自社サイトを改善したいけれど、何から手をつければいいか決められない。調べると、SEOが大事、表示速度を上げろ、ボタンの色を変えろ、スマホ対応しろ、と情報が多すぎて、結局どれも中途半端に手を出しては止まっている。限られた時間で、まず何をやれば成果が出るのか。本業のかたわらでサイトも見ている、小さな会社のご担当者から、この形のご相談をよくいただきます。やる気はあるのに、情報の洪水に溺れて動けなくなっている状態です。
この行き詰まりは、サイト改善に取り組もうとする人のほとんどが通ります。「サイト改善」で検索すると、チェックリストが山ほど出てきます。どれも「やった方がいいこと」ではあるのですが、100個の正しいことが並んだところで、自分の会社ではどれを最初にやるべきかまでは書いてありません。全部やる時間も予算も無い中で、優先順位のない改善リストは、かえって人を動けなくさせます。あれもこれも気になって、結局いちばん効果の薄いところから手をつけてしまう、ということも起こります。
先に結論をお伝えします。サイト改善で成果が出ない最大の原因は、技術の不足ではなく順番の狂いです。「どこが成果を止めているか」を測らずに、目についたところから直し始めてしまうことにあります。ボタンの色を変えても、表示速度を上げても、それが成果を止めている場所でなければ、数字は動きません。改善の実体は、詰まっている一箇所を見つけて、そこだけを直す作業です。順番さえ合っていれば、小さな一手で数字が動きます。逆に順番を外すと、どれだけ手を動かしても数字は静かなままで、やがて「うちのサイトは何をやっても変わらない」という諦めに変わっていきます。
「サイト改善」で検索する人が本当に知りたいのは、施策のカタログというより、「自分のサイトの、どこが成果を止めているのか」「限られた時間で、まず何をやれば効くのか」という優先順位です。この優先順位は、チェックリストの外側にあります。自分のサイトの数字を見て、詰まっている場所を特定するところから始めないと、どのチェック項目が自社に効くのかが分からないからです。
私は合同会社謙虚という会社で、ウェブサイトから要素を引き算して問い合わせの入り口を作り直す仕事をしています。ご相談を受けるなかで見えてきたのは、改善で空回りする会社に共通する見落としです。それは、「足す改善」ばかりを考えて、「引く改善」を見落としていることです。機能を足す、ページを足す、説明を足す。よかれと思った足し算が、実は訪問者を迷わせ、成果を止めている当の原因だったりします。改善というと何かを付け加えることだと思い込んでいると、この最も効く一手は視界の外に落ちたままです。
この記事では、なぜ思いつきの改善では数字が動かないのか、その理由から解いていきます。そのうえで、多くの人がやってしまう「効果の薄い改善」の典型、そして限られた時間で成果につながる改善の優先順位の付け方を、順を追ってお話しします。読み終える頃には、自分のサイトのどこを最初に見て、何から直せばいいかが、具体的に見えているはずです。
ここで、成果を止めている場所を測るとはどういうことか、よくある形で見てみます。「もっと信頼感を出そう」と考えて、トップページにお客様の声を10件追加し、受賞歴のバナーを並べ、代表のこだわりを長文で書き足す。どれも良かれと思っての改善です。ところが問い合わせは増えない。そこで解析画面を開くと、訪問者の大半はスマートフォンで、最初の画面が表示されるまでに数秒かかっている、という数字が出てくることがあります。足した要素が重すぎて、多くの人は内容を見る前に去っていた、ということです。この場合に最初にやるべきなのは、信頼感の上乗せより先に、重くなった要素を削って表示を速くすることです。何が詰まっているかを測れば、直すべき一箇所はこのように一つに絞られます。
測らずに始めると、これが逆になります。信頼感が足りないという思い込みで足し算を重ね、そのたびにサイトは重くなり、成果を止めている本当の原因はむしろ悪化していく。善意の改善が、成果を遠ざける。この皮肉な事態は、優先順位を数字で決めていない現場で、驚くほどよく起きています。
まず次の章で、なぜサイト改善が「思いつきの寄せ集め」になってしまうのか、その背景にある情報の構造に踏み込みます。ここを理解しないまま次の改善に着手すると、また同じように時間だけを溶かすことになります。
なぜ改善は「思いつきの寄せ集め」になるのか——情報の構造をほどく
サイト改善が的外れな寄せ集めになってしまうのには、担当者の力不足とは別の、はっきりした理由があります。改善にまつわる情報の作られ方そのものに、原因が埋め込まれています。
ネットに転がっている改善ノウハウの大半は、「一般論」として書かれています。表示速度を上げましょう、スマホ対応しましょう、ボタンを目立たせましょう。どれも多くのサイトに当てはまるから、記事として広く読まれます。しかし、あなたのサイトで今いちばん成果を止めているのがどれかは、その記事の守備範囲の外です。書き手はあなたのサイトの数字を見ていないからです。一般論は「やった方がいいことの全集」にはなっても、「あなたが最初にやるべきこと」までは指し示しません。ここに最初のズレがあります。
次に、ノウハウの発信元の多くが、何かを売る立場にあります。制作会社はリニューアルを売りたいので「デザインが古いと成果が出ません」と書き、広告会社は運用を売りたいので「集客を強化しましょう」と書き、ツール会社は自社ツールで解ける問題を大きく見せます。どれも嘘ではありませんが、その人が売れるものに寄った改善策になりがちです。読む側は、自分の課題に合った助言を探しているつもりで、相手が売りたい施策のカタログを読まされていることがあります。
さらに、改善の効果は目に見えにくいという事情もあります。ボタンの色を変えたことは目に見えますが、それで問い合わせが増えたかどうかは、数字を追ってはじめて分かります。ところが多くの現場では、施策をやったこと自体で満足してしまい、効果を測る前に次の施策へ移ります。やった施策のリストは長くなるのに、どれが効いてどれが無駄だったかは、ずっと分からないまま。これでは、次の改善も勘に頼るしかなくなります。改善が経験として積み上がらず、毎回ふりだしに戻ります。
もう一つ、根深い思い込みがあります。「改善とは何かを足すことだ」という前提です。困ったときに人は何かを付け加えたくなります。要素が足りないから成果が出ないのだ、と考える方が、削る勇気を出すより気が楽だからです。ところが、成果を止めている原因の多くは、足りなさではなく多すぎることにあります。情報が多すぎて訪問者が迷う、要素が重すぎて表示が遅れる、選択肢が多すぎて決められない。足し算の発想でいる限り、この「多すぎる」が原因の問題は手つかずのまま残ります。むしろ足すほど悪化します。
情報の構造に加えて、社内の事情もこの寄せ集めを後押しします。改善の予算や工数を確保するには、上司や社長を説得する必要があります。そのとき「まず数字を測って、原因を特定してから直します」という地味な提案より、「トップページを一新して、チャットボットも入れます」という目に見える提案の方が、社内では通りやすい。決裁する側も、見える変化があった方が「お金を使った甲斐があった」と感じられるからです。こうして、成果に効く地味な一手より、見栄えのする派手な一手に予算がつきます。派手さと効果は、多くの場合すれ違います。
もう一つ、改善が寄せ集めになるのは、担当者が一人で抱え込みやすい仕事だからでもあります。サイトの数字を見て、原因を考え、施策を選ぶ。この一連を一人でやっていると、視野が自分の思いつきの範囲に閉じます。「他にもっと効く場所があるかもしれない」という疑いを持てないまま、最初に思いついた施策へまっすぐ進んでしまう。第三者に数字を一緒に見てもらうと、本人が見落としていた「最初の画面での離脱」のような、もっと手前の原因が見つかることがよくあります。一人で走るほど、寄せ集めに陥りやすくなります。
これらが重なって、現場では「一般論のチェックリストから、売り手が勧める、目に見えて足せる施策を、効果を測らずに選ぶ」という改善が繰り返されます。当たれば運がいい、外れても気づかない。これでは成果が安定しないのも当然です。
だから、サイト改善の出発点は、新しいノウハウでも新しいツールでもなく、自分のサイトの数字です。解析画面を開いて、「どこで人が離れているか」を自分の目で確かめることです。一般論ではなく自分のサイトの事実から始めれば、直すべき一箇所はおのずと絞られます。事実から始める改善には、もう一つ利点があります。上司や社長を説得する材料が、思い込みではなく数字になることです。「最初の画面で6割が帰っているので、まずここを直します」と言えば、派手さは無くても筋が通り、成果が出たかどうかも同じ数字で検証できます。次の章では、この事実確認を飛ばしたときに人がやってしまう、効果の薄い改善の典型を見ていきます。
時間を溶かす、効果の薄い改善の典型
事実確認を飛ばして思いつきで手をつけると、たいてい次のような「効果の薄い改善」に時間を吸い取られます。どれも一見まっとうで、そして多くの場合、数字は静かなままです。
見た目の微調整に時間を使う
ボタンの色を赤から緑に変える、フォントを少し大きくする、余白を整える。この手の調整は、やっている実感が得られやすく、達成感もあります。ところが、訪問者がそもそもそのボタンまでたどり着いていないなら、色をどう変えたところで結果は同じです。成果を止めているのが「最初の画面で帰られている」ことなら、ずっと下にあるボタンの色は無関係です。見た目の微調整は、詰まっている場所が別にあるとき、労力だけを消費して終わります。
情報を足して「充実」させる
サービスの説明を増やし、実績を追加し、よくある質問を20個に増やす。充実させれば信頼されるはずだ、という発想です。しかし、訪問者が知りたいのは全情報のうち、自分に関係する数点だけです。情報を足すほど、その数点が大量の文字に埋もれ、見つけにくくなります。良かれと思った充実が、訪問者を迷わせて離脱を増やす。足し算の改善が成果を下げる、最もよくあるパターンです。
新しいツールや機能を導入する
チャットボットを入れる、予約システムを付ける、動く演出を追加する。新しい機能は「やった感」が大きく、社内でも報告しやすい成果です。ところが機能を足すほどサイトは重くなり、表示が遅れて離脱が増えることがあります。しかも、その機能を訪問者が本当に求めていたかは、たいてい検証されないままです。導入すること自体が目的になり、成果への寄与は誰も測らない。費用と時間をかけて、離脱をわずかに増やして終わる、ということも起こります。
SEOの小技を追加する
キーワードを本文に散りばめる、タグを細かく設定する、記事を量産する。検索対策は方向としては大事ですが、成果を止めているのが「来た人が問い合わせに変わらない」ことなら、流入を増やす対策は的外れです。漏れバケツに注ぐ水を増やす作業になり、こぼれる量が増えるだけで、たまる量は同じままです。SEOは、中身が問い合わせを生む形になってから効く施策です。
4つに共通するのは、「成果を止めている場所」を確かめずに、目についた・やりやすい・報告しやすいところから手をつけている点です。だから、たまたまそこが原因だったとき以外は、数字は動かずに終わります。そして原因でない場所を直しても数字が動かないので、「やっぱり効果が無い」と別の施策に移り、また原因でない場所を直す。この繰り返しで、月日と労力だけが消えていきます。
この4つがやっかいなのは、どれも「仕事をしている感」が強い点です。ボタンの色を変えれば画面は変わり、情報を足せばページは充実し、ツールを入れれば機能が増え、記事を書けば本数が積み上がる。手を動かした証拠が目に見えるので、本人も上司も「改善が進んでいる」と感じます。ところが、成果を止めている一箇所に触れていなければ、どれだけ手を動かしても数字は静かなままです。忙しさと成果が、ここでは完全に切り離されています。動いた実感があるぶん、かえって本当の原因から目が逸れます。
たとえば、先ほどのSEOの小技を思い出してください。記事を毎週書き、キーワードを散りばめ、タグを整える。半年も続ければ、相当な労力です。それでも問い合わせが増えないのは、成果を止めているのが流入の少なさではないからです。原因は、来た人が問い合わせに変わらない導線の側にあります。原因の場所を取り違えたまま努力を積むと、努力の量に比例して徒労も積み上がります。がんばっているのに報われない、という感覚の多くは、能力ではなく直す場所の取り違えから来ています。
見落とされがちなのは、これらの改善が「無害」ではないことです。効果が無いだけなら、まだ痛手は時間だけで済みます。しかし情報を足す・機能を足す系の改善は、表示を重くし、訪問者を迷わせ、成果を止めている本当の原因を悪化させます。動かないどころか、マイナスに働くことがある。だからこそ、手をつける前に「どこが詰まっているか」を確かめる一手間が、何よりも先に来る必要があります。この一手間は、時間にすればわずかです。アクセス解析を開いて、トップの離脱と表示速度を見るだけなら、数十分で終わります。その数十分を惜しんで、原因でない場所を数ヶ月かけて直す。多くの現場で起きているのは、この時間配分の逆転です。次の章で、その確かめ方と、成果につながる改善の優先順位をお話しします。
成果につながる改善の優先順位——測って、引いて、一箇所ずつ
ここからは、限られた時間で数字を動かす改善の順番をお話しします。土台にあるのは、合同会社謙虚の「売れるサイトはみな謙虚」という考え方です。売れているサイトは、あれもこれも語ることを我慢して、訪問者が必要とすることだけを、迷わない形で差し出しています。改善もこの発想でやると、やることが減り、成果は増えます。
進め方は、測る・引く・一箇所ずつ、の3つの原則でできています。
第一に、測ります。アクセス解析を開き、トップページの直帰率と、どの画面で人が離れているかを見ます。多くのサイトでは、トップページの最初のひと画面で半分以上が帰っています。ここで帰られているなら、下層ページの改善をいくら重ねても、届く前に終わります。まず「最初の画面で何割が帰っているか」という一つの数字を確かめる。これが全ての出発点です。スマホでの表示速度も、同時に確かめます。最初の画面が出るまで数秒かかっているなら、それ自体が離脱の大きな原因です。
第二に、引きます。詰まっている場所が分かったら、そこに何かを足すより先に、迷わせている要素と、重くしている要素を削ります。トップの最初の画面に、会社の理念や沿革や大きな動く演出が並んでいるなら、それらを下げ、訪問者が最初に知りたい「何屋か・自分向けか・次に何をするか」だけを残します。要素を減らすと表示は速くなり、迷いは消え、問い合わせへの道が見えてきます。足すのは、引き切って土台が整ってからです。
第三に、一箇所ずつ直します。一度にあちこち変えると、数字が動いても、何が効いたのか分からなくなります。1回の改善で1つだけ変え、数日から数週間、数字がどう動いたかを見る。効いたなら残し、効かないなら戻す。この「変えて、測って、判断する」を小さく回すと、改善が経験として積み上がり、次の一手の精度が上がっていきます。派手さはありませんが、これが最も確実に数字を動かすやり方です。
流入を増やす施策は、この順番の最後に来ます。中身が問い合わせを生む形に整い、来た人を取りこぼさなくなってから、検索で探している人の言葉に合わせたページを足していく。会社が語りたいことを並べるより、お客さんが検索する言葉に一つずつ答えるページを、1テーマ1ページで積み上げる方が、広告に頼らない流入が育ちます。合同会社謙虚では、この検索起点のページ作りを「記事作成代行(KCW)」として月1ページから承っています。作るのはお客さんの問いに答える実用的なページで、料金はページごとにご案内しています。次の章で、サイト改善についてよくいただく質問に答えながらまとめます。
まとめ——チェックリストより先に、自分のサイトの数字を開く
サイト改善で成果を出す道筋を、もう一度たどります。まず、一般論のチェックリストを探すのをやめます。100個の正しいことを並べても、自分のサイトでどれを最初にやるべきかは、そこには書いていないからです。次に、アクセス解析を開いて「どの画面で人が離れているか」を自分の目で確かめます。多くの場合、トップページの最初のひと画面に原因が見つかります。
原因が分かったら、そこに何かを足す前に、迷わせている要素と重くしている要素を削ります。引き切って土台が整ってから、必要なものだけを足す。そして改善は一度に一箇所だけ変え、数字がどう動いたかを見て判断します。流入を増やす施策は、来た人を取りこぼさない形になってから最後に足す。この順番を守れば、限られた時間でも数字は動きます。思いつきの寄せ集めから抜け出す鍵は、技術ではなく順番です。
以下、サイト改善についてよくいただく質問をまとめました。
Q. サイト改善は、結局まず何から手をつければいいですか?
アクセス解析でトップページの直帰と、どの画面で人が離れているかを確かめることからです。多くのサイトは最初のひと画面で半分以上が帰っています。ここが原因なら、まずその画面から迷わせる要素と重い要素を削ります。ボタンの色やSEOの小技は、原因がそこにあると数字で確かめてから手をつけてください。順番を守るだけで、同じ労力でも成果が変わります。
Q. 情報を充実させたのに、逆に問い合わせが減りました。なぜですか?
情報を足したことで、訪問者が知りたい数点が大量の文字に埋もれ、見つけにくくなった可能性が高いです。加えて、要素が増えて表示が重くなり、内容を見る前に離脱されている可能性もあります。まずスマホでの表示速度を確かめ、最初の画面から不要な要素を削って、知りたいことに一目でたどり着ける形へ戻してください。充実と成果は、別の話です。
Q. 改善しても数字が動いているのか分かりません。どうすればいいですか?
一度にあちこちを変えないことです。1回の改善で1つだけ変え、数日から数週間、数字の動きを見てください。複数を同時に変えると、動いても何が効いたのか分からず、次の判断の材料が残りません。変えて、測って、判断する。この小さな繰り返しが、改善を勘から経験へ変えていきます。
Q. SEO対策はいつやるべきですか?
来た人が問い合わせに変わる形にサイトが整ってからです。中身が漏れバケツのまま流入だけ増やすと、こぼれる量が増えるだけで成果は同じままです。まず内容と導線を整え、取りこぼしが減ってから、検索で探している人の言葉に合わせたページを1テーマ1ページで足していく。この順番だと、増やした流入がそのまま問い合わせに近づきます。合同会社謙虚では、この検索起点のページ作りを月1ページから承っています。原稿をお渡しするまでが基本で、事実が違う、言い回しが硬いといったお直しは、何度でも追加料金なしで対応します。
もし自分のサイトのどこが成果を止めているか、何から直せばいいか一緒に見てほしいということでしたら、初回60分のオンラインでご相談を承っています。御社のサイトと数字を画面で一緒に読み、最初に直すべき一箇所を具体的にお伝えします。その場で契約をお願いすることはありません。
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