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人材紹介の集客は求職者と求人企業を同じ領域で集める 小さな紹介会社が決まる順番

2026 10/03
2026年10月3日
中野輝規
人材紹介の集客は求職者と求人企業を同じ領域で集める 小さな紹介会社が決まる順番

人材紹介の会社を立ち上げたのに、登録してくれる求職者がなかなか増えない。

やっと求職者が集まったと思ったら、今度は紹介できる求人が手元に無い。

この記事は、そうした悩みを抱える小さな人材紹介会社の経営者の方に向けて書いています。

有料職業紹介の許可を取って、事務所を構え、ホームページも作った。

それでも、求職者と求人企業のどちらか片方しか集まらず、決定に結びつかない。

人材紹介の集客には、ほかの商売にはない難しさがあります。

お客様が2種類いて、その両方がそろわないと売上がまったく立たないことです。

この記事では、求職者と求人企業をばらばらに集めるとなぜ決まらないのかを整理し、小さな会社が両方を同じ順番で集めるための書き方を見ていきます。

読み終えたときに、自社のホームページで最初に直す場所が1つ決まっている。

そこをこの記事のゴールにしています。

目次

Q&Aサイトで見かけた、人材紹介の集客に疲れた人の相談

先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。

心に余裕がなくなるほど、集客に悩んでいた

投稿者は、人材紹介の仕事をしている方でした。

人材紹介の集客に悩みすぎて、心に余裕がなくなってきた。

ほかの人はどうやって集客しているのか、参考にしたいので教えてほしい。

至急、という言葉が添えられた、短い相談でした。

短い文面からも、毎日のように集客のことを考えて、疲れ切っている様子が伝わってきます。

回答は、広告とビラ配りだった

寄せられた回答は、写真や動画の共有アプリに広告を出す、ポスティングをする、地元のテレビに広告を出す、といったものでした。

別の回答者は、学生向けなら学校の掲示板に、年配の方向けなら公民館や図書館や駅に貼らせてもらう、無料のイベントでビラを配る、と書いていました。

どれも間違ってはいません。

ただ、どの回答も「人を集める手段」の話で、人材紹介という商売の形には触れていませんでした。

「紹介先が見つからないのか」という聞き返し

いちばん示唆に富んでいたのは、ある回答者の短い聞き返しです。

紹介先が見つからない、ということですか。

投稿者は、分かりづらくてすみません、求職者のほうです、と返していました。

このやりとりに、人材紹介の集客の芯があります。

人材紹介で「集客」と言ったとき、それが求職者のことなのか、求人企業のことなのか、聞いている側には分からないのです。

これは9割の人材紹介会社が陥る罠です

人材紹介の会社の多くは、求職者を集める仕事と、求人企業を集める仕事を、別々のものとして回しています。

この分け方そのものに、落とし穴があります。

集客という言葉が、2つの意味を持っている

飲食店や美容室なら、集客といえば来店するお客様を集めることです。

人材紹介は違います。

お金を払ってくださるのは求人企業で、求職者からは原則として手数料をいただきません。

一方で、求人企業が求めているのは、自社に合う求職者です。

つまり、求人企業に選ばれる理由は求職者の質で決まり、求職者に選ばれる理由は扱っている求人で決まります。

2つのお客様が、互いに相手を呼び込む材料になっているのです。

片側だけ集めても、決定にはならない

求職者だけが100人集まっても、紹介できる求人が無ければ決定は0件です。

求人企業が20社集まっても、その条件に合う求職者がいなければ、やはり決定は0件です。

小さな会社が苦しくなるのは、片側を集めているあいだに、もう片側が待ちきれずに離れていくからです。

登録した求職者は、何週間も連絡が無ければ、別の紹介会社で転職を決めてしまいます。

求人をくださった企業も、候補者が出てこなければ、次からは声をかけてくれなくなります。

数字で見る「登録」と「決定」の差

この差は、国の統計にもはっきり表れています。

厚生労働省が2026年3月に公表した令和6年度の職業紹介事業報告書の集計結果によると、有料職業紹介事業の新規求職申込件数は55,250,115件で、前の年度より43.1%増えていました。

同じ年度の常用就職件数は888,993件で、増え方は5.3%にとどまっています。

求職者は複数の紹介会社に登録するため、申込件数には重なりがあり、単純に割り算はできません。

それでも、登録の増え方と決定の増え方のあいだに、これだけの開きがあることは読み取れます。

登録を集めることと、決定を生むことは、別の仕事なのです。

読んでいるあなたの状況 いま起きていること 次にすること
求職者の登録がほとんど無い 扱っている求人が外から見えていない 実際に扱っている求人の例をページに書く
登録はあるが紹介できる求人が無い 集めた求職者と求人の領域がずれている 登録の多い職種に合わせて求人企業を回る
求人はあるが候補者が出ない 求人企業の営業だけが先に進んでいる その求人の条件に合う人へ向けて書く
面談まで進むのに決まらない 求職者の希望と求人の条件が合っていない 面談で聞く内容と、紹介の基準を決め直す
広告を増やしても反応が変わらない 何の紹介会社なのかが伝わっていない 扱う領域を1つに絞って言い切る

表のどの行に近いかを1つ決めておくと、この先の話を自社に当てはめやすくなります。

求職者と求人企業、それぞれが登録の前に迷っていること

では、求職者と求人企業は、紹介会社に登録する前に何を考えているのでしょうか。

両方の迷いを並べてみると、どちらも「この会社に任せて大丈夫か」という同じところで止まっていることが分かります。

求職者は「自分に合う求人があるか」で迷う

求職者がいちばん知りたいのは、自分の経験と希望に合う求人を、この会社が持っているかどうかです。

ホームページに「幅広い職種の求人をご用意」としか書かれていなければ、確かめようがありません。

確かめられないまま登録するのは、手間のかかる賭けになります。

だから求職者は、求人の数が多そうな大きな会社に先に登録します。

求職者は「しつこく連絡されないか」で迷う

もう1つの迷いは、登録したあとの連絡です。

電話が何度もかかってくるのではないか。

希望していない求人を、強く勧められるのではないか。

断ったら気まずくなるのではないか。

こうした不安は、ホームページに「連絡の頻度」と「断り方」が書かれていないときに大きくなります。

求人企業は「手数料に見合う人が来るか」で迷う

求人企業の側は、人材紹介を使うと手数料がかかることを知っています。

迷っているのは、その手数料に見合う人を本当に連れてきてくれるのか、という点です。

求人の広告なら、出した時点で費用が決まります。

人材紹介は、決まったときに大きな手数料が発生します。

だから求人企業は、どんな人を紹介できるのかが見えない会社には、求人を預けたがりません。

求人企業は「この会社は続くのか」で迷う

小さな紹介会社が見落としがちなのが、この迷いです。

紹介された人がすぐに辞めてしまったら、返金はあるのか。

担当者が辞めたら、引き継ぎはされるのか。

立ち上げたばかりの紹介会社は、実績の少なさをこの不安で見られています。

登録の前の迷い 答えが見つからないときに起きること ホームページに置くもの
自分に合う求人があるか(求職者) 求人の多そうな大きな会社に先に登録する 扱っている求人の実例と条件
しつこく連絡されないか(求職者) 登録の手前で画面を閉じる 連絡の頻度と、断り方
手数料に見合う人が来るか(求人企業) 求人を預けず、広告だけで募集を続ける 紹介できる人の具体的な姿
この会社は続くのか(求人企業) 大きな会社にだけ声をかける 手数料表と返戻金の決まり、担当の体制
何をしてくれる会社なのか(両方) 比べる対象にも入らない 扱う領域を1つに絞った説明

5つの迷いのうち、自社のホームページで答えているものがいくつあるかを数えてみてください。

答えているのが会社概要と許可番号だけなら、残りの4つは空いたままになっています。

人材紹介の集客が年々難しくなっている理由

小さな紹介会社の集客が苦しいのは、経営者の努力が足りないからとは限りません。

業界の形そのものが、小さな会社に不利な方向へ動いています。

有料職業紹介の事業所は3万を超えている

先ほどの厚生労働省の集計結果には、事業報告を提出した事業所の数も載っています。

令和6年度に報告を出した有料職業紹介事業所は30,561事業所でした。

求職者から見ると、紹介会社は3万を超える選択肢の1つにすぎません。

その中で「なぜこの会社に登録するのか」が伝わらなければ、検索結果に表示されても素通りされます。

就職実績のある事業所は、半分に届かない

同じ集計結果には、もう1つ見逃せない数字があります。

報告を出した有料職業紹介事業所のうち、就職実績のあった事業所は13,946事業所でした。

割合にすると45.6%で、半分に届いていません。

許可を取って事業所を構えても、1年間に1人も就職に結びつかなかった事業所が、半数を超えているのです。

この数字は、人材紹介の難しさが「集める」ことよりも「決める」ことにあると教えてくれます。

大きな会社と同じ土俵で戦っている

人材紹介の検索結果には、全国規模の大きな紹介会社や求人サイトが並びます。

広告の予算でも、扱う求人の数でも、小さな会社が正面から並ぶのは難しい相手です。

それなのに、小さな会社のホームページも「幅広い職種」「豊富な求人」と、大きな会社と同じ言葉で自社を説明していることがよくあります。

同じ言葉で並べば、求職者は求人の多そうなほうを選びます。

小さな会社が同じ土俵に上がった時点で、勝ち目はかなり薄くなります。

求職者の登録は、何社にも重なっている

求職者は、転職を考え始めると、紹介会社を何社か掛け持ちで登録するのが普通です。

先ほどの集計結果でも、新規求職申込件数には重複計上がある、とわざわざ注記されています。

掛け持ちの求職者にとって、登録した紹介会社は「求人を見せてくれる窓口」の1つです。

最初に合う求人を出してくれた会社か、いちばん話しやすかった会社で、転職を決めます。

登録を取っただけでは、まだ何も始まっていないのです。

業界の変化 小さな会社に起きていること 次に考えること
事業所が3万を超えている 検索で見つけてもらえても選ばれない 選ばれる理由を1つの領域で言い切る
就職実績のある事業所が半分に届かない 集めても決まらない状態が続く 決まる組み合わせから逆に集める
大きな会社と同じ言葉で説明している 求人の多いほうに流れる 自社だけが言える求人と人の話を書く
求職者が何社にも登録している 登録しても連絡が取れなくなる 登録の直後に何をするかを決めておく
求人企業も複数の会社に依頼している 候補者を先に出した会社が決める 推薦までの日数を短くする

職業安定法で決まっている、集客の前に守ること

人材紹介の集客には、ほかの商売にはない決まりがあります。

有料職業紹介の事業は、職業安定法にもとづく厚生労働大臣の許可を受けて行う仕事です。

集客の方法を考える前に、やってはいけないことと、公開しなければいけないことを押さえておきます。

ここで書く内容は、厚生労働省が事業者向けに出している資料で確かめられたものに限っています。

細かい運用は改正のたびに変わるので、最終的な判断は都道府県労働局の窓口で確認してください。

お祝い金で登録を集めることはできない

令和3年4月1日から、職業安定法にもとづく指針が改正されました。

厚生労働省の事業者向けの資料には、こう書かれています。

「「お祝い金」その他これに類する名目で、求職者に社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭などを提供することで求職の申し込みの勧奨を行ってはいけません」

同じ資料は、求職の申し込みを勧めるときは「職業紹介事業の質を向上させ、それをPRすることで行ってください」と続けています。

つまり、国は小さな紹介会社に対しても、お金で登録を釣るのをやめて、仕事の質を伝えて集めなさいと言っているのです。

この記事で扱う集客の考え方は、この方向とぴったり重なります。

人材サービス総合サイトに公開する情報

職業紹介事業者は、厚生労働省が運営する「人材サービス総合サイト」に、自社の情報を出すことが義務になっています。

厚生労働省の資料では、これは職業安定法第32条の16第3項による義務だと説明されています。

公開する主な情報は、紹介により就職した人の数、紹介により就職した無期雇用の人数と、そのうち6か月以内に離職した人数です。

あわせて、手数料に関する事項(手数料表の内容)と、返戻金制度の有無や内容も載せます。

得意とする分野などは、事業者が任意で掲載できます。

ここで大切なのは、求人企業も求職者も、この公開情報を見ることができるという点です。

自社のホームページに書いていることと、公開している数字が食い違っていれば、読む人はそこで不安になります。

令和7年4月から加わったこと

令和6年に職業安定法にもとづく省令と指針が改正され、令和7年4月1日から対応が必要になりました。

厚生労働省の案内によると、職業紹介事業者は「徴収した紹介手数料の実績を人材サービス総合サイトに掲載することが必要となります」。

同じ案内は、求人の申し込みを受けたときに取り扱い職種の範囲や手数料に関する事項などを明示することはすでに義務だと述べたうえで、新たに「違約金に関する定めについて求人者に誤解が生じないようあらかじめ明示しなければなりません」としています。

手数料の実績も、比べようと思えば比べられる時代になったということです。

隠すほど不利になり、きちんと見せるほど信頼につながる流れになっています。

紹介した人に、2年間は転職を勧めない

厚生労働省の資料には、紹介した求職者が早く辞めることのないよう守る事項も並んでいます。

自社の紹介で就職した人(無期雇用に限る)には、就職した日から2年間、転職を勧めてはいけません。

紹介手数料については、返戻金制度を設けることが望まれる、とされています。

求職者と求人企業の双方に対して、求職者から取る手数料と求人企業から取る手数料の両方を明示することも求められています。

どれも、集客の手間を増やす決まりに見えるかもしれません。

けれども、これらを先にホームページで見せておくと、求人企業の「この会社は続くのか」という迷いに、そのまま答えられます。

決まりの内容 集客の場面で起きること ホームページでの生かし方
お祝い金で求職の申し込みを勧めない 金銭で登録を集める手が使えない 面談で何をするかという質の話で集める
人材サービス総合サイトに実績を公開する 求人企業や求職者が数字を確かめられる 自社のページに同じ数字と、その読み方を書く
手数料表と返戻金制度を公開する 求人企業が他社と比べられる 手数料の考え方と返戻金の条件を隠さず書く
紹介手数料の実績を掲載する(令和7年4月から) 決まり方の実態が外から見える 実績を前提に、どんな決定が多いかを書く
紹介した人に2年間は転職を勧めない 長く働ける紹介かどうかが問われる 入社後の連絡の取り方を書く

この表の左の列は、守らなければならない決まりです。

右の列は、その決まりをそのまま信頼の材料に変える書き方です。

集客に困ったとき、多くの紹介会社がやってしまうこと

求職者が集まらないとき、紹介会社の経営者が最初に考えることは、だいたい決まっています。

どれも筋は通っているのに、小さな会社がやると状況を悪くしてしまう打ち手です。

間違い1 扱う職種を広げる

求職者が来ないなら、扱う職種を増やせば間口が広がる、と考えます。

ところが、職種を広げるほど、ホームページの説明は「幅広い職種」という言葉に近づいていきます。

その言葉は、大きな会社のほうがはるかに説得力を持って言えます。

職種を広げた小さな会社は、どの職種の人から見ても「詳しくなさそうな会社」になってしまいます。

求人企業の側から見ても、得意な領域が分からない紹介会社には、大事な求人を預けにくくなります。

間違い2 求人広告とスカウトの数を増やす

登録が足りないなら、求人広告の掲載を増やし、スカウトの送信数を増やす。

数を打てば、確かに登録はある程度増えます。

けれども、手元の求人と合わない人まで登録してくるので、面談の時間ばかりが増えていきます。

面談をしても紹介できる求人が無ければ、その求職者とはそれきりになります。

1人で回している会社ほど、面談に追われて求人企業を回る時間が無くなり、決まらない状態が長引きます。

間違い3 「完全無料」「高年収」だけを打ち出す

求職者向けのページで、「完全無料」「年収アップ」を大きく打ち出す会社があります。

人材紹介が求職者にとって無料なのは、ほとんどの紹介会社に共通しています。

無料であることは、選ぶ理由になりません。

年収の話も、どんな求人で、どんな経験の人が、どれくらい上がったのかが書かれていなければ、読む人は信じきれません。

強い言葉ほど、立ち上げたばかりの会社では裏付けの無さが目立ちます。

間違い4 求人企業への営業と、求職者集めを別々に回す

午前は求人企業に電話をかけ、午後は求職者向けの広告を直す。

この回し方では、求人企業に営業している職種と、求職者として集まってくる職種が、少しずつずれていきます。

営業で取ってきた求人に合う人がいない。

集まった求職者に合う求人がない。

冒頭のQ&Aサイトの相談者が「集客に悩みすぎて」と書いていた状態は、多くの場合このずれから生まれています。

間違い5 ホームページに会社概要しか置かない

許可番号、所在地、代表のあいさつ、サービスの流れ。

紹介会社のホームページには、この4つだけが並んでいることがよくあります。

どれも必要な情報ですが、求職者の「自分に合う求人があるか」にも、求人企業の「どんな人を紹介してくれるか」にも答えていません。

検索から来た人は、自分の迷いに答えが無いと分かった時点で、次の会社のページへ移ります。

どの打ち手も、片側だけを見ている

5つの間違いには、共通点があります。

どれも、求職者か求人企業のどちらか片方だけを見て、数を増やそうとしていることです。

人材紹介の集客は、2つのお客様が互いを呼び込む仕組みです。

片側だけを増やす打ち手は、もう片側が追いつかないかぎり、決定に変わりません。

よくある打ち手 一時的に起きること その後に起きること
扱う職種を広げる 間口が広がったように見える 何の会社か分からなくなり選ばれない
求人広告とスカウトを増やす 登録が少し増える 合わない人との面談に時間を取られる
「完全無料」「高年収」を打ち出す 目を引く 裏付けが無く、信じてもらえない
営業と求職者集めを別々に回す 両方を進めている感覚がある 求人と人の領域がずれて決まらない
会社概要だけを置く ホームページがある安心感 どちらの迷いにも答えられない

求職者と求人企業は、同じ「領域」でつながっている

では、小さな紹介会社は、何から集めればよいのでしょうか。

答えは、求職者と求人企業の両方が同じ言葉で探している「領域」を1つ決めて、その領域で両方を集めることです。

片側が増えると、もう片側が来る

ある領域の求人企業が集まると、その領域の求人の実例をホームページに書けるようになります。

求人の実例が書いてあれば、その領域で働く求職者が「自分に合う求人がある」と分かって登録します。

その領域の求職者が集まると、今度は求人企業に「こういう経験の人が登録しています」と話せるようになります。

片側が増えるたびに、もう片側を呼ぶ材料が増えていきます。

この循環が回り始めるのは、両方が同じ領域にそろったときだけです。

小さな紹介会社が両方を集める順番領域を1つ決める前職の業界から決めたら求人をいただく少数でもよいいただいたら実例で人を集める条件ごとに書く決まったら決まった話を返す次の集客の材料

図の流れの中で、いちばん手を抜かれやすいのが、決まった話を両方に返すところです。

決まった1件の話は、次の求職者にとっては「自分にも合う求人がありそうだ」という手がかりになります。

次の求人企業にとっては「この会社はこういう人を紹介してくれる」という手がかりになります。

小さな会社ほど、領域を1つに絞る

領域を絞ると聞くと、多くの経営者は「お客様が減るのではないか」と心配します。

けれども、小さな会社にとって、領域を絞ることは間口を狭めることと同じ意味ではありません。

たとえば「介護」とだけ書くよりも、「訪問介護の、資格を持った40代」と書いたほうが、当てはまる人には自分ごとになります。

求人企業にとっても、「訪問介護の事業所の採用に詳しい紹介会社」なら、声をかける理由がはっきりします。

大きな会社が言えない細かさで言い切れることが、小さな会社のいちばんの強みになります。

領域は、手元の決定から逆に決める

どの領域に絞るかは、頭の中で考えるより、これまでの決定から逆にたどるほうが確かです。

過去に決まった案件を並べ、職種、年代、地域、働き方のうち、重なっているものを探します。

まだ決定が無い立ち上げの段階なら、経営者自身が前職で働いていた業界がいちばんの候補になります。

求人企業の人事の悩みも、求職者が仕事で困ることも、すでに体で分かっているからです。

絞り方の軸 求職者から見えること 求人企業から見えること
職種で絞る(例 訪問介護の有資格者) 自分の仕事を分かっている会社だ 現場を知る人が候補者を選んでくれる
地域で絞る(例 市内と隣の市) 通える範囲の求人がそろっている 地元の採用事情に詳しい
年代で絞る(例 40代からの転職) 年齢で断られにくい その年代の採用の進め方を相談できる
働き方で絞る(例 子育て中の時短) 条件を最初から分かってくれる 短時間でも戦力になる人を探してくれる
前職の業界で絞る 業界の言葉が通じる 業界の採用の難しさを分かっている

軸は1つで足ります。

決定が10件ほどたまったら、2つ目の軸を重ねてみると、「この領域ならこの会社に任せたい」と言われる位置に近づきます。

売れるサイトはみな謙虚という考え方

ここまでの話を、ホームページの書き方に落とし込んでいきます。

その前に、私たちがページを直すときに使っている考え方を1つだけ紹介させてください。

私たちは、お客様に選ばれるページの共通点を「売れるサイトはみな謙虚」という言葉で呼んでいます。

主役は、登録してくれる人のほう

選ばれるページでは、主役は会社の側にいません。

主役は、転職に迷っている求職者と、採用に困っている求人企業の担当者です。

紹介会社は、その2人が次の一歩を踏み出すのを手伝う案内役として登場します。

「業界最大級」「実績多数」と自社を大きく見せる言葉から始まるページは、主役を会社の側に置いてしまっています。

読む人は、自分の話が出てくるまで待ってくれません。

実績を盛らない会社ほど、信じてもらえる

立ち上げたばかりの紹介会社は、実績の少なさを隠したくなります。

けれども、人材サービス総合サイトには就職者数が公開されています。

ホームページで実績を大きく見せても、公開されている数字を見た人には、すぐに食い違いが分かります。

それなら、最初から「立ち上げて間もないので、決定はまだ数件です」と書いてしまうほうが、読む人の信頼は残ります。

そのかわりに、1件1件の決まり方を丁寧に書きます。

件数の少なさは、1人あたりにかけられる時間の長さとして伝えることができます。

引き算して残るのは、決まった人の話

ホームページから、どの会社にも書ける言葉を引き算していきます。

「親身なサポート」「豊富な求人」「専任のアドバイザー」。

これらを外したあとに残るのは、自社で実際に決まった人と求人の話です。

どんな経験の人が、どんな悩みを持って相談に来て、どんな求人に決まったのか。

その話は、ほかのどの紹介会社にも書けません。

求職者に向けたページに書くこと

ここからは、求職者に向けたページに具体的に何を書くかを見ていきます。

求職者の迷いは「自分に合う求人があるか」と「しつこく連絡されないか」の2つでした。

扱っている求人の実例を、条件ごと書く

求人企業の名前は出せなくても、条件は書けます。

勤務地の市、働く時間、仕事の中身、求める経験、職場の人数。

この5つが書いてあれば、求職者は自分が当てはまるかどうかを判断できます。

実例は3件あれば十分です。

それだけで「幅広い職種の求人」と書くより、はるかに多くのことが伝わります。

求人の条件を載せるときは、求人企業から掲載の了解を取り、職業安定法で求められている労働条件の明示とずれがないかも確かめておきます。

面談で何を聞き、何をしないかを書く

求職者は、紹介会社の面談で何を聞かれるのかを知りません。

職歴を細かく聞かれるのか、年収を言わされるのか、その場で応募を決めさせられるのか。

たとえば、ページに次の一文を置きます。

「面談は約1時間で、これまでの仕事と次に避けたいことを伺います。その場で応募を決めていただくことはありません」

こう書いておくだけで、登録の手前のためらいはかなり小さくなります。

連絡の頻度と、断り方を先に書く

しつこく連絡されないかという不安には、先に約束を書いてしまうのが近道です。

求人のご案内は週に1回まで、連絡は電話か文字のやりとりかを選べる、紹介をやめたいときは一言送れば止まる。

断り方が書いてある紹介会社は、少ないものです。

だからこそ、小さな会社がそれを書くと、読む人の記憶に残ります。

求職者の迷い ページに書くこと 書き方の例
自分に合う求人があるか 求人の実例を条件ごとに3件 市内、日中のみ、訪問介護、有資格、5人の事業所
どんな会社なのか 扱う領域を1つの文で言い切る 訪問介護で働く人の転職だけを扱っています
面談で何をされるか 面談の時間と、聞く内容と、しないこと その場で応募を決めていただくことはありません
しつこく連絡されないか 連絡の頻度と手段と、止め方 ご案内は週に1回まで、一言で止まります
入社したあとはどうなるか 入社後の連絡の取り方 入社から3か月は月に1度ご様子を伺います

求人企業に向けたページに書くこと

次は、求人企業に向けたページです。

求人企業の迷いは「手数料に見合う人が来るか」と「この会社は続くのか」の2つでした。

紹介できる人の姿を、具体的に書く

求人企業に向けたページには、自社に登録している求職者の姿を書きます。

もちろん、個人が特定される書き方はできません。

「訪問介護の経験が5年以上で、子育てが落ち着いて日中の勤務を増やしたい40代の方が、いま3名登録されています」。

この程度の書き方でも、求人企業の担当者には「うちに合う人がいるかもしれない」と伝わります。

数は多くなくて構いません。

求人企業が知りたいのは、自社の求人に合う人がいるかどうかです。

手数料表と返戻金の決まりを隠さない

手数料表と返戻金制度は、人材サービス総合サイトで公開しているものです。

それなら、自社のホームページにも同じ内容を載せ、なぜその決まりにしているのかを一言添えます。

早く辞めてしまった場合の返戻金の条件が分かれば、求人企業は「この会社は続くのか」という不安を、決まりの形で確かめられます。

違約金の定めがある場合も、誤解のないように先に書いておきます。

ここを曖昧にしたまま面談で説明しようとすると、問い合わせの前に比べる対象から外されてしまいます。

決まるまでの流れと日数を書く

求人企業は、採用を急いでいることが多いものです。

求人をいただいてから候補者を推薦するまでに何日かかるのか、面接の日程の調整は誰がするのか。

この流れが日数つきで書いてあると、担当者は社内に説明しやすくなります。

小さな会社は、ここで大きな会社より早く動けることを示せます。

求人企業の迷い ページに書くこと 書き方の例
手数料に見合う人が来るか 登録している人の姿を具体的に 訪問介護5年以上、日中勤務希望の40代が3名
何に強い会社なのか 扱う領域と、その理由 代表が訪問介護の事業所で10年働いていました
この会社は続くのか 手数料表と返戻金の決まり、その理由 早期の退職には決まりに沿って返金します
どれくらいで決まるのか 推薦までの日数と流れ 求人をいただいてから7日以内に推薦します
違約金などで揉めないか 違約金の定めの有無と内容 契約の前に書面でご説明します

公開している数字と、自社のホームページをそろえる

求職者向けと求人企業向けのページができたら、最後に、外に公開している数字と自社のページを見比べます。

この作業は、大きな会社ほどおろそかになりやすく、小さな会社が差をつけやすいところです。

人材サービス総合サイトの自社のページを読む

まずは、人材サービス総合サイトで自社の名前を検索し、どう表示されているかを確かめます。

就職者数、無期雇用で就職した人数と6か月以内に離職した人数、手数料表、返戻金制度。

求人企業の担当者が紹介会社を比べるとき、ここを見ている可能性があります。

得意とする分野の欄が空いたままなら、ホームページで決めた領域の言葉をそのまま書き入れます。

公開情報とホームページで同じ領域の言葉が使われていれば、どちらから入った人にも同じ会社に見えます。

早期の離職が少ないことは、いちばんの売り込みになる

無期雇用で就職した人のうち、6か月以内に辞めた人数も公開されています。

この数字が小さいことは、求人企業にとって何よりの安心材料です。

数が少ないうちは、離職がほとんど無いことを、そのままの数字で書けます。

「紹介した方で、半年以内に辞めた方はこれまでいません」と書ける会社は、多くありません。

もし早く辞めた方がいたなら、その理由と、そのあと面談の進め方をどう変えたかを書きます。

失敗を隠さずに直した話は、求人企業にとって、成功の話と同じくらい信頼の材料になります。

会社の規模によって変わるところ

ここまでの話は、紹介会社の規模によって、手をつける順番が少し変わります。

1人で始めたばかりの会社

1人で始めたばかりなら、まず前職の業界で領域を1つ決めます。

最初の求人は、前職のつながりのある事業所から、1社ずつ丁寧にいただきます。

ホームページには、求人の実例が1件でもあれば、その1件を条件ごと書きます。

求職者向けと求人企業向けのページを、最初から分けて作っておくと、あとで書き足しやすくなります。

2人から5人で回している会社

担当者が何人かいる会社は、担当ごとに領域がばらばらになっていないかを確かめます。

担当者が自分の得意な職種で好きに動いていると、会社として何に強いのかが外から見えません。

会社として1つの領域を前に出し、そのほかの職種は「ご相談いただければ対応します」程度にとどめます。

決定の話は、担当者全員で集めて、毎月1件ずつホームページに足していきます。

ほかの事業と兼ねている会社

派遣や求人広告の代理など、ほかの事業と兼ねて紹介をしている会社もあります。

この場合は、ホームページの中で、紹介の事業だけの入り口を作ることが先です。

ほかの事業の説明と混ざっていると、求職者も求人企業も、何を頼める会社なのかが分からなくなります。

紹介のページだけを読めば、領域と実例と手数料の考え方が分かる形にします。

会社の形 最初に手をつけること その次にすること
1人で始めたばかり 前職の業界で領域を1つ決める 求人の実例を1件でもページに書く
2人から5人で回している 担当ごとの領域のずれをそろえる 決定の話を毎月1件ずつ足す
ほかの事業と兼ねている 紹介の事業だけの入り口を作る 紹介のページに手数料の考え方を書く
求職者は集まるが求人が無い 登録の多い職種で求人企業を回る 登録者の姿を求人企業向けに書く
求人はあるが求職者が来ない 求人の実例を条件ごとに書く 面談と連絡の約束を書く

よくある質問

Q1. 求職者と求人企業、どちらを先に集めればよいですか

決めた領域の求人企業を、少数でも先に集めることをおすすめします。

求人の実例があると、求職者向けのページに書ける中身が生まれ、登録の理由がはっきりするからです。

ただし、求人企業を回るときも、その領域の求職者がどんな悩みを持っているかを話せる準備をしておきます。

Q2. 扱う職種を絞ると、売上が減りませんか

立ち上げの段階では、絞ったほうが決定は早く出やすくなります。

領域が決まっていると、求人と求職者が同じところに集まり、紹介の組み合わせが生まれやすいからです。

絞った領域の外から来た相談も、断る必要はありません。

ページで前に出す領域を1つにするだけで十分です。

Q3. 求職者に登録のお礼として何か渡してもよいですか

厚生労働省の資料では、「お祝い金」その他これに類する名目で、社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭などを提供し、求職の申し込みを勧めることは禁止されています。

どこまでが認められる程度かは、自分で判断せず、都道府県労働局に確認してください。

集客は、面談の質や扱う求人の中身を伝える方向で考えるのが確実です。

Q4. 実績が少ないうちは、何を書けばよいですか

件数の代わりに、1件ごとの決まり方を書きます。

どんな経験の人が、何に悩んで相談に来て、どんな求人に決まったのか。

個人が特定されないように条件をぼかしたうえで、本人の了解を取って載せます。

前職の業界での経験も、その領域に詳しい理由として書けます。

Q5. ホームページと広告やスカウトは、どう使い分ければよいですか

広告やスカウトは、人を自社のページまで連れてくる役割です。

連れてきた人が登録するかどうかは、ページに書いてある中身で決まります。

ページに領域と実例と約束が書かれていないまま広告を増やしても、登録にはつながりにくくなります。

先にページを直し、そのあとで広告やスカウトの量を考える順番が、小さな会社には向いています。

まとめ

人材紹介の集客には、求職者と求人企業という2種類のお客様がいます。

片方だけを集めても決定にはならず、どちらかが待ちきれずに離れていきます。

厚生労働省の令和6年度の集計結果では、報告を出した有料職業紹介事業所のうち、就職実績があったのは45.6%でした。

人材紹介の難しさは、集めることよりも、決めることにあります。

小さな紹介会社は、求職者と求人企業が同じ言葉で探している領域を1つ決め、その領域で両方を集めます。

求人の実例と、登録している人の姿と、決まった人の話を、それぞれのページに書きます。

手数料表や返戻金の決まりのように、職業安定法で公開が求められている情報は、隠さずにホームページでも見せます。

Q&Aサイトの相談者が「集客に悩みすぎて心に余裕がない」と書いていた状態は、片側だけを追いかけ続けた結果であることが多いものです。

自社を大きく見せる言葉を引き算し、決まった人の話を残す。

それが、私たちが「売れるサイトはみな謙虚」と呼んでいる考え方です。

ほかの業種での例や、ページを直すときの考え方は、合同会社謙虚のトップページでもご紹介しています。

今日できる点検

最後に、今日のうちに確かめられることを表にまとめます。

点検すること 確かめ方 できていなかったら
扱う領域が1つの文で言えるか トップページの最初の画面を読む 前職の業界か、過去の決定から1つ選んで書く
求人の実例が条件ごと書いてあるか 求職者向けのページを開く 了解を取った求人を、市と時間と仕事の中身で書く
連絡の頻度と止め方が書いてあるか 登録ボタンの近くを探す 週に何回か、どう止めるかを一文で書く
登録している人の姿が書いてあるか 求人企業向けのページを開く 経験と希望を、個人が分からない形で書く
手数料表と返戻金の決まりがそろっているか 人材サービス総合サイトの自社ページと見比べる 同じ内容をホームページにも載せ、理由を添える

まずは、トップページの最初の画面に、扱う領域を1つの文で書けているかを確かめてください。

書けていなければ、そこが最初に直す場所です。

次の求人企業を訪ねる前に、その一文だけ決めておいてください。

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合同会社謙虚 代表社員。20代から、売る言葉だけを仕事にしてきました。電話営業で受話器を握っていた時代から、数千社のWEB集客に関わったいままで。詳しいプロフィールはこちら

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