行政書士として事務所を開いて、登録も済ませ、ホームページも作った。
それなのに、問い合わせはほとんど来ない。
たまに入る依頼は、知り合いや前の職場からの紹介ばかりで、自分から依頼を呼べている手応えがない。
この記事は、開業してまもない方から、数年たって伸び悩んでいる方まで、行政書士事務所の代表の方に向けて書いています。
扱う悩みは2つです。
業務範囲が広すぎて、自分の事務所が何屋なのか伝わらないこと。
そして、紹介に頼りきりで、紹介が途切れると仕事も途切れること。
この2つは、別々の悩みに見えて、根っこが同じところにあります。
依頼の入口に立っているのが、困っている本人だけではないという点です。
この記事では、行政書士法と日本行政書士会連合会が定める職務基本規則、それに会員数の統計を手がかりに、事務所サイトの書き方を順に見直していきます。
読み終えたときに、自分の事務所サイトで最初に書き直す場所が1つ決まっている。
そこを、この記事のゴールにしています。
Q&Aサイトで見かけた、住宅街での開業を考える方の相談
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
投稿者は、これから行政書士として独立しようと考えている方でした。
開業済みの方にとっても、他人事では済まない内容なので、少し詳しく紹介します。
遺言と車庫証明で、毎月の依頼は来るのか
投稿者が考えていたのは、都市の郊外にある、ごく一般的な住宅街での開業です。
主に扱いたい業務は、遺言書の作成と車庫証明でした。
事務の補助は、配偶者に手伝ってもらうつもりだと書かれていました。
そのうえで、ほかの行政書士は集客をどうしているのか、依頼は毎月それなりに来るものなのか、と尋ねていました。
回答者が指摘したこと
回答のなかで、目を引いた指摘が2つありました。
1つ目は、車庫証明について、車を買う人が自分で警察署に出すか、販売店が手続を進めるかのどちらかが多く、行政書士の仕事になるのは販売店から受ける分だ、という指摘です。
2つ目は、行政書士の仕事は1回きりのスポット業務が基本で、常に新しい依頼を取りにいく形になる、という指摘でした。
別の回答者は、更新のある建設業許可や、会社設立のあとに続く許可の仕事、それに他の士業からの紹介で成り立っている事務所もある、と補っていました。
住宅街に向く業務と、事業所の多い街に向く業務は違う、という声もありました。
開業してからも、同じ問いが残る
この相談は、開業前の方の疑問として書かれています。
ただ、開業して1年、2年とたった方からも、ほぼ同じ言葉を聞くことがあります。
扱える業務は多いのに、どの業務で依頼が来るのか読めない。
依頼が来た経路をたどると、ほとんどが誰かの紹介だった。
回答者たちの指摘は、この2つの悩みにそのまま重なっています。
車庫証明の依頼を決めるのは、車を買う本人より先に販売店の担当者です。
建設業許可の更新に気づくのは、事業主本人より先に顧問の税理士かもしれません。
依頼の入口には、困っている本人と、本人を行政書士につなぐ人の2人が立っています。
ところが、事務所サイトを開くと、この2人目に向けた言葉はほとんど見当たりません。
回答者が触れていなかったこと
回答はどれも、どの業務を選ぶか、どこで開業するかという話でした。
選んだ業務を、どう書いて伝えるかについては、どの回答も触れていません。
同じ遺言の業務でも、本人に向けた書き方と、本人の家族や相談先に向けた書き方では、載せる中身が変わります。
業務の選び方が正しくても、書き方が誰にも向いていなければ、依頼は入口で止まってしまいます。
この記事が扱うのは、その書き方のほうです。
この記事で使う資料について
記事のなかで使う数字や条文は、公的に確かめられるものに限っています。
会員数は日本行政書士会連合会が公表している都道府県別の会員数、試験の数字は行政書士試験研究センターの公表資料です。
条文は、令和8年1月1日に改正法が施行された行政書士法と、日本行政書士会連合会の行政書士職務基本規則から引いています。
報酬や広告費の金額には触れません。
地域や業務によって大きく変わり、記事のなかで一律に示せる性質のものではないからです。
数字で見る、行政書士の置かれている場所
集客の話に入る前に、行政書士という資格が、いまどういう場所にあるのかを数字で確かめておきます。
感覚で「行政書士は多い」と言うのと、実際の人数を知っているのとでは、打ち手の選び方が変わります。
個人会員は5万5千人を超えている
日本行政書士会連合会は、各都道府県の行政書士会の会員数を公表しています。
日本行政書士会連合会の公表値によると、令和8年10月1日現在の47都道府県の個人会員数は、合計で55,880人になります。
法人会員の数も合計すると1,873です。
都道府県別では、東京都の個人会員数が8,855人と最も多く、大阪府が4,211人、神奈川県が3,560人、愛知県が3,550人と続きます。
いちばん少ない鳥取県でも、217人の個人会員がいます。
どの県で開業しても、同じ県のなかに数百人以上の同業者がいる、ということです。
合格者は毎年7千人規模で生まれている
行政書士試験研究センターが令和8年1月28日に公表した資料によると、令和7年度の試験の合格者は7,292人でした。
前年度の6,165人から1,127人増え、合格率は14.54%でした。
申込者数も63,845人と、前年度より4,013人増えています。
合格者の全員が開業するわけではありません。
それでも、毎年これだけの人数が資格を手にし、そのうちの一部が新しく事務所を開いていきます。
1つの依頼が1回で終わりやすい
人数に加えて、行政書士の仕事には依頼が単発になりやすい性質があります。
遺言書の作成も、車庫証明も、許可の新規申請も、手続が終われば依頼者との関係はいったん区切りがつきます。
Q&Aサイトの回答者が「スポット業務が基本」と書いていたのは、この性質のことです。
依頼が1回で終わるなら、同じ数の依頼を保つだけでも、新しい依頼者を見つけ続ける必要があります。
数字から見える、集客の前提
ここまでの数字を、表にまとめておきます。
| 確かめたこと | 数字 | 集客で意味すること |
|---|---|---|
| 個人会員数(47都道府県の合計) | 55,880人(令和8年10月1日現在) | 同じ地域に同業者が多く、名乗るだけでは選ばれない |
| 法人会員数(同) | 1,873 | 複数人で業務を分担する事務所とも比べられる |
| 東京都の個人会員数 | 8,855人 | 都市部ほど、同じ業務の事務所が並ぶ |
| 令和7年度試験の合格者数 | 7,292人(前年度6,165人) | 新しく開業する同業者が毎年加わる |
| 依頼の性質 | 手続が終われば区切りがつく | 新しい依頼者と出会う経路を常に持つ必要がある |
同業者の多さと、依頼の単発さ。
この2つが重なると、「行政書士です」と名乗るだけでは、依頼者の側から選ぶ理由が見えません。
選ぶ理由を事務所の側から示す必要があり、その示し方を間違えると、次の章で見る「何屋か分からない」状態に陥ります。
示し方の失敗は、たいてい善意から始まります。
せっかく資格を取ったのだから、扱える業務はすべて載せておきたい。
その気持ちが、次の章で見る構造につながっていきます。
同業者の数より先に見るべきもの
会員数の多さを知ると、競争に勝たなければと身構えたくなります。
けれど、依頼者は5万人のなかから1人を選んでいるわけではありません。
自分の困りごとの近くにいて、その困りごとを分かってくれそうな数人のなかから選んでいます。
その数人に入るために必要なのは、同業者より目立つことより、困りごとの名前で見つけてもらえることです。
困りごとの名前で見つけてもらうには、事務所の側が、どの困りごとを扱う事務所なのかを先に決めておく必要があります。
業務範囲の広さが「何屋か分からない」を生む
行政書士の集客で最初につまずくのは、扱える業務の広さそのものです。
広いことは資格の強みですが、事務所サイトの上では弱みとして働きます。
法律が定める業務は、とても広い
行政書士法の第1条の3によると、行政書士の業務は次のとおりです。
「行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(中略)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。」
官公署に出す書類だけでも、許可、届出、申請と、分野をまたいで数えきれないほどあります。
そこに、契約書や遺産分割協議書のような権利義務に関する書類、図面のような事実証明に関する書類が加わります。
条文を読むかぎり、行政書士が扱える書類の範囲に、分野の区切りはほとんどありません。
日本行政書士会連合会の相談窓口も、分野ごとに分かれている
日本行政書士会連合会のホームページには、一般の人向けに「こんなときにご相談を」という案内があります。
その案内は、建設業・宅地建物取引業、農地・土地、運送業・自動車、飲食・風俗営業、遺言・相続、契約書、法人・企業支援、国際、知的資産・知的財産、その他という10の分野に分かれています。
連合会の案内ですら、困りごとの分野ごとに入口を分けているわけです。
依頼する側は、「行政書士に頼みたい」と思って探し始めるわけではありません。
「建設業の許可を取りたい」「親の遺言のことを相談したい」と、困りごとの名前で探し始めます。
| 相談の分野 | 依頼者が最初に口にする言葉 | 依頼者のいる場所 |
|---|---|---|
| 建設業・宅地建物取引業 | 許可を取らないと元請から仕事がもらえない | 事業所、現場、取引先との打ち合わせ |
| 運送業・自動車 | 車を買ったが車庫の手続が分からない | 自動車の販売店、自宅 |
| 飲食・風俗営業 | 店を開きたいが何の許可が要るのか分からない | 開業準備中の店舗、不動産会社 |
| 遺言・相続 | 親が元気なうちに遺言のことを話しておきたい | 自宅、金融機関の窓口、家族の集まり |
| 国際 | 家族を日本に呼びたい、在留期間を更新したい | 勤務先、自宅、学校 |
| 法人・企業支援 | 会社を作ったあとに何の届出が要るのか知りたい | 開業準備中の事務所、税理士との面談 |
表の右端を見ると、依頼者がいる場所は分野ごとにばらばらです。
ばらばらの場所にいる人に、1枚のトップページで同時に話しかけることはできません。
全部を載せた事務所サイトで起きること
開業したばかりの事務所サイトを見ると、業務案内のページに10を超える業務が並んでいることがよくあります。
建設業許可、産業廃棄物、飲食店営業許可、在留資格、遺言、相続、会社設立、補助金、車庫証明、内容証明。
どれも扱えるのは事実です。
けれど、建設業の許可を探してたどり着いた人は、その一覧のなかに自分の業務を見つけても、ここが建設業に強い事務所だとは受け取りません。
遺言を探してたどり着いた人も同じです。
どの業務の人から見ても、「いろいろやっている事務所」という印象だけが残ります。
これが、何屋か分からないという状態の正体です。
「何でも相談してください」が届かない理由
業務を絞らない事務所サイトには、「どんなことでもお気軽にご相談ください」という一文がよく添えられています。
書いている側は、間口を広げているつもりです。
ところが、読む側にとって、何でも相談できる場所は、自分の相談に詳しい場所とは限りません。
困りごとが具体的な人ほど、自分の困りごとに名前で応えてくれる場所を探しています。
広く構えた一文は、その人を引き止める力を持ちません。
依頼の入口には、困っている本人ともう1人がいる
何屋か分からないという悩みと並んで多いのが、紹介頼みから抜け出せないという悩みです。
この2つは、依頼の入口を見直すと、同じ構造の上に乗っていることが分かります。
車庫証明の依頼を決めるのは、販売店の担当者
Q&Aサイトの回答者が指摘していたとおり、車庫証明は、車を買う本人が自分で出すか、販売店が手続を進めるかのどちらかが多い手続です。
販売店が行政書士に頼む場合、どの事務所に頼むかを決めるのは販売店の担当者です。
車を買った本人は、行政書士の名前を知らないまま手続が終わることもあります。
この場合、事務所サイトを読んでほしい相手は、車を買う本人より、販売店の担当者のほうです。
建設業許可に先に気づくのは、事業主の周りの人
建設業の許可が必要になる場面では、事業主本人より先に、周りの人が気づくことがよくあります。
元請の担当者が「次の現場から許可を持っている業者にしか出せない」と言う。
顧問の税理士が、決算の打ち合わせのなかで許可の話を持ち出す。
建設業法の第3条によると、建設業の許可は5年ごとに更新を受けなければ効力を失います。
この更新の時期を気にかけているのも、事業主本人より、事務を見ている家族や顧問の専門家であることが少なくありません。
遺言と相続は、家族が先に調べる
遺言や相続の相談では、本人より先に家族が動くことがよくあります。
親の遺言を考えているのは、親本人より子どもの側だった、という場面です。
相続の手続が始まってから、金融機関の窓口で「専門家に相談されてはどうですか」と言われて探し始める人もいます。
ここでも、事務所サイトを最初に読むのは、手続の当事者とは限りません。
業務ごとに、つなぐ人は違う
ここまでの話を、表にまとめます。
| 業務 | 困っている本人 | 本人を行政書士につなぐ人 | つなぐ人が気にすること |
|---|---|---|---|
| 車庫証明 | 車を買う人 | 自動車の販売店の担当者 | 納車の日に間に合うか、手間なく任せられるか |
| 建設業許可 | 事業主 | 元請の担当者、顧問の税理士 | 期限までに取れるか、取ったあとの更新まで見てくれるか |
| 遺言・相続 | 親、相続人 | 子ども、金融機関の窓口 | 家族のなかで角が立たないか、どこまで頼めるか |
| 在留資格 | 外国籍の本人 | 勤務先の人事担当者、学校 | 期限に間に合うか、会社として何を用意すればよいか |
| 飲食店の許可 | 開業する店主 | 不動産会社、内装業者 | 開店の日程に間に合うか、物件で許可が取れるか |
紹介頼みと言われる状態は、つなぐ人が知り合いに限られている状態です。
つなぐ人の側から見て、知り合いでない事務所を紹介する材料がどこにもないから、紹介が知り合いの輪の外へ広がっていきません。
2人目の読み手が、サイトから抜け落ちている
いま公開されている事務所サイトの書き出しを読むと、困っている本人だけに向けた言葉が並んでいます。
「あなたのお悩みを解決します」という書き出しは、本人に向けた言葉です。
販売店の担当者や顧問の税理士が、そのページを読んで、取引先に転送したくなるかどうかは別の問題です。
つなぐ人が知りたいのは、期限に間に合うか、どこまで任せられるか、自分が紹介して恥をかかないか、という点です。
ここに答えるページが1枚あるだけで、紹介は知り合いの輪の外からも届くようになります。
紹介料で紹介を買えない、という前提
紹介を広げたいと考えたとき、ほかの業種なら、紹介してくれた相手にお礼を払う仕組みを作ることがあります。
行政書士の場合、この方法には職務基本規則の制限があります。
職務基本規則が定める、不当な誘致の禁止
日本行政書士会連合会の行政書士職務基本規則は、第15条で不当誘致行為を禁じています。
第2項には、「行政書士は、金品の提供、供応その他不当な行為により行政書士の業務の依頼を誘致してはならない。」とあります。
第3項は、紹介を受けた対価を依頼者の報酬に上乗せしたり、職務内容と比べて法外な額を請求したりすることを禁じています。
第4項は、反対に、依頼者を紹介したことについて対価を要求することを禁じています。
紹介は、お金で買う相手ではなくなる
この規則のもとでは、紹介はお金で集めるものにはなりません。
つなぐ人が行政書士を紹介する理由は、紹介した相手が助かり、自分の信用も保たれるからです。
裏返すと、つなぐ人にとって安心して紹介できる材料を、事務所の側が用意しておく必要があります。
その材料の置き場所として、いちばん手間がかからないのが事務所サイトです。
口で説明しなくても、ページのアドレスを送るだけで、つなぐ人は紹介を済ませられます。
紹介は「信用の貸し借り」として動く
つなぐ人は、行政書士を紹介するたびに、自分の信用を少しだけ貸しています。
紹介した事務所の対応が悪ければ、困るのは紹介した側です。
だからこそ、つなぐ人は、よく知らない事務所を紹介しません。
知り合いの輪の外に紹介を広げるには、会ったことのない人にも、この事務所なら大丈夫だと思ってもらえる材料が要ります。
材料が事務所サイトに書かれていれば、つなぐ人は自分の言葉で説明する代わりに、そのページを渡せます。
問い合わせが来ないときに選びがちな打ち手と、その後
問い合わせが来ない時期が続くと、何か手を打たなければと焦ります。
ここでは、開業から数年のあいだに選ばれやすい打ち手を4つ取り上げ、それぞれのあとに何が起きやすいかを見ていきます。
業務一覧をさらに増やす
依頼が来ないのは、扱う業務が少ないからだと考えて、業務一覧に新しい項目を足していく打ち手です。
補助金の申請支援を足し、ドローンの飛行許可を足し、在留資格を足す。
一覧が長くなるほど、前の章で見た「何屋か分からない」状態は深まります。
検索で業務名を入れて探している人から見ても、一覧の1行として埋もれている業務は、専門にしている事務所の業務には見えません。
足すたびに、ページの印象は薄くなっていきます。
交流会で名刺を配り続ける
紹介を増やそうとして、異業種の交流会に通い、名刺を配り続ける打ち手もよく選ばれます。
顔を合わせること自体には意味があります。
ただ、名刺を受け取った相手が、あとで取引先に行政書士を紹介しようと思ったとき、手元に残っているのは名刺1枚です。
名刺に「行政書士」とだけ書かれていて、事務所サイトにも業務が10以上並んでいるなら、相手はどの困りごとならこの人に回せるのかを判断できません。
会った人数は増えても、紹介の数が増えないという状態が続きます。
交流会で出会った相手が悪いわけではありません。
紹介したくても、紹介のしかたが分からないまま、名刺が引き出しにしまわれていくのです。
報酬を下げて目立とうとする
近くの事務所より報酬を下げれば選ばれる、という考え方もあります。
行政書士の場合、ここにも職務基本規則の定めがあります。
第34条第3項は、「行政書士は、不当に廉価な報酬で事件を受任してはならない。」と定めています。
同じ条の第4項は、社会通念上合理的な計算根拠をもって報酬を決めることを求めています。
規則の問題を脇に置いても、値下げで集まる依頼者は、次に安い事務所を見つけたときにそちらへ移ります。
報酬の安さを理由に選んだ人は、つなぐ人として誰かを紹介してくれることも少ないものです。
報酬は下げるより、見えるようにする
報酬について法律が求めているのは、依頼する人から見た分かりやすさです。
行政書士法の第10条の2は、「行政書士は、その事務所の見やすい場所に、その業務に関し受ける報酬の額を掲示しなければならない。」と定めています。
職務基本規則の第24条第2項は、さらに、報酬額表の掲示に加えてインターネットを利用した方法などで公表するよう努める、としています。
事務所に掲示している報酬額表を、事務所サイトにも同じ形で載せておく。
それだけで、つなぐ人は依頼者に「費用はこのページに書いてあります」と伝えられるようになります。
報酬を下げなくても、報酬の見通しが立つことが、紹介する側の安心につながります。
広告で強く言い切る
最後は、広告や事務所サイトで、成果を強く言い切る打ち手です。
「許可取得率100%」「どこよりも早い」「他の事務所で断られた案件も必ず通します」。
こうした言葉は、目には留まります。
ところが、行政書士の広告には、職務基本規則のはっきりした制限があります。
この点は、次の章で詳しく見ていきます。
打ち手ごとに起きること
4つの打ち手を、表にまとめておきます。
| 選びがちな打ち手 | そのあと起きやすいこと | 代わりに考えたいこと |
|---|---|---|
| 業務一覧を増やす | 何屋か分からない印象が深まる | 1つの困りごとの場面に絞って書く |
| 交流会で名刺を配り続ける | 会った人数は増えても紹介が増えない | 名刺の先に、転送できる1ページを用意する |
| 報酬を下げて目立つ | 規則上の問題があり、安さで選ぶ人が集まる | 報酬の内訳と進め方を明るく示す |
| 広告で強く言い切る | 規則に触れるおそれがあり、信用を損なう | 事実と手順で、できることを示す |
4つとも、事務所の側から見れば、何もしないよりはましに思える打ち手です。
けれど、どれも「誰に読んでもらうか」を決めないまま、量や強さで補おうとしている点で共通しています。
広告で書いてはいけないことを、先に決めておく
事務所サイトの書き直しに入る前に、書いてはいけないことを確かめておきます。
先に禁止の線を引いておくと、書き直しの途中で迷わずに済みます。
職務基本規則の第17条が定める4つの禁止
日本行政書士会連合会が定めた行政書士職務基本規則によると、広告宣伝のルールは第17条にまとめられています。
第1項は、「行政書士は、不当な目的を意図し、又は品位を損なうおそれのある広告宣伝(ホームページ、SNS等によるものを含む。以下同じ。)を行ってはならない。」としています。
括弧のなかに、ホームページとSNSが明記されている点に注意が必要です。
事務所サイトもSNSの投稿も、この規則の対象になります。
続く第2項から第4項は、事実に合致しない内容、誤認または誤導のおそれのある内容、誇大な内容の広告宣伝を、それぞれ禁じています。
| 第17条の項 | 禁じていること | 事務所サイトで起きやすい例 |
|---|---|---|
| 第1項 | 不当な目的、品位を損なうおそれのある広告宣伝 | 他の事務所を名指しで下げる表現 |
| 第2項 | 事実に合致しない内容 | 実績の件数を実際より多く書く |
| 第3項 | 誤認または誤導のおそれのある内容 | 行政書士が扱えない業務まで扱えるように書く |
| 第4項 | 誇大な内容 | 「必ず許可が取れる」「最短」と根拠なく書く |
法律の側にも、品位と信用の定めがある
規則だけでなく、行政書士法そのものにも関連する定めがあります。
令和8年1月1日に施行された改正法では、第1条の2として職責の条文が加わりました。
「行政書士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。」
第10条は、「行政書士は、行政書士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。」と定めています。
広告の言葉を選ぶときには、規則と法律の両方を手元に置いておくと安心です。
言い切りの表現を、事実の説明に置き換える
では、強い言い切りを使わずに、どう選ばれる理由を書けばよいのでしょうか。
答えは、結果を約束する代わりに、事務所がしていることを事実として書くことです。
| 避けたい言い切り | 置き換える書き方 | 置き換える理由 |
|---|---|---|
| 必ず許可が取れます | 申請の前に、許可の要件を一緒に確かめます | 結果は審査する役所が決めるため |
| 最短で手続します | 書類がそろってから申請までの目安の日数を示します | 「最短」は比べる根拠が示せないため |
| 実績多数 | これまで扱った業務の種類と、年ごとの件数を書きます | 「多数」は読む人によって受け取り方が違うため |
| どんな案件でも対応します | 扱う業務と、扱わない業務を分けて書きます | 扱えない業務まで扱えると誤解させないため |
| 地域で一番 | 事務所の所在地と、出向ける範囲を書きます | 一番を示す根拠を示せないため |
置き換えたあとの言葉は、地味に見えるかもしれません。
けれど、つなぐ人が転送するときに困らないのは、こちらの言葉です。
「必ず取れると書いてあったのに」と取引先から言われる心配がないからです。
扱えない業務を、扱えるように見せない
第3項の誤認・誤導で特に気をつけたいのは、他の士業の業務との境目です。
登記の申請は司法書士の業務で、税務の申告は税理士の業務です。
行政書士が扱える範囲を超える業務を、事務所サイトで扱えるかのように書くと、読む人に誤解を与えます。
Q&Aサイトでも、相続で不動産の名義変更を頼んだところ行政書士が来て戸惑った、という相談が見られます。
扱えない業務については、連携している専門家につなぐ、とはっきり書いておくほうが、依頼者にもつなぐ人にも親切です。
先に禁止を決めておくと、書く内容が絞れる
書いてはいけないことを先に決めると、書ける内容は自然に絞られていきます。
残るのは、事務所が実際にしていることと、依頼者が実際に受け取れるものです。
この2つを、誰に向けて書くかを決めたうえで並べ直すことが、次の章のテーマです。
「売れるサイトはみな謙虚」を行政書士事務所に当てはめる
ここからは、事務所サイトをどう書き直すかに入ります。
土台にするのは、「売れるサイトはみな謙虚」という考え方です。
主役は依頼者で、事務所は案内役
謙虚なサイトでは、ページの主役は依頼者です。
事務所の経歴や資格の一覧は、依頼者が安心して進むための材料として、あとから添えられます。
行政書士の事務所サイトで言えば、最初に来るべきなのは「代表あいさつ」より、依頼者が置かれている場面です。
建設業の許可が必要になった事業主が、次に何をすればよいのか。
親の遺言を考え始めた家族が、最初に誰と何を話せばよいのか。
その道筋を示す案内役として、事務所が登場します。
謙虚さは、扱わない業務を書くことから始まる
謙虚なサイトは、できることを大きく見せません。
扱う業務を絞り、扱わない業務ははっきり書きます。
登記が必要な場面では司法書士に、税の申告が必要な場面では税理士につなぐ、と書いてある事務所は、読む人に誠実な印象を残します。
前の章で見た職務基本規則の第17条とも、自然に重なる書き方です。
法律も、依頼者の利便を求めている
令和8年1月1日に施行された改正行政書士法は、第1条で行政書士の使命を定めました。
「行政書士は、その業務を通じて、行政に関する手続の円滑な実施に寄与するとともに国民の利便に資し、もつて国民の権利利益の実現に資することを使命とする。」
第1条の2の第2項では、デジタル社会の進展を踏まえ、情報通信技術の活用などを通じて、国民の利便の向上と業務の改善進歩を図るよう努めることも求めています。
依頼者が迷わずに手続へ進めるよう、事務所サイトで道筋を示すことは、この使命と同じ向きを向いています。
依頼が届くまでの道筋を、図で確かめる
ここで、つなぐ人がいる場合に、依頼が事務所に届くまでの流れを図で確かめておきます。
図のなかで事務所サイトが働く場面は、つなぐ人がページを送る場面と、本人がそれを読む場面の2か所です。
どちらの場面でも、ページに書かれた内容だけで判断が進みます。
行政書士が直接説明できるのは、本人が連絡をくれたあとからです。
1つの困りごとの場面に絞って、トップページを書き直す
最初に手をつけたいのは、トップページです。
業務一覧から入る作りを改め、1つの困りごとの場面から入る作りに変えます。
場面の選び方
どの場面に絞るかは、次の3つの問いで考えると決めやすくなります。
これまでに受けた依頼のなかで、最も多かった業務は何か。
その業務の依頼は、誰を通って届いたか。
その業務は、事務所の立地と合っているか。
| 当てはまる状況 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 依頼の実績がまだ少ない | どの業務で依頼が来るか読めない | 前職の経験や地域の事業所の多さから、1つの分野を仮に決める |
| 実績はあるが分野がばらばら | 業務一覧が長く、何屋か伝わらない | 件数が最も多い業務と、それを運んだつなぐ人を書き出す |
| 紹介でしか依頼が来ない | 紹介者が知り合いに限られている | 紹介者が気にしていたことを、ページの見出しにする |
| 立地と業務が合っていない | 住宅街で許認可、事業所の多い街で遺言を前面に出している | 立地の近くにいる依頼者とつなぐ人から逆算して選び直す |
| 更新のある業務を扱っている | 新規の依頼だけを追いかけている | 更新の時期を案内するページを用意する |
立地と場面を合わせる
Q&Aサイトの回答者の1人は、民事の法務は住宅街に、許認可の業務は事業所の多い街に向く、と書いていました。
これは、依頼者とつなぐ人がどこにいるかを考えると納得がいきます。
住宅街には、遺言や相続を考える家族が暮らしています。
事業所の多い街には、許可を必要とする事業主と、その周りの税理士や元請がいます。
在宅で事務所を構えている場合でも、どちらの人に向けて書くかを決めておくと、ページの言葉が選びやすくなります。
トップページの最初の画面に置く3行
場面を1つに決めたら、トップページの最初の画面には、次の3行だけを置きます。
1行目に、誰のどの困りごとを扱う事務所か。
2行目に、依頼すると何がどこまで進むか。
3行目に、最初の一歩として何をすればよいか。
たとえば、「建設業の許可が必要になった事業主の方へ」「要件の確認から申請、5年ごとの更新の案内まで」「まずは今の決算書を手元に、お電話ください」という形です。
事務所の名前や代表の顔写真は、この3行のあとで十分です。
ほかの業務は、消さずに奥へ移す
場面を1つに絞ると言っても、ほかの業務を事務所サイトから消す必要はありません。
トップページから外し、業務ごとの下層のページとして奥に移します。
検索で業務名を入れて探してきた人は、下層のページに直接たどり着きます。
トップページで何屋かを伝え、下層のページで個別の業務に答える、という役割分担です。
つなぐ人が転送できる1ページを作る
トップページの次に作りたいのが、つなぐ人に向けた1ページです。
紹介頼みから抜け出すための、いちばん直接的な打ち手になります。
つなぐ人と本人では、知りたいことが違う
同じ業務でも、つなぐ人と本人では、ページで確かめたいことが違います。
| 確かめたいこと | 困っている本人 | 本人をつなぐ人 |
|---|---|---|
| 最初に知りたいこと | 自分の場合に何が必要か | この事務所に任せて大丈夫か |
| 期限について | いつまでに何を用意すればよいか | 取引先の期限に間に合うか |
| 費用について | 全部でどのくらいかかるか | 報酬額表がどこに載っているか |
| 進め方について | 何回会う必要があるか | 自分が間に入る必要があるか |
| 扱えない場合 | ほかに誰に相談すればよいか | 断られたときにどこへ回せばよいか |
本人だけに向けて書かれた事務所サイトは、左の列にしか答えていません。
右の列に答えるページを1枚作るだけで、つなぐ人は安心してページを送れるようになります。
つなぐ人向けのページに載せること
つなぐ人向けのページには、次の内容を載せます。
扱う業務と、扱わない業務の線引き。
依頼から完了までの流れと、それぞれの段階で依頼者に用意してもらうもの。
つなぐ人が間に入らなくても、依頼者と直接やり取りして進めること。
事務所に掲示している報酬額表と同じものを、ページでも見られるようにしておくこと。
紹介のお礼として金品をお渡ししないこと、その理由として職務基本規則の定めがあること。
最後の項目は、書いておくと、つなぐ人の側の気遣いを減らせます。
ページの名前は、つなぐ人の言葉でつける
ページの見出しには、「提携のご案内」のような事務所側の言葉を使わないほうが伝わります。
「取引先から建設業許可の相談を受けた方へ」「ご家族の遺言のことで相談先を探している方へ」と、つなぐ人が置かれた場面の言葉で名前をつけます。
つなぐ人がページのアドレスを送るときに、そのまま件名として使える言葉が理想です。
依頼が終わったあとに、次の入口を作る
行政書士の依頼は単発になりやすい、という話を最初の章でしました。
単発の依頼でも、終わったあとに次の入口を残しておくことはできます。
更新のある許可は、期限の案内が次の入口になる
建設業の許可は5年ごと、在留期間も期間ごとに更新や延長の手続が要ります。
許可を取った時点で、次の更新の時期は決まっています。
依頼が終わるときに、次の更新の時期と、その何か月前に連絡するかを書面で渡しておく。
事務所サイトにも、更新の時期の目安を案内するページを置いておく。
そうしておけば、依頼者が別の事務所を探し始める前に、こちらから声をかけられます。
1つの手続の後ろには、別の手続が続いている
遺言の相談のあとには、いずれ相続の手続が続きます。
会社の設立のあとには、事業に必要な許可や届出が続きます。
依頼が終わるときに、この先に起きやすい手続を短く案内しておくと、依頼者は次に困ったとき、最初にこの事務所を思い出します。
依頼者が、次のつなぐ人になる
依頼を終えた依頼者は、次に誰かを行政書士につなぐ人にもなります。
そのとき依頼者の手元に、送れるページのアドレスがあるかどうかで、紹介の広がり方が変わります。
完了の書面に、つなぐ人向けのページのアドレスを添えておく。
それだけで、紹介は知り合いの輪の外へ1歩ずつ伸びていきます。
開業してからの年数ごとに、最初に手をつけること
同じ行政書士の集客の悩みでも、開業してからの年数によって、最初に手をつける場所は変わります。
開業1年目は、場面を仮に決めて書く
開業1年目は、依頼の実績がまだ少なく、どの業務に絞ればよいのか決めきれない時期です。
この時期は、決めきれないまま全部を載せるより、仮に1つの場面を決めて書くほうが、得られるものが多くなります。
仮に決めた場面のページに、どれだけ問い合わせが来たか、どんな人から来たかが、次の判断の材料になるからです。
半年ほどで反応がなければ、場面を変えて書き直せば済みます。
2年目から3年目は、依頼の経路を書き出す
2年目から3年目になると、受けた依頼の記録がたまってきます。
職務基本規則の第46条は、事件の名称や年月日、依頼者の住所氏名などを記載した事件簿を備えることを求めています。
その記録を見返しながら、依頼ごとに誰を通って届いたかを、別の手元の表に書き出してみてください。
販売店の担当者、顧問の税理士、前の依頼者、検索で見つけた人。
経路を並べると、自分の事務所にとってのつなぐ人が誰なのかが見えてきます。
同じ人から2件以上の紹介が届いていれば、その人が気にしていたことを思い出してください。
期限の話をよくしていた人なら、つなぐ人向けのページの最初に、期限の目安を書きます。
進め方を気にしていた人なら、依頼から完了までの流れを最初に書きます。
つなぐ人向けのページの中身は、こうした実際のやり取りから組み立てるのがいちばん確かです。
4年目以降は、更新と次の手続の案内を整える
4年目以降は、過去の依頼者の更新の時期が順に訪れ始めます。
建設業の許可なら、最初の年に取った許可の更新が5年目にやって来ます。
新しい依頼者を探すことに加えて、過去の依頼者に次の手続を案内する仕組みを整える時期です。
事件簿をもとに、更新の時期が近い依頼者を月ごとに並べておくと、案内の漏れを防げます。
| 開業してからの年数 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 1年目 | 実績が少なく、業務を絞れない | 仮に1つの場面を決め、トップページの3行を書く |
| 2年目から3年目 | 紹介で依頼は来るが、紹介者が限られる | 事件簿を見返して依頼の経路を書き出し、つなぐ人を特定する |
| 2年目から3年目 | 業務一覧が長くなっている | ほかの業務を下層のページへ移す |
| 4年目以降 | 単発の依頼を追いかけ続けている | 更新の時期と次の手続を案内するページを作る |
| 年数を問わず | 広告の言葉に迷っている | 職務基本規則の第17条に照らして、言い切りを事実に置き換える |
士業全般の集客との違い
士業全般の事務所サイトの考え方は、士業のWeb集客は手法を増やすほど成果が落ちるという記事で、別にまとめています。
この記事は、そのなかでも行政書士に絞り、業務範囲の広さと、つなぐ人の存在という2つの事情を中心に見てきました。
ほかの士業と比べても、行政書士は扱える業務の幅が広く、つなぐ人の顔ぶれも業務ごとに変わります。
そのぶん、場面を絞ることと、つなぐ人に向けて書くことの効き目が大きく出ます。
よくある質問
Q1. 業務を1つに絞ると、ほかの業務の依頼が来なくなりませんか
トップページで扱う場面を1つに絞っても、ほかの業務のページは下層に残しておけます。
業務名で検索してきた人は、下層のページに直接たどり着きます。
絞るのはトップページで伝える「何屋か」の部分だけで、扱う業務そのものを減らす必要はありません。
Q2. 紹介してくれた人に、お礼をしてもよいのでしょうか
行政書士職務基本規則の第15条は、金品の提供や供応などによって依頼を誘致することを禁じています。
紹介してくれた人には、依頼が無事に終わったことをきちんと報告するなど、金品によらない形で感謝を伝えるのが安全です。
判断に迷う場合は、所属する行政書士会に確認してください。
Q3. 在宅で開業していても、事務所サイトは必要ですか
行政書士法は、行政書士に業務を行うための事務所を設けることを求めています。
在宅の事務所は看板を出しにくく、近所の人に知られる機会が限られます。
そのぶん、つなぐ人が送れるページの役割は大きくなります。
Q4. 実績がまだ少ないうちは、何を書けばよいですか
件数を大きく見せる必要はありません。
扱う業務の流れ、依頼者に用意してもらうもの、扱わない業務の線引きは、実績がなくても事実として書けます。
前職で関わった業務の経験があれば、守秘の範囲で、その経験が手続のどこに生きるかを書くこともできます。
Q5. 料金をページに載せると、比べられて不利になりませんか
行政書士法の第10条の2は、報酬の額を事務所の見やすい場所に掲示することを求めています。
職務基本規則の第24条も、インターネットなどで公表するよう努めることを定めています。
報酬の見通しが立つページは、つなぐ人が紹介するときの安心材料になります。
比べられることを恐れるより、報酬の内訳と進め方を一緒に示すほうが、選ばれる理由を伝えやすくなります。
まとめ
行政書士の集客が難しいと言われる背景には、同業者の多さと、依頼が単発になりやすい性質があります。
日本行政書士会連合会が公表している会員数を合計すると、令和8年10月1日現在で個人会員は55,880人でした。
そのなかで、業務を全部並べた事務所サイトは、どの業務の人から見ても「何屋か分からない」印象を残します。
依頼の入口には、困っている本人と、本人を行政書士につなぐ人の2人が立っています。
紹介頼みから抜け出せないのは、つなぐ人が知り合いに限られ、知り合いの外の人が紹介に使える材料がないからです。
職務基本規則の第15条があるため、紹介はお金で集めることができません。
だからこそ、つなぐ人が安心して転送できる1ページが、紹介を広げる道具になります。
トップページは1つの困りごとの場面に絞り、最初の画面に3行だけを置く。
つなぐ人に向けて、扱う業務と扱わない業務、進め方、報酬額表の場所を書いた1ページを作る。
広告の言葉は、職務基本規則の第17条に照らして、言い切りを事実の説明に置き換える。
Q&Aサイトの相談者が尋ねていた「依頼は毎月来るのか」という問いには、つなぐ人に向けた1ページを持っているかどうかで、答えが変わってきます。
より詳しい考え方や、ほかの業種での例は、合同会社謙虚のトップページでもご紹介しています。
今日できる点検
最後に、今日のうちに確かめられることを表にまとめます。
| 点検すること | 確かめ方 | できていなかったら |
|---|---|---|
| トップページで何屋か伝わるか | 最初の画面に、扱う困りごとの名前があるか見る | 1つの場面を決め、3行に書き直す |
| 業務一覧が長すぎないか | トップページに並ぶ業務の数を数える | トップは1つの場面に絞り、ほかは下層へ移す |
| つなぐ人向けのページがあるか | 紹介者が送れるページのアドレスがあるか確かめる | 扱う業務と進め方を書いた1ページを作る |
| 広告の言葉が規則に合っているか | 「必ず」「最短」「実績多数」をページ内で探す | 事実と手順の説明に置き換える |
| 報酬額表が見られるか | 事務所の掲示と同じ内容がサイトにあるか確かめる | 報酬額表をページに載せる |
| 扱えない業務の案内があるか | 登記や税の申告の扱いが書かれているか見る | 連携先の専門家につなぐと明記する |
いま公開している事務所サイトのトップページを開き、取引先から相談を受けた人の目で上から読んでみてください。
この事務所に任せて大丈夫かどうかが、最初の画面で分かるかどうか。
分からなかった場所があれば、そこが最初に書き直す場所です。
次の営業日までに、その1か所だけ書き換えてみてください。
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