ホームページを改善したい。そう思って調べると、改善案の一覧が出てきます。読み込み速度、スマートフォン対応、見出しの構造、写真の質、導線の整理、フォームの簡素化。20個ほど並んでいることも珍しくありません。
問題は、その20個を全部やる時間が無いことです。そして、どれから手を付けるかが書かれていません。結果として、いちばん目につくもの、つまり見た目から手を付けることになります。
合同会社謙虚は、ウェブサイトから要素を引き算して、訪れた人が迷わず次の一歩へ進む形へ組み直す仕事をしています。自社でも3つのドメインを並行して運用し、何を変えると数字が動くかを測り続けています。
その結果として言えることが1つあります。改善の効果を決めるのは、何をやるかより、どの順番でやるかです。この記事では、順番の決め方と、それぞれの施策が効くまでの日数をお伝えします。
結論:改善案を選ぶ前に、壊れている場所を1つに絞ります
ホームページの改善で最初にやることは、施策を選ぶことではありません。いまどこが壊れているかを、数字で1か所に絞ることです。
訪問者が問い合わせに至るまでに通る場所は、3つしかありません。
| 場所 | 壊れている状態 | 数え方 |
|---|---|---|
| 1つ目:見つからない | そもそも人が来ていない | 月間のアクセス人数 |
| 2つ目:進まない | 来た人が問い合わせページへ行かない | 問い合わせページの閲覧数 |
| 3つ目:送られない | フォームまで来て送信されない | 送信完了の件数 |
この3つは上から順に通ります。1つ目が壊れているのに3つ目を直しても、通る人が増えていないので結果は変わりません。
数えるのに1時間かかりません。アクセス解析を開いて、3つの数字を書き出すだけです。この1時間を省くと、改善に費やす数十時間の向き先が決まりません。
いちばん多いのは、1つ目です
相談をお受けする中で、いちばん多いのが1つ目です。そして、この場合の原因はほぼ1つに決まっています。狙っている言葉を、実際に検索している人がいません。
自社ではこれを、3つのドメインを並行して運用して確かめました。書いているのは同じ人間で、記事の作り方も公開の頻度も同じです。変えているのは、狙う言葉の選び方だけです。
| 直近28日の実測 | 言いたいことから選んだ側 | 検索されている言葉から選んだ側 |
|---|---|---|
| 公開している記事 | 450本 | 653本 |
| 10位以内に入った記事 | 43本 | 157本 |
| 10位以内1本あたりの表示回数 | 2.0回 | 46.2回 |
| 10位以内のクリック率 | 4.7% | 正常な範囲 |
23倍の差が出ました。順位はどちらも取れていて、クリック率もどちらも正常です。違ったのは、その順位が何回画面に出たかだけでした。
言いたいことから選んだ側は、1位を取っていても月に2回しか表示されていませんでした。この状態でデザインを新しくしても、見る人がいません。
集客の全体像については、3つのドメインで狙う言葉だけを変えて測った検証でまとめています。
直す順番は、効くまでの日数で決めます
壊れている場所が絞れたら、次は順番です。ここで多くの会社が、金額の安いものや、工数の小さいものから選びます。その基準だと、後回しにすべきものが先に来ます。
使う基準は、効くまでの日数です。
| 改善の種類 | 効くまで | 効く場所 |
|---|---|---|
| タイトルと説明文の書き換え | 3〜7日 | 1つ目(見つかった後の到達率) |
| 問い合わせボタンの文言 | その週のうち | 2つ目 |
| フォームの入力欄を減らす | その週のうち | 3つ目 |
| 最初の画面の1文 | その週のうち | 2つ目 |
| 問い合わせへの返信を早める | その日から | 3つ目の先 |
| 既存ページの内容を厚くする | 2〜8週 | 1つ目 |
| 需要のある言葉で新しく書く | 2〜6か月 | 1つ目 |
| デザインの全面刷新 | 効くかどうかは場合による | 2つ目 |
この表の使い方は単純です。時間のかかるものを先に始めて、待っている間に効きの早いものをやります。
需要のある言葉で新しく書く作業は、結果が出るまで数か月かかります。だから最初の週に始めます。そして待っている間に、ボタンの文言やフォームを直します。こちらは直した週のうちに数字が動きます。
逆の順番だと、早いものを全部やり終えたところで手が止まり、遅いものを始めるのがそのぶん遅れます。3か月分の遅れが、そのまま結果の遅れになります。
よく挙がる改善案20個を、効く順に並べ直しました
冒頭に書いた、20個ほど並んだ改善案の一覧。あれを、これまでの基準で並べ替えます。上から順にやってください。
| 順 | 改善案 | 効くまで | 自社でできるか |
|---|---|---|---|
| 1 | 3つの数字を数える | —(判断のため) | できる |
| 2 | 問い合わせへの返信を早める | その日から | できる |
| 3 | 狙う言葉の検索需要を確かめる | —(判断のため) | できる |
| 4 | 需要のある言葉でページを作りはじめる | 2〜6か月 | 外注が現実的 |
| 5 | 検索結果のタイトルと説明文を書き換える | 3〜7日 | できる |
| 6 | 最初の画面の1文を直す | その週のうち | できる |
| 7 | 問い合わせボタンの文言を直す | その週のうち | できる |
| 8 | フォームの入力欄を減らす | その週のうち | できる |
| 9 | スマートフォンでの操作性を直す | その週のうち | 制作側に依頼 |
| 10 | 11位から20位のページを厚くする | 4〜8週 | できる |
| 11 | 記事からサービスページへの道を作る | 1〜2週 | できる |
| 12 | 似た内容のページを1本にまとめる | 4〜8週 | できる |
| 13 | 実績とお客様の声を数字入りに書き直す | 1〜2週 | できる |
| 14 | 読み込み速度を上げる | 数週間 | 制作側に依頼 |
| 15 | 見出しの構造を整える | 4〜8週 | できる |
| 16 | 画像の代替テキストを入れる | 数週間 | できる |
| 17 | 内部リンクを整理する | 4〜8週 | できる |
| 18 | 古い記事の情報を更新する | 4〜8週 | できる |
| 19 | 写真をプロに撮り直してもらう | 場合による | 外注 |
| 20 | デザインを全面刷新する | 場合による | 外注 |
並べてみると、上位10個のうち7個は自社でできて、費用がかかりません。そして費用のかかるものほど下にあります。
1番と3番に、効くまでの日数が入っていない理由
この2つは改善そのものではなく、判断のための作業だからです。ここを飛ばすと、4番以降のどれを選ぶかが決まりません。
逆に言えば、この2つに費用はかからず、合わせて2時間で終わります。2時間で、残り18個の向き先が決まります。
20番が最下位である理由
デザインの全面刷新が効くのは、人は来ているのに問い合わせページへ進んでいない場合だけです。それ以外の状態では、効果が出るかどうかが場合によります。
そして、いちばん費用がかかり、いちばん時間がかかります。上から19個を試して、それでも進まないときに検討する順番になります。
今週中に効く改善を、5つ
効くまでが1週間以内のものを、優先度の高い順に並べます。どれも、外注せずに自社でできます。
1つ目:検索結果に出ているタイトルと説明文
これがいちばん早く、いちばん確実に効きます。
検索の管理ツールを開いて、順位が10位以内なのにクリックされていないページを探してください。10位以内でクリック率が3%を下回っていたら、原因は中身ではありません。検索結果に出ている見出しと説明文です。
直すときは、そのページが表示されているクエリを見て、その言い回しをタイトルに入れてください。訪問者は、自分が打った言葉がそのまま入っているものを選びます。
説明文には、そのページを開くと何が分かるかを書きます。会社の宣伝を入れると、そのぶん本題が押し出されます。
2つ目:問い合わせボタンの文言
「お気軽にお問い合わせください」。この一文が入っているサイトは多くありますが、ほとんど押されていません。
押されない理由は、押した後に何が起きるか書かれていないからです。営業の電話が来るのか、見積もりが出るのか、その場で契約を求められるのか。分からないものを押す人はいません。
書き換えるときは、次の3つをボタンのすぐそばに置きます。
- 何が起きるか(誰と、何を話すか)
- どのくらい時間がかかるか
- 費用が発生するかどうか
この3つがあるだけで、押される数が変わります。曖昧にしておくほうが問い合わせが増えると考えがちですが、逆です。分からないことは、不安として働きます。
3つ目:フォームの入力欄
会社名、部署名、役職、氏名、フリガナ、郵便番号、住所、電話番号、メールアドレス、業種、従業員数、問い合わせ種別、内容。ここまで並んでいるフォームは珍しくありません。
入力欄が増えるほど、送信される数は減ります。最初の接触で本当に要るのは、名前と連絡先と用件だけです。それ以外は、営業が後で聞けます。
もう1つ。必須と任意の印が付いていないフォームは、それだけで送信率が落ちます。どこまで書けば送れるのかが分からないと、人は途中で閉じます。
4つ目:最初の画面に出ている1文
訪問者が最初に見る画面に、次の1つが文字で出ているかを確かめてください。この会社は、誰の、どんな困りごとを解決するのか。
ここに受賞歴や創業年数を並べたくなりますが、初めて来た人にとって、それは自分に関係のある情報ではありません。自分の困りごとが書かれていないページから、人は3秒で離れます。
もう1つ確かめてほしいのが、スマートフォンでの見え方です。パソコンでは1画面に収まっていた説明が、スマートフォンでは画像だけが表示され、文字が下に押し出されていることがあります。訪問者は文字が出てくる前に離れます。
5つ目:問い合わせへの返信の速さ
これはサイトの改善ではありませんが、効果は他のどれよりも大きくなることがあります。
問い合わせをする人は、たいてい複数の会社に同時に送っています。最初に返信が来た会社と話が進みます。翌営業日の返信では、その時点で終わっていることがあります。
サイトを直すより先に、返信の体制を見てください。ここが遅い状態でサイトを改善すると、増えた問い合わせがそのまま他社へ流れます。
1〜2か月で効く改善
週単位の改善が終わったら、次はここです。
すでに11位から20位にいるページを厚くする
検索の管理ツールで、平均掲載順位が11位から20位のクエリを探してください。あと1ページ分で1ページ目に届く位置です。
ここに入っているページは、新しく書くより、いまあるページを厚くするほうが早く上がります。そのクエリで検索している人が知りたくて、いまのページに書かれていないことを足してください。
足すものが思いつかない場合は、その言葉の検索候補を見てください。「◯◯ 費用」「◯◯ 期間」「◯◯ 失敗」といった候補が並んでいたら、それが足すべき見出しです。
同じ内容のページを1本にまとめる
これは効果が大きいのに、ほとんど行われていません。
自社では、1つの領域に105本の記事が散らばっていた時期がありました。90日間の表示回数は、105本の合計で65回です。1本あたり0.6回でした。本数が足りなかったのではなく、105本が同じ検索結果で票を割り合っていました。
自社サイト内で同じ言葉を検索して、似た内容のページが複数出てきたら、1本にまとめてください。まとめると順位が上がることのほうが多くなります。
まとめる際は、残すページを1つ決めて、他のページの内容をそこへ移します。移した後のページは、残すページへ転送をかけます。消しただけだと、そこへのリンクが切れます。
既存ページを厚くする手順
11位から20位のページを厚くする作業は、効果が大きい割に手順が知られていません。具体的に書きます。
1つ目:そのページが出ているクエリを全部見る
検索の管理ツールで、ページ単位に絞り込んでからクエリの一覧を出します。ここに出ているのが、いま検索エンジンがそのページに期待している内容です。
並んだクエリの中に、そのページで答えていないものがあれば、それが足すべき見出しです。
2つ目:検索候補を見る
そのページが狙っている言葉を検索窓に打って、下に出る候補を全部書き出します。「◯◯ 費用」「◯◯ 期間」「◯◯ 自分で」「◯◯ 失敗」。
候補として出ているということは、その組み合わせで実際に打ち込まれています。これがそのまま、足すべき見出しの一覧になります。
3つ目:足す。削らない
厚くするときに、既存の内容を削らないでください。すでに順位が付いているということは、いまの内容が評価されています。削ると、その評価の元が消えます。
足す量の目安は、いまの文字数の3割から5割です。1割だと変化が小さく、倍にすると論点がぼやけます。
4つ目:4週間、触らない
足した後、4週間は数字を見るだけにしてください。順位が動くまでに時間がかかります。1週間で判断して次の手を打つと、何が効いたか分からなくなります。
4週間経って動かなければ、そのページはそのままにして、別のページに移ってください。1本に固執するより、次の1本を厚くするほうが期待値が高くなります。
3か月以上かかる改善
ここは効くまでが遠いぶん、いちばん先に着手します。
需要のある言葉で、新しくページを作る
作る前に、その言葉を実際に検索している人がいるかを確かめてください。検索窓に打って、候補が何件出るかを見ます。
| 候補の数 | 意味 | どうするか |
|---|---|---|
| 0件 | 誰も打っていない | その言葉では作らない |
| 1〜2件 | 実在するが末端 | 単独のページにせず、別のページの見出しで拾う |
| 3件以上 | 下に広がりがある | ここを狙う |
この確認にかかる時間は、1語あたり10秒です。ページを1枚作るのに10時間かかるなら、その0.3%の手間で、10時間が無駄になるかどうかが分かります。
自社の検証では、この10秒があるかないかで、表示回数に23倍の差が出ていました。
1つの文を決め直す
改善が進まない会社に共通しているのが、これが決まっていないことです。自社は、誰の、どんな困りごとを、どうやって解決するのか。
これが1文で言えないうちは、狙う言葉も、最初の画面に置くものも決まりません。判断のたびに「あったほうがいい気がする」で要素が増えていきます。
決め方は、頭で考えるのではなく、過去の取引から取り出します。直近でいちばんうまくいった取引を3つ選び、相手の立場、困っていたこと、その後どうなったかを書き出してください。3つ並べると共通点が浮かびます。それが自社の1文です。
記事は読まれているのに、問い合わせが増えない場合
ここまでの改善を進めると、記事に人が来るようになります。ところが、そこから問い合わせが増えないという相談を、その次によくお受けします。
原因はほぼ1つです。記事から、サービスのページへ行く道がありません。
道の作り方は、1本だけです
記事の終わりに、次に読むべきページを1つだけ置いてください。2つ以上置くと、選ぶ手間が生まれて、どちらも選ばれなくなります。
置く場所は、記事の本文が終わった直後です。関連記事の一覧の後ろだと、そこまで読む人が減ります。
文言は、記事の内容とつながっている必要があります。フォームの改善を扱った記事なら「フォームを含めて全体を見てほしい場合は」。狙う言葉の選び方を扱った記事なら「どの言葉を狙うか一緒に決めたい場合は」。記事と関係のない一般的な案内は、押されません。
途中に置かないでください
記事の途中に問い合わせへの誘導を挟む書き方があります。読んでいる最中に別のページへ移させると、記事を読み終える人が減ります。
読み終えた人のほうが、問い合わせる確率が高くなります。途中で連れ出すのは、目先の到達数と引き換えに、実際の問い合わせを減らす形になります。
実績とお客様の声を、数字入りに書き直す
「多数の企業様にご利用いただいております」。この一文は、読んだ人の判断を1ミリも動かしません。
動くのは、具体の情報です。
- どの業種の、どのくらいの規模の会社か
- 依頼される前、何に困っていたか
- 何をして、どのくらいの期間で、何がどう変わったか
3つ目に数字が入ると、一気に読まれます。「問い合わせが増えました」ではなく「月に2件だった問い合わせが、4か月目に9件になりました」と書く。同じ事実でも、届き方が違います。
数字を出せない場合
守秘義務がある場合は、数字の代わりに変化の中身を具体的に書いてください。
「問い合わせの質が変わり、値段の話から始まる商談が減りました」。これは数字ではありませんが、読んだ人には何が起きたかが伝わります。抽象的な褒め言葉より、はるかに効きます。
お客様の声は、聞く質問を変える
「ご感想をお聞かせください」と頼むと、褒め言葉が返ってきます。褒め言葉は、判断を動かしません。
聞くなら、こうです。「依頼する前、いちばん心配だったことは何でしたか」。この答えは、これから頼もうか迷っている人がいま抱えている不安と、ほぼ一致します。それが解消された話として載るので、そのまま背中を押します。
業種によって、最初に直す場所が違います
3つの詰まりのうちどれになりやすいかは、業種でおおむね決まります。自社の業種から先に見てください。
| 業種 | 詰まりやすい場所 | 最初に直すもの |
|---|---|---|
| 士業・コンサルティング | 1つ目(人が来ない) | 業務名ではなく相談内容の言葉で書く |
| 工務店・リフォーム | 2つ目(進まない) | 施工事例に「どんな家が、いくらくらいで」を足す |
| 飲食・美容・整体 | 3つ目(送られない) | 予約の導線を1つに絞る |
| 製造業・法人向け | 1つ目(人が来ない) | 型番ではなく用途の言葉で書く |
| 小売・通販 | 2つ目(進まない) | 商品ページに選び方を足す |
| 不動産 | 2つ目(進まない) | 物件情報の外に、判断材料のページを作る |
士業と製造業が、同じ理由で見つからない
業種としては遠いのに、詰まる原因が同じです。自社の中で使っている言葉で書いているためです。
士業なら、業務の正式名称でページが作られています。ところが困っている人は、その名称を知りません。知っていたら、専門家に相談する必要がありません。打ち込まれているのは、困りごとそのものの言葉です。
製造業も同じで、製品の型番や技術の名前でページが作られています。探しているのは、その技術で何ができるかを知りたい人です。用途の言葉で書かれたページが1枚あるだけで、届く人数が変わります。
工務店と小売は、来た人が決めきれない
この2つは人が来ています。詰まっているのは2つ目です。
共通しているのは、比べるための材料が足りないことです。施工事例が写真だけで並んでいる、商品が仕様だけで並んでいる。読んだ人は、自分の場合はどれなのかを判断できません。
足すのは、選び方です。「築何年ならどの工事から検討するか」「この用途ならどの型を選ぶか」。これがあると、読んだ人が自分で候補を1つに絞れます。絞れた人だけが、問い合わせます。
やってはいけない改善が、3つあります
1つ目:数える前に全面リニューアルする
いちばん多い失敗です。何が壊れているか分からないまま作り直すと、壊れていた場所がそのまま新しいサイトに引き継がれます。そして、新しくなったぶん、原因の切り分けが難しくなります。
人が来ていない状態で全面リニューアルをしても、来ていない人には新しいデザインが見えません。リニューアルが効くのは、人は来ているのに進まない場合だけです。
2つ目:複数の箇所を同時に変える
時間が惜しいので、まとめて直したくなります。ところが3か所を同時に変えると、数字が動いたときに、どれが効いたのか分からなくなります。
分からないまま次の手を打つと、また分からない結果が返ってきます。効いていない施策を続ける原因は、たいていここにあります。
1週間に1か所。この速さでも、3か月で12か所直せます。しかも、どれが効いたかが全部分かります。
3つ目:効果を測らずに次へ進む
直したら、何を見るかを先に決めておいてください。
| 直した場所 | 見る数字 | いつ見るか |
|---|---|---|
| タイトルと説明文 | そのページのクリック率 | 1〜2週後 |
| 最初の画面 | 問い合わせページへの到達数 | 1週後 |
| 問い合わせボタン | 問い合わせページへの到達数 | 1週後 |
| フォーム | 送信完了の件数 | 1週後 |
| ページを厚くした | そのページの表示回数と順位 | 4〜8週後 |
| 新しく作ったページ | そのページの表示回数 | 8週〜6か月後 |
1つ注意があります。検索の管理ツールの数字は、当日分がすぐには出ません。3〜4日遅れて反映されます。先週と今週を比べるときは、両方とも同じだけずらして比べてください。今週だけ直近の日付まで含めると、まだ埋まっていない日が入るので、必ず落ちているように見えます。
この見間違いで、うまくいっている施策をやめてしまうことがあります。
内部リンクと、古い記事の扱い
並べ直した一覧の下のほうにある2つです。効くまでが遠いので後回しになりますが、放っておくと少しずつ足を引っ張ります。
内部リンクは、増やすのではなく集めます
関連記事を相互にリンクし合う形が広く行われています。数は増えますが、力は分散します。
効くのは、1つの領域につき1本の中心を決めて、そこへ集める形です。中心になるページは、その領域でいちばん取りたい言葉を正面から扱っているものにします。
自社の例で言えば、1つの領域に105本の記事が散らばっていて、中心が無い状態でした。中心になる記事を1本作り、105本からそこへリンクを送る形に変えています。
1つだけ注意があります。105本すべてに同じ文言のリンクを置かないでください。全部が同一だと不自然に見えます。文言を5種類ほど用意して、記事ごとに変えてください。
古い記事は、消すより先に確かめる
情報が古くなった記事を消したくなりますが、消す前に2つ確かめてください。
1つ目は、その記事に検索から人が来ていないかです。来ているなら、消さずに内容を更新します。順位が付いているということは、評価されている部分があるということです。
2つ目は、他のページからリンクされていないかです。リンクされている記事を消すと、そのリンクが切れます。
どちらにも当てはまらない場合だけ、消してください。そして消すときは、内容の近いページへ転送をかけます。転送を忘れると、そこへのリンクをたどった人が行き止まりに当たります。
年号が入った記事は、毎年見直す
タイトルに年号が入った記事は、その年が終わると急に読まれなくなります。中身が有効なら、年号を今年に書き換えて、変わった部分だけ更新してください。
このとき、URLは変えないでください。URLに年号が入っている場合は、そのままにして、タイトルと本文だけを更新します。URLを変えると、それまでの評価を引き継ぐのに時間がかかります。
読み込み速度と技術面は、どのくらい効くのか
改善案の一覧で必ず上位に来るのが、読み込み速度です。実際のところ、どのくらい効くのかをお伝えします。
効きますが、順番は後ろです
速度が遅いと、読み込みを待たずに離脱する人が出ます。これは事実です。ただし、この改善が効くのはすでに人が来ている場合だけです。
月に30人しか来ていないサイトの速度を2倍にしても、離脱が数人減るだけです。同じ時間を狙う言葉の見直しに使ったほうが、桁が変わります。
目安として、月間の訪問が1,000人を超えてから着手すると、費用に見合います。それ未満なら、上位10個を先に終わらせてください。
ただし、極端に遅い場合は別です
スマートフォンで開いて、最初の画面が出るまでに5秒以上かかる場合は、順番を繰り上げてください。この水準だと、来た人の大半が本文を見ずに離れます。
まず自分の電話で開いて、何秒かかるかを測ってください。3秒以内なら、後回しで構いません。
見出しの構造と代替テキスト
この2つは、直す価値はありますが、単独で順位を動かすものではありません。
見出しは、大見出しの下に中見出しが入る形になっていれば十分です。装飾のために大見出しを使っている箇所があれば、そこだけ直してください。
画像の代替テキストは、その画像に何が写っているかを短く書きます。ここにキーワードを詰め込む書き方が広く行われていますが、詰め込みは効きません。むしろ下がる方向に働くという実験結果が出ています。
構造化データについて
検索結果に星やパンくずを出すための記述です。導入している会社は多いのですが、これを入れたから順位が上がるという性質のものではありません。検索エンジン側も、順位を決める要素ではないと説明しています。
効くのは、検索結果での見え方が変わることで、クリックされる割合が上がる場合です。つまり2つ目の詰まりに効く施策で、1つ目には効きません。
改善提案を受け取ったときの読み方
制作会社や広告代理店から、改善提案を受け取ることがあります。その資料を読むときに、確かめてほしいことが3つあります。
1つ目:どの数字を根拠にしているか
提案書の冒頭に、いまの自社サイトの数字が入っているかを見てください。月に何人来ていて、そのうち何人が問い合わせページへ行き、何人が送信しているか。
ここが入っていない提案は、どこが壊れているかを確かめずに作られています。どの提案書にも使い回せる内容になっているはずです。
2つ目:狙う言葉をどう決めたか
「御社の事業内容に合わせて選定しました」としか書かれていない場合、その言葉に検索需要があるかを確かめる工程が入っていません。
自社の検証で、表示回数が23分の1になった側と同じ選び方です。選定した言葉と、その検索需要の根拠を聞いてください。
3つ目:公開後に何を報告するか
順位だけを報告する形になっていると、順位が上がっているのに問い合わせが増えないという状態に気づけません。
表示回数と、問い合わせページへの到達数まで報告に含まれているかを確かめてください。順位は手段で、目的ではありません。
AIに改善案を出させる場合
生成AIに自社サイトを読ませて改善案を出させる方法が、広く使われるようになりました。使い方によって、役に立つ場合と、遠回りになる場合があります。
役に立つ使い方
すでに壊れている場所が1つに絞れている状態で、その1か所の書き方を複数出させる。この使い方は速くて確実です。
たとえば、問い合わせボタンの文言を10案出させる。最初の画面の1文を、読み手を変えて5案出させる。フォームの入力欄のうち、後から聞けるものを判定させる。どれも、判断の材料が増えます。
遠回りになる使い方
壊れている場所を絞らずに、「このサイトの改善点を挙げてください」と投げる使い方です。
返ってくるのは、一般的な改善案の一覧です。読み込み速度、見出しの構造、写真の質。どれも間違っていませんが、自社のどこが壊れているかは反映されていません。最初に書いた、20個並んだ一覧と同じものが返ってきます。
生成AIは、渡していない数字を知りません。月に何人来ているか、問い合わせページに何人来ているかを渡さない限り、その3つのどれが壊れているかは判定できません。
渡すべき情報
改善案を出させる前に、次を渡してください。
- 月間のアクセス人数と、問い合わせページへの到達数と、送信の件数
- どの言葉で検索されて来ているか(上位20語)
- 自社は誰の、どんな困りごとを解決するのかという1文
この3つがあると、返ってくる内容が変わります。一般論ではなく、自社のどこから直すべきかという話になります。
社内で改善を通すときに、詰まる場所
何を直すべきかが分かっても、そこから先で止まることがあります。決裁が下りない、担当が付かない、優先順位が上がらない。
通らない理由は、たいてい「効果が読めない」です
改善の提案が通らないとき、反対されているのは施策の中身ではありません。やってみないと分からない、という部分です。
ここを外すには、効果ではなく現状の数字から入ります。「デザインを新しくしたい」ではなく、「問い合わせページに来ているのが月に12人で、訪問者の0.4%です」と出す。
数字を出すと、話が「やるかどうか」から「どこまで戻すか」に変わります。0.4%が業界の水準に届いていないなら、直す理由の説明が要らなくなります。
最初に選ぶのは、いちばん小さい1つです
もう1つ効くのが、最初の提案を小さくすることです。
フォームの入力欄を13個から4個に減らす。費用はかかりません。作業は1時間です。元に戻すのも1時間です。戻せる提案は、通ります。
そして、これが数字を動かします。動いた数字を持って次の提案をすると、2つ目からは通りやすくなります。順番として、いちばん小さくて戻せるものを最初に置いてください。
直す前の状態を、必ず記録しておく
これを飛ばすと、後で困ります。
直す前に、対象のページの見た目を保存し、直前4週間の数字を書き出してください。動かなかったときに戻せますし、動いたときには何がどう変わったかを説明できます。
記録が無いと、「なんとなく良くなった気がする」で終わります。それだと3つ目の提案が通りません。
改善が3か月で止まる理由
ホームページの改善は、始めた会社の多くが3か月で止まります。理由は忙しさではありません。次に何をすればいいか分からなくなるためです。
最初の数か月は進みます。数えて、順番を決めて、上から直していく。ところが週単位の改善を終えると、残っているのは効くまでが遠いものだけになります。手を動かしても数字が動かない期間に入り、そこで止まります。
止まらないための、1つの決め方
効きの早い作業と、遠い作業を、必ず同じ週に並行させてください。
今週は新しいページを1枚書く。同じ週に、既存ページのタイトルを1本直す。前者は数か月後に効き、後者は来週に効きます。毎週この2つを並べると、数字が動かない週がなくなります。
効きの遠い作業だけの週を作ると、その週の終わりに「何も変わっていない」と感じます。それが3週続くと止まります。
書く題材が尽きる問題
新しいページを作り続けるときに、もう1つ壁があります。書く題材が尽きます。
最初の数枚は書けます。よく聞かれる質問、事業への思い、サービスの説明。ここまでで在庫が尽きて、次の題材が思いつかなくなります。
解決策は、題材を頭の中から探すのをやめることです。検索候補を機械的に広げて、需要があってまだ自社が書いていない言葉だけを取り出す。この形にすると、題材が毎日出てきます。
人が思いつく言葉は、すでに書いた言葉に似ます。似た言葉のページを増やすと、自社のページ同士が同じ検索結果で競合します。増えているのに、どれも上がらなくなります。自社が105本で経験したのがこれです。
1年後に、何を振り返るか
1年続けたときに見る数字を、先に決めておきます。ここが曖昧だと、続けたかどうかの判断ができません。
| 見る数字 | 1年での目安 | 届いていない場合に疑うもの |
|---|---|---|
| 検索から来た人数 | 開始時の3倍以上 | 狙う言葉の需要 |
| 社名以外で表示されたクエリ数 | 100語以上 | ページの本数と厚み |
| 問い合わせページへの到達率 | 訪問の1%以上 | 最初の画面と導線 |
| フォームの送信率 | 到達者の10%以上 | 入力欄の数 |
| 問い合わせの件数 | 開始時の2倍以上 | 上の4つのどれか |
いちばん下の1行だけを見ないでください。問い合わせの件数は、上の4つの掛け算で決まります。件数だけを見ていると、どこが足りないのかが分かりません。
1年経っても動かない場合
4つのうち1つ目が動いていないなら、狙う言葉を全部見直してください。1年かけて表示が増えていないということは、需要のない言葉を選び続けたということです。
1つ目は動いているのに5つ目が動いていない場合は、2つ目から4つ目のどこかで漏れています。数えれば1か所に絞れます。
どちらの場合も、続ければそのうち当たる、という判断はしないでください。選び方が同じであれば、確率は上がりません。
90日の改善計画
1人で回す前提の進め方です。専任を置ける場合は、この半分の期間で進みます。
| 時期 | やること | この時点で分かること |
|---|---|---|
| 1週目 | 3つの数字を数え、壊れている場所を1つに絞る | どこから直すかが決まる |
| 2週目 | 狙う言葉を10個決め、候補の数で絞る | 作る価値のあるページが3〜5枚残る |
| 3〜8週目 | 残った言葉のページを、1週に1枚ずつ作る | 表示が出はじめる(8週目以降) |
| 3週目 | タイトルと説明文を書き換える | クリック率が動く |
| 4週目 | 最初の画面の1文を直す | 問い合わせページへの到達数が動く |
| 5週目 | 問い合わせボタンの文言を直す | 同上 |
| 6週目 | フォームの入力欄を減らす | 送信件数が動く |
| 7〜8週目 | 11位から20位のページを厚くする | 順位が動く(4〜8週後) |
| 9〜12週目 | 似た内容のページを1本にまとめる | まとめたページの順位が動く |
3週目以降、時間のかかる作業(新しいページ)と、効きの早い作業が並行して進みます。この形だと、90日のあいだ手が止まりません。
よくいただく質問
予算が限られています。1つだけ選ぶなら何ですか
3つの数字を数えることです。費用はかかりません。数えた結果によって、次に選ぶべきものが変わるので、ここを飛ばすと選べません。
数えた後、人が来ていないなら狙う言葉の見直し。人は来ているなら最初の画面の1文。この2つは、どちらも外注せずにできます。
デザインは古いままで大丈夫ですか
問い合わせページへの到達数が正常なら、大丈夫です。古く見えることと、伝わらないことは別です。
ただし、スマートフォンで横にはみ出す、文字が小さくて読めない、ボタンが指で押しにくい。ここに当てはまる場合は、デザインの問題ではなく操作の問題なので、直してください。
改善したのに数字が動きません
3つを確かめてください。1つ目は、直した場所と見ている数字が対応しているか。フォームを直して順位を見ても、動きません。
2つ目は、待つ期間が足りているか。ページを厚くした効果は4〜8週かかります。1週間で判断すると、効いているものをやめてしまいます。
3つ目は、そもそも壊れていた場所を直したのか。数えずに選んだ場合、壊れていない場所を直している可能性があります。
どこまで自社でやって、どこから外注すべきですか
自社の事業内容を知らないとできない仕事は、外に出しても品質が上がりません。誰に何を売っているかを言葉にすること、よく聞かれる質問への答え、既存の顧客に選んだ理由を聞くこと。この3つです。
逆に、需要を確かめる作業と、決まった言葉で毎週書き続ける作業は、外に出したほうが速く、質も安定します。特に後者は、本業を持っている人が1年続けるのは現実的ではありません。3か月で止まります。
まとめ
この記事でお伝えしたことを整理します。
ホームページの改善で最初にやることは、施策を選ぶことではありません。3つの数字を数えて、壊れている場所を1つに絞ることです。1時間で終わります。
絞れたら、順番は効くまでの日数で決めます。時間のかかるものを先に始めて、待っている間に効きの早いものをやります。逆の順番だと、3か月分の遅れがそのまま結果の遅れになります。
いちばん多いのは、人が来ていない状態です。その原因は、狙っている言葉に検索需要が無いことです。自社は3つのドメインで狙う言葉の選び方だけを変えて測り、10位以内1本あたりの表示回数に23倍の差を確かめました。順位もクリック率もどちらも正常でした。
そして、やってはいけないことが3つあります。数える前の全面リニューアル、複数箇所の同時変更、効果を測らずに次へ進むこと。どれも、次に何をすべきかが分からなくなります。
改善案の一覧を、この記事に置かなかった理由
並べられた案から選ぶより、いま壊れている場所を1つ見つけるほうが、確実に前へ進むためです。
自社サイトが、いま月に何人を連れてきていて、そのうち何人が問い合わせページまで来ていて、何人が送信しているか。この3つの数字を出すところから始めてみてください。1時間で出ます。
数字が出たら、直す場所は自然に1つに決まります。
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