ナレッジグラフとは何なのか。自社の会社名は、そこに載っているのか。中小企業の経営者やWeb担当者に向けて、Google公式のブログ、検索ヘルプ、開発者向けの文書で確かめた範囲だけで答えを書きます。
先に答えを書きます。
先に答え:ナレッジグラフは、Googleが人・場所・会社などの「実体」と事実をつなげて持つ台帳
ナレッジグラフは、Googleが検索のために持っている、事実の台帳です。人、場所、会社、作品といった「実体」(エンティティ)ごとに、名前や特徴、ほかの実体との関係を記録しています。
Googleは2012年5月の公式ブログで、これを「things, not strings」と紹介しました。単語の文字列を照合する検索から、現実にある物事を理解する検索へ進む、という意味です。
会社にとっての要点は2つ
1つ目は、ナレッジグラフにどの会社を載せるかは、Googleの自動システムが決めることです。会社から申し込んで載せる窓口は、公式の文書に見当たりません。
2つ目は、自社サイトで整えられることがあることです。会社概要の事実を1つに揃え、構造化データで渡し、第三者のページにも同じ事実が載るようにします。
全体像を、先に表で見る
次の表で、この記事の流れをつかんでください。
| 知りたいこと | 答え | 確かめた資料 |
|---|---|---|
| ナレッジグラフとは何か | 実体と事実を結びつけたGoogleの台帳 | 2012年と2020年のGoogle公式ブログ |
| 会社から申請して載せられるか | 申請の窓口は見当たらない | ナレッジパネルのヘルプ |
| 載っているかを調べられるか | 公式のAPIで、実体を引ける | Knowledge Graph Search APIの文書 |
| 自社サイトで何ができるか | 会社概要の統一、構造化データ、外部の言及 | 検索セントラルの組織の構造化データ |
| AIの答えとつながるか | 公式の文書には、つなぐ記述が見当たらない | 検索セントラル「AI機能とウェブサイト」 |
先に断っておくこと
自社がナレッジグラフに載ることは、約束できません。載せるかどうかを決めるのはGoogleで、公式の文書に載る条件の一覧は公開されていません。
この記事に書くのは、載る前提を整えるための点検と作業です。載ることを保証する手順は、どこにもありません。
「ナレッジグラフ」という言葉の、2つの使われ方
検索すると、同じ「ナレッジグラフ」という言葉で、まったく別の話が出てきます。最初に整理しておきます。
Googleのナレッジグラフ
Googleが検索サービスの中で運用している、実体の台帳です。検索結果に出るナレッジパネルの情報は、ここから来ています。
会社が関わるのは、主にこちらです。自社の名前をGoogleで調べたときに、何が出るかに直結します。
AI開発でいう知識グラフ
もう1つは、AIの開発の現場で使われる言葉です。社内の文書や製品情報を、実体と関係の形に整理して、AIが参照できるようにするデータの作り方を指します。
サジェストに出てくる「ナレッジグラフ オントロジー」や「ナレッジグラフ 拡張RAG」は、こちらの話です。RAGとは、AIが回答を作る前に、社内の資料などを検索して参考にする仕組みのことです。
この記事は、こちらの実装は扱いません。範囲外とします。実装を始めるなら、専門の開発者に相談する領域です。
2つの違いを表にする
| 項目 | Googleのナレッジグラフ | AI開発でいう知識グラフ |
|---|---|---|
| 持ち主 | 作った会社や組織 | |
| 目的 | 検索結果の理解と表示 | 社内データをAIに使わせる |
| 会社が触れる範囲 | 自社サイトと外部の情報を整える | 設計と構築から自社で行う |
| 主な読者 | 集客を考える経営者、Web担当者 | 開発者、データの担当者 |
| この記事の扱い | 中心 | 範囲外 |
2つに共通するのは、物事を「実体」と「関係」でとらえる考え方です。この考え方を理解すると、自社サイトで何を整えるかが見えてきます。
Q&Aサイトで見かけた、会社の情報が検索結果に出ない悩み
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
投稿した方は、Googleにビジネスの登録をして、オーナーの確認も済ませたそうです。状態は「公開済み」で、地図の位置と会社の住所も合っています。
それなのに、Googleで会社名を検索すると、会社名と地図が出るだけで、電話番号などを並べた情報の枠が出てきません。何が足りないのか教えてほしい、という相談でした。
この悩みが、ナレッジグラフの話につながる理由
この方が探している「情報の枠」は、検索結果に出る、実体の情報のまとまりです。その元になる情報は、Googleの自動システムが集めて、台帳に記録しています。
登録と確認を済ませても、枠が必ず出るわけではありません。表示するかどうかは、検索した言葉との関連性などをもとに、Googleのシステムが判断するからです。
この仕組みは、検索ヘルプにも書かれています。次の章から、公式の文書が言う範囲を確かめます。
悩みへの短い答え
登録と確認は、必要な前提のひとつです。ただし、それだけで枠が出ると約束するものではありません。
出ない原因は、外から1つに決められません。この記事では、確かめられることと確かめられないことを分けて、書いていきます。
2012年の公式ブログが説明した、ナレッジグラフの出発点
この台帳を最初に公式に説明したのは、2012年5月16日のGoogle公式ブログです。この記事の題の趣旨は、文字列の照合から、物事の理解へ、というものです。
当時の検索エンジンは、入力された単語を文書の中の単語と照らし合わせる仕組みが中心でした。ブログは、40年以上にわたり、検索は基本的に、キーワードと検索語を照らし合わせる作業だった、と述べています。この台帳は、この前提を変える試みとして紹介されました。
例に挙がったのは、同じ名前の別のもの
ブログは、「タージ・マハル」という検索語を例にしました。同じ言葉でも、世界で最も美しい建造物のひとつを指すことがあれば、グラミー賞を受けた音楽家を指すこともあります。アメリカの都市にあるカジノの名前でもあります。
検索エンジンにとっては、「タージ・マハル」は2つの単語にすぎませんでした。これを、現実の物事とその関係として理解するために作った仕組みが、この台帳だと説明されています。
同じ名前の別の物事を見分ける、という課題は、中小企業にも身近です。同じ社名や似た社名の会社が、世の中に複数あることは珍しくありません。
公式ブログが挙げた、3つの働き
ブログは、この台帳が検索を改善する働きを、3つ挙げています。
| 働き | 公式ブログの説明 | 会社にとっての意味 |
|---|---|---|
| 正しい物事を見つける | 同じ名前の別のものを区別し、意図した方に結果を絞る | 同名の別会社と見分けてもらえるかが、土台になる |
| 最良の要約を出す | 検索語に関わる要点の事実をまとめて示す | 会社の要点が、短い事実の形で示される |
| より深く、より広く | 次に知りたくなる物事への関連を示す | 関連する会社や分野との結びつきが見える |
3つの働きは、現在の検索でも続いていると考えられますが、現状の数字や仕組みは、2012年のブログからは確かめられません。この表は、当時の公式の説明に限って読んでください。
2012年時点の規模
同じブログには、当時の規模も書かれています。この台帳には、5億を超える対象物と、それらの間の事実や関係が35億以上、含まれていると述べられています。
また、情報の元として、Freebase、Wikipedia、CIA World Factbookのような公開の情報源が挙げられ、それをさらに大きく拡充していると説明されています。
2012年の数字は、あくまでも当時の値です。現在の規模は、次の章で、2020年に公式が示した数字を確かめます。
2012年の説明から読み取れる、ひとつの方向
ブログの終わり近くに、検索結果に出す事実は、他の人々が何を検索したかに基づいて選ばれる、という趣旨の説明があります。たとえば、ある著名人の情報の枠は、その人について次に聞かれる質問の37パーセントに答えている、という例が示されました。
つまりこの台帳は、事実を並べて終わりではありません。何が検索されるかを踏まえて、出す事実を選ぶ仕組みとして作られています。
会社の場合は、検索する人が知りたいことを、自社サイトの会社概要が先に答えているかが、そのまま問われます。
「実体」とは、具体的に何を持つものか
ここまで何度も出てきた「実体」を、会社の例で具体的にしておきます。実体とは、検索語の背後にある、現実の1つの対象のことです。
会社という実体には、名前、種類、所在地、事業内容、代表者といった属性があります。さらに、取引先や所属団体のような、ほかの実体との関係があります。
| 実体の要素 | 会社の例 | 食い違うと起きること |
|---|---|---|
| 名前 | 正式な社名、よく使う略称 | 別々の会社と見なされる |
| 種類 | 会社、店舗、団体 | 目的に合わない枠で扱われる |
| 属性 | 所在地、設立、事業内容 | 検索結果に古い情報が残る |
| 関係 | 代表者、所属団体、運営するサイト | 同名の別会社と混ざる |
この4つが、自社サイトと外部のページで食い違わず書かれているほど、Googleは同じ会社として扱いやすくなると考えられます。公式の文書に、断言する記述はありません。この考え方は、後の章で作業に落とします。
2020年の公式ブログで確かめた、ナレッジグラフの規模と情報源
次に、もう少し新しい公式の説明を確かめます。Googleは2020年5月に、ナレッジグラフとナレッジパネルを説明し直すブログを公開しました。題の趣旨は、ナレッジグラフとナレッジパネルの再紹介です。
この記事では、2020年5月のブログを、ナレッジグラフについて確かめられた最新の公式説明として使います。それより新しい規模の数字は、今回の調べでは確認できませんでした。
約50億の実体と、5,000億の事実
ブログによると、ナレッジグラフは2012年に始まり、5,000億以上の事実を、約50億の実体について蓄積しています。
2012年のブログでは、実体が5億を超え、事実が35億以上でした。8年で、実体は約10倍、事実は100倍以上に増えた計算になります。
| 時点 | 実体の数 | 事実の数 | 出どころ |
|---|---|---|---|
| 2012年5月 | 5億超 | 35億超 | Google公式ブログ(2012年5月16日、ナレッジグラフの紹介) |
| 2020年5月 | 約50億 | 5,000億超 | Google公式ブログ(2020年5月20日、ナレッジグラフとナレッジパネルの再紹介) |
この数字は、2020年5月時点の値です。現在の数は、さらに増えている可能性がありますが、公式の数字を今回は確認できていません。
情報源は、Wikipediaだけではない
多くの人は、ナレッジグラフの情報は、Wikipediaから来ていると考えがちです。ブログは、この見方を修正しています。
Wikipediaはよく挙げられる情報源のひとつですが、唯一の情報源ではない、と書かれています。ウェブ上の数百の情報源から情報を集めており、音楽、スポーツ、テレビの情報には、ライセンスを受けたデータも使われていると説明されています。
医療の分野では、医療提供者と協力して、慎重に確認した内容をナレッジパネルに載せているそうです。
「特別なコード」からも読み取る
情報源の説明の中に、会社にとって重要な一文があります。ブログは、コンテンツの持ち主が使える「特別なコーディング」からも情報を得ている、と書いています。例として挙げられたのは、今後のイベントを示す方法です。
この「特別なコーディング」の語には、イベントの構造化データの公式文書へのリンクが付いています。構造化データは、サイトの持ち主が、ページの内容をGoogleに伝えるために書くコードです。
つまり、自社が書ける情報が、Googleの情報源のひとつとして、公式の説明に含まれています。書き方の考え方は、後の章で説明します。
8年間の増え方から、読み取れること
実体の数が約10倍になった背景について、ブログは説明していません。確かなのは、この台帳が固定の辞書として止まらず、増え続けているという点です。
新しく作られた会社や店も、台帳に入りうる位置にあります。一方で、情報の更新には時間がかかる場合があります。
情報源を整理する
| 情報源の種類 | ブログの説明 | 会社が関われる度合い |
|---|---|---|
| ウェブ上の数百の情報源 | 世界中のサイトの情報から事実を集める | 自社サイトの書き方で、間接的に関われる |
| オープンなデータベース | Wikipediaなどが例 | 会社の判断で直接編集するのは慎重に |
| ライセンスを受けたデータ | 音楽、スポーツ、テレビなどで使う | 会社は関われない |
| 構造化データ | 持ち主が書く特別なコーディング | 自社で書ける |
ナレッジグラフとナレッジパネルは、別のもの
ここで、よく混ざる2つの言葉を整理します。ナレッジグラフは台帳で、ナレッジパネルは、その台帳の情報を画面に出した枠です。
画面に見えるのは、ナレッジパネルの方
検索結果に出る、人や場所や会社の情報の枠を、ナレッジパネルと呼びます。公式ブログでは、パネルの情報はこの台帳から来る、と説明されています。
「ナレッジグラフが表示されない」という言い方を耳にしますが、正確には、ナレッジグラフは表示される物ではありません。表示されるのは、ナレッジパネルの方です。
ナレッジパネルに、典型的に入るもの
2020年のブログは、ナレッジパネルに典型的に入る内容を、次のように挙げています。
| 入る内容 | 説明 |
|---|---|
| 題名と短い要約 | 対象が何かを一言で示す |
| 長めの説明 | 対象についてのまとまった記述 |
| 画像 | 人、場所、物の写真 |
| 主な事実 | 生年月日や、所在地など |
| 公式サイトやSNSへのリンク | 公式の窓口へ行ける |
ブログによると、表示する内容は、その話題で最も関連性が高く、人気のある情報を出すように、システムが決めています。話題ごとに、出る内容は変わります。
スマートフォンでは、枠が分かれて出る
ブログは、現在の検索はスマートフォンが中心になり、画面の幅の都合で、右側にまとまった枠を出せないと説明しています。そのため、台帳の情報は、1つにまとまらず、複数の枠として検索結果の間に出ることが多い、とのことです。
自社の名前で検索して、枠が1つに見えなくても、情報が出ていないとは限りません。見え方は、機器によって変わります。
パネルに載る情報の出どころを、会社の側から見る
会社の側から見ると、パネルの情報は、自社サイトに書いた内容と、外部のページに書かれた内容の両方から作られている可能性があります。どれが採用されたかは、外から見えません。
そのため、自社サイトだけを直しても、外部のページに古い情報が残っていれば、パネルの内容が変わらないことがあります。反対に、外部のページを直しても、自社サイトの会社概要が古ければ、食い違いは続きます。
両方を揃えるのが、確実に動かせる唯一の方法です。
パネルの出し方は、別の記事で詳しく書いています
ナレッジパネルの申請や認証の手順は、ナレッジパネルを会社が表示するための考え方と認証の手順にまとめました。この記事は、台帳の仕組みの側を扱います。
会社から申請して、ナレッジグラフに載せることはできるのか
ここが、いちばん聞かれる質問です。検索ヘルプには、はっきりした記述があります。
検索ヘルプが書いていること
Googleのナレッジパネルのヘルプには、次の文があります。
「検索結果の信頼性を維持するため、現在のポリシーではナレッジパネルを手動で作成または削除することはできません。」
同じヘルプは、ナレッジパネルの情報は、ウェブ上の公開情報に基づいて自動的に生成される、とも書いています。表示と非表示は、検索語に対する関連性をもとに、Googleの自動システムが決める、との説明です。
この文の読み方
この文が指すのは、ナレッジパネルです。この台帳自体に載せる窓口があるかどうかは、ヘルプに明記がありません。
ただ、パネルの情報はこの台帳から来る、とブログに書かれているため、会社から直接申請して載せる仕組みは、今回確認した公式の文書には見当たりませんでした。
認証を受けたら、何が変わるのか
ヘルプによると、認証を受けた本人からのフィードバックは、ほかの人からのものより優先して処理されます。認証の後は、ソーシャルのプロフィールへのリンクなどを、Googleが直接修正できるようにもなります。
ただし、認証を受けると載る、という説明ではありません。すでに出ている枠の情報を直してもらう、手続きです。
ビジネスプロフィールは、別の経路
2020年のブログは、地域のお店や会社は、Googleのビジネスプロフィール(当時の名前はGoogle マイビジネス)を通じて、営業時間や電話番号などを管理できると説明しています。ナレッジパネルの認証とは別の手続きです。
先ほどのQ&Aサイトの悩みは、この2つの経路が混ざった状態だと考えられます。ビジネスプロフィールの管理は、ローカルSEOとは何かで説明しています。
台帳の情報が間違っているときに、公式が用意している窓口
この台帳の情報は、自動のシステムが集めます。そのため、間違いが入ることもあります。
公式ブログが認めていること
2020年のブログは、この台帳に不正確な情報が入ることは、ときどきある、と認めています。事実を集める自動のシステムがあるように、不正確な情報が出るのを防ぐ自動のシステムもあるものの、完全ではない、との説明です。
そのため、誰でも報告を送れる窓口が用意されています。ナレッジパネルの下にある「フィードバック」のリンクか、スマートフォンでは上部の3つの点から送ります。
報告された間違いは、どう扱われるのか
送られたフィードバックは、実際の不正確な情報が、なぜ自動のシステムをすり抜けたのかを分析するために使われます。その結果は、この台帳全体の改善に生かされる、と書かれています。
また、ポリシーに違反する不正確な事実は削除されます。市民生活、医療、科学、歴史のような、公共の利益に関わる話題や、深刻で差し迫った害の危険がある場合が、優先されると説明されています。
会社の所在地や電話番号の間違いは、通常この優先の対象ではありません。直るまで時間がかかる場合があることは、前提にしておきます。
間違いを見つけたときの動き方
| 状況 | 公式が用意する窓口 | 補足 |
|---|---|---|
| 誰でも、間違いを見つけた | 枠の「フィードバック」 | 修正の提案と、裏づけとなる公開のURLを添える |
| 認証を受けた本人が、直したい | 認証を受けたアカウントからの提案 | 他の人のものより優先して処理される |
| お店や会社の営業時間・電話番号 | ビジネスプロフィール | ナレッジパネルの認証とは別の手続き |
どの窓口でも、反映される保証はなく、時間もかかります。先に自社サイトと外部のページの情報を揃えておけば、間違いが入る余地が減ります。
自社がナレッジグラフに載っているかを、自分で確かめる方法
載っているかどうかは、推測せずに調べられます。Googleは、ナレッジグラフの実体を検索できるAPIを、開発者向けに公開しています。
Knowledge Graph Search APIとは
Knowledge Graph Search APIは、Googleのナレッジグラフから、実体を探すためのAPIです。開発者向けの公式文書に、仕組みが書かれています。
文書によると、このAPIはschema.orgの標準の型を使い、JSON-LDという形式で結果を返します。読み取り専用で、情報を書き換えることはできません。
公式文書が書いている、使うときの注意
文書には、確認しておきたい注意が3つ書かれています。
| 注意 | 公式文書の内容 | 読み方 |
|---|---|---|
| 返すのは個別の実体 | 実体のつながり(グラフ)は返さず、個別に一致した実体だけを返す | 関係図は取れない。実体の有無を調べる用途 |
| 業務の基盤にしない | 本番で欠かせないサービスとして使うのには向かない | 点検の道具にとどめる |
| 新規はEnterprise版へ | 新しく使うなら、Google CloudのEnterprise Knowledge Graphを使うよう案内 | 公式の案内に従う |
Enterprise版の文書には、プレビュー段階の製品で、現状のまま提供されると書かれています。仕様が変わる可能性があるため、使う前に公式の最新の文書を開いてください。
調べ方の手順
文書の例では、次のような形のURLにアクセスします。
https://kgsearch.googleapis.com/v1/entities:search?query=調べたい名前&key=APIキー&limit=1
APIキーは、Google Cloudで発行します。キーの取得と設定は、IT担当者か外部の開発者に任せて構いません。
調べたい名前の欄に、社名を入れます。会社に絞るなら、種類を指定する欄に、schema.orgの会社の型を入れる方法が、文書に載っています。
返ってきた結果の読み方
結果には、実体の名前、種類、短い説明、画像、公式サイトのURL、そして一致の強さを表す点数が入っています。
| 結果の項目 | 見ること | 判断 |
|---|---|---|
| 名前 | 正式な社名と一致するか | 一致すれば、実体として記録されている手がかり |
| 種類 | 会社の型が含まれるか | 人や場所として扱われていれば、整理が必要 |
| 説明 | 事業内容が合っているか | 古い、または違うなら、外部の記載を点検する |
| url | 自社サイトを指すか | 別のサイトなら、混同を疑う |
| 点数 | 他の結果と比べた強さ | 絶対値で善し悪しは決まらない |
何も返ってこなくても、会社が存在しないという意味にはなりません。小さな会社では、結果が空になることも十分に考えられます。Googleがその名前の実体を、このAPIで引ける形で持っていない、という手がかりが得られるだけです。
APIを使う前に決めておく、調べる名前の一覧
社名は、1つの表記だけで調べず、使われうる表記をまとめて調べます。
| 調べる名前 | 例 |
|---|---|
| 正式な社名 | 株式会社を含む登記上の表記 |
| 株式会社を除いた名前 | 日常で使う社名 |
| 略称・通称 | 取引先が使う呼び名 |
| 旧社名 | 変更前の名前 |
見つかる名前が表記によって違えば、外部の情報が揃っていない手がかりになります。
使わなくても確かめられる、もうひとつの方法
APIを使わなくても、Googleで社名を検索して、ナレッジパネルの枠が出るかを見る方法があります。パソコンとスマートフォンの両方で、確かめてください。
別の窓口で見る方法もあります。次の章で説明する、Wikidataです。
Wikidataに、会社の項目はあるのか
Knowledge Graph Search APIの公式文書は、実体のつながりが必要なら、Wikidataのデータの一括ダウンロードを使うよう勧めています。Googleのものとは別に、実体とつながりを開かれた形で見られるデータベースが、Wikidataです。
Wikidataとは
Wikidataは、Wikipediaの姉妹プロジェクトとして運営されている、誰でも編集できる共有のデータベースです。物事ごとに項目があり、名前や特徴、関係が構造的に記録されています。
ただし、Wikidataの項目があることは、Googleのナレッジグラフに載っていることと同じ意味ではありません。Googleが情報源のひとつとして使いうる、公開のデータベースです。
項目の有無は、誰でも調べられる
Wikidataには、名前から項目を探す機能が、無料で公開されています。APIキーは要りません。会社名で検索して、同名の項目や自社の項目が出るかを見ます。
出てきた項目には、公式サイトのURLや設立日、国といった情報が入っていることがあります。自社の項目があれば、内容が現在の事実と合っているかを確かめます。
自社で項目を作ってよいのか
Wikidataには、項目を作る基準があります。基準のページによると、項目として受け入れられるのは、次の3つのうち、少なくとも1つを満たす場合です。
| 基準 | 内容 |
|---|---|
| 1 | Wikipediaなど、姉妹プロジェクトのページへの有効なリンクがある |
| 2 | 明確に識別できる実体で、真剣で、公開された参考資料で説明できる |
| 3 | 構造上の必要を満たす(他の項目の記述をより役立てるために必要、など) |
ページは、基準が意図的に曖昧に書かれていること、最終的な判断はコミュニティが行うことも述べています。
自作は、慎重に判断する
自社に関する項目を自分で作ることには、慎重さが必要です。公開された信頼できる資料が乏しい会社の項目は、削除の提案を受けることがあります。
また、宣伝のような書き方や、誇張した事実は、コミュニティに歓迎されません。作る場合も、登記簿や公的な書類など、確かめられる事実だけにとどめます。
Wikidataとの付き合い方は、AIに自社を正しく伝える会社概要ページの作り方でも取り上げています。
載らない会社と、載る会社の違いは、公式には書かれていない
ここまでの手順で、自社が載っていないと分かる場合があります。その場合、次に気になるのは、何が違うのか、でしょう。
公式が示しているのは、方針だけ
公式のブログは、システムが、各話題で最も関連性が高く、人気のある情報を出すように目指している、と書いています。載る条件の一覧や、実体として認識される最低限の基準は、確認できた公式の文書にありません。
そのため、この記事は、載る会社の特徴を断定しません。書けるのは、公式が情報源として挙げているものを、自社でそろえるという方向です。
「有名かどうか」だけでは決まらないと考えられる理由
この台帳には約50億の実体があります。世界的な著名人や有名企業だけで、この数に届くとは考えにくいと言えます。ただし、中小企業がどの程度載っているかを示す公式の数字はなく、推測の域を出ません。
確かなのは、ブログが、情報源として数百のウェブ上の情報源や、持ち主が書く構造化データを挙げていることです。有名であることを待つより、書ける情報を整えるほうが、現実的に動かせます。
点検するときの注意点
調べるときに、いくつか気をつけることがあります。
| 注意点 | 理由 |
|---|---|
| ログインの有無を変えて見る | 検索結果は、条件によって変わるため |
| 日付を必ず記録する | 後で、変化の有無を比べるため |
| 画面の保存を残す | 表示の細部は、後から再現しにくいため |
| 1回で結論を出さない | 結果は自動の仕組みで更新されるため |
Googleの公式ヘルプも、ナレッジパネルの表示と非表示は、検索語に対する関連性をもとに、自動のシステムが決めると述べています。同じ社名でも、検索語の組み合わせで、枠の出方が変わる場合があります。
社名だけでなく、「社名 所在地」「社名 評判」のような、よくある組み合わせでも見ておくと、見落としが減ります。
調べた結果の4つの型と、次の動き
APIとWikidataで調べた結果は、4つの型に分かれます。型ごとに、次の動きが変わります。
| 型 | 調べた結果 | 次の動き |
|---|---|---|
| 型A | 実体が見つかり、名前も説明も合っている | 会社概要の事実を保ち、変更があれば全部のページで同時に直す |
| 型B | 実体が見つかるが、説明やURLが違う | 外部ページの記載を点検し、会社概要の表記を揃える |
| 型C | 同名の別の実体が先に出る | 事業内容と所在地を、会社概要で明確に書く |
| 型D | 何も見つからない | 自社サイトと外部の言及を整える。載る約束はできない |
どの型でも、最初の作業は同じです。自社サイトの会社概要を、正確で、1つの表記に揃えます。
人物の枠と、会社の枠が混ざる悩み
Q&Aサイトには、社長の名前で検索すると、会社の枠が出て、個人の枠が出ない、という悩みもありました。人と会社は、別の実体として扱われます。
どちらの枠が出るかは、検索語と、システムが判断する関連性で決まります。社長個人の枠が必要でも、会社概要に、代表者の名前と役割を正確に書いておく以外に、公式に用意された近道はありません。
結果を記録して、次の点検で比べる
調べた結果は、日付とともに記録します。APIの結果は、名前、種類、説明、URLを書き写しておきます。
3か月後に同じ調べ方をして、前回と比べます。1回の結果だけで判断せず、変化を見ます。結果が毎回変わるのは、自動のシステムが事実を集め続けているためと考えられます。
| 記録する項目 | 書く内容 | 比べるとき見ること |
|---|---|---|
| 調べた日 | 年月日 | 前回との間隔 |
| 調べた窓口 | API、Googleの検索、Wikidata | 窓口ごとに分けて比べる |
| 見つかった名前 | 結果の名前 | 社名の表記が変わっていないか |
| 種類と説明 | 結果の種類、説明の文 | 事業内容が合っているか |
| 公式サイトのURL | 結果のURL | 自社サイトを指しているか |
AI検索は、ナレッジグラフを使っているのか
ここまでGoogleのナレッジグラフを見てきました。次に、読者の関心の中心である、AI検索との関係を確かめます。
公式の文書が書いていること
検索セントラルの「AI機能とウェブサイト」には、AIによる概要やAIモードに、コンテンツが表示されるための追加の要件はなく、別途特別な最適化を行う必要もない、と書かれています。基本のSEOの考え方が、そのまま適用されます。
この文書には、ナレッジグラフを使って回答を作る、という記述は見当たりませんでした。今回開いた範囲では、AIの回答とナレッジグラフを結びつける公式の説明は、確認できていません。
確かに言えること、言えないこと
| 言えること | 言えないこと |
|---|---|
| ナレッジグラフは、Google検索が実体を理解する仕組みである(公式ブログ) | AIによる概要やAIモードの回答が、ナレッジグラフから作られる |
| AI機能にも、基本のSEOが適用される(検索セントラル) | ナレッジグラフに載ると、AIの回答に出る |
| 会社の情報が食い違うと、別の実体として扱われうる(2012年のブログの考え方からの推測) | 食い違いを直すと、AIの回答が変わる |
右の列は、公式の文書で確かめられていません。断定した記事を見かけたら、根拠の文書が示されているかを確かめてください。
それでも、実体の考え方を整える意味
AIが会社を紹介するとき、まず、その社名が指す会社が1つに決まる必要があります。同じ名前の会社が複数あれば、混同が起きます。
これは、2012年のブログが「タージ・マハル」の例で示した課題と、同じ形です。ナレッジグラフに載るかどうかとは別に、社名が指す対象を、はっきり書いておく価値があります。
弊社が測った、社名なしで聞いたときのAIの答え
弊社は2026年10月に、Claudeで各2回、社名を入れずに事業に関わる11問を質問しました。合計22回の回答のうち、弊社のページが引用元に入ったのは1回でした。
測ったのは、Anthropic社のClaudeです。GoogleのAIモードやAIによる概要の結果ではありません。
この数字は、ナレッジグラフとの関係を示すものではありません。社名を入れない質問では、自社が選ばれにくい現実を示す参考値として読んでください。日本語のAI検索の難しさは、日本語のAI検索で自社が見つからない理由で扱っています。
AIに聞いて、社名が正しく扱われているかを確かめる
この台帳と違い、AIの回答は、誰でも自分で確かめられます。社名を含む質問を、複数のAIに聞いて、答えを記録します。
質問の型は、3種類に分けると比べやすくなります。
| 質問の型 | 例 | 記録すること |
|---|---|---|
| 社名を入れた質問 | 「(社名)はどんな会社ですか」 | 事業内容、所在地が合っているか |
| 社名なしの質問 | 「(地域)で(事業)を頼める会社は」 | 自社が挙がるか、引用元はどこか |
| 同名・類似名を含む質問 | 「(社名)と(似た社名)の違いは」 | 別の会社と混同されていないか |
答えは毎回変わります。同じ質問を月に1回聞き、3か月続けて傾向を見ます。1回の答えで、整える方針を変えないでください。
自社サイトで整えること:会社概要・構造化データ・第三者の言及
自社で動かせる作業は、3つあります。順に説明します。最初は、会社概要です。
作業1:会社概要の事実を、1つに揃える
会社概要の事実を揃える理由は、この台帳が実体の要素ごとに事実を持つからです。
揃える項目を決める
まず、会社の事実を一覧にします。この台帳が扱う実体の要素である、名前、種類、属性、関係に沿って書き出します。
| 項目 | 決めること | 食い違いの例 |
|---|---|---|
| 正式な社名 | 登記と同じ表記 | 「株式会社」の前置きと後置きの混在 |
| 略称 | 使う略称は1つ | 複数の略し方が混在している |
| 所在地 | 番地、建物名まで | 旧住所が外部のページに残る |
| 電話番号 | 代表の1つ | 古い番号が名簿サイトに残る |
| 事業内容 | 1文で言い切る | ページごとに説明が違う |
| 代表者名 | 漢字と肩書き | 旧字体と新字体が混ざる |
| 設立年 | 登記と同じ | 年がページごとに違う |
食い違いのある書き方と、揃えた書き方
架空の例で、違いを見ます。同じ会社の情報が、ページごとにこう書かれていたとします。
| ページ | 食い違いのある書き方 | 揃えた書き方 |
|---|---|---|
| 会社概要 | 社名「あおば商事株式会社」、電話は旧番号 | 社名「あおば商事株式会社」、電話は現在の代表番号 |
| 求人のページ | 社名「あおば商事」、所在地は旧住所 | 社名「あおば商事株式会社」、所在地は現住所 |
| 公式SNSの紹介 | 社名「あおばしょうじ」、事業は未記載 | 社名「あおば商事株式会社」、事業を1文で記載 |
左の書き方だと、人間には同じ会社と分かっても、機械は別の実体の可能性を残します。右のように、社名と電話番号と所在地を揃えると、同じ会社だと確かめる手がかりが増えます。
この説明も、公式の文書が断言している内容ではありません。同名の物事を区別する、という2012年のブログの課題から、考え方を借りています。
会社概要のページに載せる
揃えた事実は、自社サイトの会社概要のページに、文章として載せます。画像の中の文字や、PDFにだけ書くのは避け、ページ上の文字として書きます。
会社概要のページの作り方と、食い違いの点検の仕方は、AIに自社を正しく伝える会社概要ページの作り方で、手順に分けて説明しています。
変更があったときの決まりを作る
引っ越しや電話番号の変更があったときは、会社概要を直すだけでは足りません。外部のページに古い情報が残ると、食い違いが生まれます。
変更の際に直す場所を、あらかじめ一覧にしておきます。担当者を決め、直した日付も記録します。
作業2:構造化データで、会社の情報を機械が読める形で渡す
2つ目は、構造化データです。会社概要の内容を、検索エンジンが読み取りやすい標準の形式で書き添えます。
公式の文書が言っていること
検索セントラルの「組織の構造化データ」には、ホームページに組織の構造化データを追加すると、組織の管理情報の詳細をGoogleが把握して、検索結果で組織を明確化できるようになる、と書かれています。
文書によると、必須のプロパティはありません。ただし、組織に関連するプロパティを、できるだけ多く追加することが推奨されています。
書くことの中身
文書の例には、次のようなプロパティが入っています。
| プロパティ | 意味 | 会社概要との対応 |
|---|---|---|
| name | 社名 | 正式な社名 |
| url | 公式サイトのURL | トップページ |
| logo | ロゴ画像 | 会社のロゴ |
| description | 会社の説明 | 事業内容の1文 |
| address | 住所 | 所在地 |
| telephone | 電話番号 | 代表の番号 |
| sameAs | 同じ会社の別ページ | 公式のSNSや地図のページ |
これは、文書の例にあるプロパティの一部です。実際に何を書くかは、本文に書いてある内容に合わせます。
本文に無い情報は、書かない
構造化データは、ページの本文に書かれている内容と一致させます。
「構造化データはページ コンテンツを正確に表している必要があります。」
検索セントラルの「構造化データに関する一般的なガイドライン」の一文です。読者に表示されないコンテンツを構造化データにすることも、同じガイドラインで避けるべき例として挙がっています。
先に会社概要を直し、その内容を、コードに写します。順番を逆にすると、食い違いが生まれます。
どのページに書くか
組織の構造化データは、会社を代表するページに書きます。公式の文書の例も、会社の紹介のページに書く形で示されています。
全ページに同じコードを入れる必要は、文書からは読み取れません。最初は、トップページか会社概要のページに、1か所書けば足ります。
サイトの更新に使っているCMSに、構造化データを足すプラグインがある場合は、それを使う方法もあります。ただし、出力されるコードが、会社概要の本文と一致しているかは、必ず自分の目で確かめます。
sameAsを足す場合の考え方
sameAsは、同じ会社が載っている別のページを指すプロパティです。自社が管理する公式のページに限って並べます。書き方の詳しい手順は、sameAsの書き方と、並べてよいページの選び方に任せます。
組織の構造化データそのものの全体像は、組織(Organization)の構造化データの解説で扱っています。
検証して、公開する
書いたコードは、Googleの公式の検証ツール(リッチリザルトテスト)で確かめます。重大なエラーが出たら直します。公開後は、再クロールの依頼もできます。
構造化データを書いても、この台帳に載る約束にはなりません。文書が言うのは、Googleが組織を理解し、明確化する助けになる、というところまでです。
作業3:自社の外にある、第三者の言及を点検する
3つ目は、自社サイトの外です。2020年のブログは、この台帳がウェブ上の数百の情報源から事実を集めていると説明しています。自社の事実が書かれた外部のページも、その対象になりうると考えられます。
外部の情報は、自社が持ち主ではない
外部のページの多くは、自社が管理していません。そのため、直す作業は、掲載先への修正の依頼から始まります。
直せない場合もあります。まずは、どこに自社の情報が載っているかを、一覧にして把握します。
点検する場所の分類
| 場所の分類 | 例 | 自社でできること |
|---|---|---|
| 自社が管理する外部ページ | 公式のSNS、地図のビジネスプロフィール | 自分で直す |
| 公的な記録 | 登記、許認可の公表 | 事実が変わったときに届出を行う |
| 業界団体・地域の名簿 | 商工会、組合の会員名簿 | 掲載先に修正を依頼する |
| 取引先・提携先のページ | 導入事例、取引先一覧 | 相手に修正を依頼する |
| 報道・プレスリリース | 掲載された記事 | 古い記事は書き換えられない。新しい情報を公式に出す |
点検の進め方
自社の社名、旧社名、略称を、検索窓に入れて、出てきたページを上から確認します。社名と住所と電話番号が、会社概要と同じ表記かを見ます。
食い違いを見つけたら、記録表に書きます。直せるものから直し、依頼するものは依頼先と日付を残します。
他社の名前を使った、自社の実績づくりはしない
事実と違う実績を書いたり、他社の名前を勝手に使ったりして、外部の言及を増やす行為は避けます。取引先や顧客の信用を落とします。
書くのは、自社で証明できる事実だけです。登記、許認可、受賞、取引の事実など、第三者が確認できる形で残っているものから始めます。
やってはいけない作業と、よくある誤解
この台帳に載せようとして、遠回りになる作業もあります。
失敗1:申請の窓口を探し続ける
ナレッジパネルは、手動で作成できません。窓口を探している間に、整えられる作業が止まります。
失敗2:Wikipediaに自社の記事を作る
Wikipediaは、情報源のひとつとして挙げられています。ただし、Wikipedia側の基準を満たさない記事は、削除されることがあります。信頼できる第三者の資料が前提の場所です。
失敗3:構造化データだけで解決しようとする
構造化データは、組織を明確にする助けにはなりますが、本文や外部の食い違いを直す代わりにはなりません。
失敗4:1回の確認で判断する
APIで引けなかったからといって、整える作業が無駄だったとは言えません。この台帳は自動で更新されます。
誤解と事実の対応表
| よくある誤解 | 公式の文書で確かめた範囲 |
|---|---|
| 申請すればナレッジグラフに載る | ナレッジパネルは、手動で作成や削除ができないとヘルプに書かれている |
| Wikipediaに載れば確実に載る | Wikipediaは情報源のひとつだが、唯一ではない(2020年のブログ) |
| 構造化データを書けば載る | 組織を明確化する助けになる、と文書に書かれている。載る約束は無い |
| 載ればAIの回答に出る | AI機能の公式文書に、ナレッジグラフとの関係の記述は見当たらない |
最初の3か月の進め方
作業を、月ごとの予定に落とします。大きな仕組みは要りません。小さく始めて、同じ手順で確かめ続けます。
1か月目:現状の記録と、会社概要の統一
最初の月は、書き足す前に、現状を記録します。Googleで社名を検索し、パソコンとスマートフォンの両方で、画面を保存します。
並行して、Wikidataで社名を検索します。APIを使える場合は、Knowledge Graph Search APIでも調べ、結果を記録表に写します。
そのうえで、会社概要の項目を決めます。正式な社名、所在地、電話番号、事業内容を、1つの表記に確定します。
2か月目:自社サイトと外部ページを直す
2か月目に、自社サイトの会社概要を、確定した表記に直します。次に、組織の構造化データを、会社概要の内容に合わせて書きます。
外部ページの点検もこの月に行います。自社で直せるものから直し、依頼するものは依頼先と日付を記録します。
3か月目:同じ手順で確かめ直す
3か月目に、1か月目と同じ手順で、もう一度調べます。結果を並べて、変化があったかを見ます。
変化が無くても、整える作業をやめる理由にはなりません。結果は自動のシステムが決めるため、反映に時間がかかる場合があります。
3か月の途中でつまずきやすい点
1か月目で止まりやすいのは、社内で表記が決まらない場合です。正式な社名の表記は登記を基準にし、略称は1つだけ選ぶと、決めやすくなります。
2か月目は、外部ページの修正依頼の返事が来ないことがあります。返事が来なくても、自社が管理できる範囲を先に整えます。
3か月目に結果が変わっていなくても、記録の習慣自体が、次の変更に備える資産になります。
3か月の予定を表にする
| 月 | やること | 終わったときの状態 |
|---|---|---|
| 1か月目 | 検索画面とWikidataの記録、会社概要の項目を確定 | 現状の記録表と、正しい表記の一覧がある |
| 2か月目 | 会社概要の修正、構造化データの追加、外部ページの修正依頼 | 自社サイトが一覧と一致し、依頼の記録がある |
| 3か月目 | 同じ手順で確かめ直し、前回と比べる | 変化の有無が分かり、次に直す所が決まっている |
月ごとに、担当と所要時間を決める
3か月の作業は、担当者が1人いれば回ります。専門の知識は、構造化データを書く場面でだけ必要になります。
| 作業 | 担当の目安 | 所要時間の目安 |
|---|---|---|
| 検索画面の保存と記録表づくり | 総務かWeb担当 | 半日 |
| 会社概要の項目の確定 | 経営者と総務 | 1回の打ち合わせ |
| 会社概要ページの修正 | Web担当 | 半日から1日 |
| 構造化データの追加 | Web担当か外部の制作者 | 1日 |
| 外部ページの修正依頼 | 総務かWeb担当 | 掲載先の数による |
所要時間は目安です。会社の規模や、掲載先の数で変わります。
4か月目以降は、変更のたびに更新する
3か月が終わったら、通常の運用に移ります。引っ越しや電話番号の変更があったときに、会社概要、構造化データ、外部ページを、同じ日に直します。
半年に1回は、記録表を見直します。公式の文書が更新されていないかも、同時に確かめます。
よくある質問
Q. ナレッジグラフと知識グラフは、同じものですか。
言葉は同じですが、使われ方が2つあります。Googleのナレッジグラフは、Googleが検索のために持つ実体の台帳です。AI開発でいう知識グラフは、社内の情報などをAIに使わせるために作るデータの形を指します。
この記事は、前者を扱いました。後者の作り方は、範囲外です。
後者に取り組むなら、設計の段階で、どの実体と関係を持たせるかを決める作業が中心になります。開発者や専門の会社に相談する領域です。
Q. ナレッジグラフに、会社から申請して載せられますか。
確認できた公式の文書には、会社から申請して載せる窓口は見当たりませんでした。ナレッジパネルについては、検索ヘルプに、現在のポリシーでは手動で作成または削除できない、と書かれています。
Q. 自社がナレッジグラフに載っているかは、どう調べますか。
Knowledge Graph Search APIで、社名を検索します。Googleで社名を検索して、情報の枠が出るかを見る方法もあります。Wikidataでも、項目の有無を調べられます。
何も返らなくても、会社が存在しない意味にはなりません。調べた日付と結果を記録します。
記録は、次回の点検で比べるための材料になります。画面の保存だけでも、役に立ちます。
Q. ナレッジグラフに載ると、AIの回答に出やすくなりますか。
公式の文書では、確かめられていません。検索セントラルは、AIによる概要やAIモードに表示されるための追加の要件はない、と説明しています。
社名が指す会社を1つに決める作業は、AIの回答での混同を減らすために有益と考えられますが、効果の保証はありません。
Q. 構造化データだけ書けば、足りますか。
足りません。構造化データは、ページの本文に書いた内容を、機械が読める形に写したものです。本文と外部ページの食い違いを直すことが、先です。
検索セントラルの文書も、構造化データはページの内容を正確に表している必要がある、と求めています。本文が揃っていなければ、写すもとがありません。
まとめ
ナレッジグラフは、Googleが人・場所・会社などの実体と事実をつなげて持つ台帳です。2012年に始まり、2020年のGoogle公式ブログでは、約50億の実体について5,000億以上の事実を蓄積していると説明されました。
会社から申請して載せる窓口は、確認できた公式の文書にありません。ナレッジパネルは、検索ヘルプによると、手動で作成も削除もできません。
載っているかどうかは、公式のAPIやWikidataで調べられます。結果は記録して、3か月後に比べます。
自社サイトで動かせるのは、会社概要の事実の統一、構造化データ、外部ページの点検です。どれも、載ることを約束する作業ではありません。
AIの回答との関係は、公式の文書では確かめられませんでした。確かめられない部分を断定せず、整えられる部分から進めてください。
この記事で確かめた資料
この記事の事実は、次の資料を2026年10月23日に開いて確かめたものです。
| 資料 | 確かめた内容 |
|---|---|
| Google公式ブログ(2012年5月16日) | ナレッジグラフの開始、同名の物事の区別、5億超の対象物と35億超の事実 |
| Google公式ブログ(2020年5月20日) | 約50億の実体、5,000億超の事実、情報源、フィードバックと認証 |
| ナレッジパネルのヘルプ | 手動で作成または削除できないこと、認証を受けた本人のフィードバック |
| Knowledge Graph Search APIの文書 | 実体の検索、読み取り専用、個別の実体のみを返すこと |
| 検索セントラル「組織の構造化データ」 | 必須プロパティは無く、組織を明確化できること |
| 検索セントラル「AI機能とウェブサイト」 | AI機能に追加の要件は無いこと |
| Wikidataの項目の基準 | 項目として受け入れられる3つの基準 |
今日できる点検
次の表の項目を、上から順に確かめてください。1項目あたり15分ほどで終わります。
| 点検の項目 | 確かめる場所 | 合格の目安 | 直すこと |
|---|---|---|---|
| 社名で検索し、画面を保存した | Google検索(パソコンとスマートフォン) | 日付つきの画面が残っている | 記録表を作る |
| Wikidataで社名を検索した | Wikidataの検索 | 結果を記録表に書いた | 見つかった項目の内容を確かめる |
| 正式な社名と略称を決めた | 社内の取り決め | 使う表記が1つずつ | 混在している箇所を一覧にする |
| 所在地と電話番号が全ページで同じ | 会社概要と外部ページ | すべて同じ表記 | 古い情報のページを直す |
| 事業内容を1文で言い切れている | 会社概要のページ | 全ページで同じ文 | 説明の文を揃える |
| 組織の構造化データが本文と一致する | リッチリザルトテスト | 重大なエラーが無い | 本文を先に直してからコードを直す |
| 外部ページの修正依頼を記録した | 社内の記録 | 依頼先と日付がある | 依頼状況を追う |
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