ホームページはあるのに問い合わせが増えない。広告を出しても、来た人がすぐ帰ってしまう。そんなときに「ランディングページを作ったほうがいい」と言われて、言葉だけが宙に浮いたまま残っている経営者や担当者は少なくありません。名前は聞いたことがあっても、普通のホームページと何が違うのか、自社に本当に必要なのかは、はっきりしないままになりがちです。ウェブに詳しい人ほど当たり前のように使う言葉なので、いまさら聞き返しにくい、という事情もあります。
この記事は、ランディングページという言葉を暗記するための解説にはしません。狙うのは、読み終えたときに「うちにこのページが要るのか、要らないのか」を自分で1つ判断できる状態です。定義を並べて終わる解説はすでに世の中にたくさんあります。ここではその一歩先、つまり作る前に決めておくべき判断基準まで踏み込みます。用語の理解と、自社への当てはめを、同じ記事の中で地続きにしておきたいからです。
結論を先に置きます。ランディングページとは、1ページの中で読み手の次の行動を1つに絞り込むために設計された縦長のページのことです。この「1つに絞る」という設計思想が、普通のホームページとの一番大きな違いであり、成果が出るかどうかの分かれ目にもなります。ここを外すと、どれだけ見た目を整えても数字は動きません。逆に言えば、この一点さえ押さえれば、細かい作り込みは後からいくらでも直せます。
この記事は、ウェブの専門家に向けたものにはしていません。自社のサイトを何とかしたいと考えている経営者や、制作会社とのやり取りを任された担当者に向けて書いています。専門用語はできるだけかみ砕き、判断に必要なところだけを残しました。読み終えたときに、社内で自分の言葉で説明できる状態になっていれば十分です。
ランディングページとは1ページで次の行動を1つに絞る設計のこと
ランディングページは、略してLPと呼ばれます。もともとは「訪問者が着地(ランディング)する最初のページ」という意味の言葉でした。検索結果や広告をクリックした人が、そのサイトで一番最初に開くページのことです。飛行機が滑走路に降り立つイメージから来た言葉で、来た人が最初に足を着ける場所、と考えると腑に落ちます。ところが実務では、この言葉は2つの意味で使われています。ここを整理しておかないと、話し相手と自分が別のものを指したまま会話が進んでしまいます。
実際、制作会社との打ち合わせでこのすれ違いが起きると、見積もりの前提から食い違います。片方は1枚のページを想定し、もう片方はサイト全体の入口の改善を想定している、ということが起こります。言葉の意味を最初にそろえておくだけで、後の手戻りを避けられます。
広義の意味と狭義の意味
広義のほうは、訪問者が最初に着地したページ全般を指します。トップページでも、商品説明のページでも、ブログ記事でも、その人が最初に開けば、それがその人にとっての着地ページです。Google が提供するアクセス解析の画面に「ランディングページ」という項目が出てきますが、あれはこの広義の意味で、どのページから訪問が始まったかを示しています。
狭義のほうは、特定の商品やサービスについて、購入や申し込みといった1つの行動を起こしてもらうために作り込まれた、縦に長い1枚のページを指します。広告の受け皿として使われることがほとんどで、世間で「LPを作る」と言うときは、この狭義の意味だと思って間違いありません。この記事でも、以降はこの狭義のほうを中心に説明します。
この2つは、同じ名前でありながら、指しているものの範囲がまるで違います。会議で片方が広義のつもりで話し、もう片方が狭義のつもりで聞いていると、話がかみ合わないまま予算の話まで進んでしまう、ということが実際に起きます。まずは「同じ言葉に2つの意味がある」と知っておくだけで、そうしたすれ違いを避けられます。
見分け方をもう1つ添えておきます。数を数えている文脈なら広義、1枚を作る文脈なら狭義です。アクセス解析で着地したページの一覧を見ているなら前者、あの商品用のページを作ろうと言っているなら後者になります。この記事の残りでは、後者だけを扱います。
この記事で扱うのは行動を促す1枚のページ
広義と狭義のどちらの意味で使われているかは、文脈で見分けられます。アクセス解析やサイト全体の流入の話をしているときは広義、広告やコンバージョンの話をしているときは狭義だと考えて、ほぼ間違いありません。社内で「LPを作ろう」という話が出たら、それは縦長の1枚ページのことだと受け取ってください。
狭義のこのページには、はっきりした役割があります。訪れた人を、あらかじめ決めた1つの行動へ運ぶことです。その行動は、商品の購入かもしれませんし、資料請求や問い合わせ、予約、登録の場合もあります。どれであっても、1ページの中で完結させ、途中でよそへ逃がさないという点は共通しています。この役割の明確さが、後の判断の土台になります。
役割が1つに定まっていると、迷ったときに立ち返る場所ができます。ある要素を載せるかどうか悩んだら、それが決めた行動を後押しするかどうかで判断できます。後押しするなら残し、関係が薄いなら外す。この単純な物差しが、制作の途中で何度も効いてきます。
1ページ完結が意味すること
「1ページで完結する」というのは、単にページ数が1枚だという話にとどまりません。読み手が知りたいこと、迷うこと、不安に思うことへの答えを、上から下へ読むだけで順番にすべて渡し切る、という設計を指します。別のページへ飛ばして調べさせる前提を、最初から捨てているわけです。読み手にとっては、目の前の1枚を読み終えれば、判断に必要な材料がそろいます。
たとえば、ある健康食品を売る1枚を思い浮かべてください。その食品が何に効くのか、どんな成分か、どう使うのか、いくらか、いつ届くのか、合わなかったらどうなるのか。これらが1枚の中で順番に出てくれば、読み手は他のページを探しに行かずに決められます。逆に「詳しくは会社概要をご覧ください」と別ページへ飛ばした瞬間、ほとんどの人は戻ってきません。
この違いは、後で詳しく見るホームページとの比較で、より鮮明になります。まずは「ランディングページ=行動を1つに絞った1枚完結のページ」という骨格だけ、頭の真ん中に置いておいてください。この骨格さえ握っておけば、細かい構成の話も判断の話も、すべてここにぶら下げて理解できます。
逆に、この骨格を持たずに事例をたくさん見ても、知識が散らかるだけで判断にはつながりません。世の中には見栄えのするページがあふれていますが、それをまねる前に、なぜその形になっているのかを骨格から理解しておくほうが、応用が効きます。形をまねるより、目的から入るという順番を守ってください。
| 呼び方 | 指しているもの | 使われる場面 |
|---|---|---|
| 広義の着地ページ | 訪問者が最初に開いたページ全般 | アクセス解析・流入分析 |
| 狭義のLP | 行動を1つに絞った縦長の1枚 | 広告の受け皿・商品訴求 |
| この記事での「LP」 | 狭義のランディングページ | 作るか作らないかの判断 |
普通のホームページとの違いを設計思想から見る
ランディングページを理解する一番の近道は、普通のホームページと並べて、設計の考え方の違いを見ることです。見た目や作り方の違いから入ると枝葉に迷い込みますが、設計思想から入ると、なぜ違う形になるのかが根っこからつながります。両者は、そもそも読み手にしてほしいことが違うため、形が違ってきます。形の違いは結果であって、原因は目的の違いにあります。
この順番を押さえておくと、他人のページを見たときの目が変わります。派手なデザインや凝った動きに目を奪われず、まずこのページは読み手に何を1つさせたいのかを探すようになります。目的が見えれば、なぜその要素がそこに置かれているのかが読み解けます。デザインは、目的を叶えるための手段として後からついてきます。
ホームページは回遊、ランディングページは一本道
ホームページは、複数のページが網の目のようにつながった構造をしています。トップページから会社概要へ、商品一覧へ、採用情報へと、訪れた人が自分の関心に合わせてあちこちを行き来します。この「行き来できること」が、ホームページの価値です。会社という存在を多面的に見せ、それぞれの人が知りたい場所へたどり着けるようにしてあります。
言い換えると、ホームページは案内所の役割を担っています。来た人がどこへ行きたいかを受け止め、その場所を指し示す。会社の顔として、幅広い相手に長く付き合ってもらうための土台です。だからこそ、特定の行動を強く迫る作りにはなっていません。この性格の違いが、そのまま次の話につながります。
その土台があるからこそ、そこに広告用の1枚を足すという発想が生きてきます。案内所と、目的の一室。両方がそろって、はじめて訪れた人を目的地まで届けられます。どちらか片方だけで戦おうとすると、案内は得意でも決めさせるのが弱い、その逆でとっつきにくい、という偏りが出てしまいます。
LPは、その正反対の発想で作られています。入口から出口まで一本道で、脇道を作りません。読み手は上から下へ読み進むだけで、途中に別ページへのリンクや逃げ道を置きません。回遊させないことが、そのまま設計の目的になっています。読み手が寄り道して迷子になる前に、決めた場所まで運び切ってしまおう、という考え方です。この構造の違いを、下の図で見てみます。
図の左側がホームページです。ページとページが矢印でつながり、読み手は好きな順番で移動します。右側がランディングページです。つかみから始まり、悩みへの共感、解決策、証拠と縦に読み進み、最後に金色で示した1つの行動へたどり着きます。同じ「ウェブのページ」でも、読み手をどう動かすかの設計が根本から違うことが見て取れます。左は面で見せ、右は線で運ぶ、と言い換えてもよいでしょう。
この図で覚えておいてほしいのは、右側の縦一列に脇道が1本もないことです。読み手はスクロールするだけで、作り手が用意した順番どおりに情報を受け取ります。途中に他のページへのリンクを置くと、この一本道に穴を空けることになります。図の形が、そのまま設計のルールを表しています。
出口の数が違う
ホームページには出口がたくさんあります。問い合わせフォーム、電話番号、資料請求、採用応募、SNSへのリンク。訪れた人がどんな目的で来ても受け止められるように、複数の出口を用意しておくのが普通です。これは親切な設計ですが、裏を返すと、一人ひとりをどこか1つの出口へ強く導く力は弱くなります。選べる道が増えるほど、どれも選ばれにくくなるからです。
LPは、出口を1つに絞ります。購入なら購入、問い合わせなら問い合わせ、その1つ以外のボタンを基本的に置きません。読み手が迷う余地を消し、視線と気持ちをそこへ集めるためです。出口を1つにするからこそ、そこへ向かう文章と証拠をページ全体で積み上げられます。この一点集中が、成果の出やすさに直結します。
出口を1つにすると決めても、実際の制作では細かい出口が残りがちです。ページ上部のメニュー、企業ロゴのリンク、フッターの各種案内。これらはすべて、読み手を決めた行動から連れ出す穴になります。1枚の中にいくつ出口が残っているかを、指さしで数えてみると、思ったより多いことに気づきます。
飲食店にたとえると分かりやすいかもしれません。ホームページは、前菜から甘味まで何でもそろう総合メニューの店です。LPは、その日の一品だけを出す店です。前者は幅広い客の好みに応え、後者は「その一品を食べに来た客」を確実に満足させます。どちらが優れているという話にはなりません。来る客と目的が違うだけです。
この違いを社内で共有できていないと、1枚のページにまで会社の全メニューを載せたくなります。せっかく一品に絞った店に、他の全料理の写真を貼るようなものです。載せるほど、肝心の一品の魅力がぼやけます。何を出す店なのかを決めたら、それ以外はきっぱり下げる。この割り切りが要ります。
訪問者の状態が違う
もう1つ見落とされやすい違いが、訪れる人の状態です。ホームページには、会社名で検索してきた人、たまたま記事にたどり着いた人、取引先の担当者など、目的も温度もばらばらな人が集まります。だからこそ、幅広く受け止める構造が向いています。誰が来ても、その人の行きたい場所へ案内できる点が強みです。
LPに来る人は、たいていは特定の広告や検索をきっかけに「この悩みを解決したい」という気持ちを持って着地します。関心の中身がそろっているので、そのテーマに一直線で答える1枚が刺さります。訪れる人の状態がそろっているかどうかで、向いている構造は変わってきます。相手がそろっているなら、全員に同じ順番で同じ話を届ける1枚が効きます。
反対に、来る人の悩みがそろっていないのにこの形を使うと、うまくいきません。ある人に刺さる話が、別の人には的外れになるからです。相手がばらばらなときは、まず入口の広告や検索の側で、悩みごとに人を分けておく必要があります。そろえてから1枚に流す、この前さばきが効きめを決めます。
| 比べる観点 | ホームページ | ランディングページ |
|---|---|---|
| ページ数 | 複数ページで構成 | 1ページで完結 |
| 読み手の動き | 好きな順に回遊する | 上から下へ一本道で読む |
| 出口の数 | 複数(幅広く受け止める) | 1つに絞る |
| 主な目的 | 会社の情報を伝える | 1つの行動を起こしてもらう |
| 訪れる人の状態 | 目的も温度もばらばら | 関心がそろっている |
| 集客の仕方 | 検索からの自然な流入が中心 | 広告やSNSで送り込む |
ランディングページが行動を1つに絞るとはどういうことか
ここまでで何度も出てきた「行動を1つに絞る」という言葉を、もう少し具体的にほどきます。これがこの形の心臓部であり、うまくいくページといかないページの差が、ほとんどここで決まるからです。抽象的なまま流すと、結局は普通のページと同じ作り方に戻ってしまいます。逆にここが腹落ちすれば、以降の判断はぐっと楽になります。
ここでつまずく人の多くは、絞ることを機会を捨てることだと感じています。あれもこれも売れるかもしれないのに、1つに絞るのはもったいない、と。その感覚は自然なものですが、1枚のページで欲張ると、結局どれも売れません。絞るのは、1つを確実に届けるための集中だと考えてください。
行動を1つに絞ると読み手に何が起きるか
人は、選択肢が多いほど選べなくなります。ページを開いた瞬間に、資料請求のボタン、購入のボタン、SNSのアイコン、他の商品への案内が同時に目に入ると、頭の中で優先順位を付ける負荷がかかり、その負荷に耐えられずに離れてしまいます。行動を1つに絞ると、この負荷が消えます。読み手は「何をすればいいか」を考えずに済み、内容を読むことだけに集中できます。
選択肢を減らすと選ばれやすくなる、という傾向は、日常の買い物でも感じるところです。品ぞろえが多すぎる棚の前で、結局何も買わずに立ち去った経験は誰にでもあります。ページの上でも同じことが起きています。読み手に考えさせる回数を1回に減らすことが、行動までの距離を縮めます。
読み手がやることが1つだけなら、ページは「その1つをやる理由」と「やらない不安を消す材料」だけに集中できます。文章も、写真も、ボタンの位置も、すべてがその行動へ向かって整列します。読み手から見れば、迷う場所がなく、気持ちよく最後までたどり着けるページになります。作り手にとっても、何を書くべきかの判断が単純になり、迷いが減ります。
この単純さは、制作を外に頼むときにも効いてきます。ゴールが1つに決まっていれば、頼む相手にもこの行動を取らせたいと一言で伝えられます。指示が明確なほど、上がってくるものも狙いに近づきます。作り手の側の迷いは、たいてい発注する側の迷いがそのまま映ったものです。
絞れないページで起きること
現場でよく聞くのが「広告費をかけたのに、問い合わせが1件も増えないまま終わってしまった」という声です。ページを見せてもらうと、たいてい原因は同じで、1枚の中に伝えたいことと出口を詰め込みすぎています。会社の歴史も、全商品も、採用情報も、SNSも載っていて、結局どこを押せばいいのか読み手に伝わっていません。
作り手の側には「せっかくだから全部伝えたい」という気持ちがあります。その気持ちは自然なものですが、この形では逆に働きます。伝える量を増やすほど、1つの行動に向かう力は薄まっていきます。絞るという作業の中身は、何を載せるかと同じくらい、何を載せないかを決めることにあります。引き算のほうが難しく、そして効きます。
もう1つよく聞くのが「情報を減らすと不親切に見えないか」という不安です。この不安は、回遊型のホームページの感覚を持ち込んでいることから来ます。LPでは、決めた行動に関係しない情報は、読み手の判断をむしろ邪魔します。載せないことは、むしろ読み手の時間を守る配慮になります。ここで発想を切り替えられるかが、最初の関門です。
ゴールを言葉にしてから作る
行動を1つに絞るための最初の一手は、そのページのゴールを一文で言い切ることです。「この商品を1つ買ってもらう」「無料相談を1件予約してもらう」「資料を1件ダウンロードしてもらう」というように、主語と動作をはっきりさせます。ここが曖昧なままだと、ページ全体もぼやけます。
ゴールが1つに決まると、載せるべき情報とボタンが自動的に決まります。逆に言えば、ゴールを1つに決められないうちは、まだ作り始めるべきではありません。「あれもこれも達成したい」という状態は、そのまま「どれも達成できないページ」への入口になります。まずゴールを言葉にする、この順番を崩さないでください。設計図のない家を建て始めないのと同じことです。
ゴールを一文で書けたら、それを紙に大きく書いて、制作中ずっと見える場所に貼っておくとよいでしょう。作っているうちに、あれも載せたい、これも伝えたいという気持ちが必ず湧いてきます。そのたびにこの一文へ立ち返り、関係のないものを足そうとしていないかを確かめます。一文が、迷ったときの錨の役割をはたします。
ランディングページの基本構成と読む順番
LPは、読み手が上から下へ読むだけで気持ちが動くように、順番が決まっています。決まった型が1つあるわけではありませんが、成果を出しているページは、おおむね同じ流れをたどります。ここでは代表的な流れを、読み手の心の動きに沿って見ていきます。順番には意味があり、入れ替えると効きが落ちます。
この順番は、対面での商談の流れと同じだと考えると腑に落ちます。会って早々に値段の話はしませんし、相手の困りごとを聞く前に商品の説明も始めません。相手の状況を確かめ、共感し、解決策を示し、証拠で安心させ、最後に一歩を促す。優れた営業担当が自然にやっていることを、1枚のページの上に並べたものです。
ファーストビューで関心をつかむ
ファーストビューは、ページを開いて最初に目に入る、スクロールする前の画面のことです。ここで「これは自分に関係がある」と思ってもらえないと、その先は読まれません。広告や検索から来た人が抱いている悩みや期待に、真正面から言葉で応える場所です。かっこいいキャッチコピーよりも、読み手の状況を言い当てる一言が効きます。
ファーストビューで大事なのは、来た人の期待とページの中身が一致していることです。ある広告をクリックした人が着地したとき、広告で見た言葉とファーストビューの言葉が食い違っていると、その瞬間に「思っていたのと違う」と感じて離れます。入口の言葉をそろえるだけで、離脱はかなり減ります。ここは最も効果が大きく、しかも手を入れやすい場所です。
ファーストビューを考えるときは、読み手がその画面を見るのは数秒だと想定してください。その数秒で自分ごとだと感じてもらえなければ、どれだけ下に良いことを書いても読まれません。凝った表現より、読み手が心の中で使っている言葉をそのまま置くほうが届きます。飾る前に、当てることを優先します。
共感と問題提起で読み進めてもらう
関心をつかんだ次は、読み手が抱えている問題を、作り手の側が正確に言葉にして見せます。「こういうことで困っていませんか」と読み手の状況を描写し、「その困りごとには、こういう背景があります」と一段掘り下げます。ここで読み手は「この会社は自分のことを分かっている」と感じ、その先を読み進める姿勢に変わります。
問題提起は、不安をあおるための道具にしないでください。あおって動かした人は、あおりが消えた瞬間に離れます。困りごとを正確に描き、その先に解決があると静かに示す。この落ち着いた流れのほうが、最終的な行動にはつながりやすくなります。読み手の警戒心を上げてしまうと、その後どんな良い話をしても届かなくなります。
共感のパートで気をつけたいのは、読み手を下に見ないことです。こんな失敗をしていませんかと上から指摘する調子になると、読み手は身構えます。同じ立場で困りごとを言葉にし、それはこういう理由で起きますと静かに背景を示す。この距離感が、続きを読んでもらえるかどうかを左右します。
解決策と証拠で信頼を積む
問題を共有したら、その解決策として自社の商品やサービスを差し出します。ここで大事なのは、機能の羅列にしないことです。読み手が知りたいのは「その機能で自分の何が変わるのか」です。機能を、読み手の生活や仕事の変化に翻訳して伝えます。数字が速くなる機能なら「毎朝の集計が10分で終わる」といった変化の姿にして見せます。
解決策を出したら、それが本当だと示す証拠を添えます。利用した人の具体的な声、導入前と後の変化、実際の数字。証拠が具体的であるほど、読み手の「本当だろうか」という疑いは薄れます。抽象的な自慢は逆効果になりやすく、具体的な事実だけが信頼を積み上げます。証拠の質が、ページの説得力の天井を決めます。
証拠を集めるときは、数字と言葉の両方をそろえると強くなります。数字はどれくらいを示し、利用した人の言葉はどんなふうにを伝えます。数字だけでは冷たく、言葉だけでは頼りない。実際に使った人が、自分の言葉で変化を語っている一言は、どんな宣伝文句より読み手の心を動かします。
行動喚起で背中を押す
ページの最後は、決めておいた1つの行動へ誘う場所です。ボタンの文言は「送信する」のような事務的な言葉より、「無料で相談してみる」のように、押した先に何が起きるかが分かる言葉のほうが押されます。ボタンの直前には、行動をためらわせている不安を消す一言を添えます。「その場で契約を迫られないか」「しつこく営業されないか」という心配に、先回りして答えておきます。
ボタンは、色や大きさよりも、その手前に置く一言で押されやすさが変わります。まだ決めきれないという気持ちには、まずは話を聞くだけでかまいませんと答える。面倒そうという気持ちには、入力は1分で終わりますと答える。読み手がボタンの上で一瞬ためらう、その理由を先に消しておくことが要点です。
| 構成の順番 | 読み手の心の動き | ここでやること |
|---|---|---|
| ファーストビュー | 自分に関係あると気づく | 悩みを言い当てる一言を置く |
| 共感と問題提起 | 分かってくれていると感じる | 困りごとを正確に描く |
| 解決策 | 自分の何が変わるか見える | 機能を変化に翻訳する |
| 証拠 | 本当だと納得する | 具体的な声と数字を出す |
| 行動喚起 | やってみようと決める | 不安を消して1つの行動へ誘う |
ランディングページで達成できるゴールの種類
LPのゴールは、購入だけではありません。1ページで1つの行動を促すという骨格さえ守れば、目指せるゴールはいくつかあります。自社が何を1つのゴールにするかで、ページの中身も、集客のかけ方も変わってきます。ここを取り違えると、商材に合わない重い行動を求めてしまい、成果が伸びません。
ゴールの重さは、読み手がその場で払える心理的なコストで考えます。高額の買い物を初対面で即決するのは重く、無料の資料を1つ受け取るのは軽い。自社の商材で、読み手がその場でどこまで踏み込めるかを見立て、それに見合ったゴールを選びます。重すぎれば動かず、軽すぎれば商談につながりません。
商品の購入や申し込み
もっとも分かりやすいのが、商品やサービスをその場で購入・申し込みしてもらうゴールです。金額が明確で、読み手がその場で決められる商材に向いています。ページの中で価格、内容、届くまでの流れ、返品や解約の条件まで示し切り、決済まで一気に進んでもらいます。
商品を売り切る1枚では、表示の正確さも成果を左右します。特定商取引法の定めによれば、通信販売では事業者の情報や返品に関する条件などを、あらかじめ読み手に示しておく必要があります。これを省くと信頼を損ねるだけでなく、後々のトラブルの種にもなります。売る気持ちが強いページほど、ここを丁寧に整えておくことが結局は近道になります。
資料請求や問い合わせ
金額が大きかったり、社内で検討が必要だったりする商材では、その場での購入は起きにくくなります。そうした場合は、資料請求や問い合わせを1つのゴールに置きます。読み手にとって心理的な負担が軽い行動をゴールにすることで、まず接点を作り、その後のやり取りで関係を深めていきます。いきなり結婚を申し込む前に、まず一度会う約束を取る、という発想です。
予約や登録
相談の予約、無料体験の申し込み、メールでの情報受け取りの登録なども、LPのゴールになります。特にサービス業や、継続的な関係を前提とする商材では、いきなり契約を迫るより、まず一歩踏み込んでもらう行動をゴールにするほうが自然です。ゴールが軽いほど、読み手は動きやすくなります。軽い一歩を踏み出してもらい、その体験の満足を次につなげる、という流れです。
| ゴールの種類 | 向いている場面 | 読み手の負担 |
|---|---|---|
| 購入・申し込み | 金額が明確でその場で決められる | やや重い |
| 資料請求 | 社内で検討が必要な商材 | 軽い |
| 問い合わせ | 個別の相談が前提の商材 | 中くらい |
| 予約・体験 | サービス業や対面が絡む商材 | 中くらい |
| 登録 | 継続的な関係を作りたいとき | 軽い |
ランディングページのメリット
LPには、普通のページにはない強みがあります。1ページに絞り、行動を1つに絞るという設計から、自然と生まれてくる利点です。ここを理解しておくと、どういう場面でこの形が効くのかが見えてきます。強みは、そのまま「向いている場面」を教えてくれます。
離脱が減り成果につながりやすい
脇道がなく、出口が1つなので、読み手は迷わずゴールまで進めます。途中で別のページへ飛んで戻ってこない、という取りこぼしが起きにくくなります。関心を持って着地した人を、その熱が冷めないうちに行動まで運べる。これがこの形の一番の強みです。広告でお金をかけて連れてきた人を、無駄なく受け止められるという意味でもあります。
訴求の順番を作り手が固定できる
回遊できるホームページでは、読み手がどの順番で情報に触れるかを作り手が決められません。LPは一本道なので、何を最初に見せ、次に何を見せ、最後に何を見せるかを完全に設計できます。読み手の気持ちが動く順番に情報を並べられるので、説得の流れを組み立てやすくなります。営業担当が対面で話す順番を、そのままページに落とし込めると考えると分かりやすいでしょう。
効果測定と改善がしやすい
ゴールが1つに絞られていると、成果を測る指標もはっきりします。何人が来て、何人がゴールにたどり着いたか。この割合を見れば、ページが効いているかどうかが一目で分かります。ファーストビューの言葉を変える、証拠の見せ方を変えるといった改善を1つずつ試し、数字の変化で良しあしを判断できます。この回しやすさは、複数ページに散らばったホームページでは得にくいものです。
改善のしやすさは、時間がたつほど効いてきます。最初は平凡だったページも、数字を見て小さな手直しを重ねると、少しずつ成果が上がっていきます。1枚に絞られているからこそ、どこを直せば何が変わるかがはっきり見えます。育てていける資産だという点が、この形のもう1つの強みです。
ランディングページのデメリットと向かない場合
強みがある一方で、LPには弱点もあります。ここを知らずに作ると「作ったのに成果が出ない」という結果になりかねません。向いている場面と向かない場面を、あらかじめ見分けておくことが大切です。弱点は、たいてい強みの裏返しとして現れます。
作るのに手間と設計がかかる
1ページで読み手を動かすには、悩みの理解、言葉選び、証拠の準備、構成の組み立てまで、それなりの手間がかかります。テンプレートに文字を流し込めば完成するものではありません。むしろ、ページ数が少ないぶん、1枚に込める設計の密度は普通のページより高くなります。短い文章ほど推敲に時間がかかるのと、事情はよく似ています。
集客は別に用意する必要がある
LPは、それ自体では人を連れてきません。検索からの流入を集める作りにはなっていないため、広告やSNS、メールなど、人を運んでくる入口を別に用意する前提です。ページだけ立派に作っても、そこへ人を送る手段がなければ、誰にも読まれずに終わります。ここを見落とすと「作ったのに反応がない」という事態になります。ページは受け皿であって、水道の蛇口は別に必要だ、と考えてください。
集客の入口には、広告のように費用をかけて即座に人を送る方法と、発信を積み重ねて少しずつ人を集める方法があります。すぐに数を試したいなら前者、時間をかけて土台を作るなら後者が向いています。自社がどちらの入口を持てるかによって、そもそもこの形が使えるかどうかも変わってきます。
じっくり情報を探しに来た人には向かない
会社全体を調べたい人、複数の商品を比べたい人、採用情報を見たい人にとっては、1つの行動しか用意していないLPは不親切です。そういう人には、回遊できるホームページのほうが合っています。読み手が「調べに来ている」のか「行動しに来ている」のかで、必要なページは変わります。すべてをLPで置き換えようとすると、この取りこぼしが起きます。
| 観点 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 成果 | 離脱が減り行動につながりやすい | 集客を別に用意しないと読まれない |
| 設計 | 訴求の順番を固定できる | 1枚に込める手間が大きい |
| 改善 | 効果測定がしやすい | 作って放置すると効果が落ちる |
| 読み手 | 行動しに来た人に強い | 調べに来た人には不向き |
自社にランディングページが要るか要らないかを判断する
ここがこの記事の本題です。この形が何かを知っても、自社に要るかどうかが決まらなければ、判断は先に進みません。定義で終わらず、ここで自分の会社に当てはめてください。判断は、いくつかの問いに答えるだけで、高い精度で決まります。難しい理屈は要らず、素直に自社の現状を照らせば答えは出ます。
ここから先の判断で大事なのは、正直に答えることです。要ると言ってほしい気持ちや、流行っているから作りたい気持ちが混じると、答えがゆがみます。自社の現状を、見たいように見ず、そのまま見ます。厳しい答えが出たとしても、それは早く手を打てるという意味で、むしろ良い知らせです。
要るかどうかを分ける3つの問い
1つ目の問いは、読み手にしてほしい行動が、はっきり1つに決まっているかです。「まず知ってもらいたい」「幅広く見てほしい」という段階なら、この形は早すぎます。「この行動を取ってほしい」と一文で言えるなら、条件を満たします。ここが決まらないうちは、どんな名人が作っても成果は出ません。
2つ目の問いは、その行動を取ってほしい相手の悩みが、そろっているかです。広告や特定の検索から、同じ悩みを持った人を連れてこられるなら、1枚で一直線に答えるページが効きます。相手の悩みがばらばらなら、1枚では受け止めきれません。誰に向けて話すかが定まっているか、と言い換えてもよいでしょう。
3つ目の問いは、そのページへ人を送る入口を用意できるかです。広告の予算、SNSの発信、メールの配信先など、人を運ぶ手段があるかどうかです。入口の当てがまったくないなら、先にそちらを整えるほうが順番として正しくなります。器を作る前に、そこへ注ぐ水の出どころを確かめておく、ということです。
3つの問いのうち、1つでも自信を持って肯定できないものがあれば、いったん立ち止まる価値があります。すべてに肯定で答えられて初めて、この形が力を発揮する土台が整います。逆に、3つとも肯定できるなら、迷わず前に進んでよい状態です。問いは、背中を押すためにも、引き止めるためにも使えます。
要る場合の典型
特定の商品やサービスを、広告を使って売りたい会社は、LPが要る典型です。広告で連れてきた人を受け止め、その場で行動まで運ぶ受け皿が要るからです。単発のキャンペーンや、期間限定の申し込みを取りたいときも、専用の1枚を用意する価値があります。広告の費用を無駄にしないための投資、という位置づけになります。
もう1つの典型は、ホームページはあるのに問い合わせが伸びない会社です。トップページに情報を詰め込みすぎて、来た人がどこを押せばいいか分からなくなっている場合、行動を1つに絞った受け皿を別に作ると、数字が動くことがあります。既存のホームページを壊さずに、行動を取らせるための1枚だけを足す、という使い方です。
この使い方は、大がかりな作り直しを避けたい会社に向いています。サイト全体を組み直すのは費用も時間もかかりますが、1枚を足すだけなら小さく始められます。その1枚で手応えを確かめてから、必要ならサイト全体へ広げていく。小さく試して、効いたものを広げるという進め方が、失敗を小さく抑えます。
要らない場合の典型
逆に、まだ何を1つのゴールにするかが決まっていない会社は、いま作るべきではありません。作っても、絞れないまま普通のページと同じものになります。人を送る入口の当てがまったくない場合も、先にそちらが必要です。会社全体を知ってもらう段階の会社も、まずはホームページを整えるほうが先になります。焦って1枚を作る前に、土台がそろっているかを確かめてください。
要らないと判断できたことも、立派な成果です。作らずに済んだ費用と時間を、いま本当に必要なことへ回せます。会社を知ってもらう段階なら、ホームページの中身を整えることや、そもそもの商品の見せ方を練り直すことのほうが、先に効きます。順番を守ることが、遠回りに見えて一番の近道になります。
| 判断の問い | 要る(作る) | 要らない(今は待つ) |
|---|---|---|
| 行動が1つに決まっているか | 一文で言い切れる | まだ絞れていない |
| 相手の悩みがそろっているか | 同じ悩みの人を連れてこられる | 目的がばらばらな人が来る |
| 人を送る入口があるか | 広告やSNSの当てがある | 入口の当てがない |
| 会社の段階 | 特定の商品を売りたい | まず会社を知ってほしい |
ランディングページを作る前に決めておくこと
要ると判断できたら、次は作る前の準備です。ここを飛ばして制作に入ると、途中で手が止まったり、できあがってから作り直しになったりします。作る前に紙の上で決めておくべきことを、順番に挙げます。この準備の紙は、そのまま制作を頼むときの指示書にもなります。
紙の上で決めると聞くと面倒に感じるかもしれませんが、ここにかける時間は後で何倍にもなって返ってきます。準備が甘いまま制作に入ると、途中で方針が揺れ、作り直しが増えます。先に4つを決めておけば、制作は組み立て作業になり、迷いが消えます。急がば回れが、そのまま当てはまる場面です。
誰のどの悩みに答えるかを1つに決める
LPは、全員に向けて書くと誰にも刺さりません。連れてくる人がどんな悩みを持っているかを1つに絞り、その1人に向けて書きます。相手を具体的に思い描けるほど、言葉は具体的になり、読み手は「自分のことだ」と感じます。ここが曖昧だと、以降のすべてがぼやけます。年齢や職業だけでなく、その人がいま何に困って検索したのかまで想像しておきます。
取ってほしい行動を1つに決める
すでに何度も触れたとおり、ゴールは1つです。購入なのか、問い合わせなのか、予約なのか。1枚のページに複数のゴールを持たせたくなったら、それは2枚に分けるべきだという合図です。1つの行動に決め切ることが、ページ全体の背骨を通します。迷ったら、いま一番取りたい行動はどれか、と自問してください。
どこから人を連れてくるかを決める
ページを作る前に、そこへ誰をどう連れてくるかを決めておきます。広告から連れてくるなら、広告の言葉とファーストビューの言葉をそろえる必要があります。SNSやメールから連れてくるなら、その導線に合った入口の言葉を用意します。集客の入口を後回しにすると、ページだけが宙に浮きます。入口とページは、同じ設計図の中で一緒に考えるべきものです。
成功の基準を数字で決める
作る前に「何をもって成功とするか」を数字で決めておきます。何人来たら、何件のゴールが取れれば合格なのか。この基準がないと、できあがってから「効いているのかどうか分からない」という状態になります。基準を先に置くからこそ、後で冷静に良しあしを判断でき、次の改善につなげられます。合格ラインを決めておくことは、感情に流されずに判断するための備えでもあります。
| 決めること | 決め方 | 決めないと起きること |
|---|---|---|
| 誰のどの悩みか | 連れてくる1人に絞る | 言葉が誰にも刺さらない |
| 取ってほしい行動 | ゴールを1つに言い切る | ページの背骨が定まらない |
| 人を連れてくる入口 | 広告やSNSと言葉をそろえる | 作っても読まれない |
| 成功の基準 | 来訪数とゴール数で数字化 | 効果を判断できない |
ランディングページの成果を左右する要素
作ったLPが成果を出すかどうかは、いくつかの要素で決まります。細かいテクニックは無数にありますが、根っこの部分は限られています。ここを押さえておけば、細部で迷っても大きく外しません。逆に、根っこを外したまま細部をいじっても、数字はほとんど動きません。
細かいテクニックに手を出したくなるのは、そのほうが具体的で取り組みやすいからです。ボタンの色を変える、文字の大きさを変えるといった作業は、目に見えて進んだ気になります。ですが、根っこがずれていれば、その努力は小さな上下しか生みません。まず根っこを合わせ、細部はその後で詰めるという順番を守ります。
入口の言葉とファーストビューの一致
広告や検索で見た言葉と、着地したページの最初の言葉が食い違っていると、読み手は瞬時に離れます。逆に、この2つがぴたりとそろっていると、読み手は「たどり着いた」と感じて安心し、その先を読み進めます。成果を左右する要素の中で、これがもっとも効果が大きく、しかも直しやすい部分です。まずここを合わせるだけで、数字が変わることがあります。
証拠の具体性
読み手は、作り手の主張をそのままは信じません。信じる材料になるのが証拠です。利用した人の言葉、導入前と後の変化、実際の数字。証拠が具体的で、読み手が自分に重ねられるものであるほど、疑いは薄れます。抽象的な言葉をいくら重ねても、証拠1つの具体性には勝てません。同じ立場の人の声ほど、強く効きます。
集めた証拠は、載せる前に本人の許可を取ることも忘れないでください。利用した人の言葉や事例を使うときは、了解を得てから載せるのが筋です。勝手に載せると、信頼を得るはずの証拠が、逆に信頼を損なう火種になりかねません。手間に見えても、この一手間が、後々の安心と信用につながります。
フォームの手前にある摩擦
ゴールが問い合わせや申し込みの場合、最後に立ちはだかるのが入力フォームです。入力する項目が多い、何を書けばいいか分からない、この後どうなるか見えない。こうした小さな摩擦が積み重なると、あと一歩のところで読み手は手を止めます。フォームの項目を減らし、送信後の流れを一言添えるだけで、取りこぼしは減ります。せっかく最後まで読んだ人を、ここで逃がすのは惜しいことです。
入力してもらう項目は、後の対応に本当に要るものだけに絞ります。あれば便利という理由で項目を増やすと、そのぶん脱落が増えます。名前と連絡先だけで受け付け、詳しい話は後のやり取りで聞く、という割り切りも一つの手です。フォームは、読み手にとってのゴール直前の最後の坂道だと考えてください。
ランディングページの主な型
ひとくちにLPと言っても、目的によっていくつかの型があります。型を知っておくと、自社が作ろうとしているものがどれに当たるかを把握でき、参考にすべき事例も探しやすくなります。ここでは代表的な2つの型を挙げます。
売り切り型
売り切り型は、その場での購入や申し込みをゴールにする、もっとも一般的な型です。価格や内容、証拠、行動喚起まで1枚に詰め込み、読み終えた人がそのまま決済へ進めるようにします。健康食品や化粧品、通信講座など、金額がその場で判断できる商材でよく使われます。ページの縦は長くなりがちで、読み手が知りたい順に情報を積み上げていきます。
売り切り型では、価格を見せる場所と見せ方が悩みどころになります。早く見せすぎると、価値が伝わる前に高い安いだけで判断されます。価値を積み上げ、証拠で安心させたうえで価格を出すと、同じ金額でも受け取られ方が変わります。金額そのものより、金額を出す順番が効きます。
見込み客獲得型
見込み客獲得型は、その場での購入まで求めず、資料請求や問い合わせ、無料体験の予約をゴールにする型です。金額が大きい商材や、対面での相談が前提のサービスで使われます。読み手にいきなり大きな決断を求めず、軽い一歩を踏み出してもらい、その後の商談で関係を深めます。企業を相手にする商材では、この型が中心を占めます。
この型では、資料や無料相談そのものの魅力も、きちんと伝える必要があります。読み手にとっては、それも1つの決断だからです。資料を受け取ると何が分かるのか、相談で何が持ち帰れるのかを具体的に示すと、軽い一歩でも踏み出してもらいやすくなります。次の一歩の中身を、あいまいにしないことが要点です。
| 型 | ゴール | 向いている商材 |
|---|---|---|
| 売り切り型 | その場での購入・申し込み | 金額がその場で判断できる商品 |
| 見込み客獲得型 | 資料請求・問い合わせ・予約 | 高額な商材や相談前提のサービス |
ランディングページでよくある失敗
成果が出ないLPには、似た失敗が繰り返し現れます。ここを先に知っておけば、同じ落とし穴を避けられます。どれも設計思想を外したときに起きるもので、裏を返せば、思想さえ守れば大半は防げます。
出口を複数置いてしまう
一番多い失敗が、出口を絞り切れないことです。1つの行動に集中させるはずのページに、他の商品への案内やSNSへのリンクを置いてしまう。作り手は親切のつもりでも、読み手にとっては迷いのもとになり、肝心の行動から気がそれます。出口は1つ、この原則を守れているかを最初に点検してください。ヘッダーやフッターに紛れ込んだリンクも、立派な出口です。
点検のときは、作り手の目より、初めて見る人の目で確かめると効果的です。作り手は、どこを押してほしいかを知っているので、余計な出口が見えなくなっています。社内の別の人に、このページで何をすればいいと思うかを聞いてみる。迷わず1つを指させたら合格で、複数を挙げたら絞り込みが足りていません。
広告の言葉と中身がずれる
広告では大きな期待を持たせておいて、着地したページではその話が出てこない。この食い違いは、読み手を強く失望させます。広告で使った言葉は、必ずページの最初で受け止めます。連れてくる約束と、ページで果たす約束は、同じ言葉でそろえる必要があります。ここがずれていると、広告費をかけるほど失望した人を増やすことになります。
防ぐこつは、広告とページを別々の頭で作らないことです。広告の見出しを決めたら、その言葉をそのままファーストビューにも置く。この一致があるだけで、着地した瞬間の安心感がまるで変わってきます。広告担当とページ担当が分かれている会社ほど、ここが抜け落ちやすいので、間の一言をそろえておきます。
作って終わりにしてしまう
LPは、公開してからが本番です。数字を見て、どこで読み手がつまずいているかを確かめ、言葉や順番を直していく。この改善を回さずに作りっぱなしにすると、最初の設計が外れていた場合に、外れたまま人を取りこぼし続けます。作って終わりにしないことが、長い目で見た成果を分けます。最初の1枚が完璧である必要はなく、直せる前提で始めればよいのです。
公開してからの数週間は、特に丁寧に数字を見る時期です。この間に、思っていた読み手と実際の読み手のずれが見えてきます。想定した悩みと違う悩みで来ている、想定より前で離れている、といった発見が必ず出てきます。作る前の想定を、公開後の事実で上書きしていく作業が、ここから始まります。
作った後にどう改善していくか
公開したLPは、そこからが本当のスタートです。最初から完璧なページはありません。数字を見ながら、少しずつ良くしていく作業が、成果を大きく左右します。ここでは改善の基本的な進め方を押さえます。
1か所ずつ変えて数字を見る
改善のときにやりがちなのが、一度に何か所も変えてしまうことです。そうすると、数字が動いたときに、どの変更が効いたのかが分からなくなります。ファーストビューの言葉、証拠の見せ方、ボタンの文言など、変えるのは1か所ずつにします。地味に見えますが、原因と結果をつなげられるこの進め方が、結局は一番速く効きます。
読み手の動きを観察する
数字だけでなく、読み手が実際にどう動いているかを見ることも大切です。どこまで読んで離れているか、どのボタンにカーソルが近づいているか。こうした動きを見られる道具を使うと、数字の裏で何が起きているかが見えてきます。作り手の思い込みと、読み手の実際の動きが食い違っている場所こそ、改善の宝の山です。
読み手の動きを見る道具は、無料で使えるものもそろっています。特別な費用をかけなくても、どこまで読まれ、どこで離れているかは把握できます。大事なのは道具の高さより、その数字を毎週見て、1つでも手を打つ習慣です。見るだけで直さなければ、宝の山も埋まったまま終わります。
| 改善の進め方 | やること | 避けたいこと |
|---|---|---|
| 変える範囲 | 1か所ずつ変える | 一度に何か所も変える |
| 判断の材料 | 数字と読み手の動きを見る | 感覚だけで決める |
| 続け方 | 小さく試して積み重ねる | 作って放置する |
ランディングページの効果を測る指標
LPを作ったら、効いているかどうかを数字で確かめます。感覚で良しあしを判断すると、直すべき場所を間違えます。見るべき指標はそれほど多くありません。ここでは基本的な3つを押さえます。どれも特別な知識がなくても読める指標です。
数字を見る習慣は、身構えずに始めれば十分です。毎日でなくてかまいませんし、専門家に頼らなくても、来た人数とゴールの件数を手元の表に書き留めるだけで始められます。完璧な計測より、続けられる仕組みのほうが大切です。ざっくりでも数字を追い続けた会社が、結局は一番賢くページを育てていきます。
コンバージョン率
コンバージョン率は、ページに来た人のうち、何人がゴールにたどり着いたかの割合です。CVRとも呼ばれます。この数字が、ページの成果をもっとも端的に表します。来訪数が同じでも、この割合が上がれば成果は増えます。まずはこの1つを追いかけるだけでも、判断の土台になります。広告の費用に対して見合っているかも、この数字から見えてきます。
この割合を見るときは、1回きりの数字で判断しないよう気をつけます。日によって、曜日によって、来る人の顔ぶれは変わります。数日から数週間ならして見て、はじめて素の実力がつかめます。少ない来訪で一喜一憂すると、たまたまの上下に振り回されて、直す必要のない場所をいじってしまいます。
離脱が起きている場所
読み手がページのどこで読むのをやめているかを見ると、直すべき場所が分かります。ファーストビューで離れているなら入口の言葉、証拠のあたりで離れているなら証拠の弱さ、フォームの手前で離れているなら入力の負担。離脱の場所は、改善の手がかりを直接教えてくれます。全体の数字だけを見ていては気づけない、具体的なつまずきが見えてきます。
離脱の場所は、読み手が黙って残していく手紙のようなものです。何も言わずに去っていく人が、どこで心が折れたかを、その場所だけが教えてくれます。ここで離れたのはなぜかを1つずつ想像し、仮説を立てて小さく直していく。当たれば数字が動き、外れても次の手がかりが残ります。この読み解きを重ねるほど、作り手の腕は確実に上がっていきます。
流入元ごとの成果
同じページでも、どこから来た人かによって成果は変わります。広告から来た人、SNSから来た人、メールから来た人で、ゴールに至る割合は違ってきます。流入元ごとに分けて見ると、どの入口が相性がよいかが分かり、力を入れる場所を選べます。成果の出ない入口に費用をかけ続ける、という無駄を避けられます。
相性のよい入口が見つかったら、そこへ資源を寄せていきます。すべての入口に均等に力を配るより、効いている1つを伸ばすほうが、同じ手間で成果が大きくなります。反対に、いくら試しても振るわない入口は、思い切って手を引く判断も要ります。どこに賭けるかを数字で選べることが、この形の心強いところです。
| 指標 | 何が分かるか | 低いときに疑う場所 |
|---|---|---|
| コンバージョン率 | 成果の出やすさ全体 | ページ全体の設計 |
| 離脱の場所 | どこでつまずいているか | その直前の内容 |
| 流入元ごとの成果 | どの入口と相性がよいか | 入口とページの言葉のずれ |
よくある質問
ランディングページとホームページはどちらを先に作るべきですか
会社全体をまだ知られていない段階なら、ホームページを先に整えるほうが順番として自然です。すでにホームページがあり、特定の商品を広告で売りたい段階なら、1枚のLPを足す価値があります。どちらが上ということはなく、いまの段階と目的で決まります。両方を持ち、役割を分けて使うのが、最終的には理想の形になります。
順番としては、まず会社の土台となるホームページがあり、そこに広告用の受け皿として1枚を足す、という流れが多くなります。土台と受け皿は役割が違うので、片方があるからもう片方が要らない、ということにはなりません。いまの自社に足りていないのはどちらかを見極めるのが、最初の一手です。
ランディングページは1枚だけあればよいのですか
売りたい商品や、連れてくる人の悩みが複数あるなら、それぞれに1枚ずつ用意するのが基本です。1枚で複数の悩みや商品を扱おうとすると、絞りが効かなくなり成果が落ちます。悩みの数だけページを分ける、と考えておくと迷いません。広告のグループごとに、受け皿となる1枚を分けて用意することもよくあります。
1枚に詰め込みたくなったら、その時点で扱う悩みが2つ以上あるという合図です。悩みが2つなら、ページも2枚に分けたほうが、それぞれの読み手に深く刺さります。管理の手間は増えますが、成果はそのぶん素直に返ってきます。まずは一番取りたい1つから作り、手応えを見て増やしていくのが現実的です。
ランディングページを作れば集客できますか
LP自体には、人を連れてくる力はありません。広告やSNS、メールといった入口を別に用意して、そこへ人を送る前提です。ページを作ることと、人を集めることは別の作業だと分けて考えてください。両方がそろって初めて成果になります。ページの出来がよくても、入口がなければ数字は動きません。
ここを混同すると、成果が出ないときに直す場所を間違えます。人が来ていないのにページの文章ばかり直しても、数字は動きません。まず何人来ているかを確かめ、そもそも入口が機能しているかを見る。来ているのに動かないなら中身、来ていないなら入口。この切り分けが、無駄な手直しを防ぎます。
ランディングページはどのくらいの長さが適切ですか
長さそのものに正解はありません。読み手が行動を決めるのに必要な情報を、過不足なく載せた結果として長さが決まります。金額が大きく検討が必要な商材ほど、証拠や説明が増えて長くなり、その場で決められる商材は短くなります。長さを先に決めず、必要な情報から逆算してください。短くても長くても、読み手が決められれば正解です。
長さを気にするより、下までスクロールされているかを気にするほうが役に立ちます。最後まで読まれた上で行動が起きていないなら、長さの問題ではありません。中身の説得力を疑う番です。途中で離れているなら、そこまでに退屈な場所があるという合図です。長さの正解は、読み手の動きが教えてくれます。
作ったランディングページの成果が出ないときは何を見ればよいですか
まずコンバージョン率と、読み手が離れている場所を確認します。ファーストビューで離れているなら入口の言葉、証拠のあたりで離れているなら証拠の弱さ、フォームの手前なら入力の負担を疑います。一度にすべてを変えず、1か所ずつ直して数字の変化を見ると、原因を特定できます。焦って全面的に作り直すより、この地道な進め方のほうが確実です。
成果が出ないときほど、大きく変えたくなります。その気持ちは分かりますが、全部を一度に変えると、次に何が効いたのかが分からなくなり、学びが残りません。1か所直して数字を見る、また1か所直して数字を見る。この積み重ねが、そのページだけの勝ちパターンを社内に貯めていきます。
まとめ
ランディングページとは、1ページの中で読み手の次の行動を1つに絞り込むために設計された、縦長のページのことです。複数ページを回遊させるホームページとは、そもそも読み手にしてほしいことが違うため、形も違ってきます。出口を1つに絞り、上から下へ一本道で読ませることが、この形の心臓部です。用語としての意味は、ここに尽きます。
自社に要るかどうかは、行動が1つに決まっているか、相手の悩みがそろっているか、人を送る入口があるか、という3つの問いで判断できます。要ると決まったら、誰のどの悩みに答えるか、どの行動をゴールにするか、どこから人を連れてくるか、何をもって成功とするかを、作る前に紙の上で決めておきます。ここまで決めれば、あとは順番に沿って組み立てるだけです。
下に、この記事を読み終えたその日にできる点検をまとめました。まずは自社のいまを、この表で確かめてみてください。1つでも当てはまるものが見つかれば、それが最初に手をつける場所です。
| 点検すること | いま起きていること | その日にできる一歩 |
|---|---|---|
| 行動が1つに決まっているか | ゴールを一文で言えない | ゴールを主語と動作で書き出す |
| 相手の悩みがそろっているか | 誰に向けてか曖昧 | 連れてくる1人を具体的に描く |
| 出口が1つに絞れているか | ボタンやリンクが複数ある | ゴール以外の出口を書き出す |
| 入口の言葉がそろっているか | 広告と最初の言葉が違う | 両方の言葉を並べて見比べる |
| 成功の基準があるか | 効果を数字で見ていない | 来訪数とゴール数を数え始める |
ランディングページは、作ること自体が目的ではありません。読み手が迷わず1つの行動へたどり着き、その先で自社と読み手の双方が得をする。その状態を1枚で作るための道具です。まずは自社にそれが要るのかどうか、この記事で1つ判断がついていれば、今日の一歩としては十分です。あとは、決めたゴールに向かって、必要な材料を1つずつそろえていくだけです。
自社のマーケティング課題を根本から解決しませんか?
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