元請けから回ってくる仕事で、なんとか毎月の現場は埋まっている。
けれど、単価も日程も向こうが決める。
元請けの受注が落ちた月は、こちらの売上もそのまま落ちる。
この記事は、そうした状況にいる小さな電気工事会社の経営者や、一人親方として動いている方に向けて書いています。
個人のお宅、近所の店舗、地元の会社から、直接「お願いしたい」と連絡が来る状態を作りたい。
そう考えている方が読者です。
全国に支店を持つような大きな設備会社の話は扱いません。
社長が現場にも出ていて、事務所の電話も自分か家族が取っている。
そのくらいの規模の会社に絞って書きます。
電気工事の集客には、ほかの職人仕事にない有利な点が1つあります。
法律で決められた登録の番号や、主任電気工事士の名前といった「この会社に頼んで大丈夫か」を判断する材料が、最初から手元にそろっていることです。
元請けの下にいる間は、その材料を見せる相手がいませんでした。
直接の依頼を取りにいくときは、それをホームページの上で見せることが出発点になります。
この記事では、その見せ方を順番に整理していきます。
制度に触れる部分は、法律の条文と都道府県の公表資料で確かめた範囲で書いています。
読み終えたときに、自社のサイトで最初に直す場所が1つ決まっている。
そこをこの記事のゴールにしています。
同じように下請けから直接の受注へ移ろうとしている業種の話は、外壁塗装の集客について書いた記事や解体の集客について書いた記事でも扱っています。
この記事は、そこから電気工事に絞って掘り下げた位置づけです。
Q&Aサイトで見かけた、16年勤めた電気工事士の家族からの相談
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
投稿したのは、電気工事士として同じ会社に16年勤めているご主人を持つ奥様でした。
会社の仕事が減り、独立しか道がないように見えている
ご主人は第一種電気工事士と2級の電気工事施工管理の資格を持っています。
勤め先は2代目の社長に代替わりしてから、先代から引き継いだ仕事が少しずつ減っていました。
社長は営業が苦手だと自分で話しているそうです。
給料もなかなか上がらず、夫婦で「収入を増やすには独立しかないのでは」と話し合っていました。
頼りにしているのは「ツテがある」という言葉だけ
ご主人は、独立したら仕事をくれそうな知り合いが何人かいると言います。
ただ、奥様から見るとその話は漠然としていて、本当に大丈夫なのか不安が消えない。
何から始めればいいのか教えてほしい、という相談でした。
回答者が口をそろえたのは「信用は会社の名前についている」という指摘
寄せられた回答には、厳しい言葉が並んでいました。
その中で、以前は電気工事の会社にいたという回答者の指摘が印象に残っています。
ツテがあるのは今の会社に勤めているからで、独立した後もその人がご主人を選ぶとは限らない、という内容でした。
別の回答者も、営業ができなければ腕がよくても収入にはならない、と書いていました。
似た質問は、ほかにもありました。
人脈がなくてもネットで集客できるかという相談に対して、独立して一番手に入りにくいのは信用だ、と答えた人がいました。
お客様と横のつながりがあるから一人親方も成り立っている、という説明も添えられていました。
この相談が、独立する人だけの話で終わらない理由
この2つの相談は、独立前の電気工事士の話に見えます。
けれど、元請けに頼って経営している小さな電気工事会社にも、そのまま当てはまります。
仕事をくれていたのは、元請けという看板でした。
お客様から見て「この業者で大丈夫か」を保証していたのも、元請けの名前でした。
その看板の外に出て直接の依頼を取りにいくと、保証してくれる名前がなくなります。
回答者たちが「信用」と呼んでいたのは、この空白のことです。
裏を返すと、この空白を埋める材料さえ用意できれば、直接の依頼は取れます。
電気工事の場合、その材料の一部は法律がすでに用意してくれています。
登録の番号、登録した年月日、主任電気工事士の名前、どんな種類の工事を請け負えるか。
これらは本来、営業所と現場に掲げる標識に書くことになっている情報です。
元請けの下にいる間は、お客様がそれを目にする機会がほとんどありませんでした。
直接の依頼を増やす最初の一歩は、この情報をお客様の目に入る場所へ移すことから始まります。
元請けの仕事が減ったとき、小さな電気工事会社に起きていること
元請けに頼る経営のつらさは、仕事の量だけにあるわけではありません。
量が足りている月でも、値段と日程を自分で決められないことが、じわじわ効いてきます。
単価は元請けの見積りから逆算して決まる
下請けの単価は、元請けがお客様に出した見積りから、元請けの取り分を引いた残りで決まります。
こちらで工夫して作業を早くしても、その分は次の現場の単価交渉で削られがちです。
腕を上げても売上が上がりにくい構造になっています。
日程は元請けの都合で動く
急な前倒しや、他の業者の遅れによる待ちは、下請けの側が吸収します。
自社で直接受けた仕事の予定を入れたくても、元請けの現場が読めないと入れられません。
結果として、直接の依頼を受ける余白がいつまでも作れなくなります。
1社の受注が落ちると、そのまま売上が落ちる
取引先が1社か2社に偏っていると、その会社の受注が減った月に、こちらも一緒に減ります。
相談にあった勤め先のように、元請けの側で代替わりや営業の弱まりが起きることもあります。
こちらからは手の打ちようがありません。
同じ地域で電気工事を請け負える会社は増え続けている
国土交通省が2025年5月に公表した建設業許可業者の現況によると、電気工事業の許可を持つ業者は2025年3月末時点で65,497業者でした。
前の年より1.8%増え、許可業者の数が最も多かった2000年3月末の53,743業者と比べると21.9%増えています。
建設業の許可業者全体は2000年をピークに減ってきた中で、電気工事業の許可は逆に増え続けてきました。
元請けから見れば、声をかけられる電気工事の会社が増えています。
下請けの側から見ると、同じ元請けの仕事を取り合う相手が増えていることになります。
単価の交渉で強く出にくくなるのは、腕の問題とは別のところで起きている変化です。
元請けの名前で仕事をしている間は、自社の名前が外に出ない
下請けで入った現場では、お客様が覚えているのは元請けの会社名です。
どれだけ丁寧に配線をまとめても、次に照明を増やしたくなったとき、お客様が電話するのは元請けです。
つまり、腕のよさを積み上げても、それが自社の名前の信用として残りません。
10年、20年と現場を回してきた会社ほど、この取りこぼしは大きくなっています。
直接の依頼を取りにいくというのは、この取りこぼしを少しずつ自社の側に戻していく作業でもあります。
いま自社がどの段階にいるかを確かめる
自社がどのくらい元請けに頼っているかで、最初にやることが変わります。
次の表で、いまの状態に近い行を探してみてください。
| いまの状態 | 起きていること | 最初にすること |
|---|---|---|
| 売上のほぼ全部が1社の元請け | 単価も日程も相手次第で、断る選択肢がない | 直接の依頼を受ける曜日を月に数日だけ空ける |
| 元請けが2〜3社に分かれている | 量は安定しているが単価は上がらない | 自社サイトに登録番号と対応できる工事を載せる |
| 直接の依頼がたまに入る | 紹介や近所の口コミで、波が大きい | 依頼してくれた人の声と工事の記録を残し始める |
| 直接の依頼が売上の半分近い | 問い合わせ対応と見積りに時間を取られている | 小さな工事の受付ページを作り、相談の入口を分ける |
| 元請けから独立したばかり | 前の会社のツテが動くかどうか分からない | 登録の手続きを済ませ、標識の中身をサイトに載せる |
どの行に当てはまっても、出発点は同じです。
元請けの名前が代わりに引き受けていた「この業者で大丈夫か」という確認を、自社で引き受け直すことです。
次の章では、その確認の中身を分解していきます。
元請けの看板が、お客様に代わって引き受けていた確認
下請けで仕事をしている間、お客様と直接話す場面はそれほど多くありません。
見積りを出すのも、工事の日程を伝えるのも、終わったあとに請求するのも元請けです。
その裏で、元請けの看板は目に見えない仕事をもう1つしていました。
お客様は「誰が来るか」を元請けの名前で判断していた
ハウスメーカーや工務店、設備会社に工事を頼んだお客様は、実際に来る電気工事の会社の名前をほとんど気にしていません。
元請けがきちんとした会社を手配するはずだ、と考えているからです。
登録があるか、資格者がいるか、もし何かあったら誰に言えばいいか。
この確認を、お客様は元請けの名前1つで済ませていました。
直接頼まれる立場になると、その確認が全部こちらに来る
直接の依頼を取りにいくと、この確認はすべて自社に向かってきます。
お客様は、検索で見つけた電気工事の会社が本当に任せていい相手なのか、自分で判断しなければなりません。
その判断材料がサイトに載っていなければ、電話をかける前に別の会社のページへ移ります。
腕の良し悪しを比べられる前に、選ぶための材料が見当たらないという理由で候補から外れてしまう。
元請けを離れて直接受注を始めたばかりの会社が最初につまずくのは、ほとんどがここです。
元請けと直接の依頼で、引き受けるものはこう変わる
元請けの下にいるときと、直接依頼を受けるときで、自社が引き受けるものを並べてみます。
| 項目 | 元請けの下で働くとき | 直接依頼を受けるとき |
|---|---|---|
| 信用の保証 | 元請けの会社名が保証する | 自社のサイトと応対で示す |
| 見積りと説明 | 元請けがお客様に説明する | 自社が工事の中身から説明する |
| 日程の調整 | 元請けの工程表に合わせる | お客様と直接決める |
| 工事後の相談 | お客様は元請けに電話する | お客様が自社に直接連絡してくる |
| 次の依頼 | 元請けに入り、また下請けに回ってくる | 自社に直接入り、紹介にもつながる |
表の右側は手間が増えるように見えます。
けれど、最後の行の「次の依頼」が自社に入るようになることが、元請け依存から抜ける本当の意味です。
直接頼む人は、電話をかける前に何を確かめているのか
直接の依頼といっても、依頼してくる相手によって確かめたいことはかなり違います。
個人のお宅と、近所の店舗と、地元の会社では、不安の中身が別物です。
個人のお宅は「家に上がる人が誰か」を気にしている
コンセントを増やしたい、ブレーカーがよく落ちる、照明を新しくしたい。
個人のお宅からの依頼は、こうした小さな工事が入口になります。
依頼する人がまず気にするのは、知らない業者を家に上げて大丈夫か、という点です。
会社の住所が実在するか、顔写真があるか、作業する人が資格を持っているか。
そこが分かるだけで、電話をかける心理的な壁はかなり下がります。
店舗は「営業を止めずに済むか」を気にしている
飲食店や美容室、小売店からの依頼で一番の心配は、工事で営業日が潰れないかです。
定休日や営業時間外に工事できるか、急なトラブルの日にどのくらいで来てもらえるか。
店舗のオーナーは、そうした段取りの話を最初に知りたがっています。
設備が止まれば売上に直結するので、腕より先に「来てくれるかどうか」で比べられることもあります。
法人は「社内で説明できるか」を気にしている
工場や事務所、倉庫を持つ会社が電気工事を発注するとき、担当者は社内で稟議を通す必要があります。
担当者がほしいのは、上司に「この会社なら大丈夫です」と説明できる材料です。
登録の区分や請け負える工事の種類、自家用電気工作物を扱えるかどうか、過去の施工の記録。
書面にできる情報がそろっている会社ほど、担当者は社内で説明しやすくなります。
依頼する相手ごとに、サイトで先に答えておくこと
3つの相手が確かめたいことを、表にまとめます。
| 依頼してくる相手 | 電話の前に確かめたいこと | サイトで先に見せること |
|---|---|---|
| 個人のお宅 | 家に上がる人が誰で、資格があるか | 代表と作業する人の顔写真、登録番号、電気工事士の資格 |
| 店舗のオーナー | 営業を止めずに工事できるか | 営業時間外や定休日の対応、急なトラブルのときの連絡先 |
| 法人の担当者 | 社内で説明できる材料があるか | 登録の区分、請け負える工事の種類、施工記録 |
| 管理会社や大家 | 入居者への説明を任せられるか | 入居者への声かけの手順、作業後の報告の形 |
| 元請けを探す工務店 | 現場の段取りを任せられるか | 対応地域、人数、過去に組んだ工事の種類 |
この表を見ると、どの相手も工事の腕そのものより先に、「任せて大丈夫か」の材料を探していることが分かります。
電気工事の制度で、サイトにそのまま書ける信用の材料
ここからは、電気工事ならではの話です。
電気工事の会社には、法律で決められた登録や資格の仕組みがあります。
これは手続きの負担でもありますが、見方を変えると、ほかの職人仕事にはない信用の材料です。
電気工事業を営むには都道府県知事などの登録が要る
電気工事業の業務の適正化に関する法律(以下、電気工事業法)の第3条は、電気工事業を営もうとする者に登録を求めています。
条文では、営業所が1つの都道府県の中にだけある場合は、その所在地を管轄する「都道府県知事の登録を受けなければならない」とされています。
2つ以上の都道府県に営業所を置く場合は、経済産業大臣の登録です。
登録の有効期間は5年で、続けて営業するには更新の登録が必要だと同じ条文に書かれています。
なお、建設業の許可を持っている会社や、自家用電気工作物の工事だけを扱う会社は、登録の代わりに届出や通知の手続きになります。
自社がどの区分に当たるかは、営業所のある都道府県の担当窓口で確かめてください。
電気工事士の資格は、工事の種類ごとに決まっている
電気工事士法の第1条は、法律の目的をこう書いています。
「この法律は、電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定め、もつて電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与することを目的とする。」
第3条では、一般用電気工作物等の工事は第一種または第二種の電気工事士でなければ作業に従事してはならないとされています。
工場やビルなどの自家用電気工作物の工事は、原則として第一種電気工事士でなければ作業できません。
依頼する側は、この区分をほとんど知りません。
だからこそ、自社がどの資格を持ち、どの範囲の工事を請け負えるのかを、サイトで分かる言葉に直して見せる意味があります。
営業所ごとに主任電気工事士を置く決まりがある
電気工事業法の第19条は、登録電気工事業者に対し、一般用電気工事の業務を行う営業所ごとに主任電気工事士を置くよう求めています。
主任電気工事士になれるのは、第一種電気工事士か、免状の交付を受けてから3年以上の実務経験がある第二種電気工事士です。
この人の名前は、後で触れる標識にも書く項目になっています。
お客様から見れば、工事の管理に責任を持つ人の名前が分かります。
標識に書く内容は、そのまま信用の一覧になる
電気工事業法の第25条は、標識の掲示を定めています。
「電気工事業者は、経済産業省令で定めるところにより、その営業所及び電気工事の施工場所ごとに、その見やすい場所に、氏名又は名称、登録番号その他の経済産業省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。」
埼玉県が公表している案内によると、登録電気工事業者の標識に書く内容として次の項目が挙げられています。
| 標識に書く項目 | お客様にとっての意味 | サイトで見せる場所の例 |
|---|---|---|
| 登録番号と登録年月日 | 正規に登録した会社かどうかを確かめられる | 会社概要と各ページの末尾 |
| 氏名又は名称 | 契約する相手がはっきりする | 会社概要 |
| 代表者の氏名 | 責任を持つ人の顔が見える | 代表あいさつ、会社概要 |
| 営業所の名称 | どこから来る会社か分かる | 会社概要、対応地域のページ |
| 電気工事の種類 | 頼みたい工事を任せられるか分かる | 対応できる工事のページ |
| 主任電気工事士等の氏名 | 工事の管理に責任を持つ人が分かる | 会社概要、スタッフ紹介 |
どれも、元請けの看板が代わりに保証していた中身です。
法律で掲示が決められている情報なので、載せること自体に後ろめたさもありません。
国と県も、標識の中身をホームページに載せるよう呼びかけている
この話には、行政の後押しもあります。
経済産業省は2023年11月に、電気工事業者に向けて、標識の内容をホームページ等にも載せるよう協力を依頼しました。
埼玉県は同じ趣旨の案内の中で、背景をこう説明しています。
「近年、消費者等から、電気工事業者を仲介するウェブサイト等において紹介されている業者が適法な電気工事業者であるかの確認の問合せや、未登録業者又は無資格者による電気工事に関する通報等が増えています。」
そのうえで、営業所と施工場所に加えて「自社を紹介するホームページ等においても標識と同様の内容を掲載いただきますよう」協力を求めています。
依頼する人が、業者が登録済みかどうかを自分で確かめたがっている。
行政の窓口にそうした問い合わせが届いていることが、この案内から読み取れます。
標識の中身をサイトに載せることは、行政のお願いに応えることであり、同時に直接の依頼を取るための一番手堅い準備にもなります。
直接の依頼を取りにいくときに、はまりやすい打ち手
元請け依存から抜けようと決めた会社が、最初に試す打ち手はだいたい似ています。
どれも間違いとまでは言えません。
ただ、順番を間違えると手間とお金だけが出ていき、直接の依頼が増えないまま終わります。
工事の仲介サイトに登録して、待つだけになる
一番手軽なのは、電気工事を含む住まいの工事を仲介するサイトに登録することです。
登録した翌週から問い合わせが入ることもあり、最初は手応えを感じます。
けれど、仲介サイトの上では、お客様が覚えるのはサイトの名前です。
元請けの看板が、仲介サイトの看板に置き換わっただけになりかねません。
価格の並ぶ一覧の中で比べられるので、単価も上がりにくくなります。
先ほど紹介した埼玉県の案内にも、仲介サイトに載っている業者が適法かどうかを問い合わせる消費者が増えている、と書かれていました。
仲介サイトに載っているだけでは、お客様の不安は解けていません。
仲介サイトを使うなら、そこから自社のサイトを見てもらい、次の依頼は直接もらえる形を最初から作っておく必要があります。
値段の安さで勝とうとする
直接受注を始めた会社がよくやるのが、元請けより安くできると打ち出すことです。
中間の取り分がない分、安くできるのは事実です。
ただ、安さを入口にすると、次の依頼でも同じ安さを求められます。
しかも、もっと安い会社が出てくれば、すぐにそちらへ移られます。
元請けの下で値段を決められなかった状態から、今度はお客様に値段を決められる状態に移るだけです。
直接の依頼で守りたいのは、自分で値段を決められることのはずです。
「電気工事なら何でもお任せください」と書く
対応できる工事を全部並べて、何でもできると書いているサイトも目立ちます。
実際に何でもできる腕があっても、読む側からは何が得意な会社なのか分かりません。
ブレーカーが落ちて困っている人は、ブレーカーの相談に慣れていそうな会社を選びます。
店舗の照明を入れ替えたい人は、店舗の工事をしたことがある会社を選びます。
何でもできると書くほど、どの悩みに対しても「ここに頼めば安心」と思ってもらいにくくなります。
施工写真をたくさん並べて、腕で語ろうとする
配線がきれいにまとまった分電盤の写真は、同業者が見ればすぐに腕が分かります。
けれど、依頼する人の大半は、その写真のどこがすごいのかを読み取れません。
写真が何十枚並んでいても、自分の家の工事とどう関係するのかが書いていなければ、判断の材料になりません。
写真には、どんな困りごとで呼ばれて、何をして、どう変わったのかを1〜2文で添える必要があります。
チラシを大量に配って、問い合わせの数だけを追う
近所に一斉にチラシを配ると、確かに電話は鳴ります。
ただ、チラシから電話してきた人も、電話の前にスマートフォンで会社名を検索します。
検索して出てきたサイトに登録番号も顔写真もなければ、チラシを見て持った興味はそこで止まります。
チラシを撒く前に、受け皿のサイトを整えておく順番が大事です。
ホームページを一から作り直すところから始める
直接の依頼を増やそうと決めて、まずホームページを丸ごと作り直す会社もあります。
見た目が新しくなると、それだけで前に進んだ気持ちになります。
ただ、作り直しには数か月かかることが多く、その間は直接の依頼につながる変化が何も起きません。
しかも、新しいサイトにも登録番号や主任電気工事士の名前が載っていなければ、お客様が確かめたいことは解決していません。
いまのサイトの会社概要に、標識の中身を書き足す。
それだけなら、今日の夕方にでもできます。
作り直すかどうかは、直接の問い合わせが少しずつ入り始めてから考えても遅くありません。
はまりやすい打ち手と、その先に起きること
5つの打ち手を、表で並べます。
| 打ち手 | 最初に起きること | 続けた先に起きること | 先にやっておくこと |
|---|---|---|---|
| 仲介サイトに登録して待つ | 問い合わせが早く入る | 仲介サイトの看板で選ばれ、単価が上がらない | 自社サイトに登録番号と顔写真を載せ、次は直接もらう形を作る |
| 値段の安さを打ち出す | 比べられたときに選ばれやすい | 次も安さを求められ、より安い会社に移られる | 費用が決まる理由を説明するページを作る |
| 何でもできると書く | 対応範囲の広さは伝わる | 得意な工事が伝わらず、どの悩みでも候補に残りにくい | 依頼の多い困りごとごとにページを分ける |
| 施工写真を大量に並べる | 同業者からの評価は上がる | 依頼する人には判断材料にならない | 写真ごとに困りごとと結果を1〜2文で添える |
| チラシを大量に配る | 電話が一時的に鳴る | 検索で出たサイトで不安が残り、依頼に至らない | チラシの前に受け皿のサイトを整える |
どの打ち手も、表の右端の準備ができていれば効き方が変わります。
腕のよさを伝えようとして、かえって伝わらなくなる理由
電気工事の会社のサイトを読んでいると、腕に自信のある会社ほど、説明が専門的になっていく傾向があります。
専門用語は、同業者には伝わるがお客様には壁になる
幹線の引き直し、分岐回路の増設、漏電遮断器の交換。
工事の中身としては正確でも、依頼する人がこの言葉で検索することはほとんどありません。
依頼する人が打ち込むのは「ブレーカー よく落ちる」「コンセント 増やしたい」といった、困りごとの言葉です。
サイトの見出しが工事の名前で書かれていると、困りごとで探している人の目に止まりません。
困りごとの言葉から入って、工事の言葉で締める
見出しは困りごとの言葉で書き、本文の中で工事の名前を説明する。
この順番にするだけで、同じ内容でも読まれ方が変わります。
たとえば「電子レンジとドライヤーを同時に使うとブレーカーが落ちる方へ」という見出しの下で、原因の候補と、分岐回路を増やす工事の説明をする形です。
依頼する人は自分のことだと思って読み進め、最後に工事の名前を知ります。
資格の名前を並べるだけで終わらせない
会社概要に「第一種電気工事士 2名」と書いてあるサイトはよく見かけます。
正確な情報ですが、依頼する人にはそれが何を意味するのか分かりません。
第一種があると、工場や店舗の大きな設備まで見られる、という意味を一言添えるだけで伝わり方が変わります。
資格の名前は工事の言葉で、依頼する人が知りたいのは「うちの工事を頼めるか」です。
資格を書いたら、その資格で何を頼めるのかを、依頼する人の言葉に訳して隣に置いておきます。
安全の話を、怖がらせる材料に使わない
電気の工事には、漏電や火災の危険がつきまといます。
その怖さを強調して依頼を急がせる書き方は、短い目で見ると反応があるかもしれません。
けれど、不安をあおられて依頼したお客様は、あとで別の会社の話を聞いて不信感を持つことがあります。
安全の話は、どんな状態なら様子を見てよくて、どんな状態ならすぐ連絡したほうがいいかを、落ち着いて書き分けるのが誠実です。
依頼する人が電話をかけるまでに通る順番
ここまでの話を、依頼する人の側の順番に並べ直してみます。
電気工事の直接の依頼は、検索してから電話をかけるまでの間に、いくつかの確認を通って決まります。
図の中で一番大事なのは、2番目の「登録番号と顔を確かめる」段階です。
ここで材料が見つからないと、どれだけ工事の説明が丁寧でも、その先を読んでもらえません。
元請けの看板が代わりに引き受けていたのも、ちょうどこの段階でした。
各段階で、依頼する人が探しているもの
図の流れを、段階ごとに表で整理します。
| 段階 | 依頼する人の頭の中 | サイトに置くもの |
|---|---|---|
| 困りごとで検索する | うちの症状を見てくれる会社はどこか | 困りごとの言葉で書いた見出しとページ |
| 登録番号と顔を確かめる | この会社は本当に任せていい相手か | 登録番号、主任電気工事士の名前、代表の顔写真 |
| 段取りと費用の決まり方を読む | いつ来てくれて、何で費用が変わるのか | 対応地域、訪問までの流れ、費用が変わる要素の説明 |
| 電話か相談の窓口に連絡する | どこに何を伝えればいいか | 電話番号と、写真を送れる相談の窓口 |
この表の2行目が、元請けの下にいた会社に一番欠けている部分です。
裏を返せば、ここさえ埋まれば、残りの段階は現場で培ってきた経験でいくらでも書けます。
困りごとの見出しも、段取りの説明も、毎日の仕事の中にすでに答えがあるからです。
次の章では、その書き方を具体的に見ていきます。
売れるサイトはみな謙虚 電気工事の会社が主役の座を降りる書き方
ここからは、直す側の話に入ります。
私たちは中小企業のホームページを直すお手伝いをしていて、その考え方を「売れるサイトはみな謙虚」という言葉でまとめています。
中身はシンプルです。
サイトの主役を自社からお客様に移し、自社はお客様の困りごとを片づける案内役に回る、という考え方です。
自慢の言葉を、お客様の困りごとの言葉に置き換える
「創業以来、確かな技術で地域に貢献」という一文は、どの電気工事の会社のサイトにも書けてしまいます。
書いてある中身が本当でも、読む人にとっては自分と関係のない話です。
これを「夜にブレーカーが落ちて困ったら、まず電話をください。翌日の午前中にうかがえる日が多いです」と書き換える。
主語が会社からお客様の困りごとに移るだけで、読む人は自分のことだと感じて読み進めます。
案内役として、登録と資格を差し出す
主役の座を降りるといっても、自社のことを書かないわけではありません。
案内役として信頼してもらうために必要な情報は、むしろ丁寧に見せます。
それが、ここまで見てきた登録番号や主任電気工事士の名前です。
確かめてもらうための材料として、自慢の言葉を混ぜずに差し出す。
この姿勢の違いは、言葉の選び方に表れます。
書き換えの前と後を並べてみる
よくある書き方と、謙虚な書き方を並べます。
| サイトの場所 | よくある書き方 | 謙虚な書き方 |
|---|---|---|
| トップの最初の一文 | 確かな技術で地域の電気をお守りします | ブレーカーが落ちる、コンセントが足りない、そんな困りごとから伺います |
| 会社の紹介 | 創業以来の実績と信頼 | 登録番号と主任電気工事士の名前、代表の顔写真 |
| 対応できる工事 | 電気工事全般に対応 | 依頼の多い困りごとごとのページ |
| 費用の説明 | お見積りは無料です | 何によって費用が変わるのか、現地で何を見るのか |
| 問い合わせ | お気軽にお問い合わせください | 症状と分電盤の写真を送れば、来る前におおよその見立てを返す |
右の列は、どれも自社の現場の段取りをそのまま書いたものです。
新しい売り文句を考える必要はありません。
標識の中身を、サイトのどこにどう置くか
標識の項目をサイトに載せるといっても、会社概要の奥に小さく書くだけでは足りません。
依頼する人が「この会社で大丈夫か」と思った瞬間に、目に入る場所に置くことが大切です。
会社概要には、標識と同じ項目をそろえて書く
まずは会社概要のページに、標識に書く項目を全部そろえます。
登録番号、登録年月日、会社の名前、代表者の名前、営業所の名前、電気工事の種類、主任電気工事士の名前です。
標識と同じ順番で並べておくと、行政の案内に沿って載せていることが伝わります。
登録の有効期間は5年なので、更新したら番号と年月日を書き換えるのを忘れないようにします。
サイトの一番下にも、登録番号を1行で入れる
どのページを開いても、一番下に「◯◯県知事登録第◯◯号」と会社名が1行で入っている状態にします。
困りごとのページから読み始めた人も、会社概要まで移動せずに登録を確かめられます。
この1行は、仲介サイトから流れてきた人にとっても安心材料になります。
顔写真と名前は、主任電気工事士と代表の2人分
標識には主任電気工事士の名前が載りますが、名前だけでは顔が見えません。
代表と主任電気工事士が同じ人なら1人分、違うなら2人分の顔写真を、名前の隣に載せます。
現場で着ている作業着のままの写真で十分です。
家に上がる人の顔が事前に分かると、個人のお宅の方が電話をかけるときのためらいが小さくなります。
地図検索の会社情報とも、内容をそろえる
Googleの地図検索に出る会社情報を登録している場合は、そこに書いた会社名、住所、電話番号をサイトとそろえます。
サイトと地図で住所の書き方が違うと、依頼する人は同じ会社かどうか迷います。
地図の会社情報の説明欄にも、登録電気工事業者であることを一言入れておくと、地図から来た人がサイトに移ったときに話がつながります。
小さな工事を、直接の依頼の入口にする
直接の依頼は、いきなり大きな工事から始まることはあまりありません。
最初は小さな工事で頼んでもらい、そこで信頼を得て、次の大きな依頼につながっていきます。
小さな工事のページを、困りごとごとに分ける
コンセントの増設、ブレーカーの交換、照明の取り替え、換気扇の交換、電気自動車の充電設備の設置。
こうした依頼の多い工事を、それぞれ1ページずつ作ります。
1ページの中身は、よくある症状、考えられる原因、工事の流れ、所要時間の目安、費用が変わる要素です。
全部を1ページに詰め込むより、困りごとごとに分けたほうが、検索で見つけてもらいやすくなります。
費用は「何で変わるか」を書く
この記事では金額の話は扱いませんが、依頼する人が一番気にするのが費用であることは変わりません。
金額を書くかどうかは会社ごとの判断ですが、少なくとも何によって費用が変わるのかは書いておくべきです。
分電盤からの距離、壁の中に配線を通せるかどうか、部材をお客様が用意するかどうか。
こうした要素が書いてあると、依頼する人は自分の家の場合を想像しながら読めます。
小さな工事のページに置く項目
小さな工事のページで、何をどの順番で書くかをまとめます。
| ページの中の段落 | 書くこと | 依頼する人に起きること |
|---|---|---|
| 見出し | 困りごとの言葉(コンセントが足りない、など) | 自分のことだと思って読み始める |
| よくある症状 | 実際に呼ばれたときの状況を3つ前後 | 自分の家の状況と照らし合わせる |
| 考えられる原因 | 専門用語は使い、すぐ隣で言い換える | 工事が必要な理由に納得する |
| 工事の流れと時間 | 当日の手順と、在宅していてほしい時間 | 予定を立てられる |
| 費用が変わる要素 | 距離、配線の通し方、部材の手配 | 見積りの前に大まかな想像ができる |
| 相談の窓口 | 電話番号と、写真を送れる窓口 | 来てもらう前に相談できると分かる |
この形を1つ作れば、ほかの工事のページも同じ形で増やしていけます。
店舗と法人に向けて、ページを分けて書く
個人のお宅と、店舗や法人では、確かめたいことが違うのは先に見たとおりです。
同じページで全員に向けて書くと、誰にとっても読みにくくなります。
店舗向けのページは、営業を止めない段取りを書く
店舗向けのページでは、定休日や営業時間外の工事に対応できるかを最初に書きます。
照明の入れ替えや、厨房機器の増設に伴う電源の工事など、店舗でよくある依頼を例に挙げます。
開店前や閉店後の短い時間で終わらせる段取りを書いておくと、店舗のオーナーは安心して相談できます。
法人向けのページは、社内で説明しやすい材料を書く
法人向けのページでは、担当者が稟議書に書き写せる情報を並べます。
登録の区分、請け負える工事の種類、自家用電気工作物の工事を扱えるかどうか、過去に施工した建物の種類。
書面で出せる書類の一覧を載せておくと、担当者は社内に説明する前に資料をそろえられます。
相手ごとに分けたページの中身
店舗、法人、個人のお宅で、ページに書くことを並べます。
| 相手 | ページの最初に書くこと | 例に挙げる工事 | 相談の窓口の形 |
|---|---|---|---|
| 個人のお宅 | 家に上がる人の顔と資格 | コンセント、ブレーカー、照明 | 電話と写真を送れる窓口 |
| 店舗 | 営業を止めない工事の段取り | 照明の入れ替え、厨房の電源 | 営業時間外でも連絡できる窓口 |
| 法人 | 登録の区分と請け負える工事 | 事務所や倉庫の設備、定期点検 | 見積り依頼と資料請求のフォーム |
| 管理会社や大家 | 入居者への対応の手順 | 共用部の照明、空室の点検 | まとめて依頼できる窓口 |
元請けの仕事を続けながら、直接の依頼に移る順番
ここまで読んで、明日から元請けの仕事を断るべきだと考える必要はありません。
いきなり元請けの仕事を手放すと、直接の依頼が増えるまでの間の売上が持ちません。
最初の3か月は、サイトの土台だけを整える
最初にやるのは、会社概要に標識の中身をそろえ、一番下に登録番号を入れ、顔写真を載せることです。
ここまでは、元請けの仕事を減らさなくても進められます。
次の3か月で、小さな工事のページを増やす
依頼の多い困りごとから順に、1か月に1〜2ページのペースで小さな工事のページを作ります。
現場で受けた質問をメモしておくと、ページの中身がそのまま集まります。
直接の依頼を受ける日を、月に数日だけ空ける
ページが増えてきたら、元請けの現場を入れない日を月に数日だけ作ります。
その日に直接の依頼を入れていくことで、元請けとの関係を壊さずに、少しずつ比重を移せます。
移っていく順番の目安
移り方の順番を表にまとめます。
| 時期 | やること | 元請けの仕事との関係 |
|---|---|---|
| 最初の1か月 | 会社概要に標識の項目をそろえ、顔写真を載せる | いまのまま続ける |
| 2〜3か月目 | 一番下に登録番号を入れ、地図の会社情報をそろえる | いまのまま続ける |
| 4〜6か月目 | 小さな工事のページを月1〜2本ずつ増やす | 直接の依頼を受ける日を月に数日空ける |
| 7か月目以降 | 店舗向けと法人向けのページを作る | 直接の依頼の比重を少しずつ上げる |
この表の時期はあくまで目安で、会社の人数や地域によって前後します。
大事なのは、元請けの仕事を手放す前に、直接の依頼を受け止める受け皿を先に作っておくことです。
工事が終わったあとに、次の依頼と紹介を自社に残す
直接の依頼を1件受けたら、そのお客様からの次の依頼と紹介を自社に残す工夫をしておきます。
元請けの下にいたときに取りこぼしていたのは、まさにこの部分でした。
工事の記録を、お客様の手元に残す
工事が終わったら、何をどこに施工したかを簡単な紙1枚にまとめて渡します。
分電盤のどの回路を増やしたか、どの照明をいつ交換したか。
次に何か起きたとき、お客様はその紙を見て、同じ会社に電話をかけます。
紙の隅に会社名と登録番号と電話番号を入れておけば、冷蔵庫に貼られた紙がそのまま次の依頼の入口になります。
分電盤のそばに、連絡先のシールを貼らせてもらう
電気のトラブルが起きたとき、お客様が最初に見に行くのは分電盤です。
お客様の了承をもらったうえで、分電盤のそばに会社名と電話番号の小さなシールを貼らせてもらいます。
ブレーカーが落ちた夜に、検索する前にその番号へ電話してもらえるようになります。
お客様の声は、困りごとと結果の形で聞く
工事のあと、よければ感想を聞かせてほしいとお願いします。
そのとき「どんなことで困っていて、工事のあとどう変わったか」を聞くと、サイトに載せたときに次のお客様の役に立つ声になります。
「丁寧でした」という一言より、「夜に電子レンジとドライヤーを同時に使っても落ちなくなった」という声のほうが、同じ悩みの人には届きます。
季節の変わり目に、点検の案内を1通だけ送る
エアコンを使い始める前の時期や、暖房器具を出す冬の前は、ブレーカーが落ちる相談が増えやすい時期です。
その少し前に、工事をしたお客様へ点検の案内を1通だけ送ります。
案内の中身は、売り込みの文面にしないことが大切です。
分電盤のどこを見れば容量の目安が分かるか、どんな症状なら様子を見てよいか、といった役に立つ話を中心にします。
最後に、気になることがあれば連絡をください、と一言添える程度で十分です。
年に1〜2回、思い出してもらうきっかけがあるだけで、次に困ったときに検索せずに電話をもらえるようになります。
紹介のお願いは、喜ばれた直後に一度だけ
工事が終わって、お客様が「助かりました」と言ってくれた瞬間があります。
そのときに、同じことで困っている知り合いがいたら声をかけてほしい、と一度だけお願いします。
何度も頼むと押しつけに感じられるので、お願いは一度で終えます。
工事の記録の紙を2枚渡しておくと、紹介したい相手に1枚を渡してもらえます。
元請けの下にいたときは、この「助かりました」の一言も、元請けの営業担当が受け取っていました。
その一言を自社で受け取れるようになることが、直接の依頼を増やしていく一番の近道です。
次の依頼を自社に残す仕組みを、表にまとめる
工事のあとに用意しておくものを並べます。
| 仕組み | いつ渡すか | お客様に起きること |
|---|---|---|
| 工事の記録の紙 | 工事が終わったその場 | 次に困ったとき、紙を見て同じ会社に電話する |
| 分電盤のそばの連絡先シール | 了承をもらって工事の最後に | ブレーカーが落ちた夜に、検索せずに電話できる |
| 季節の点検の案内 | 冷暖房を使い始める少し前 | 会社のことを思い出し、気になる点を相談する |
| 紹介のお願い | 喜ばれた直後に一度だけ | 困っている知り合いに会社を伝えてくれる |
よくある質問
Q. 第二種電気工事士しか持っていなくても、直接の依頼を取れますか?
取れます。
電気工事士法の第3条で、一般用電気工作物等の工事は第二種電気工事士でも作業できるとされています。
個人のお宅や小さな店舗の工事の多くは、この範囲に入ります。
工場やビルなどの自家用電気工作物の工事は原則として第一種が必要なので、サイトでは自社が請け負える範囲をはっきり書いておきます。
Q. 登録番号をサイトに載せると、何か不都合はありますか?
標識に書く内容は、もともと営業所と施工場所に掲示することが法律で決められている情報です。
経済産業省や都道府県も、ホームページ等への掲載に協力を求めています。
載せたことで困る場面は、ほとんど考えにくいはずです。
むしろ、更新の登録をしたあとに番号や年月日を書き換え忘れることのほうに気をつけてください。
Q. 元請けに、直接の依頼を受けていることが知られたら困りませんか?
元請けから回ってきたお客様に、自社から直接営業をかけるのは避けるべきです。
元請けとの信頼関係を壊し、契約の上でも問題になることがあります。
自社のサイトで新しく見つけてくれたお客様と、元請けのお客様をはっきり分けて扱えば、関係を壊さずに直接の依頼を増やせます。
Q. 一人親方で、サイトに書けることが少ない気がします
一人親方は、家に来る人と電話に出る人と工事する人が同じだという点が、そのまま強みになります。
代表の顔写真と資格と登録番号を載せれば、依頼する人が確かめたいことの大半は答えられます。
あとは、これまで現場で受けてきた質問を、小さな工事のページに1つずつ書いていけば十分です。
現場に出ている間は電話に出られないことも多いので、折り返しの目安の時間をサイトに書いておくと、依頼する人は待てるようになります。
人数が少ないことを隠す必要はありません。
毎回同じ人が来てくれるという安心は、一人親方にしか出せないものです。
Q. 仲介サイトはやめたほうがいいですか?
やめる必要はありません。
仲介サイトから来たお客様に自社のサイトを見てもらい、次の依頼は直接もらえるように、工事の記録の紙や連絡先のシールを使います。
仲介サイトを入口として使いつつ、お客様との関係は自社に残していく形です。
仲介サイトのプロフィール欄にも、登録番号と主任電気工事士の名前を書いておくと、比べられたときの判断材料になります。
直接の依頼が増えてきたら、仲介サイトに割く時間を少しずつ減らしていけば十分です。
まとめ
元請けに頼る経営から抜け出すときに足りなくなるのは、元請けの看板が代わりに引き受けていた「この業者で大丈夫か」という確認です。
電気工事の会社には、その確認に答える材料が、登録番号や主任電気工事士の名前という形で最初からそろっています。
電気工事業法の第25条は、それを標識として営業所と施工場所に掲げるよう定めています。
経済産業省と都道府県は、同じ内容をホームページ等にも載せるよう協力を求めています。
直接の依頼を増やす最初の一歩は、この材料をサイトの上でお客様の目に入る場所へ移すことです。
そのうえで、サイトの主役をお客様の困りごとに移し、小さな工事のページを1つずつ増やしていきます。
元請けの仕事は、受け皿ができるまで続けて構いません。
国土交通省の調べでは、電気工事業の許可業者は2025年3月末で65,497業者まで増えています。
同じ地域で比べられる会社が増えている今だからこそ、依頼する人が確かめたいことに先回りして答えている会社が選ばれます。
今日できる点検
最後に、今日のうちに自社のサイトで確かめられることを表にまとめます。
| 点検する場所 | 確かめること | 足りなかったときにすること |
|---|---|---|
| 会社概要 | 登録番号、登録年月日、主任電気工事士の名前があるか | 標識と同じ項目をそろえて書き足す |
| サイトの一番下 | どのページにも登録番号と会社名が1行で入っているか | 共通の一番下の部分に1行を加える |
| 代表の紹介 | 顔写真と名前、持っている資格が載っているか | 作業着のままの写真で載せる |
| 対応できる工事 | 「電気工事全般」とだけ書いていないか | 依頼の多い困りごとを1つ選び、1ページ作る |
| 費用の説明 | 何によって費用が変わるかが書いてあるか | 距離や配線の通し方など、変わる要素を書く |
| 地図の会社情報 | 会社名、住所、電話番号がサイトとそろっているか | 書き方を1つに統一する |
| 相談の窓口 | 写真を送って相談できる窓口があるか | 電話番号の近くに窓口を用意する |
点検してみて、どこから手をつければいいか迷ったときは、会社概要から始めてください。
会社概要は、どの入口から来たお客様も、最後に「この会社で大丈夫か」を確かめに来る場所だからです。
今日の現場から戻ったら、自社の標識を1枚写真に撮って、その中身を会社概要に書き写してみてください。
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