住宅展示場に人が来ない。
総合住宅サイトから届く資料請求は増えても、来場につながる数は伸びない。
自社のホームページから来場予約や資料請求が入るのは、月に数件あるかどうか。
この記事は、そうした悩みを抱える地域のハウスメーカーやビルダーの経営者の方と、営業や販促を任されている方に向けて書いています。
先に、施主が展示場や見学会を予約する前に、スマホで何を比べているのかを整理します。
そのうえで、自社サイトのどこに何を置けば、比べた末に自社を予約してもらえるのかを見ていきます。
読み終えたときに、自社サイトで最初に直す場所が1つ決まっている。
そこをこの記事のゴールにしています。
Q&Aサイトで見かけた、ある住宅営業の悩み
先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。
10年以上やってきて、こんなに人が来ないのは初めて
投稿者は、注文住宅の新築営業を担当している方でした。
驚くほど展示場に人が来ず、10年以上この仕事を続けてきたなかで、ここまで新規のお客様の情報が取れないのは初めてだ、と書かれていました。
完成した家の見学会も開き、チラシも配り、総合住宅サイトにも載せている。
それでも反応は薄く、いっそ車で外回りの営業をしようかと考えている、という相談でした。
回答者が返したこと
回答の1つは、外回りの営業は住宅には向かないと前置きしたうえで、写真を見せる交流サイトで発信することを勧めていました。
その回答で目を引いたのは、続く一言です。
具体的な数字を入れた事例や性能の情報を載せるほうが目に留まる、自社の売りが空間なのか断熱なのか耐震なのかをはっきりさせたほうがよい、という指摘でした。
別の回答は、展示場の建物を魅力的に作り直すか、人の集まる場所へ移すことを挙げていました。
どちらの回答にも、相談者の会社が施主から見てどう見えているか、という視点が共通しています。
これは9割のハウスメーカーが陥る罠です
展示場に人が来ないとき、多くの会社は人を呼ぶ手段を増やそうとします。
来場特典を厚くし、イベントを増やし、総合住宅サイトへの掲載を広げる。
けれども、手段を増やしても数字が戻らない会社が目立ちます。
施主は、来場する前にほとんど決めている
いまの施主は、展示場へ行く前に、スマホで何社ものホームページを見比べています。
外観の写真、建てた人の声、性能の数字、そしておおよその総額。
この下見で候補に残った数社だけが、来場予約の対象になります。
展示場に人が来ないのは、展示場の手前の下見で候補から外れているからです。
下見の段階で外れた会社は、特典をいくら厚くしても予約の候補に戻れません。
自社サイトが、下見の場所として機能していない
下見で施主が見に来るのは、総合住宅サイトの掲載ページと、自社のホームページです。
ところが、地域の住宅会社のホームページの多くは、会社の想いと施工事例の写真を並べたところで終わっています。
施主が知りたい総額の幅や、来場したあとに何が起きるのかは、展示場に来てくださいの一言に置き換えられています。
答えが書いていない会社は、答えを書いている会社に比べて不安が残るぶん、予約の順番が後ろに回ります。
| 読んでいるあなたの状況 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 展示場の来場が前の年より目に見えて減った | 下見の段階で候補から外れている | 自社サイトに、施主が比べる答えを置く |
| 総合住宅サイトの資料請求は来るが来場しない | 一括で請求され、他社と横並びで比べられている | 資料のあとに送るもので差をつける |
| 自社サイトからの予約が月に数件しかない | 予約ボタンの手前で不安が残っている | 来場後に起きることを先に書く |
| 見学会を開いても同じ顔ぶれしか来ない | 見学会の告知が既存の接点にしか届いていない | 見学会の中身を自社サイトで先に見せる |
| 規格住宅を始めたが問い合わせが増えない | 注文住宅との違いが施主に伝わっていない | 違いを、施主の暮らしの言葉で並べる |
表のどの行に近いかを1つ決めておくと、この先の話を自社に当てはめやすくなります。
着工が減るなかで、施主の数え方が変わった
まず、市場の大きさを確認しておきます。
持家の着工は4年続けて減っている
国土交通省が2026年1月に公表した建築着工統計調査報告(令和7年計)によると、持家の着工は次のとおりです。
「令和7年の持家は201,285戸(前年比7.7%減,4年連続の減少)」
持家は、施主が自分で住むために建てる家で、ハウスメーカーや工務店が請け負う注文住宅の多くがここに入ります。
同じ報告で、新設住宅着工の総数は740,667戸、前年比6.5%減とされています。
減る市場では、1件の重みが大きくなる
着工の総数が減ると、地域の住宅会社が取り合う施主の数も減ります。
施主1組あたりが比べる会社の数は減らないので、1社あたりの来場は自然と細ります。
この状況で、施主は以前より慎重に、少ない候補に絞ってから動くようになっています。
候補に残れるかどうかは、来場の前、自宅でスマホを見ている時間に決まります。
展示場の来場数を追う前に、その手前の下見の時間に何を見せているかを点検する必要があります。
規模の大きい会社ほど、下見の答えをそろえている
全国に展示場を持つ会社は、ホームページで商品ごとの特徴や性能の数字、建てた人の暮らしを細かく見せています。
地域の住宅会社が同じ量で張り合うのは現実的ではありません。
ただ、施主が知りたい答えのうち、地域の会社だからこそ具体的に書けるものがあります。
その答えを下見の時間に届けられるかどうかで、少ない来場を自社に引き寄せられるかが分かれます。
| 市場の変化 | 施主の動き | 住宅会社に起きること |
|---|---|---|
| 持家の着工が4年続けて減っている | 候補を少数に絞ってから来場する | 下見で外れると来場の機会がない |
| 総額が予定より上がりやすい | 総額の幅を来場前に知りたがる | 総額を書かない会社が後回しになる |
| スマホで何社も見比べる | 写真より中身の違いを探す | 写真だけの会社は区別がつかない |
| 資料請求が一括でできる | 複数社から同時に連絡が来る | 追いかけ方で印象が決まる |
施主は予約の前に、スマホで何を比べているのか
では、施主は展示場や見学会を予約する前に、何を確かめているのでしょうか。
国土交通省の令和5年度住宅市場動向調査は、令和4年度中に注文住宅を建てた世帯に、その住宅を選んだ理由を尋ねています。
報告書には「注文住宅取得世帯では『信頼できる住宅メーカー/不動産業者だったから』が52.2%で最も多い」と書かれています。
デザインや広さ、設備がよかったからという理由は42.7%で、信頼の理由を下回っています。
施主は、家そのものと同じくらい、建てる相手を信頼できるかを見て決めています。
その信頼を、来場の前に何で測っているのかを、順に見ていきます。
総額の幅は、自分たちに手が届くのか
最初に確かめるのは、自分たちの予算で建てられる会社なのか、です。
同じ調査によると、注文住宅を建てた世帯が家を決めるときに妥協したものは、「価格・家賃(予定より高くなった)」が67.9%で最も多くなっています。
注文住宅を建てた世帯のおよそ3分の2が、予定より高くなった総額を受け入れて家を決めたことになります。
この経験は、これから建てる人の耳にも入っています。
総額の幅が分からない会社を予約するのは、施主にとって、高い見積もりを受け取りに行くようなものです。
総額の幅が分からないまま来場すると、断りにくい場で高い見積もりを出されるのではないか、という不安がつきまといます。
規格住宅と注文住宅で、何が違うのか
次に確かめるのが、その会社の家のつくり方です。
最近は地域の住宅会社でも、間取りや仕様をあらかじめ決めた規格住宅を用意するところが増えています。
施主から見ると、規格住宅と注文住宅のどちらが自分たちに合うのか、違いは総額だけなのか、決められる範囲はどこまでなのかが分かりません。
違いが分からないまま両方の言葉が並んでいると、施主はどちらの入口から予約すればよいのか迷います。
来場したら、何が起きるのか
3つ目は、予約したあとのことです。
展示場に行けば、長い時間をかけて説明を受け、帰ったあとも営業の電話が続くのではないか。
Q&Aサイトには、展示場で4時間ほど説明を受けたという施主の投稿や、資料請求をしたら電話が止まらなくなったという投稿が並んでいます。
来場後に何が起きるのかが書かれていない会社は、施主にとって、入ったら出にくい店に見えます。
建てた人は、いまどう暮らしているのか
最後が、建てた人の暮らしです。
完成直後の写真はどの会社も美しく、写真だけでは違いが分かりません。
施主が知りたいのは、住み始めて数年たった家族が、冬の朝の寒さや光熱費、掃除のしやすさをどう感じているかです。
住んでからの声は、モデルハウスでは確かめられない情報なので、下見の段階で強く読まれます。
| 施主が予約の前に確かめること | 見つからないときに起きること | 自社サイトに置くもの |
|---|---|---|
| 総額の幅は手が届くのか | 高い見積もりを出されるのが怖くて予約しない | 総額の幅と、何で総額が上下するか |
| 規格と注文の違い | どちらの入口から申し込むか迷う | 決められる範囲と向いている家族の違い |
| 来場したら何が起きるか | 長い説明と営業の電話を恐れて先送りする | 来場の所要時間と、来場後の連絡の約束 |
| 建てた人の暮らし | 写真だけで他社と区別がつかない | 住んで数年たった家族の声 |
| 誰が担当するのか | 営業の人柄が分からず身構える | 担当者の顔と名前、家づくりへの考え |
なぜ、展示場と総合住宅サイトに頼るようになるのか
地域の住宅会社が展示場と総合住宅サイトに頼るようになったのには、理由があります。
どちらも、自社サイトを育てるより早く、目に見える数字が出るからです。
総合住宅展示場は、大手と同じ土俵に立つ場所
総合住宅展示場には、全国に名の知れた会社のモデルハウスが並びます。
施主は1日に何棟も見て回るので、地域の会社のモデルハウスは、大手の豪華な建物と同じ日に比べられます。
大きさや設備で張り合えば、出展の負担は重くなる一方です。
しかも、展示場に来た施主のなかで自社のモデルハウスに入ってくれる人は、一部に限られます。
総合住宅サイトは、横並びで比べるための場所
総合住宅サイトは、施主が多くの会社をまとめて比べるために作られています。
資料請求のボタンを押すと、複数の会社へ同時に申し込みが届く仕組みも珍しくありません。
施主は、資料が届いた会社を同じ物差しで並べ、気に入った数社にだけ返事をします。
横並びの場所では、写真と坪数と価格帯のような同じ項目でしか比べられません。
そこで選ばれなかった施主が、あとから自社サイトを訪ねてくれることはほとんどありません。
どちらも、自社の答えを置く場所にはならない
展示場も総合住宅サイトも、施主と出会う入口としては役に立ちます。
けれども、施主が予約の前に知りたい答えを、自社の言葉で好きなだけ書ける場所ではありません。
その役目を担えるのは、自社のホームページだけです。
入口を外に任せたまま、答えを置く場所まで外に任せていると、比べられる項目は他社と同じになり、最後は総額と特典で決まる勝負に引き込まれます。
| 集客の入口 | 得意なこと | 苦手なこと |
|---|---|---|
| 総合住宅展示場 | 家を建てたい人がまとまって来る | 大手と同じ日に比べられ、出展の負担が重い |
| 総合住宅サイト | 検討を始めた人に一度に見てもらえる | 横並びの項目でしか違いを見せられない |
| 完成見学会 | 実際の家と暮らしを見せられる | 告知が届く範囲が狭い |
| チラシ | 地域の家庭に届く | 下見の時間にはもう手元に無い |
| 自社のホームページ | 施主の知りたい答えを好きなだけ書ける | 書かないと、何も伝わらない |
来場が減ったときに、多くの会社がやってしまうこと
来場が減ったとき、まず手が伸びる打ち手には決まった型があります。
どれも一時的に数字を動かすので、効いているように見えるのが厄介です。
来場特典を厚くする
来場や予約に特典をつけると、予約の数は確かに増えます。
けれども、Q&Aサイトには、建てる予定は無いが特典がもらえるなら展示場に行ってもよいか、という質問がいくつも並んでいます。
特典で来た人の多くは、家の話を聞く準備ができていません。
営業は来場の対応に追われ、本当に建てたい施主に使う時間が削られます。
特典を外したとたんに予約が戻らなくなるのも、この打ち手のつらいところです。
広告と総合住宅サイトへの掲載を広げる
広告を増やし、掲載するサイトを増やせば、資料請求の数は増えます。
ただ、施主が下見で自社サイトにたどり着いたとき、そこに比べる材料が無ければ、増えた請求の多くは来場に進みません。
入口を広げても、通り道の先で施主が足を止めていれば、数字は請求の段階で止まります。
広告で増やせるのは入口の人数で、予約するかどうかは自社サイトの中身で決まります。
ホームページを見た目から作り直す
来場が減ると、ホームページが古く見えるからだと考え、見た目から作り直す会社もあります。
大きな写真と動画を最初の画面に置き、会社の理念と商品名を並べたサイトは、確かに見栄えがよくなります。
それでも、総額の幅も来場後の流れも書かれていなければ、施主が下見で確かめたいことは何も増えていません。
見た目を整えても予約が増えなかったとき、次にどこを直せばよいかが分からなくなるのも痛いところです。
| よくある打ち手 | 一時的に起きること | しばらくして起きること |
|---|---|---|
| 来場特典を厚くする | 予約の数が増える | 建てる予定の無い来場で営業の時間が削られる |
| 広告を増やす | 資料請求が増える | 来場に進む割合が下がり、1件あたりの負担が重くなる |
| 総合住宅サイトの掲載を広げる | 請求の件数が増える | 横並びで比べられ、総額の勝負になる |
| ホームページを見た目から作り直す | 見栄えがよくなる | 予約が増えず、直す場所が分からなくなる |
| 見学会の回数を増やす | 開催の告知が増える | 同じ顔ぶれが来て、営業が疲れる |
資料請求のあとの追いかけ方で、失っているもの
来場の手前には、もう1つ見落とされやすい場面があります。
資料請求をしてくれた施主を、どう追いかけているかです。
電話で追うほど、施主は離れていく
資料請求が入ると、その日のうちに電話をかけ、来場の約束を取りつける。
住宅営業では長く当たり前とされてきた動き方です。
ところが、施主の側から見ると、資料請求はまだ下見の途中です。
まだ比べている途中で電話がかかってくると、施主はこの会社に予約すると押し切られそうだと感じ、返事を後回しにします。
総合住宅サイトから一括で請求した施主には、同じ日に何社もの電話が重なることもあります。
その日、最初に電話をかけた会社が、最初に候補から外されることさえあります。
届いた資料が、下見の答えになっていない
資料請求で送るカタログの多くは、会社の紹介と商品の写真、性能の説明でできています。
施主が下見で確かめたかった総額の幅や来場後の流れは、ここにも書かれていないことがよくあります。
資料を受け取った施主は、結局、知りたいことは来場しないと分からないのだと理解します。
そして、来場の手間をかける価値があるかどうかを、ほかの会社の資料と比べて決めます。
追いかけ方は、施主の検討の進み具合に合わせる
家を建てたい人の検討は、何か月、ときには何年にもわたって続きます。
資料請求の時点で、土地が決まっている家族もいれば、まだ賃貸の更新を迎えたばかりの家族もいます。
全員に同じ速さで電話をかけると、検討が始まったばかりの家族ほど離れていきます。
検討の進み具合ごとに、送るものと連絡の間隔を変えておくと、急いでいない家族とも長くつながっていられます。
| 施主の検討の段階 | 資料請求の時点の気持ち | 合う追いかけ方 |
|---|---|---|
| 建てたいと思い始めたばかり | まだ何も決まっていないので、そっとしておいてほしい | 電話は控え、総額の決まり方を説明した手紙を送る |
| 土地を探している | 土地と建物の総額を一緒に知りたい | 土地探しから相談できることと、その流れを伝える |
| 土地が決まっている | 具体的な間取りと総額を比べたい | 規格と注文の違いを示し、見学会の日程を案内する |
| 他社と最終の比較をしている | 決め手になる違いを探している | 住んで数年たった家族の声と、建てたあとの点検を見せる |
| しばらく検討を止めている | また考え始めたら連絡したい | 季節ごとの便りで、名前を忘れられないようにする |
売れるサイトはみな謙虚という考え方
ここで、この記事の軸になる考え方をお伝えします。
合同会社謙虚では、中小企業のホームページを見直すときに「売れるサイトはみな謙虚」という言葉を使っています。
会社が言いたいことをいったん引き算し、訪れた人が知りたいことを、知りたい順に置く。
選ばれている会社のホームページは、規模にかかわらず、この形になっています。
住宅会社の謙虚さは、来場前に答えを出すことに表れる
住宅会社の場合、この考え方は、来場の前に答えを出すという姿勢になります。
詳しくは展示場で、という書き方は、会社の側の都合で答えを先送りしています。
施主の側に立つと、答えを先に見せてくれる会社のほうが、来場したときに安心して話を聞けます。
答えを先に出した会社ほど、来場する施主の準備が整っています。
引き算すると、施主の不安だけが残る
自社サイトから、理念の長い文章と、どの会社でも書ける言葉をいったん外してみてください。
高品質、安心、こだわりの家づくり、といった言葉は、外しても施主の判断材料は何も減りません。
外したあとに残る空いた場所に、施主が予約の前に抱えている不安への答えを置いていきます。
図のように、施主は知ってから予約するまでに、比べる段階と不安を消す段階を通ります。
自社サイトが受け持つのは、このうち比べる段階と不安を消す段階です。
なお、地域の工務店が施工の腕を問い合わせにつなげる見せ方は、工務店の集客で腕のよさを問い合わせに変える自社サイトの作り方にまとめています。
この記事では、商品を持ち、展示場や見学会に予約を集めるハウスメーカーやビルダーの立場に絞って話を進めます。
予約の手前に置く答え1 総額の幅と、その決まり方
最初に置くのは、総額の幅です。
金額を細かく出す必要はありません。
総額は、幅と上下する理由をセットで書く
施主が知りたいのは、自分たちの家がおおよそどのくらいの総額になりそうか、という目安です。
延床面積の目安ごとに総額の幅を示し、その幅のなかで何によって上下するのかを書きます。
本体のほかに、付帯工事や諸費用がどのくらい加わるのかも、割合の目安で添えておきます。
予定より高くなった経験をした人が67.9%にのぼる以上、上がる理由を先に書いてくれる会社は、それだけで誠実に見えます。
総額が上がる場面を、正直に書く
土地の条件によっては地盤の補強が必要になる、外構を後回しにすると住み始めてから費用がかさむ。
こうした、総額が上がる場面を先に書いておくと、見積もりのあとで施主が驚くことが減ります。
住宅会社にとっては書きにくい内容ですが、書いてある会社と書いていない会社が並べば、施主は前者を予約します。
来場後の商談でも、すでに知っている前提から話を始められるので、営業の負担が軽くなります。
| 総額について書くこと | 書き方の例 | 施主に伝わること |
|---|---|---|
| 総額の幅 | 延床面積の目安ごとに、総額の幅を示す | 自分たちに手が届く会社かどうか |
| 総額が上下する理由 | 間取りの複雑さ、窓の数、設備の選び方 | どこで調整できるのか |
| 本体以外にかかるもの | 付帯工事や諸費用の割合の目安 | 見積もりで驚かずに済む |
| 総額が上がりやすい場面 | 地盤の補強、外構、土地の造成 | 正直に話してくれる会社だという印象 |
| 予算に合わせる方法 | 規格住宅を土台にする、仕様を絞る | 予算が限られていても相談できる |
予約の手前に置く答え2 規格住宅と注文住宅の違い
規格住宅を始めた会社がつまずきやすいのが、この違いの見せ方です。
商品名を並べただけでは、施主はどちらが自分たちに合うのか判断できません。
違いは、決められる範囲で示す
規格住宅と注文住宅の違いを、決められる範囲で示します。
間取りはどこまで変えられるのか、窓や設備はどこから選べるのか、打ち合わせの回数と引き渡しまでの期間はどのくらい違うのか。
この範囲が分かると、施主は自分たちのこだわりがどちらに収まるのかを判断できます。
性能が同じなら同じとはっきり書いておくと、規格住宅は性能を削った家だという誤解も避けられます。
向いている家族の姿で書き分ける
違いを示したら、それぞれに向いている家族の姿を書きます。
共働きで打ち合わせの時間が取りにくく、予算を先に固めたい家族には規格住宅。
趣味の部屋や二世帯の間取りなど、ゆずれない条件がある家族には注文住宅。
施主は自分たちの姿に近いほうを入口に選べるので、予約の時点で話の方向が定まります。
| 比べる点 | 規格住宅 | 注文住宅 |
|---|---|---|
| 間取り | 用意した間取りから選び、一部を変える | 敷地と暮らしに合わせて一から考える |
| 総額の見通し | 早い段階で幅が固まる | 打ち合わせが進むほど固まる |
| 打ち合わせの回数 | 少なめで済む | 多めにかかる |
| 引き渡しまでの期間 | 短めになる | 長めになる |
| 向いている家族 | 時間が取りにくく、予算を先に固めたい | ゆずれない条件があり、時間をかけたい |
来場予約のページを、施主の不安から書き直す
総額と家のつくり方の答えを置いたら、来場予約のページそのものを直します。
予約ボタンの手前に、来場したあとに起きることを書いておきます。
来場の所要時間と、当日の流れを書く
モデルハウスの見学は何分くらいか、説明はどこまで聞けるのか、子ども連れで来てよいのか。
当日の流れを時間の目安と一緒に書くと、施主は休日の予定に組み込みやすくなります。
見学だけで帰ってもよい、と一文書いておくのも効きます。
来場後の連絡を、約束として書く
来場後の連絡の仕方を、約束として書いておきます。
電話をかけてよいかを来場の受付で確かめる、連絡はご希望の方法だけにする、断られたら二度と連絡しない。
この約束が書いてあるだけで、営業の電話を恐れて予約を先送りしていた施主が、予約のボタンを押しやすくなります。
予約の入力項目も見直し、来場の日時と連絡先のほかは、来場の当日に聞けば足りるものを外します。
資料請求のあとに送るものを、下見の答えに変える
資料請求のあとに送るものも、施主の下見の答えに合わせて組み直します。
カタログを送るだけで終えず、施主が来場の前に知りたかった答えを一緒に届けます。
総額と来場後の流れを1枚にまとめて同封する
総額の幅とその決まり方、規格と注文の違い、来場した日の流れを、1枚の紙にまとめて同封します。
施主はこの1枚を、ほかの会社の資料と並べて読みます。
同じ項目を書いている会社がほとんど無いので、この1枚だけで比べる順番が変わります。
連絡は、施主の段階を聞いてから変える
資料請求の入力欄に、検討の段階を選ぶ欄を1つだけ置いておきます。
建てたいと思い始めた、土地を探している、土地が決まっている、の3つ程度で十分です。
段階に合わせて、電話をかけるか、手紙とメールで便りを送るかを決めます。
| 資料のあとに送るもの | 届けるタイミング | 施主の受け取り方 |
|---|---|---|
| 総額の幅と決まり方の1枚 | カタログと同封 | 自分たちに手が届くかを判断できる |
| 規格と注文の違いの1枚 | カタログと同封 | どちらの入口から相談するか決められる |
| 来場した日の流れ | 資料到着の数日後 | 来場の手間と不安が分かる |
| 住んで数年たった家族の声 | 最初の便りから2〜3週間後 | 写真では分からない暮らしが分かる |
| 見学会の案内 | 土地が決まった段階 | 実際の家を見に行く理由ができる |
展示場と見学会を、比べた施主を迎える場に変える
下見の答えを自社サイトに置くと、展示場と見学会の役割も変わります。
人を呼ぶための場から、比べ終えた施主を迎える場になります。
見学会は、中身を先に見せて告知する
完成見学会の告知に、その家を建てた家族が何に悩み、何を決め手にしたのかを短く書きます。
総額の幅や間取りの工夫もあわせて書くと、近い条件の家族が自分ごととして予約します。
見学会のあとに、その家の紹介を自社サイトの事例として残しておけば、下見の答えが1つ増えます。
展示場では、サイトで読んだ答えの続きを話す
予約の時点で、施主はすでに総額の幅と来場後の流れを知っています。
展示場の説明は、同じ話の繰り返しを省き、施主の土地や家族の条件に合わせた話から始められます。
来場の時間が短くても中身の濃い商談になり、次の打ち合わせの約束につながりやすくなります。
何から手をつけ、どの数字で確かめるか
ここまでの話を、手をつける順番と、確かめる数字に置き換えます。
手をつける順番
最初に直すのは、来場予約のページです。
予約ボタンの手前に、来場の流れと来場後の連絡の約束を書くだけなら、数日で終わります。
次に、総額の幅とその決まり方のページを作り、規格と注文の違いを並べます。
資料請求のあとに送るものと、見学会の告知の書き方は、その後に手をつけても間に合います。
確かめる数字
確かめる数字は、来場予約のページを見た人のうち、実際に予約した人の割合です。
あわせて、資料請求から来場までに進んだ割合も、月ごとに記録しておきます。
住宅の検討は長いので、1か月の増減で判断せず、3か月ほどの流れで見ます。
| 確かめる数字 | 見る場所 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 予約ページを見た人のうち予約した割合 | アクセス解析 | 直す前の3か月と比べる |
| 総額のページを見た人の数 | アクセス解析 | 予約した人の多くが見ているか |
| 資料請求から来場に進んだ割合 | 営業の記録 | 同封物を変える前と比べる |
| 来場の受付で聞いた、決め手になったページ | 来場時の聞き取り | どの答えが効いているか |
| 来場から次の打ち合わせに進んだ割合 | 営業の記録 | 来場の質が上がっているか |
よくある質問
最後に、ハウスメーカーやビルダーの方からよくいただく質問にお答えします。
Q1. 総額の幅を書くと、他社に値段で比べられませんか
総額の幅を書かなくても、施主は総合住宅サイトや他社の資料で比べています。
書かない会社は比べる材料から外れるだけで、比べられること自体は避けられません。
幅と上下する理由をセットで書けば、安さだけで比べられる場面はむしろ減ります。
Q2. 展示場から撤退したほうがよいのですか
撤退を急ぐ必要はありません。
展示場は、比べ終えた施主が実際の家を確かめる場として役に立ちます。
自社サイトで下見の答えを出したうえで、展示場の来場がどれだけ次の打ち合わせにつながっているかを見て、出展を続けるかを判断してください。
Q3. 資料請求のあと、電話をかけないと他社に取られませんか
電話そのものが悪いわけではありません。
施主が電話を望んでいるかを先に確かめ、望んでいない施主には手紙やメールで答えを届けるほうが、長くつながっていられます。
最初に電話をかけた会社が選ばれるとは限らないのが、いまの住宅の検討の進み方です。
Q4. 規格住宅を始めると、注文住宅の評判が下がりませんか
規格住宅と注文住宅の違いを、決められる範囲と向いている家族の姿で書き分けておけば、評判が下がる心配は小さくなります。
性能が同じであれば、そのことをはっきり書いておきます。
規格住宅は、予算を先に固めたい家族にとっての入口として受け取られます。
Q5. ホームページを作り直す余裕がありません
作り直さなくても始められます。
来場予約のページに、当日の流れと来場後の連絡の約束を書き足すところからで十分です。
そのあと、総額の幅のページを1枚足し、規格と注文の違いを表にして並べていけば、少しずつ下見の答えがそろっていきます。
まとめ
持家の着工は4年続けて減り、施主は少ない候補に絞ってから展示場や見学会を予約するようになりました。
候補に残るかどうかは、来場の前、施主が自宅でスマホを見ている時間に決まります。
施主がそこで確かめているのは、総額の幅が手に届くのか、規格と注文で何が違うのか、来場したら何が起きるのか、そして建てた人がどう暮らしているのかです。
来場特典や広告で入口を広げても、この答えが自社サイトに無ければ、施主は下見の段階で別の会社を予約します。
答えを先に出すのは、会社の都合をいったん引っ込めて、施主の不安に順番に応えることです。
Q&Aサイトの回答者が言った、数字の入った事例と売りをはっきりさせることは、こうして自社サイトの上で形にできます。
展示場に人が来ないと感じたら、まず展示場の手前を点検してください。
今日できる点検
最後に、今日のうちに確かめられることを表にまとめます。
| 点検すること | 確かめ方 | できていなかったら |
|---|---|---|
| 総額の幅が書いてあるか | 自社サイトを施主の目でスマホから見る | 延床面積の目安ごとに幅と上下する理由を書く |
| 規格と注文の違いが分かるか | 商品のページを並べて読む | 決められる範囲と向いている家族を表にする |
| 来場後に何が起きるか書いてあるか | 来場予約のページを読む | 当日の流れと、来場後の連絡の約束を書く |
| 住んで数年たった家族の声があるか | 施工事例のページを見る | 引き渡しから数年たった家族に話を聞きに行く |
| 資料請求のあとに送るものが答えになっているか | 実際に送っている資料を手に取る | 総額と来場の流れをまとめた1枚を同封する |
まず、自社の来場予約のページをスマホで開き、予約ボタンの手前に何が書いてあるかを確かめてください。
来場後に何が起きるのかが書かれていなければ、そこが最初に直す場所です。
当日の流れと連絡の約束を書き足すだけなら、今週のうちに終わります。
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