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企業ブログのネタは社内のどこにある?集め方と、公開前に確かめる4つの線引き

2026 10/25
2026年9月17日2026年10月25日
中野輝規

担当者から「ブログに書くことがなくなりました」と言われてネタ出しの会議を開いても、翌月には同じ言葉が返ってくる。

企業ブログのネタは、お客様から受けた質問、現場で下した判断、社内に残っている説明資料から集められます。

この3種類の情報は、すでに社内の誰かが持っています。質問を受けた人がその日のうちに台帳に1行残し、月に1回、短い時間で採否を決めれば、ネタは補充され続けます。

集めたネタは、そのまま公開できるとは限りません。公開の前に、営業秘密、取引先との約束、個人情報、広告表示のルールの4つを確かめます。

社長や管理職が決めるのは、ネタを集める経路、公開してよい線、担当者に任せる範囲の3つです。記事を書く作業は担当者が担えます。

この記事で引く資料は、経済産業省の営業秘密のページと営業秘密管理指針、不正競争防止法・景品表示法・個人情報保護法の条文、消費者庁のステルスマーケティング告示と運用基準とQ&A、個人情報保護委員会のQ&A、Googleの検索セントラルと検索品質評価ガイドラインです。いずれも2026年10月25日に原文を開いて確かめました。

目次

先に結論:ネタの出どころ6つと、公開前の4つの確認

次の表は、社内にあるネタの出どころ6つと、公開前にそれぞれで特に見る点をまとめたものです。自社でいちばん持っていそうな行から読んでください。

出どころ 持っている人 公開前に特に見る点
1 お客様の質問 営業・受付・サポート 個人情報(氏名を外す)、取引先との約束(社名)
2 見積もりや提案で説明した内容 営業・現場責任者 取引先との約束、営業秘密(原価や仕入れの条件)
3 現場の判断と失敗 現場担当・管理職 営業秘密(製造や施工の方法)、取引先との約束
4 お客様の声と事例 営業・窓口 個人情報、取引先との約束、広告表示、営業秘密(取引条件)
5 社内の説明資料と会議のメモ 管理職・各部門 営業秘密(社内限りの資料かどうか)
6 経営判断の理由 社長・役員 営業秘密、取引先との約束、広告表示(効果の言い切り)

出どころ1・2・4は仕事の中で日々発生するので、受けた人が台帳に残します。3・5・6は、月に1回の聞き取りで拾います。

状況別の最初の一手

いまの状況によって、最初に手を付ける場所が変わります。

いまの状況 起きていること 最初にすること 読む節
担当者が「ネタがない」と言っている 社内の情報が担当者に届いていない 直近のお客様の質問を10件、受けた人が1行ずつ書き出す 社内からネタを集める6つの経路
書きたい話はあるが、公開してよいか判断できない 公開の線が社内で決まっていない 4つの確認の表を担当者と一緒に読み、秘密として扱う情報をカテゴリで書く 公開してよいかを決める線引き
担当者を置けず、社長や管理職が時間を作っている 書く時間が取れず続かない 月に1回15分話し、聞き手が文字にする 集める仕組みを、台帳と月1回15分に落とす
外注や生成AIで原稿を作っている 社内の情報が入らず、内容が薄くなりやすい 台帳を渡し、公開前の確認は自社で行う 担当者に任せることと、経営側が決めること
確認なしで公開した記事がある 取引先名や写真、数字が入っているかもしれない それらが入った記事から点検する 公開後に問題が見つかったとき

ネタが切れる原因は、集める経路にあることが多い

ネタが切れると、書く人の発想が尽きたように見えます。筆者の見立てでは、社内で起きていることがブログ担当者の手元に届いていない状態が先にあります。

「ひねり出す」方式は、毎月やり直しになる

ネタ出し会議は、参加者の記憶と思いつきに頼ります。出尽くした後は、同じ人が同じ会議をもう一度開くことになります。

社内では毎日、質問を受け、判断を下し、説明の資料を作っています。出来事は毎日起きているので、記録する仕組みがあれば、その出来事がそのままネタになります。

現場の情報は、ブログ担当者に届きにくい

お客様の質問は営業が受け、判断は現場責任者が下し、説明資料は各部門のフォルダにあります。ブログ担当者が総務や広報にいると、この3つのどれにも触れる機会がありません。

担当者が「ネタがない」と言うとき、実際には見えていないだけの場合があります。道を作るのは、部門をまたいで依頼できる管理職の役割です。

Googleが問う「独自の情報」と「実際の経験」

Googleは、有用で信頼性の高いコンテンツを作るための自己評価の質問を、検索セントラルで公開しています。その中に、次の質問があります。

コンテンツは、独自の情報、レポート、研究、分析を提供していますか。

コンテンツは、実体験や深い知識(たとえば、実際に商品やサービスを使用したり、ある場所を訪れたりした経験に基づく特別な知識)を明確に示していますか。

同じページの別の項目は、「検索トラフィックを獲得できると考えて、実際の経験がないにもかかわらず、ニッチなトピックを扱うことにしましたか。」と問いかけています。このページの最終更新日は協定世界時で2026年10月7日でした。

筆者の読みでは、お客様の質問や現場の判断を題材にすることは、これらの質問に正面から答える作り方にあたります。

社内からネタを集める6つの経路

社内のネタは、6つの経路に分けられます。経路ごとに、持っている人、集め方、公開前に見る点が違います。

経路1:お客様の質問を、受けた人が1行で残す

営業や受付が受ける質問は、お客様が実際に知りたいことそのものです。例として、「見積もりは何日で出ますか」「契約の前に何を用意すればよいですか」といった質問があります。

質問を受けた人が、その日のうちに台帳へ1行書きます。ブログ担当者が営業に聞いて回る形にすると、聞かれる側の負担が大きくなり、続きにくくなります。

同じ質問が繰り返し来るなら、検索でも同じ言葉で探されている可能性があります。これは筆者の仮説で、公開後に検索の数字で確かめます。

経路2:見積もりや提案で、説明に時間がかかった箇所

提案書や見積書の中で、口頭の補足が必要になった箇所は、お客様が迷う場所です。補足した内容が、そのまま記事の骨格になります。

提案書には、取引先の固有の情報や原価が入っています。記事にするときは、一般化できる部分だけを取り出します。

経路3:現場の判断と、うまくいかなかった記録

現場は毎日、マニュアルにない判断をしています。なぜその方法を選んだのか、別の方法をやめた理由は何かを、現場責任者に聞きます。

うまくいかなかった記録からは、同じ失敗を避けたい読者の役に立つ内容が出てきます。

施工や製造の細かな手順は、営業秘密に当たる場合があります。公開の線は、後の節で決めます。

経路4:お客様の声と事例

お客様の声は、読者が自分の状況に重ねやすい素材です。

載せるには、営業秘密、取引先との約束、個人情報、広告表示の4つの確認がすべて関わり、お客様本人の同意も要ります。この経路は、仕組みが回り始めてから加えるのが安全です。

載せ方と依頼のしかたは、口コミ・レビューとAI検索の記事にまとめています。

経路5:社内の説明資料と会議のメモ

新人向けの手引き、他部門への説明資料、会議の議事録には、すでに文章になった説明があります。書き起こす手間が小さい素材です。

社内限りの資料は、秘密として扱っている情報が集まる場所でもあります。記事にする前に、その資料を社内限りと決めているかを確かめます。

経路6:経営判断の理由を、聞き取りの場で話す

価格の考え方、断る仕事の基準、ある仕様を採用した理由といった経営判断には、社内でも外でも説明されていない「なぜ」が残っています。月1回の聞き取りの場で社長や管理職が話し、聞き手が文字にします。

話した人の名前と肩書きを記事に載せると、著者が誰かを問うGoogleの質問にも答えられます。Googleのページは、「コンテンツの著者が誰であるかを明確にしていますか。」と問いかけています。

経営判断の理由には、価格や取引条件が混ざります。営業秘密と取引先との約束の確認を、必ず通します。

6つの経路の窓口・頻度・向く記事

経路 集める窓口 集める頻度 向く記事の型
1 お客様の質問 営業・受付 質問を受けた日 質問に答える記事
2 見積もりや提案 営業 提案のたび 選び方や判断の基準を説明する記事
3 現場の判断と失敗 現場責任者 月に1回 手順の理由や、失敗の避け方を書く記事
4 お客様の声と事例 営業・窓口 納品の後 利用した人の状況を伝える記事
5 社内の説明資料 管理職 月に1回 用語や業務の流れを整理する記事
6 経営判断の理由 社長・役員 月に1回 考え方を伝える記事

集める仕組みを、台帳と月1回15分に落とす

経路を決めただけでは、情報は流れ始めません。記録する場所と、採否を決める時間を決めます。

ネタ台帳に書く6つの項目

台帳は、表計算ソフトの1枚で足ります。列は次の6つです。

項目 書くこと 書き方の例
日付 質問を受けた日、判断を下した日 10月3日
出どころ 6つの経路のどれか 経路1 お客様の質問
内容 質問や出来事を、お客様の言葉のまま1行で 「見積もりはいつまで使えるのか」と聞かれた
社内の答え いま会社として答えている内容を1〜2行で 有効期間は発行日から○日
公開の確認 営業秘密・取引先・個人情報・広告表示の順に、確認の結果を○か×で ○ ○ × ○
状態 未着手、執筆中、公開済み、見送りのどれか 見送り(理由を併記)

「内容」の欄は、お客様の言葉のまま書きます。社内の用語に直して書くと、後で検索される言葉に戻す手間が増えます。

見送りにしたネタは、理由も残します。担当者が替わっても、同じ判断をやり直さずに済みます。

月1回15分の聞き取りの進め方

台帳に自然には載らない経路3・5・6は、月に1回の聞き取りで拾います。聞き手はブログ担当者が務め、管理職が部門ごとに1件ずつ、「今月、お客様や他部門に説明した話」を出します。日々の質問は受けた人が台帳に書くので、この場は書き漏れを月に1回まとめて補う時間です。同じ15分の中で、担当者が台帳から選んだ候補の採否も決めます。

時間は15分に区切ります。長くすると予定に入れにくくなり、途中で消えやすくなります。15分という長さは、筆者の運用上の提案です。

聞き取りを録音して文字にする場合は、話す人の同意を得ます。

15分に収めるには、聞くことを相手ごとにあらかじめ決めておきます。次は筆者が提案する質問の例です。

聞く相手 聞くこと(例) 台帳での出どころ
営業 今月、同じ質問を2回以上受けたものはありますか 経路1 お客様の質問
営業 提案で口頭の補足が必要だった箇所はどこですか 経路2 見積もりや提案
現場責任者 今月、マニュアルにない判断をした場面はありますか。その理由は何ですか 経路3 現場の判断
現場責任者 やり直しになった作業は何でしたか。原因は何でしたか 経路3 現場の判断
管理職 他部門に説明するために作った資料はありますか 経路5 社内の説明資料
社長・役員 今月下した判断のうち、社外にまだ説明していないものはありますか 経路6 経営判断の理由

答えが出なかった質問は、翌月に聞き直します。答えの出ない月があっても、聞く場を残しておくことが続ける条件になります。

流れを図で確認する

集めてから公開するまでの全体の流れを、1枚にまとめます。3と4の中身は、このあとの節で説明します。

社内の声から公開までの流れ 1 社内の声 お客様の質問・現場の判断・説明資料 受けた人が1行で書く 2 ネタ台帳 日付・出どころ・内容・社内の答え 月1回15分で採否を決める 3 公開前の4つの確認 営業秘密・取引先との約束・個人情報・広告表示 4つとも○のものだけ 4 執筆と公開 題はお客様が検索する言葉に直す
3で止まったネタは、台帳の「状態」を「見送り」にして、止まった理由を残します。

ネタを選ぶ5つの基準

台帳に行が溜まったら、次の基準で優先順位を付けます。複数に当てはまるネタから先に書きます。

基準 見るところ 理由
1 同じ質問が複数回ある 台帳に同じ内容が3回以上ある(筆者の目安。聞き取りでは2回から拾い、3回で優先する) 多くのお客様に共通する疑問の可能性がある
2 契約や購入の前に必ず聞かれる 営業が把握している質問か お客様が判断する直前の疑問は、答えが役に立ちやすい
3 社内で答えが分かれている 担当者によって回答が違わないか 記事にすると、社内の答えもそろう
4 検索しても答えが見つからない お客様の言葉で検索して確かめる 自社の情報を足せる余地がある
5 公開前の確認が軽い 4つの確認(後の節)で引っかかりそうな点が少ないか 早く公開でき、仕組みが回る実感が持てる

検索される言葉に直して、ネタを記事の題にする

台帳のネタは、社内の言葉で書かれています。お客様が検索する言葉に直してから、記事の題にします。

検索の意図は4つに分けて考えられる

Googleが検索品質評価者に向けて公開している「General Guidelines」(2025年9月11日版・英語)は、検索の意図を次のように整理しています。

It can be helpful to think of queries as having one or more of the following intents. Know query, some of which are Know Simple queries. Do query, when the user is trying to accomplish a goal or engage in an activity. Website query, when the user is looking for a specific website or webpage. Visit-in-person query, some of which are looking for a specific business or organization, some of which are looking for a category of businesses.

筆者による日本語訳は、検索は1つ以上の意図を持つと考えると役に立つ、という前置きに続けて、知りたい検索、目的を達成したい検索、特定のサイトを探す検索、実際に訪れる場所を探す検索の4つを挙げている、というものです。

検索の意図 検索する人 ブログでの扱い
知りたい(Know) 情報を探している、テーマを調べている 質問に答える記事。台帳のネタの多くがここに入る
目的を達成したい(Do) 申し込み、購入、ダウンロードなどをしたい 記事の末尾に、申し込み先や資料への案内を置く
特定のサイトを探す(Website) 会社名やサービス名で探している 会社概要や実績のページが受け皿になる
訪れる場所を探す 近くの店舗や事務所を探している 地図や店舗情報のページが受け皿になる

同じ文書の冒頭で、ガイドラインは次のようにも書いています。

No single rating can directly impact how a particular webpage, website, or result appears in Google Search

筆者訳では、個々の評価が特定のページの検索結果での見え方を直接左右することはない、という意味です。ガイドラインは検索順位の仕様書として読むものではありません。

この記事では、検索の意図を考えるための整理として借りています。

社内の言葉を、お客様の言葉に直す

社内で使う言葉は、お客様の言葉と違うことがあります。例として、社内で「納期調整」と呼ぶ作業を、お客様は「いつ届きますか」と聞いてきます。

台帳の「内容」の欄をお客様の言葉で書いておけば、そのまま題の候補になります。題の言葉を決めたら、その言葉でGoogleを検索して、どんな種類の記事が並ぶかを見ます。

社内の言葉(例) お客様の言葉(例) 題の型(例)
納期調整 いつ届くのか 注文してから届くまでの流れと、日数が変わる場合
仕様確認 何を決めておけばよいのか 注文の前に決めておくこと
見積もりの有効期間 見積もりはいつまで使えるのか 見積もりの有効期間と、期限が切れたときの手続き

上の3行は例です。自社の言葉は、台帳に溜まった質問から拾います。

検索結果に並ぶ記事と、自社の答えを比べる

筆者が2026年10月21日に「企業ブログ ネタ」の検索結果の上位9ページを確認したところ、ネタを30や50並べる一覧型の記事が目立ちました。

一覧型の記事が示すのは、ネタの種類です。どの質問が自社のお客様から実際に来ているかは、自社の台帳にしかありません。

台帳の「社内の答え」が、検索結果に並ぶ記事と同じ内容になるなら、その題は後回しにします。自社にしか書けない答えが入ったネタから先に書きます。

公開してよいかを決める線引き:4つの確認

台帳のネタは、公開の前に4つの確認を通します。4つとも○が付いたものだけを書き、公開します。

確認 問い 主な根拠 迷ったとき
営業秘密 社内で秘密として管理している情報が入っていないか 不正競争防止法第2条第6項、営業秘密管理指針 一般化できる部分だけを残す。残せなければ見送る
取引先との約束 契約や秘密保持の約束に触れないか。相手の同意はあるか 取引ごとの契約書 相手にメールで確認を取る
個人情報 氏名や顔写真など、特定の個人が分かる情報が入っていないか 個人情報保護法第2条第1項、個人情報保護委員会のQ&A 外す。または、本人の同意を文書で得る
広告表示 効果や実績が実際より良く見えないか。会社の表示だと分かるか 景品表示法第5条、ステルスマーケティング告示と運用基準 根拠資料を確かめる。会社が依頼や指示をした内容は、その旨を書く

4つを通す順番

確認は、営業秘密、取引先との約束、個人情報、広告表示の順に通します。これは筆者の整理です。

営業秘密で止まったネタは、書き方を変えても公開できないことがあります。取引先との約束は相手の同意、個人情報は本人の同意、広告表示は書き方の見直しで通せる場合があります。

この記事の法令の説明について

この記事の法令の説明は、公開されている条文と官公庁の資料に基づく一般的な整理です。個別の案件への法的な助言ではありません。

迷う案件は、弁護士や所管の相談窓口に確認してください。

営業秘密:公開した情報は、秘密として扱いにくくなる

営業秘密は、4つの確認の中でも判断に迷いやすい領域です。ネタの多くが、会社の仕事のやり方そのものだからです。

営業秘密の定義と3つの要件

不正競争防止法第2条第6項は、営業秘密を次のように定めています。

この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。

経済産業省の営業秘密のページは、これを次のように説明しています。

不正競争防止法で定義されており、「有用性」「秘密管理性」「非公知性」の3つの要件を満たす情報です。

営業秘密管理指針の最終改訂は令和7年3月31日、経済産業省のページの更新日は2026年4月15日です。3つの要件を、管理指針の記述と合わせて表にします。

要件 営業秘密管理指針の記述 ブログとの関係
有用性 「その情報が客観的にみて、事業活動にとって有用であることが必要である。」 原価、顧客、手順など、事業に役立つ情報は有用性を持ちうる
秘密管理性 秘密管理の意思が、管理の措置によって従業員に明確に示され、従業員が認識できることが必要とされる 何を秘密とするかを、社内の人が分かる形にしているか
非公知性 「一般的には知られておらず、又は容易に知ることができないことが必要である。」 ブログに書くと、誰でも読める状態になる

公開した部分は、非公知性を満たしにくくなる

管理指針は、非公知性の「公然と知られていない」状態を、次のように説明しています。

「公然と知られていない」状態とは、当該営業秘密が一般的に知られた状態になっていない状態、又は容易に知ることができない状態である。

ブログに書いた内容は、検索すれば誰でも読めます。筆者の読みでは、公開した情報は「容易に知ることができない状態」でなくなるため、その部分を営業秘密として扱い続けることが難しくなります。

言い切れるのは、公開した部分についてまでです。ブログに載せなかった残りの情報は、別に判断されます。

ブログのネタで混ざりやすい情報の例

営業秘密に当たるかどうかは、情報の中身と管理の状況で決まります。一覧で判定する方法はありません。

次はネタ出しの場面で混ざりやすい例です。

例 混ざりやすい経路 公開するときの扱い
原価や仕入れ先の条件 経路2 見積もりや提案 数字や取引先を外し、考え方だけを書く
製造や施工の細かな手順 経路3 現場の判断 お客様が選ぶときに必要な範囲に絞る
顧客ごとの取引条件 経路4 お客様の声と事例 取引先との約束の確認も通す
未発表の商品や計画 経路6 経営判断の理由 公開の時期を決めてから書く

上の4つは例で、自社の情報がこれに当たるとは限りません。

社内で秘密の範囲を決めて、担当者に伝える

管理指針は、秘密管理性について、秘密にしたいと思っているだけでは足りないと述べています。

秘密管理性要件が満たされるためには、営業秘密保有者が当該情報を秘密であると単に主観的に認識しているだけでは不十分である。

同じ管理指針は、必要な管理の程度について、次のように書いています。

具体的に必要な秘密管理措置の内容・程度は、企業の規模、業態、従業員等の職務、情報の性質その他の事情の如何によって異なるものであり

どこまで管理すれば足りるかは、会社ごとに違います。社長の頭の中にだけ「これは秘密」という線があると、担当者は知らないまま書いてしまいます。管理職が決めるのは、秘密として扱う情報のカテゴリの一覧と、それ以外は公開してよいという線です。

一覧は細かく作らなくても、「原価」「仕入れ先の条件」「顧客別の取引条件」のようなカテゴリで書けば足ります。書いた一覧を、ブログ担当者と外注先に渡します。

取引先との約束:守秘義務と、事例の載せ方

取引先との約束の中身は、取引ごとの契約書にあります。一般論で答えが出る領域ではないため、この節では確認の手順を書きます。

契約書の守秘義務を、事例を書く前に確かめる

取引の基本契約や秘密保持契約には、取引で知った情報を取引の目的以外に使わないという約束が入っていることがあります。記事にするネタが、その約束に触れないかを確かめます。

確認する対象は、取引先の名前、取引の内容、金額や数量、図面や仕様、取引先の社内の様子です。

契約書の文言を読んで判断するのは、法務や弁護士の役割です。管理職は、営業に「この取引先との契約に、守秘の約束があるか」を事例の候補ごとに確認させます。

取引先の名前を出さずに書ける範囲

名前を出さないときは、取引先を特定できない形に直します。業種、規模、地域のうち、組み合わせると1社に絞れてしまう情報は外します。

事例が足りないからといって、実在しない会社の話を作って補うことは避けます。事実を一般化して、「この種の依頼では」と書くか、事例の部分を空けて判断の理由だけを書きます。

掲載の同意を、メールで残す

取引先に名前や数字の掲載を頼むときは、載せる範囲を具体的に示し、同意を文書で残します。口頭の了解では、後から範囲を確かめられません。

確認する項目 相手に示すこと 残す記録
載せる範囲 社名、写真、数字、図面のどれを載せるか 範囲を書いた依頼文と、それに対する返信
文面の確認 公開前の原稿 原稿を送った日付と、確認した人の肩書き
掲載の期間と取り下げ いつまで載せるか、取り下げの連絡先 取り下げの窓口と、受けたときの対応の手順
使う場所 ブログだけか、営業資料やSNSにも使うか 使う場所の一覧

この表は筆者の提案で、法律が定めた書式ではありません。

個人情報:お客様と社員の名前・顔を載せるとき

ブログに人の名前や顔を載せるときは、個人情報保護法の定義から確かめます。

氏名や顔写真は個人情報に当たる

個人情報保護法第2条第1項は、個人情報を、氏名や生年月日などの記述により「特定の個人を識別することができるもの」などと定めています。

個人情報保護委員会のQ&A(Q7-11)は、写真について「本人を判別可能な写真の画像は個人情報には該当します」と答えています。

写真についての個人情報保護委員会のQ&Aと、ブログでの読み方

Q7-11が想定しているのは、会社の行事で撮影した写真を社内で展示する場合です。ブログは社外に公開するので、状況が違います。

この回答をそのままブログに当てはめることはできません。

回答は、社内展示で本人の同意を得ていなくても、個人データの第三者提供を制限する法第27条第1項に違反するおそれはないとしたうえで、利用目的の通知または公表は必要としています(法第21条第1項)。

さらに回答は、次のように述べています。

なお、プライバシーの権利や肖像権の侵害に当たる場合もあるため、例えば展示期間を限定したり、不特定多数の者への提供に際しては自主的に本人の同意を得る等の取組が望ましいと考えられます。

ブログは不特定多数の人が読みます。筆者はこの回答の趣旨にならい、顔や名前が分かる写真は、本人の同意を得てから載せることを勧めます。

社員の顔や名前を載せるとき

社員紹介や現場の写真にも、同じ考え方を当てはめます。本人に載せる範囲を伝え、同意をメールで残します。

退職した後の扱いも、先に決めておきます。本人から取り下げの希望があったときに、誰が受け、どのくらいの期間で対応するかを、社内の規程に書きます。

お客様の問い合わせ文面は、個人が分からない形にして使う

質問の文面をネタにするときは、氏名、会社名、連絡先、日付、地名、固有の数字を外し、質問の趣旨だけを残します。

質問を件数や割合に集計して載せる場合について、個人情報保護委員会のQ&A(Q1-17)は、複数人の情報を集計した統計情報について、次のように答えています。

特定の個人との対応関係が排斥されている限りにおいては、「個人に関する情報」に該当するものではないため、「個人情報」にも該当しないと考えられます。

載せたいもの 判断 載せ方
お客様の氏名 個人が特定できる 同意をメールで取る。取れなければ外す
顔が写った写真 本人を判別できれば個人情報 同意を取る。取れなければ、顔が写らない構図にする
問い合わせの文面 文面に特定の個人が分かる記述がある 氏名などを外して、趣旨だけを残す
社員の名前・顔 本人を判別できれば個人情報 載せる範囲を伝えて、同意を残す
集計した件数や割合 特定の個人に結びつかなければ個人情報に当たらないと考えられる 出典と集計の期間を併せて書く

広告表示のルール:景品表示法とステマ規制

消費者庁のステルスマーケティング運用基準は、事業者自身のウェブサイトにおける表示を、事業者の表示の例として挙げています。ブログに商品やサービスの品質や価格を書くときは、景品表示法の不当表示の規制を意識して書きます。

景品表示法が禁じる2つの誇大表示

景品表示法第5条第1号は、商品やサービスの品質を「実際のものよりも著しく優良であると示し」た表示を禁じています。優良誤認と呼ばれます。

第2号は、価格などの取引条件について、「著しく有利であると一般消費者に誤認される表示」を禁じています。有利誤認と呼ばれます。

どちらも、「不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」に限られます。

ブログでは、「業界初」「地域で一番」「必ず効果が出る」といった言い切りが第1号に、「今だけ」「限定」のような取引条件の言い切りが第2号に関わります。

言い切りを書くなら、根拠資料を残す

第7条第2項は、内閣総理大臣が措置命令(違反行為の差止めや再発防止策などを命じる処分)に関して、表示が第5条第1号に当たるかを判断するために必要があるときは、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求められると定めています。

資料を提出しないときは、その表示は第1号に該当する表示とみなされます。

管理職が決めるのは、数字や順位を書くときの根拠資料を、どこに保管し、誰が確かめるかです。台帳の「社内の答え」の欄に、根拠資料の置き場所も書き添えておくと追いかけられます。

ブログで見かける言い切りは、確かめる項目を決めておくと直しやすくなります。次は筆者の整理で、個々の表現が適法かどうかを判断したものではありません。

言い切りの例 確かめること 直し方の型
「業界初」 初であると言える範囲と時点を示す資料があるか 範囲と時点を明示する。資料がなければ書かない
「地域で一番」 何を基準にした一番か。調べた主体、時点、対象は何か 調査の主体、時点、対象を添える
「必ず効果が出る」 効果を裏付ける資料があるか。例外はないか 「必ず」を外し、実際に確かめた事実だけを書く
「今だけ」「限定」 期限や数量が実際に決まっているか 実際の期限と数量を書く

課徴金と措置命令

第8条第1項は、第5条第1号または第2号に当たる表示をした事業者に、課徴金の対象となる期間(下で説明します)に取引した商品やサービスの売上額に100分の3を乗じた額の課徴金の納付を命ずると定めています。

ただし、その表示が優良誤認または有利誤認に当たることを知らず、知らないことにつき相当の注意を怠った者でないと認められるときなどは、納付を命ずることができません。

課徴金の対象となる期間は、第8条第2項により、最長で3年です。

ステルスマーケティング告示(次の節で説明します)に違反しただけの場合は、課徴金の対象にならず、措置命令の対象になります。内容に優良誤認や有利誤認が含まれるときは、課徴金の対象になることがあります(消費者庁のQ&A Q2)。

ステルスマーケティング告示は何を定めているか

令和5年内閣府告示第19号「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」は、景品表示法第5条第3号に基づく指定で、2023年10月1日に施行されました。

告示の本文は次のとおりです。

事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの

事業者が行った表示なのに、読む人には事業者の表示と分からない状態を指します。

自社ブログは対象になるのか

会社が自社ブログに自分の立場で書いた記事は、会社の表示だと分かるものの例に当たります。運用基準は、事業者自身のウェブサイトにおける表示を、事業者の表示であることが明瞭なものの例に挙げています(第3の2(2)オ)。

ただし、自社サイトでも例外があります。専門家やお客様の客観的な意見のように見えるのに、実際は会社が依頼や指示をして書かせた内容や、会社が自分で作った文章の場合は、会社の表示であることを明瞭に示す必要があります(同(ア))。

運用基準は、依頼して載せた内容に付ける表示の文例を、次のように挙げています。

「弊社から○○先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。」

公式ブログなら何を書いても告示の問題にならない、と覚えるのは危険です。上の例外にあたる記述が入っていないかを、公開前の確認に加えます。

お客様の声と専門家のコメントの載せ方

消費者庁のQ&A(Q10)は、アンケートの回答を「お客様の声」として自社サイトに載せる場合を取り上げています。

消費者庁は、無作為に選んだ回答を引用して載せるなら「事業者の表示」に当たらない、と答えています。好意的な回答だけを選ぶ場合や、「良い点」と「悪い点」を挙げた回答から「良い点」の部分だけを引用する場合は「事業者の表示」に当たるとしており、明瞭にしなければ告示に違反します。

運用基準の第2の2(1)キも、第三者の表示を恣意的に抽出せず、内容に変更を加えずにそのまま引用することを、事業者の表示に当たらない条件に挙げています。

実務では、お客様の声を選ぶ基準を、線引きの文章に書いておきます。「届いた順に全件」「抽選」のように決めておけば、後から説明できます。

専門家のコメントを会社が依頼して載せるときは、依頼したことを近くに書きます。

社長や管理職が個人のSNSで発信するとき

消費者庁のQ&A(Q3)は、従業員が自分のSNSで自社商品の感想を投稿しても、それだけで直ちに告示に違反するとは判断されないと答えています。

ただし、その従業員の地位、立場、権限、担当業務、表示目的によっては、事業者が表示内容の決定に関与していると認められ、「事業者の表示」に当たる場合があります。運用基準は、その例に「販売や開発に係る役員、管理職、担当チームの一員等」を挙げています(第2の1(1))。

Q12は、「私は○○社の社員です」と所属を書くだけでは、事業者の表示であることが明瞭になっているとは必ずしもいえない、と答えています。

社長や管理職が、会社のブログの記事を個人のSNSで紹介するときは、事業者の表示に当たりうることを前提に、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」のような文言を付けて明瞭にします。

場面 判断 根拠 公開前の対応
自社ブログで自社の商品を説明する 事業者の表示であることは通常明らか 運用基準 第3の2(2)オ 品質や価格の言い切りは、景品表示法第5条に照らす
専門家のコメントを会社が依頼して載せる 会社の表示 運用基準 第3の2(2)オ(ア)(イ) 依頼して掲載している旨を近くに書く
アンケートの回答を「お客様の声」にする 無作為に選んで原文のまま載せるなら、事業者の表示に当たらないと考えられる。好意的なものだけを選ぶなら、事業者の表示 消費者庁Q&A Q10 選ぶ基準を決め、原文のまま載せる
管理職が個人のSNSで自社商品を宣伝する 事業者の表示に当たりうる 消費者庁Q&A Q3 「広告」「PR」などで明示する
所属を書くだけの投稿 明瞭とは必ずしもいえない 消費者庁Q&A Q12 「広告」「PR」などの文言を付ける

担当者に任せることと、経営側が決めること

最初に挙げた3つを、順に決めます。ネタを集める経路、公開してよい線、担当者に任せる範囲です。

ネタを集める経路を決める

6つの経路のうち、どれを自社で使うかを決め、窓口になる人を指名します。台帳の置き場所と、書き込める人の範囲も、同じ場で決めます。

決めた経路は、ブログ担当者の仕事にせず、各部門の日常業務に1行の手間として組み込みます。

公開してよい線を決める

4つの確認ごとに、社内の線を文章にします。秘密として扱う情報のカテゴリ、掲載に同意が必要な取引先、写真の扱い、数字を書くときの根拠資料の置き場所です。

文章にした線は、ブログ担当者と、外注先や生成AIを使う人にも渡します。

担当者に任せる範囲を決める

項目 経営側が決めること 担当者に任せること
ネタの採否 優先する経路と選ぶ基準 台帳からの選定
公開してよい情報 線引きの文章 線に照らした確認と、○×の記入
取引先名や写真の掲載 同意の取り方の型 同意の依頼と、記録の保管
数字や順位の記載 根拠資料の保管場所と、確認する人 根拠資料の添付
題・文章・公開日 目的と、想定する読者 書き方と日程
迷ったとき 相談先と、回答の期限(例:2営業日以内) 相談と、結果の台帳への記録

最初の3か月は、公開の前に管理職が目を通します。判断が安定したら、4つとも○が付いたものは担当者の判断で公開する運用に移します。3か月という期間も、筆者の提案です。

外注や生成AIを使うときに、自社で確かめること

Googleの自己評価の質問には、「コンテンツが(外部委託されるなどして)多数のクリエイターによって大量に制作されているために、または複数サイトの大規模なネットワークに拡散されているために、個々のページまたはサイトのプレゼンスが低下していませんか。」という項目があります。

この質問が挙げているのは、大量に制作された結果、個々のページの存在感が下がる状況です。

生成AIについて、Googleの検索セントラルは次のように書いています(最終更新日は協定世界時で2026年10月6日)。

AI 生成コンテンツを公開する前に、手動でファクト チェックを行い、正確性と信頼性を確認することが重要です。

Googleのスパムポリシーは、大量生成されたコンテンツの不正使用を、「検索ランキングの操作を主な目的として大量のページを生成すること」と説明しています(最終更新日は協定世界時で2026年9月2日)。

社内の資料を外注先や生成AIのサービスに渡す前に、その資料が営業秘密や取引先の秘密情報に当たらないかを確かめます。外注先とは、秘密保持の取り決めを結びます。

ネタの流れが止まったときの見直し

仕組みを作っても、数か月で止まることがあります。止まり方ごとに、見直すところが違います。表のうち3つを、下で補足します。

症状 起きていること 見直すところ
台帳に行が増えない 書く手間が大きい。窓口が知られていない 入力を日付と1行に減らす。窓口を朝礼などで周知する
台帳は増えるのに公開が進まない 公開前の確認で止まっている 相談先と回答の期限を決める。止まった理由を台帳に書く
同じ種類の記事ばかりになる 経路が1つに偏っている 使っていない経路の窓口を指名する
公開しても問い合わせにつながらない 題が社内の言葉のまま。または読者がずれている 題を検索される言葉に直す。読者を見直す
担当者が替わって止まった 判断の理由が残っていない 見送りの理由と、線引きの文章を引き継ぐ

台帳が増えないとき

原因の多くは、書く手間と、窓口の認知です。入力を日付と1行だけに減らし、誰が窓口かを部門の集まりで伝えます。

月1回の聞き取りの前に、管理職が自部門のネタを1件書いておくと、台帳が使われる場所だと伝わります。これは筆者の提案です。

台帳はあるのに公開されないとき

公開前の確認で止まっているなら、確認の相談先と回答の期限を決めます。期限が決まっていないと、担当者は返事を待つあいだ、次の記事に進めません。

止まった理由を台帳に残すと、同じ理由で止まるネタの傾向が見えてきます。傾向が見えたら、線引きの文章を直します。

公開しても反応がないとき

題が社内の言葉のままか、読者が想定とずれているかを疑います。読者の決め方はブログのターゲットの決め方の記事に、手順をまとめています。

読者の反応を次のネタにつなげる考え方は、ブログのネタ切れを解消する記事で扱っています。

オウンドメディア全体の運用の組み方は、社員1〜2人で回すBtoBオウンドメディアの記事が参考になります。

公開後に問題が見つかったとき

確認を通しても、公開後に問題が見つかることがあります。初動を先に決めておくと、判断が遅れません。

まず記事を非公開に戻す

営業秘密や個人情報、取引先の情報が入っていると分かったら、記事を下書きに戻して、読める状態をなくします。この判断をする人を、あらかじめ決めておきます。

非公開にした日時と理由を、台帳に残します。

関係者への連絡と、同じ経路の点検

取引先や本人に関わる内容なら、非公開にしたあと、直す前に連絡します。連絡は管理職が行います。

記事を書いた担当者に任せると、判断が個人に集中するためです。

同じ経路から出た他の記事にも、同じ問題が入っていないかを点検します。どの法令に当たるかの判断は、弁護士に相談します。

対応の記録に残す項目

対応が済んだら、台帳の同じ行か別の表に、次の項目を残します。担当者が替わっても、同じ対応をやり直さずに済みます。

項目 書くこと 理由
見つかった日時と見つけた人 社内の誰が、いつ気づいたか 対応の速さを後から確かめられる
問題の内容 どの記事の、どの部分か 同じ経路の記事を点検する手がかりになる
非公開にした日時 下書きに戻した時刻 読める状態だった期間が分かる
連絡した相手と日付 取引先、本人、社内の関係者 連絡漏れを防ぐ
直した内容と、再公開の判断 どう直し、誰が再公開を決めたか 線引きの文章を見直す材料になる

記録を読み返して、同じ種類の問題が2回目に出ていたら、線引きの文章にその種類を書き足します。

よくある質問

ネタ台帳は、誰が付けるのですか。

質問を受けた人、判断を下した人が、その日のうちに付けます。ブログ担当者が聞いて回る方式は、聞かれる側の手間が増えて続きにくくなります。

担当者は、台帳を読んで採否の材料をそろえる側に回ります。

公式ブログなら、広告だと書かなくてよいのですか。

運用基準は、事業者自身のウェブサイトを、事業者の表示が明らかなものの例に挙げています。ただし、専門家やお客様の意見のように見せて実は会社が依頼・作成した内容が入る場合は、その旨を書く必要があります。

景品表示法第5条の誇大表示の規制は、広告である旨を書いても別に適用されます。

お客様の写真は、同意なしで載せてよいですか。

個人情報保護委員会のQ&A(Q7-11)は、会社の行事の写真を社内で展示する場合を扱っていて、ブログ掲載をそのまま扱ったものではありません。同じ回答が、不特定多数への提供では自主的に本人の同意を得る取組が望ましいとしているため、筆者は同意を得て載せることを勧めます。

社長や管理職が個人のSNSで会社の商品を紹介してもよいですか。

紹介すること自体は禁じられていません。ただし、地位や立場によっては事業者の表示に当たり、その場合は「広告」「PR」などで明瞭にする必要があります(消費者庁のQ&A Q3、Q12)。

生成AIで下書きを作ってもよいですか。

Googleは、公開前に手動でファクトチェックを行うことを求めています。社内の秘密情報や個人情報をサービスに入力しないことも、あらかじめ決めておきます。

まとめ

企業ブログのネタは、お客様から受けた質問、現場で下した判断、社内に残っている説明資料から集められます。質問を受けた人が台帳に1行書き、月に1回15分で採否を決める仕組みにすると、ブログ担当者が一人でひねり出す必要がなくなります。

公開の前には、営業秘密、取引先との約束、個人情報、広告表示の4つを確かめます。根拠は上の各節に条文と資料の名前で書きました。

個別の案件は専門家に確認してください。

最初の一歩は、直近のお客様の質問を10件、今日書き出すことです。

今日できる点検

点検すること 確かめる内容 当てはまったときの次の作業
直近のお客様の質問を10件、1行ずつ書き出す 同じ質問が重なっているか 重なった質問を、台帳の最初の行にする
ネタ台帳を1枚作る 6つの項目の列があるか 営業と現場に、窓口を1人ずつ指名する
秘密として扱う情報を、カテゴリで書く ブログ担当者と外注先がその一覧を持っているか 一覧を渡し、更新の担当を決める
事例にしたい取引先の契約に、守秘の約束があるかを営業に聞く 約束がある、または分からない取引先がないか 掲載の同意をメールで取る
公開済みの記事の、写真と氏名を点検する 本人の同意が残っているか 残っていなければ、外すか差し替える
公開済みの記事の、数字・順位・「一番」の言い切りを拾う 根拠資料があるか 資料の置き場所を決める。なければ表現を直す
専門家のコメントと「お客様の声」の欄を点検する 依頼したことや選び方が分かる書き方か 依頼したことを近くに書き、選ぶ基準を線引きの文章に書く

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合同会社謙虚 代表社員。20代から、売る言葉だけを仕事にしてきました。電話営業で受話器を握っていた時代から、数千社のWEB集客に関わったいままで。詳しいプロフィールはこちら

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