記事やコンテンツの制作を外部に任せたい、と考える理由はおおむね共通しています。自社で書く時間が取れない、書いてはみたが読まれない、担当者が異動すると止まる。どれも人手の問題に見えますが、外注に出した結果として同じ悩みが残ることは珍しくありません。
この記事では、コンテンツ制作代行を検討する段階で押さえておく点を整理します。依頼して解決すること、依頼しても自社に残ること、見積もりの読み方、契約で決めておく項目、そして納品物をどう点検するか。金額の相場や納期は事業者ごとに幅があるため、特定の数字を示す代わりに、確認すべき項目の形で書きます。
想定しているのは、これから初めて外注を検討する事業者と、一度試したものの手応えが薄かった事業者です。前者には発注前の準備が、後者には渡している材料と確認の工程の見直しが、それぞれ効いてきます。読み進めながら、自社に当てはまる項目を書き出してみてください。
代行で解決すること、解決しないこと
制作代行を「記事が出てくる仕組み」として捉えると、期待とのずれが生じます。外部の書き手が担えるのは、材料を文章に変える工程です。何を書くか、誰に向けて書くか、何を言い切るかという判断は、発注する側に残ります。
外部が引き受けられる工程
おおむね次の範囲です。検索されている言葉の調査、上位に並ぶページの傾向の整理、見出しの構成づくり、本文の執筆、誤字や表記の統一、掲載用の形への整形。いずれも手順があり、経験を積んだ書き手のほうが速く正確にこなせる作業です。
特に効くのは、量をこなす場面です。月に何本かを継続して出す体制は、社内の担当者が本業の合間に書く方法では維持しにくくなります。一定の品質を保ちながら本数を出せる点が、外注の実質的な価値にあたります。
自社に残る工程
一方、外部の書き手が代われない部分があります。
- その記事で誰に読んでほしいか。実際に問い合わせてくる人の顔がわかるのは、対応している自社の側です。
- その記事で何を言い切るか。業界の中で立場が分かれる論点について、どちらを取るかは事業の判断になります。
- 書いてはいけないこと。過去の経緯や取引先との関係で触れられない話題は、社外からは見えません。
- 読み終えた人をどこへ案内するか。問い合わせの導線や資料の設計は、営業の流れと一体で決まります。
これらを渡さずに発注すると、上位に並ぶページの平均のような記事が納品されます。事実として間違ってはいないものの、どの会社が出しても同じ内容になります。外注して成果が出ない事例の多くは、書き手の力量よりこの受け渡しの不足に原因があります。
どの種類のコンテンツを外に出すか
コンテンツ制作代行という言葉は、中身の異なる作業をまとめて指しています。種類ごとに、外に出しやすさと、自社が負担する準備の量が変わります。
| 種類 | 外に出しやすさ | 自社が用意するもの |
|---|---|---|
| 検索から読まれる解説記事 | 出しやすい | テーマと主張、避けたい表現 |
| 導入事例 | 取材があれば出せる | 取材先の紹介と掲載の許諾 |
| サービスの説明ページ | 難しい | 提供内容、価格の考え方、他との違い |
| 資料や小冊子 | 出しやすい | 掲載する内容の骨子と社内の確認 |
| 配信するメールの文面 | 条件つきで出せる | 読者名簿の性質と、送る目的 |
| 動画の台本 | 出しやすい | 話し手の口調と、話せる範囲 |
| 会社の考え方を述べる文章 | 出しにくい | 経営者の言葉そのもの |
下へ行くほど、自社の中にしかない材料の比重が増します。最初から全種類を外へ出そうとせず、解説記事のように手順が定まっているものから始めると、やり取りの型ができます。その型ができてから、取材を伴うものへ広げるほうが失敗が少なくなります。
逆に、会社としての考え方を述べる文章や、経営者の名前で出す文章は、外注に向きません。本人の言葉でしか成立しない内容であり、代筆したものは読み手にも伝わります。この種の文章は、書き起こしを手伝ってもらう形にとどめ、内容そのものは本人が決めます。
テーマを決める順番
何を書くかの決定は、外注の前段にあります。ここが曖昧なまま本数だけを発注すると、似たテーマの記事が並び、どれも読まれない状態になります。
すでに自社にある記事を数える
新しいテーマを決める前に、同じ内容の記事が自社にないかを確認します。記憶や社内の一覧を頼りにすると漏れが出るため、公開されている記事の一覧を機械的に取得して、題名と見出しを並べて確認します。
似た記事が複数あると、検索エンジンがどれを代表として扱うか定まらず、いずれも順位が伸びにくくなります。新しく書くより、既存の記事に情報を足したほうが早い場面も多くあります。
探している人がいるかを確認する
思いついた言葉をそのまま記事のテーマにすると、誰も検索していない言葉に労力を使うことがあります。検索窓に入力したときに候補が出てくるか、検索結果に関連する記事や広告が並んでいるかを見れば、需要の有無はおおよそ判断できます。
候補がほとんど出てこない言葉は、もう少し広い言い方に寄せます。逆に、大手の比較サイトや公的機関のページが上位を固めている言葉は、自社の地域や業種に絞った言い方へ変えるほうが届きます。
事業との距離を測る
読まれる記事と、問い合わせにつながる記事は別です。話題性のあるテーマは読まれますが、自社の商品と関係が遠ければ、読者はそのまま去ります。テーマを並べたら、それぞれについて「この記事を読んだ人が自社に相談する理由はあるか」を1行で書いてみます。書けないテーマは、本数の中で割合を決めて扱います。
依頼する前に自社で決めておくこと
発注前の準備が、納品物の質をほぼ決めます。次の表の左列が欠けたまま発注すると、中列の状態になります。
| 渡していないもの | 納品物に起きること | 渡し方 |
|---|---|---|
| 読者像 | 検索語から推測した一般論になる | 実際に問い合わせてきた人の困りごとを3つ書き出す |
| その記事の主張 | 上位記事の平均に寄った内容になる | 言いたいことを1文で書いて渡す |
| 自社にしかない情報 | どこかで読んだ内容の並びになる | 相談の実例、判断の基準、つまずきやすい箇所を渡す |
| 使えない表現 | 公開前の差し戻しが増える | 避けたい言い回しと、その理由を一覧にする |
| 記事の役割 | 読み終えた人の行き先がない | 問い合わせ、資料、別記事のどれへ送るかを指定する |
| 公開の場所と形式 | 入稿の手間が自社に戻る | 掲載先と、見出しや画像の扱いを先に伝える |
この準備は、1本目の発注時にまとめて作っておけば、2本目以降は使い回せます。作成に半日から1日かかりますが、差し戻しの往復を考えれば先に済ませたほうが早く終わります。
依頼書に書く項目
上の表の内容を1枚の文書にまとめたものが依頼書です。見積もりを取るときも、発注してからも、この1枚が基準になります。項目を並べます。
- 記事の題材。狙う検索語と、その言葉で調べている人が知りたいことを1行ずつ。
- 読者の状況。困りごとを3つ。実際の問い合わせで聞いた言葉のまま書きます。
- この記事の主張。1文。判断が入った言い切りの形にします。
- 使ってほしい材料。自社のデータ、相談の実例、社内の判断基準。出所も添えます。
- 避けたい表現。断定を避ける表現、触れない話題、他社との比較の扱い。
- 分量の目安。上限と下限、そして超えた場合の扱い。
- 読み終えた人の行き先。問い合わせ、資料、別記事のどれか。
- 掲載先と入稿の形。どこに載せるか、どの形式で納品するか。
- 日程。構成案の提出日、自社が返答する期限、本文の納品日。
- 確認の担当。自社側で誰が何を見るか。
この依頼書は、記事ごとに全項目を書き直す必要はありません。読者の状況や避けたい表現は事業として共通するため、一度作れば使い回せます。記事ごとに変わるのは、題材と主張と材料の3項目です。
依頼書があると、見積もりの比較も容易になります。同じ1枚を各社へ渡せば、金額の差が何に由来するかを尋ねやすくなります。また、担当者が変わったときや事業者を変えるときにも、この1枚がそのまま引き継ぎの資料になります。
見積もりの読み方
同じ「記事1本」という単位でも、含まれる工程は事業者によって異なります。金額だけを並べて比べると、安く見えた見積もりのほうが最終的な負担が大きくなることがあります。
工程ごとの内訳を出してもらう
確認したいのは、次のどこまでが金額に含まれているかです。
- 検索されている言葉の調査と、記事のテーマの提案
- 見出しの構成案の作成と、その段階での合意の取り付け
- 本文の執筆
- 取材や社内への聞き取り
- 図表や画像の用意
- 掲載先への入稿と、公開後の表示の確認
- 公開後の修正対応と、その期限
執筆だけが含まれる見積もりと、調査から入稿までが含まれる見積もりでは、金額に差が出て当然です。含まれていない工程は自社の作業として残るため、その分の時間も合わせて比較します。
文字数を基準にする場合の注意
1文字あたりの単価で提示される場合、長く書くほど金額が上がります。この形式では、必要のない説明で分量を増やす動機が働きます。読みやすさの観点からは、同じ内容が短く伝わる記事のほうが優れています。
回避するには、文字数を成果の指標として使わないよう、発注時に伝えておきます。目安としての幅を示しつつ、上限を超えた場合の扱いを決めておけば、双方にとって判断しやすくなります。
相場を調べる方法
金額の幅は、記事の専門性、取材の有無、納品までの期間、継続の本数によって大きく変わります。特定の金額を目安として持つより、複数の事業者から同じ条件で見積もりを取り、自社にとっての相場を作るほうが実用的です。
同じ条件で比べるために、依頼内容を書いた1枚の文書を用意し、そこに記載した内容で各社へ見積もりを求めます。テーマ、想定する分量、含めてほしい工程、納期、月あたりの本数を揃えるだけで、比較できる見積もりが集まります。
書き手を見極める
見積もりの金額と同じくらい、誰が書くかが結果を左右します。事業者の規模や知名度より、実際に担当する書き手との相性のほうが、納品物に直接効いてきます。
問い合わせ時の質問を見る
最初のやり取りで、相手からどんな質問が来るかを観察します。分量や納期の確認だけで見積もりが出てくる場合、書き手は公開情報だけを頼りに書くことになります。読者像、想定する検討の段階、避けたい表現、既存の記事との関係を尋ねてくる相手は、外注の成否がどこで決まるかを理解しています。
過去の制作物の読み方
実績として示された記事を読むとき、文章のうまさより次の点を見ます。数字に出典が付いているか。事例が実在の取り組みとして確認できる形で書かれているか。結論が一般論で終わらず、判断の分かれ目まで書かれているか。この3点が満たされていれば、自社の記事でも同じ水準が期待できます。
逆に、出典のない数字や、社名のない成功事例が並んでいる記事が実績として示された場合は、その書き方が標準になっている可能性があります。発注前に、数字と事例の扱いについて考え方をすり合わせておきます。
1本試してから決める
長期の契約を結ぶ前に、1本だけ発注して進め方を確認する方法があります。見るのは完成した原稿だけではありません。構成案の段階でどんな提案が来たか、指摘に対してどう反応したか、約束した期日を守ったか。この3点は、継続したときの負担を予測する材料になります。
構成案の段階で止める
本文が仕上がってから方向性の違いに気づくと、書き直しになります。工程の途中に、構成案を確認する区切りを必ず設けます。
構成案で確認すること
- 見出しの並びが、読者の疑問が出てくる順になっているか
- 渡した主張が、どの見出しで扱われているか
- 自社にしかない情報を入れる場所が確保されているか
- 他社の記事にもある内容だけで構成が埋まっていないか
- 読み終えた人の行き先が、最後に置かれているか
この段階での指摘は、本文の書き直しより負担が軽く、書き手にとっても手戻りが小さくなります。構成案の確認を省いて本文を待つ進め方は、双方の時間を消費します。
確認にかける時間を決めておく
構成案が届いてから何日以内に返すかを、先に決めます。発注側の確認が滞ると全体の日程が後ろへずれ、その原因が見えにくくなります。返答の期限を工程表に書き込んでおけば、遅れの所在がはっきりします。
契約で決めておく項目
後から揉めやすいのは、作業の中身ではなく、その境界です。着手前に文書で確認しておく項目を挙げます。
| 項目 | 決めておかないと起きること | 決め方 |
|---|---|---|
| 修正の回数と定義 | 2回目以降が追加費用になる | 回数と、何を1回と数えるかを書く |
| 修正を求められる期間 | 公開後の直しを断られる | 納品から何日以内かを決める |
| 著作権の帰属と移転の時期 | 転載や改稿のたびに同意が要る | 入金時など、移る時点を明記する |
| 他社への転用の可否 | 似た内容が他社の名前で公開される | 同一内容の再利用の扱いを決める |
| 成果の位置づけ | 順位や問い合わせ数で争いになる | 納品物の範囲を成果物として定義する |
| 途中解約の条件 | 合わなくても契約期間を消化する | 解約の予告期間と精算方法を決める |
| 再委託の可否 | 誰が書いたか分からなくなる | 再委託の範囲と、その場合の責任を決める |
修正を何回と数えるか
「修正2回まで」という条件は、1回の数え方が決まっていなければ意味を持ちません。指摘をまとめて1通送るのが1回なのか、指摘の項目ごとに1回なのかで、実質的な回数が変わります。まとめて送る形を前提に、1回あたりの指摘の量にも触れておくと、双方の想定がそろいます。
また、事実の誤りの訂正は修正の回数に数えない、といった区別も有効です。書き手の側の誤りと、発注側の方針変更を同じ扱いにすると、指摘しづらい空気が生まれます。
権利がいつ移るか
納品された文章を後から書き換えたり、別の媒体へ転載したりする場面は必ず来ます。権利の移転時期が決まっていないと、そのたびに相手の同意が必要になります。契約書の中で、どの時点で移るかを明記しておきます。
あわせて、著作者人格権の扱いにも触れておくと安全です。文章を改変する予定があるなら、その旨を先に共有しておくほうが、後の調整が軽くなります。
成果をどう約束するか
検索順位や問い合わせ件数は、記事の内容以外の要因でも動きます。サイト全体の状態、競合の動き、検索エンジン側の変更などです。これらを成果として契約に書き込むと、達成の判定で揉めます。
現実的なのは、納品物の仕様を成果物として定義し、成果の指標は別途の目標として共有する形です。指標を追う姿勢そのものは有益ですが、契約上の義務と切り離しておくほうが関係は続きます。
発注後に渡す材料
契約が決まったら、記事ごとに渡す材料を用意します。ここを省くと、書き手は公開情報だけを頼りに書くことになります。
読者像
年齢や役職といった属性より、その人が置かれている状況のほうが役に立ちます。何に困って調べ始めたのか、すでに何を試したのか、決裁の権限があるのか。実際の問い合わせや商談で聞いた言葉をそのまま渡すと、書き手はその言葉を記事に使えます。
その記事の主張
1文で書きます。「この場合はこうすべきだ」という形が扱いやすく、判断が入っているほど記事の輪郭が出ます。主張が決まっていない記事は、両論を並べた中立的な内容になり、読者の次の行動につながりにくくなります。
裏付けになる材料
自社で取ったデータ、公開されている統計、公的機関の資料などがあれば渡します。ここで注意したいのは、出所が確認できない数字を渡さないことです。社内で口頭で語り継がれている数字は、元の調査にさかのぼれない場合が多くあります。記事に載せた後で根拠を問われると、対応が難しくなります。
同様に、書き手が用意した数字についても、出典の確認を依頼します。調査名と年次、公開元が示せない数字は、使わずに一般的な説明へ置き換えるほうが安全です。数字を入れると説得力が増すように感じられますが、裏付けのない数字は、後から問われたときに記事全体の信頼を落とします。数字なしで一般原則として述べておけば、そのような事態は避けられます。
公的機関の資料を使う場合は、報告書の名称と年度まで記事に書けるかを基準にします。省庁の名前だけを添えて数字を示す書き方は、読者が元の資料にたどり着けず、確認のしようがありません。名称と年度が書ける資料に限って引用する、と決めておけば判断に迷いません。
避けたい表現の一覧
業界の慣習、法令の制約、過去の経緯から使えない言い回しがあります。効果を断定する表現、他社との比較、資格や許認可に関わる言葉などです。一覧にして渡しておけば、公開前の差し戻しが減ります。
納品物の点検
受け取った原稿をそのまま公開すると、後から手戻りが発生します。公開前に確認する項目を決めておきます。
数字と固有名詞の裏取り
本文に出てくる数字について、出典が示されているかを確認します。示されている場合は、その資料に当たって数字が一致するかを見ます。調査名や年次のない数字、どこかで見た記憶を書いたような記述は、削るか一般論へ置き換えます。
会社名や団体名が出てくる場合も同様です。実在する組織の名前で統計が語られていながら、元の報告書にたどり着けない記述は、そのまま公開すると自社の信頼を損ないます。
事例の実在性
「ある製造業の会社では」といった書き出しで具体的な成果が語られている場合、その事例が実在するかを確認します。書き手が説明のために作った架空の事例であれば、読者にはそう見えません。実在の取り組みとして受け取られます。
実在する事例を載せるなら、掲載の許諾を得たうえで、社名を出すかどうかも確認します。許諾が取れない場合は、事例の形ではなく「こうした状況では」という一般的な説明に書き換えます。
書き手の立場の表現
「筆者の実務経験では」「長年この業界に携わってきた立場から」といった記述が入っていないかを見ます。発注して書いてもらった記事にこの種の表現が入ると、読者に対して事実と異なる印象を与えます。自社の担当者の経験として書くなら、その担当者が実際に経験した内容に限ります。
他社の記事との重なり
見出しの並びと本文の要点を、検索結果の上位に並ぶページと見比べます。構成がほぼ同じであれば、渡した材料が活きていない可能性があります。この段階で気づけば、加筆の依頼で修正できます。
読者が次に取る行動が書かれているか
解説として正しくても、読み終えた人が何をすればよいか分からない記事があります。「状況によって異なります」「専門家に相談しましょう」で終わる書き方が典型です。読者は判断の材料を求めて記事を開いており、判断を先送りされると、別の記事を探しに行きます。
確認するのは、各章の終わりに具体的な行動が書かれているかです。何を確かめるか、どこを見るか、誰に聞くか。1行でも書かれていれば、読者はその場で動けます。不足していれば、加筆を依頼します。
見出しだけで内容が伝わるか
記事を上から読まず、見出しだけを拾って全体を把握しようとする読者は多くいます。見出しを順に並べて読み、それだけで話の筋が追えるかを確認します。「はじめに」「ポイント」「まとめ」のような中身のない見出しが並んでいる場合、読者は本文を読むまで内容を判断できません。
見出しには、その節で扱う内容を具体的に書きます。この作業は、検索結果での見え方にも影響します。
読み終えた人の行き先
記事の結論と、末尾に置かれた案内の内容が合っているかを確認します。費用の考え方を説明した記事の末尾に、無関係なサービスの案内が置かれていると、読者はそこで離れます。本文のまとめと案内の文言を並べて読み、つながっているかを見ます。
表記と体裁
社名や商品名の表記、数字の全角と半角、敬称の扱いを確認します。細かい項目ですが、記事が増えるほど揺れが目立ちます。表記のルールを1枚にまとめて書き手と共有しておくと、この確認は短時間で終わります。
公開してからやること
納品を受けて公開した時点では、まだ何も起きていません。公開後の作業は発注側に残るため、誰が担うかを先に決めておきます。
掲載の形を確認する
原稿として整っていても、掲載先で崩れることがあります。見出しの階層が意図どおりに反映されているか、表が画面の幅に収まっているか、画像に説明の文が設定されているか。公開直後に、パソコンとスマートフォンの両方で表示を確認します。
あわせて、検索エンジンに記事を認識してもらう手続きを行います。サイトの構成によっては、公開しただけでは時間がかかる場合があります。
既存の記事とつなぐ
新しく公開した記事から、関連する既存の記事へ案内を置きます。同時に、既存の記事の中で新しい記事に触れられる箇所を探し、そちらからも案内を追加します。この往復の作業は外注の範囲に含まれないことが多く、自社で行う前提で時間を見ておきます。
読まれ方を記録する
公開から数週間経った時点で、どの記事がどの言葉で表示されているかを確認します。狙った言葉とずれている場合、そのずれ自体が次のテーマの手がかりになります。表示はされているのに読まれていない記事は、題名の付け方を見直す候補になります。
この記録を残しておくと、次の発注時に「この型の記事は読まれた」「このテーマは反応が薄かった」と具体的に伝えられます。書き手にとっても、抽象的な指示より扱いやすい情報になります。
古くなった記述を直す
公開した記事は、時間とともに実態からずれます。制度、料金、画面の操作手順、年号の入った記述などが対象です。読者がその1か所で信頼を落とすと、残りの正しい記述も読まれなくなります。
更新の作業も外注できますが、何が古くなったかの判断は自社に残ります。半年に一度、公開済みの記事を一覧で眺め、手を入れる対象を選ぶ時間を決めておきます。この作業を予定に入れていないと、記事が増えるほど古い記述が積み上がります。
続けるための体制
コンテンツは1本で結果が出るものではなく、続けた分だけ積み上がります。無理のない体制を先に決めておきます。
本数の決め方
月に何本出すかは、予算より先に、自社の確認作業にかけられる時間から逆算します。納品された記事を読み、事実を確認し、修正を依頼する作業は発注側に残ります。この時間が確保できない本数を契約すると、確認しないまま公開する運用になり、誤りが混ざります。
内製との配分
すべてを外注する必要はありません。自社の知見が濃く出る記事は社内で書き、調べれば書ける記事を外注する分け方が現実的です。社内で書く本数が少なくても、その記事がサイト全体の性格を決めます。
予算の配分
同じ予算でも、配分の仕方で結果は変わります。本数を最大にする配分は、確認の時間が足りなくなりやすく、誤りを含んだ記事が増えます。単価を上げて本数を絞る配分は、1本あたりの厚みは出ますが、テーマの網羅に時間がかかります。
判断の目安としては、まず自社が確認にかけられる時間から本数を決め、残りを単価に充てます。予算が先にあって本数を決める順番だと、確認が追いつかない体制ができあがります。
また、予算の一部を記事以外に残しておくと動きやすくなります。取材の費用、写真の撮影、公開後の手直し。これらを見込んでいないと、必要になった時点で本数を削ることになります。
やり取りの記録
指示の内容、修正の依頼、決めたルールは、記事ごとに記録に残します。担当者が変わったとき、記録がなければ最初から取り決め直すことになります。書き手の側が交代する場合も同じで、過去の記録がそのまま引き継ぎの資料になります。
確認の担当を分ける
納品された原稿を1人で全部見ようとすると、その人が忙しい週は公開が止まります。確認の観点を分けて、担当を割り当てるほうが滞りません。
分け方の例としては、事業や商品の説明が正しいかを見る人、数字と出典を確かめる人、表記と体裁を見る人の3つです。それぞれ見る場所が決まっていれば、1人あたりの所要時間は短くなります。見る観点を一覧にしておけば、担当者が変わっても同じ確認ができます。
表記のルールをまとめる
記事が増えるほど、表記の揺れが目立ちます。1枚にまとめて書き手と共有しておく項目を挙げます。
- 社名、商品名、サービス名の正しい表記。省略形を使ってよいかどうかも書きます。
- 数字の全角と半角、単位の書き方。
- 敬称と、お客様を指す言葉の統一。
- 見出しの付け方。記号を使うかどうか、文末を体言で止めるかどうか。
- 箇条書きの書き方。文末に句点を打つかどうか。
- 漢字を開くか閉じるか。判断に迷う語を並べておきます。
このルールは、最初から網羅しようとせず、指摘が出るたびに追記していく形で育てます。半年も運用すれば、確認作業の大半がこの1枚で片づく状態になります。
見直しの周期
3か月ほど続けたところで、進め方を見直す場を設けます。確認するのは、渡している材料が足りているか、修正の指摘が同じ箇所に集中していないか、公開した記事が読まれているかの3点です。同じ指摘を繰り返している場合、指示の形を変えたほうが早く解決します。
生成の道具をどう扱うか
文章を生成する道具が普及したことで、制作代行の中身も変わりました。発注する側として押さえておく点を整理します。
使うこと自体は問題にならない
下調べ、構成の案出し、表記の統一といった作業で道具を使うかどうかは、事業者の進め方の問題です。仕上がりが要件を満たしていれば、過程を細かく制限する必要は薄くなります。むしろ、使わないことを条件にすると、金額や日程に跳ね返ります。
確認の工程は必ず人が担う
注意が要るのは出力の性質です。もっともらしい形をした数字、実在するかのように書かれた事例、断定的な効果の記述が混ざることがあります。これらは文章として自然に読めるため、流し読みでは見つかりません。
対処は、確認の工程を工程表に明記することです。数字については出典の資料に当たる、事例については実在と許諾を確かめる、効果の記述については断定を避ける形に直す。この3つを誰が担うかを、発注時に決めておきます。
読者に何を伝えるか
道具を使った旨を記事に表示するかどうかは、掲載する媒体の方針や業界の慣習によります。方針を決めたら、記事ごとに判断が揺れないよう文書に残します。表示する場合の文言も、あわせて決めておきます。
つまずきやすい型
外注がうまく回らないとき、原因はいくつかの型に収まります。自社の状況に近いものがあれば、対処は表の右列から始められます。
| 状態 | 背景にあること | 先に手をつける場所 |
|---|---|---|
| 納品物がどれも似ている | 渡している材料が公開情報と同じ | 社内にしかない情報を1本ごとに1つ渡す |
| 修正の往復が終わらない | 構成案の段階で合意していない | 本文の前に構成案を確認する区切りを作る |
| 公開が滞留する | 確認できる人が1人に集中している | 確認の観点を分けて担当を分散する |
| 公開しても読まれない | 探している人が少ないテーマを選んでいる | テーマ決定の前に需要を確かめる |
| 読まれるが問い合わせがない | 記事の内容と事業の距離が遠い | テーマの配分を見直す |
| 事実の誤りが後から見つかる | 裏取りの担当が決まっていない | 数字と事例の確認を工程に入れる |
| 担当者が変わると止まる | 取り決めが記録に残っていない | 依頼書と表記ルールを文書化する |
この表の多くは、書き手の能力ではなく発注側の体制に原因があります。事業者を変えても同じ状態が繰り返される場合は、契約先を探し直す前に、渡している材料と確認の工程を見直すほうが早く解決します。
自社で書く場合の進め方
外注と並行して、社内で書く記事も残ります。その進め方を決めておくと、外注に出す記事との切り分けが楽になります。
材料を集めてから書き始める
社内で書く記事がなかなか仕上がらない理由の多くは、書きながら考えているためです。先に材料を集めます。実際に受けた質問、対応した内容、判断に使った基準、断った理由。箇条書きで並べるだけで構いません。材料がそろってから見出しを立てると、書く作業は写す作業に近くなります。
話したものを文章にする
文章を書くことに慣れていない担当者ほど、話すほうが具体的な内容が出ます。想定する読者の質問に答える形で話し、その録音を文章に起こす進め方が使えます。この起こしと整形の作業であれば、外部に任せても内容の独自性は保たれます。
完成度を上げすぎない
社内で書く記事は、公開のたびに完璧を求めると本数が止まります。公開後に手を入れられることを前提にして、まず出す。読まれ方を見てから直す。この順序のほうが、書き上げてから寝かせるより結果が早く出ます。
よくある質問
費用はどのくらいかかりますか
記事の専門性、取材の有無、含まれる工程、継続する本数によって幅が大きく、一律の金額は示しにくい領域です。同じ条件を書いた依頼書を用意し、複数の事業者から見積もりを取ると、自社の条件における相場が把握できます。金額の比較では、含まれていない工程にかかる自社の時間も合わせて見ます。
納期はどのくらい見ておけばよいですか
執筆そのものより、構成案の確認と修正のやり取りに時間がかかります。発注側の確認が遅れると、そのぶん全体が後ろへずれます。先に自社の確認にかけられる日数を伝え、それを含めた日程を組んでもらうと、遅れの原因をたどりやすくなります。
自社で書くべきか、外注すべきか
判断の目安は、その記事に自社しか持っていない情報がどれだけ必要かです。判断基準や現場の経験が中心になる記事は社内で書き、調べて整理すれば形になる記事を外注する。この分け方であれば、外注の効果が出やすくなります。
生成された文章をそのまま使ってよいですか
道具として使うこと自体に問題はありませんが、出力された内容の確認は必要です。特に、出典のない数字、実在するかのように書かれた事例、断定的な効果の記述は、そのまま公開すると事実と異なる情報を出すことになります。確認の工程を誰が担うかを、発注時に決めておきます。
何本くらいで結果が出ますか
本数だけで決まるものではなく、扱うテーマの競争の度合いやサイトの状態に左右されます。ただ、1本や2本で判断できないことは確かです。数か月単位で本数を積み、どのテーマの記事が読まれているかを見ながら次のテーマを決める進め方が現実的です。
取材は必要ですか
記事の種類によります。調べて整理すれば形になる解説記事であれば、資料の受け渡しで進みます。一方、導入事例や現場の判断を扱う記事は、話を聞かなければ書けません。取材が入ると金額と日程が変わるため、依頼書の段階でその有無を明記しておきます。
取材の相手が社外の場合は、掲載の許諾を誰がいつ取るかも決めておきます。原稿ができてから許諾が下りず、公開できないまま止まる例があります。
画像や図表も依頼できますか
依頼できる事業者が多い領域です。ただし、含まれる範囲は分かれます。素材を探して配置するところまでなのか、図を作るところまでなのか、素材の利用料を誰が負担するのかを確認します。写真については、自社で撮ったものを渡すほうが、実際の様子が伝わります。
複数の事業者に同時に依頼してもよいですか
問題はありませんが、表記のルールと避けたい表現の一覧を全社へ同じ内容で渡します。渡さないまま並行して進めると、記事ごとに文体と表記が揺れ、サイト全体としてまとまりを欠きます。取りまとめる担当を自社側に置いておくことも必要です。
成果が出ない場合はどうすればよいですか
切り分けの順番があります。まず、公開した記事が検索結果に表示されているかを見ます。表示されていなければ、テーマの選び方かサイトの状態に原因があります。表示はされているが読まれていない場合は、題名と概要の文言を見直します。読まれているのに問い合わせがない場合は、記事の内容と事業の距離、あるいは読み終えた後の案内を確認します。書き手を変える判断は、この切り分けの後になります。
途中で事業者を変えても大丈夫ですか
変えられます。ただし、渡した材料と決めたルールが記録に残っていない場合、引き継ぎに時間がかかります。依頼書、表記のルール、避けたい表現の一覧を自社側で保管しておけば、事業者が変わっても同じ条件で発注できます。著作権の帰属が移っていることも、事前に確認しておきます。
まとめ
コンテンツ制作代行は、材料を文章に変える工程を外に出す仕組みです。何を書くか、誰に向けるか、何を言い切るかという判断は発注する側に残り、その部分の準備が納品物の質をほぼ決めます。
進め方としては、発注前に読者像と主張と使えない表現を決め、見積もりは工程の内訳で比較し、契約では修正の定義と権利の移転時期を明記する。納品後は、数字の出典、事例の実在、書き手の立場の表現を確認してから公開する。この流れを一度作れば、2本目以降の負荷は大きく下がります。
あわせて覚えておきたいのは、外注しても自社から作業が消えるわけではないという点です。材料を渡す、構成案を確認する、数字と事例を確かめる、公開後に既存の記事とつなぐ。これらは発注側に残ります。この時間を見込んだうえで本数を決めるほうが、結果として公開まで届く記事が増えます。
事業者の選定に時間をかける前に、依頼書の1枚を作るほうが効果は大きくなります。読者の困りごと、その記事の主張、自社にしかない材料、避けたい表現。この4項目が書かれた依頼書があれば、どの事業者に頼んでも一定の水準に届きます。逆に、この1枚がないまま優れた書き手に頼んでも、公開情報を整理した記事しか出てきません。
まずは1本目を発注する前に、読者の困りごとを3つ書き出すところから始めてください。その3行が、外注の成否を分けます。
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