リフォーム会社を立ち上げて数か月、チラシもポータルサイトも一通り試したのに、問い合わせが思うように増えない。そんな状況にいる経営者の方に向けて、この記事では集客の手法を並べる前に確かめておきたい「お客様が何で依頼先を決めているか」から話を始めます。
読み終えたときに、自社のホームページで最初に直す場所が1つ決まっている。そこをゴールにしています。
Q&Aサイトで見かけた2つの相談
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
相談者はリフォーム会社を始めてまだ3か月ほどの方でした。腕には自信があり、前職では現場を任されていた。
独立してからはチラシを刷り、ポータルサイトにも登録し、ホームページも作った。それでも電話はたまにしか鳴らず、来るのは相見積もりの依頼ばかり。
何を優先すればいいのか分からなくなっている、という内容です。
同じQ&Aサイトを眺めていると、まったく逆の立場の投稿も目に入ります。リフォームの見積もりを頼んだ施主の側から「現地調査に来てもらったのに、その後一向に連絡が来ない」「紹介サイトで決めた業者から3週間音沙汰がない」という相談が、いくつも並んでいました。
この2つを並べると、業界の中で起きていることが見えてきます。お客様は「ちゃんと連絡をくれて、話を聞いてくれる人」を探している。
会社の側は「腕の良さ」を伝えようとしている。両者が探しているものが、少しずれているのです。
相談者が試していたこと
相談者が挙げていた取り組みを整理すると、次のようになります。
| 試したこと | 期待していた結果 | 実際に起きたこと |
|---|---|---|
| 新聞折込とポスティングのチラシ | 近所の家から電話が来る | 反応はわずかで、来ても小さな修繕の相談 |
| リフォームのポータルサイト登録 | 見込みの高い依頼が届く | 3社から5社の相見積もりになり、値下げの話で終わる |
| ホームページの開設 | 検索から問い合わせが来る | 月に数件のアクセスで、問い合わせフォームはほぼ動かない |
| 施工事例の写真の追加 | 腕の良さが伝わる | 閲覧は増えたが、依頼の数は変わらない |
どれも間違った施策ではありません。ただ、表の右端を見ると、どの施策も「お客様が最後に何で決めるか」に届いていないことが分かります。
数字で見る、施主が依頼先を決める理由
ここで、業界団体が公表している数字を1つ紹介します。住宅リフォーム推進協議会が2025年4月に国土交通省の会議へ提出した資料に、令和6年度の実態調査の結果がまとまっています。
実際にリフォームをした人に「事業者を選ぶときに何を重視したか」を聞いたところ、最も多かった答えは次のものでした。
「実際にリフォームしたリフォーム実施者の事業者を選定する際の重視点は、『担当者の対応・人柄』(44.6%)の割合が最も高く、『工事の質・技術』(32.2%)、『工事価格の透明さ・明朗さ』(29.3%)と続く」
技術よりも先に、担当者の対応と人柄が来ています。44.6%という数字は、2位の工事の質を12ポイント以上引き離しています。
お客様は工事が始まる前の段階で技術の差を見分けられません。見分けられるのは、目の前の担当者が話を聞いてくれるか、約束どおりに連絡をくれるか、という部分です。
同じ資料では、検討中の人が不安に感じていることも並んでいます。「費用がかかる」が39.3%、「施工が適正に行われるか」が31.4%、「見積もりの相場や適正価格がわからない」もほぼ3割にのぼりました。
お客様は、お金と工事の中身と、見積もりの妥当さの3点で迷っています。
同じ罠に落ちるリフォーム会社は珍しくない
ここまでの話を、相談者の取り組みと重ねてみます。チラシには施工前後の写真を載せた。
ホームページには施工事例を並べた。どれも「工事の質・技術」を伝えるための施策です。
調査の順位でいえば2位にあたる理由に向けて、全力で発信していたことになります。
1位の「担当者の対応・人柄」については、ホームページのどこにも手がかりがありませんでした。社長の顔写真は会社概要の奥にある小さな1枚だけ。
問い合わせのあと誰が来て、何日で見積もりが届き、その後どう連絡が来るのか、という流れはどこにも書かれていない。お客様から見ると、依頼した後に何が起きるのかが想像できない状態です。
これは相談者だけの話ではありません。腕に自信がある会社ほど、施工事例さえ見てもらえば分かってもらえると考えがちです。
職人として正しい感覚なのですが、お客様が決める順番とは噛み合っていません。
「腕を見せる」発信が空回りする理由
お客様の立場で考えると分かりやすくなります。浴室のリフォームを考えている60代の夫婦が、3社のホームページを見比べているとします。
どの会社も、きれいに仕上がった浴室の写真を載せています。素人の目には、どの写真も同じように立派に見えます。
違いが見えない以上、夫婦が次に見るのは「どんな人が来るのか」です。そこに手がかりがある会社が1社でもあれば、夫婦はその会社に電話をかけます。
3社とも手がかりが無ければ、あとは価格で決めるしかありません。相見積もりで値下げの話ばかりになる原因は、ここにあります。
| お客様が見ているもの | 写真だけの会社から伝わること | 担当者が見える会社から伝わること |
|---|---|---|
| 仕上がりの良さ | 他社とほぼ同じに見える | 他社とほぼ同じに見える |
| 誰が家に来るか | 分からない | 顔と名前と経歴が分かる |
| 依頼後の流れ | 分からない | 何日後に何が届くかが分かる |
| 比べたあとの決め手 | 価格しか残らない | 「この人なら」という理由が残る |
表の1行目は、どちらの会社も同じです。差がつくのは2行目から下で、ここが空いている会社は、最後は値段で比べられてしまいます。
この記事の残りでは、なぜこうしたずれが業界の中で生まれるのか、多くの会社がどんな遠回りをしてしまうのか、そしてホームページのどこから手を付ければ問い合わせにつながるのかを、順番に見ていきます。
なぜリフォーム会社のサイトは「腕」ばかり語るのか
担当者の顔が見えないサイトが多いのは、経営者の怠慢のせいだけではありません。業界の仕組みそのものが、会社を「腕を見せる」方向へ引っぱっています。
ここでは、その構造を3つの場面に分けて見ていきます。
一括見積もりサイトが作る「横並びの比較表」
ポータルサイトや一括見積もりサイトは、お客様にとって便利な入口です。1回の入力で複数の会社から見積もりが届き、比べることができます。
ただし、その画面の中で会社が見せられる情報はかなり限られています。社名、対応エリア、施工事例の写真が数枚、そして口コミの点数。
担当者がどんな人かを伝える欄は、ほとんどありません。
この形式に慣れると、会社の側も「写真と点数で勝負するもの」と思い込むようになります。自社のホームページを作るときも、ポータルの掲載ページを大きくしたような構成になりやすい。
結果として、どの会社のサイトも写真と対応エリアと会社概要が並ぶ、似た顔つきになっていきます。
もう1つの問題は、ポータル経由の依頼はもともと比べることが前提になっている点です。お客様は最初から3社以上を並べるつもりで入力しています。
そこで差がつかなければ、残る判断材料は価格しかありません。
制作会社のひな形が「施工事例ギャラリー」を中心に組まれている
ホームページ制作を外注すると、多くの場合、リフォーム業向けのひな形をもとに作られます。トップに大きな施工写真、その下に「選ばれる理由」、施工事例の一覧、会社概要、お問い合わせ。
この並びが定番です。
ひな形そのものに悪意はありません。制作会社は同業のサイトを参考に、無難な構成を用意しているだけです。
ただ、その参考元も同じひな形で作られているので、業界全体が同じ構成をなぞり続けることになります。「担当者の対応・人柄」が選定理由の1位だという調査結果は、制作の現場ではほとんど意識されていません。
| ひな形の定番要素 | 作る側の意図 | お客様が本当に知りたいこと |
|---|---|---|
| トップの大きな施工写真 | 仕上がりの良さで目を引く | 自分の家でも同じようにできるか |
| 選ばれる理由3つ | 強みを簡潔に伝える | その強みを誰が担うのか |
| 施工事例の一覧 | 実績の多さを見せる | 工事中にどんなやり取りがあったか |
| 会社概要 | 信頼の裏付け | 担当者の顔と、連絡の約束 |
| 問い合わせフォーム | 入力してもらう | 送ったあと何が起きるか |
右端の列にある「知りたいこと」は、どれも人とやり取りに関わるものです。ひな形はそこを空欄のまま残しています。
現場が忙しく、発信が後回しになる
小さなリフォーム会社では、社長が営業も現場管理も見積もり作成も兼ねていることが珍しくありません。日中は現場に出て、夜に見積もりを作る。
ホームページの更新は、どうしても後回しになります。
こうした状況で「何か載せなければ」と思ったとき、いちばん手軽なのが施工写真です。スマートフォンで撮った写真を数枚載せれば、1件の更新になります。
一方で、担当者の紹介文や、依頼から工事までの流れを文章にする作業は、手間がかかるうえに何を書けばいいか分かりにくい。結果として、写真ばかりが増えていきます。
連絡の遅れが、そのまま口コミになる
Q&Aサイトで施主の側が「見積もりの後に連絡が来ない」と書き込んでいたのも、この忙しさと無関係ではありません。現場に追われていると、見込みの薄そうなお客様への連絡が後回しになります。
本人に悪気はなくても、お客様にとっては「約束を守らない会社」という印象だけが残ります。
こうした体験は、口コミや知人への話を通じて広がります。住宅リフォーム推進協議会の同じ資料では、担当者の対応・人柄を重視する人の割合が、地元密着の会社を選んだ人で48.2%、全国規模の会社を選んだ人で39.3%でした。
地域の会社ほど、人柄で選ばれているということになります。裏返すと、地域の会社ほど連絡の遅れ1つで評判を落としやすい立場にあります。
業界の構造が生む3つのすれ違い
ここまでの話を、会社とお客様のすれ違いとしてまとめておきます。
| 場面 | 会社が思っていること | お客様が感じていること | 生まれる結果 |
|---|---|---|---|
| ポータルに登録したとき | 写真と点数で選ばれる | どこも同じに見える | 価格で比べられる |
| ホームページを作ったとき | 施工事例で腕が伝わる | 誰が来るのか分からない | 電話をかける決め手がない |
| 見積もりを出したとき | 良い提案をすれば決まる | 連絡が遅くて不安になる | 他社に流れる |
| 工事が終わったとき | 仕上がりで満足してもらえた | 担当者の印象が記憶に残る | 紹介の有無が人柄で決まる |
4つの場面のどれを見ても、会社は「工事」の話をしていて、お客様は「人」の話をしています。この構造がある限り、施工事例を増やしても、チラシの枚数を増やしても、問い合わせの数は大きく動きません。
年代によって、人柄を重視する度合いが違う
もう1つ押さえておきたいのが年代の差です。同じ資料によると、担当者の対応・人柄を重視する人は、20代から40代で36.0%、50代で50.1%でした。
リフォームの依頼主として多い50代以上ほど、人で選ぶ傾向が強くなります。
子どもが独立したあとの水回りの入れ替えや、親から受け継いだ家の改修など、50代以降の依頼は金額も大きく、決めるまでに時間がかかります。
その間、お客様はホームページを何度も見返し、家族と相談します。そのとき画面に担当者の顔と言葉があるかどうかで、家族の会話の中身が変わってきます。
多くの会社が選んでしまう遠回り
問い合わせが増えないとき、経営者が最初に考えるのは「もっと多くの人に知ってもらおう」という方向です。気持ちはよく分かります。
ただ、ここまで見てきた構造を踏まえると、知ってもらう人数を増やしても、決め手が無いままなら結果は同じになります。よくある遠回りを4つ取り上げ、それぞれがどんな結末につながりやすいかを見ておきます。
遠回り1 チラシの枚数と配布エリアを増やす
チラシの反応が薄いと、配る枚数を倍にしたくなります。配布エリアを隣の町まで広げる会社もあります。
しかし、チラシの紙面が施工写真と「地域密着」の文字だけで構成されていると、受け取った人にとっては他社のチラシと区別がつきません。
枚数を増やせば、区別のつかないチラシが増えるだけです。
さらに、配布エリアを広げると、移動に時間がかかる現場が増えます。社長が1人で回している会社ほど、遠方の現場は負担になります。
問い合わせが少し増えても、現場の効率が落ちて利益が残らない、という結末になりがちです。
遠回り2 ポータルサイトの有料枠を上げる
ポータルサイトには、掲載順位を上げたり、表示回数を増やしたりする有料の枠があります。ここにお金をかけると、確かに見積もり依頼の件数は増えます。
ただ、依頼の中身はほとんどが相見積もりです。お客様は最初から複数社を比べる前提で入力しているので、件数が増えるほど、値下げの交渉に使う時間も増えていきます。
ポータルからの依頼に頼る割合が高くなると、自社の値付けの主導権も失われます。他社の見積もりを基準に価格を下げ、利益を削りながら件数をこなす。
忙しいのに手元にお金が残らない、という状態は、ここから生まれることが多いのです。
遠回り3 施工事例をひたすら増やす
ホームページの更新として施工事例を毎週追加する。これは真面目な会社ほどやりがちな努力です。
事例が100件を超えると、確かに実績の多さは伝わります。しかし、前に見たように、お客様は写真で技術の差を見分けられません。
100件の写真は、10件の写真と同じ印象しか残さないことがあります。
むしろ、事例が増えるほど、お客様は自分の家に近い事例を探すのに時間がかかります。キッチン、浴室、外壁、屋根と分類されていても、1件ごとの説明が施工前と施工後の写真と一言だけなら、読む手がかりがありません。
見るだけ見て、誰が担当したのか、どんな相談から始まったのかが分からないまま画面を閉じることになります。
遠回り4 ホームページを丸ごと作り直す
問い合わせが来ないのはデザインが古いからだ、と考えて、ホームページを全面的に作り直す会社もあります。見た目は新しくなりますが、中身の構成が前と同じひな形なら、お客様が知りたいことは相変わらず空欄のままです。
作り直しには数か月かかり、その間は更新も止まります。公開後しばらくして、問い合わせの数が以前と変わらないことに気づく、という流れはよくあります。
遠回りの末路を並べてみる
4つの遠回りを、かけた手間と起きたことで並べると、共通点が見えてきます。
| 遠回り | かかる手間 | 一時的に増えるもの | 残らないもの |
|---|---|---|---|
| チラシを増やす | 印刷と配布の手配 | 手に取られる回数 | 「この会社に頼む理由」 |
| ポータルの有料枠 | 毎月の掲載管理 | 見積もり依頼の件数 | 利益と価格の主導権 |
| 施工事例を増やす | 撮影と更新の作業 | ページの閲覧数 | 担当者への信頼 |
| サイトの作り直し | 数か月の打ち合わせ | 見た目の新しさ | お客様が知りたい中身 |
どの遠回りも、何かが一時的に増えます。だからこそ「効いている」と感じやすく、続けてしまいます。
しかし右端の列にある「残らないもの」は、どれも調査で上位に来ていた、担当者と価格の透明さに関わる部分です。
遠回りが続くと起きること
遠回りを1年続けた会社で起きやすい変化を、時間の流れで整理しておきます。
| 時期 | 会社の中で起きていること | 数字に表れること |
|---|---|---|
| 1か月目から3か月目 | チラシとポータルに手応えを感じる | 依頼の件数が少し増える |
| 4か月目から6か月目 | 相見積もりでの値下げが増える | 成約率が下がり始める |
| 7か月目から9か月目 | 現場と見積もりで社長の時間が埋まる | 連絡の遅れが目立ち始める |
| 10か月目から12か月目 | 紹介が減り、新規頼みになる | 忙しいのに利益が減る |
最後の段で紹介が減るのは、連絡の遅れと無関係ではありません。担当者の対応が選定理由の1位である以上、忙しさで対応が雑になれば、紹介の元になるお客様の満足も削られていきます。
相談者の場合に当てはめると
冒頭の相談者は、開業3か月の段階でチラシ、ポータル、ホームページ、施工事例の4つを同時に試していました。どれも上の表の左側にある施策です。
このまま続けると、半年後には相見積もりの値下げで疲れ、1年後には紹介が伸びないまま新規の依頼に追われる、という流れに入る可能性があります。
相談者の施策は、数としては十分でした。欠けていたのは、お客様が依頼先を決める理由の1位に向けた発信です。
そこに気づけば、同じ手間のままで打ち手を入れ替えることができます。
問い合わせの数より、問い合わせの中身を見る
遠回りに気づくための目安も1つ挙げておきます。問い合わせの件数を数えるだけでなく、最初の連絡でお客様が何を言っているかを記録してみてください。
「見積もりだけほしい」「一番安いところを探している」という言葉が多いなら、比べられる入口から来ているお客様が中心です。「ホームページで社長さんの話を読んで」「この前の事例と同じようにしたい」という言葉が出てくるようになれば、自社を選んで来ているお客様が増えている証拠になります。
売れるサイトはみな謙虚という考え方
ここからは、相談者のような会社がホームページのどこから直せばいいかを具体的に見ていきます。土台にするのは、合同会社謙虚が「売れるサイトはみな謙虚」と呼んでいる考え方です。
売れるサイトはみな謙虚、という言葉の意味は単純です。会社の自慢を前に出すより、お客様が迷っていることに先回りして答える。
お客様が主役で、会社は案内役に回る。そして、足すより引き算を先にする。
リフォーム会社に当てはめると、施工写真の自慢を一歩引かせて、「誰が来て、何が起きて、いくらかかる仕組みなのか」という不安に答える画面を前に出す、という作業になります。
お客様の不安の順番に、画面を並べ替える
最初にやるのは、お客様の不安を順番どおりに並べることです。先ほどの調査で検討中の人が挙げていた不安は、費用、施工の適正さ、見積もりの相場の3つでした。
そこに、依頼先を選ぶ理由の1位だった担当者の対応を重ねると、トップページで答えるべき問いが決まってきます。
| お客様の問い | トップページで答える場所 | 載せる中身 |
|---|---|---|
| どんな人が家に来るのか | 最初の画面 | 担当者の顔写真と名前、一言のあいさつ |
| 頼んだあと何が起きるのか | 最初の画面のすぐ下 | 問い合わせから見積もりまでの流れと日数 |
| 見積もりは妥当なのか | 流れの次 | 内訳の見本と、項目ごとの説明の仕方 |
| 工事はきちんと行われるか | 施工事例の中 | 1件ごとの相談内容と、工事中のやり取り |
| 終わったあとも頼れるか | ページの後半 | 点検の時期と、連絡の窓口 |
施工事例は消しません。表の4行目に移して、1件ごとの説明を厚くします。
写真の自慢を最初の画面から下げるだけで、ページ全体の役割が「腕を見せる場所」から「不安に答える場所」へ変わります。
依頼後の流れを1枚の図で見せる
最初の画面のすぐ下には、問い合わせから見積もりまでの流れを置きます。文章で書くより、箱と矢印で見せたほうが一目で伝わります。
下の図は、その一例です。
図の矢印に書いてある「当日中」「約束の日に」といった言葉が、この図の本体です。箱の中身はどの会社も同じですが、矢印の上の約束は会社ごとに違います。Q&Aサイトで施主が「連絡が来ない」と書き込んでいた不安は、まさにこの矢印の部分でした。ここを先に約束しておくと、お客様は比べる前に電話をかけやすくなります。
約束する日数は、実際に守れる範囲にしてください。「当日中に連絡」が難しければ「翌営業日の正午までに」でかまいません。
守れない約束を書くと、かえって信頼を落とします。
担当者の紹介は「経歴」より「話し方」を書く
担当者を紹介するページでは、資格や経験年数を並べたくなります。もちろん載せてかまいませんが、お客様が知りたいのは「この人と話しやすいか」です。
そこで、次のような中身を短く書き添えます。
| 書く項目 | 書き方の例 | お客様に伝わること |
|---|---|---|
| よく受ける相談 | 築30年前後の浴室と洗面所の相談が多いです | 自分の家の話が通じそうだ |
| 最初の訪問でやること | 困っていることを聞くのに30分ほどいただきます | 売り込まれずに済みそうだ |
| 見積もりの出し方 | 項目ごとに理由を書いた内訳をお渡しします | 相場の不安が減る |
| 断ることもある場面 | 今は直さなくてよい箇所は、そうお伝えします | 正直な人だと感じる |
4行目の「断ることもある場面」は、謙虚なサイトの考え方がいちばん表れる部分です。何でも引き受けますと書くより、やらなくていい工事を正直に伝える姿勢のほうが、人柄で選ぶお客様には響きます。
見積もりの不安には「内訳の見本」で答える
見積もりの相場が分からないという不安には、金額そのものを書くより、見積書の読み方を見せるほうが役に立ちます。実際に使っている見積書の書式を、個人情報を消したうえで見本として載せ、「この行は何の費用か」「この行が増えるのはどんなときか」を横に書き添えます。
住宅リフォーム推進協議会の資料には、構成員の事業者が「請負契約書及び内訳を明確に記載した見積書」を使うよう取り組んでいることも書かれています。
内訳を明確にすることは、業界団体も勧めている基本の対応です。それをホームページで先に見せておけば、お客様は相見積もりを取る前から「この会社は内訳を隠さない」と分かります。
施工事例は「相談から始まる物語」にする
施工事例のページは、写真の並びから、1件ごとの小さな物語へ書き換えます。何に困って相談が来たのか、担当者が最初の訪問で何を確かめたのか、工事中にどんな判断をしたのか、終わったあとお客様が何と言ったのか。
この4つを数行ずつ書くだけで、写真の前後に「人」が入ります。
全部の事例を書き直す必要はありません。依頼の多い工事の種類ごとに1件ずつ、合わせて3件から5件を書き直せば十分です。
残りの事例は写真のままでもかまいません。まず3件、というところから始めるのが、手の空かない社長には現実的です。
引き算で残すものと外すもの
最後に、トップページから外してよいものと、残すものを分けておきます。
| 区分 | 具体的な要素 | 理由 |
|---|---|---|
| 最初の画面に残す | 担当者の顔、流れの図、電話番号 | 選ぶ理由の1位と、次の一歩に直結する |
| 下の段に移す | 施工事例の一覧、会社の沿革 | 大切だが、最初に知りたいことではない |
| 外してよい | 何にでも対応を並べた長い一覧 | 迷わせるだけで決め手にならない |
| 外してよい | 意味の薄い装飾の写真 | 読み込みが遅くなり、流れの図が埋もれる |
足すことより、外すことのほうが勇気がいります。それでも、最初の画面で伝えることを3つ程度に絞ると、残った担当者の顔と流れの図がはっきり目に入るようになります。
紹介と以前のお客様からの依頼が自然に増える理由
担当者の顔と約束を前に出す作業は、新しいお客様のためだけのものではありません。工事を終えたお客様が知人に紹介するとき、口にするのはたいてい「あそこの誰々さんが良かった」という人の話です。
紹介された人がホームページを開いたとき、その誰々さんの顔と言葉が最初の画面にあれば、話がそのままつながります。
逆に、紹介された人が開いたページに施工写真しか無いと、紹介の熱が一段下がります。せっかく人柄で選ばれた会社なのに、ホームページがその人柄を引き継げていない状態です。
担当者の紹介ページは、新規の集客と紹介の受け皿を兼ねる、効率の良い投資になります。
工事後の連絡も「約束」として書いておく
工事が終わったあとの点検や連絡の時期も、ホームページに書いておくと効果があります。「工事から1年後に一度お電話します」と書いてあれば、お客様は1年後の電話を待つようになります。
電話を受けたお客様は、そのとき気になっている別の箇所を相談しやすくなります。以前のお客様からの次の依頼は、この小さな約束の積み重ねから生まれます。
今日からできる点検
ここまでの話を、今日の夕方に自社のホームページを開いて確かめられる形にまとめました。上から順に見て、いちばん最初に「いいえ」になった行が、最初に直す場所です。
| 点検する場所 | 確かめること | いいえだった場合に今日やること |
|---|---|---|
| トップの最初の画面 | 担当者の顔と名前が見えるか | スマートフォンで顔写真を1枚撮り、名前と一言を添えて載せる |
| 最初の画面のすぐ下 | 問い合わせ後の流れと日数が書いてあるか | 守れる日数で4段階の流れを書き出す |
| 問い合わせフォームの上 | 送ったあと誰から連絡が来るか書いてあるか | 「担当の誰々から連絡します」と1行足す |
| 施工事例のページ | 相談内容と担当者の言葉が入っているか | 依頼の多い工事から1件だけ書き直す |
| 見積もりの説明 | 内訳の見本と読み方があるか | 過去の見積書の書式から個人情報を消して見本を作る |
| 問い合わせの記録 | 最初の連絡でお客様が言った言葉を残しているか | 今日から1行ずつ記録を始める |
6行すべてを一度に直す必要はありません。1行目から順に、1週間に1行ずつ進めれば、1か月半で最初の画面の役割が入れ替わります。
相談者にお伝えしたいこと
冒頭の相談者は、開業3か月で4つの施策を同時に試していました。行動力のある方だと思います。
そのうえで1つだけお伝えするなら、チラシとポータルは今のまま続けつつ、ホームページの最初の画面に自分の顔と約束を載せてみてください、ということです。
チラシやポータルで会社を知った人の多くは、電話をかける前にホームページを確かめます。そこに社長の顔と、問い合わせのあとに何が起きるかが書いてあれば、比べる前の段階で「この人に一度話を聞いてもらおう」と思ってもらえる可能性が上がります。
施策を増やすより、すでにある入口の先を整えるほうが、少ない手間で結果につながります。
よくある質問
Q. 顔写真を出すのに抵抗があります。どうしても必要ですか
必須ではありませんが、代わりの手がかりは必要です。顔写真が難しい場合は、作業着で現場に立つ後ろ姿や、手元の写真に名前と一言を添えるだけでも、誰が来るのかという不安はかなり和らぎます。
大切なのは、お客様が「この人が来る」と具体的に思い描けることです。
Q. 従業員が少なく、担当者を固定できません。どう書けばよいですか
担当を固定できない場合は、関わる人を全員紹介したうえで「最初の連絡は誰々が、現地調査は誰々か誰々が伺います」と書きます。誰が来るか分からない状態を無くすことが目的なので、2人か3人の顔が並んでいれば十分に役割を果たします。
Q. 施工事例はもう100件以上載せています。消したほうがよいですか
消す必要はありません。最初の画面から下の段へ移し、依頼の多い工事ごとに1件ずつ、相談の中身と担当者の言葉を加えた事例を用意します。
100件の一覧は実績の厚みとして残しつつ、読んでほしい事例を3件から5件、先に案内する形にします。
Q. ポータルサイトはやめたほうがよいですか
やめる必要はありません。ポータルは知ってもらう入口として役に立ちます。
ただ、ポータルで知った人が自社のホームページを確かめに来たときに、担当者と流れが見える状態にしておくことが大切です。入口はそのままで、受け皿を整えるという順番で考えてください。
Q. ホームページを作り直さないと、この変更はできませんか
作り直しは要りません。今あるページのトップに、顔写真と流れの図と一言を足し、施工写真の位置を下げるだけで始められます。
多くのホームページ作成の仕組みでは、画像と文章の差し替えは管理画面から行えます。難しい場合は、制作を頼んだ会社に「最初の画面の差し替え」として依頼すれば、作り直しより小さな作業で済みます。
まとめ
リフォームの依頼先を決める理由として、施主がいちばん重視しているのは担当者の対応と人柄でした。業界団体の令和6年度の調査で44.6%と、工事の質や価格の明朗さを上回っています。
それなのに、多くのリフォーム会社のホームページは施工写真を中心に組まれていて、誰が来るのか、頼んだあと何が起きるのかが見えません。
チラシを増やす、ポータルの枠を上げる、事例を増やす、サイトを作り直す。どれも一時的に何かが増えますが、選ばれる理由までは残りません。
まずはトップの最初の画面に担当者の顔と、依頼後の流れと約束を載せてください。施工事例は消さずに下へ移し、相談から始まる物語に書き換えていけば、ホームページは「腕を見せる場所」から「不安に答える場所」へ変わっていきます。
自社のマーケティング課題を根本から解決しませんか?
ウェブサイトから要素を引き算し、訪れた人が迷わず次の一歩に進む形へ組み直す。初回60分のオンラインで御社のサイトを一緒に読み、どこから直すべきかをお伝えします。手順をまとめた無料の診断と解説動画もご用意しています。
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