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  3. 閑散期の対策は繁忙期のうちに仕込む 次の来店を渡す順番と受け皿の作り方

閑散期の対策は繁忙期のうちに仕込む 次の来店を渡す順番と受け皿の作り方

2026 10/09
2026年10月9日
中野輝規
閑散期の対策は繁忙期のうちに仕込む 次の来店を渡す順番と受け皿の作り方

2月の火曜日、開店の準備を終えても、電話が鳴りません。

予約表を開くと、午後の枠がまるごと空いています。

窓の外を歩く人は少なく、スタッフ同士の会話も、いつもより小さくなります。

飲食店、美容室、工務店、洋服の店。季節で売上の波が大きい仕事をしている方なら、この静けさに覚えがあるはずです。

この記事は、閑散期に客が減って困っている中小の店舗や事業者の経営者に向けて書いています。

業種は問いません。飲食、美容、建設、アパレルの4つを例に、同じ考え方がどう形を変えるかを見ていきます。

最初にお伝えしたいことがあります。

閑散期の対策は、閑散期に入ってから考えると、打てる手がほとんど残っていません。

売上が落ちてから動くと、手元にあるのは値引きと、空いた時間だけになるからです。

閑散期の需要は、繁忙期のうちに仕込む。

この記事が伝えたいのは、これ1点です。

繁忙期に来てくれた客に、閑散期の来店理由を渡しておく。

そして、閑散期に新しく探している人が見つけられる場所を、先に作っておく。

この2つの順番を、具体的に書きます。

読み終えたとき、次の繁忙期に何をするかが1つ決まっていれば、この記事の役目は果たせたことになります。

目次

Q&Aサイトで見かけた、美容サロンの閑散期がつらいという相談

先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。

投稿されたのは2026年の2月で、美容系のサロンで働いている方からでした。

閑散期がつらすぎて泣きたい、すぐできる対策はないか

相談の文面は短いものでした。

閑散期がつらすぎる、すぐにできる対策があれば知りたい、という内容です。

長い説明はなく、泣きたいほどの気持ちだけが、ほぼそのまま書かれていました。

お客さんが来ない日が続くと、売上以上に、店にいる人の気持ちが先に削られます。

この相談は、そこをよく表しています。

寄せられた回答は、仕方がないことと、値下げくらいという内容だった

回答は1つでした。

2月と8月は人の動きが悪くなるので、仕方がない、という書き出しです。

続けて、よくある対策として、閑散期にサービスを足してお得感を出す方法や、新製品を出す時期を合わせて来店の意欲を高める方法が挙げられていました。

ただし、それらは前もって告知して前後の月から客を回してくる形になる、とも書かれています。

すでに閑散期に入っている場合は、価格を下げるくらいしか手がないのではないか、というのが回答の結論でした。

この回答は、半分は当たっていて、半分は手遅れの話をしている

この回答は、現実をよく見ています。

閑散期に入ってしまった後では、打てる手が少ないのは本当です。

一方で、回答の中にある「前もって告知して前後の月から客を回す」という部分に、答えの大半が入っています。

つまり、対策の本体は閑散期の前にある、ということです。

相談者が知りたかった「すぐにできること」は、閑散期の最中には小さな手しか残っていません。

大きな手は、閑散期が来る数か月前に打つものです。

相談の中で起きていること その奥にある問題 次に確かめること
閑散期がつらくて泣きたい 売上が落ちる時期を事前に見ていない 去年の同じ時期の売上を月別に見たか
すぐにできる対策を探している 打てる手が閑散期の最中には少ない 閑散期の3か月前に何をしたか
回答は仕方がない、で始まった 季節の波を変えられないものとして扱っている 波を平らにする仕込みを考えたか
手が残っているのは値下げだけ 来る理由を渡さないまま、値段だけで呼んでいる 値段以外に来店の理由があるか
前もって告知する方法は出ていた 告知は前の月に済ませる仕事になっている 告知の開始日を決めているか

閑散期に入ってから打てる手は、思ったより少ない

相談への回答がたどり着いた結論は、小さな店ほど感じていることでもあります。

ここでは、なぜ閑散期の最中には手が少ないのかを、仕組みとして整理します。

閑散期は、お客さんの予定がすでに決まった後に来る

閑散期が始まったとき、お客さんはすでに、その時期の予定を入れ終えています。

年末年始の次の月は財布を締める。年度末は仕事で忙しい。夏は暑くて出歩かない。

こうした理由で外出や買い物を減らす人に、突然の案内を出しても、予定は動きません。

予定が決まる前に声をかけるから、来店の理由が届くのです。

閑散期の最中に出せるのは、値下げと空き枠の案内くらいになる

売上が落ちた月に、慌てて出す案内は、だいたい2種類です。

割引の案内と、空いている枠の案内です。

どちらも、来る理由をお客さんに渡さず、安さや空きだけを見せています。

安さで呼んだ客は、次の閑散期にも安さを待ちます。

この積み重ねが、閑散期の売上を、さらに薄くしていきます。

空いた時間と気持ちの余裕は、動くための準備に使うものになる

閑散期の最中にできる最も価値のある仕事は、実は集客ではありません。

次の繁忙期に向けた準備と、その次の閑散期に向けた仕込みです。

空いた時間を、今月の売上を取り戻すために使うと、疲れだけが残ります。

次の波に備えて使うと、半年後の売上が変わります。

この考え方は、後の章で詳しく書きます。

繁忙期のうちは、閑散期のことを考える余裕がない

仕込みの時期が繁忙期だと言われても、現場は目の前の客で手一杯です。

忙しい最中に、次の来店のことまで考えられないのは当然です。

だからこそ、繁忙期のうちにやることは、手間のかからない形にしておく必要があります。

その形を、次の章から具体的に見ていきます。

閑散期の売上は、どこで落ちているのか

対策を考える前に、売上のどこが落ちているのかを分けて見ます。

同じ「客が減った」でも、原因によって、打つ手がまったく違うからです。

来店の人数が減るのか、1人あたりの買い物が減るのか

売上は、来た人数と、1人が使った量の掛け算で決まります。

閑散期にどちらが落ちているかは、店ごとに違います。

美容室であれば、来店の間隔が空いて人数が減ることが多く、飲食店であれば、人数は保っても注文が少なくなることがあります。

工務店や建設業では、そもそも相談の件数が減り、着工の月がずれることで売上の山が動きます。

まず、人数と量のどちらが落ちたのかを、去年の記録で見分けてください。

新しく来る人が減るのか、いつも来る人が減るのか

もう1つの分け方は、新規の客と常連の客です。

閑散期に落ちるのが新規だけなら、探している人に見つけてもらう仕組みが弱い状態です。

落ちるのが常連の来店なら、次に来る理由を渡していなかった状態です。

この2つは、まったく別の対策になります。

新規には「探したときに見つかる場所」を、常連には「次に来る理由」を、それぞれ前もって作ります。

落ちる時期は、店の外の事情で決まっている

閑散期は、店の努力が足りなくて来るのではありません。

お客さんの暮らしの都合が、先に決まっているのです。

寒さ、暑さ、給料日の前後、学校の休み、年度の切れ目。

こうした事情は店の側で変えられないので、変えられないものとして受け止め、その前に手を打つほうが、結果が出ます。

売上の落ち方 起きていること 前もって打つ手
人数が減る 来店の間隔が空いている 次の予約を帰り際に渡す
1人あたりが減る 買い足す理由がない 季節ごとの品を先に見せる
新規が減る 探されても見つからない 閑散期に探される言葉のページを作る
常連が減る 次に来る理由がない 閑散期だけの来店の理由を渡す
相談の件数が減る 検討の時期が過ぎている 検討が始まる前に情報を出す

業種ごとに、閑散期の形は違う

閑散期の時期も、落ち方も、業種によって違います。

自分の仕事の波の形を知ることが、対策の出発点になります。

飲食店は、1月から2月と8月に静かになりやすい

飲食の世界では、1月と2月、そして8月が、売上の下がりやすい時期だと言われています。

2月と8月は「ニッパチ」と呼ばれ、昔から店主の間で知られてきました。

ただし、観光地と繁華街では波の形が違い、ビジネス街では年度末や年度初めの影響を受けます。

同じ飲食店でも、立地によって閑散期はずれるので、全国の話をそのまま自分の店に当てはめないでください。

美容室は、年末年始の後と、梅雨や真夏に動きが鈍くなる

美容室は、年末に予約が集中し、年が明けると来店が落ちる店が多くあります。

また、梅雨の時期や真夏の暑い盛りも、動きが鈍くなる傾向があります。

ここも店の立地や客層で差があるので、予約表の過去の記録で確認するのが確実です。

美容室の場合、次の来店までの間隔が空くことで、閑散期が生まれる面があります。

建設業や工務店は、検討から着工までの時差がある

建設業や工務店の閑散期は、相談の件数が減る時期と、実際に工事が減る時期がずれて現れます。

相談が少ない月の数か月後に、着工が少なくなります。

つまり、閑散期の売上は、数か月前の相談の数で、すでに決まっているのです。

この時差があるぶん、閑散期の対策は、さらに前から始める必要があります。

アパレルは、季節の切り替わりの直前に動きが止まる

洋服の店では、季節の変わり目の直前に、客足が止まりやすくなります。

夏物が一段落し、秋物にはまだ早い時期は、買う理由が薄くなるからです。

ここでは、次の季節の品を、お客さんの頭の中に前もって置いておく必要があります。

業種 閑散期になりやすい時期の例 落ちる中身
飲食店 1月から2月、8月 来店の人数と、注文の量
美容室 年明け、梅雨、真夏 来店の間隔が空く
建設業 相談が減った数か月後 相談と着工の件数
アパレル 季節の変わり目の直前 買う理由が薄れる

閑散期に動きが止まる、もう1つの理由

季節の波以外にも、閑散期の売上を押し下げる要因があります。

それは、店の側の動きが止まってしまうことです。

売上が落ちると、発信も止まりやすくなる

売上が落ちた月は、気持ちも落ちます。

投稿の頻度が減り、案内の更新が止まり、お客さんから見ると「やっているのかどうか分からない店」になっていきます。

その結果、閑散期にたまたま探した人にも、選ばれにくくなります。

去年の閑散期の記録が、手元に残っていない

もう1つ多いのは、去年の記録が残っていないことです。

どの月に、何人来て、何が売れたのか。

記憶に頼っていると、「今年は特にひどい」と感じても、実際には毎年同じ波だった、ということが起きます。

月別の売上の数字を、紙1枚に書き出すだけで、対策の順番が見えてきます。

月別の売上を並べると、波の形が見える

去年と一昨年の月別の売上を、横に並べて書き出します。

2年分が揃うと、毎年同じ月に落ちているのか、今年だけ落ちたのかが分かります。

毎年同じ月に落ちているなら、それは季節の波であり、前もって備えられる相手です。

今年だけ落ちたのなら、季節以外の原因を疑います。たとえば、近所に新しい店ができた、案内の更新が止まっていた、などです。

波の深さを、人数と日数で書いておく

売上の金額だけでなく、来店の人数と、客のいなかった日数も記録しておくと便利です。

人数が分かると、閑散期にスタッフが何人いれば回るのかを、数字で決められます。

客のいなかった日数が分かると、空いた時間をどの作業に回すかの計画が立てられます。

記録は手書きのメモで構いません。毎月末に10分で書けるものにしておけば、続きます。

波が小さい月に、何をしていたかも残す

うまくいった閑散期があったなら、その月に何をしていたかを書いておきます。

イベントを開いた、案内を前の月に出した、ある一品を前に出した。

次の年に同じ手を打てば、再現できるからです。

記録のない成功は、翌年には誰も覚えていません。

繁忙期のうちに、閑散期の来店を仕込む

ここからが、この記事の中心です。

繁忙期は、忙しいぶん、客が目の前にいる時期でもあります。

この時期に来てくれた人に、閑散期の来店の理由を渡しておくことが、最も手間の少ない集客になります。

帰り際に、次の来店の日を決めてもらう

美容室であれば、会計の場で、次の予約を取る形が基本です。

繁忙期は、次の枠が埋まっているので、あえて閑散期の枠を案内します。

「次は2月の平日に空きがあります」と伝えて、その場で日付を決めてもらいます。

来た人が帰る前に決めるので、電話もメッセージもいらず、手間はほとんどかかりません。

飲食店なら、次の来店の予約券や、期間限定の案内を、会計のときに手渡します。

閑散期だけに使える理由を、先に渡す

人は、理由がないと動きません。

閑散期の来店の理由は、安さに加えて、その時期にしか出会えないものでも作れます。

冬だけの料理、静かな時間帯にだけ受けられる丁寧な施術、工事の相談が空く時期ならではの時間の取り方。

こうした「この時期ならでは」を、繁忙期のうちに案内しておくと、客は予定に入れてくれます。

値下げと違い、客が閑散期を待つ癖がつかない点も大きな違いです。

繁忙期の客に、閑散期の混雑を正直に伝える

繁忙期は混んでいて、ゆっくり過ごせなかったと感じる客もいます。

そうした客にこそ、閑散期は空いているので、落ち着いて過ごせると伝えます。

建設業なら、繁忙期に断った相談に、時間が取れる時期を具体的に案内します。

困らせた相手に、次の時期の約束を渡すと、関係が切れずに続きます。

手間をかけずに続ける形を決める

仕込みの作業が重いと、繁忙期には続きません。

渡すものは1枚の紙か、1通の定型のメッセージで足ります。

文面を1度だけ作り、繁忙期の毎日に使い回すと、続けられます。

繁忙期のうちにやること 渡す相手 渡す場面
閑散期の枠を案内して日付を決める 来店した客 会計や見送りのとき
閑散期だけの理由を1枚にまとめる 常連の客 会計のとき
空く時期と対応できる内容を伝える 断った相談の相手 断る連絡のとき
次の季節の品を先に見せる 買ってくれた客 包むとき

閑散期に探している人が見つける受け皿を、前もって作る

もう1つの仕込みは、まだ店を知らない人に向けたものです。

閑散期に来る新しい客は、たいてい、スマートフォンで探してから動きます。

総務省の調査では、世帯の9割以上がスマートフォンを持っている

総務省が2026年5月に公表した令和7年通信利用動向調査には、次の記述があります。

「スマートフォンの保有状況について、世帯の保有割合が91.8%となり、引き続き9割を上回っている。」

つまり、地域の客のほとんどは、ポケットに検索の道具を入れて暮らしています。

閑散期に何かを探す人は、まず手元の画面で、近くの店や会社を調べます。

閑散期の前に仕込む流れ繁忙期の会計日付を決める三か月前探される言葉ページを置く並行して一か月前の案内再度知らせる前の月に閑散期の来店予定通り来る

閑散期に探される言葉は、繁忙期と違う

繁忙期に探される言葉と、閑散期に探される言葉は、同じではありません。

たとえば、冬の飲食店なら、温まる料理や、少人数で静かに過ごせる場所を探す人がいます。

美容室なら、年明けの髪の整え方や、梅雨の湿気への対応を探す人がいます。

建設業なら、寒い時期に相談しやすい工事や、補修の見積もりの相談を探す人がいます。

自分の店が閑散期に何を聞かれるかを、去年の問い合わせの言葉から拾います。

探された言葉に答えるページを、繁忙期のうちに1枚作る

見つけてもらうには、探される言葉に答えるページが、検索の画面に出る必要があります。

そのページは、閑散期の直前に作っても、検索の結果に反映されるまで時間がかかります。

そのため、繁忙期のうちに、閑散期の言葉に答えるページを先に置いておきます。

1枚のページに、よくある質問の答えと、予約や相談の入口をそろえると、閑散期に探した人がそのまま行動に移れます。

店の情報は、地図の画面でも最新にしておく

検索で見つけた人は、次に地図の画面で場所と営業時間を確かめます。

閑散期の営業時間の変更や、定休日の変更が反映されていないと、せっかく来た客が閉まった扉を見ることになります。

季節ごとの営業時間は、切り替えのたびに地図の情報にも反映します。

写真も、閑散期の店内の様子に差し替えておくと、探した人が入りやすくなります。

受け皿の中身は、探している人の問いに先に答える形にする

ここまで書いた2つの仕込みは、「売れるサイトはみな謙虚」の考え方に通じます。

店の自慢を前に出さず、探している人の問いに先に答えるという考え方です。

閑散期に探す人が最初に知りたいこと

閑散期にたまたま探す人が最初に知りたいのは、今やっているか、空いているか、自分の悩みに応えてくれるか、の3点です。

店の歴史や、こだわりの説明は、その後で読まれます。

ページの最初の画面に、この3点への答えを置くと、読む人は迷いません。

こだわりの説明は、答えの後ろに下げる

店主にとって大切なこだわりは、後ろに下げても失われません。

先に問いに答えて信頼を得ると、こだわりの説明も読まれるようになります。

順番を入れ替えるだけで、ページの働きは大きく変わります。

受け皿が働いているかは、閑散期の問い合わせで確かめる

ページを置いたら、閑散期の間に、問い合わせの経路を数えます。

電話、予約の画面、メッセージのどこから来たのかを、スタッフが一言メモするだけで足ります。

ページを見て来たと言う人が1人でもいれば、受け皿は働いています。

誰も来なければ、探される言葉とページの内容がずれているので、見出しの言葉を直します。

仕込みは、1つだけ始める

次の繁忙期に、すべてをやる必要はありません。

帰り際に次の日を決めてもらうこと、または閑散期の言葉に答えるページを1枚置くこと。

どちらか1つを選べば、仕込みは始まります。

業種ごとの仕込み方を、具体的に見る

ここまでの考え方を、4つの業種に当てはめます。

自分の業種に近いところから読んで構いません。

飲食店は、冬の来店理由を秋のうちに渡す

飲食店の閑散期は、1月から2月が代表的です。

繁忙期にあたる年末までの間に、年明けの来店の理由を、客に渡しておきます。

たとえば、年内に来てくれた客に、1月だけのコースの案内を会計のときに手渡します。

同時に、冬の言葉で探されるページを、秋のうちに作ります。

温まる料理、少人数での静かな食事、仕事帰りに寄れる店といった、冬に聞かれる問いに答える内容です。

美容室は、年末の客に年明けの予約を渡す

美容室は、年末の混雑のさなかに、年明けの枠を案内します。

年内に整えた髪が伸びる頃合いを、施術の担当者が把握しているので、次の来店の目安を伝えやすい立場にあります。

「この長さなら、2月の初めにもう一度整えると形が保てます」と伝え、日付を決めてもらいます。

梅雨や真夏の前には、湿気や暑さへの髪の対応を扱うページを、春のうちに置いておきます。

建設業は、相談が増える前に、相談しやすい時期を案内する

建設業や工務店は、繁忙期に断った相談の相手に、時間の取れる時期を伝えます。

閑散期になって営業をかけても、相手の検討は終わっていることがあります。

そのため、繁忙期の最中に、見積もりや現地調査を受けられる時期を知らせておきます。

また、工事の前に知りたい費用の考え方や、工期の目安といった質問に答えるページを、先に作っておきます。

アパレルは、次の季節の品を今の客に見せる

洋服の店は、夏物の最後の週に、秋物の入荷を今の客に伝えます。

客の頭の中に、次の季節の服が置かれていれば、季節の変わり目に足を運ぶ理由が生まれます。

また、サイズの相談や着こなしの質問に答えるページを置くと、店に来る前の客が相談できます。

業種 繁忙期のうちに渡すもの 先に作る受け皿
飲食店 年明けだけのコースの案内 冬の料理や静かな席に答えるページ
美容室 次の来店の日付 梅雨や真夏の髪の悩みに答えるページ
建設業 時間の取れる時期の案内 費用の考え方と工期に答えるページ
アパレル 次の季節の入荷の知らせ サイズと着こなしに答えるページ

閑散期の最中にできることも、きちんとある

仕込みが間に合わず、すでに閑散期に入っている場合の話もしておきます。

打てる手は少ないものの、ゼロではありません。

割引に頼る前に、閑散期だけの理由を作れないか考える

回答にあったように、閑散期に入ってから最後に残るのは、価格を下げる手です。

その前に、安さ以外の理由を探します。

閑散期は人が少なく、ゆっくり過ごせます。予約が取りやすく、担当者が時間をかけられます。

この「余裕」を、そのまま来店の理由に変えられないかを考えます。

空いた時間を、次の仕込みに使う

閑散期の最中に、最も価値の高い使い方は、次の繁忙期と次の閑散期の準備です。

メニューの見直し、スタッフの練習、道具の手入れ。

そして、閑散期に探される言葉のページを書く時間も、ここで取れます。

売上を取り戻そうと焦るより、半年後の波を小さくする作業に時間を回します。

既存の客に、個別に連絡を入れる

新しい客を探すより、すでに来たことのある客に声をかけるほうが、早く動きます。

名前と好みを覚えている相手に、短い個別のメッセージを送ります。

「最近お忙しいですか。今の時期は空いているので、ゆっくりお迎えできます」といった、押しつけのない一言で足ります。

一斉の案内より、一人ひとりへの一言のほうが、返事が来ます。

スタッフの気持ちを守る

閑散期の売上が落ちると、スタッフは自分のせいだと感じやすくなります。

相談にあった「泣きたい」という言葉は、その空気をよく表しています。

閑散期は季節の波であり、誰かの失敗ではないと、経営者がはっきり伝えます。

その上で、空いた時間に何をするかを決めておくと、スタッフは落ち着いて働けます。

閑散期の判断を、数字で行う

感覚で閑散期を判断すると、対策の効果も分かりません。

最低限の数字を、毎月決まった日に見る習慣を作ります。

見る数字を3つに絞る

見る数字は、来店の人数、1人あたりの売上、新規の客の人数の3つで足ります。

数字が多すぎると、見るのをやめてしまいます。

この3つを毎月同じ日に表へ書き込み、去年と並べて比べます。

打った手と数字を同じ表に書く

数字の隣に、その月に打った手を書き込みます。

次の年に、同じ手が効いたかどうかが、一目で分かります。

効かなかった手は、やめる判断ができます。

見る数字 分かること 低かったときの次の一手
来店の人数 次に来る理由が足りているか 帰り際に次の日付を決めてもらう
1人あたりの売上 買い足す理由があるか 季節の品を先に見せる
新規の客の人数 探されて見つかっているか 閑散期の言葉に答えるページを足す

年に1度、閑散期の振り返りを1時間だけ行う

閑散期が終わった翌月に、1時間だけ振り返りの時間を取ります。

何を仕込み、何が効き、何が間に合わなかったのかを、表の隣に書き足します。

忙しい繁忙期には振り返れないので、波が落ち着いたこの時期が最も向いています。

振り返りの結論は、1行で足ります。

「来年は、10月に次の予約を渡す」「9月に、冬の言葉に答えるページを置く」といった、時期と動作のそろった一行です。

競合の動きを気にしすぎない

閑散期には、近所の店の割引や新しい企画が目に入り、焦りが出ます。

しかし、他の店と同じ土俵で値段を下げ合うと、どの店も薄くなります。

自分の店の客が何を理由に来ているのかを見て、その理由を磨くほうが、波は小さくなります。

1年のカレンダーに、仕込みの時期を書き込む

仕込みを思いつきで行うと、また繁忙期の忙しさに飲み込まれます。

時期を先に決めて、カレンダーに書き込んでおきます。

閑散期の3か月前を、仕込みの開始日にする

閑散期が2月なら、11月が仕込みの開始日です。

この時期は、まだ客が多く、案内を渡す相手もたくさんいます。

3か月前という目安は、検索で見つけてもらうページが育つ時間と、客が予定を入れる時間の両方を見込んだものです。

建設業のように、相談から着工までに時差がある業種は、さらに早く、半年前を目安にします。

閑散期の1か月前に、案内を再度送る

仕込みの後、閑散期の1か月前に、もう一度案内を出します。

予約を入れた客には、日付の確認を入れます。

まだ決めていない客には、閑散期の理由をもう一度短く伝えます。

2度目の案内があるだけで、予定に入れる人が増えます。

閑散期の最中は、数字と記録に専念する

閑散期に入ったら、新しい手を増やさず、記録を取ることに集中します。

仕込みの効果は、閑散期が終わってから分かるからです。

時期 やること 渡す相手
閑散期の3か月前 次の来店の日付を決める 来店した客
閑散期の3か月前 閑散期の言葉に答えるページを置く 探している人
閑散期の1か月前 案内を再度送り日付を確認する 予約した客と迷っている客
閑散期の最中 個別の連絡と記録 以前来た客
閑散期の翌月 1時間の振り返り 自分とスタッフ

仕込みの時期は、自分の店の記録でずらす

3か月前という目安は、あくまで出発点です。

去年の記録を見て、売上が落ち始めた月の3か月前に印を付けます。

客の多くが予約を数週間前に入れる店なら、1か月前の案内の比重を高くします。

相談から着工まで時間のかかる業種なら、半年前の仕込みを軸にします。

どの時期が自分の店に合うかは、1年やってみて初めて分かります。

最初の1年は、やった時期と結果を書き残すこと自体が成果になります。

仕込みを担当する人を1人決める

誰の仕事でもない仕込みは、繁忙期に必ず後回しになります。

経営者でもスタッフでも構わないので、担当を1人決め、カレンダーの印を見る役にします。

担当の人が決まるだけで、仕込みの実行率は大きく変わります。

よくある質問

閑散期の対策について、経営者の方からよく聞かれる質問に答えます。

Q. すでに閑散期に入っていて、仕込みが間に合いません。何から始めればよいですか?

最初に、以前来たことのある客へ、短い個別の連絡を入れてください。

新しい客を探すより、顔と名前を覚えている相手に声をかけるほうが早く動きます。

並行して、次の閑散期のための仕込みの日付を、カレンダーに書いておきます。

今年の波は小さな手で受け止め、来年の波を前もって小さくする考え方です。

Q. 割引は、やはり避けたほうがよいのでしょうか?

割引そのものが悪いわけではありません。

ただし、理由を添えずに安くすると、客は次の閑散期にも安さを待つようになります。

使う場合は、閑散期の余裕をそのまま理由にした、期間と対象の限られた形にします。

Q. 検索で見つけてもらうページは、何枚くらい必要ですか?

最初は1枚で足ります。

閑散期に最もよく聞かれる質問を1つ選び、その答えと予約の入口をそろえたページを置きます。

反応を見て、次に多い質問へ1枚ずつ広げていきます。

Q. 閑散期が業種の特性で、どうしても避けられない場合はどうしますか?

波が避けられない場合は、波を前提にした経営に切り替えます。

閑散期の人員の配置、仕入れ、設備の手入れの計画を、波の形に合わせて立てます。

その上で、仕込みで波の底を少しだけ浅くする工夫を重ねます。

Q. スタッフが少なく、仕込みの時間が取れません。

仕込みの作業を、1回で終わる形に分けます。

帰り際に次の日を決めてもらう動作は、会計の場で10秒で終わります。

ページを1枚置く作業は、閑散期の空いた時間に取ります。

忙しい時期に1つ、空いた時期に1つ、と分けると続けられます。

まとめ

閑散期の対策は、閑散期に入ってからでは打てる手が少なくなります。

相談にあった通り、入った後に残るのは、価格を下げる手と、空いた時間だけです。

本体の対策は、閑散期の3か月ほど前の、繁忙期のうちにあります。

繁忙期に来てくれた客には、帰り際に次の来店の日付を決めてもらいます。

まだ店を知らない人には、閑散期に探される言葉に答えるページを、先に置いておきます。

総務省の調査にある通り、世帯の9割以上がスマートフォンを持っています。

地域の客の多くは、探すときに手元の画面を開くのです。

その画面の中で見つけてもらえる場所を、繁忙期のうちに作ります。

今日やっているか、空いているか、自分の悩みに応えてくれるか。

この3つの問いに先に答えて、店の自慢は後ろに下げる。

それが「売れるサイトはみな謙虚」の考え方です。

今日できる点検

最後に、今日のうちに確かめられることを、表にまとめました。

全部を一度に直す必要はありません。

1つだけ選んで、次の繁忙期までに直します。

点検すること 確かめ方 直す場所
月別の売上を2年分並べたか 紙に12か月分を書き出す 売上の記録表
閑散期の3か月前の日付が決まっているか カレンダーを開く 仕込みの開始日
帰り際に次の来店の日付を決めてもらっているか 会計の流れを見直す 会計の声かけ
閑散期だけの来店の理由が1枚にまとまっているか 渡せる紙があるか探す 案内の1枚
閑散期の言葉に答えるページがあるか 去年の問い合わせの言葉で検索する 自社のページ
地図の営業時間は最新か スマートフォンで自分の店を調べる 地図の情報
空いた時間の使い道が決まっているか 閑散期の予定表を見る 準備と記録の予定
閑散期の振り返りの日が決まっているか 翌月のカレンダーを見る 1時間の枠

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中野輝規のアバター 中野輝規

合同会社謙虚 代表社員。20代から、売る言葉だけを仕事にしてきました。電話営業で受話器を握っていた時代から、数千社のWEB集客に関わったいままで。詳しいプロフィールはこちら

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