開いたGoogleの公式ページに、生成AIで記事を作ったことだけを理由とする違反の記述は見つかりませんでした。
違反になりうるのは、検索順位の操作を主な目的に、利用者にとっての価値を足さないまま大量のページを作ったときです。
「ペナルティ」と呼ばれる出来事は3つに分かれ、公式ページに通知の記述があるのは、Googleの担当者が人の目で審査して下す「手動による対策」だけです。
根拠は、Googleの公式ページ9点と、文化庁と個人情報保護委員会の資料2点です。2026年10月26日に、すべて開いて確かめました。
順位が下がったときに見る順番は4つ、公開前に確かめることは7つです。公式に書かれている部分と筆者の勧めは、そのつど分けて示します。
「ペナルティ」と呼ばれる出来事は3つに分かれる
公式ページに「ペナルティ」という語はほとんど出てこない
Googleの日本語版の公式ページ9点で、「ペナルティ」という語を数えました。
出てくるのは、スパムに関するポリシー(検索結果の質を守るためにGoogleが定めている禁止事項)のページの1か所だけです。欧州経済領域での扱いを説明する中の、「なんらかの手動ペナルティの対象になったりすることはありません」という一文でした。
英語版9点でも、同じページの1か所だけです。
公式が使う言葉は、「手動による対策」「スパムに関するポリシー」「コア アップデート」といった個別の名前です。通称の「ペナルティ」は、性質の違う出来事を1語にまとめてしまいます。
3つの出来事の違い
次の表に出てくる Search Console は、Googleが提供している、サイトの検索状況を確認するツールです。SpamBrain はGoogleのAIをベースにしたスパム防止システムで、コア アップデートは、Googleが年に数回行う検索の仕組みの大規模な変更を指します。
3つの出来事を、公式ページの記述で分けると次のとおりです。
| 出来事 | 決めるのは誰か | サイト運営者への通知 | 公式が示す戻し方 |
|---|---|---|---|
| 手動による対策 | Googleの担当者が、人の目でページを審査する | 手動による対策レポートと Search Console メッセージ センターでお知らせする | 問題を直して再審査をリクエストする。ほとんどの再審査は数日から数週間かかる |
| スパムの自動検出 | SpamBrain などの自動システム | スパム アップデートのページに、通知の記述は見当たらない | サイトを直し、自動システムが学習し直すのを待つ。数か月かかることがある |
| コア アップデート | 検索アルゴリズムとシステムへの大規模な変更。特定のサイトを対象にしない | コア アップデートのページに、サイトごとの通知の記述は見当たらない。開始日と終了日は検索ステータス ダッシュボードで確かめる | 有用で信頼できる、ユーザー第一のコンテンツへ改善する。効果が出るまで数か月かかることもある |
「見当たらない」は、スパム アップデートのページとコア アップデートのページで、「通知」と「再審査」の語を探して確かめた結果です。記述が見つからないことと、存在しないことの証明は別の話です。
通知の記述があるのは手動による対策だけ
Search Console のヘルプは、手動による対策の通知を次のように書いています。
「サイトに対して手動による対策が行われた場合は、[手動による対策] レポートと Search Console メッセージ センターでお知らせします。」
通知が無いのに順位が下がっている場合は、表の残る2行(自動検出とコア アップデート)が手がかりになります。コア アップデートのページには、「元来、Google の検索結果は流動的なものです」という一文もあります。
この記事で開いた公式ページと日付
日本語版と英語版で更新日が違う
更新日を確かめたGoogleのページ9点のうち6点は、日本語版の日付が英語版より2日から21日あとでした。
| 資料 | 日本語版の日付 | 英語版の日付 | この記事で使った所 |
|---|---|---|---|
| ウェブサイトで生成 AI によるコンテンツを使用するための Google 検索のガイダンス | 2026年10月6日 | 2026年10月1日 | 公開前の事実確認、作り方の説明 |
| スパムに関するポリシー | 2026年9月2日 | 2026年8月28日 | 大量生成されたコンテンツの不正使用 |
| 有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成 | 2026年10月7日 | 2026年10月5日 | 労力、誰が・どのように・なぜ |
| Google 検索のコア アップデートとウェブサイト | 2025年12月31日 | 2025年12月10日 | 順位が下がったときの見方 |
| Google 検索のスパム アップデートとお客様のサイト | 2025年12月31日 | 2025年12月10日 | 自動検出の改善と待ち時間 |
| Google 検索ランキング システムのご紹介 | 2025年12月18日 | 2025年12月10日 | スパム検出システム |
| [手動による対策] レポート(Search Console ヘルプ) | 日付の表示なし | 日付の表示なし | 通知、種類、再審査 |
| ブログ「AI 生成コンテンツに関する Google 検索のガイダンス」 | 2023年2月8日に投稿 | 2023年2月8日に投稿 | AIの利用そのものへの答え |
| ブログ「2024 年 3 月のコア アップデートとスパムに関する新しいポリシーについてウェブ クリエイターが知っておくべきこと」 | 2024年3月5日に投稿 | 2024年3月5日に投稿 | 大量生成の方針が変わったかどうか |
| 「AI と著作権に関する考え方について」(文化庁、文化審議会著作権分科会法制度小委員会) | 2024年3月15日 | 日本語の資料 | 類似性、依拠性、創作的寄与 |
| 「生成 AI サービスの利用に関する注意喚起等」(個人情報保護委員会) | 2023年6月2日 | 日本語の資料 | プロンプトに入力する情報 |
本文で引くのは、日本語版の原文です。英語版にしかない文言は「英語版は」と書き、訳したときは「英語版の訳」と示します。
ガイダンス全文の解説は別の記事に
Googleの生成AIガイダンスのページそのものの読み解きは、AI生成コンテンツはGoogleで違反になる?線引きは価値の有無と公開前の確認で扱っています。
この記事は、ペナルティと呼ばれる出来事の区別と、公開前の点検の手順に絞ります。
AIで作ったこと自体は違反とされていない
2023年2月の公式の答え
Googleは2023年2月8日のブログで、よくある質問に答えました。最初の質問は「AI 生成コンテンツは Google 検索のガイドラインに抵触しますか?」です。
答えは次のとおりです。
「AI や自動化は、適切に使用している限りは Google のガイドラインの違反になりません。検索ランキングの操作を主な目的としてコンテンツ生成に使用すると、スパムに関するポリシーへの違反とみなされます。」
前半が許される範囲、後半が違反になる線です。線を引く基準は目的で、使った道具の種類は基準の外にあります。
2024年3月の新しいポリシーは考え方を変えたのか
2024年3月5日のブログには、「これは、スパムに関連して AI 生成コンテンツに対する Google の考え方が変わったということですか?」という問いがあります。
答えの後半は次のとおりです。
「新しくなったポリシーは、これまでのポリシーと同じ考え方を踏襲し、同じ原則に基づいて対象範囲を広げたもので、低品質のコンテンツが自動化でのみ作成されたか判定が難しい、より巧妙な大量生成手法にも対応できるようになりました。」
公式の説明は、考え方は同じで対象範囲が広がった、というものです。
AIを使うとランキングで有利になるわけでもない
2023年のブログは、有利になるかどうかにも答えています。
「AI を使用したからといってランキングに関して特別なメリットがあるわけではありません。」
同じ回答は、有用でオリジナルな内容がGoogleの品質の基準を満たせば、上位に表示される可能性が高くなると続けています。評価の軸に置かれているのは内容です。
違反の線は「大量生成されたコンテンツの不正使用」
定義文は目的・価値・量でできている
スパムに関するポリシーは、大量生成されたコンテンツの不正使用を、「検索ランキングの操作を主な目的として大量のページを生成することを指します」と定めています。
続く文が、価値と作成方法に触れています。
「この不正行為は通常、ユーザーにとってほとんどまたはまったく価値がなく、独自性のないコンテンツをその作成方法は問わず、大量に作成することに特化しています。」
定義文を分けると、目的(検索ランキングの操作)、価値(利用者にとってほとんどまたはまったく無く、独自性が無い)、量(大量)の3つが読み取れます。これは筆者の整理です。
「その作成方法は問わず」と書かれているので、人が書いたページでも、この3つがそろえば対象です。
公式が挙げる5つの例
同じページは、例を5つ挙げています。右の列は、自社の記事に引き直すための筆者の問いです。
| 公式の例(原文) | 引き直した問い(筆者の整理) |
|---|---|
| 「生成 AI ツールまたはその他の同様のツールを使用して、ユーザーにとっての価値を付加することなく大量のページを生成すること」 | 生成した文章に、読者の役に立つ情報を人が足したか |
| 「フィード、検索結果、その他のコンテンツをスクレイピングして、ユーザーにとってほとんど価値がない大量のページを生成すること(類義語生成、翻訳、その他の難読化手法などを使用)」 | 他のサイトの内容を機械で集めて並べていないか |
| 「複数のウェブページからのコンテンツを、価値を加えることなくつなぎ合わせたり組み合わせたりすること」 | 既存ページの要約や寄せ集めに、自社の知見が入っているか |
| 「コンテンツを大量生成したことを隠す目的で複数のサイトを作成すること」 | 同じ内容を複数のサイトに分けて出していないか |
| 「検索キーワードは含んでいるものの、閲覧者にとってほとんどまたはまったく意味がないコンテンツのページを大量に作成すること」 | キーワードだけを差し替えた同じ型のページを並べていないか |
生成AIを名指しするのは、1つ目だけです。残る4つは、道具に関係なく、価値の無いページを量産する行為を挙げています。
「何本から大量か」は書かれていない
スパムに関するポリシーの該当箇所に、本数や公開ペースの数字は出てきません。判断の材料として書かれているのは、目的、価値、量です。
ポリシー全体の整理は、スパムに関するポリシーを中小企業向けに整理した記事にあります。
手動による対策は、人が見て通知が来る
誰が、どのように行うか
Search Console のヘルプは、手動による対策を次のように説明しています。
「Google の担当者が特定のサイトのページを目視で審査し、Google のスパムに関するポリシーに準拠していないと判断した場合、そのサイトに対して手動による対策を行います。」
対策の効果は、次のように書かれています。
「手動による対策が行われると、そのサイトの一部またはすべてが Google 検索の検索結果に表示されなくなります。」
検索結果から外れても、閲覧者に対策中という表示は出ません。ヘルプにも「ユーザーに対して視覚的に識別できるような表示は行われません」とあります。
自動の検出が主で、手動はそれを補う
同じヘルプは、自動と手動の関係をこう書いています。
「Google のアルゴリズムは、ウェブスパムの検出を得意としており、ほとんどのウェブスパムは自動的に発見されて検索結果から削除されます。」
そのうえで、「手動による対策を実施して、検索結果からウェブスパムを削除することも必要だと考えています」と続きます。
AIの記事に関わりうる2つの種類
ヘルプの「手動による対策の一覧」には、種類ごとの説明があります。大量生成の記事に関わりうるのは、次の2つです。
| 種類 | ヘルプの説明(原文) | ヘルプが示す対応 |
|---|---|---|
| 価値のない質の低いコンテンツ | 「サイト内で質の低いページや内容の薄いページが検出されました。」例として、無断複製されたコンテンツなどが挙がっている | 「サイトがユーザーに意味のある付加価値をもたらしているかどうかを検討します。」 |
| スパムに関する重大な問題 | 「サイトが大量生成されたコンテンツの不正使用、クローキングといった悪質なスパム技法を使用しているか、その他の Google のスパムに関するポリシーに繰り返しまたは著しく違反していると考えられます。」 | 「Google スパムに関するポリシーに違反しなくなるようにサイトを更新します。」 |
クローキングとは、ヘルプによると、ユーザーに配信するコンテンツとは異なるコンテンツを、Googleの検索用にページを巡回するプログラムへ配信する行為です。
2つの説明文は、AIという語を使わずに行為を挙げています。大量生成されたコンテンツの不正使用が名指しされているのは「スパムに関する重大な問題」で、条件になるのは行為の中身です。
手動対策レポートの見え方
手動による対策がかかっているサイトでは、レポートの上部に、行われた手動による対策の回数が表示されます。かかっていないサイトには、緑色のチェックマークと適切なメッセージが出ます。
| レポートの状態 | ヘルプの記述 | 次にすること |
|---|---|---|
| 手動による対策が無い | 「緑色のチェックマークと適切なメッセージが表示されます」 | 手動による対策は、順位が下がった原因の候補から外れる。次は、順位が下がった日とアップデートの期間を照らす(後述の4つの順番の2) |
| 手動による対策がある | 説明を展開すると、影響を受けるページのパターンが一覧で表示される。「すべてのページに影響があります」と出れば、サイト全体が対象 | 種類と説明を読み、影響を受けるすべてのページで問題を直す |
| 直し終えた | [審査をリクエスト] を選び、修正した内容を記述する | 決定が通知されるまで、リクエストを再送信しない |
自動で動く2つ:スパムの検出とコア アップデート
スパムの自動検出
ランキング システムのご紹介のページは、スパム検出システムをこう説明しています。
「Google は、スパムポリシーに違反するコンテンツや行為に対処するために、SpamBrain などのさまざまなスパム検出システムを導入しています。」
スパム アップデートのページによると、この自動システムの機能が大きく改善されたときに、Googleは「スパム アップデート」と呼びます。
違反したサイトの扱いは、同じページに書かれています。
「Google のポリシーに違反しているサイトは、検索結果での掲載順位が下がったり、まったく表示されなかったりすることがあります。」
コア アップデートは特定のサイトを狙わない
コア アップデートのページは、性質をこう書いています。
「これらの変更は広範囲にわたるもので、特定のサイトや個々のウェブページを対象とするものではありません。」
同じページは、20軒のお気に入りレストランのリストにたとえています。リストを作り直すと新しい店が加わり、順位が下がる店も出るが、その店が「悪い」とは限らず、他の店が上位に入っただけ、という説明です。順位が下がったことと質が悪いことは、同じ意味になりません。
順位が下がった原因には、スパムとして扱われた場合のほかに、コア アップデートによる並び替えもあります。コア アップデートでの上下は、手動による対策やスパムの検出とは別の出来事です。
順位が下がったときに見る4つの順番
順番の全体像
公式ページで通知の記述があるのは手動による対策だけなので、筆者は手動対策レポートを最初に見ます。この順番は筆者の勧めで、「この順に」と定めた公式の記述は見つかりませんでした。2つ目から4つ目の確認は、コア アップデートのページの案内に沿っています。
1つ目:手動対策レポートを開く
手動による対策の有無は、公式ページで通知が書かれている唯一の出来事なので、最初に確かめます。
対策があれば、前の節の表に沿って、種類と説明を読みます。対策が無ければ、2つ目へ進みます。
2つ目:下がった日をアップデートの期間と照らす
コア アップデートのページは、検索ステータス ダッシュボードで開始日と終了日をメモするよう案内しています。
比べ方は、次のように書かれています。
「コア アップデートの完了後 1 週間以上待ってから、Search Console でサイトを分析することをおすすめします。」
比べる期間は、「コア アップデートのロールアウト開始前の 1 週間と現在の週」です。
3つ目:下がったページと検索の種類を絞る
同じページは、上位のページとクエリ(検索語)を確かめ、低下幅を見るよう案内しています。
例として、2位から4位に下がった場合は抜本的な対策が要らず、4位から29位に下がった場合はより詳細な評価を行う、と書かれています。
ウェブ検索、Google 画像検索、動画モード、[ニュース] タブといった検索の種類も、別々に分析します。
4つ目:サイト全体を自己評価して直す
サイト全体で大きな低下が続く場合に、公式は自己評価を勧めています。
直し方には、次の戒めがあります。
「SEO に悪影響があると耳に挟んだ、などという理由で、ページ要素を削除するような「その場しのぎの修正」は避けましょう。」
コンテンツの削除は「最終手段であり、そのコンテンツが修正不可能だと判断した場合にのみ検討すべきこと」とも書かれています。
順位が下がった原因の見分け方は、検索トラフィックの減少をデバッグする方法の解説記事でも整理しています。
戻るまでにかかる時間
手動による対策が解除されるまで
ヘルプは、解除の手順を番号つきの箇条書きで示しています。内容を表にすると、次のとおりです。
| ヘルプの手順番号 | やること |
|---|---|
| 1 | 手動による対策の説明パネルを展開して、詳細を確認する |
| 2 | 影響を受けているページを確認する |
| 3 | 問題の種類と簡単な説明を確認する。[詳細] リンクから、解決の手順も確認する |
| 4 | 影響を受けているすべてのページで問題を修正する。一部のページだけの修正では、検索結果は変わらない |
| 5 | Google が各ページにアクセスできることを確認する |
| 6 | [審査をリクエスト] を選び、修正した内容を記述する |
| 7 | 審査に時間がかかることを踏まえ、決定が通知されるまでリクエストを再送信しない |
6の再審査リクエストには、書く内容の指定があります。
| 書く内容 | ヘルプの原文 |
|---|---|
| 問題の説明 | 「サイトの品質に関する問題を正確に説明する。」 |
| 修正の手順 | 「問題を修正するために行った手順を記述する。」 |
| 取り組みの結果 | 「取り組みの結果を記述する。」 |
「スパムに関する重大な問題」では、「削除した質の低いコンテンツと、追加した質の高いコンテンツの例を記載します」とあります。
期間は次のとおりです。
「ほとんどの再審査は、数日から数週間かかりますが、リンク関連の再審査リクエストなどの一部のケースでは、リクエストの審査に通常よりも時間がかかる場合もあります。」
自動システムが学び直すまで
自動検出での順位の下がりについて、スパム アップデートのページに再審査リクエストの記述は見当たりませんでした。待ち時間は、次のように書かれています。
「サイトに変更を加えた場合、Google のスパムポリシーを遵守していることを Google の自動システムが学習するのに数か月かかることがありますが、それにより掲載順位の改善につながる可能性があります。」
コア アップデートのページも、改善が検索結果に出るまでに「数か月かかることもあります」と書いています。
「ただし、ウェブサイトに変更を加えても、検索結果に目に見えて変化が現れる保証はありません。」
手動による対策の「数日から数週間」と、自動システムの「数か月」は、別々の時間軸です。
公開前に確かめる7つのこと
7つの点検と、その根拠
公開前の点検を、公式と公的機関の資料から7つに組みました。順番は、生成の前から公開の直前へ並べた筆者の勧めです。
| 順 | 確かめること | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 | プロンプトに、個人データや社外秘を入れていないか | 個人情報保護委員会の注意喚起(2023年6月2日) |
| 2 | 本文の数字、固有名詞、日付、引用を、人の手で原典と突き合わせたか | 生成AIガイダンス:公開前に手動でファクト チェック |
| 3 | 検索結果に出る情報(タイトル要素、メタディスクリプション、構造化データ、画像の代替テキスト)も見直したか | 生成AIガイダンス:メタデータにも適用 |
| 4 | 特定の既存の著作物に似た表現が出ていないか | 文化庁の考え方(2024年3月15日) |
| 5 | 人が足した情報(独自の分析、経験)が、記事に入っているか | 有用なコンテンツのページ:労力と独自性 |
| 6 | 誰が・どのように・なぜ作った記事かを、読者に説明できるか | 有用なコンテンツのページ:「誰が、どのように、なぜ」 |
| 7 | まとめて出す記事の中に、同じ型の記事やキーワードだけ差し替えた記事が並んでいないか | スパムに関するポリシー:大量生成の5つの例 |
順番の理由
1は、生成の前に決めることです。入力した内容は、送った時点でAIサービスの側に渡るためです。
2から4は、生成された本文と、本文に付けるタイトルや構造化データなどの確認です。5から7は、公開するかどうかの判断にあたります。
公式が「公開前に」と書くのは2つだけ
7つのうち、公式が公開前の確認として書いているのは、2と3です。ほかの5つは、公式や公的機関の記述を点検の形に直した筆者の整理です。
ガイダンスの確認項目を、公開までの流れとして図にした解説は、前述の生成AIガイダンスの解説記事にあります。
点検1:プロンプトに入れる情報
事業者が個人データを入力するとき
個人情報保護委員会は、2023年6月2日付の「生成 AI サービスの利用に関する注意喚起等」で、プロンプト(生成AIに入力する質問や作業指示)の扱いを書いています。
個人情報取扱事業者に向けた1つ目の注意は、次のとおりです。
「個人情報取扱事業者が生成 AI サービスに個人情報を含むプロンプトを入力する場合には、特定された当該個人情報の利用目的を達成するために必要な範囲内であることを十分に確認すること。」
2つ目の注意は、同意と機械学習に触れています。
「あらかじめ本人の同意を得ることなく生成 AI サービスに個人データを含むプロンプトを入力し、当該個人データが当該プロンプトに対する応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合、当該個人情報取扱事業者は個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性がある。」
個人データとは、個人情報保護法の用語で、データベースにまとめて管理している個人情報を指します。
入力した情報が機械学習に使われる可能性
同じ資料の「一般の利用者における留意点」には、次の記述があります。
「入力された個人情報が、生成 AI の機械学習に利用されることがあり」、他の情報と統計的に結びついて出力されるリスクがある、という内容です。
個人データを入力する場合の確認事項として、資料は「当該個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること」を挙げています。
利用規約とプライバシーポリシー
3つ目の留意点は、サービス提供者の規約の確認です。
「生成 AI サービスを提供する事業者の利用規約やプライバシーポリシー等を十分に確認し、入力する情報の内容等を踏まえ、生成 AI サービスの利用について適切に判断すること。」
| 注意喚起の記述 | 記事づくりに引き直した場面(筆者の整理) |
|---|---|
| 利用目的の達成に必要な範囲内であることを確認する | 取材先や顧客の名前、連絡先を、AIに貼る前に外す |
| 同意なく個人データを入力すると、個人情報保護法に違反する可能性がある | 顧客の声や問い合わせ内容を素材にするときは、個人が特定されない形にしてから入力する |
| 事業者が個人データを機械学習に利用しないことを確認する | 使うAIサービスの規約で、入力内容の学習利用の扱いを読む |
この注意喚起は2023年6月2日付です。以降の法改正は確かめていないため、実務では最新の内容を個人情報保護委員会のページで確かめてください。
点検2と3:本文の事実と、検索結果に出る情報
生成AIの出力には誤りが混じる
Googleのガイダンスは、誤りの混じる理由をこう書いています。
「生成 AI の出力には不正確な情報(ハルシネーションとも呼ばれます)が含まれる可能性があります。」
ハルシネーションとは、もっともらしい誤情報を出力することです。個人情報保護委員会の資料にも、「応答結果に不正確な内容が含まれることがある」という記述があります。
公式が書く確認の範囲
確認の方法は、ガイダンスに次のとおり書かれています。
「AI 生成コンテンツを公開する前に、手動でファクト チェックを行い、正確性と信頼性を確認することが重要です。」
英語版の訳では、確認の対象は「すべてのAI生成コンテンツ」です。日本語版の同じ文に「すべて」にあたる語は入っていません。
確認の範囲は、本文の外にも及びます。日本語版は、検索結果に表示される可能性のあるメタデータにも審査が適用されると書いています。
| メタデータ | どんな情報か | 見直しの観点(筆者の整理) |
|---|---|---|
| タイトル要素 | ページの題名 | 本文に無い内容を約束していないか |
| メタディスクリプション | ページの説明文 | 数字や断定が本文と食い違っていないか |
| 構造化データ | ページの内容を、機械が読める形で書き添えたデータ | 書いた内容が、ページに実際に載っているか |
| 画像の代替テキスト | 画像の内容を言葉で書いたもの | 画像と合っているか |
確認する人を決めておく
ここからは、筆者の勧めです。公開の最終判断をする人を、1人、名前で決めておきます。
確認の担当が曖昧だと、誰かが見ているはずという思い込みで公開が進みます。
点検4:既存の著作物に似ていないか
類似性と依拠性
文化庁の文化審議会著作権分科会法制度小委員会が2024年3月15日にまとめた「AI と著作権に関する考え方について」は、冒頭で、この文書自体に法的な拘束力は無く、公表時点の考え方を整理したものだと断っています。
そのうえで、著作権侵害になる条件を次のように書いています。
「生成 AI による生成物についても、その生成・利用段階において、既存の著作物との類似性及び依拠性が認められれば、当該既存の著作物の著作権者は、生成物の生成行為や利用行為が、既存の著作物の著作権侵害に当たるとして、当該行為の差止請求や損害賠償請求を請求し得る。」
類似性は、既存の著作物に似ていること。依拠性は、既存の著作物をもとにしたことです。
刑事罰についても、「故意による著作権侵害に対しては、刑事罰の適用があり得る」と書かれています。
AIの利用者が知らなくても依拠性は認められうる
依拠性の考え方は、利用者が既存の著作物を知っていたかどうかで2つに分かれます。
| 場面 | 文化庁の考え方(原文) |
|---|---|
| 利用者が既存の著作物を認識していた | 「依拠性が認められ、AI 利用者による著作権侵害が成立すると考えられる。」例として、既存の著作物そのものを入力する場合や、題号などの固有名詞を入力する場合が挙がっている |
| 利用者は認識していなかったが、AIの学習用データに含まれていた | 「通常、依拠性があったと推認され、AI 利用者による著作権侵害になりうると考えられる。」 |
2つ目の場面では、利用者が元の著作物を知らなくても、依拠性は推認されうる、というのが文化庁の整理です。
同じ文書は、学習に使われた著作物の創作的表現が出力されない状態が技術的に担保されている場合には、依拠性が無いと判断される場合もあり得る、とも書いています。
補足:自社の記事は著作物になるのか(点検の外の話)
自社の記事の文章に著作権が生じるかどうかも、同じ文書が扱っています。著作物性(著作権で保護される作品にあたるか)の判断には、人間の創作的寄与が要ります。
| 要素 | 文化庁の考え方(原文) |
|---|---|
| 指示がアイデアにとどまる | 「生成 AI に対する指示が表現に至らないアイデアにとどまるような場合には、当該 AI 生成物に著作物性は認められないと考えられる。」 |
| 生成の試行回数 | 「試行回数が多いこと自体は、創作的寄与の判断に影響しないと考えられる。」 |
| 複数の生成物からの選択 | 「単なる選択行為自体は創作的寄与の判断に影響しないと考えられる。」 |
| 人による加筆・修正 | 「人間が、AI 生成物に、創作的表現といえる加筆・修正を加えた部分については、通常、著作物性が認められると考えられる。」 |
指示を長く書くだけでは判断が変わらないことも、「長大な指示であったとしても、創作的表現に至らないアイデアを示すにとどまる指示は、創作的寄与の判断に影響しない」と書かれています。
著作権の論点を企業向けに整理した記事は、生成AIと著作権の解説記事にあります。
点検5から7:価値、誰が作ったか、まとめて出す前
点検5:人が足した価値
有用なコンテンツのページは、検索品質評価者が見る属性の1つに「労力」を挙げています。検索品質評価者は、Googleの検索ランキングの仕組みがうまく働いているかを評価するために、検索結果を採点する人です。
高い労力の例は、次のとおりです。
「独自の分析を記述する、詩を自分で翻訳する、ゲーム用のカスタム インタラクティブ マップを作成するなどは、高い労力を表します。」
低い労力の例は、AIの利用を名指ししています。
「逆に、フィードからページを自動生成したり、生成 AI を使用して大量のテキストを生成したりすることは、手動による監視やキュレーションを伴わないため、ほとんど労力を要しません。」
この文が低い労力の例に挙げるのは、手動による監視やキュレーション(選び整えること)を伴わない大量生成です。
評価者の採点について、生成AIガイダンスは「ランキングに直接影響することはありません」と書いています。採点そのものは順位を決めませんが、評価者が低く見る作り方は、ランキングの仕組みが避けようとしている作り方だと筆者は読み、点検に入れています。
点検6:誰が・どのように・なぜ
有用なコンテンツのページは、コンテンツを「誰が、どのように、なぜ」という観点で評価するよう勧めています。
| 問い | 公式の記述(原文) |
|---|---|
| 誰が | 「コンテンツの著者が誰であるかを明確にしていますか。」 |
| どのように | 「AI による生成などの自動化を使用していることを、開示などの方法でユーザーに対して明確にしていますか。」 |
| なぜ | 「そもそもなぜコンテンツを作成したのでしょうか。」答えは「主として人々の役に立つコンテンツを作成すること」であるべきだとされている |
「なぜ」の答えが検索のアクセス数を増やすことだけの場合について、公式は次のように書いています。
「検索ランキングを操作することを目的に AI 生成などの自動化を使用してコンテンツを作成している場合、その行為は Google のスパムに関するポリシーに違反していると見なされます。」
偽の著者情報は欺瞞にあたる
著者を明確にする一方で、偽の著者情報は禁じられています。
「クリエイターのプロフィールを捏造すること(AI 生成の顔写真、架空の名前、虚偽の資格情報を使用して、コンテンツが人間の専門家によって書かれたように見せるなど)は、欺瞞行為の一種です。」
同じ段落は、欺瞞が「ユーザーと Google の自動品質システムの両方にとってページを信頼できないものにし、低品質なページのシグナルとなります」と続けています。
開示と署名欄の扱い
AIの使用を記事に書くかどうかについて、有用なコンテンツのページは、次のように書いています。
「一般的に、「これはどのように作成されたんだろう」と思わせるようなコンテンツでは、AI や自動化の使用を開示するのは有益なことです。」
生成AIガイダンスも、どのような方法でコンテンツを作成したかに関する情報を、「読者にわかりやすい形で追加することを検討します」と書いています。
2023年のブログには、「コンテンツの作成者を AI としてもよいですか?」という質問があり、「著者の署名欄に AI と記載することは、その方法としてふさわしくありません」と答えています。
点検7:まとめて出す前に
ここからは、筆者の勧めです。複数の記事をまとめて出すときは、公開の前に、同じ型で作った記事を並べて読み比べます。
見るのは、スパムに関するポリシーが挙げた5つの例(前の「大量生成」の表)のうち、3つ目のつなぎ合わせと、5つ目のキーワードだけを入れたページに近いものがないかです。キーワードだけが違う記事が並んでいれば、1本にまとめるか、足りない情報を足してから出します。
一度に出してよい本数の基準は、開いた公式ページで見つかりませんでした。点検の7つを通った記事から順に出す、という運用は筆者の提案です。
公式が書いていること、書いていないこと
ここまでの内容を、公式が書いていることと書いていないことに分けると、次のとおりです。
| 論点 | 開いた公式資料の記述 | この記事での扱い |
|---|---|---|
| AIの利用そのもの | 「適切に使用している限りは Google のガイドラインの違反になりません」(2023年のブログ) | 公式の記述として示した |
| 何本から「大量」か | 本数や公開ペースの数字は見当たらない | 数字を書かない |
| AIで書いたかどうかの見分け方 | 「作成方法を問わずあらゆるスパム コンテンツを特定するため、SpamBrain などのさまざまなシステムでパターンやシグナルを分析しています」(2023年のブログ) | 見分けられるかどうかを断定しない |
| AI利用の開示 | 開示は「有益」で、追加を「検討します」という書き方。義務とは書かれていない | 義務として書かない |
| 自動検出での降格の通知 | スパム アップデートのページに、通知の記述は見当たらない | 通知が来る前提で待たない |
| 順位が戻る保証 | 「検索結果に目に見えて変化が現れる保証はありません」(コア アップデートのページ) | 戻る時期を約束しない |
「AIだと分かるか」「ペナルティが必ず下るか」について、開いた公式ページに断定の記述は見つかりませんでした。この記事でも断定を避けます。
よくある質問
生成AIで作った記事は、AIで作ったことだけで順位が下がりますか
公式に、そうした記述は見つかりませんでした。2023年のブログは、AIや自動化は適切に使用している限り違反にならないと答えています。
順位が動く理由には、コア アップデートのような広範囲の変更もあります。AIの使用の有無だけで順位の動きを説明するのは難しい、というのが筆者の判断です。
GoogleはAIで書いたかどうかを見分けられますか
AIで書かれたかどうかを見分ける方法の説明は、開いた公式ページで見つかりませんでした。書かれているのは、スパムを特定するための取り組みです。
「作成方法を問わずあらゆるスパム コンテンツを特定するため、SpamBrain などのさまざまなシステムでパターンやシグナルを分析しています。」
手動による対策を受けると、通知は届きますか
届きます。手動による対策レポートと Search Console メッセージ センターでお知らせすると、ヘルプに書かれています。
手動対策レポートのヘルプは、再審査リクエストの進行状況をメールで知らせると書いています。
AIを使ったことは、記事に書く必要がありますか
義務としての記述は見つかりませんでした。ガイダンスは、作り方を読者に伝えることを「検討します」としています。
有用なコンテンツのページは、「どのように作成されたんだろう」と思わせる内容では開示が有益だと書いています。著者の署名欄にAIと書くことは、ふさわしくないとされています。
1日に何本までなら公開してよいですか
本数や公開ペースの数字は、開いた公式ページで見つかりませんでした。公式ページが判断に使うと書いているのは、目的、価値、量の3つです。
筆者の勧めは、7つの点検を通った記事から順に出すことです。
まとめ
「ペナルティ」と呼ばれる出来事は、手動による対策、スパムの自動検出、コア アップデートの3つです。通知の記述があるのは、手動による対策だけでした。
線を引く基準は、目的、価値、量です。AIで作ったことだけを理由とする違反の記述は、開いた公式ページで見つかりませんでした。
順位が下がったときは、手動対策レポート、アップデートの期間、下がったページと検索の種類、サイト全体の自己評価の順に見ます。
公開前には、7つを確かめます。プロンプトの情報、本文の事実、検索結果に出る情報、既存の著作物との類似、人が足した価値、誰が・どのように・なぜ、まとめて出す前のページ群の順です。
手動による対策の再審査は「数日から数週間」、自動システムの学習は「数か月」と、公式は別々の時間軸を示しています。
今日できる点検
次の表は、公式の記述と筆者の勧めを、作業の形に直したものです。
| やること | 見る場所 | 結果の読み方 |
|---|---|---|
| 手動による対策レポートを開く | Search Console の [手動による対策] レポート | 緑色のチェックマークなら、手動による対策は無い。対策の表示があれば、種類と説明を読む |
| 順位が下がった日を記録する | Search Console の検索パフォーマンス | コア アップデートの開始日と終了日(検索ステータス ダッシュボード)と照らす |
| 下がったページと検索の種類を絞る | Search Console の上位のページと検索語 | 低下幅が小さいページは、抜本的な対策は要らない |
| 直近のプロンプトを見返す | 使っているAIサービスの履歴と利用規約 | 個人データが入っていれば、入力の運用を見直す |
| 公開予定の記事を1本選び、7つの点検に通す | この記事の「公開前に確かめる7つのこと」の表 | 通らない項目があれば、その項目を直してから公開する |
| 同じ型で作った記事を並べて読み比べる | 公開済みと公開予定の記事の一覧 | キーワードだけが違う記事は、1本にまとめるか、情報を足す |
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