み上がり、二巡目からの精度が上がります。
この順番を守らないと、改善は博打になります。測らずに直せば、効いたかどうか分かりません。絞らずに直せば、労力が薄く広がって成果に届きません。1つに絞らずに変えれば、原因が分からず次に活かせません。3つのどれを飛ばしても、改善は空回りします。逆に、この3つさえ守れば、特別な道具も才能も要りません。
| 段階 | この段階ですること | 次へ進む合図 |
|---|---|---|
| 測る | 訪問数・直帰・問い合わせ率・出口の反応を見える化する | 4つの数字が毎月確認できる |
| 絞る | 数字から最も漏れている1か所を選ぶ | 直す場所が1つに決まる |
| 1つ変える | その1か所だけを変え、前後で数字を比べる | 効果の有無が数字で分かる |
この3段階は、規模の大小を問わず同じです。年間で数百万の訪問があるサイトも、月に数百の訪問しかないサイトも、直す場所の選び方は変わりません。訪問が少ないサイトでは数字の動きが読みにくいこともありますが、その場合でも、勘で複数を変えるより、1つずつ試すほうが結局は速く正解にたどり着きます。
第1段階 まず測れる状態をつくる
改善の土台は、訪問者の行動が数字で見えることです。総務省が公表している情報通信白書によると、企業のホームページ保有は広く進んでいる一方で、それを問い合わせや売上へ結びつけられている会社は限られると繰り返し指摘されてきました。作って持っているだけの状態から抜け出す第一歩が、数字で見える状態をつくることです。ここが抜けていると、直した効果を判断できず、改善が感想の言い合いになります。「なんとなく良くなった気がする」で意思決定はできません。まず、最低限の4つの数字が毎月見える状態を作ります。
特に見落とされがちなのが、出口が押された回数の計測です。問い合わせボタンや資料請求のリンクが押された数を数えていないサイトは、驚くほど多い。押されているのに数字が0と表示され、効いている出口を「効いていない」と誤解して消してしまう。この取り違えは、改善を後退させます。直す前に、まず数える仕掛けが入っているかを確かめてください。
| 見る数字 | 何を映すか | 抜けているときの症状 |
|---|---|---|
| 訪問数 | 入口の広さ | 改善しても母数が分からず効果を測れない |
| 直帰の割合 | 最上部の言葉が合っているか | 来た人がすぐ去る理由に気づけない |
| 問い合わせ率 | 出口が機能しているか | 訪問はあるのに成果が出ない原因が見えない |
| 出口が押された数 | どの導線が効いたか | 効いた施策と効かない施策を混同する |
数字は多く見る必要はありません。むしろ、指標を増やすほど、どれを根拠に判断すればいいのか分からなくなります。この4つに絞れば、月に1度の確認で十分に改善の判断ができます。測ること自体が目的ではありません。直す場所を正しく選ぶための手段です。
第2段階 数字から漏れている1か所を絞る
4つの数字が見えたら、そこから最も漏れている場所を1つ選びます。選び方は単純です。訪問はあるのに直帰が高いなら、最上部の言葉が悩みに合っていない。直帰は低いのに問い合わせ率が低いなら、出口の数か配置に問題がある。数字が、直すべき場所を教えてくれます。
ここで大切なのは、上流から見ることです。入口の訪問が極端に少ないのに出口だけ直しても、母数が小さいので成果は小さい。逆に、訪問は十分あるのに直帰が高いなら、そこを直すだけで下流の全部が改善します。水の流れと同じで、いちばん上の詰まりを先に外すと、下流はまとめて通ります。
| 数字の症状 | 漏れている場所 | 最初に直す1か所 |
|---|---|---|
| 訪問はあるが直帰が高い | 最上部の言葉 | 悩みに答える一文へ書き換える |
| 直帰は低いが問い合わせ率が低い | 出口の数と配置 | 出口を1つに絞り、目立つ位置に置く |
| 問い合わせ画面まで来て離脱 | 入力フォーム | 必須項目を減らす |
| そもそも訪問が少ない | 入口 | 客層に合う経路を1つ深める |
絞るときに迷ったら、効果の大きさと直しやすさの両方を天秤にかけます。効果が大きくて直しやすい場所が、最初に手をつけるべき1か所です。効果は大きいが大がかりな改修が要る場所は、後回しにします。小さく早く効く改善から積むのが、限られた資源で戦う会社の定石です。
改善の優先順位は「効果の大きさ×直しやすさ」で決める
直す候補が複数あって選べないときは、2つの軸で並べます。1つは、直したときの効果の大きさ。もう1つは、直すことの容易さです。この2軸で候補を4つの区画に分けると、手をつける順番が自然に決まります。
| 区画 | 効果と手間の関係 | 扱い方 |
|---|---|---|
| 効果大・手間小 | すぐ効いて、すぐ直せる | 最優先。今週やる |
| 効果大・手間大 | 効くが、改修が大きい | 計画して、順に進める |
| 効果小・手間小 | すぐ直せるが、効果は薄い | 手が空いたときに |
| 効果小・手間大 | 手間の割に効かない | 当面やらない |
多くの会社は、この表の左下、効果は小さいが直しやすい場所に時間を使いがちです。ボタンの色を変える、文字の大きさを調整する。すぐ終わるので達成感はありますが、問い合わせはほとんど動きません。左上の「効果大・手間小」に、真っ先に手をつけてください。たいていそこには、最上部の言葉と、出口の数が並んでいます。
最優先で直す トップ最上部の言葉
効果が大きく、手間が小さい改善の筆頭が、トップ最上部の言葉です。ここは、訪問者が最初に目にし、去るか読み進めるかを決める場所です。社名や設立年、立派な理念が大きく掲げられているだけだと、訪問者は「自分に関係あるか」を判断できず、静かに戻ります。
直し方は単純です。「どんな悩みを持つ人が、ここで何を解決できるのか」を一文で示します。その一文が、訪問者にとっての「自分ごと」の合図になります。合図があれば、人は下へ読み進めます。合図が無ければ、どれだけ下に良い情報があっても読まれません。この1か所を書き換えるだけで、直帰の割合が動くことがあります。費用は1円もかかりません。
次に直す 出口の数と場所
最上部の次に効くのが、出口の数です。1ページに問い合わせ、資料請求、電話、見積もりがすべて並んでいると、訪問者は選べずに止まります。選択肢の多さは、親切に見えて離脱の理由になります。ページごとに、そのページを読んだ人にいちばん自然な一歩を1つ残し、他を消します。
出口を1つに絞ると、副産物として計測が正確になります。複数並んでいると、どの出口が効いたのか分かりません。1つに絞れば、その1つが押された回数がそのまま成果になります。測れる形にすることは、次の改善を正しく選ぶための前提です。出口の整理は、成果と測定の両方を同時に良くする改善です。
3番目に直す 入力フォームの項目
問い合わせ画面まで来た人が、そこで離れているなら、フォームの項目が多すぎる可能性が高い。せっかく問い合わせようとした人が、入力の面倒さで手を止めるのは、いちばんもったいない離脱です。ここまで来た人は、最も成約に近い人だからです。
直し方は、必須項目を削ることです。本当に最初のやり取りで要る情報だけを残し、後で聞けるものは外します。名前と連絡先と用件があれば、多くの場合は十分です。項目を1つ減らすたびに、離脱は減ります。フォームは、訪問者が最後に通る関門です。ここを軽くするだけで、それまでの改善の成果が漏れずに残ります。
| フォームの項目 | 初回に要るか | 扱い方 |
|---|---|---|
| 名前・連絡先・用件 | 要る | 必須として残す |
| 会社名・役職 | あれば助かる | 任意にするか、後で聞く |
| 予算・詳しい要望 | 初回には重い | やり取りの中で聞く |
| アンケート項目 | 不要 | 問い合わせ画面から外す |
フォームの改善は、効果が大きいのに見落とされがちです。訪問数を増やす施策に比べて地味で、直接の担当者がいないことも多い。けれど、成約に最も近い人が離れる場所を軽くするのは、最も費用対効果の高い改善の1つです。まず、自社のフォームの必須項目を数えてみてください。
やってはいけないサイト改善
成果を遠ざける改善の型があります。知っておくだけで、多くの遠回りを避けられます。どれも「良かれと思って」やってしまう点が共通しています。
複数を同時に変える
時間を節約したくて、一度にあれもこれも変える。気持ちは分かりますが、これをやると何が効いたのか分からなくなります。数字が上がっても下がっても、原因を特定できません。改善が経験として積み上がらず、毎回ゼロからの当てずっぽうになります。急がば回れで、1つずつ変えるほうが結局は速い。
見た目だけを新しくする
デザインを刷新すると、気分は一新します。ところが、何をする会社かが伝わらないまま見た目だけ変えても、問い合わせは動きません。訪問者が反応するのは、洗練された見た目より、「自分の悩みがここで解ける」という一点の明確さです。見た目の刷新は、言葉と導線を直した後の仕上げに回します。
思いつきや声の大きさで決める
社内でいちばん声の大きい人の意見や、その日たまたま気になった箇所から直す。これでは、直す場所が訪問者の行動とずれます。判断の根拠は、社内の感想よりも、訪問者が残した数字に置きます。数字を見れば、どこが最も漏れているかは自ずと分かります。
制作会社に「全面リニューアル」を勧められたら
サイトの相談をすると、制作会社から全面的な作り直しを勧められることがあります。悪意があるわけではありません。ただ、作り直しは制作費がまとまって入る仕事で、部分的な手直しは費用が小さく彼らの収益になりにくい。だから、大きな提案が出やすい構造があります。
全面リニューアルが要る場面も確かにあります。けれど、多くの場合、問い合わせが来ない原因は、最上部の言葉と出口の数という、部分的な手直しで直せる場所にあります。まず数字を見て、最も漏れている1か所を確かめる。それが部分の手直しで直せるなら、大がかりな作り直しは要りません。作り直してもその1か所が直っていなければ、費用をかけて同じ悩みに戻ります。
| 勧められる提案 | 先に確かめること | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 全面リニューアル | 問い合わせが来ない原因は本当に全体か | 原因が部分なら、まず部分を直す |
| デザイン刷新 | 言葉と導線は直したか | 言葉が先、見た目は後 |
| 新機能の追加 | 今の機能は使われているか | 使われていない機能を足しても効かない |
提案を疑えという話ではありません。提案を受けたとき、右の列の問いを自分に投げてから判断すればいい、という話です。数字という根拠を手元に持っていれば、大きな提案にも冷静に向き合えます。
90日の改善サイクル
「測る・絞る・1つ変える」を90日で回す流れを示します。焦って全部を詰め込まず、1つの改善の効果を見届けてから次へ進みます。効果は数字に表れるまで少し時間がかかるので、慌てて次を足さないことが大切です。
| 時期 | やること | 確かめること |
|---|---|---|
| 1〜2週目 | 4つの数字が見える状態をつくる | 出口の反応が計測できているか |
| 3〜4週目 | 最も漏れた1か所を選び、そこだけ直す | 直した場所の数字が動いたか |
| 5〜8週目 | 次に漏れた1か所を選び、また1つ直す | 改善が積み上がっているか |
| 9〜12週目 | 効いた改善の型を、他のページへ広げる | サイト全体の問い合わせが増えたか |
90日を終えたとき、多くの会社は「思いつきで直していた頃と、成果がまるで違う」と気づきます。同じ労力でも、直す場所を数字で選び、1つずつ効果を確かめると、改善が経験として積み上がります。二巡目からは、どこを直せば効くかの勘が働くようになり、速さも精度も上がります。
改善がうまくいく会社の共通点
改善が回る会社と、空回りする会社。長く見てきて分かったのは、道具や予算の差より、「一度に1つしか変えない」を守れるかどうかの差でした。空回りする会社は、焦って複数を同時に変え、何が効いたのか分からなくなり、また別の施策へ飛びます。手数は多いのに、経験が積み上がりません。
回る会社は、地味です。今週は最上部の一文だけを直す。来週は出口の数だけを絞る。効果を数字で確かめ、次の一手を決める。この繰り返しを、飽きずに続けます。派手な必殺技を探すより、当たり前の手直しを順番に積む。改善の成果は、この退屈な継続の先にしか生まれません。
| 観点 | 空回りする会社 | 回る会社 |
|---|---|---|
| 変える数 | 焦って複数を同時に変える | 一度に1つだけ変える |
| 判断の根拠 | 感想や声の大きさで決める | 訪問者が残した数字で決める |
| 直す順番 | 目についた所から手をつける | 最も漏れた1か所から手をつける |
| 続け方 | 効かないとすぐ別の施策へ飛ぶ | 効果を確かめてから次を決める |
この表の右側は、特別な才能を必要としません。今日から選び直せる姿勢の話です。改善のノウハウを探し続ける時間を、自社の数字を1つ見る時間に替えるだけで、回る側へ移れます。
サイト改善で見る4つの数字の読み方
直す場所を選ぶ根拠になる4つの数字を、もう一段くわしく読み解きます。数字は、見るだけでは意味を持ちません。前の月と比べ、変化の向きを読み、次に直す1か所を決めるところまでが点検です。
訪問数 改善の効果を測る母数
サイトに来た人の延べ数です。この数が分からないと、問い合わせが増えても、改善が効いたのか、たまたま訪問が増えただけなのか判断できません。改善の効果は、訪問数という母数に対する割合で見ます。まず母数を把握してから、下流の割合を読みます。
直帰の割合 最上部が合っているかの信号
来てすぐ去った人の割合です。ここが高いなら、最上部の言葉が訪問者の悩みに合っていない可能性が高い。最上部を書き換えた後にこの割合が下がれば、その改善が効いた証拠です。逆に、いくら下流を直しても直帰が高いままなら、入口の言葉に立ち返ります。
問い合わせ率 改善の成果に最も近い数字
訪問のうち問い合わせに至った割合です。サイト改善の最終的な狙いは、たいていこの数字を上げることにあります。訪問は多いのにこの割合が低いなら、出口の数か、フォームの項目に原因があります。ここが動けば、改善は成果に届いています。
出口の反応 効いた改善を見分ける
出口が押された回数です。0が続くなら、まず計測が入っているかを疑います。押されているのに0と出る取り違えを放置すると、効いている改善を止めてしまいます。この数字が正しく取れて初めて、他の3つの数字も信じられるようになります。測定は、すべての判断の土台です。
改善の効果を正しく確かめる進め方
1か所を直したら、その効果を確かめます。ここを雑にすると、効かない改善を続けたり、効いた改善を見逃したりします。確かめ方には、守るべき順番があります。
直す前の数字を記録する
改善に着手する前に、直す場所に関わる数字を控えておきます。前の数字が無いと、直した後に良くなったのか悪くなったのか比べられません。当たり前のようで、これを飛ばして「なんとなく良くなった気がする」で終わる会社は多い。改善は、前後の比較で初めて効果が言えます。
1か所だけを変えて、しばらく待つ
変えるのは1か所だけです。同時に複数を変えると、どれが効いたのか分かりません。そして、変えた直後に判断せず、数字が安定するまで待ちます。曜日や季節で数字は揺れるので、短い期間の上下に一喜一憂しないことが大切です。落ち着いた変化の向きを読みます。
効いた型を、他のページへ広げる
1か所の改善が効いたら、その型を他の似たページへ広げます。最上部の言葉が効いたなら、他のページの最上部も同じ考え方で直す。1つの成功を、サイト全体へ横展開する。この広げ方ができると、1回の改善の学びが何倍にもなります。改善が積み上がる会社は、これがうまい。
小さく始めるサイト改善の一歩
大きな改修をしなくても、今日から動かせる小さな一歩があります。費用も専門知識も要りません。順に手をつければ、来週には数字の変化が見え始めます。
出口の反応が数えられているか確かめる
まず、問い合わせや資料請求の出口が押された回数を数えられているかを確かめます。数えられていなければ、そこを整えるのが最初の一歩です。数えられる状態になって初めて、改善の効果が判断できます。改善の前に、まず土台を整えます。
トップ最上部の一文を書き換える
社名や理念を掲げている最上部を、「どんな悩みの人が、ここで何を解決できるか」の一文へ書き換えます。訪問者が3秒で自分ごとだと分かる合図を、いちばん目立つ場所に置きます。この1か所を変えるだけで、直帰の割合が動くことがあります。
フォームの必須項目を1つ減らす
問い合わせフォームの必須項目を数え、初回に要らないものを1つ外します。項目を1つ減らすたびに、入力の途中で離れる人は減ります。成約に最も近い人が離れる場所を軽くするのは、費用対効果の高い改善です。まず1項目、今日外してみてください。
改善の順番を1枚にまとめる
ここまでの流れを、1枚の表に畳みます。迷ったらこの表に戻り、自社がいま立っている段階の行だけを見てください。全部を一度に進める必要はありません。上から順に、1つの段階が終わってから次へ進みます。
| 順番 | やること | 次へ進む合図 |
|---|---|---|
| 1 測れる状態にする | 4つの数字と出口の反応を見える化する | 毎月4つの数字が確認できる |
| 2 漏れた1か所を絞る | 数字から最も漏れた場所を1つ選ぶ | 直す場所が1つに決まる |
| 3 最上部の言葉を直す | 悩みに答える一文へ書き換える | 直帰の割合が下がる |
| 4 出口を1つに絞る | 各ページの誘導を1つに減らす | 問い合わせ率が動く |
| 5 効いた型を広げる | 成功した改善を他ページへ横展開する | サイト全体の成果が積み上がる |
この順番には、はっきりした狙いがあります。先に測れる状態を作るから、後の手直しが効いたかどうかを判断できます。先に上流の言葉を直すから、下流の改善が漏れずに成果へ変わります。順番を入れ替えると、労力は同じでも、残る問い合わせの数が変わります。改善は、正しい順番に沿って積むほど、後の一手が軽くなります。
改善を続けるための2つの習慣
サイト改善は、一度やって終わりではありません。訪問者の悩みも、競合の状況も変わり続けます。改善を続けられる会社には、共通する2つの習慣があります。どちらも、才能や予算を必要としません。
月に1度、4つの数字を同じ形で見る
毎月、決まった日に、同じ4つの数字を見ます。見る形を毎回変えると、前の月と比べられません。同じ物差しで、変化の向きだけを追います。数字を見る習慣がつくと、異変にも早く気づけます。問い合わせが急に減ったとき、原因を早く探せるのは、いつもの数字を知っている会社です。
直した内容と結果を1行で記録する
いつ、どこを、どう直して、数字がどう動いたか。これを1行で残します。記録があると、効いた改善と効かなかった改善が見分けられ、同じ失敗を繰り返しません。半年後、記録を見返すと、自社にとって何が効くのかが見えてきます。改善が経験として積み上がるのは、この記録があるからです。
サイト改善でよくある質問
サイト改善は何から始めればいいですか
まず、訪問者の行動が数字で見える状態をつくります。訪問数・直帰・問い合わせ率・出口の反応の4つです。その数字から最も漏れている1か所を選び、そこだけを直します。多くの場合、最初に手をつけるべきは最上部の言葉か、出口の数です。目についた場所から直すのは避けてください。
どのくらいの期間で効果が出ますか
最上部の言葉や出口の数といった部分的な手直しは、今あるページを変えるだけなので、早ければ数週間で数字に表れます。全体の作り直しは時間も費用もかかるうえ、漏れている1か所が直っていなければ成果は出ません。まず部分を直し、効果を確かめてから、必要なら大きな改修を検討します。
複数の改善を同時にやってはいけないのですか
成果を測りたいなら、一度に1つだけ変えます。複数を同時に変えると、数字が動いても何が効いたのか分からず、改善が経験として積み上がりません。急いでいるときほど、1つずつ変えるほうが結局は速く正解にたどり着きます。効いた施策を次に活かせるからです。
デザインを新しくすれば問い合わせは増えますか
見た目が原因であることは、思うより多くありません。多くの場合、原因は最上部の言葉が悩みに合っていないことと、出口が示されていないことです。デザインを刷新する前に、訪問者が3秒で自分ごとだと分かる言葉になっているかを確かめると、費用をかけずに問い合わせが動くことがあります。
アクセスはあるのに問い合わせが来ないのはなぜですか
訪問があるのに問い合わせが来ないなら、原因は入口より下流にあります。最上部の言葉が悩みに合っていないか、出口が多すぎて選べないか、フォームの項目が多すぎるか。数字を見れば、どこで人が消えているかが分かります。上流から順に、最も漏れている1か所を直してください。
まとめ サイト改善は直す場所の選び方で決まる
サイト改善が空回りするとき、足りないのは手数ではありません。直す場所を数字で選ぶ精度です。測れる状態をつくり、最も漏れている1か所を絞り、そこだけを変えて効果を確かめる。この順番を守れば、改善が経験として積み上がり、二巡目からの精度が上がります。
目についた場所を片端から直しても、問い合わせは動きません。まず、訪問者が残した数字を1つ見てください。最も漏れている場所は、たいてい最上部の言葉か、出口の数にあります。1か所を直して数字の変化を見る。その積み重ねが、手応えのなかった改善を、確かに前へ進めます。焦って複数を変えたくなる気持ちを抑え、今週はこの1か所だけと決める。その小さな決断が、これまで積み上がらなかった改善を経験に変えていきます。改善に必殺技はありません。数字を根拠に1つずつ直した会社だけが、静かに問い合わせを増やしています。
今日からできる点検
| 点検する場所 | 確かめること | 直す方向 |
|---|---|---|
| 4つの数字 | 訪問・直帰・問い合わせ率・出口の反応が見えるか | 見えていなければ、まず計測を入れる |
| トップ最上部 | 3秒で「自分の悩みの場所だ」と分かるか | 社名や理念を悩みに答える一文へ替える |
| 各ページの出口 | 次の一歩が1つに絞られているか | 複数の誘導を消し、1つだけ残す |
| 入力フォーム | 必須項目が多すぎないか | 初回に要る項目だけへ減らす |
| 変える数 | 一度に1つだけ変えているか | 同時に複数を変えず、順に試す |
この5か所のうち、いま最も自信が持てない1行から手をつけてください。全部を一度に直す必要はありません。1か所を直して数字の変化を見る。その積み重ねが、動いているのに前に進まなかったサイト改善を、確かに成果へ変えます。まず1行、今日決めてしまいましょう。
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