問い合わせの電話は鳴る。けれども、見積もりを伝えた段階で「ほかにも聞いてみます」と言われ、そのまま連絡が来ない。
広告を出して上位に表示されても、同じ地域の業者と料金で比べられ、値下げの競争から抜け出せない。口コミに身に覚えのない不信の言葉を書かれることもある。
この記事は、そうした悩みを抱える不用品回収の事業者の方と、会社のウェブ集客を担当している方に向けて書いています。
集客の手法を並べるのは後にします。最初に、不用品の回収を頼もうとしている人が、依頼の直前に何を怖がっているのかを整理します。
そのうえで、ホームページのどこから直せば、初めての人が安心して見積もりを頼み、その見積もりのまま依頼してくれるのかを順番に見ていきます。
読み終えたときに、自分の会社のホームページで最初に直す場所が1つ決まっている。そこをこの記事のゴールにしています。
家1軒分の片付け、引っ越しの前の処分、実家の遺品の整理、事務所の移転。依頼の中身は違っても、頼む人がためらう理由はよく似ています。
この記事では、一般の家庭からの依頼を中心に書き、事業所からの依頼で違いが出るところだけを補足します。
Q&Aサイトに並ぶ、依頼した人の後悔
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
投稿者は、不用品回収の業者に処分を頼んだ方でした。やりとりはメッセージで行い、冷蔵庫、たんす、テーブル、折りたたみのベッド、布団など、回収してほしいものを一覧にして送った。
業者のホームページには、軽トラック、1トン車、2トン車のパックごとに、積める量の目安が書いてあった。その目安を見て、1トン車で十分に積めるだろうと思っていた。
ところが当日、実際に請求されたのは2トン車のパックの料金だった。どうにも納得がいかない、という内容です。
同じQ&Aサイトには、似た投稿がいくつも並んでいます。電話で聞いていた金額に、当日になって別の料金が上乗せされた。
ホームページには割引が載っていたのに、当日は対象外だと言われた。ごみ袋の中身が分からないからと、思ってもみない金額を請求された。
急いでいたので、その場で払ってしまった。どの投稿にも共通しているのは、事前に見ていた情報と、当日に言われた金額が違っていたという後悔です。
回答には、何社かから見積もりを取って比べる、見積もりは書面やメッセージで残しておく、当日の追加料金の条件を事前に確かめる、自治体の許可を持っている業者かを調べる、といった助言が並んでいました。
依頼する人が怖がっているのは、当日の金額
この投稿から分かるのは、不用品の回収を頼もうとしている人が、作業の丁寧さや早さより先に、当日に言われる金額を怖がっているという事実です。
ホームページに載っている料金は安く見えても、その通りの金額で終わるのかが分からない。当日になってから追加の料金を言われても、荷物をトラックに積んだあとでは断りにくい。
こうした話を見聞きしているので、依頼する人は最初から身構えています。
この怖さは、個別の業者の努力とは関係なく、業界全体に向けられています。見積もり通りの金額で誠実に作業している業者も、依頼する人からは同じ目で見られます。
「この業者は当日に金額を上げないか」という問いに、ホームページの上で答えられない業者は、見積もりの段階で候補から外されていきます。
業者が伝えていることと、依頼する人が知りたいこと
不用品回収のホームページでよく見かける内容と、依頼する人が依頼の直前に知りたい内容を並べてみます。
| 業者がよく載せている内容 | 依頼する人が知りたいこと | ずれが生む結果 |
|---|---|---|
| 積み放題のパック料金 | 自分の荷物はどのパックに収まるのか | 安く見えても、当日の金額が読めない |
| 即日対応や深夜対応 | 急ぎの場合に追加の料金はかかるのか | 便利そうだが、急ぎの割増が怖い |
| 見積もり無料 | 見積もりのあとに金額が変わることはあるか | 無料でも、その先の金額が不安 |
| 割引やキャンペーン | どんな条件で割引が使えないのか | 期待して頼んだのに対象外と言われる |
| 作業の写真とスタッフの笑顔 | 回収したものはどこへ運ばれるのか | 雰囲気は分かるが、処分の行き先が見えない |
左の列を載せるのは正しいことです。ただ、依頼の直前のためらいには、右の列のほうがずっと近いところにあります。
Q&Aサイトの投稿者が後悔していたのは、どれも右の列の問いに、事前の答えがなかったことでした。
国が示している、業者の選び方
不用品の回収については、環境省が利用者向けに注意を呼びかけています。環境省のページには、次の一文があります。
「ご家庭の廃棄物を回収するには、市区町村の『一般廃棄物処理業許可』や委託が必要です。『産業廃棄物処理業の許可』や『古物商の許可』では回収できません。」
環境省のページによると、廃家電や粗大ごみは、住んでいる市区町村が案内するルールで処分するよう勧め、まだ使える製品は、古物商の許可を持つ信用できる業者に中古品としての買い取りを頼むよう案内しています。家電リサイクル法の対象になる家電については、リサイクル料金と収集運搬料金が必要になり、料金を払うと発行される家電リサイクル券の番号で、家電がきちんと引き渡されたかを確かめられることも書かれています。
国が利用者に勧めている確かめ方は、料金の安さより、許可の種類と処分の行き先を確かめることでした。依頼する人がこのページを読んでいれば、業者のホームページで最初に探すのは、許可の有無と、回収したものをどう扱うかの説明です。
国の勧める確かめ方と、業者の見せ方のずれ
| 国が勧める確かめ方 | 業者のホームページでよくある見せ方 | 依頼する人に残る不安 |
|---|---|---|
| 家庭の廃棄物を回収できる許可や委託があるか | 許可番号が会社概要の奥にある | この業者に頼んで法律上大丈夫なのか |
| 家電はリサイクル料金を払って正しく引き渡すか | 家電も積み放題に含むと書いてある | 家電がどこへ行くのか分からない |
| まだ使える物は買い取りに回すか | 買い取りの有無が書いていない | 売れる物まで処分料を取られないか |
| 市区町村のルールで処分できるものは何か | 何でもまとめて回収すると書いてある | 自治体に出したほうが安いのではないか |
右の列は、真面目に仕事をしている業者にとっては、答えを持っている問いばかりです。答えを持っているのに書いていないために、依頼する人の不安が残り、見積もりの段階で比べられ続けています。
なぜ不用品回収のホームページは、金額の不安に答えないのか
当日の金額への不安に答えていないホームページが多いのは、事業者の不誠実から来るものとは限りません。不用品回収という仕事が、どういう形で集客をしてきたかに、理由があります。
急ぎの依頼を、安さの見出しで取り合ってきた
不用品回収の依頼の多くは、急ぎです。引っ越しの日が迫っている、退去の立ち会いが明日にある、実家の片付けを週末のうちに終わらせたい。
急いでいる人は、スマートフォンで「地域名と不用品回収」を検索し、上のほうに出てきた業者に次々と電話をかけます。
この仕組みの中では、検索の広告で上に出ること、見出しで安く見せること、すぐに電話がつながることが、集客の勝ち負けを決めてきました。
「積み放題」「最安値に挑戦」「即日対応」といった見出しが並び、ホームページの最初の画面には一番安いパックの料金が大きく載ります。
どの業者も同じ見出しで競い合うので、最初の画面の料金はどんどん下がっていきます。
最初の画面の料金を下げると、その料金では収まらない作業のほうが多くなります。そこで、階段の作業、大型の家具、家電のリサイクル料金、急ぎの割増といった追加の料金で調整することになります。
追加の料金の条件は、ホームページの下のほうや、別のページに小さく書かれるか、当日に説明されます。依頼する人が当日の金額に驚くのは、この仕組みから生まれています。
追加料金の条件が、見えないところに置かれる
追加の料金そのものが悪いわけではありません。階段で大きな家具を運び出すには人手がかかりますし、家電のリサイクル料金は法律で決まった費用です。
問題は、その条件が依頼する人の目に入りにくい場所に置かれていることです。
依頼する人は、最初の画面の料金を見て電話をかけます。電話で荷物の内容を伝えると、おおよその金額を言われます。
ところが、当日に荷物を見てから、階段の作業が必要だった、思ったより量が多かった、家電が含まれていた、といった理由で金額が上がります。
依頼する人からすると、最初に見た料金とは別物の金額を言われたことになります。
| 見えにくい場所にある条件 | 依頼する人が知るタイミング | 起きやすいこと |
|---|---|---|
| 階段や搬出の作業料 | 当日の作業の前 | 断りにくい状況で金額が上がる |
| 家電のリサイクル料金 | 当日の見積もり | 積み放題に含まれると思っていた |
| 急ぎや時間外の割増 | 作業のあと | 割引が使えると思っていたのに対象外 |
| ごみ袋の中身による割増 | 積み込みのあと | 中身の申告で金額が大きく変わる |
| パックの車の大きさの判断 | 当日に荷物を見てから | 小さいパックで収まると思っていた |
表の真ん中の列は、どれも依頼する人が金額を知るのが遅すぎることを示しています。知るのが遅いほど断りにくく、断りにくい状況で上がった金額は、どれほど正当なものでも「ぼったくり」と受け取られます。
比較サイトと口コミの中で、業者の違いが消える
不用品回収の集客では、検索の広告のほかに、業者を比べる紹介サイトや、見積もりを一括で頼めるサービスも大きな役割を果たしてきました。
どちらも問い合わせのきっかけとしては役に立ちます。ただ、そこだけに頼ると、業者は比べられる側に立たされ続けます。
一覧では、入口の料金しか比べられない
業者を比べるサイトや一括見積もりのサービスでは、同じ地域の業者が一覧で並びます。依頼する人は、パックの料金、対応の早さ、口コミの点数で絞り込み、上から順に見ていきます。
このとき、業者の違いは、一覧に表示される項目の中でしか比べられません。
一覧に出てくるのは、入口の料金です。追加の料金の条件、許可の種類、回収したものの行き先、当日の金額が見積もりから変わる条件は、一覧には出てきません。
そのため、入口の料金を下げた業者が目に留まりやすくなり、どの業者も入口の料金を下げていきます。
口コミの点数だけでは、安心が生まれない
口コミの点数が高いことは、依頼する人にとって安心の材料になります。ただ、Q&Aサイトの投稿の中には、口コミがよかったので頼んだのに、思ってもみない金額を請求されたという声もありました。
依頼する人は、口コミの点数だけでは安心できないことを知り始めています。
口コミの点数より、口コミの中身のほうが大事になっています。「見積もり通りの金額で終わった」「追加の料金を事前にきちんと説明してくれた」という中身の口コミは、点数よりずっと強い安心になります。
そうした口コミが集まるかどうかは、事前の説明が行き届いているかどうかにかかっています。
| 入口 | そこで分かること | ホームページで確かめたいこと |
|---|---|---|
| 検索の広告 | 業者の名前と入口の料金 | 当日の金額が変わる条件 |
| 比較サイトの一覧 | 料金と口コミの点数 | 許可の種類と処分の行き先 |
| 一括見積もりのサービス | 複数の見積もりの金額 | 見積もりの金額に何が含まれているか |
| 地図検索 | 場所と口コミ | 口コミに書かれていたことが本当か |
| ポストのチラシ | 業者の存在と料金 | 会社の実体と連絡先 |
入口はばらばらでも、最後に確かめたいことは似ています。依頼する人は、当日の金額が見積もりのまま終わるかどうかを、ホームページで確かめようとしています。
そこに答えがなければ、次の業者のホームページへ移っていきます。
問い合わせが依頼にならないときに選びがちな手
見積もりまでは進むのに依頼にならないとき、事業者がまず考えるのは、入口の料金をさらに下げること、広告の予算を増やすこと、割引やキャンペーンを増やすことです。
どれもすぐに始められて、問い合わせの数は増えます。ただ、どれも依頼する人の不安には答えていません。
入口の料金を下げると、当日の差額が広がる
最初の画面の料金を下げれば、ほかの業者より安く見えます。検索や比較サイトで目に留まりやすくなり、電話の数は増えます。
ところが、入口の料金を下げるほど、実際の作業の金額との差は広がります。差が広がれば、当日の追加の料金が大きくなり、依頼する人の驚きも大きくなります。
驚いた人は、口コミに不満を書き、Q&Aサイトに相談を投稿します。その口コミを見た次の人は、最初から身構えて問い合わせてくるようになります。
入口の料金を下げることは、短い間は問い合わせを増やしても、長い目で見ると業者の評判を削っていきます。
広告の予算を増やすと、比べられる回数が増える
検索の広告の予算を増やせば、上のほうに表示される時間が長くなり、電話の数も増えます。けれども、急いでいる人は、1社だけに電話をして決めることは少なく、何社かに続けて電話をかけて金額を比べます。
広告で電話が増えても、そのぶん比べられる回数が増えるだけで、依頼に進む割合は変わりません。
しかも、広告の費用は1件の依頼あたりの利益から出ていきます。入口の料金を下げたうえに広告の費用が膨らむと、作業をしても手元に残るものがほとんどなくなります。
追加の料金で埋め合わせようとする気持ちが強くなり、当日の金額がさらに上がる、という悪循環に入っていきます。
割引を増やすと、「対象外」が不信を生む
割引やキャンペーンも、よく使われる手です。ホームページを見たと言えば割引、平日なら割引、単身の引っ越しなら割引。
割引の見出しは目を引き、問い合わせのきっかけになります。
ただ、割引の数が増えるほど、使える条件と使えない条件が複雑になります。Q&Aサイトの投稿にもあったように、ホームページに割引が載っていたのに、当日は対象外と言われた依頼者は、だまされたと感じます。
割引の条件を細かく書いていても、依頼する人がその条件を読み落としていれば、同じことが起きます。割引は、条件が分かりやすい1つか2つに絞ったほうが、不信を生みません。
絞った割引は、見積もりの内訳にも「平日割引」のように名前を入れて示すと、使えたかどうかが依頼する人にもひと目で分かります。
| 選びがちな手 | 増えるもの | 減るもの | 残る課題 |
|---|---|---|---|
| 入口の料金を下げる | 問い合わせの電話 | 当日の金額への信頼 | 当日の差額が広がる |
| 広告の予算を増やす | 表示される時間 | 1件あたりの利益 | 比べられる回数が増えるだけ |
| 割引を増やす | 目を引く見出し | 条件の分かりやすさ | 対象外が不信を生む |
| 即日対応を強調する | 急ぎの依頼 | 準備の余裕 | 急ぎの割増が驚きを生む |
表の右の列は、どれも当日の金額が読めないという、依頼する人の不安に行き着きます。左の手をいくら重ねても、この不安は消えません。
電話で全部説明しようとすると、何が起きるか
ホームページには最低限のことだけを載せ、詳しい料金や条件は電話で説明すればよい、と考える事業者もいます。電話で話せば、荷物の内容に合わせて丁寧に説明できる、という考えです。
電話の説明は、あとで確かめられない
電話で丁寧に説明しても、依頼する人がその内容を正確に覚えているとは限りません。急いでいる人は、何社にも電話をかけ、それぞれの金額と条件を頭の中で比べています。
どの業者が何を言ったのか、あとで混ざってしまうことも珍しくありません。
当日になって、電話で説明した追加の料金の話をしても、依頼する人は「聞いていない」と感じることがあります。言った言わないの行き違いは、どちらにとっても不幸な結果になります。
電話の説明は、あとから確かめられる形で残らない限り、依頼する人の安心にはつながりません。
書いてあることが、一番の約束になる
依頼する人にとって、一番信頼できるのは、ホームページやメッセージに書いてあることです。書いてあれば、あとから読み返せます。
当日の金額が書いてあることと違えば、その場で確かめられます。
書いてあることが一番の約束になる以上、追加の料金の条件も、許可の種類も、回収したものの行き先も、ホームページに書いておくのが一番確かです。
電話は、書いてあることを補う場として使い、書いてあることと違うことは言わない。この順番に切り替えるだけで、当日の行き違いは大きく減ります。
| 伝える場所 | 依頼する人にとっての強さ | 使い方 |
|---|---|---|
| ホームページ | 何度でも読み返せる | 料金と追加の条件と許可を全部書く |
| 見積もりのメッセージ | 自分の荷物の金額が残る | 見積もりの内訳と当日変わる条件を書く |
| 電話 | その場で質問できる | 書いてあることを補い、違うことは言わない |
| 当日の口頭の説明 | 断りにくい状況になる | 金額が変わるなら作業の前に書面で示す |
表の最後の行が大切です。当日に金額が変わる場合は、作業に取りかかる前に、変わる理由と金額を書面やメッセージで示し、依頼する人に納得してもらってから作業を始めます。
それができる業者であることを、ホームページで先に約束しておきます。
売れるサイトはみな謙虚という考え方
ここまで見てきた問題には、共通する原因があります。ホームページが、業者の側から語られていることです。
料金の安さ、対応の早さ、積み放題のお得さ、作業の丁寧さ。どれも業者が伝えたいことで、依頼する人が依頼の前に確かめたいこととは順番が違います。
私たちは、この順番を入れ替えることを「売れるサイトはみな謙虚」と呼んでいます。主役の座を、業者から依頼する人へ譲るということです。
業者は、急ぎで困っている依頼者の道案内をする立場に回ります。
主役を、困っている依頼者の側に置く
主役を入れ替えると、ホームページの最初の画面に置くものが変わります。これまで「軽トラック積み放題、業界最安値に挑戦」と書いていた場所に、「お見積もりの金額から、当日に上がることはありません。
金額が変わる場合は、作業の前に理由と金額をお伝えし、ご納得いただいてから始めます」と書く。パックの料金は消さずに、その下に置き直します。
依頼する人がホームページを開いて最初に知りたいのは、この業者に頼んで当日に驚かされないかどうかです。驚かされないと思える材料を先に渡し、そのうえで料金を見せれば、料金は「この金額で終わる」という安心として受け取られます。
業者は道案内に回る
道案内に回るというのは、依頼する人が迷わずに済むよう、業者の側が先回りして道筋を示すことです。自分の荷物はどのパックに収まるのか、自治体に出したほうがよいものはあるか、売れるものはあるか、家電はどう扱われるのか。
こうした道筋を、依頼の前に差し出します。
「うちに頼んでください」と訴えるより、「どの業者に頼むにしても、ここを確かめてください」と伝えるほうが、身構えている依頼者は耳を傾けてくれます。
確かめる項目を示した業者が、その項目に一番誠実に答えているなら、選ばれるのは自然な流れです。売り込まなくても、確かめた結果として選ばれる。
それが謙虚なサイトの考え方です。
依頼の前に答えておく5つのこと
では、具体的に何をホームページに書けばよいのか。Q&Aサイトの後悔の声と、環境省の注意をもとに、答えておきたい項目を5つに絞りました。
1. 当日に金額が変わる条件と、変わるときの手順
どんな場合に見積もりから金額が変わるのかを、一覧にして書きます。階段の作業、事前の申告になかった荷物、家電のリサイクル料金、時間外の作業など、変わる理由を具体的に並べます。
そのうえで、変わるときは作業の前に理由と金額を示し、納得してもらってから始めることを約束します。
この約束があるだけで、依頼する人の一番大きな不安が消えます。約束を書いた業者は、当日に説明を尽くさなければならなくなりますが、それは誠実に仕事をしている業者にとっては、ふだんどおりのことのはずです。
2. パックごとの積める量の目安と、判断の方法
Q&Aサイトの投稿者は、ホームページの目安を見て1トン車で足りると思っていました。目安を載せることは親切ですが、依頼する人が自分で判断できるほど具体的でなければ、かえって行き違いを生みます。
パックごとに、どんな荷物がどれくらい積めるかを、家具や家電の名前を並べた例で示します。そのうえで、「写真を送っていただければ、どのパックに収まるかを事前にお伝えします」と書き、判断を業者の側で引き受けます。
図のように、問い合わせから作業のあとまでの各段階で、業者が何を約束するかを並べておくと、依頼する人は依頼の前に当日の流れを思い浮かべられます。事前に写真で判断する段階があることが分かれば、当日にパックが変わる不安は小さくなります。
3. 許可の種類と、回収したものの行き先
家庭の廃棄物を回収する許可や、市区町村からの委託、許可を持つ業者との提携など、自社がどんな形で回収と処分をしているかを書きます。許可番号は会社概要の奥にしまわず、料金の説明の近くに置きます。
環境省が示していたように、家庭の廃棄物を回収するには、市区町村の許可や委託が必要です。買い取りで引き取るもの、許可を持つ業者に引き渡すもの、家電リサイクル法に沿って処理するものを分けて、それぞれがどこへ運ばれるのかを説明します。
行き先が見える業者は、不法投棄を心配する依頼者から選ばれます。
4. 買い取れるものと、自治体に出したほうがよいもの
まだ使える家具や家電は、古物商の許可に基づいて買い取れる場合があります。買い取れるものがあれば、その分を処分の料金から差し引けることを書いておきます。
反対に、自治体の粗大ごみに出したほうが安く済むものもあります。そのことも正直に書きます。
「これは自治体に出したほうがお得です」と教えてくれる業者は、依頼する人の味方として受け取られ、残りの荷物の回収を任せてもらえます。
5. 見積もりの内訳の見せ方
見積もりを伝えるときは、合計の金額だけでなく、何にいくらかかるのかの内訳を、メッセージや書面で残します。パックの料金、作業料、家電のリサイクル料金、買い取りによる差し引き。
内訳が見えていれば、当日に金額が変わっても、どこが変わったのかがすぐに分かります。
ホームページには、見積もりの内訳の見本を載せておきます。見本を見れば、依頼する人は、ほかの業者の見積もりと比べるときにも、何が含まれているかを確かめられます。
| 答えておく項目 | 置く場所 | 依頼する人の変化 |
|---|---|---|
| 当日に金額が変わる条件と手順 | 最初の画面 | 当日に驚かされないと思える |
| パックごとの積める量の目安 | 料金表のすぐ下 | 自分の荷物の金額が読める |
| 許可の種類と回収したものの行き先 | 料金の説明の近く | 法律上も安心して頼める |
| 買い取りと自治体に出すものの案内 | よくある質問の中 | 味方になってくれる業者だと感じる |
| 見積もりの内訳の見本 | 見積もり依頼ボタンのすぐ上 | ほかの業者と正しく比べられる |
事業所からの依頼で違うこと
ここまでは一般の家庭からの依頼を中心に書いてきました。事務所や店舗の移転、閉店の片付けといった事業所からの依頼では、ホームページで答えておくことが少し変わります。
事業所のごみは、扱いの区分が違う
事業活動から出た廃棄物は、家庭の廃棄物とは扱いの区分が違います。事業所の机や棚、業務用の機器などは、産業廃棄物にあたるものと、事業系の一般廃棄物にあたるものがあり、それぞれに必要な許可や手続きが異なります。
依頼する側の担当者は、処分をきちんと記録に残す必要があるため、どの区分のものをどの許可で扱うのかを気にしています。
事業所からの依頼を受ける場合は、ホームページに事業所向けのページを分けて作り、扱える区分と許可、処分の記録として渡せる書類、見積もりに必要な情報を書いておきます。担当者が社内で稟議を通すときに、そのページを見せられるようにしておくと、依頼までの時間が短くなります。
| 依頼する人 | 気にしていること | ホームページで答えておくこと |
|---|---|---|
| 一般の家庭 | 当日の金額が上がらないか | 金額が変わる条件と作業前の説明の約束 |
| 引っ越し前の単身者 | 自分の荷物がどのパックに収まるか | 荷物の例と写真での事前判断 |
| 実家を片付ける家族 | 遠方から立ち会えるか | 立ち会いなしの流れと報告の方法 |
| 事業所の担当者 | 処分を記録として残せるか | 扱える区分と許可、渡せる書類 |
依頼する人が違えば、先に知りたいことも違います。自社に依頼が多い人を1つか2つに絞り、その人たちの不安から答えていくと、ホームページの説明に筋が通ります。
見積もりから作業の当日までをつなぐ
ホームページで不安に答えられるようになったら、見積もりから作業の当日までの間をつなぎます。ここが切れていると、せっかく依頼してくれた人が、当日に不信を抱いてしまいます。
見積もりはメッセージで残す
電話で見積もりを伝えた場合も、あとから必ずメッセージで内訳を送ります。荷物の一覧、パックの種類、作業料、家電のリサイクル料金、当日に金額が変わる条件。
これを送っておけば、依頼する人は家族と相談するときにも、ほかの業者と比べるときにも使えます。
当日は、作業の前に確かめる
当日は、荷物を積み始める前に、見積もりの内容と実際の荷物が合っているかを依頼する人と一緒に確かめます。合っていれば、見積もりの金額で作業を始めます。
違う場合は、その場で理由と金額を示し、納得してもらってから作業に入ります。
| 時期 | 業者がすること | 避けること |
|---|---|---|
| 問い合わせのとき | 写真で荷物を確かめる | 電話の口頭だけで金額を決める |
| 見積もりのあと | 内訳をメッセージで送る | 合計の金額だけを伝える |
| 作業の前 | 見積もりと荷物を一緒に確かめる | 確かめずに積み始める |
| 金額が変わるとき | 作業の前に理由と金額を示す | 積み込んだあとに上乗せを伝える |
| 作業のあと | 領収書と処分の行き先を伝える | 金額だけ受け取って帰る |
この流れを守ることが、口コミに「見積もり通りだった」と書かれる一番の近道です。
口コミと紹介は、事前の説明から生まれる
不用品回収の集客というと、新しい問い合わせを増やすことに目が向きがちです。けれども、事業を安定させるのは、依頼した人がよい口コミを残してくれることと、次に片付けが必要になった知人に紹介してくれることです。
低い評価の多くは、説明の遅さから生まれる
不用品回収の口コミで評価が下がる理由を見ていくと、作業の丁寧さや早さより、金額の行き違いが目立ちます。聞いていた金額と違った、追加の料金を当日に言われた、割引が使えなかった。
どれも、事前に知っていれば覚悟して頼めたか、別の業者を選べたことです。
依頼の前に答えておく5つのことは、集客のためであると同時に、低い評価を先回りして防ぐためのものでもあります。説明が行き届いた業者ほど、「見積もり通りだった」「追加の料金も事前に説明してくれた」という口コミが集まります。
そうした口コミは、次に依頼を考えている人にとって、何よりの安心の材料になります。
片付けは、何度も必要になる
不用品の片付けは、一度で終わるとは限りません。引っ越しのたびに、実家の片付けのたびに、事務所の移転のたびに、また必要になります。
一度気持ちよく依頼できた人は、次のときもまず同じ業者を思い出します。身内や知人が片付けに困っているときにも、その業者の名前を伝えてくれます。
作業のあとに、領収書と一緒に処分の行き先を伝え、次に困ったときの連絡先を渡しておく。この小さな手間が、次の依頼と紹介につながります。
| 依頼した人の声の書き方 | 読んだ人の受け取り方 | 不安への効き目 |
|---|---|---|
| 作業が早くて助かりました | どの業者も同じことを書かれている | 小さい |
| スタッフの対応がよかったです | 雰囲気は分かるが、金額の安心がない | 小さい |
| 見積もりの金額のまま終わり、追加はなかった | 当日に上がらないと分かる | 大きい |
| 階段の作業料を事前に説明してもらえたので、当日も納得できた | 追加の条件が事前に分かると伝わる | 大きい |
| 自治体に出せる物を教えてもらい、全体が安く済んだ | 味方になってくれる業者だと分かる | 大きい |
依頼した人の声をホームページに載せるときは、必ずご本人の許可を取り、名前や住まいが特定されない書き方にしてください。
よくある質問
Q. 追加の料金の条件を細かく書くと、高く見えて問い合わせが減りませんか
条件を書かないでいると、依頼する人は分からないことを理由に不安を大きくし、比べられた末に別の業者を選びます。条件を書いたうえで、変わるときは作業の前に説明すると約束すれば、書いていない業者より安心できる業者として選ばれます。
問い合わせの数が少し減っても、依頼に進む割合と口コミの中身がよくなります。
Q. 許可を持っていない場合は、どう書けばよいですか
家庭の廃棄物を回収するには、市区町村の許可や委託が必要です。自社で許可を持っていない場合は、許可を持つ業者とどう連携しているのか、買い取りで引き取るものはどの許可に基づいているのかを、正直に書いてください。
書けないことがある場合は、その業務を見直すことが先になります。
Q. 写真で荷物を確かめると、手間が増えませんか
手間は増えます。ただ、写真で確かめておけば、当日にパックが変わることや、見積もりと荷物が違うことによる行き違いが大きく減ります。
当日の説明や、口コミへの対応にかかる手間まで含めると、事前に写真で確かめるほうが全体の手間は少なく済みます。
Q. 自治体に出したほうが安いと教えると、仕事が減りませんか
一部の荷物は自治体に回ることになりますが、残りの荷物の回収を任せてもらえることが多くなります。教えてもらった依頼者は、その業者を味方として信頼し、次に片付けが必要になったときにも声をかけてくれます。
目の前の1件の金額より、次の依頼と紹介のほうが大きくなります。
Q. 検索の広告はやめたほうがよいですか
やめる必要はありません。急ぎの依頼者が最初に探す場所は検索なので、広告は入口として役に立ちます。
ただし、広告の予算を増やす前に、広告から飛んだ先のホームページで、当日の金額への不安に答えておくことが先です。答えのあるホームページに人を連れてくれば、同じ広告の費用でも、依頼に進む割合が上がります。
今日できる点検
自分の会社のホームページを開いて、次の項目を確かめてください。当てはまらない項目が見つかったら、そこが最初に直す場所です。
| 点検する項目 | 確かめ方 | 当てはまらないときに直すこと |
|---|---|---|
| 当日に金額が変わる条件が書いてあるか | 最初の画面と料金のページを見る | 変わる理由と、作業の前に説明する約束を書く |
| パックの目安が荷物の例で示されているか | 料金表を読む | 家具や家電の名前を並べた例を載せる |
| 許可の種類が料金の近くにあるか | 料金の説明の周りを見る | 許可や提携と、回収したものの行き先を書く |
| 割引の条件が分かりやすいか | 割引の説明を家族に読んでもらう | 条件の分かりやすい1つか2つに絞る |
| 見積もりの内訳の見本があるか | 見積もり依頼の周りを見る | 内訳の見本を載せる |
| 写真で事前に確かめる案内があるか | 問い合わせの方法を見る | 写真を送ればパックを判断すると書く |
6つの項目のうち、1つでも直せば、依頼する人の不安は1つ減ります。全部を一度に直す必要はありません。
電話で一番よく聞かれることから、1つずつ書き足していってください。
まとめ
不用品の回収を頼もうとしている人は、作業の丁寧さや早さより先に、当日に言われる金額を怖がっています。Q&Aサイトには、ホームページで見ていた料金と当日の金額が違ったという後悔が並び、環境省は、家庭の廃棄物を回収するには市区町村の許可や委託が必要だと注意を呼びかけています。
問い合わせが依頼にならない理由の多くは、作業の腕とは別のところにあります。依頼する人の不安に、ホームページが答えられていないことです。
入口の料金を下げる、広告の予算を増やす、割引を増やす、電話で全部説明する。どれも、不安に答えるという土台がないままでは、当日の行き違いと低い評価を増やしていきます。
先に、当日に金額が変わる条件と手順、パックごとの目安、許可の種類と回収したものの行き先、買い取りと自治体に出すものの案内、見積もりの内訳の見本を、ホームページに書いてください。
主役を業者の側から、困っている依頼者の側へ移す。業者は道案内に回り、依頼する人が確かめたいことに先に答える。
そうして選ばれた依頼者は、見積もり通りだったという口コミを残し、次に片付けが必要になったときにもまた声をかけてくれます。
電話で一番よく聞かれることを1つ選び、その答えを今日、ホームページに書き足すところから始めてみてください。
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