ホームページやブログを運営している方で、「訪問者がページのどこまで読んでくれているのか知りたい」と思ったことはありませんか?
訪問者のスクロール行動を分析することで、ページの改善点や、より効果的なコンテンツ作りのヒントが見えてきます。
この記事では、Googleアナリティクスの「イベント」で「scroll(スクロール)」を計測する、「Googleアナリティクスイベントscroll」について、初心者の方にもわかりやすく徹底解説します。
その定義や仕組みから、実際の有効化手順、より詳細な計測を行うためのGoogleタグマネージャーでの設定、そして分析上の落とし穴まで、詳しく説明していきます。
Googleアナリティクスイベントscrollとは?
Googleアナリティクスイベントscrollとは、Googleアナリティクス4(GA4)でユーザーのスクロール行動を計測するための「イベント」の一種です。
「イベント」とは、ユーザーがウェブサイトやアプリ上で起こす特定の行動を指します。例えば、動画の再生、ボタンのクリック、ファイルのダウンロードなどが「イベント」として計測されます。
「scroll」はその中でも、ユーザーがウェブページをどれだけスクロールしたか(スクロール深度)を計測するためのイベントです。
Googleアナリティクスイベントscrollの仕組みと、見落とされがちな制約
GA4には「拡張計測機能」という、コードを追加しなくても主要なユーザー行動を自動収集してくれる仕組みが備わっており、scrollイベントもここに含まれます。ただし、ここには意外と見落とされがちな制約があります。
拡張計測機能を有効にした場合、GA4は「ページの縦方向90%までスクロールした時点」でのみscrollイベントを送信する仕様になっています。25%や50%といった中間地点での離脱を計測することはできず、この90%という基準値を管理画面から変更することもできません。「あらかじめ25%・50%・75%・100%を自由に設定できる」というわけではなく、詳細な計測にはGoogleタグマネージャー(GTM)を使った追加の設定が必要になる点は、最初に押さえておきたいポイントです。
拡張計測機能でscrollイベントを有効化する手順
まずは標準機能を有効にする手順を確認しましょう。設定した当日からデータが記録されますが、過去に遡って取得することはできないため、サイト構築の初期段階で有効化しておくのがおすすめです。
- GA4の左下にある歯車アイコン「管理」をクリックする
- 「データストリーム」を選択する
- 計測対象の「ウェブデータストリーム」をクリックする
- 「拡張計測機能」の枠の右端にある歯車アイコンをクリックする
- 一覧から「スクロール数」のトグルを「オン」にする
- 「保存」をクリックして完了する
設定してもレポートにイベントが表示されない場合、個人の特定を防ぐためのプライバシー保護機能「データのしきい値」が働いている可能性があります。集計期間を数週間単位に延ばして母数を増やすと解消されることがあります。
Googleタグマネージャーで20%刻みのスクロール計測を設定する
ファーストビュー直後の離脱や、記事中盤の熟読度合いを分析したい場合は、GTMを使って20%・40%・60%・80%・100%のように任意の割合でイベントを発火させる設定が必要です。
実装を始める前に、必ずGA4の拡張計測機能側の「スクロール数」トグルを一度オフにしておきましょう。両方を有効にしたままにすると、GTM経由とGA4標準機能経由でイベントが二重に送信され、90%地点のデータだけが不自然に膨らんでしまいます。
1. 組み込み変数を有効にする
GTMの「変数」メニューから「組み込み変数」の「設定」を開き、「Scroll Depth Threshold(到達した閾値の数値が入る)」「Scroll Depth Units(percentまたはpixelsが入る)」「Scroll Direction(verticalまたはhorizontalが入る)」の3つにチェックを入れます。
2. スクロール距離トリガーを作成する
トリガーのタイプは「スクロール距離」、方向は「縦方向スクロール距離」、計測単位は「割合」を選び、割合の入力欄に「20,40,60,80,100」とカンマ区切りで入力します。発生場所は、サイト全体を見たいなら「すべてのページ」、特定のディレクトリだけに絞りたいなら「一部のページ」を選びます。
3. GA4イベントタグを作成する
タグタイプは「Google アナリティクス:GA4 イベント」を選び、イベント名には「scroll」と入力します。イベントパラメータには、パラメータ名「percent_scrolled」、値に先ほど有効化した変数「{{Scroll Depth Threshold}}」を指定します。GA4はパラメータ名の大文字・小文字を厳密に区別するため、表記を1文字でも間違えるとデータが反映されなくなる点に注意してください。最後に、作成したトリガーを紐づけて保存します。
GA4側でも、この「percent_scrolled」を分析軸として使うために「カスタム定義」からカスタムディメンションとして登録しておく必要があります。登録してから実際にレポートで使えるようになるまで、24〜48時間ほどのタイムラグが生じることも覚えておきましょう。
探索レポートでページ別・デバイス別に分析する
データが蓄積されたら、GA4の「探索」機能の「自由形式」レポートで、ページごと・デバイスごとのスクロール到達状況を確認できます。行に「ページパスとスクリーンクラス」と「デバイスカテゴリ」、列に「スクロール率」、値に「イベント数」を設定すると、ページ×デバイスごとに20%・40%・60%・80%・100%への到達回数が一覧できるようになります。
ここで見落としがちなのが、デバイスによるスクロール行動の違いです。スマートフォンは縦長の画面で親指によるスワイプ操作の負荷が低いため、パソコンに比べて深くスクロールされやすい傾向があることが知られています。デバイスカテゴリを分けずに全体を平均化してしまうと、「スマホからのアクセスが多いページほどスクロール率が高く出る」という統計的な偏りが生じるため、必ずデバイス別に見るようにしましょう。
「スクロール率」と「読了率」は同じではない
アクセス解析の現場では、スクロール率と「読了率(コンテンツを実際に読み終えたか)」が同じ意味で扱われがちですが、これは誤りです。スクロール率は「画面のどこまで表示させたか」という空間的な指標にすぎず、ユーザーが本当に内容を読んだかどうかは分かりません。
ユーザビリティ研究機関のNielsen Norman Groupが2018年に行った視線計測(アイトラッキング)調査によれば、ユーザーの閲覧時間の57%がファーストビュー(スクロールせずに見える範囲)に費やされ、全体の74%が最初の2画面分に集中していることが分かっています。ページの一番下までスクロールしたからといって、途中の内容をしっかり読んだとは限らないのです。情報を探すために一気に最後までスワイプしただけのユーザーを「読了した」と誤認識してしまうと、コンテンツの評価を実態より高く見積もってしまうリスクがあります。
より実態に近い「読了」を計測したい場合は、GTMの「要素の視認性」トリガーを使い、記事の「まとめ」など終盤の見出しに一意のIDを振った上で、そこに一定時間(例えば10秒以上)とどまったユーザーだけを計測する、という工夫が有効です。
SPA(シングルページアプリケーション)での計測の注意点
React・Vue.js・Next.jsなどで構築されたサイトでは、ページ遷移時にブラウザ全体の再読み込みが起きず、URLとDOMの一部だけが書き換わる仕組み(History APIによるルーティング)が使われています。この場合、GTMのスクロール距離トリガーの内部状態がページ遷移時にリセットされず、「一度どこかのページで100%まで到達済み」というフラグが残り続けてしまうことがあります。その結果、別のページに移動した後は、いくらスクロールしてもイベントが発火しなくなる、という不具合が起こりえます。
対策としては、フロントエンド側のルーティング処理でページ遷移が完了したタイミングに合わせて、データレイヤーへ明示的なイベントをプッシュし、GTM側のスクロール状態を再評価させる実装が必要になります。この種の対応は開発者による実装が前提となるため、自社サイトがSPA構成かどうか分からない場合は、制作を担当した会社に確認してみることをおすすめします。
まとめ:Googleアナリティクスイベントscrollでユーザー行動を深く理解しよう
Googleアナリティクスイベントscrollは、ユーザーのスクロール行動を分析するための強力な手がかりです。標準の拡張計測機能は手軽な反面、90%到達という単一の基準しか見られません。ファーストビュー直後の離脱や記事中盤の熟読度を把握したい場合は、GTMを使った20%刻みなどの詳細な計測が欠かせません。
また、スクロール率をそのまま読了率と捉えないこと、デバイスごとの行動差を踏まえて分析すること、SPA環境では計測が破綻しやすいことも、正確な判断のために押さえておきたいポイントです。これらのデータを組み合わせることで、ホームページやブログのどこを改善すべきかが具体的に見えてきます。
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