先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。創業から十数年、会社のホームページはあるものの、見た目が古くなってきた。同業の若い会社のサイトは洗練されていて、それに比べると自社は見劣りする。思い切って作り直せば問い合わせは増えるのか、それとも数十万円を捨てるだけで終わるのか。決めきれないまま、もう2年が過ぎている——。中小企業の経営者から、これに近い声を何度も聞いてきました。
結論から書きます。作り直すかどうかを決める前に、いまのサイトの「訪問者の動線」と「信じてもらう証拠」がどうなっているかを確かめてください。ここを飛ばして見た目の刷新だけを進めると、9割の会社が同じ場所でつまずきます。きれいになったのに問い合わせは前と変わらない、という結末です。この記事は、ホームページのリニューアルに踏み切る前の1日で終わる点検の手順と、作り直すと決めたあとに失敗しない進め方を、順番に並べたものです。読み終えたときに、御社のサイトで最初に手を入れる場所が1つ決まっている状態を目指します。
「作り直せば問い合わせは増える」という期待が会社を止める
ホームページの相談は、たいてい「見た目が古い」から始まります。トップの写真がひと昔前の雰囲気だ、スマートフォンで開くと文字が小さい、同業のサイトと並べると地味に見える。どれも本当に感じている不満で、放っておくと会社の印象に響きます。ただ、この不満をそのまま「作り直せば問い合わせが増える」という期待にすり替えてしまうと、判断を誤ります。
見た目が新しくなることと、問い合わせが増えることは、別の出来事です。訪問者が問い合わせフォームに手を伸ばすのは、自分の困りごとがここで解決しそうだと分かり、任せて大丈夫だと信じられたときです。見た目の刷新は、この「分かる」「信じられる」を良くすることもあれば、逆に情報を減らして分かりにくくしてしまうこともあります。デザインの新しさと成果は、別々の道をたどります。
だからこそ、作り直しを検討する最初の一歩は、いまのサイトが訪問者を問い合わせまで運ぶ道のどこで取りこぼしているかを見つける作業に置きます。見積もりを取るのも制作会社を探すのも、その後で間に合います。ここが分かれば、作り直しが本当に要るのか、それとも一部を直すだけで足りるのかが、はっきりします。
| 分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 写真や色が古い | 会社の印象は下がるが、問い合わせが減る直接の原因とは限らない | まず訪問者が離脱している地点を数字で特定してから直す範囲を決める |
| スマートフォンで見づらい | 訪問者の大半がスマートフォンから来ているため、成果に直結しやすい | スマートフォンでの表示と操作を最優先で確かめる |
| 情報が探しにくい | 用件までたどり着けず、途中で離脱している可能性が高い | 問い合わせまでの道順が何回のタップで済むかを数える |
| 他社より地味に見える | 感覚的な不満で、成果とのつながりは弱い | 感覚での比較を止め、自社の証拠が足りているかを見る |
| 更新できず放置している | 情報が古いまま信頼を落とし、検索でも評価されにくい | 誰が何を更新するかを先に決めてから作りを考える |
見た目の刷新で何が動き、何が動かないのかを、あらかじめ切り分けておくと、作り直しの期待値がぶれません。次の表は、その切り分けです。
| 分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 会社の第一印象 | 見た目の刷新で確かに上がる | 土台の動線が通っている会社は、上乗せとして活かす |
| 検索からの流入 | 色や写真を変えても、そのままでは動きにくい | 本文の言葉を検索する人に合わせて増やす |
| 用件の伝わりやすさ | 言葉と情報の並びしだいで、上がりも下がりもする | 最初の画面で扱う悩みを1つに絞る |
| 信じてもらう力 | 情報を削ると、逆に下がることがある | 証拠を残し、決断の手前へ移す |
なぜ「古い=作り直す」と考えてしまうのか
作り直すという判断に一足飛びで向かってしまうのには、理由があります。多くの経営者にとって、ホームページの中身は見えにくいものです。訪問者がどのページで離れているか、問い合わせフォームの途中で何人が入力をやめているか、検索でどんな言葉から来ているか。こうした中身は、管理画面や解析の数字を開いて初めて見えてきます。見えるのは表面の見た目だけなので、不満も改善の発想も、見た目に集まります。
相談は「見た目」から始まる構造
制作の現場でも、相談は見た目から入ります。依頼する側が「古くなったので新しくしたい」と言い、受ける側は新しいデザインを提案する。話がかみ合っているように見えて、肝心の「なぜ問い合わせが来ないのか」は誰も測っていない、という状態が起こりがちです。デザインの刷新は目に見える成果物なので、双方が納得しやすい。けれど目に見えるものと、成果を生むものは、しばしば食い違います。
見た目の刷新が約束してくれるもの
見た目を新しくすると、会社の第一印象は上がります。ここははっきり効果があります。ただ、それは訪問者がサイトに来てからの話です。そもそも検索で見つけてもらえていない、来ても用件までたどり着けない、という段階の問題は、色や写真を変えても動きません。第一印象の改善は、土台の動線が通っている会社にとっては上乗せになりますが、動線が切れている会社にとっては、切れたままの道をきれいに舗装するだけになります。
訪問者はいま、どこから来てどう見ているか
作り直しを考える前に、訪問者が実際にどの端末でサイトを見ているかを押さえてください。総務省が2024年に公表した令和6年版情報通信白書には、次のようにあります。
「2023年の情報通信機器の世帯保有率は、『モバイル端末全体』で97.4%であり、その内数である『スマートフォン』は90.6%である。」
つまり、10軒のうち9軒がスマートフォンを持っている計算です。訪問者の多くは、手のひらの小さな画面で御社のサイトを開いています。パソコンの大きな画面で見ているのは、いまや少数派です。ここで、パソコンで見たときの見た目だけを整えて満足してしまうと、実際の訪問者が見ている画面を直し損ねます。作り直すかどうかを決める前に、まずスマートフォンで自社サイトを開き、問い合わせまで指だけでたどり着けるかを試してください。この1回の操作が、見積もりを取るより先に来る点検です。たとえば、指で読める文字の大きさになっているか、電話番号や地図にすぐ触れられるか。こうした点を自分のスマートフォンで確かめるだけでも、作り直しを検討するより先に手を入れられる場所が、いくつも見つかります。
作り直す前に、いまのサイトが何を失っているかを確かめる
訪問者を問い合わせまで運ぶ道は、大きく3つの区間に分かれます。検索から入り口にたどり着く区間、入り口から用件を理解して読み進める区間、そして信じて行動に移す区間です。どこか1つの区間が切れていると、その先はまるごと届きません。作り直しが要るかどうかは、この3区間のどこが切れているかで決まります。
検索からの入り口が細っていないか
最初の区間は、検索で見つけてもらえているかです。ここが細いと、サイトをどれだけきれいにしても、そもそも人が入ってきません。検索の管理ツールで、自社サイトが月にどれだけ検索結果に表示され、そのうち何回クリックされているかを見てください。表示自体が少ないなら、問題は見た目より前の段階にあります。検索する人が使う言葉が、本文に入っていないのです。この場合、作り直してデザインを変えても、表示回数は増えません。実際に、順位は1ページ目に入っているのに月の表示回数がごくわずか、という会社があります。原因は、その言葉を検索する人がそもそも少ないことにあります。ここで見た目に手を入れても、来る人の数は変わらないので、まず検索される言葉を選び直す作業から始めます。
入ってから用件までの一本道が通っているか
2つめの区間は、入り口のページから用件までまっすぐ進めるかです。訪問者は、自分の困りごとに関係するかを数秒で判断します。トップページを開いた瞬間に、この会社が何をしてくれるのか、自分の悩みを扱っているのかが分からなければ、そのまま戻ります。ここで問われているのは、色の新しさよりも、言葉の分かりやすさと、次にどこを押せばよいかの明確さです。
信じてもらう材料がそろっているか
3つめの区間は、信じてもらえるかです。訪問者は、任せて失敗したくないという不安を抱えています。この不安を消すのが証拠です。実際の事例、お客様の声、実績の数字、担当者の顔と経歴。こうした材料が足りないと、内容は伝わっても、最後の一歩が出ません。見た目の刷新でいちばん抜け落ちやすいのが、この証拠の整理です。きれいなレイアウトを優先して情報を削り、結果として信じる材料まで消してしまう作り直しが、よく起こります。
| 分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 検索の入り口 | 表示回数が少なく、そもそも人が来ていない | 検索する人の言葉を本文に入れ、表示回数の推移を見る |
| 入り口から用件へ | 何の会社か伝わらず、数秒で戻られている | トップの最初の画面で、扱う悩みと次の一歩を1つに絞る |
| 信じる材料 | 事例や声が足りず、最後の一歩が出ない | 事例と声を問い合わせ導線の手前に置き直す |
| 問い合わせの操作 | 入力項目が多く、途中でやめられている | 入力欄を減らし、スマートフォンでの完了率を測る |
訪問者の動線を1枚の図で見る
3つの区間を言葉で追うと分かりにくいので、1本の道として図にしました。検索で見つかり、入り口で用件が伝わり、証拠で信じられ、そして問い合わせに至る。この道のどこか1本でも切れていると、その先には人が流れません。作り直しの検討は、この図のどの矢印が細っているかを見つける作業です。
この図で大事なのは、4つの箱のうち1つだけを新しくしても、切れた矢印はつながらないという点です。見た目の刷新は、多くの場合「用件が伝わる」の箱の見栄えを良くします。けれど、検索でたどり着けていないなら最初の矢印が細いままですし、証拠が足りないなら3本目の矢印が切れたままです。御社のサイトでいちばん細い矢印はどれか。そこを見極めることが、作り直しの範囲を決める土台になります。
やりがちな作り直し方と、その先で起きること
作り直しに踏み切った会社が、よく選ぶ進め方があります。どれも一見まっとうに見えますが、動線の切れ目を見ないまま進めると、同じ場所に戻ってきます。順に見ていきます。
全部を一度に作り替える
いちばん多いのが、ページも文章も写真もまとめて全部作り替える進め方です。せっかくお金をかけるのだから一新したい、という気持ちは自然です。ただ、全部を一度に変えると、公開後に問い合わせが増えても減っても、どの変更が効いたのかが分かりません。効いた理由が分かって初めて、次に打つ手が決まります。しかも、それまで検索で評価されていたページの資産まで、まとめて捨ててしまうことがあります。たとえば、数年かけて検索の上位に育った事例紹介のページを、新しい構成に合わないという理由で消してしまう。公開した翌月に検索からの訪問が半分に減って、そこで初めて資産の大きさに気づく、という話をよく聞きます。
デザインだけを新しくする
見た目だけを刷新して、文章と情報の構成はそのまま引き継ぐ進め方もあります。費用は抑えられますが、動線が切れている原因が言葉や情報の並びにある場合、切れ目はそのまま残ります。きれいになったのに問い合わせが変わらない、という最も多い結末が、ここから生まれます。
広告を増やして流入で押し切る
サイトを作り直すと同時に、広告を出して人を集めようとする会社もあります。人が増えれば問い合わせも増えるはずだ、という考えです。けれど、動線が切れているサイトに人を流し込むと、増えた訪問者もまた同じ場所で離脱します。穴の空いたバケツに水を足すのと同じで、注ぐほど費用が漏れます。まず穴をふさぐことが先です。動線を整えてから広告を出せば、同じ費用でも問い合わせに変わる割合が上がります。順番を逆にするだけで、広告費の効きが変わります。
制作会社に丸投げする
専門家に任せれば安心だと考えて、目的も測り方も決めずに丸投げする進め方も見られます。任せること自体は、まっとうな選択です。問題は、成果の物差しを渡さないまま任せると、受ける側も見た目を整えることしかできない、という点です。何をもって成功とするかを先に言葉にしておかないと、きれいなサイトは納品されても、問い合わせが増えたかどうかは誰も答えられません。
| 分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 全部を一度に作り替える | 効いた理由が分からず、検索の資産も失いやすい | 切れている区間から順に、範囲を区切って直す |
| デザインだけを新しくする | 言葉や情報が原因なら、切れ目はそのまま残る | 見た目より先に、用件が伝わる言葉に手を入れる |
| 広告で流入を増やす | 切れた動線に人を流し、費用が漏れ続ける | 動線の穴をふさいでから流入を足す |
| 制作会社に丸投げする | 目的が伝わらず、見た目を整えるだけで終わる | 成功の数字を先に決めてから依頼する |
| 同業のまねをする | 自社の悩みと合わず、動線がちぐはぐになる | 自社の訪問者が離脱する地点を基準にする |
作り直しの判断の前に測る4つの数字
感覚で「古いから作り直す」と決める代わりに、4つの数字を見てください。どれも既存のサイトのまま、今日から測れます。この4つがそろえば、作り直すべきか、一部を直せば足りるかが、感覚を離れて事実で判断できます。
検索の表示回数と掲載順位
検索の管理ツールで、自社サイトが月に何回検索結果に表示されているかを見ます。表示が少なければ、問題は見た目より前の段階、つまり検索でたどり着けていないことにあります。順位は取れているのに表示が少ないなら、そもそも検索する人が少ない言葉で書いている可能性があります。ここは作り直しでは動きません。本文の言葉を検索する人に合わせる作業が要ります。
入り口ページの離脱
訪問者が最初に着地するページで、どれだけの人がすぐ戻っているかを見ます。着地してすぐ戻る割合が高ければ、入り口で用件が伝わっていない証拠です。ここが高い会社は、トップの最初の画面を直すだけで、作り直さずに数字が動くことがあります。
問い合わせフォームの完了率
フォームを開いた人のうち、何人が送信まで終えているかを見ます。開いた人が多いのに完了が少なければ、入力の負担が重すぎます。入力欄を減らす、スマートフォンで押しやすくする、といった手当てで、作り直さずに完了率が上がることがあります。
スマートフォンとパソコンの見え方の差
同じページを、パソコンとスマートフォンの両方で開いて、見え方と操作のしやすさの差を確かめます。ここで先ほどの白書のもう1つの数字が効いてきます。総務省の令和6年版情報通信白書には、こうあります。
「端末別のインターネット利用率(個人)は、『スマートフォン』(72.9%)が『パソコン』(47.4%)を25.5ポイント上回っている。」
個人がインターネットを使う端末は、スマートフォンがパソコンを25.5ポイント上回っています。にもかかわらず、制作の確認はパソコンの画面で行われがちです。訪問者の多くが見ている画面を後回しにしたまま作り直すと、いちばん人が来る入り口を直し損ねます。この差を測ることは、作り直しの前に必ず通しておきたい点検です。
| 分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| スマートフォン(個人利用率72.9%) | 訪問者の主役だが、確認が後回しになりがち | 問い合わせまで指だけで進めるかを最初に試す |
| パソコン(個人利用率47.4%) | 制作側が確認しやすく、ここだけ整えて満足しやすい | パソコンの見た目を基準にする発想を止める |
| モバイル端末全体(世帯保有率97.4%) | ほぼ全世帯が持ち、来訪の入り口になっている | 小さな画面での読みやすさを成果の物差しにする |
| 両者の差(25.5ポイント) | 見る画面と直す画面がずれている | 直す優先順位をスマートフォンから決める |
売れるサイトはみな謙虚——足す前に引く
ここまでの点検で切れ目が見つかったら、直し方の考え方を1つに定めます。私たちがお伝えしているのは、売れるサイトはみな謙虚、という考え方です。訪問者に向かって自社の言いたいことを足すのを止め、訪問者が迷う要素を引いていく。作り直しの場面でも、この順番が効きます。
引き算で動線を1本にする
古くなったサイトほど、年月とともに情報が積み重なっています。あれもこれも載せたくなり、トップページにボタンやリンクが増え、訪問者はどこを押せばよいか分からなくなります。作り直すときは、まず引き算です。この会社に来た人がいちばん取ってほしい行動を1つ決め、そこへ向かう一本道を残して、道をふさぐ要素を減らします。訪問者にとって、選択肢が少ないほど迷いは減ります。トップページに並んだ10個のボタンは、訪問者にとって10個の分かれ道です。そのうち9個を思い切って畳み、いちばん取ってほしい行動の1個だけを目立たせる。これだけで、迷って離れる人が減ります。引き算は、載せる情報を減らす作業に見えて、実際には訪問者の負担を減らす作業です。
証拠を訪問者の目の前に置く
次に、信じてもらう材料を、問い合わせ導線の手前に置き直します。事例、お客様の声、実績、担当者の顔。これらをサイトの奥にしまい込まず、訪問者が決断する直前に見える位置へ移します。証拠は足すものというより、すでに社内にあるものを見つけて表に出す作業です。見た目の刷新でいちばん抜けやすいこの一手が、最後の矢印をつなぎます。
作り直しを段階に分ける
全部を一度に変える進め方の弱点は、効いた理由が分からなくなることでした。そこで、直す範囲を段階に分けます。まず切れている区間を1つ直し、数字が動くかを見る。動いたら次の区間へ進む。この進め方なら、費用を分散でき、効いた手当てだけを残せます。作り直しは一発勝負というより、測りながら育てる作業に近いものです。
| 分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 足し算の設計 | 言いたいことが増え、訪問者が迷っている | 取ってほしい行動を1つに絞り、道を1本にする |
| 証拠のしまい込み | 事例や声がサイトの奥にあり、決断前に見えない | 証拠を問い合わせ導線の手前へ移す |
| 一度に全部の変更 | 効いた理由が分からず、次の手を決められない | 区間ごとに直し、数字が動いたか確かめる |
| 感覚での完成判断 | きれいになったで満足し、成果を測っていない | 公開前に成功の数字を決めておく |
部分改善とフルリニューアルの分かれ目
点検の結果しだいで、一部を直せば足りる会社と、土台から作り直したほうがよい会社に分かれます。判断の目安を整理します。切れている区間が1つだけで、その原因が言葉や情報の並びにあるなら、部分改善で足りることが多いです。一方、複数の区間が同時に切れている、あるいはスマートフォンで開くと崩れて操作できない、更新する手段がなく情報が何年も止まっている、といった状態なら、土台から作り直したほうが結果として近道になります。切れ目が1本か、複数かを見極めることが、部分改善と全面的な作り直しを分ける境目です。迷ったときは、いちばん人が来る入り口のページを1枚だけ直してみて、数字が動くかを見ます。そこで動けば部分改善で足りる見込みが立ちますし、動かなければ土台の作りに原因がある見込みが強まります。小さく試してから大きく決める、という順番が、後悔を減らします。
ここで注意したいのは、フルリニューアルを選ぶ場合でも、いまのサイトの資産を丸ごと捨ててはいけない点です。検索で評価されているページや、時間をかけて集めた事例と声は、作り直しても引き継ぎます。土台を変えることと、積み上げたものを捨てることは、同じではありません。
| 分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 切れ目が1区間だけ | 原因が言葉や並びにあり、範囲が狭い | その区間だけを直し、作り直しは見送る |
| 複数区間が同時に切れる | 部分的な手当てでは追いつかない | 土台から作り直す前提で、資産の引き継ぎを決める |
| スマートフォンで崩れる | 主役の端末で操作できず、来訪が無駄になる | 小さな画面を基準に、作りから見直す |
| 更新の手段がない | 情報が止まり、信頼も検索評価も落ちている | 自社で更新できる作りへ変える |
作り直すと決めたあとに失敗しない進め方
点検の結果、作り直すと決めたとします。ここからは、同じお金を使っても結果が変わる進め方を、3つに絞ってお伝えします。
目的を数字で先に決める
作り直しに入る前に、何をもって成功とするかを数字で言葉にします。問い合わせを月に何件にしたいのか、どのページの離脱を下げたいのか。この物差しがあると、制作の途中でも判断の軸が保てます。物差しのない作り直しは、きれいさという主観だけが基準になり、成果を後から確かめられなくなります。
いまのページの資産を捨てない
検索で評価されているページの住所、つまりURLは、作り直しでも引き継ぎます。住所が変わると、それまで積み上げた検索の評価が一度リセットされ、公開直後に訪問者が減ることがあります。どのページを残し、住所が変わる場合はどう引き継ぐかを、制作の初めに決めてください。事例やお客様の声も、許諾を確認したうえで新しいサイトへ移します。
公開後に測る仕組みを先に用意する
作り直しは公開して終わりではありません。公開後に、決めた数字が動いたかを測れる状態にしておきます。解析を入れ、問い合わせの経路を追えるようにし、フォームの完了率を見られるようにする。この仕組みを公開前に用意しておかないと、作り直した効果があったのかどうかを、あとから確かめられなくなります。測れる状態にして初めて、良くする手も打てます。
ホームページのリニューアルを決める前に社内でそろえる材料
ここまでの点検は、担当者1人でも今日から始められます。ただ、ホームページのリニューアルを実際に進める段になると、社内で判断がぶれやすくなります。誰かは見た目を重く見て、別の誰かは費用を気にする。そこで、決める前に3つの材料を社内でそろえておくと、話が速く進みます。どれも新しく作る資料というより、すでに社内のどこかにあるものを1か所に集める作業です。
問い合わせにつながった経路の記録
過去に問い合わせが来たとき、その人がどこから来たのかを、思い出せる範囲で書き出します。検索から来たのか、知り合いの紹介だったのか、名刺やチラシを見たのか。この記録があると、ホームページのリニューアルで力を入れる区間が見えてきます。検索からの問い合わせが多い会社は入り口の言葉に、紹介が多い会社は証拠の見せ方に、優先して手を入れる判断ができます。経路が分かるほど、限られた予算をどこに向けるかがはっきりします。
いまのサイトで残す価値のあるページ
作り直すと決めても、すべてを白紙にする必要はありません。検索で人が来ているページ、問い合わせにつながっているページは、住所であるURLごと引き継ぐ価値があります。どのページを残すかを先にそろえておくと、リニューアルで大切な資産をうっかり捨てる事故を防げます。逆に、何年も誰も見ていないページは、この機会に整理してかまいません。残すものと手放すものを分けておくと、作りの相談がぐっと具体的になります。
訪問者が実際につまずいた場所
身近な人に、スマートフォンで自社サイトから問い合わせの直前まで進んでもらい、どこで手が止まったかを見せてもらいます。作った側には当たり前でも、初めて見る人には分かりにくい場所が必ずあります。ボタンの文字の意味が伝わらない、次にどこを押すか迷う、入力欄が多くて途中でやめる。この生の観察は、どんな解析の数字より、リニューアルで直すべき場所をはっきり教えてくれます。数字は「どこで人が減ったか」を教えてくれますが、「なぜ止まったか」までは教えてくれません。その理由は、実際に操作する人の様子を横で見ているときに、いちばんよく分かります。社内の3人にお願いすれば、共通してつまずく地点が浮かび上がり、そこが最初に直す場所になります。
業種別に見る、作り直す前の確認点
訪問者が何を不安に思うかは、業種によって違います。作り直す前の確認点も、それに合わせて変わります。代表的な業種で、最初に見るべき点を整理します。
| 分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 製造・部品 | 取り扱いの範囲や技術が伝わらず、問い合わせに至らない | 対応できる加工と実績を、検索でたどり着ける形で並べる |
| 建設・工事 | 施工の質が写真だけでは信じてもらえない | 施工事例と流れ、担当者の顔を証拠として前に出す |
| 士業・専門サービス | 相談してよいか分からず、入り口で止まる | 扱う相談の範囲と初回の流れを最初の画面で示す |
| 店舗・地域向け | スマートフォンで場所や営業情報にたどり着けない | 地図と営業情報を小さな画面の先頭に置く |
| 卸・法人向け | 取引条件が不明で、担当者が社内で通せない | 取引の流れと導入の事例を判断材料として載せる |
よくある質問
ホームページは何年で作り直すべきですか
年数だけで決める必要はありません。5年経っても問い合わせが取れていれば、急いで作り直す理由はありません。逆に2年でも、スマートフォンで崩れて操作できない、更新できず情報が止まっている、という状態なら早めに手を入れます。判断は経過年数よりも、この記事の4つの数字が動いているかで決めてください。
作り直せば検索順位は上がりますか
作り直しそのものが順位を上げるわけではありません。作り直しの過程で、検索する人の言葉を本文に入れ、スマートフォンでの読みやすさを整えれば、結果として上がることはあります。一方で、住所であるURLの引き継ぎを誤ると、公開直後に順位が下がることもあります。順位を目的にするなら、引き継ぎの設計を最初に決めることが要ります。
費用をかけずにできることはありますか
あります。トップの最初の画面で扱う悩みと次の一歩を1つに絞る、問い合わせフォームの入力欄を減らす、事例と声を問い合わせの手前に移す。これらは大きな作り直しを伴わず、いまのサイトのまま手を入れられます。どれも半日から数日で試せて、結果を数字で確かめられます。まずここで数字が動くかを見てから、作り直しの要否を判断しても遅くありません。小さな手当てで問い合わせが増えるなら、大きな作り直しはそもそも要らなかった、と分かることもあります。
デザインが古いと信用されないのではないですか
第一印象に響くのは確かです。ただ、訪問者が最後に問い合わせるかを決めるのは、見た目よりも、用件が伝わったかと信じられたかです。古さが気になるなら、まずスマートフォンでの読みやすさと、証拠の見せ方を直してください。この2つは、全面的に作り直さなくても改善できます。
制作会社にはどう相談すればよいですか
見た目を新しくしたい、と伝える代わりに、この記事の4つの数字と、切れている区間を持って相談してください。成功をどの数字で測るかを先に共有すると、受ける側も見た目を整えるだけの提案をしにくくなります。目的の物差しを渡すことが、丸投げを避ける最初の一歩です。
まとめ
古くなったホームページを作り直すべきか。この問いに、見た目の印象だけで答えを出すと、9割の会社が同じ場所でつまずきます。答えを出す前に、訪問者を問い合わせまで運ぶ3つの区間のどこが切れているかを確かめてください。検索でたどり着けているか、入り口で用件が伝わっているか、証拠で信じてもらえているか。この3区間を、検索の表示回数、入り口の離脱、フォームの完了率、スマートフォンとパソコンの見え方の差、という4つの数字で測れば、作り直すべきか一部を直せば足りるかが、感覚を離れて事実で決まります。
ホームページのリニューアルを決めたあとも、進め方で結果は変わります。目的を数字で先に決め、いまのページの資産を捨てず、公開後に測る仕組みを用意する。そして、足す前に引くという順番を守る。売れるサイトはみな謙虚です。訪問者が迷う要素を引き、信じる材料を前に出した一本道が、問い合わせを運びます。次の表を使って、今日そのまま点検を始めてください。
| 分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| スマートフォンで開く | 問い合わせまで指だけで進めるか未確認 | 実際に自分のスマートフォンで問い合わせ直前まで進んでみる |
| 検索の表示回数を見る | 月に何回表示されているか把握していない | 検索の管理ツールで表示回数とクリック数を控える |
| 入り口の離脱を見る | 着地してすぐ戻る割合が分からない | 解析で入り口ページの離脱の割合を確かめる |
| フォームの完了率を見る | 開いた人のうち何人が送信したか不明 | フォームの開始と完了の数を1週間分数える |
| 証拠の位置を見る | 事例や声が奥にあり、決断前に見えない | 証拠を問い合わせ導線の手前へ1つ移す |
| 取ってほしい行動を決める | ボタンやリンクが多く、道が分かれている | いちばん取ってほしい行動を1つに絞る |
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