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  3. 問い合わせが増えるホームページの文章の書き方と書く前に決める前工程

問い合わせが増えるホームページの文章の書き方と書く前に決める前工程

2026 8/30
bubbles

ホームページの文章を何度書き直しても問い合わせが増えない。そんなときにまず疑うべきなのは、言い回しのうまさや誤字の有無ではありません。文章を書き始める前に決めておくべきことが、決まっていないだけのことがほとんどです。この記事は、中小企業の経営者やサイトの担当者が、自分のホームページの文章を「読まれて、問い合わせにつながる文章」へ組み立て直すための実務ガイドです。読み終えたときに、自社のどのページの文章から直せばよいかが1つ決まっている状態を目指します。

結論を先に書きます。ホームページの文章の成果を決めるのは、書く速さでも綺麗な言い回しでもありません。「誰に、何を、どの順番で伝えるか」を書く前に決める前工程です。この3つがずれていると、どれだけ文章を磨いても反応は変わりません。逆にこの3つが噛み合っていれば、平易な文章でも問い合わせは動きます。順を追って、その決め方と型を具体的に説明します。

目次

ホームページの文章で問い合わせが増えない本当の理由

問い合わせが来ないとき、経営者がまず疑うのは「文章が下手だからではないか」ということです。そして表現をこねくり回し、キャッチコピーを何度も書き換え、それでも数字が動かずに疲れてしまいます。ここで見落とされているのは、文章の良し悪しは書き始める前の段階でほとんど決まっている、という事実です。読み手が誰なのか、その人に何を伝えるのか、どの順番で伝えるのか。この設計が曖昧なまま書き始めると、言葉をどう整えても的が外れたままになります。

あなたのホームページを開いた人の頭の中には、たいてい短い問いが浮かんでいます。「これは自分向けのサービスなのか」「ここに頼むと何がどう良くなるのか」「なぜよそよりここなのか」。この問いに、開いて数秒で答えられているかどうかが分かれ目です。訪問者はよく、こう思ったまま静かに離脱します。「悪くなさそうだけど、自分に必要かどうかは分からなかった」。文章がうまいかどうかより手前で、この問いに答えられていないことが問題なのです。

同じ商品を、同じ広告費で、同じ入り口から流しても、伝える中身がずれていれば反応は何倍も変わります。差を生むのは最後の言い回しよりも、その手前にある設計です。だからこの記事では、文章術の細かいテクニックに入る前に、まず前工程の決め方から始めます。前工程が固まってから言い回しを整えると、同じ労力でも成果がまるで違ってきます。

あなたのサイトの症状 いま起きていること 先に直す前工程
アクセスはあるのに問い合わせが来ない 読み手が「自分向けだ」と気づけていない 「誰に」を1人に絞り直す
説明は多いのに何屋か伝わらない 自社の言葉で語り、相手の言葉になっていない 「何を」を相手の悩みの言葉で書き直す
読まれずに途中で離脱される 自社紹介が先で、読み手の関心が後回し 「どの順番」を読み手起点に組み替える
文章を直しても反応が変わらない 言い回しだけを触り、設計を触っていない いったん書くのを止めて前工程に戻る

読まれない文章に共通する3つの型

問い合わせにつながらない文章には、繰り返し現れる型があります。1つ目は、誰に向けたのかが曖昧なまま、全員に向けて広く書いてしまう型です。2つ目は、自社が言いたいことを自社の言葉のまま並べ、読み手の悩みに触れていない型です。3つ目は、自社紹介から入って、読み手の関心が生まれる前に説明を始めてしまう型です。この3つは、そのまま前工程の3つの問いに対応しています。逆に言えば、前工程を整えれば、この3つの型から抜け出せます。

自分のホームページがどの型に当てはまるかは、他人に読んでもらうとすぐ分かります。書いた本人は中身を知っているため、抜けに気づけません。社内の別の部署の人や、業界の外にいる知人に開いてもらい、開いて数秒で「何屋で、誰の悩みを解決するのか」を言えるかどうかを試すと、どの型に落ちているかが見えてきます。

読まれない文章の型 読み手に起きること 対応する前工程
全員に向けて広く書いている 自分向けだと気づけず素通りする 「誰に」を1人に絞る
自社の言葉のまま並べている 意味は分かるが心に引っかからない 「何を」を相手の言葉にする
自社紹介から始まっている 関心が生まれる前に離脱する 「どの順番」を読み手起点にする

「文章がうまい」と「問い合わせが増える」は別物

文章がうまい人が書けば問い合わせが増える。そう思われがちですが、この2つは別の能力です。文章がうまいとは、読みやすく、リズムがよく、誤解なく伝わる状態のことです。問い合わせが増えるとは、読み手が「これは自分の悩みを解決してくれそうだ」と感じて行動する状態のことです。前者は表現の技術で、後者は設計の技術です。表現がどれほど整っていても、伝える中身が読み手の関心とずれていれば、行動にはつながりません。

たとえば同じ英語教材を売るとき、「高品質な英語教材です」と書くのと、「何年も勉強しているのに、外国人を前にすると一言も出てこないあなたへ」と書くのとでは、読み手の反応がまるで違います。入力にかかる時間はどちらも数秒で、文章力の差もほとんどありません。違うのは、誰のどの状態に向けて書いたかという設計だけです。ホームページの文章でも、勝負はこの設計の段階でついています。

この区別が大事なのは、直す場所を間違えないためです。反応が出ないときに表現ばかり触っていると、いつまでも設計に手が入りません。文章がうまいことは土台として必要ですが、それだけでは問い合わせは増えないと知っておくと、限られた時間をどこに使うべきかが見えてきます。

あなたが磨こうとしているもの それが効く場面 問い合わせへの影響
言い回しの綺麗さ 読みにくさで離脱されているとき 限定的。土台としては必要
誤字や表記のゆれ 信頼を損ねているとき 限定的。減点を防ぐ効果
誰に向けた文章かの設計 読み手が自分向けと気づけないとき 大きい。反応の土台を作る
何を伝えるかの中身 関心とずれた説明をしているとき 大きい。行動を左右する

書く前に決める3つのこと 誰に 何を どの順番

前工程は、3つの問いに答えることに尽きます。1つ目は「誰に」。読み手を、顔が浮かぶくらい具体的な1人に絞ります。2つ目は「何を」。その人が普段使っている言葉で、悩みと、解決した後の姿を並べます。3つ目は「どの順番」。相手が疑わずに読み進められる流れを決めます。この3つが決まってから、はじめて文章を書きます。文章は最後の工程です。

順番が大事なのには理由があります。「誰に」が決まらないと、「何を」書けばよいかが決まりません。20代の一人暮らしに向けた言葉と、経営者に向けた言葉は、同じ商品でも中身が変わるからです。そして「何を」が決まらないと、「どの順番」で並べるべきかも決まりません。だから必ずこの順で降りていきます。逆から始めると、途中で必ず手が止まります。

下の図は、この前工程から文章までの流れをまとめたものです。左から順に決めていき、3つが固まってから右端の「書く」に進みます。AIに下書きさせる場合も、この左3つを人間が決めておくところは変わりません。

書く前に決める3つの前工程 1 誰に 読み手を1人に絞る 2 何を 相手の言葉で並べる 3 どの順番 疑わず読める流れ 書く 下書きは最後に整える 絞れたら 選べたら 決まったら

この3つを紙に書き出すだけでも、たいていのサイトは文章が変わります。頭の中で「なんとなく分かっている」状態と、言葉にして書き出した状態は、精度がまったく違うからです。次の章から、3つそれぞれの決め方を具体的に見ていきます。

1つ目 「誰に」を決める 読み手を1人に絞る

最初に決めるのは、読み手を誰か1人に絞ることです。「30代から50代の経営者や個人事業主の方」といった幅の広い書き方では、結局は誰にも刺さりません。人は、自分に向けられた言葉だと感じたときにだけ足を止めます。全員に向けた言葉は、誰にも向いていないのと同じに読まれます。だから、あえて1人に絞ります。

ぼんやりした読者像を1人に変換する

絞るときは、年齢や性別といった属性の枠を埋めるだけで終わらせないことが大事です。その人が今どんな状況にいて、何に困っていて、どんな言葉で検索し、これまで何を試して、なぜうまくいかなかったのか。ここまで具体化して、はじめて言葉が決まります。属性は同じでも、状況が違えば響く言葉は変わるからです。

よくあるぼんやりした読者像 足りていない視点 絞り込んだ1人の像
中小企業の経営者 今どんな状況で困っているか ホームページはあるが3年間問い合わせが月1件以下の建設会社の社長
健康に関心がある人 何を試して失敗してきたか 市販のサプリを2年試したが効果を感じられず不信を持っている人
集客に悩む店舗 どんな言葉で検索するか 「地域名 美容室 集客」で調べては情報の多さに疲れている店主
サイト担当者 社内でどんな立場に置かれているか 成果を上に問われるが予算も人手も足りない一人担当者

絞ると狭くなるのではないかという不安

1人に絞ると客が減るのではないか、と多くの人が不安になります。しかし実際には逆のことが起こります。特定の1人に向けて具体的に書かれた文章は、その像に近い人たちに「これは自分のことだ」と感じさせます。ぼんやり広く書いた文章は、広い人に向いているようで、誰の心にも引っかかりません。絞ることは、届く範囲を狭める行為に見えて、実際には届く深さを作る行為です。

絞った読み手は、ページごとに変えても構いません。トップページは最も来てほしい1人に、あるサービスページはその中の別の状況の人に、というように、ページの役割ごとに1人を決めます。大事なのは、1枚のページの中で読み手がぶれないことです。

2つ目 「何を」を決める 相手の言葉で悩みと解決を並べる

読み手が決まったら、次はその人に何を伝えるかを決めます。ここでの原則は1つ、自社の言葉よりも相手が普段使っている言葉で書くことです。自社の中では当たり前に使っている専門用語や社内用語は、読み手には届きません。読み手が頭の中でつぶやいている言葉に、こちらの言葉を合わせていきます。

自社目線の言葉を相手の言葉に置き換える

たとえば「ワンストップで対応します」という一文は、書き手には便利な言葉ですが、読み手の悩みには触れていません。読み手が本当に困っているのは「何社にも見積もりを取って比べるのが面倒」という具体的な状況です。だから「見積もりのために何社も回る手間をなくします」と書いたほうが、同じ内容でも届きます。自社が言いたいことを、相手が困っていることの言葉に翻訳する作業です。

自社が使いがちな言葉 読み手には伝わらない理由 相手の言葉への翻訳
高品質なサービスを提供 品質の中身が具体的に見えない やり直しが出ないよう着工前に図面で3回確認します
豊富な実績があります 自分に関係する実績か分からない あなたと同じ10人規模の会社を年に40社支援しています
お客様に寄り添います どの場面で何をするか見えない 契約後も同じ担当者が毎月30分電話で相談に乗ります
最新の技術を導入 それで自分が何を得るか不明 従来1週間かかった作業が翌日に終わります

相手の言葉を集めるリサーチのやり方

相手の言葉は、想像だけでは出てきません。実際に使われている言葉を集める必要があります。難しく考える必要はなく、身近なところに材料はあります。過去の問い合わせメールや相談の録音、営業のときにお客様が口にした一言、レビューや口コミの文面、検索の際に打ち込まれる語。これらを書き出していくと、自社が使っていた言葉と、お客様が使っている言葉のずれが見えてきます。

お客様がよく口にする一言は、そのまま見出しに使えることがあります。「安いところは不安だし、高いところは何が違うのか分からない」といった生の声は、同じ悩みを持つ人の心に強く刺さります。こうした言葉を集めておくと、文章を書くときに迷いが減ります。何を書くかを想像でひねり出す必要がなくなり、集めた言葉から選ぶだけになるからです。

言葉を集める場所 そこから分かること 文章での使いどころ
過去の問い合わせや相談内容 最初に抱く不安や質問 導入部分と、よくある質問
成約したお客様の声 決め手になった価値 サービスの説明と事例
断られたときの理由 まだ解けていない不安 不安を先回りして解く段落
検索で打ち込まれる語 頭の中の言葉そのもの 見出しと本文のキーワード

解決した後の姿を言葉にする

相手の言葉で悩みを書けたら、次はその悩みが解決した後の姿を言葉にします。人は、問題そのものより、問題が消えた後の状態に心を動かされます。「見積もりのために何社も回る手間がなくなる」だけでなく、「その分の時間で本業に集中でき、夜に見積もりを作る残業が消える」というところまで描くと、読み手は自分の未来を具体的に思い浮かべられます。悩みと、解決後の姿を対にして並べるのが、伝わる中身の基本の形です。

解決後の姿を描くときも、確かめられない誇張は避けます。読み手は誇張に敏感で、話がうますぎると一気に疑いに変わります。自社が実際に提供できる変化の範囲で、具体的に描きます。地に足のついた変化のほうが、大きすぎる約束より信じてもらえ、結果として行動につながります。相手の言葉で悩みを書き、実際に届けられる変化を描く。この2つがそろうと、伝える中身は自然に決まります。

読み手のいまの悩み ありがちな伝え方 解決後の姿まで描いた伝え方
問い合わせが月に1件も来ない 集客を支援します 月1件だった問い合わせが週に届くようになり営業に追われなくなる
見積もり作成に時間を取られる 業務を効率化します 夜の見積もり残業がなくなり日中に本業へ集中できる
何を頼めるか分からず相談できない 丁寧に対応します ぼんやりした相談から始められ次に何をするかが毎回はっきりする

3つ目 「どの順番」を決める 疑わずに読める流れ

誰にと何をが決まったら、最後にどの順番で伝えるかを決めます。同じ材料でも、並べる順番が違えば伝わり方はまるで変わります。人は、自分に関係があると分かってから、はじめて詳しい説明を聞く気になります。この心の順番に文章の順番を合わせるのが、ここでやることです。

自社語りを先に出すと売上が死ぬ

少なくないホームページが、会社の沿革や理念、代表の挨拶といった自社の話から始まります。書き手にとっては大事な情報ですが、初めて訪れた読み手にとっては、まだ関心のない話です。関心を持つ前に自社の話を聞かされると、読み手は「自分に関係がなさそうだ」と判断して離れます。伝える順番を読み手起点に組み替えるだけで、同じ内容でも最後まで読まれるようになります。

読み手の心の中には、おおまかな順番があります。まず「これは自分の悩みの話か」を確かめ、次に「解決できそうか」を知り、それから「なぜここなのか」「本当に大丈夫か」を確かめ、最後に「どう進めればよいか」を探します。文章の順番も、この流れに沿わせます。自社の話は、読み手が関心を持った後に、その関心に答える形で差し込みます。

よくある順番 読み手の反応 反応が出る順番
会社紹介と理念から始める 自分に関係ないと感じて離脱 読み手の悩みへの共感から始める
サービスの機能を先に並べる 何のための機能か分からない 解決した後の姿を先に見せる
実績や受賞歴を前面に出す 自慢に見えて距離を感じる 読み手の不安に答える形で実績を出す
最後まで連絡先が出てこない 行動したい瞬間に動けない 納得した直後に次の一歩を置く

伝える順番の型

迷ったときに使える基本の型があります。共感、問題の整理、解決策、理由、証拠、次の一歩、という並びです。まず読み手の状況に共感し、何が問題かを整理し、その解決策を示し、なぜそれで解決できるのかを説明し、証拠を添え、最後に次の一歩を案内します。この順番なら、読み手は疑いを1つずつ解きながら読み進められます。すべてのページをこの型に当てはめる必要はありませんが、流れに迷ったときの基準になります。

ここまでの3つの前工程は、一度決めたら終わりではありません。文章を書いて反応を見て、うまくいかなければ前工程に戻る。この往復で少しずつ精度が上がっていきます。最初から完璧に決めようとして手が止まるより、仮でよいので書き出して、動かしながら直していくほうが早く前に進みます。紙に書き出した前工程のメモは、この往復のたびに見返す土台になります。

1ページを1つの流れとして読み通す

順番を決めたら、実際に自分でそのページを上から下まで読み通してみます。書いているときは部分ごとに見ているため、流れの切れ目に気づけません。読み手になったつもりで通して読むと、話が飛んでいる箇所や、まだ疑いが残ったまま次に進んでいる箇所が見えてきます。読み手が「これはどういうことか」と引っかかりそうな場所に、その答えを先回りして置いていくと、流れが滑らかになります。

順番の善し悪しは、読み手が途中で離れずに最後の一歩までたどり着けるかで測れます。どんなに良い解決策でも、それを知る前に読み手が離れてしまえば意味がありません。共感で足を止め、問題の整理で「まさに自分のことだ」と感じさせ、解決策で希望を持たせ、証拠で疑いを解き、最後に無理のない一歩を置く。この流れが1本の線としてつながっているかを、通し読みで確かめます。

AIで下書きする時代に人がやる前工程

AIに商品情報を渡せば、広告文もホームページの文章も、それらしいものが数秒で出てきます。文章を書く速さでは、もう人はAIに勝てません。だからこそ、価値の重心は「書く」から「何を書かせるか」へ移りました。AIが良い文章を書けないのではありません。AIに何を書かせるべきかを、人間側が決められていないことが問題なのです。

AIに任せる前に人が決めておくこと

ここまで説明した「誰に、何を、どの順番」は、AIに肩代わりさせにくい部分です。誰に向けるかは、自社のお客様を知っている人にしか決められません。何を伝えるかは、集めた生の言葉から選ぶ判断です。どの順番かは、読み手の心の動きを踏まえた設計です。ここを空欄のままAIに丸投げすると、どこかで見たことのある、当たり障りのない文章が返ってきます。前工程を人が固めてから渡すと、AIの下書きは一気に使えるものになります。

工程 人が決めること AIに任せられること
誰に 絞り込んだ1人の像 その像に合う言葉づかいの候補出し
何を 集めた生の言葉から伝える中身を選ぶ 選んだ中身の言い換え案を複数出す
どの順番 読み手起点の流れの設計 決めた流れに沿った下書きの作成
仕上げ これで出してよいかの最終判断 誤字や表記のゆれの整え

下書きを判断できる目が最後の砦になる

AIが下書きを何十本作っても、「この文章を自社のホームページに出してよいか」「読み手に本当に伝わるか」「そもそも問い合わせにつながる可能性があるか」を判断できなければ、成果にはつながりません。この判断は、前工程を自分で決めた人にしかできません。ホームページの文章を、書く作業として捉えるのをやめ、伝える中身を決める仕事として捉え直すこと。これが、AIで文章が作れる時代に成果を分ける分岐点になります。

実際に手を動かすときは、前工程を書き出したメモをAIに渡し、下書きを出させ、それを人が読んで判断し、ずれていれば前工程に戻る。この往復で仕上げていくと、速さと質を両立できます。速く書くことはAIに任せ、何を書くかは人が握る。この分担が現実的です。

前工程を決め、AIも使いながら下書きができたら、次に意識したいのがページごとの役割です。ホームページは1枚の紙のようでいて、実際には役割の違うページの集まりです。それぞれのページで、読み手が来る理由と求めることが違います。この違いを踏まえて文章を書き分けると、サイト全体が1本の流れとしてつながっていきます。

プロンプトより前の材料が質を決める

AIに良い文章を書かせるコツを探す人は多いですが、実際に下書きの質を決めるのは、指示の巧みさよりも渡す材料です。前工程で集めた読み手の生の言葉、悩み、解決後の姿、確かめられる事実。これらをそろえてから渡すと、AIはそれを使って具体的な文章を返します。逆に材料が薄いまま指示だけを工夫しても、当たり障りのない一般論しか返ってきません。時間をかけるべきは、指示の言い回しより材料の準備です。

下書きが返ってきたら、そのまま貼りつけるのは避けます。読み手になったつもりで読み返し、自社の言葉として不自然な箇所や、確かめられない表現が混じっていないかを確かめます。AIは文章を整えるのは得意ですが、それが事実かどうかは判断できません。事実の裏づけと、出してよいかの最終判断は、人が担う部分です。この一手間が、量産された文章と、読まれる文章の分かれ目になります。

ページ種別ごとに文章の役割は違う

ホームページの文章は、どのページも同じ調子で書けばよいわけではありません。ページごとに、読み手がそこに来る理由と、そこで求めていることが違うからです。役割を取り違えると、良い文章でも噛み合いません。主要なページの役割を整理しておきます。

ページの種類 読み手がそこで知りたいこと 文章の主な役割
トップページ ここは自分向けか、何屋か 数秒で自分向けだと気づかせ、先へ導く
サービス紹介 自分の悩みが解決するか 解決後の姿と、その根拠を示す
会社概要 信頼して任せてよい相手か 実在と姿勢を伝え、不安を消す
事例やお客様の声 自分に近い人が成果を出したか 近い状況の変化を具体的に見せる
問い合わせ 連絡した後どうなるか 次の流れを示し、心理の壁を下げる

トップページの文章

トップページで最も大事なのは、開いて数秒で「ここは自分に関係がある」と気づいてもらうことです。最初に目に入る位置に、何屋で、誰のどんな悩みを解決するのかを、短い言葉で置きます。ここが抽象的なキャッチコピーだけだと、読み手は自分向けかどうかを判断できず、離れていきます。凝った言葉より、具体的で分かる言葉を優先します。

サービス紹介ページの文章

サービスページでは、機能の羅列から入らないことが肝心です。読み手が知りたいのは機能そのものよりも、それによって自分の状況がどう変わるかです。だから「解決した後にどうなるか」を先に見せ、その後で「なぜそれが実現できるのか」を機能や仕組みで裏づけます。順番を逆にするだけで、同じ機能説明が生きてきます。

会社概要と問い合わせページの文章

会社概要は、事務的な情報だけの置き場所になりがちですが、実際には信頼を左右する重要なページです。読み手は契約前に必ずここを見て、任せてよい相手かを確かめます。実在が伝わる情報と、仕事への姿勢を、飾らない言葉で書きます。問い合わせページでは、連絡した後にどうなるかを示すことが、心理の壁を下げます。「しつこい営業はしません」「まずは相談だけでも大丈夫です」といった一言が、最後の一歩を後押しします。

設計が決まり、ページごとの役割も踏まえたら、いよいよ読みやすさの仕上げに入ります。ここは最後の工程ですが、軽視すると、せっかく整えた設計が読まれずに終わります。読みやすさは、才能や文章のセンスで決まるものではありません。基準を知って、それを守るかどうかだけの問題です。

読みやすさの土台をつくる 1文と段落と見出し

前工程が決まったら、最後に読みやすさを整えます。設計が正しくても、読みにくければ途中で離脱されます。読みやすさは才能の問題に見えて、実際はいくつかの基準を守るだけで大きく変わります。

1文を短くし結論を先に置く

1つの文に情報を詰め込みすぎると、読み手は途中で意味を見失います。1文は短く区切り、1つの文には1つの内容だけを入れます。そして段落の頭には結論を置きます。スマートフォンで読む人は、最初に結論が見えないと、その先を読まずに離れていきます。理由や具体例は結論の後に続けます。この順番を守るだけで、同じ内容でも格段に読みやすくなります。

段落と見出しで休憩をつくる

文字がびっしり詰まった画面は、読む前から負担に感じられます。1つの話題ごとに段落を分け、適度に改行を入れて、目が休める余白をつくります。見出しは、そこに何が書いてあるかを一目で示す道しるべです。見出しだけを拾い読みしても話の流れが分かるように付けると、忙しい読み手にも内容が届きます。長い記事ほど、見出しの分かりやすさが読了率を左右します。

読みにくくなる書き方 読み手に起きること 直し方の基準
1文が3行以上続く 途中で主語を見失う 1文は2行以内、1文1内容にする
結論が段落の最後にある 読む前に離脱される 段落の頭に結論を置く
改行がなく文字が詰まる 読む前に負担を感じる 話題ごとに段落と余白を入れる
見出しが抽象的で中身が読めない 拾い読みで内容が伝わらない 見出しだけで流れが分かるようにする

声に出して読んで確かめる

読みやすさを確かめる簡単な方法が、書いた文章を声に出して読むことです。声に出すと、息が続かない長い文や、同じ言い回しの繰り返し、意味の分かりにくい箇所が、耳で分かります。目で追っているだけでは素通りしてしまう引っかかりが、音にすると表面に出てきます。公開する前に一度、自分のページを声に出して読み通してみてください。直すべき場所がいくつも見つかるはずです。

具体化で信頼をつくる 曖昧な言葉を事実に置き換える

読み手の信頼を得る最も確実な方法は、曖昧な言葉を具体的な事実に置き換えることです。「実績豊富」より「年間の対応件数は2000件」、「歴史ある」より「1950年の創業」のほうが、同じことを言っていても信じてもらえます。数字や固有の事実は、書き手の主観を超えた、確かめられる情報だからです。書き終えた後に本文を読み返し、曖昧な量の表現を見つけたら、確認できる事実に置き換えていきます。

ここで大事なのは、確かめられない数字を作らないことです。信頼を得るための具体化が、裏の取れない誇張になっては本末転倒です。自社が実際に持っている事実だけを使います。件数、年数、対応時間、担当者の人数、これまでの手順など、社内で確認できる具体は必ずあります。それを探して言葉にするのが、この作業の中身です。

曖昧なままの表現 読み手の受け取り方 確かめられる事実への置き換え
多くのお客様に選ばれています どのくらいか分からず流される これまでに1200社が導入しています
スピーディーに対応します どの程度速いか判断できない 問い合わせに翌営業日までに返信します
経験豊富なスタッフ どの程度の経験か伝わらない この分野で15年、担当者は全員5年以上
安心のサポート体制 何をしてくれるか見えない 契約後も同じ担当が毎月相談に対応します

数字を扱うときの注意

具体化のために数字を使うときは、その数字の意味が読み手に伝わる形にします。ただ大きい数字を並べても、読み手には自分との関係が見えません。「対応件数2000件」であれば、それが「自分と同じ規模の会社をどれだけ支えてきたか」に結びつくように添えます。数字は、読み手が自分の状況に引きつけて理解できてはじめて、信頼の材料になります。数字を出したら、その数字が読み手にとって何を意味するかを一言添える習慣をつけます。

自社語りを減らし読み手の疑問に答える

ホームページの文章がうまくいかない大きな原因の1つが、語り手が自分の話ばかりしてしまうことです。「弊社は」で始まる自己紹介から入ると、読み手の関心は置き去りになります。読み手が知りたいのは、書き手が何者かより先に、自分の悩みが解決するかどうかです。だから語り手は、自分から名乗るより、読み手の疑問に答える形で登場します。

「本当にうちの状況でも大丈夫だろうか」という読み手の不安に、「同じ状況の会社をこれまで多く担当してきました」と答える。「何から相談すればいいか分からない」という戸惑いに、「最初はぼんやりした相談で構いません」と答える。このように、読み手の頭に浮かぶ問いを先回りして、それに答える形で自社の情報を出していくと、押しつけがましさが消え、伝わり方が変わります。

読み手の疑問を先回りするには、前工程で集めた生の言葉が役に立ちます。断られたときの理由や、相談で最初に聞かれる質問は、そのまま読み手の疑問です。それを見出しにして、本文で答えていくと、読み手は「自分の聞きたいことが書いてある」と感じます。この積み重ねが、問い合わせへの距離を縮めます。

読み手の疑問に答える姿勢は、文章全体の印象も変えます。自分の話ばかりする書き手は、読み手に「売りたいだけなのだ」と感じさせます。読み手の問いに1つずつ答えていく書き手は、「こちらのことを分かってくれている」と感じさせます。同じ情報を載せていても、それを自分の自慢として出すか、読み手の疑問への答えとして出すかで、受け取られ方は正反対になります。情報を出す前に、それが読み手のどの問いに答えるものかを一度考えてみてください。

文章を直すときの順番 反応が変わらないなら書くのを止める

すでにあるホームページの文章を直すときにも、順番があります。反応が出ないからといって、いきなり言い回しを触り始めるのは遠回りです。まず前工程が固まっているかを確かめ、それから表現に進みます。土台がずれたまま表現だけを直しても、反応は変わらないからです。

直す前に立ち止まって確かめること

文章を何度書き直しても反応が変わらないなら、いったん書くのを止めます。そして「そもそも、誰に何を伝えようとしているのか」を紙に書き出して確かめます。ここが曖昧なまま、あるいはその意図が文章に反映されないまま表現だけをいじっても、大きく変わることはありません。書くのを止めて設計に戻ることが、遠回りに見えて最短の道です。

直したくなる箇所 先に確かめること その順番で直す理由
キャッチコピーの言い回し 誰に向けた言葉か決まっているか 読み手がずれていれば言葉も的を外す
説明文の細かい表現 相手の言葉になっているか 自社目線のままだと磨いても届かない
ページ全体の見た目 伝える順番が読み手起点か 順番がずれていれば読み進められない
ボタンの文言 その手前で納得を作れているか 納得なしに文言だけ変えても押されない

1つずつ試して確かめる

直すときは、あちこちを一度に変えないことも大事です。一度にすべてを変えると、何が効いたのか分からなくなります。まず前工程を見直し、次に最も影響の大きいトップページの最初の言葉を直し、その反応を見てから次に進む。1つずつ試して確かめると、自社のお客様に何が効くのかが少しずつ分かってきます。この積み重ねが、時間はかかっても確実に成果を近づけます。

読まれる見出しとキャッチコピーの作り方

本文をどれだけ整えても、見出しやキャッチコピーで足を止めてもらえなければ、中身は読まれません。読み手はまず見出しを拾い読みし、自分に関係がありそうだと感じたところだけを本文で確かめます。だから見出しは、本文の要約であると同時に、読み進める理由をつくる役割を担います。ここでも効くのは、凝った言い回しよりも、前工程で決めた「誰に、何を」を素直に映すことです。

見出しは道しるべとして機能させる

良い見出しは、それだけを上から下へ拾い読みしても、話の流れが分かります。忙しい読み手は、本文を全部読む前に見出しで全体像をつかもうとするからです。逆に、抽象的で内容の想像がつかない見出しが並ぶと、拾い読みでは何も伝わらず、読み手は本文に入る前に離れていきます。見出しをつけたら、見出しだけを続けて読み返し、流れが分かるかを確かめてください。

見出しに具体を入れると、拾い読みの精度が上がります。「サービスについて」という見出しは何も伝えませんが、「見積もりのために何社も回る手間をなくす仕組み」という見出しは、読む前に中身が分かります。読み手は、自分の悩みに触れた見出しを見つけたときに、その先を読む気になります。見出しは飾りに見えて、その実、読み手を本文へ導く案内板です。

見出しをつけ終えたら、数を絞ることも意識します。見出しが細かく分かれすぎると、かえって流れが見えにくくなります。1つの見出しの下に、関係する内容をまとめて置き、話のまとまりごとに区切ると、拾い読みでも全体像がつかめます。見出しは数が多いほどよいわけではありません。話のまとまりを映す数に整えることが大切です。

キャッチコピーは具体で決まる

トップページの最初に置くキャッチコピーは、凝った言葉づかいで決まるものではありません。読み手が「これは自分の悩みの話だ」と一瞬で気づけるかどうかで決まります。抽象的で綺麗な言葉は、書き手には格好よく見えますが、読み手には自分向けかどうかが判断できません。前工程で絞った1人の悩みを、その人が使う言葉でそのまま置くほうが、はるかに強く刺さります。

迷ったときは、絞った読み手が頭の中でつぶやいている言葉を、そのままキャッチコピーにしてみます。「何年も勉強しているのに一言も話せない」「毎月何社にも見積もりを取るのが面倒」といった生の言葉は、同じ悩みを持つ人の目を止めます。かっこよさを足そうとして抽象度を上げると、途端に他人事になります。具体を保つことが、キャッチコピーでは何よりも効きます。

ありがちなキャッチコピー 読み手が感じること 具体に直したキャッチコピー
あなたのビジネスを加速する 抽象的で自分向けか分からない 問い合わせが月1件から週1件に増える文章に直します
最高の品質をお届けします 何がどう良いのか伝わらない 着工前に図面で3回確認しやり直しをなくします
お客様第一主義 言葉だけで中身が見えない 契約後も同じ担当が毎月あなたの相談に乗ります
豊かな未来を一緒に 自分の悩みと結びつかない 老後の資金の不安を、家計の見直しから一緒に減らします

社長が決めた言葉が滑る理由

キャッチコピーを社内の一番上の人が1人で決めると、うまくいかないことがよくあります。経営者は自社の全体像を知っているため、つい自社の理念や強みを凝縮した言葉を選びがちです。しかし初めて訪れる読み手は、その背景を知りません。読み手の悩みから出発した言葉と、自社の想いから出発した言葉は、向いている方向が逆になります。前工程で集めた読み手の言葉を出発点に置くと、この滑りを防げます。

事例とお客様の声で信頼を積み上げる

読み手は、商品の説明を読んでも最後まで疑いを残しています。「それは分かったが、本当に自分の場合でもうまくいくのか」という不安です。この不安を解くのに最も効くのが、自分に近い人が成果を出した事例と、お客様の生の声です。作り手の主張は割り引いて読まれますが、同じ立場の人の変化は信じてもらえます。ここでも大事なのは、前工程で絞った読み手に近い事例を選ぶことです。

事例を選ぶもう1つの基準が、読み手が次に自分もできそうだと思えるかどうかです。あまりに特別な条件がそろって出た成果は、読み手に「うちでは無理だ」と感じさせます。特別な運や資源に頼らず、手順を踏んで出た成果のほうが、読み手に現実味を持たせます。誰にでも再現できそうだと感じさせる事例が、行動への距離を縮めます。

読み手は自分に近い事例を探している

事例を載せるとき、成果の大きさで選びがちですが、読み手が見ているのは自分との近さです。規模も業種も違う華々しい成功例より、自分と同じ状況の会社が地道に成果を出した事例のほうが、はるかに強く響きます。だから事例は、絞った読み手に近い状況のものを優先して並べます。「同じ10人規模の会社」「同じ地域の店舗」といった近さが、読み手に自分ごととして受け取らせます。

事例は、変化が見える形で書きます。始める前と後を、確かめられる事実で示すと信頼が生まれます。「問い合わせが月1件から週2件に増えた」「見積もり作成にかかっていた時間が半分になった」といった具体の変化が、読み手に「自分も変われそうだ」と感じさせます。ここでも、確かめられない誇張は避け、実際に起きた変化だけを載せます。

事例の載せ方 読み手の受け取り方 信頼が生まれる書き方
華々しい大企業の成功例だけ 自分とは規模が違うと感じる 自分と近い規模や業種の事例を並べる
成果の数字だけを大きく出す 本当かどうか疑いが残る 始める前と後の変化を具体的に示す
良いことだけを書く 都合の良い話に見える どんな課題から始めたかも正直に書く
抽象的な感想を並べる 誰にでも言える言葉に見える お客様の具体的な一言をそのまま載せる

お客様の声は変化が見える形で載せる

お客様の声は、「満足しています」「ありがとうございました」といった短い感想だけでは力を持ちません。読み手が知りたいのは、そのお客様がどんな悩みを抱えて来て、何に迷い、頼んだ後にどう変わったか、という一連の流れです。声をもらうときに、この流れが分かる質問をしておくと、載せたときに読み手の不安に答える材料になります。生の言葉の中にある具体的な一言が、最も強く読み手を動かします。

集めた声の中には、そのまま見出しやキャッチコピーに使える言葉が眠っています。お客様が自分の言葉で語った変化は、書き手がひねり出す言葉より自然で、同じ悩みを持つ人に届きます。声を集めることは、証拠を集めることであると同時に、読み手に響く言葉を集めることでもあります。

声を集める仕組みをつくる

お客様の声は、待っていても集まりません。集める仕組みを、仕事の流れの中に組み込みます。納品や契約が終わった直後、お客様の満足が高いうちに、短い質問をいくつか投げかけるだけで十分です。困っていたこと、迷ったこと、頼んだ後の変化。この3つを聞いておくと、そのまま文章の材料になります。仕組みにしておけば、材料は自然と溜まっていきます。

事例やお客様の声は、一度載せて終わりにせず、増やし続けることに価値があります。載っている事例の幅が広いほど、多様な読み手が自分に近いものを見つけられます。1つの華々しい事例より、さまざまな状況の地道な事例が並んでいるほうが、より多くの読み手の不安に答えられます。仕事が一段落するたびに1つずつ足していくと、この財産は自然と厚みを増していきます。

スマートフォンと検索を前提に整える

いまホームページを読む人の多くは、スマートフォンの小さな画面で、すきま時間に読んでいます。パソコンの大きな画面を前提に書いた文章は、スマートフォンでは読みにくく、途中で離脱されます。文章を整えるときは、小さな画面で親指でスクロールしながら読む人を思い浮かべます。この前提を持つだけで、1文の長さや段落の切り方の基準が変わってきます。

スマートフォンで読まれる前提で書く

小さな画面では、1文が長いと画面の何行分にもなり、読み手は途中で意味を見失います。1文を短く区切り、段落もこまめに分けて、指でスクロールしたときに区切りが見えるようにします。改行のない文字の塊は、スマートフォンでは特に負担が大きく、読む前に諦められてしまいます。パソコンで書いた文章は、必ずスマートフォンで見返して、読みにくくないかを確かめます。

最初に目に入る位置に、最も伝えたいことを置くことも大切です。スマートフォンの読み手は、最初の画面で自分向けかどうかを判断し、違うと感じたら下までスクロールしません。だから、開いて最初に見える範囲に、何屋で誰の悩みを解決するのかを置きます。大事な情報を下のほうに置くと、そこまでたどり着く前に読み手は離れていきます。

パソコン前提の書き方 スマートフォンで起きること 小さな画面向けの直し方
1文が長く情報を詰め込む 何行にもなり意味を見失う 1文を短く区切り1文1内容にする
大事な情報を下のほうに置く そこまでスクロールされない 最初の画面に結論を置く
改行のない文字の塊で書く 読む前に負担を感じて離れる こまめに段落と余白を入れる
横に広い表や画像を使う 画面からはみ出して読めない 縦に読める形に整える

検索する人の言葉を見出しに置く

ホームページにたどり着く人の多くは、検索から来ます。検索する人は、頭に浮かんだ悩みを言葉にして打ち込みます。その言葉を見出しや本文に置いておくと、同じ悩みを持つ人に見つけてもらいやすくなります。前工程で集めた「検索で打ち込まれる語」が、ここで生きてきます。難しい専門用語より、読み手が実際に打ち込む素直な言葉を使うことが、見つけてもらう近道です。

ただし、見つけてもらうことばかりを意識して、同じ言葉を不自然に詰め込むのは逆効果です。Googleが検索セントラルで公開しているガイドラインによれば、検索エンジンを気にする前に、まず人のために作られたコンテンツが評価されるとされています。読み手にとって自然な文章の中に、検索される言葉が無理なく入っている状態が理想です。人に読みやすい文章を書くことが、結果として見つけてもらうことにもつながります。

他人の目を借りて確かめる

文章を直すときに最も役立つのは、書いた本人以外の目です。作り手は中身を知っているため、言葉足らずの箇所でも意味を補って読んでしまい、抜けに気づけません。社内の別の人や、業界の外にいる家族や知人に読んでもらい、どこで引っかかったか、何屋だと思ったかを聞くと、直すべき場所がはっきりします。高価な調査は要りません。数人に素直な感想を聞くだけで、自分では見えなかった問題が見えてきます。

感想を聞くときは、「分かりやすかったか」と抽象的に尋ねるのは避けます。相手は気を使って「良かった」と答えがちだからです。「開いて最初に何屋だと思ったか」「どこで読むのをやめたくなったか」「頼みたいと思ったか、その理由は何か」と具体的に聞くと、直す手がかりになる答えが返ってきます。集めた感想の中で複数の人が同じ場所を指摘したら、そこが最優先で直す場所です。

よくある質問

文章が苦手でも問い合わせは増やせますか

増やせます。この記事で繰り返し述べたように、問い合わせを左右するのは文章のうまさより前工程だからです。誰に、何を、どの順番で伝えるかを紙に書き出し、その通りに素直な言葉で書けば、凝った表現がなくても読み手には届きます。文章の技術は、後から少しずつ整えれば十分です。まずは設計を固めることに時間を使ってください。

もう1つ補足すると、AIが書いた文章は、どこか一般的で角が取れた印象になりがちです。前工程で集めた読み手の生の言葉を意識的に混ぜると、その一般っぽさが消え、自社らしさが戻ってきます。材料を人が用意し、仕上げの判断を人が握る。この形なら、AIの速さを生かしながら、読まれる文章を保てます。

AIに全部書かせても問題ないですか

下書きをAIに任せるのは有効ですが、全部を丸投げするのは避けたほうがよいです。誰に何を伝えるかという前工程を空欄のまま渡すと、当たり障りのない文章が返ってきて、読み手には響きません。前工程を人が決めてからAIに渡し、出てきた下書きを人が読んで判断する。この分担にすると、速さと質を両立できます。最後に出してよいかを判断する目は、人が持ち続ける必要があります。

1つの目安として、読み手が抱く疑問と不安を、上から順にすべて解けているかで確かめます。疑問が残ったまま次に進む箇所があれば、そこは説明が足りていません。逆に、読み手がもう納得しているのに説明を続けている箇所は、削ってよい部分です。長さは、読み手の心の動きに合わせて決まります。

どのくらいの長さの文章が良いですか

長さそのものに正解はありません。読み手が判断に必要とする情報が過不足なく入っているかで決まります。トップページの最初の言葉は短く一目で分かるほうがよく、サービスや事例の説明は、読み手の不安を解くのに必要なだけ書きます。短く削ることと、必要な情報を省くことは違います。読み手の疑問に答えきれているかを基準に、長さを決めてください。

業界の中では丁寧なつもりの言葉が、外の人には冷たく硬く感じられることもあります。絞り込んだ読み手に向けて、目の前で話すつもりで言葉を選ぶと、自然と伝わる言葉になります。書き終えたら声に出して読んでみて、話し言葉として不自然な箇所がないかを確かめると、硬さに気づけます。

専門用語はどこまで使ってよいですか

読み手が普段使っていない言葉は、できるだけ避けます。自社では当たり前でも、読み手には意味が伝わらない言葉が信頼を遠ざけます。どうしても必要な専門用語は、その場で短く言い換えを添えます。判断の基準は、絞り込んだ1人の読み手がその言葉を知っているかどうかです。知らない言葉だと思ったら、相手の言葉に置き換えます。

更新が続かないのですが文章は書き続けるべきですか

無理に量を増やす必要はありません。まずは主要な数ページの文章を、前工程に沿ってしっかり作ることが先です。土台となるページの文章が問い合わせにつながっていないのに、新しいページを増やしても効果は薄いからです。主要ページが整った後で、読み手の疑問に答える記事を少しずつ足していくと、更新も続けやすくなります。

ここまでの流れを一度整理します。まず前工程で誰に何をどの順番で伝えるかを決め、その材料をもとに文章を書き、AIも下書きに使い、ページごとの役割を踏まえて書き分け、読みやすさと具体で仕上げ、事例と声で信頼を積み、最後に他人の目で確かめて直す。この一連の流れを1回で完璧にこなす必要はありません。1つずつ手をつけ、反応を見ながら前工程に戻る。その往復の中で、自社のお客様に何が効くのかが少しずつ分かってきます。

まとめ

ホームページの文章で問い合わせを増やす鍵は、書く技術より書く前の前工程にあります。誰に伝えるかを1人に絞り、何を伝えるかを相手の言葉で決め、どの順番で伝えるかを読み手起点で組み立てる。この3つを紙に書き出してから書けば、平易な文章でも反応は動きます。AIで文章が作れる時代になっても、何を書かせるかを決める前工程は人の仕事として残り、その価値はむしろ上がっています。

今日からできることは、たった1つで構いません。自社のトップページを開き、開いて数秒で「誰の、どんな悩みを解決する何屋か」が伝わるかを、他人の目で確かめてみてください。伝わっていなければ、そこが最初に直す場所です。文章をいきなり書き換える前に、まず誰に何を伝えたいのかを紙に書き出すところから始めれば、次の一歩は自然と見えてきます。

今日からできる点検

点検する箇所 確かめること 直すときの一歩
トップの最初の言葉 数秒で自分向けだと分かるか 何屋で誰の悩みを解決するかを1文で置く
読み手の像 顔が浮かぶ1人に絞れているか 状況と悩みまで書き出して具体化する
使っている言葉 相手の言葉になっているか 自社用語を相手の悩みの言葉へ翻訳する
伝える順番 共感から始まっているか 自社語りを関心が生まれた後へ移す
具体の事実 曖昧な量の表現が残っていないか 確かめられる件数や年数に置き換える
次の一歩 納得した直後に案内があるか 連絡後の流れを添えて心理の壁を下げる

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この記事を書いた人

中野輝規のアバター 中野輝規

合同会社謙虚 代表社員。20代から、売る言葉だけを仕事にしてきました。電話営業で受話器を握っていた時代から、数千社のWEB集客に関わったいままで。詳しいプロフィールはこちら

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