先日、Q&Aサイトでこのような相談を見かけました。制作会社にお願いしてホームページをスマホ対応にしてもらった。パソコンでもスマホでも見た目は崩れず、きれいに表示される。それなのに、問い合わせは相変わらず月に数件のまま増えない。スマホ対応にすれば集客できると聞いていたのに、何が足りないのか分からない、という内容でした。
この相談には、いま多くの中小企業が同じように取り違えている一点が含まれています。スマホ対応という言葉を「スマホで見ても見た目が崩れないこと」だと理解している点です。見た目が整うことは入口にすぎません。スマホを持った人が、小さな画面と親指の操作だけで「読んで、迷わず、問い合わせまでたどり着けるか」。ここが設計されていないと、対応済みのつもりでも問い合わせは逃げ続けます。この記事は、スマホ対応の基本と方法を押さえたうえで、その先にある「スマホで問い合わせが逃げる箇所」を一つずつ特定し、どこから直せばいいかを経営者とウェブ担当者の視点で整理します。読み終えたときに、自社サイトのスマホ画面で直す場所が一つ決まっている状態を目指します。
「スマホ対応」の本当の意味を取り違えない
スマホ対応と聞くと、多くの人が「スマホで見たときにレイアウトが崩れず、文字や画像が画面に収まること」を思い浮かべます。これは間違いではありません。ただし、その理解だけで止まると、見た目は整ったのに問い合わせが動かない、という結果になります。見た目が崩れないことは、スマホ対応の必要条件であって十分条件になりません。
スマホを使う人の行動を思い出してください。電車の中で片手でスクロールし、親指でタップし、小さな入力欄に文字を打ち込みます。パソコンのように大きな画面とマウスとキーボードを使う環境とは、操作の前提がまるで違います。パソコン向けに設計された導線をそのまま縮小して画面に収めても、親指の操作に合っていなければ、読者は問い合わせの一歩手前で離れます。スマホ対応とは、この操作の違いに合わせて「問い合わせまでの道」を作り直すことです。
この視点で自社サイトをスマホで開くと、見え方が変わります。電話番号は載っているのにタップで発信できない、問い合わせボタンが小さくて隣のリンクを押してしまう、入力欄が多くて途中で挫折する。見た目が崩れていなくても、こうした操作のつまずきが問い合わせを逃がしています。まず「見た目の対応」と「操作の対応」を分けて考えることが出発点になります。見た目の対応は制作会社が仕上げてくれることが多い一方、操作の対応は、実際にスマホで使う人の目線がないと抜け落ちます。だからこそ、経営者やウェブ担当者が自分の指で確かめる工程に価値があります。
| スマホ対応の理解 | 見ている範囲 | 問い合わせへの効き方 |
|---|---|---|
| 見た目が崩れない | レイアウト・文字サイズ・画像 | 入口が整うだけで、まだ届かない |
| 操作で迷わない | タップ・入力・発信・スクロール | 問い合わせまでの道が通る |
| 表示が速い | 読み込み時間・画像の重さ | 離脱を減らし読者を留める |
そもそもスマホ対応がなぜ必須になったのか
スマホ対応が「あったほうがいい」から「なければ話にならない」へ変わった背景には、二つの大きな変化があります。一つは読者の変化、もう一つは検索エンジンの変化です。
読者の変化ははっきりしています。いまや多くの業種で、ホームページを見に来る人の半分以上がスマホからアクセスします。飲食や小売のように生活者に近い業種では、その比率はさらに高くなります。会社の取引先を探すような場面でも、まず手元のスマホで検索してから連絡するのが当たり前になりました。つまり、スマホでの見え方と操作が、その会社の第一印象を決めています。手のひらの中で見た数十秒で、この会社に連絡してよいかどうかの判断が下されます。その最初の接点がスマホである以上、スマホでの体験づくりは後回しにできない投資になりました。
検索エンジンの変化も見逃せません。Googleは検索順位を決めるとき、スマホ版のページを主な評価対象にする方針へ切り替えました。これはモバイルファーストインデックスと呼ばれます。Googleは検索セントラルで「Googleはウェブサイトのモバイル版のコンテンツを、インデックス登録とランキングに使用します」と説明しています。パソコン版だけ作り込んでスマホ版が手薄なサイトは、検索でも不利になります。スマホ対応は、読者のためであると同時に、検索で見つけてもらうための土台になりました。
スマホで問い合わせが逃げる五つの箇所
相談者のように、スマホ対応にしたのに問い合わせが増えないとき、原因はほぼ次の五つのどこかにあります。自社のサイトをスマホで開き、一つずつ確かめてください。
タップしたい場所が小さく、隣を押してしまう
親指でタップする前提に立つと、ボタンやリンクにはある程度の大きさと間隔が必要です。パソコン向けの小さなリンクを詰めて並べたままだと、押したい問い合わせボタンの隣にある別のリンクを誤って押してしまいます。問い合わせへ進もうとした人が、意図しないページへ飛ばされて離脱する。これは驚くほど頻繁に起きています。ボタンは指で押しやすい大きさにし、周りに余白を取るだけで、この取りこぼしが減ります。目安として、指の腹で正確に押せる程度の大きさと、隣の要素との間に十分な間隔があれば、誤タップはほとんど起きなくなります。とくに問い合わせボタンは、他のリンクから離して単独で置くと、押し間違いが減ります。
電話番号がタップで発信できない
スマホで会社を調べた人の多くは、その場で電話したいと思っています。ところが電話番号が画像で貼られていたり、タップしても発信につながらない形だったりすると、番号を覚えて電話アプリに打ち直す手間が生まれます。その一手間で、かけようとした気持ちが冷めます。電話番号をタップですぐ発信できる形にしておくだけで、電話の問い合わせが増えます。スマホならではの、最も簡単で効果の大きい改善です。名刺や広告に載せた番号を見て電話する人と違い、サイトを見ている人はすでにスマホを手にしています。その手の中で、番号を見た流れのまま発信ボタンまで進めるかどうかが、一本の電話の有無を分けます。営業時間の表示を番号のすぐ近くに置いておくと、かけてよい時間かどうかを迷わせずに済みます。
問い合わせフォームの入力欄が多すぎる
パソコンなら苦にならない十項目の入力も、スマホの小さなキーボードでは大きな負担になります。会社名、部署、役職、住所、電話、要望と欄が続くうちに、多くの人が途中で指を止めます。問い合わせに本当に必要な項目だけへ絞り、スマホでも数十秒で送れる状態にすると、送信の完了率が変わります。まず名前と連絡先と用件の三つで受け、詳細は後から聞く形でも十分です。入力欄を一つ減らすたびに、送信まで進む人の割合は上がります。必須の印を付ける欄を最小限にし、任意の欄は思い切って省くと、スマホの小さなキーボードでも負担なく送れます。相手の状況を細かく聞きたい気持ちは、最初の一通を受け取ってから満たせば十分です。
文字が小さく、読む前に離れる
パソコンの画面で適切な文字サイズも、スマホでは小さすぎて読めないことがあります。指で拡大しないと読めないページは、読む前に閉じられます。本文の文字を、スマホでそのまま読める大きさにし、行間にゆとりを持たせるだけで、最後まで読まれる確率が上がります。読まれなければ、どれだけ良い内容を書いても問い合わせにはつながりません。スマホでは、一行に入る文字数がパソコンより少なくなります。パソコンで一行に収まっていた文が、スマホでは何行にも折り返されて読みにくくなることがあります。一文を短く区切り、段落の間に余白を取ると、小さな画面でも視線が迷わずに進みます。読みやすさは、内容の良し悪し以前に、読み進めてもらうための入口になります。
表示に時間がかかり、待たずに閉じられる
スマホは電波の状況が一定ではありません。重い画像を大量に読み込むページは、表示までに数秒かかり、その間に読者は戻るボタンを押します。表示の速さは、読者を留めるための土台です。画像を適切な重さに整え、不要な装飾を削るだけで、離脱が減ります。速度の問題は目に見えにくいぶん、見落とされがちな逃げ道になっています。
| 逃げる箇所 | スマホで起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 小さなボタン | 隣のリンクを誤って押す | 指で押せる大きさと余白にする |
| 電話番号 | タップで発信できず手打ちになる | タップで発信できる形にする |
| 長いフォーム | 入力の途中で挫折する | 必要な項目だけに絞る |
| 小さな文字 | 拡大しないと読めず離れる | そのまま読める大きさと行間にする |
| 遅い表示 | 読み込みを待たず閉じる | 画像を軽くし装飾を削る |
スマホ対応の三つの方法とその違い
スマホ対応を実現する方法は、大きく三つに分かれます。それぞれ仕組みと向き不向きが違います。自社の状況に合う方法を選ぶために、違いを押さえておきます。
| 方法 | 仕組み | 向いている場合 | 気をつける点 |
|---|---|---|---|
| レスポンシブ | 1つのページが画面幅に合わせて形を変える | 多くの中小企業サイト | スマホでの見え方を別途確認する |
| 動的な配信 | 同じURLで端末ごとに違う内容を返す | スマホ専用の作り込みが要る場合 | 設定と保守の手間が増える |
| 別URLでの用意 | スマホ専用のページを別に作る | 既存サイトを大きく変えにくい場合 | 二重管理と設定の手間がかかる |
いまの主流はレスポンシブです。一つのページが画面の幅に合わせて自動でレイアウトを変えるため、管理するページが一つで済み、内容の食い違いも起きにくくなります。Googleもこの方式を推奨しています。特別な事情がなければ、レスポンシブを選ぶのが素直な判断になります。動的な配信や別URLは、スマホでまったく違う見せ方をしたい場合や、既存の仕組みを大きく変えにくい場合の選択肢です。
ここで大切なのは、方式の選択そのものより、選んだあとにスマホでの操作を確かめることです。レスポンシブにしたから安心、と手を止めると、冒頭の相談のように「見た目は整ったのに問い合わせが増えない」状態に陥ります。方式は土台であって、その上に問い合わせまでの道を作る作業が続きます。
レスポンシブデザインの仕組みをやさしく理解する
レスポンシブという言葉は「反応する」という意味です。画面の幅という条件に反応して、レイアウトが自動で組み替わる仕組みを指します。パソコンの広い画面では横に三つ並んでいた要素が、スマホの狭い画面では縦に一列で並ぶ。同じページが、見る画面に応じて姿を変えます。
この仕組みの利点は、管理の一本化にあります。パソコン用とスマホ用のページを別々に持つと、片方だけ更新して内容が食い違う事故が起きます。レスポンシブなら更新するページは一つなので、その心配がありません。検索エンジンから見ても、一つのURLに評価が集まるため、順位の面でも有利に働きます。
注意点も一つあります。自動で組み替わるとはいえ、パソコンで整った並びが、スマホで読みやすい並びになるとは限りません。横に長い表がスマホでははみ出す、大きな画像が縦にずらりと続いて本文が遠くなる、といったことが起きます。レスポンシブにした後も、実際にスマホで開いて、読みやすさと操作しやすさを確かめる工程が要ります。
表示速度がスマホの問い合わせを左右する
スマホ対応の話で見落とされがちなのが、表示速度です。見た目が整っていても、開くのに時間がかかるページは、読まれる前に閉じられます。とくにスマホは電波の状況に左右されるため、パソコンでは気づかない重さが、そのまま離脱につながります。
速度が問い合わせに効くことは、数字でも示されています。あるGoogleの調査では、ページの読み込みに三秒以上かかると、多くの訪問者がその時点で離れると報告されています。読み込みが一秒から三秒に延びるだけで、離脱の確率が大きく上がるという結果です。数秒の遅れが、せっかく連れてきた読者を問い合わせの手前で失わせます。読者は待つことに慣れていません。検索結果には他の会社も並んでいるため、表示が遅いと感じた瞬間に、戻って別の会社を開きます。速度は、読者に選ばれ続けるための最低限の条件になっています。
速度を改善する入口は、たいてい画像にあります。撮ったままの大きな写真をそのまま貼ると、一枚で数メガバイトの重さになり、読み込みを遅らせます。画像を表示に必要な大きさへ整え、重さを落とすだけで、体感の速度が変わります。装飾のための動画や大量のアニメーションを減らすことも効きます。速度の改善は、見た目を保ったまま離脱を減らせる、費用対効果の高い一手です。
| 速度を落とす原因 | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 大きすぎる画像 | 読み込みに数秒かかる | 表示に必要な大きさへ整え軽くする |
| 過剰な動画や動き | 通信量が増え表示が遅れる | 装飾のための動きを削る |
| 読み込みの詰め込み | 最初の表示が遅くなる | 先に本文を見せる形にする |
スマホならではの問い合わせ導線を用意する
スマホには、パソコンに無い問い合わせの手段があります。電話をその場でかける、地図を開いて経路を調べる、メッセージアプリで気軽に連絡する。これらはスマホを持つ人の自然な行動です。この行動に合わせた導線を用意すると、問い合わせのハードルが下がります。
電話番号はタップで発信できる形にする。住所は地図アプリで開けるようにして、経路案内までつなげる。メッセージでの相談を受けるなら、その入口を分かりやすい位置に置く。どれもパソコンでは目立たない工夫ですが、スマホでは問い合わせの数を左右します。読者がいちばん取りやすい連絡手段を、いちばん押しやすい場所に置くことが要点です。
画面の下部に、問い合わせや電話への入口を常に表示しておく形も効きます。スマホは縦に長くスクロールするため、読み進めるうちに問い合わせの入口が画面の外へ消えます。画面の下に固定した小さな帯として問い合わせの入口を残しておくと、読者が「連絡したい」と思った瞬間に、探さずにたどり着けます。思い立った瞬間に迷わせないことが、取りこぼしを防ぎます。
自社サイトがスマホ対応できているかの確かめ方
直す前に、いまの状態を確かめます。確認の方法は、難しい道具を使わなくても手元でできます。
いちばん確実なのは、自分のスマホで自社サイトを開き、読者になったつもりで問い合わせまで進んでみることです。文字は読める大きさか、ボタンは押しやすいか、電話番号はタップで発信できるか、フォームは最後まで送れるか。実際に指を動かすと、机上では気づかない引っかかりが見つかります。家族や社員に、何も説明せずに問い合わせまでやってもらうと、さらに客観的な発見があります。
あわせて、Googleが提供する確認の仕組みや、サーチコンソールの表示を見ると、スマホでの使いやすさに問題があるページを機械的に洗い出せます。ただし機械の判定が緑でも、操作のつまずきは残ります。機械の確認と、実機での操作。この二つをそろえて、はじめて自社サイトのスマホ対応の実態がつかめます。
| 確かめる方法 | 分かること | 限界 |
|---|---|---|
| 自分のスマホで操作する | 実際のつまずきの位置 | 自社目線の慣れが残る |
| 第三者に操作してもらう | 初見の人が迷う場所 | 人数が要る |
| 機械の確認ツール | 技術的な不備の有無 | 操作の迷いは判定できない |
スマホ対応しても問い合わせが増えない三つの理由
ここまでの改善をしても問い合わせが動かないとき、原因はサイトの外にあることがあります。三つ挙げます。
一つは、そもそもスマホでの流入が少ない場合です。検索で見つけてもらえていなければ、スマホ対応の良し悪し以前に読者が来ません。この場合は、悩みに答える記事を増やして検索からの流入を作る作業が先になります。二つは、来てはいるものの、問い合わせの動機が育っていない場合です。サービスの中身や、依頼するとどうなるかが伝わっていないと、操作が快適でも問い合わせには至りません。三つは、問い合わせの受け皿が弱い場合です。送信後に何も反応がない、返信が遅い、といった受け側の問題が、次の問い合わせを止めます。
スマホ対応は、問い合わせを増やすための必要な土台です。土台が整っても、その上に流入と動機と受け皿がそろわないと、数字は動きません。スマホ対応を終えたら、次にどこが弱いかを順に確かめていくと、詰まりの場所が見つかります。
どこから直すか、優先順位の付け方
スマホ対応の課題が複数見つかると、どこから手をつけるか迷います。判断の軸は「問い合わせに近い場所から直す」です。読者が問い合わせにたどり着く直前でつまずいている箇所ほど、直したときの効果がすぐ表れます。
具体的には、まず問い合わせボタンと電話番号とフォームという、問い合わせに直結する三点を確かめます。ここが快適に使えるようにするだけで、いま来ている読者の取りこぼしが減ります。次に、文字サイズと表示速度という、読者を留める土台を整えます。最後に、流入を増やす記事の作成へ進みます。近い場所から順に直すと、少ない手間で問い合わせの数が動き始めます。
業種によって重点が変わるスマホ対応
スマホ対応で押さえる点は共通していますが、業種によって力を入れる場所は変わります。読者がスマホで何をしたいのかが、業種ごとに違うためです。自社の業種に近い行を見て、優先して直す場所を決めてください。
| 業種 | スマホで読者がしたいこと | 優先して整える場所 |
|---|---|---|
| 飲食・小売の店舗 | 場所と営業時間を調べて向かう | 地図の連携と電話のタップ発信 |
| 士業・コンサル | 実績と人柄を見て相談を決める | 読みやすい本文と問い合わせフォーム |
| 工務店・製造 | 施工例を見て相談の可否を判断する | 画像の軽さと表示速度 |
| クリニック・教室 | 予約や問い合わせをその場で済ませる | 予約導線と画面下の固定ボタン |
| 取引先向けのBtoB | 会社の信頼性と実績を確認する | 本文の読みやすさと資料の入手導線 |
店舗を持つ業種では、地図と電話が問い合わせの中心になります。スマホで調べてすぐ向かう、あるいはその場で電話する。この二つの動作が快適だと、来店や電話の数が動きます。取引先を探すような業種では、派手な演出より、本文が読みやすく信頼が伝わることが効きます。スマホの小さな画面でも、実績や考え方がすっと頭に入る文章と並びが、次の連絡を後押しします。業種を問わず共通するのは、読者がスマホでいちばんしたい動作を、いちばん取りやすい場所へ置くという考え方です。
スマホ対応でやりがちな失敗
スマホ対応の作業には、良かれと思ってやったことが逆に問い合わせを遠ざける失敗があります。先に知っておくと、同じつまずきを避けられます。
| やりがちな失敗 | なぜ問い合わせを遠ざけるか | 代わりにすること |
|---|---|---|
| 情報を詰め込んで縦に長くする | 問い合わせまで指が届かず疲れる | 要点を先に見せ、詳細は畳んで置く |
| 画像で文字を作って貼る | 拡大が必要で読めず検索にも弱い | 文字は文字として置く |
| ポップアップを大きく出す | 本文を隠し、閉じるボタンを探させる | 本文を隠さない控えめな案内にする |
| 装飾の動きを増やす | 表示が遅れ、読む前に閉じられる | 動きを減らし表示を速くする |
とくに多いのが、スマホの画面に情報を詰め込んで、ひたすら縦に長くしてしまう失敗です。載せたい情報をすべて並べた結果、問い合わせの入口がはるか下になり、そこへたどり着く前に読者が離れます。スマホでは、いちばん伝えたい一点を先に見せ、詳しい説明は折りたたんで置く形が読みやすくなります。画面を占領する大きなポップアップも、本文を隠して読者の邪魔をします。案内を出すなら、本文を隠さない控えめな形にとどめてください。良かれと思った足し算が、問い合わせを遠ざけることがあります。
スマホ対応と一緒にやると効くこと
スマホ対応の作業にあわせて手を入れると効くものと、後回しでよいものを分けます。限られた時間を、問い合わせに近い順へ寄せてください。
やると効くのは、問い合わせフォームの項目を絞ること、電話番号をタップ発信にすること、画像を軽くして表示を速くすることです。これらはスマホでの取りこぼしを直接減らします。あわせて、記事に事実と数字を添え、出典を明示しておくと、生成AIによる検索でも引用されやすくなります。生成エンジンの引用されやすさを調べた研究では、あいまいな量の表現を具体的な数字へ置き換えることで引用のされやすさが30.6%高まり、信頼できる情報源を明示することで27.5%高まったと報告されています。
後回しでよいのは、検索エンジン向けの特別なファイルの用意です。Googleは検索セントラルで、生成AIの検索に出るために特別な機械可読ファイルやマークアップを追加する必要はないと明言しています。限られた時間は、スマホでの操作と本文の質に使うのが確実です。
スマホ対応の効果をどう測るか
スマホ対応を進めたら、効果を数字で確かめます。感覚で「見やすくなった」と判断すると、次にどこを直せばよいかが見えません。見るべき数字は、スマホからの訪問者に絞って取り出せます。
まず見るのは、スマホからの訪問者が、どこまで読んで、どこで離れているかです。アクセス解析を端末ごとに分けて見ると、パソコンでは問題なくてもスマホだけ離脱が早いページが見つかります。そのページが、次に直す候補です。あわせて、スマホからの問い合わせ数と、フォームを開いた人のうち送信まで進んだ割合を見ます。フォームを開いたのに送信で止まる人が多ければ、入力の負担が残っている合図です。数字を端末ごとに分けるだけで、スマホの弱点が浮かび上がります。
| 見る数字 | 読み取れること | 低いときの打ち手 |
|---|---|---|
| スマホの離脱の位置 | 読者がつまずくページと場所 | その手前の読みやすさを直す |
| フォーム送信の完了率 | 入力の負担の大きさ | 項目を減らし入力を軽くする |
| 電話のタップ数 | 電話導線が使われているか | 電話ボタンを押しやすい位置へ |
| スマホの表示速度 | 読み込みで失っている読者 | 重い画像から軽くする |
効果はすぐに大きく動くとは限りません。問い合わせに直結する三点を直せば、いま来ている読者の取りこぼしはその週から減り始めます。流入を増やす記事の効果は、順位が付くまで二〜三か月かかります。短期で見る数字と、時間をかけて見る数字を分けておくと、途中で判断を誤らずに済みます。数字が動き始めたら、効いた改善を他のページへも横展開していくと、サイト全体のスマホでの取りこぼしが少しずつ減っていきます。
スマホ対応を外注するときに伝えること
スマホ対応を専門家に頼むとき、伝え方で仕上がりが変わります。多くの場合、依頼側が「スマホで崩れないようにしてほしい」とだけ伝えるため、見た目だけ整って操作の設計が抜け落ちます。伝えるべきは、見た目より先に、問い合わせまでの動作です。
「スマホで問い合わせまで、指だけで迷わず進める状態にしてほしい」と伝えると、依頼の焦点が操作へ移ります。あわせて、電話のタップ発信、フォームの項目数、画面下の問い合わせ導線、表示速度という具体的な要望を渡すと、仕上がりがぶれません。納品後に自分のスマホで問い合わせまで進んでみて、つまずく場所があれば遠慮なく直してもらう。この確認までを一つの依頼として頼むと、見た目だけの対応で終わらずに済みます。
よくある質問
Q. スマホ対応は自分でもできますか
使っている仕組みによります。多くのサイト作成ツールは、初めからスマホ表示に対応しています。その場合は、文字サイズやボタンの大きさ、フォームの項目数といった設定を見直すだけで、操作の対応まで進められます。土台から作り直しが要る場合は、専門家の手を借りたほうが早く確実です。まず自分のスマホで開いて、どこがつまずくかを把握してから判断してください。
Q. レスポンシブと専用サイト、どちらがよいですか
特別な事情がなければレスポンシブが素直です。管理するページが一つで済み、内容の食い違いが起きにくく、検索でも評価が一つのURLに集まります。スマホでまったく違う見せ方をしたい、といった強い理由があるときだけ、別の方式を検討します。
Q. スマホ対応にすれば問い合わせは増えますか
土台としては必要ですが、それだけで増えるとは限りません。スマホで問い合わせまでの操作が快適になり、検索からの流入があり、サービスの魅力が伝わって、はじめて問い合わせが動きます。スマホ対応は最初の一歩で、その先に流入と動機の設計が続きます。
Q. パソコンからの見え方はどうなりますか
レスポンシブなら、パソコンではパソコンに合った並びで表示されます。スマホを優先しても、パソコンの見え方が犠牲になるわけではありません。一つのページが、見る画面に応じて最適な並びに変わります。両方の画面で確認しておくと安心です。
Q. 表示速度はどう確かめればよいですか
Googleが提供する速度の測定ツールで、ページごとの読み込み時間と改善点を確認できます。あわせて、自分のスマホを電波の弱い場所で開いてみると、実際の体感がつかめます。まず重い画像から手をつけると、体感の速度がわかりやすく変わります。
まとめ
スマホ対応は、見た目が崩れないことだけを指すのではありません。スマホを持った人が、小さな画面と親指の操作で、読んで、迷わず、問い合わせまでたどり着けること。ここまで含めて、はじめて対応済みと言えます。Googleがスマホ版を主な評価対象にするいま、スマホ対応は読者のためと検索のための両方で土台になりました。
スマホで問い合わせが逃げる場所は、小さなボタン、タップできない電話番号、長いフォーム、小さな文字、遅い表示の五つに集約されます。まず問い合わせに直結する三点を直し、次に読者を留める土台を整え、最後に流入を増やす。近い場所から順に手をつけると、少ない手間で問い合わせの数が動き始めます。今日、自分のスマホで自社サイトを開き、問い合わせまで指で進んでみてください。つまずいた最初の一箇所が、次に直す場所です。すべてを一度に直す必要はありません。問い合わせに近い一箇所を直すたびに、いま来ている読者の取りこぼしが減っていきます。スマホの画面は、読者が最初に自社と出会う場所です。その小さな画面での数十秒を、迷わせず、問い合わせまで気持ちよく運ぶこと。それが、同じ訪問者から一件でも多くの問い合わせを生む、いちばん確実な近道になります。
今日できる点検
| 点検する場所 | 確かめること | 次にすること |
|---|---|---|
| 問い合わせボタン | 親指で押しやすい大きさと余白があるか | 小さければ大きくして余白を取る |
| 電話番号 | タップで発信できるか | 発信できる形に直す |
| 問い合わせフォーム | スマホで最後まで送れるか | 項目を必要な数へ絞る |
| 本文の文字 | 拡大せずに読める大きさか | 読める大きさと行間にする |
| 表示速度 | 三秒以内に表示されるか | 重い画像を軽くする |
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