記事を書き始めて数時間、手が止まる。書いている内容そのものは間違っていない。ただ、最初に狙ったはずの検索キーワードから話が離れている。見出しを1つ足し、段落を入れ替え、また離れる。半日かけて、公開できる原稿は1本も残らない。
この状態になったとき、原因を文章力に求めても直りません。文章を書く前の段階で、その記事が何のためにあるのかが決まっていないだけです。決めていないものは、書きながら何度でも揺れます。
ご相談をいただく中小企業のサイトを拝見していると、記事の本数はあるのに問い合わせにつながっていないケースがあります。読ませていただくと、1本ずつは丁寧に書かれている。それでも成果が出ない理由は、どの記事も同じところにありました。構成の段階で、その記事を読み終えた人が何をできるようになるかが決まっていないのです。
構成案の作り方を解説した記事は世の中にたくさんあります。ただ、その多くは「上位表示されている記事の見出しを集めて、並べ替えて、自分の見出しにする」で終わっています。その手順で作った構成案からは、上位表示されている記事とよく似た記事しか生まれません。似た記事が後から出ていっても、先に出ている記事を追い越す理由がありません。
この記事では、競合の見出しを集めた後にやることを中心に扱います。検索結果の外側から材料を拾い、見出しの並びを決め、表を置く場所まで構成の段階で確定させる。読み終えたときに、次に書く1本の構成案をどこから手を付けるかが決まっている状態を目指します。
構成案を飛ばして書き始めると、どこで話が逸れるのか
構成案を作らずに書き始める人が怠けているわけではありません。むしろ逆で、早く形にしたい気持ちが強い人ほど、いきなり本文から入ります。ただ、書きながら考えるという進め方には、避けられない性質があります。
書きながら考えると、途中で主語が入れ替わる
文章は前の一文に引っ張られます。1つ前の文に出てきた話題が、次の文の出発点になる。これを何十回も繰り返すと、書き始めたときに想定していた読者と、書き終わったときに向き合っている読者が別人になっています。
たとえば、初めて自社サイトを作る経営者に向けて書き始めたはずが、途中で技術的な設定の話に入り込み、最後の3分の1はすでにサイトを運用している担当者向けの内容になっている。書いた本人は流れを追っているので気づきません。読者は途中で自分向けの記事だと思えなくなり、離脱します。
書き直しは、文章の問題として現れて設計の問題として残る
書き上げてから読み返し、違和感のある段落を直す。表現を整え、順番を入れ替える。それでも収まらないので、また直す。この作業が何周も終わらないとき、直すべき場所は文章にはありません。話の骨組みが定まっていないので、どこを直しても別の場所が浮きます。
骨組みを先に決めておけば、文章を直す作業は表現の調整だけで済みます。書き直しの多くは、構成の段階で防げたはずのものです。
時間の使い方が逆になっている
構成案に時間をかけると執筆が遅くなる、という感覚を持つ方がいます。実際には逆で、構成に時間を使った記事のほうが早く仕上がります。書く内容が決まっている状態で文章を書く作業は、埋めるだけの単純作業に近いからです。
| あなたの現在地 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 書き始めると途中で話が逸れる | 記事の到達点が決まっていない | 読み終えた読者ができることを一文で書く |
| 書き直しが何周も終わらない | 骨組みが定まらないまま表現を直している | 本文を閉じて見出しだけを並べ直す |
| 構成案は作ったが記事が似てしまう | 競合の見出しをそのまま採用している | 検索結果の外から材料を拾う |
| 書く量が毎回読めない | 見出しごとの分量を決めていない | 構成案に見出しごとの目安を書き込む |
| 公開後に順位が動かず手が止まる | 直す場所を特定する手がかりがない | 構成案を残し、見出し単位で検証する |
構成案とは何を指すのか、を先に揃えておく
構成案という言葉は、人によって指しているものが違います。同じ社内でも、外注のライターとの間でも、この認識がずれたまま進むと後戻りが起きます。
見出しの一覧は、構成案の一部でしかない
H2とH3を並べた箇条書きを構成案と呼ぶ現場は多いと思います。見出しの一覧は確かに構成案の中心ですが、それだけを渡されたライターは、各見出しの下に何を書けばいいのかを自分で決めることになります。決め方が人によって違うので、上がってくる原稿も毎回違います。
構成案に入っているべき情報は4つある
過不足なく回すには、見出しに加えて、読者像、到達点、各見出しで扱う内容の要点、そして分量の目安が要ります。この4つがそろっていると、書く人が誰であっても同じ記事が上がってきます。
構成案は指示書として読まれる
自分で書く場合でも、構成案は数日後の自分への指示書になります。書き始めるのが3日後なら、そのときの自分は今日考えていた文脈を覚えていません。「ここでは事例を1つ入れる」「ここは表で示す」と書いておくと、そのまま作業に入れます。
| 構成案の要素 | 決めていないと起きること | 決め方 |
|---|---|---|
| 読者像 | 説明の深さが段落ごとに変わる | 実際に問い合わせてきた人を1人思い浮かべる |
| 到達点 | 締めくくりで何を言えばいいか分からなくなる | 読み終えた人ができることを一文で書く |
| 見出しの並び | 読者が知りたい順と食い違う | 読者の切迫度から並べ方を選ぶ |
| 各見出しの要点 | 書く人によって中身が変わる | 見出しごとに結論を1行だけ先に書く |
| 分量の目安 | 前半が厚く後半が薄い記事になる | 見出しごとに目安の字数を割り振る |
| 表と図の位置 | 執筆後に慌てて足すことになる | 構成の段階で置く場所と列を決める |
構成案を作る前に決めることは、たった1つ
キーワード調査より前に、競合調査より前に、決めておくことが1つあります。この記事を読み終えた読者が、何をできるようになるか。これだけです。
到達点は一文で書けるまで削る
「読者に理解してもらう」では足りません。理解は目に見えないので、書けたかどうかを判定できないからです。判定できる形にするには、読者の行動で書きます。
たとえば「自社サイトの問い合わせフォームで、削る項目を1つ決められる」。これなら、記事を書き終えたときに、その1つを決められる材料を渡せているかを自分で確認できます。「フォームについて詳しくなる」だと、いくら書いても確認できません。
できるようになることは、1記事に1つに絞る
1本の記事で3つも4つも達成させようとすると、それぞれの説明が浅くなります。読者の側も、3つ渡されると1つも実行しません。選べない状態は、選ばない結果になります。
絞った結果、書きたかったことが余ります。余った分は別の記事に回してください。1本に詰め込んだ結果として全部が中途半端になるより、2本に分けて両方が使われるほうが得です。
到達点が書けないキーワードは、まだ書く時期ではない
キーワードを前にして、読み終えた読者ができることが一文で書けないことがあります。その場合、まだそのキーワードで検索する人の状況が分かっていません。この段階で書き始めると、一般論を並べた記事になります。
調べ直すか、後回しにするか。どちらかを選んだほうが、無理に書くより早く前に進みます。
| キーワードの型 | 読み終えたときにできること | 記事の終わり方 |
|---|---|---|
| やり方を探している | 手順の1歩目を今日実行できる | その日にできる作業を示す |
| 意味を調べている | 自社に当てはまるかを判断できる | 当てはまる条件と外れる条件を並べる |
| 比べている | 自社の条件で選ぶ基準を1つ持てる | 基準を決める順番を示す |
| 失敗を防ぎたい | 自社サイトの危ない箇所を1つ特定できる | 点検の観点を表で渡す |
| 外注を検討している | 依頼前に自社で決めておくことが分かる | 依頼時に伝える項目をまとめる |
競合の見出しを集める作業は、何のためにやるのか
構成案の作り方として一番よく紹介されているのが、上位表示されている記事の見出しを書き出す作業です。この作業自体は必要です。問題は、集めたものの使い道が説明されていないことにあります。
集めた見出しは、合格ラインの確認に使う
上位に並んでいる記事が全部触れている話題があるとします。それは、この検索をした人が最低限期待している内容だと考えられます。自分の記事にそれが入っていないと、読者は物足りなさを感じて戻ります。
つまり競合の見出しは、書く内容を教えてくれる材料というより、これを外すと減点されるという下限を教えてくれる材料です。下限を確認したら、その先は自分で決めることになります。
上位の記事の見出しが似ている理由
上位表示されている記事同士が似た見出しを持っていることは珍しくありません。理由は単純で、後から書いた側が先の記事を見て作っているからです。3番目の記事は1番目と2番目を見て作られ、4番目は3本を見て作られる。回を重ねるごとに、全員が同じ形に寄っていきます。
この列に7番目として並んでも、読者から見た違いがありません。違いがなければ、先に公開されて評価が積み上がっている記事のほうが有利です。
写した記事が伸びない仕組み
検索する人は、上から順に開きます。1本目で答えが得られたら、2本目は開きません。開かれなければ、どれだけ丁寧に書いていても評価は動きません。上位の記事と同じ内容を持つことは、開かれない側に回ることを意味します。
逆に、上位の記事が触れていない切り口が1つあると、そこだけを目当てに開かれる可能性が生まれます。全部で勝つ必要はありません。1つあれば足ります。
集めるときに一緒に記録しておくもの
見出しを書き写すとき、見出しの文言だけを控える人が多いのですが、一緒に控えておくと後で効くものが3つあります。その見出しの下に何文字くらい書かれているか、表や図が使われているか、そして読んだときに物足りなかった場所はどこか。
3つ目が特に重要です。上位の記事を読んで「ここはもっと知りたかった」と感じた場所が、自分の記事で厚くする場所になります。
| 集めた見出しの扱い | 効く使い方 | やりがちな使い方 |
|---|---|---|
| 全記事に共通する話題 | 外せない下限として押さえる | そのまま自分の見出しにする |
| 1本だけにある話題 | 読者の反応を見る候補として控える | 珍しいので飛びついて中心に据える |
| 見出しの下の分量 | 自分の記事の厚みの目安にする | 記録せず後から全体の字数だけ合わせる |
| 表や図の有無 | 同じ位置で表を使うか判断する | 執筆後に思い出して足す |
| 読んで物足りなかった場所 | 自分の記事の中心に据える | 気づいても記録せず忘れる |
検索結果の外側から材料を拾う
ここが、この記事で一番お伝えしたい部分です。上位表示されている記事を全部読んでも、そこに載っているのは他社が拾った材料だけです。同じ場所を見ている限り、同じものしか手に入りません。差が付くのは、検索結果に載っていない場所から材料を持ってきたときです。
問い合わせフォームに届いた文面を読み直す
自社に届いた問い合わせの本文には、その分野の人が実際に使う言葉と、実際に困っている状況が入っています。検索キーワードは短く切り詰められた形ですが、問い合わせの文面は状況ごと書かれているので、背景が読み取れます。
「ホームページを作ったが問い合わせが来ない」というキーワードの背後にある事情は、問い合わせ本文を10件も読めば見えてきます。作ってから半年経っている、社内に見る人がいない、業者と連絡が取れなくなっている。こうした事情は検索結果の記事には書かれていません。
電話と商談で最初に聞かれることを書き出す
営業や窓口を担当している人に「最初にいつも聞かれることは何ですか」と尋ねると、5つや6つはすぐ出てきます。毎日同じことを聞かれているからです。
ここで出てくる質問は、検索する人も同じように抱えている疑問である可能性が高い。しかも、口で説明している内容はすでに相手に伝わった実績があるので、記事にしたときの分かりやすさも担保されています。社内にある一番安い材料です。
質問サイトと口コミの言い回しを拾う
質問サイトに投稿された文章は、書き手が困りながら書いたものなので、言葉が整理されていません。この整理されていない状態が価値を持ちます。整理された言葉は誰の言葉でもありませんが、整理されていない言葉には具体的な状況が張り付いています。
拾うのは質問文だけでなく、その下に付いた回答への反応も見てください。「それは分かるのですが、うちの場合は」という続きが書かれていたら、そこに一般論では届かない層がいます。
社内の会話に落ちている前提
社内で当たり前に共有されている前提が、外の人にとっては初耳ということがよくあります。逆に、社内で言葉にされていない判断基準を言語化すると、それ自体が記事の中心になります。
「うちはこういう案件は断っている」「この条件だと大抵うまくいかない」といった判断は、経験から出てきたもので、検索結果には並んでいません。1本の記事の軸になる材料は、こういう会話の中にあります。
検索窓の周辺を読む
検索結果の一覧そのものより、その周りを見てください。検索した後に表示される関連する検索語、検索候補として出てくる語、そして質問形式でまとめられている枠。これらは検索した人がその後どこへ動いたかの記録です。
検索窓に入力したときに候補として出てくる語を、そのまま見出しにするのは危ないのですが、どういう続きが気になっているかの手がかりにはなります。
拾った材料を捨てる基準も持っておく
材料を集めると、全部使いたくなります。ここで基準がないと、記事が雑多になります。基準は最初に決めた到達点です。読み終えた読者ができるようになることに関係しない材料は、どれだけ面白くても外します。
| 材料の出どころ | そこでしか拾えないもの | 拾い方 |
|---|---|---|
| 問い合わせフォームの本文 | 困っている状況の背景 | 直近10件を通しで読み返す |
| 電話と商談の場 | 最初に必ず聞かれる疑問 | 担当者に口頭で5つ挙げてもらう |
| 質問サイトと口コミ | 整理されていない生の言い回し | 質問文と回答への反応を両方読む |
| 社内の会話 | 言語化されていない判断基準 | 断る条件を聞き取って書き出す |
| 検索候補と関連する検索語 | 検索の後にどこへ動いたか | 語を控えて到達点との距離を測る |
拾った材料を見出しに変える
材料が集まったら、見出しの形にします。ここで整えすぎると、せっかく拾った具体性が消えます。
読者の言葉のまま見出しにする
問い合わせで「業者と連絡が取れなくなった」と書かれていたら、見出しも近い言葉で作ります。これを「制作会社との連携における課題」と言い換えた瞬間、自分の記事だと感じてもらえる力が落ちます。
硬い言葉に直したくなるのは、そのほうが専門的に見えるからです。ただ、読者が探しているのは専門的に見える文章ではありません。自分の状況が書いてある文章です。
見出しは、疑問文と断定を使い分ける
読者がまだ疑問を持っている段階なら疑問文が刺さります。すでに答えを探している段階なら、断定して結論を先に見せたほうが早い。同じ内容でも、読者がどの段階にいるかで形が変わります。
記事の前半は疑問文、後半は断定という並べ方は、読者の状態の変化に沿っているので機能しやすい形です。
見出しだけで内容が想像できるか確かめる
見出しを読んだだけで、その下に何が書いてあるか分かる。これが満たせていれば、目次から目的の場所へ飛ぶ読者にも届きます。「ポイント」「注意点」「重要な考え方」といった語だけの見出しは、中身が想像できないので飛ばされます。
| 材料の状態 | 見出しへの変え方 | 避ける形 |
|---|---|---|
| 問い合わせの生の文面 | 言い回しを残したまま短くする | 硬い専門語に置き換える |
| 担当者がよく受ける質問 | 疑問文のまま見出しにする | 「よくある疑問」でまとめる |
| 社内の判断基準 | 断定形で結論を見せる | 「考え方」と抽象化する |
| 複数の材料が同じ方向を指す | 1つの見出しに束ねて厚く書く | 材料の数だけ見出しを増やす |
| 面白いが到達点と離れている | 別記事の候補として控える | もったいないので入れておく |
見出しの並べ方を決める
見出しがそろったら、順番を決めます。並べ方には大きく2つの型があり、どちらを選ぶかは読者の状態で決まります。
結論を先に置く型
読者が急いでいる場合、記事の一番上に答えを置きます。「何をすればいいか」を先に示し、その後で理由と手順を説明する。締め切りが迫っている人、トラブルが起きている人はこの形を求めています。
この型の弱点は、答えを見た時点で戻られることです。ただ、それは読者にとって良いことなので、記事としては役目を果たしています。役目を果たした記事は、次に困ったときにまた開かれます。
順を追う型
読者が判断材料を集めている段階なら、順を追って組み立てたほうが伝わります。前提を共有し、選択肢を並べ、比べて、決める。この順番を飛ばすと、結論だけ示されても納得できません。
検討期間が長い商材や、社内で決裁を通す必要がある読者は、この型を必要としています。読者が上司に説明する場面を想像すると、どこまで根拠が要るかが見えてきます。
迷ったときは読者の切迫度で決める
どちらか判断が付かないときは、そのキーワードで検索する人がどれくらい急いでいるかを考えてください。急いでいるほど結論が先、じっくり調べているほど順を追う形が合います。
切迫度が読めない場合は、結論を先に置いて、その後ろに順を追う説明を続ける形にしておくと、どちらの読者も取りこぼしません。ただし、記事全体は長くなります。
並べ替えは本文を書く前にやる
見出しの入れ替えは、この段階なら数分で終わります。本文を書いた後だと、段落のつながりを直す作業が付いてくるので何倍もかかります。並び順に納得がいくまで、本文には入らないでください。
| 読者の状態 | 合う並べ方 | 冒頭に置くもの |
|---|---|---|
| トラブルが起きていて急いでいる | 結論を先に置く | 今すぐ確認する場所 |
| やり方を知りたい | 結論の後に手順を続ける | 手順の全体像 |
| 社内で提案する材料を集めている | 順を追って組み立てる | 前提の共有 |
| 選択肢を比べている | 基準を先に示してから比べる | 選ぶときの基準 |
| まだ検討が始まったばかり | 順を追って全体像から入る | 放置したときに起きること |
1つの見出しで扱うことを1つに絞る
構成案が完成に近づいたとき、必ず起きるのが見出しの肥大化です。書きたいことが増えると、1つの見出しに2つも3つも詰め込みたくなります。
2つのことを抱えている見出しの見分け方
見出しの文言に「と」や「や」が入っていたら、まず疑ってください。「キーワードの選び方と競合の調べ方」は2つの話です。読者は目次でこの見出しを見たとき、どちらの答えが書いてあるのか判断できません。
もう1つの見分け方は、その見出しの下に書く結論を1行で書いてみることです。1行で書けないなら、扱っている話が複数あります。分ければ、それぞれの結論が1行で書けるようになります。
分けた結果、見出しが増えすぎたとき
すべてを分けていくと、見出しが40も50も並ぶことがあります。この状態は読者にとって読みにくい。ここで戻って、到達点から遠い見出しを削ります。削る判断は、増やす判断より難しいのですが、削らない記事は焦点を失います。
H3の下にさらに階層を作らない
H3の下にH4を並べたくなったら、たいていはH3の切り方が粗すぎます。階層が深い記事は、目次が長くなり、読者が全体像をつかめません。3階層で収まる形に整理し直したほうが、結果的に読みやすくなります。
| 見出しの症状 | 起きている問題 | 直し方 |
|---|---|---|
| 「と」「や」でつないでいる | 2つの話が同居している | 2つの見出しに分ける |
| 結論が1行で書けない | 扱う範囲が広すぎる | 結論の数だけ見出しを立てる |
| 下に書くことが3行で終わる | 見出しにするほどの中身がない | 隣の見出しに吸収する |
| H4が並んでいる | H3の切り方が粗い | H3を分割して階層を浅くする |
| 似た見出しが離れた場所にある | 並べ替えの途中で分断された | 隣同士に寄せて1つにまとめる |
表を入れる場所を、構成の段階で決めておく
表を後から足す記事と、最初から置く場所を決めてある記事では、出来上がりがはっきり違います。後から足した表は、本文で説明したことをもう一度並べただけになりがちです。
表が効く場所は3か所ある
1か所目は、読者が自分の状況を当てはめる場所。症状と原因と対処を並べた表があると、読者は自分の行に目を留めます。2か所目は、選択肢を比べる場所。3か所目は、記事の最後に置く点検の一覧です。
逆に、順番のある手順を表にすると読みにくくなります。手順は文章か番号付きの並びのほうが伝わります。
表の列は構成の段階で決める
列の見出しが決まっていれば、本文を書くときに何を埋めればいいか迷いません。読者が自分を当てはめる表なら、列は「あなたの状況」「いま起きていること」「次にすること」の3つで揃えると、どの表も同じ読み方ができます。
列がそろっていない表が並ぶ記事は、表ごとに読み方を切り替えることになり、読者の負担が増えます。
行の数は4行から6行に収める
3行だと表にする意味が薄く、8行を超えると全体を見渡せません。4行から6行に収まらない場合は、分類の仕方を見直すと自然に収まります。
表にできない内容を無理に表にしない
1つのことを長く説明したい内容を表に押し込むと、1つのセルに何行も文章が入った読みにくい形になります。表はあくまで並べて比べるための道具です。並べる価値がないものは、文章で書いたほうが伝わります。
| 表の種類 | 置く場所 | 列の作り方 |
|---|---|---|
| 自分を当てはめる表 | 各章の終わり | 状況/起きていること/次にすること |
| 選択肢を比べる表 | 比較を扱う章 | 選択肢/向く条件/外れる条件 |
| 症状と原因の表 | 問題を扱う章の前半 | 症状/原因/確認する場所 |
| 点検の表 | 記事の最後 | 点検項目/見る場所/直し方 |
| 手順の説明 | 表にせず本文で扱う | 番号を振って順に書く |
文字数と見出しの数を、構成の段階で割り振る
書き始めてから分量を調整すると、前半が厚く後半が薄い記事になります。書いているうちに疲れるからです。構成の段階で割り振っておけば、この偏りは防げます。
見出しごとに目安を書き込む
H2ごとに目安の字数を書いておきます。厳密である必要はありません。この見出しは厚く、この見出しは軽く、という濃淡が分かれば十分です。
濃淡を決めるときの基準は、到達点との距離です。読者ができるようになることに直結する見出しを一番厚くします。前提の共有や用語の説明は、必要ではあっても薄くて構いません。
全体の分量は競合を測ってから決める
そのキーワードで上位に並んでいる記事が、どれくらいの分量で書かれているかを実際に測ります。目分量で済ませず、本文の文字数として数えます。上位の記事より薄い記事を出しても、読者は物足りなさを感じます。
ただし、水増しした長さには意味がありません。同じことを言い換えて繰り返す文章は、読者にすぐ気づかれます。長くするなら、材料を増やして長くします。
後半が薄くなる記事の直し方
すでに書いた記事を読み返して、後半が明らかに薄いことに気づいたら、構成の段階で後半に回した見出しの選び方を疑ってください。厚く書ける材料を前半に集めてしまい、後半に材料の少ない見出しだけが残っている状態です。
| 見出しの位置づけ | 分量の目安 | 判断の基準 |
|---|---|---|
| 到達点に直結する見出し | 記事全体の3割前後 | 読者が実行する内容が入っているか |
| 問題の説明 | 記事全体の2割前後 | 読者が自分ごとにできるか |
| 前提と用語の共有 | 薄く抑える | 知っている読者が飛ばせるか |
| よくある質問 | 1問あたり短くまとめる | 本文と重複していないか |
| まとめと点検 | 短く、表を中心に | 読み返さずに実行できるか |
構成案には、書かないことも書いておく
何を書くかと同じくらい、何を書かないかを決めておくと、執筆中の迷いが減ります。
隣の記事に譲る範囲を決める
関連する話題を全部入れると、隣の記事と内容が重なります。同じサイト内で似た記事が並ぶと、どちらが検索結果に出るか安定しません。書かない範囲を決めて、そこは内部リンクで渡します。
内部リンクの行き先を構成に書く
どの見出しから、どの記事へリンクするか。これも構成の段階で決めておきます。執筆後に探すと、適切な記事を見落とします。行き先が決まっていれば、その見出しの説明をどこまで書くかも自動的に決まります。
読者を送り出す先を1つに絞る
記事の最後で読者に何をしてもらうか。資料を見てもらうのか、相談してもらうのか、別の記事を読んでもらうのか。3つ並べると、読者はどれも選びません。1つに絞ってください。
| 決めること | 決めていないと起きること | 構成案への書き方 |
|---|---|---|
| 書かない範囲 | 隣の記事と内容が重なる | 「ここは別記事に譲る」と明記する |
| 内部リンクの行き先 | 執筆後に探して見落とす | 見出しの横に行き先を書く |
| 送り出す先 | 読者が何もせずに離れる | 記事の最後に1つだけ置く |
| 使わない材料 | 詰め込んで焦点が散る | 別記事の候補として控える |
タイトルは構成案が固まってから決める
タイトルを先に決めてしまうと、構成をタイトルに合わせに行くことになります。順番を逆にすると、構成の中身を正確に表したタイトルが付けられます。
タイトルは記事の中身の要約になっているか
タイトルを読んで期待した内容と、記事の中身が違う。この落差が離脱を生みます。構成案が手元にある状態でタイトルを付ければ、書いていない内容を約束してしまう事故は起きません。
キーワードは前のほうに置く
狙ったキーワードは、タイトルの前半に自然な形で入れます。ただし、入れることを優先して日本語として不自然になると逆効果です。読んで意味が通る形が優先です。
読者の状態を1つ入れる
「構成案の作り方」だけだと、誰に向けたものか分かりません。「書き始めてから話が逸れる人向け」という状態が入ると、当てはまる読者が自分ごととして開きます。状態は、材料を拾ったときに出てきた言葉から選びます。
書き始める前に、自分で確認すること
構成案ができたら、本文に入る前に確認します。ここで見つかる欠陥は、修正に数分しかかかりません。同じ欠陥を執筆後に見つけると、数時間かかります。
見出しだけを続けて読む
本文を隠して、見出しだけを上から続けて読んでみてください。話の流れとして通っているか、途中で飛んでいる場所がないかが分かります。読んでいて引っかかった場所が、読者も引っかかる場所です。
読者が知りたい順になっているか
自分が説明したい順と、読者が知りたい順は一致しません。書き手は前提から説明したくなりますが、読者は答えから知りたい。見出しの並びが自分の都合になっていないかを疑ってください。
到達点にたどり着けるか声に出す
最初に決めた到達点を読み上げ、構成案の見出しを順に見ていって、その到達点に届くかを確かめます。届かないなら、足りない見出しがあります。逆に、到達点に関係のない見出しが混ざっていることも見つかります。
他社の記事を横に置いて比べる
最初に集めた競合の見出しと、自分の構成案を並べます。ここで似ていたら、まだ差が付いていません。自分の構成案にだけある見出しが3つ以上あるかを数えてください。1つもないなら、材料を拾う工程に戻ります。
誰に見せても同じ記事が上がってくるか
その構成案を他の人に渡したとして、自分が想定した記事が上がってくるか。想像してみて不安が残るなら、書き足りていない指示があります。各見出しの下に、要点を1行ずつ足してください。
| 点検項目 | 見るところ | 直し方 |
|---|---|---|
| 見出しだけで流れが通るか | 本文を隠して上から読む | 引っかかった場所に見出しを足す |
| 読者が知りたい順か | 冒頭3つの見出し | 答えに近い見出しを前へ動かす |
| 到達点に届くか | 最後の章と到達点の対応 | 足りない見出しを補う |
| 競合と差があるか | 自分にだけある見出しの数 | 3つ未満なら材料集めに戻る |
| 他人が書いても同じか | 各見出しの要点の有無 | 1行ずつ要点を書き足す |
構成案がある記事は、公開した後の直し方が変わる
構成案の効果は、書くときだけに現れるものではありません。公開してから数か月経ったときに、もう一度効いてきます。
順位が付かないとき、直す場所を特定できる
記事全体を眺めて「なんとなく良くない」と感じても、手は動きません。構成案が残っていれば、見出し単位で疑えます。この見出しは読者の疑問に答えていたか、この章は薄すぎなかったか。単位が小さくなると、直す作業が具体的になります。
検索された語と見出しを突き合わせる
公開後、その記事がどんな語で表示されているかを検索の管理画面で確認できます。想定していなかった語で表示が多いなら、その語に対応する見出しを足す判断ができます。構成案があると、どこに足すかがすぐ決まります。
構成案は次の記事の資産になる
1本作った構成案は、同じ読者層に向けた次の記事でも使えます。読者像と到達点の書き方、表の列の揃え方、並べ方の型。毎回ゼロから考えていると身に付かないものが、残しておくと積み上がります。
10本、20本と溜まった頃には、新しいキーワードを渡されても、どの型で組むかが最初の10分で決まるようになります。
| 公開後の状況 | 構成案があると分かること | 次にすること |
|---|---|---|
| 表示は増えたが読まれていない | タイトルと中身の落差 | タイトルを構成の中身に合わせる |
| 途中で離脱されている | 並べ方が読者の順と違う | 離脱の多い見出しの前を組み替える |
| 想定外の語で表示される | その語に対応する見出しの不足 | 該当する章に見出しを足す |
| 順位が上がらない | 競合と差が付いていない | 検索結果の外から材料を足す |
| 読まれているが問い合わせがない | 送り出す先が決まっていない | 記事の最後を1つの行き先に絞る |
構成案づくりでつまずきやすい場面
手順を知っていても、実際にやると詰まる場面があります。よく聞く3つを挙げます。
材料が集まらないとき
問い合わせが少なく、社内に窓口もない場合、材料の出どころが限られます。この場合は、自社の過去の失敗を材料にしてください。うまくいかなかった案件、途中で止まった取り組み。そこには一般論に載っていない具体性があります。
書きたいことと読者が知りたいことがずれるとき
自社が伝えたい内容と、検索した人が知りたい内容が食い違うことがあります。このとき、読者の側に寄せます。伝えたい内容は、読者の疑問に答え切った後の場所に置けば読まれます。順番の問題であって、載せられないわけではありません。
構成案に時間をかけすぎるとき
完璧な構成案を目指すと、いつまでも書き始められません。到達点が決まり、見出しの並びに納得がいき、表の位置が決まったら、その時点で書き始めてください。細かい調整は、書きながらでも間に合います。
よくある質問
構成案にどれくらい時間をかけるべきですか
記事1本にかける時間のうち、3割ほどを構成に使う配分が目安です。構成に時間を使うと執筆が速くなるので、合計時間はむしろ短くなります。初めてのテーマなら、材料集めにもう少し時間を足してください。
競合の見出しは何本まで調べればいいですか
上位の5本ほどで、共通している話題は見えてきます。10本、20本と増やしても、新しい発見は増えません。その時間は、検索結果の外から材料を拾う作業に回したほうが差が付きます。
見出しの数に決まりはありますか
決まった数はありません。ただ、H2が3つしかない記事は1つの見出しが大きすぎ、30を超える記事は焦点が散っています。読者が目次を見て全体像をつかめる範囲に収めるのが目安です。
外注のライターに構成案を作ってもらうのはどうですか
見出しを組む作業は任せられます。ただ、到達点と、社内にしかない材料は自社で用意してください。この2つを渡さずに依頼すると、検索結果を見て作った構成案が上がってきます。それは他社と似た記事になります。
すでに公開した記事の構成案を後から作る意味はありますか
あります。公開済みの記事の見出しを書き出し、到達点を一文で書いてみると、その記事に何が足りないかが見えます。順位が付いていない既存記事を直すときは、この作業から始めると手が動きます。
まとめ
構成案の作り方として広く紹介されている手順は、上位表示されている記事の見出しを集めて並べ替えるところで止まっています。その手順で作った構成案からは、すでに上位にある記事とよく似た記事が生まれます。似た記事は、先に出ている記事を追い越せません。
差が付くのは、集めた後です。読み終えた読者が何をできるようになるかを一文で決め、問い合わせや社内の会話といった検索結果の外側から材料を拾い、読者の切迫度に合わせて並べ、表を置く場所まで構成の段階で確定させる。ここまでやってから本文に入ると、書き直しはほとんど起きません。
そして構成案は、公開した後にもう一度効きます。順位が動かないときに、見出し単位で疑える。これが、なんとなく良くないという感覚のまま止まってしまう状態との違いです。
今日できる点検
次に書く1本、あるいはすでに公開している1本を開いて、この表の順に確かめてみてください。
| 点検項目 | 見る場所 | 直し方 |
|---|---|---|
| 到達点が一文で書けるか | 構成案の先頭 | 読者の行動の形で書き直す |
| 競合にない見出しが3つあるか | 見出しの一覧と競合の一覧 | 足りなければ材料集めに戻る |
| 1つの見出しが1つの話か | 「と」「や」が入った見出し | 2つに分けて結論を1行ずつ書く |
| 表を置く場所が決まっているか | 各章の終わりと記事の最後 | 列を揃えて構成案に書き込む |
| 送り出す先が1つか | 記事の最後の段落 | 行き先を1つに絞る |
この5つのうち、直せていない行が1つでもあるなら、そこが次に手を付ける場所です。全部を一度に直そうとせず、上から順に1つずつ確かめてください。
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