新規のお客様はクーポンで来てくれる。けれども2回目の予約につながらず、毎月クーポンの割引で新しいお客様を集め直している。
予約サイトの掲載料もかかり、手元に利益が残らない。この記事は、そうした悩みを抱えるまつげエクステンションのサロンを経営する方と、サロンのウェブ担当の方に向けて書いています。
集客の手法を並べる前に、初めてまつエクを受けようとしている人が、予約の直前に何を迷っているかを整理します。そのうえで、サロンのホームページのどこから直せば、初めての人が安心して予約できるのかを順番に見ていきます。
読み終えたときに、自分のサロンのホームページで最初に直す場所が1つ決まっている状態をゴールにしています。
Q&Aサイトに並ぶ、初めての人の迷い
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
投稿者は、今度初めてまつげエクステンションを受けようとしている方でした。どういう基準でサロンを選べばよいのか分からない。
口コミの点数はどこも高いし、クーポンの値段もあまり変わらない。目の近くに施術をするので失敗したくないけれど、何を見て決めればよいのか教えてほしい、という内容です。
同じQ&Aサイトには、似た質問がいくつも並んでいました。「初めてマツエクをしましたが、店員さんに言われるままに決めてしまった」「予約したサロンのデザインが自分に合うか不安です」「サロンを選ぶときの基準は何ですか」。
回答の中には、仕上がりの写真を見て決める、使っている接着剤を確かめる、口コミは参考程度にとどめる、といった助言が並んでいました。
ここから分かるのは、初めての人は、何を基準に選べばよいか分からないまま、目の近くという不安の大きい施術のサロンを選ばなければならないという事実です。値段や口コミの点数では決め手が見つからず、安心できる材料を探しています。
初めての人が知りたいことと、サロンが伝えていること
サロンのホームページや予約サイトでよく見かける内容と、初めての人が予約の直前に知りたい内容を並べてみます。
| サロンがよく載せている内容 | 初めての人が知りたいこと | ずれが生む結果 |
|---|---|---|
| デザインの仕上がり写真 | 自分の目の形でもこうなるのか | 写真はきれいだが、自分に当てはめられない |
| 初回限定のクーポン | 施術中に痛みやしみることはないか | 値段は分かるが、不安は残る |
| メニューと本数の一覧 | 何本にすればよいのか | 選択肢が多くて決められない |
| スタッフの名前 | 担当する人は資格を持っているか | 名前だけでは安心できない |
| 店内の写真 | 施術のあとに何か起きたらどうするか | 雰囲気は分かるが、もしものときが見えない |
左の列はどれも大切な情報です。ただ、初めての人が予約ボタンを押す直前に抱えている不安には、右の列のほうがずっと近いところにあります。
国が示している「お店の選び方」
まつげエクステンションについては、厚生労働省が利用者向けに注意を呼びかけています。まず、施術する人の資格について、次のように説明しています。
「まつ毛エクステンションの施術は、美容師法に基づく『美容』に該当しますので、施術者には美容師の免許が必要です」
さらに、お店の選び方について、次の一文があります。
「施術を受けるお店選びは、価格の安さを優先せず、お店や施術内容などの情報が開示され、健康被害のリスクの説明やカウンセリングをしっかり行う店を選びましょう」
国が利用者に勧めている選び方は、価格の安さより、情報の開示とリスクの説明とカウンセリングを重視することでした。つまり、初めての人が本当に確かめるべきことは、そのサロンが情報をきちんと開示しているか、リスクを説明してくれるか、カウンセリングを丁寧に行うか、という点です。
国の勧める選び方と、サロンの見せ方のずれ
国の勧める選び方と、多くのサロンの見せ方を並べると、ずれがはっきりします。
| 国が勧める確かめ方 | 多くのサロンの見せ方 | 初めての人に起きること |
|---|---|---|
| 価格の安さを優先しない | 初回の割引を最も目立つ場所に置く | 値段で比べる癖がつく |
| お店や施術内容の情報が開示されている | デザイン写真とメニューの一覧が中心 | 施術の中身や手順が分からない |
| 健康被害のリスクを説明する | リスクについての記載が見当たらない | 不安を抱えたまま予約するか、やめる |
| カウンセリングをしっかり行う | カウンセリングの中身が書かれていない | 言われるままに決めてしまう |
右端の列にある「初めての人に起きること」は、冒頭のQ&Aサイトの相談とそのまま重なります。言われるままに決めてしまった、何を基準に選べばよいか分からない。
こうした迷いは、サロンの見せ方が国の勧める選び方とずれていることから生まれています。
新規は来るのに続かないサロンが陥る罠
多くのサロンが、初回の割引を入口にして新しいお客様を集めています。割引で来てくれるお客様は確かにいます。
けれども、割引で選んだお客様は、次のリペアの時期にも割引の大きいサロンを探します。サロンに愛着を持つ前に、条件で選んでいるからです。
この状態が続くと、サロンは毎月、割引で新規のお客様を集め直すことになります。予約サイトの掲載料と割引の分だけ、利益は削られます。
スタッフは初めてのお客様の対応に追われ、常連のお客様との関係を深める時間が取れません。新規は来るのに続かない、というサロンの多くが、この循環の中にいます。
安さで来たお客様は、安さで離れる
安さで選ばれることの怖さは、選ばれた理由がそのまま離れる理由になることです。次のリペアの時期に、別のサロンがもっと安いクーポンを出していれば、お客様はそちらに移ります。
どれだけ丁寧に施術しても、選ばれた理由が安さである限り、安さで負ければ離れていきます。
反対に、安心で選ばれたお客様は、安心が続く限り離れにくくなります。「このサロンはリスクをきちんと説明してくれた」「カウンセリングで自分の希望を丁寧に聞いてくれた」「担当の人の資格と経験が分かった」。
こうした理由で選んだお客様にとって、次のリペアで別のサロンに移ることは、安心を手放すことになります。
| 選ばれた理由 | 次のリペアで起きやすいこと | サロンに残るもの |
|---|---|---|
| 初回の割引 | もっと安いサロンに移る | 割引の負担だけ |
| 口コミの点数 | 点数の高い別のサロンと比べる | 比べられ続ける状態 |
| リスクの説明の丁寧さ | 同じ担当者を指名する | 信頼の積み重ね |
| カウンセリングの丁寧さ | 自分の好みを覚えてもらえるサロンに通い続ける | 常連のお客様 |
この記事の後半では、表の下の2行、つまり安心で選ばれるための見せ方を、ホームページのどこにどう置けばよいかを具体的に見ていきます。
サロンのサイトが「デザインと割引」に偏る理由
多くのまつエクサロンのホームページが似た顔つきになる理由は、美容業の集客を取り巻く仕組みの側にあります。ここでは4つの仕組みを取り上げます。
予約サイトの一覧が、割引の比べ合いを作っている
美容サロンの予約サイトは、初めての人がサロンを探す大きな入口です。地域とメニューを選ぶと、多くのサロンが一覧で表示されます。
その一覧で目立つのは、初回の割引価格と口コミの点数と、仕上がりの写真です。
一覧の形式に合わせて、サロンの側も割引価格と写真で目を引こうとします。周りのサロンが割引を深くすれば、自分のサロンも合わせたくなります。
こうして、一覧の中での割引の比べ合いが続きます。予約サイトの一覧では、リスクの説明やカウンセリングの中身を伝える場所がほとんど無いので、国が勧める選び方の材料は、そもそも比べられない仕組みになっています。
写真を投稿する場所が、仕上がりの見せ方を決めている
写真を中心にした発信の場は、まつエクサロンにとって欠かせない集客の手段になりました。仕上がりの写真を投稿すると、デザインの好みが合う人の目に留まります。
ただ、写真の投稿は、仕上がりの見た目を伝えることに向いていて、施術の手順やリスクの説明を伝えることには向いていません。写真の投稿に力を入れるほど、サロンの見せ方は仕上がりの美しさに偏っていきます。
そして、写真で興味を持った人がホームページを開いたとき、そこにも同じ仕上がり写真が並んでいるだけだと、予約の直前の不安に答える場所がどこにも無いことになります。
制作会社のひな形が「おしゃれな雰囲気」を優先している
サロンのホームページを制作会社に頼むと、美容サロン向けのひな形をもとに作られることがよくあります。最初の画面いっぱいに雰囲気のある写真、その下にコンセプト、メニューと料金、スタッフ紹介、店内の写真、アクセス、予約ボタン。
雰囲気を伝えることに重点が置かれた構成です。
雰囲気は大切です。けれども、初めての人が予約の直前に知りたい「施術は痛くないか」「担当する人は資格を持っているか」「もしものときはどうなるか」は、この構成のどこにも置き場所がありません。
書こうとしても、おしゃれな雰囲気を壊しそうで、つい後回しになります。
| ひな形の定番要素 | 置かれている位置 | 初めての人が知りたい順番 |
|---|---|---|
| 雰囲気のある写真 | 最初の画面 | 後回しでよい |
| コンセプト | 最初の画面の下 | 抽象的だと読み飛ばされる |
| メニューと料金 | 中段 | 本数の選び方が分かれば早めに知りたい |
| 施術の手順とリスクの説明 | 書かれていないことが多い | 予約の前に知りたい |
| スタッフの資格と経験 | 名前と写真だけのことが多い | 安心のために早めに知りたい |
右端の列を見ると、初めての人が早く知りたいものほど、ひな形では後ろに置かれているか、そもそも欄が無いことが分かります。
リスクを書くことへのためらい
リスクの説明をホームページに書かないサロンが多い理由の1つは、書くことへのためらいです。目が痛くなることがある、かぶれることがある、と書けば、お客様が怖がって予約しなくなるのではないか。
そう考えて、リスクには触れずに、仕上がりの美しさだけを見せる。
気持ちはよく分かります。けれども、国が利用者に勧めているのは、リスクをきちんと説明してくれる店を選ぶことでした。
リスクを書かないサロンは、初めての人から見ると「説明してくれない店」に見えるかもしれません。リスクを書くことは、お客様を怖がらせることとは違います。
リスクを正直に書いたうえで、それを減らすためにサロンが何をしているかを書けば、お客様にとっては安心の材料になります。
個人で営むサロンほど、見せ方の迷いが大きい
スタッフが1人か2人の小さなサロンや、届け出をしたうえで自宅の一室を美容所として営んでいるサロンでは、見せ方の迷いがさらに大きくなります。大きなサロンと同じように割引を深くすれば体力が続かず、おしゃれな写真を撮る時間も限られています。
一方で、小さなサロンには大きなサロンにない強みがあります。最初から最後まで同じ人が担当すること、一人ひとりの目の状態を覚えていられること、予約の時間に余裕を持たせられること。
これらは、初めての人の不安にそのまま答えられる材料です。小さなサロンほど、割引や写真で競うより、安心の材料を正直に見せるほうが、無理なく選ばれる道になります。
サロンとお客様の4つのすれ違い
ここまでの話を、サロンとお客様のすれ違いとしてまとめておきます。
| 場面 | サロンが思っていること | 初めての人が感じていること | 生まれる結果 |
|---|---|---|---|
| 予約サイトの一覧を見たとき | 割引と写真で選ばれる | どこも同じに見える | 値段で比べる |
| ホームページを開いたとき | 雰囲気が伝われば十分 | 不安に答える情報が無い | 予約をためらう |
| 施術の当日 | カウンセリングで説明すればよい | 何を聞けばよいか分からない | 言われるままに決める |
| 施術のあと | 仕上がりに満足してもらえた | もしものときの連絡先が分からない | 次は別のサロンを試す |
4つの場面のどれを見ても、サロンは「仕上がり」の話をしていて、初めての人は「安心」を探しています。このずれがある限り、写真を増やしても、割引を深くしても、2回目の予約は大きく動きません。
初めての人は、予約のずっと前から迷っている
初めてまつエクを受けようとする人は、予約のずっと前から迷っています。友人がまつエクをしているのを見て興味を持ち、写真の投稿を眺め、予約サイトでサロンを探し、それでも決めきれずにQ&Aサイトで質問する。
迷っている期間が長いほど、不安も大きくなっています。
その長い迷いの最後に開くのが、サロンのホームページです。ここで不安に答えてもらえれば、初めての人はそのサロンに決めます。
答えてもらえなければ、また別のサロンを探しに戻ります。ホームページは、長い迷いを終わらせる場所として働くかどうかで、予約の数が変わります。
予約を増やそうとして選ばれがちな遠回り
新規の予約や2回目の予約を増やしたいとき、多くのサロンが次の5つのどれかに手を伸ばします。どれも一定の効果はありますが、初めての人の不安に答えていないまま進めると、手間や費用のわりに通い続けてくれるお客様が増えないという結果になりやすいものです。
遠回り1 初回の割引をさらに深くする
周りのサロンが割引を深くすると、自分のサロンも合わせたくなります。割引を深くすれば、予約サイトの一覧で目に留まりやすくなり、新規の予約は増えます。
ただ、割引で来たお客様は、次のリペアでも割引を探します。2回目の料金が通常の料金に戻ると、差の大きさに驚いて別のサロンの初回割引を探す人もいます。
割引を深くするほど、初回と2回目の差が大きくなり、2回目の予約につながりにくくなります。
遠回り2 デザインの種類を増やす
流行のデザインを取り入れて、メニューの種類を増やすサロンも多くあります。デザインの好みが合う人には、確かに響きます。
けれども、初めての人にとっては、デザインの種類が多いほど、どれを選べばよいか分からなくなります。本数やカールの種類、長さの組み合わせが何十通りも並んでいると、選ぶこと自体が負担になります。
冒頭のQ&Aサイトの相談者も、何本にすればよいのか、自分に合うのはどのデザインなのかで迷っていました。種類を増やす前に、初めての人がどう選べばよいかを示す必要があります。
遠回り3 写真の投稿を毎日続ける
写真の投稿を毎日続けて、フォロワーを増やそうとするサロンもあります。投稿を続けることで、サロンの名前を知ってもらう機会は増えます。
ただ、写真の投稿で伝わるのは仕上がりの美しさで、初めての人の不安には答えきれません。投稿を見て興味を持った人が、ホームページで不安に答えてもらえなければ、予約にはつながりません。
投稿の数を増やすより、投稿を見た人が次に開くホームページを整えるほうが、少ない手間で予約につながります。
遠回り4 口コミの点数を上げることに力を注ぐ
予約サイトの口コミの点数は、一覧で目立つ場所に表示されます。点数を上げようと、施術のあとに口コミを書いてもらうようお願いするサロンもあります。
口コミは大切ですが、点数が高いサロンはたくさんあります。4.8点と4.9点の違いは、初めての人にはほとんど分かりません。
Q&Aサイトの回答にも、口コミは参考程度にとどめるべきだという意見がありました。点数を上げることより、口コミの本文に書かれた不安や不満に、サロンがどう応えているかのほうが、初めての人には伝わります。
遠回り5 ホームページを全面的に作り直す
予約が増えないのはホームページが古いからだと考えて、全面的に作り直すサロンもあります。見た目はおしゃれになりますが、中身の構成が以前と同じひな形なら、初めての人の不安に答える場所は相変わらず無いままです。
作り直しには数か月かかり、その間は更新も止まります。
5つの遠回りの共通点
5つの遠回りを、かけるものと、一時的に増えるものと、残らないものに分けて並べてみます。
| 遠回り | かけるもの | 一時的に増えるもの | 残らないもの |
|---|---|---|---|
| 初回の割引を深くする | 割引の負担 | 新規の予約 | 2回目につながる理由 |
| デザインの種類を増やす | 練習と材料の手間 | 選択肢の数 | 初めての人が迷わず選べる道筋 |
| 写真の投稿を毎日続ける | 撮影と投稿の時間 | フォロワーの数 | 予約の直前の安心 |
| 口コミの点数を上げる | お願いの手間 | 点数 | 不安への応え方 |
| ホームページを作り直す | 数か月の打ち合わせ | 見た目のおしゃれさ | 初めての人が知りたい中身 |
右端の列は、どれも初めての人が予約ボタンを押す直前、そして2回目の予約を決めるときに必要としているものです。5つの遠回りは、見た目や数を増やしますが、安心を積み上げることには手を付けていません。
遠回りを続けたサロンで起きやすいこと
遠回りを1年ほど続けたサロンで起きやすい変化を、時期ごとに整理しておきます。
| 時期 | サロンの中で起きていること | 見えてくる兆し |
|---|---|---|
| 最初の3か月 | 割引と投稿で新規の予約が増える | 手応えを感じる |
| 4か月目から6か月目 | 2回目の予約が思うように入らない | 新規ばかりで予約表が安定しない |
| 7か月目から9か月目 | 新規の対応でスタッフの時間が埋まる | 常連のお客様との会話が減る |
| 10か月目から12か月目 | 割引と掲載料で利益が削られる | 忙しいのに手元にお金が残らない |
新規ばかりで予約表が安定しない状態は、多くのサロンが経験するところです。新規のお客様への説明やカウンセリングは時間がかかるので、スタッフの負担も大きくなります。
2回目、3回目と通ってくれるお客様が増えれば、説明の時間が短くなり、予約表も安定していきます。
5つの遠回りの根っこにある思い込み
5つの遠回りの根っこには、同じ思い込みがあります。「お客様は、仕上がりが気に入れば、また来てくれる」という思い込みです。
この考え方に立つと、仕上がりの美しさを見せることと、最初の1回に来てもらうことに力が向かいます。
実際には、仕上がりが気に入っても、次のリペアで別のサロンを試す人はたくさんいます。仕上がりの美しさは、多くのサロンがそれなりに実現できるからです。
通い続ける理由になるのは、安心して任せられるという感覚です。その感覚は、最初の予約の前から、ホームページで少しずつ積み上げることができます。
件数の代わりに見ておきたい指標
新規の予約の件数だけを見ていると、遠回りに気づくのが遅れます。件数とあわせて、次の指標を月に1度見ておくと役に立ちます。
どれも予約表があれば数えられます。
| 指標 | 数え方 | 読み方 |
|---|---|---|
| 2回目の予約の割合 | 初めてのお客様のうち、2回目も来てくれた人の数 | 下がっているなら、割引で選ばれている |
| 担当者の指名の数 | 予約のときに担当者を指名したお客様の数 | 増えているなら、人で選ばれ始めている |
| ホームページを見て来た数 | 最初の来店で「ホームページを見て」と言われた数 | 増えているなら、サイトが不安に答え始めている |
| 施術後の問い合わせ | 施術のあとに違和感などで連絡をもらった数 | 連絡しやすい関係ができているかの目安になる |
2回目の予約の「理由」を聞いてみる
遠回りに入っているかどうかを確かめる簡単な方法があります。2回目の予約をしてくれたお客様に、施術のあとに一言聞いてみてください。
「今日もご来店いただいた決め手は何でしたか」。
「前回のクーポンがまだ使えたので」という答えが多いなら、割引で選ばれています。「前回、説明が丁寧で安心できたので」「同じ担当の人にお願いしたかったので」という答えが増えていけば、安心で選ばれ始めている証拠です。
件数とあわせて、この答えの変化を目安にしてください。
売れるサイトはみな謙虚という考え方をサロンのサイトに当てはめる
ここからは、サロンのホームページをどう直すかを具体的に見ていきます。土台にするのは、合同会社謙虚が「売れるサイトはみな謙虚」と呼んでいる考え方です。
売れるサイトはみな謙虚、という言葉の意味は3つにまとめられます。サロンの仕上がりを自慢する前に、初めての人の不安に先回りして答えること。
お客様を主役にして、サロンは案内役に回ること。そして、足すより先に引き算をすること。
まつエクの施術は、目の近くという繊細な場所に向き合う仕事です。施術者の皆さんは、お客様の目の状態に気を配り、少しでも違和感があれば手を止めて声をかけているはずです。
その細やかさを、ホームページの並び順にも持ち込む。それが、謙虚なサイトへの直し方です。
初めての人の不安の順番に、トップページを並べ替える
最初にやるのは、初めての人が予約ボタンを押すまでに抱く不安を、順番どおりに書き出すことです。サロンによって細部は違いますが、おおむね次のような順番になります。
| 不安の順番 | 初めての人の心の中 | トップページで答える場所 | 載せる中身 |
|---|---|---|---|
| 1 | 目の近くの施術で、痛みやトラブルはないか | 最初の画面 | リスクの説明と、それを減らすためにしていること |
| 2 | 担当する人は資格と経験を持っているか | 最初の画面 | 美容師免許を持つ施術者であることと、経験の長さ |
| 3 | 当日は何が起きるのか | 最初の画面のすぐ下 | 予約から施術後までの流れと約束 |
| 4 | 自分には何本、どのデザインが合うのか | 流れの次 | 初めての人向けのおすすめを1つか2つ |
| 5 | 仕上がりはどうなるのか | 後半 | 仕上がりの写真、メニューの全一覧、店内の写真 |
仕上がりの写真やメニューは消しません。5番目に移します。
多くのサロンで最初に置かれている写真を、不安が一段落したところで改めて見せる。この並べ替えが、引き算の最初の一手です。
リスクは「減らすためにしていること」と一緒に書く
リスクの説明は、怖がらせる書き方を避けて、サロンが何をしているかと一緒に書きます。
| 起こりうること | サロンがしていること | お客様に伝わること |
|---|---|---|
| 目がしみる、痛い | 施術中は目を閉じていただき、接着剤の蒸気が目に入らないよう風を送ります | 痛みへの配慮がある |
| まぶたがかぶれる | 初めての方には、肌の状態を伺い、必要に応じて控えめな施術をご提案します | 自分の体質を気にかけてもらえる |
| 自まつ毛への負担 | 自まつ毛の太さと長さに合わせて、本数と重さを調整します | まつ毛を大切にしてもらえる |
| 施術後に違和感が出る | 違和感があれば、すぐにサロンへご連絡ください。眼科の受診もご案内します | もしものときに頼れる |
厚生労働省も、施術により目やその周辺に異常を感じた場合は、直ちに医療機関を受診し、まつげエクステンションの施術を受けたことを告げるよう呼びかけています。こうした公的な注意も、ホームページに添えておくと、サロンが利用者の安全を真剣に考えていることが伝わります。
施術者の資格と経験を、最初の画面で見せる
まつげエクステンションの施術には美容師の免許が必要です。多くのサロンでは当然のことですが、初めての人はそれを知らないこともあり、知っていても確かめる方法がありません。
最初の画面に「施術はすべて美容師免許を持つスタッフが担当します」と一言書くだけで、安心の材料になります。
スタッフ紹介のページでは、名前と写真に加えて、経験の長さと、施術で大切にしていることを本人の言葉で書き添えます。
| 書く項目 | 書き方の例 | 初めての人に伝わること |
|---|---|---|
| 資格 | 美容師免許を持ち、まつげエクステンションの施術を担当しています | 安心して任せられる |
| 経験の長さ | この仕事を始めて7年になります | 経験のある人が担当する |
| 大切にしていること | 初めての方には、自まつ毛に負担の少ない本数からご提案しています | 無理に勧められない |
| 得意なデザイン | 自然に見える仕上がりが得意です | 自分の好みに合うか判断できる |
当日の流れを1枚の図で見せる
3番目の「当日は何が起きるのか」は、文章より図のほうが伝わります。下の図は、その一例です。
図の本体は、矢印の上に書いた小さな約束です。当日まずカウンセリングで希望とリスクを確かめること、納得してから施術に進むこと、帰る前にもしもの連絡先を伝えること。どれも、初めての人が当日の場面を思い描くための手がかりです。
図の下には、当日の準備も書き添えておきます。アイメイクを落としてから来てほしいこと、コンタクトレンズは外してほしいこと、施術にかかる時間の目安。
準備が分かっていれば、初めての人は当日を落ち着いて迎えられます。
カウンセリングで何を聞くかを先に書いておく
冒頭のQ&Aサイトには、初めての施術で店員さんに言われるままに決めてしまった、という投稿もありました。カウンセリングで何を聞かれるのか、自分は何を伝えればよいのかが分からないと、初めての人は受け身になってしまいます。
カウンセリングで確かめることを、ホームページに先に書いておきます。「普段のメイクの仕方」「なりたい目元の雰囲気」「これまでに目のまわりでかぶれたことがあるか」「コンタクトレンズを使っているか」。
質問の内容が分かっていれば、初めての人は当日までに自分の希望を整理できます。なりたい目元の写真を用意してきてもよいと書いておけば、言葉でうまく伝えられない人も安心できます。
カウンセリングの中身を先に見せることは、厚生労働省が勧めていた「カウンセリングをしっかり行う店」であることを、予約の前から伝える方法でもあります。
初めての人向けのおすすめを1つか2つに絞る
メニューは、すべてを並べる代わりに、初めての人向けのおすすめを1つか2つに絞って最初の画面の近くに置きます。「初めての方には、自然に見える本数から始めることをおすすめしています。
2回目以降に、好みに合わせて調整していきましょう」。このように書いておけば、初めての人は何十通りもの組み合わせから選ぶ負担から解放されます。
他のメニューは、その下に一覧で残しておけば、好みがはっきりしている人はたどり着けます。
引き算で残すものと外すもの
最後に、トップページで残すものと外すものを分けておきます。
| 区分 | 具体的な要素 | 理由 |
|---|---|---|
| 最初の画面に残す | リスクの説明、資格の一言、流れの図、初めての方向けのおすすめ | 不安の1番目から4番目に直結する |
| 下の段に移す | 仕上がり写真の一覧、メニューの全一覧、コンセプト | 大切だが、予約の直前に最初に知りたいことではない |
| 外してよい | 割引の大きな文字だけの告知 | 値段で比べる癖をつけ、安心の材料を埋もれさせる |
| 書かない | 実態より大きく見せる表現、根拠のない安全の断言 | お客様の信頼を損ない、トラブルのもとになる |
足すより外すほうが勇気がいります。それでも、最初の画面で伝えることを絞ると、残ったリスクの説明と資格の一言と流れの図が、初めての人の目にはっきり入るようになります。
2回目の予約につながる施術後の一言
ホームページを直す作業は、初めての人のためだけのものではありません。1回目の施術のあとに、2回目の予約につながる流れを作ることも、同じくらい大切です。
帰る前に、次のリペアの時期を一緒に決める
施術が終わってお客様が帰る前に、次のリペアの時期を一緒に確かめます。「自まつ毛の生え替わりに合わせて、3週間から4週間後が目安です」と伝え、その場で予約を取るか、目安の日付を紙に書いて渡します。
次の時期が具体的に分かっていると、お客様は別のサロンを探す前に、同じサロンを思い出します。
数日後に、違和感がないかを確かめる一言
施術の数日後に、違和感がないかを確かめる短い連絡を送るのもよい方法です。「その後、目に違和感はありませんか。
何かあれば、いつでもご連絡ください」。売り込みの言葉は入れずに、お客様の目を気にかけている一言だけを送ります。
この一言は、リスクを正直に説明したサロンだからこそ自然に送れるもので、お客様にとっては安心の続きになります。
担当者を覚えてもらう
2回目の予約で同じ担当者を指名してもらえるように、施術のあとに担当者の名前をもう一度伝え、名刺やカードを渡します。「次回も私が担当させていただきます」と一言添えるだけで、お客様は店に通う感覚から、人に会いに来る感覚へと変わっていきます。
担当者を指名して通うお客様は、割引の比べ合いから一歩離れたところにいます。
写真の投稿とホームページをつなぐ
写真の投稿をやめる必要はありません。仕上がりの写真は、デザインの好みが合う人に見つけてもらうための大切な入口です。
考え方としては、写真の投稿を「見つけてもらう場所」、ホームページを「安心して決めてもらう場所」と役割を分けます。
投稿の説明文に、ホームページへの道を書く
仕上がりの写真を投稿するときに、説明文の最後に一言添えます。「初めての方へ、施術の流れと目への配慮はホームページにまとめています」。
写真で興味を持った人が、次にどこを見ればよいかが分かれば、ホームページまでたどり着く人が増えます。
施術の様子も、ときどき投稿する
仕上がりの写真だけでなく、カウンセリングの様子や、施術中に目への配慮をしている場面を、お客様の許可を得たうえでときどき投稿するのもよい方法です。
仕上がりの美しさに加えて、安心の材料が写真でも伝わるようになります。投稿とホームページが同じことを言っている状態が、サロンの姿勢を一貫して伝えます。
今日からできる点検
ここまでの内容を、今日のうちにサロンのホームページを開いて確かめられる形にまとめました。上から順に確かめて、最初に「いいえ」になった行が、最初に直す場所です。
| 点検する場所 | 確かめること | いいえだった場合に今日やること |
|---|---|---|
| トップの最初の画面 | リスクの説明と、減らすためにしていることが書いてあるか | 起こりうることを4つ書き出し、サロンの対応を添える |
| トップの最初の画面 | 施術者が美容師免許を持っていることが書いてあるか | 「施術はすべて美容師免許を持つスタッフが担当します」と1行足す |
| 最初の画面のすぐ下 | 予約から施術後までの流れがあるか | 4段階の流れと、当日の準備を書く |
| メニューの近く | 初めての方向けのおすすめが絞ってあるか | おすすめを1つか2つに絞って書く |
| スタッフ紹介 | 経験の長さと大切にしていることが本人の言葉で書いてあるか | 一人ずつ2文で書いてもらう |
| 施術後の案内 | もしものときの連絡先と受診の案内があるか | 連絡先と、医療機関の受診の案内を1段落で書く |
6行すべてを一度に直す必要はありません。1週間に1行ずつ進めれば、1か月半で最初の画面の役割が入れ替わります。
冒頭の相談者にとって、何が助けになるか
冒頭のQ&Aサイトの相談者は、初めてのまつエクで失敗したくないけれど、何を基準にサロンを選べばよいか分からずに迷っていました。もし候補のサロンのホームページに、リスクの説明と、施術者の資格と、当日の流れが書いてあれば、相談者はQ&Aサイトで質問する前に、そのサロンに決めていたはずです。
初めての人は、仕上がりの美しさを知りたいと思う前に、安心して任せられるかを知りたいと思っています。その問いに先に答えることが、サロンにとってのいちばん誠実な集客になります。
よくある質問
Q. リスクを書くと、お客様が怖がって予約しなくなりませんか
怖がらせる書き方を避けて、サロンが何をしているかと一緒に書けば、多くの場合は安心の材料になります。厚生労働省も、健康被害のリスクの説明をしっかり行う店を選ぶよう利用者に呼びかけています。
リスクに触れないサロンより、正直に書いて対応を示すサロンのほうが、初めての人には信頼できる店として映ります。
Q. 割引をやめると、新規のお客様が来なくなりませんか
割引を急にやめる必要はありません。割引を最も目立つ場所に置くのをやめて、安心の材料を先に見せる順番に変えるところから始めてください。
割引は、安心の材料の下で控えめに伝えれば十分です。安心で選んでくれたお客様が増えるにつれて、割引に頼る割合を少しずつ下げていけます。
Q. スタッフの経験が浅い場合は、どう書けばよいですか
経験の長さを大きく見せる必要はありません。経験が浅いスタッフでも、美容師免許を持っていること、施術で大切にしていること、先輩のスタッフと一緒に確認していることなどを書けば、安心の材料になります。
正直に書くことが、いちばんの信頼につながります。
Q. 予約サイトの掲載ページにも同じことを書くべきですか
書ける範囲で書いておくことをおすすめします。予約サイトで見つけた人がホームページを確かめに来たときに、同じ言葉で同じ約束が書いてあれば、サロンの姿勢が一貫して伝わります。
予約サイトの掲載ページで書ける内容は限られているので、リスクへの配慮と資格の一言だけでも入れておくとよいでしょう。
Q. ホームページを作り直さないと、この変更はできませんか
作り直しは要りません。今のトップページの最初の画面に、リスクの説明と資格の一言と流れの図を足し、雰囲気の写真を少し下へ移すだけで始められます。
更新の仕組みが分からない場合は、制作を依頼した会社に「最初の画面の入れ替え」として頼めば、全面的な作り直しよりずっと小さな作業で済みます。
まとめ
初めてまつエクを受けようとする人は、何を基準にサロンを選べばよいか分からないまま、目の近くという不安の大きい施術のサロンを選ぼうとしています。
厚生労働省は利用者に、価格の安さを優先せず、情報が開示され、健康被害のリスクの説明やカウンセリングをしっかり行う店を選ぶよう勧めています。
それなのに、多くのサロンのホームページは、割引と仕上がりの写真を最初の画面に置いています。
割引を深くする、デザインを増やす、投稿を毎日続ける前に、トップページの最初の画面を初めての人の不安の順番に並べ替えてください。
リスクの説明と減らすための取り組みを書き、施術者の資格を一言で示し、当日の流れを図で見せ、初めての方向けのおすすめを絞る。
安心で選ばれたお客様は、次のリペアでも同じ担当者を指名してくれるようになります。
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