「相続で兄弟ともめそうなのですが、誰に相談すればいいですか」。生成AIにこう尋ねる人が増えています。
返ってくる答えの中に、自分の事務所の名前があるかどうか。
調べるとLLMO対策という言葉が出てきますが、士業の場合、他業種の手法をそのまま使えません。各士業に広告の規制があり、そして守秘義務があるためです。
顧客の声を載せる、解決事例を並べる、他事務所より優れていると書く。この3つが、そのままでは使えません。
合同会社謙虚は、ウェブサイトから要素を引き算して、訪れた人が迷わず次の一歩へ進む形へ組み直す仕事をしています。3つのドメインを並行して運用し、何を変えると数字が動くかを測り続けています。
この記事では、規制の中で何ができるのかをお伝えします。結論を先に言うと、士業には他業種に無い、大きな入口が1つ空いています。
結論:空いているのは「誰に相談すればいいか分からない」です
士業のサイトは、たいてい業務の正式名称で作られています。相続税申告、遺産分割協議、成年後見、事業承継、労働保険。
ところが、困っている人はその名称を知りません。知っていたら、専門家に相談する必要がありません。
実際に打ち込まれているのは、困りごとそのものの言葉です。「親が亡くなって、家の名義をどうすればいいか」「従業員が辞めると言い出したが、手続きが分からない」。
そして生成AIには、もっと長い文章で聞かれます。
この入口は、まだ空いています
「どの士業に頼めばいいか分からない」という状態の人が、非常に多くいます。税理士と公認会計士の違い、司法書士と行政書士の違い、社会保険労務士がどこまでやるのか。
ここに正面から答えているページは、あまりありません。各事務所が自分の業務範囲だけを書いているためです。
「これはうちの担当ではありません」という部分を書いている事務所が、ほとんどありません。
そして、この情報は生成AIにとって使いやすい形をしています。役割の違いは、事実として整理できるためです。
相談者は、生成AIに何と聞いているか
検索窓に打つ言葉と、生成AIに話しかける言葉は、長さも中身も違います。
| 検索窓に打つ言葉 | 生成AIに聞く言葉 |
|---|---|
| 相続 相談 どこ | 父が亡くなり、不動産と預金があります。兄弟が3人いて、まだ分け方が決まっていません。誰に相談すればいいですか |
| 税理士 会計士 違い | 会社を作ったばかりですが、税理士と会計士のどちらに頼むべきか分かりません |
| 就業規則 作成 | 従業員が5人になったのですが、就業規則は必要ですか。誰に頼めばいいですか |
| ◯◯市 弁護士 費用 | 相手方から内容証明が届きました。費用がどのくらいかかるか不安です |
右の列を見てください。すべてに、その人の事情が書かれています。
家族構成、会社の規模、いま起きていること。相談者は、自分の状況を説明したうえで答えを求めます。
これが意味するのは1つです。業務名を並べたページより、「こういう状況の方から相談を受けています」と書かれたページのほうが、材料として使われやすくなります。
聞かれ方は、大きく4つに分かれます
- 誰に相談すればいいか(士業の種類が分からない)
- この手続きはどうすればいいか(自分でできるか知りたい)
- いつまでにやる必要があるか(期限を確かめている)
- この事務所はどうか(すでに候補があり、確かめている)
1つ目が、いちばん多くなっています。この段階の人は、まだどの事務所も候補に入れていません。
ここで見つかるかどうかが、新規の相談の数を決めます。
いま自事務所が出てくるかを、10分で確かめる
対策を始める前に、現状を確かめてください。無料でできます。
生成AIを開いて、上の4つの型で質問を投げます。このとき、事務所名では聞かないでください。
事務所名で聞けば出ます。相談者は事務所名を知らない状態で聞いています。
- 「◯◯という状況になったのですが、誰に相談すればいいですか」
- 「◯◯市で、◯◯を扱っている事務所を教えてください」
- 「◯◯の手続きは、自分でできますか。専門家に頼むべきですか」
出てこなかったときに、控えること
自事務所が出てこなかった場合、代わりに何が出てきたかを控えてください。士業の場合、出てくるものは限られています。
- 国税庁や法務省など、公的機関の解説ページ
- 各士業会が出している一般向けの案内
- 相談先を紹介する仲介サイト
- 他の事務所が自サイトに書いている解説
4つ目が出てきた場合、それは自事務所にもできることです。他が書いていて自分が書いていない、という状態です。
各士業の広告規制と、LLMO対策がぶつかる場所
ここが、士業が他業種の記事をそのまま真似できない理由です。
広告の扱いは士業によって異なります。弁護士には日本弁護士連合会の「弁護士の業務広告に関する規程」(平成12年会規第44号)があり、その第3条で、事実に合致しない広告、誤導や誤認のおそれのある広告、誇大な広告、特定の弁護士や法律事務所と比較した広告などが禁じられています。
税理士は2001年の税理士法改正で広告が原則自由になりましたが、いまも日本税理士会連合会の「税理士会会員の業務の広告に関する規程」と、その運用指針があります。
他の士業にも、それぞれの会則や指針があります。まず、自分の所属する会の規程を最新版で確認してください。
共通して問題になりやすいものが3つあります。
1つ目:解決事例と、依頼者の声
生成AIに引用されやすくする施策として、実例を載せることがよく挙げられます。ところが士業では、守秘義務があります。
依頼者が特定できる形での掲載はできません。地域、年齢、家族構成、金額。
この組み合わせが具体的になるほど、特定される危険が上がります。
掲載する場合は、依頼者の同意を得たうえで、特定につながる情報を落としてください。ただし、落としすぎると内容が薄くなり、材料としての価値も下がります。
ここは無理をしないほうが安全です。
2つ目:他事務所との比較や、最上級の表現
「地域で最も」「解決率」「日本一の」。この種の表現は、多くの士業会で規制の対象になっています。
そしてこれは、生成AIに引用されるという観点でも意味がありません。根拠のない最上級の表現は、AIが答えを作るときの材料になりません。
数字も出典もない主張は、そのまま使えないためです。
ここは規制と対策が一致している場所です。守るほうが、結果として得になります。
3つ目:成功を保証するような書き方
「必ず解決します」「確実に通ります」。結果を保証する表現は、規制に触れるだけでなく、専門家としての信用も下げます。
代わりに書けるのは、条件です。「この条件が揃っていれば、こういう手続きが取れます」「この期限を過ぎている場合は、別の方法を検討します」。
条件が書かれた文章は、生成AIが答えを作るときにそのまま使えます。
規制の外側に、書ける領域が広く残っています
ここまで制約を並べましたが、実際には書ける範囲のほうがはるかに広くなっています。
| 書けないもの | 代わりに書けるもの |
|---|---|
| 依頼者が特定される事例 | 相談の類型と、そのときの判断の分かれ目 |
| 他事務所との比較 | 各士業の役割の違い(事実としての整理) |
| 結果の保証 | 手続きの条件と、期限と、必要な書類 |
| 依頼者の声 | よく受ける質問と、それへの回答 |
右の列を見てください。どれも、生成AIが答えを作るときに使いやすい形をしています。
条件、期限、書類、判断の分かれ目。事実として書けるものばかりです。
資格者のプロフィールは、登録の情報まで書いてください
事例を出せない士業にとって、誰が担当するのかを示すページは数少ない信頼の材料です。ところが多くの事務所では、代表の写真とあいさつ文だけで終わっています。
生成AIが「この人は何の専門家か」を判断するには、資格の種類、登録年、所属する会、主に扱っている分野が、文章として並んでいる必要があります。
弁護士の場合、所属弁護士会の表示は規程で求められています。日本弁護士連合会の「弁護士の業務広告に関する規程」第9条は、広告に氏名と所属弁護士会を表示するよう定めており、東京弁護士会は、所属弁護士会の表示が無い事務所サイトを違反広告として注意を促しています。
規程を守るために書く項目が、そのままAIに読まれる材料になります。
| プロフィールに書く項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 資格と登録年 | 税理士登録は何年か。複数の資格があれば、それぞれの登録年 |
| 所属する会 | 弁護士会や税理士会の名前を、支部まで正式名称で |
| 主に扱う分野 | 相続税の申告、就業規則の作成のように、手続きの名前で |
| 扱っていない分野 | 他の事務所を紹介している分野があれば、その旨 |
複数の資格者がいる事務所は、1人1ページに分けてください。1ページにまとめると、誰がどの分野の担当なのかをAIが結び付けにくくなります。
いちばん効くのは、役割の違いを書いたページです
先ほど「空いている」と書いた入口です。具体的に何を書くかをお伝えします。
相談者が混乱している組み合わせ
| 混同されやすい組み合わせ | 相談者が実際に困っている場面 |
|---|---|
| 税理士と公認会計士 | 会社を作った。どちらに頼むのか |
| 司法書士と行政書士 | 相続で名義を変えたい |
| 司法書士と弁護士 | 借金の整理をしたい |
| 社会保険労務士と行政書士 | 従業員を雇うことになった |
| 土地家屋調査士と司法書士 | 土地の境界と登記の話が混ざっている |
| 弁理士と行政書士 | 商標を取りたい |
この6つは、相談の現場で繰り返し出てくるはずです。毎回口頭で説明していることを、そのまま書けば1枚のページになります。
書くときの順番
- どういう場面でこの疑問が出るか(相談者の状況)
- それぞれの資格で、法律上できることは何か
- 金額や難易度ではなく、どちらに頼むかの分かれ目はどこか
- 両方に関わる場合、どういう連携になるか
3つ目が重要です。「うちに頼んでください」ではなく「この場合は別の資格の専門家です」と書いてください。
これは損な書き方に見えますが、逆です。自分の担当外を明示できる事務所は、担当範囲についての記述も信用されます。
そして、この記述は生成AIが「誰に相談すればいいか」に答えるときの材料として、そのまま使われます。
比較優良には当たりません
1つ確認しておきます。資格ごとの業務範囲を事実として並べることは、他事務所との比較優良広告には当たりません。
優劣ではなく、制度としての役割の違いを書いているためです。
気をつけるのは、他の資格を下に見る書き方をしないことです。「行政書士では対応できないので」ではなく「この手続きは司法書士の業務範囲です」と書いてください。
LLMOという言葉そのものの整理は、LLMO対策に新しい道具は要りませんでまとめています。
第1の門と第2の門。順番を間違えると効きません
生成AIの回答に自事務所が出るまでには、通る門が2つあります。
| 第1の門 | 第2の門 | |
|---|---|---|
| 何が起きる場所か | 情報源として拾われる | 回答の中で引用される |
| やること | 困りごとの言葉でページを作る | 条件と期限を明記する |
| 従来との違い | 従来のSEOそのもの | 書き方の工夫 |
Google検索セントラルの資料によれば、AIによる回答に引用されたリンクの多くは、自然検索の上位から来ています。拾われていないページは、書き方を整えても読む相手がいません。
ほとんどの士業事務所は、まだ第1の門にいます。業務名でページを作っているためです。
士業で、検索需要のある言葉の作り方
効くのは掛け算です。ただし、士業の場合は左側に業務名を置かないでください。
| 掛け算の型 | 例 | 相談者の状態 |
|---|---|---|
| 出来事 × 疑問 | 親が亡くなった 手続き 順番 | 何から始めるか分からない |
| 状況 × 誰に | 境界線 もめている 相談 | 相談先を探している |
| 期限 × 手続き | 相続放棄 3か月 過ぎた | 間に合うか確かめている |
| 地域 × 分野 | ◯◯市 労務 相談 | 近くで探している |
3つ目の型が、士業では特に強くなります。期限を過ぎたかもしれない人は、急いでいます。
そして、その質問に正確に答えられるのは専門家だけです。
書く前に、10秒で確かめてください
| 候補の数 | 意味 | どうするか |
|---|---|---|
| 0件 | 誰も打っていない | その言葉では作らない |
| 1〜2件 | 実在するが末端 | 単独のページにせず、別のページの見出しで拾う |
| 3件以上 | 下に広がりがある | ここを狙う |
自社ではこれを、3つのドメインを並行して運用して確かめました。書いているのは同じ人間で、記事の作り方も公開の頻度も同じです。
変えているのは、狙う言葉の選び方だけです。
| 直近28日の実測 | 言いたいことから選んだ側 | 検索されている言葉から選んだ側 |
|---|---|---|
| 公開している記事 | 450本 | 653本 |
| 10位以内に入った記事 | 43本 | 157本 |
| 10位以内1本あたりの表示回数 | 2.0回 | 46.2回 |
23倍の差が出ました。順位はどちらも取れていて、クリック率もどちらも正常です。
違ったのは、その順位が何回画面に出たかだけでした。
士業のサイトで、業務の正式名称で作られたページが上位に入っていながら表示が伸びない場合、ほぼこの状態です。順位を取っている言葉を、誰も検索していません。
第2の門。引用されやすい書き方は、測られています
2024年にKDDという国際会議で発表された「Generative Engine Optimization」という論文(arXiv:2311.09735)があります。生成AIの回答に引用されやすくなる書き方を、施策ごとに比べたものです。
| 書き方 | 引用されやすさへの働き |
|---|---|
| 専門家の発言などを直接引用する | いちばん大きく上がった |
| 数字を入れる | 次に大きく上がった |
| 文章を読みやすく整える | 上がった |
| 出典を明記する | 上がった |
| キーワードを詰め込む | 唯一、下がった |
論文が本文で示しているのは、上位3つの施策で引用されやすさが30〜40%ほど改善したという範囲です。施策ごとの細かい値は測り方によって変わるので、ここで押さえるべきなのは順番と、プラスかマイナスかだけです。
1つ、この研究の扱い方を補っておきます。ここで測られたのは「引用や出典が付いている状態」の効果であって、その出典が実在するかどうかまでは分けられていません。
2026年8月に公開された別の論文(arXiv:2608.16824)では、AI検索向けに最適化されたと判定されたページから取り出した6,663件の引用のうち、69.34%が「たどって確かめにくい」側に分類されています。
自社では、確かめた事実だけを書く形にしています。士業なら、なおさらです。
実在しない条文や判例を挙げたページは、読んだ人が1つ確かめた時点で信用を失います。専門家にとって、失った信用を取り戻すコストは、順位1つの価値をはるかに超えます。
士業で、この4つをどう書くか
| 施策 | 士業での書き方 |
|---|---|
| 直接引用 | 条文、通達、公的機関の解説から、該当する記述を引く |
| 数字を入れる | 期限の日数、必要な書類の点数、手続きにかかる期間 |
| 出典を明記 | 引いた法令や通達の名称を、本文の中に文章として書く |
| 読みやすく整える | 相談者の質問と、それへの答えの形で並べる |
1行目が、士業にとってはいちばん自然にできることです。条文を引く行為は、規程の範囲内です。
むしろ、根拠のある記述として扱われます。
2行目の数字は、期限と日数にしてください。金額を書く場合は、各会の規程を確認したうえで、条件を必ず添えてください。
キーワードの詰め込みは、逆に下がります
表の最終行を見てください。唯一マイナスです。
「◯◯市 税理士 ◯◯市 会計事務所 ◯◯市 確定申告」のように地域名と資格名を並べる書き方が、いまだに行われています。効かないだけでなく、下がる方向に働きます。
士業の種類によって、入口が変わります
| 士業 | いちばん多い聞かれ方 | 先に作るページ |
|---|---|---|
| 税理士 | 頼むべきか、自分でできるか | 自分でできる範囲と、頼む分かれ目 |
| 社会保険労務士 | この人数で何が必要になるか | 従業員数ごとに発生する義務の一覧 |
| 司法書士 | この名義変更はどうするか | 手続きの流れと、必要な書類 |
| 行政書士 | この許可は取れるか | 要件と、期間と、更新の話 |
| 弁護士 | いま何をすべきか | 放置した場合に起きることと、期限 |
| 弁理士 | この名前は登録できるか | 調べ方と、通らない典型例 |
税理士は、断る話を書くほうが効きます
「税理士に頼むべきか、自分でやるべきか」は、非常に多く聞かれています。
ここに正直に答えているページが少なくなっています。「この規模なら、まだご自身でできます」と書ける事務所が、そう多くありません。
書いてください。そして、頼むべき分かれ目を条件で示してください。
売上の規模、取引の種類、従業員の有無。条件が書かれていると、読んだ人が自分で判断できます。
判断できた人が、相談に来ます。
社会保険労務士は、人数の節目が入口になります
従業員が何人になったら何が必要になるか。この情報は、経営者が必ず調べます。
人数ごとに整理した一覧を作ってください。これは事実の整理なので、規程の範囲内です。
そして、生成AIが「従業員が◯人になったのですが」という質問に答えるときの材料として、そのまま使われます。
弁護士は、期限の情報が最も効きます
相談者が急いでいる分野です。「いつまでにやらないと、どうなるか」。
この情報を正確に書いているページは、そのまま引用されます。
不安を煽る書き方にしないでください。事実として、期限と、過ぎた場合に取れる方法を並べる。
それだけで十分に読まれます。
無料相談の書き方で、来る人が変わります
多くの事務所が初回無料相談を掲げています。ところが、そこに書かれている情報が足りないために、押されていないことがよくあります。
「お気軽にご相談ください」が効かない理由
この一文が入っているサイトは多いのですが、ほとんど押されていません。押した後に何が起きるかが書かれていないためです。
相談者が不安に思っているのは、次の3つです。
- その場で依頼を決めなければいけないのか
- 相談だけで終わった場合、費用は発生するのか
- 何を持っていけばいいのか。何も準備していなくても行けるのか
この3つが書かれていないと、押されません。分からないことは、そのまま不安として働きます。
書くべきこと
次の形で、ボタンのすぐそばに置いてください。
「初回は60分、オンラインでも対応しています。その場でご依頼を決めていただく必要はありません。
お手元に資料が無くても、状況をお伺いするところから始められます」。
この程度の具体性があると、押される数が変わります。曖昧にしておくほうが相談が増えると考えがちですが、逆です。
無料の範囲を、先に区切ってください
ここを書いていない事務所が多くあります。どこまでが無料で、どこから費用が発生するのか。
「現状をお伺いし、進め方をご説明するところまでが初回の範囲です。個別の書類を確認して具体的な判断をお示しする段階から、費用が発生します」。
この区切りを書くと、無料相談だけを繰り返す相談が減ります。そして、依頼する前提で来る人が増えます。
数は減っても、中身が変わります。
報酬の目安も、ページに書いてください
無料の範囲の次に相談者が知りたいのは、依頼したらいくらかかるかです。「◯◯市 弁護士 費用」のように、費用を添えてAIに聞く人もいます。
「報酬はお問い合わせください」だけのページは、AIが答えを組み立てるときに使える材料がありません。顧問料の月額、決算や申告のような単発の手続きの報酬、相談料を、案件の規模ごとの幅で載せておくと、費用を聞かれたときの答えに入る余地ができます。
金額を1つに決めきれない分野は、「この金額から、この条件で上がります」と、上がる条件を添えてください。弁護士や税理士の広告の規程でも、報酬を示すこと自体は認められています。他事務所より安いと比べる書き方だけは、比較の表示に当たるので避けてください。
返信の速さが、他のどの改善より効きます
相談者は、複数の事務所に同時に問い合わせていることがあります。最初に返信が来た事務所と話が進みます。
翌営業日の返信では、その時点で終わっていることがあります。サイトを直すより先に、返信の体制を見てください。
ここが遅い状態でサイトを改善すると、増えた相談がそのまま他所へ流れます。
事務所名で調べたとき、AIは周りの評判も一緒に読みます
相談者が「◯◯法律事務所ってどう」と生成AIに聞くと、AIは自事務所のサイトに加えて、検索の候補に並ぶ言葉、相談ポータルの登録情報、断片的な口コミまで、周りにある材料をまとめて読んで答えを作ります。士業は信頼が入口なので、この周辺の情報が薄いと、無難で当たりさわりのない紹介にとどまります。
ここは規制の外側にある情報なので、こちらから直接は書き替えにくい場所です。できるのは、自分の一次情報を厚く置いて、正しい文脈をこちらから足すことです。
AIが迷ったときに拾える事実が自サイトにそろっていれば、周辺が薄くても、事務所の輪郭を正しく伝えられます。
| 事務所名で調べたときAIが見る場所 | そこが薄いと起きること | 自事務所がやること |
|---|---|---|
| 自事務所サイトの説明 | 得意分野が伝わらず、無難な紹介にとどまる | 取り扱う分野と対応の範囲をはっきり書く |
| 検索の候補に並ぶ言葉 | 不安をあおる文脈のまま引用される | 事実を書いたページを用意し、正しい文脈を増やす |
| 相談ポータルの登録情報 | 古い情報のまま案内される | 登録先の情報を最新に保つ |
| 依頼者の声や口コミ | 断片だけ拾われて印象が偏る | 掲載できる範囲で、相談の流れと結果の傾向を自分の言葉で書く |
やることは、正確な事実を自サイトに増やして、AIが参照できる材料をこちらから用意する作業です。1つの分野で厚いページを作れば、名前で調べられたときの答えが安定します。
やらなくていいことが、3つあります
1つ目:AI向けの案内ファイルの設置
サイトの内容をAI向けに要約したファイルを置く施策です。Google検索セントラルには、このファイルを検索で使うという記述がありません。
Googleの担当者からも、対応する予定は無いという説明が出ています。
設置しても、AI側のクローラーがそのファイルを読みに来ている形跡は、ほとんど確認されていません。置くこと自体に害はありませんが、先にやることが他にあります。
2つ目:AI専用の構造化データ
これを入れたから回答に出るという性質のものではありません。検索エンジン側も、順位を決める要素ではないと説明しています。
ただし、事務所の所在地や営業時間の構造化データには別の意味があります。地図サービスや検索結果に正しい情報を渡す役割があるので、そちらは入れておく価値があります。
3つ目:相談先を紹介する仲介サイトへの掲載を増やすこと
掲載を増やせば見つかる回数は増えます。ただし、そこに載る情報は他の事務所と同じ項目に整形されます。
差がつくのは、そこに収まらない部分です。
役割の違いの整理、期限の情報、判断の分かれ目。これは自事務所のサイトにしか書けません。
掲載を増やす前に、まずここを書いてください。
地域を入れるかどうかは、分野で決まります
士業のサイトで迷いやすいのがここです。地域名を入れるべきか、全国から取りにいくべきか。
対面が必要な分野は、地域を入れます
相続、不動産登記、境界、離婚、労務。この種の分野は、書類のやり取りと面談が発生するので、相談者も地域名を入れて探しています。
この場合、地域名 × 分野の掛け算でページを作ります。そして、どこまでが対応範囲かを明記してください。
「◯◯市を中心に、隣接する◯市・◯町まで伺います」。この1行があると、範囲外の相談で時間を使わずに済みます。
オンラインで完結する分野は、地域を入れません
顧問契約、記帳、商標、許認可の一部。この種の分野は、全国から探されています。
地域名を入れると、その地域の人しか来なくなります。
判断に迷う場合は、いまの顧客の所在地を数えてみてください。8割が同じ都道府県なら地域を入れる、散らばっているなら入れない。
それだけで決まります。
両方やっている場合は、ページを分けてください
1枚のページに「◯◯市の方も、全国の方も」と書くと、どちらの検索でも中途半端になります。
地域向けのページと、分野向けのページを分けてください。ただし、内容をそのまま複製しないでください。
同じ内容のページが複数あると、自事務所のページ同士が同じ検索結果で競合します。
分けるのは切り口です。地域のページには対応範囲と面談の話を、分野のページには手続きの中身と期限を書く。
役割が違えば、競合しません。
書く題材が尽きたときの、探し方
相談でよく聞かれる質問を書き終えると、次の題材が思いつかなくなります。多くの事務所が、ここで止まります。
頭の中から探すのをやめてください
人が思いつく題材は、すでに書いた題材に似ます。似た内容のページを増やすと、自事務所のページ同士が同じ検索結果で競合します。
増えているのに、どれも上がらなくなります。
自社では、1つの領域に105本の記事が散らばっていた時期がありました。90日間の表示回数は、105本の合計で65回です。
1本あたり0.6回でした。本数が足りなかったのではなく、票を割り合っていました。
探す場所は3つあります
| 探す場所 | 何が得られるか |
|---|---|
| 検索窓の候補 | 実際に打ち込まれている言い回し |
| 検索の管理ツールのクエリ一覧 | いま自事務所が表示されている言葉 |
| 法令や通達の改正 | その年にしか書けない題材 |
3つ目が、士業にとって強い武器になります。改正の内容を、実務でどう扱うかまで書ける人は限られています。
そして、改正の直後は書いている人が少ないので、上がりやすくなります。
同じ領域に3本目を書く前に
その言葉で自事務所のサイト内を検索して、すでにあるページが出てこないか確かめてください。出てきたら、新しく書かずにそのページを書き直してください。
3本に分けて書いた内容を1本にまとめると、順位が上がることのほうが多くなります。
改正が出たら、古いページの書き直しを先にしてください
改正の解説を新しく書く前に、改正前の内容が残っている自事務所のページを探してください。
生成AIは、ページに書かれている内容をそのまま回答の材料にします。改正前の期限や金額が残ったページは、事務所名と一緒に、古い答えとして相談者に届くことがあります。
相談者がその答えのとおりに動けば、困るのは相談者で、信用を落とすのは事務所です。
サイト内をその制度の名前で検索し、出てきたページの期限と金額を改正後の内容に書き換えてください。
直した日付をページの上に「最終更新日」として出しておくと、読む人もいつの情報なのかを判断できます。
効果は、順番に3つ測ります
| 順 | 測るもの | 手間 | 分かること |
|---|---|---|---|
| 1 | 生成AIに聞いて、出方を控える | 月に10分 | いま出ているか |
| 2 | 検索の管理ツールで、表示回数を見る | 月に10分 | 拾われる側に入ったか |
| 3 | 初回相談で「何で当事務所を知ったか」を聞く | 一言足すだけ | 相談につながったか |
3つ目が、いちばん精度が高くなります
初回の相談で一言聞くだけです。「インターネットで検索して」に加えて、「生成AIに聞いて」という選択肢を用意してください。
生成AIの回答を読んで、その場ではリンクを押さず、後から事務所名で検索して連絡する人がいます。その相談は、解析上は検索経由として記録されます。
だから解析の数字は実態より小さく出ます。
0という数字には、2つの意味があります
測って0だったとき、来ていないのか、記録されていないのかを先に切り分けてください。
自社では、これで一度つまずいています。日報に「クリック0人」と出続けていたので押されていないと判断していましたが、実際は計測の仕掛けが1行も入っていませんでした。
押されても記録されない状態だったということです。
90日の進め方
所長が、通常業務と並行して進める前提です。
| 時期 | やること | この時点で分かること |
|---|---|---|
| 1週目 | 生成AIに4つの型で質問して、出方を控える | いまの立ち位置 |
| 1週目 | 所属する会の広告規程を、最新版で確認する | 書ける範囲が確定する |
| 2週目 | 相談でよく聞かれる質問を20個書き出す | 書く題材が尽きなくなる |
| 2週目 | 候補の数で絞る | 作る価値のあるページが5〜8枚残る |
| 3〜4週目 | 役割の違いのページを1枚作る | いちばん空いている入口を押さえる |
| 5〜10週目 | 残った言葉のページを、2週に1枚ずつ作る | 検索の管理ツールに表示が出はじめる |
| 11〜12週目 | 各ページに、条文や通達の出典を書き足す | 引用の材料が増える |
| 毎月1回 | 1週目と同じ質問を投げ、出方の変化を見る | 効いているかどうか |
2週目の作業が、いちばん重要です。相談でよく聞かれる質問は、すでに頭の中にあります。
書き出す作業だけで足ります。
よくいただく質問
解決事例を載せられないなら、何を載せればいいですか
相談の類型と、判断の分かれ目です。
「こういう状況の方から相談を受けることがあります。この場合、まず◯◯を確認します。
◯◯であればこの手続き、そうでなければ別の方法を検討します」。依頼者を特定せずに、実務の中身を伝えられます。
そして、この形は生成AIが答えを作るときに使いやすい形でもあります。条件と分岐が書かれているためです。
1人事務所ですが、続けられますか
続けられる形にしてください。毎週1本を1年続けるのは、実務を持っている人には現実的ではありません。
3か月で止まります。
現実的なのは、相談でよく聞かれる質問を20個書き出しておいて、月に2本ずつ潰していく形です。10か月分の題材が先にあるので、何を書くかは決まった状態で進められます。
書く作業そのものを外に出す場合も、題材と要点は自分で出してください。ここを外に出すと、条文の引用が入らない一般論のページになります。
効果はどのくらいで出ますか
ページを作る作業は、検索結果に安定して出るまで早くて2か月、遅いと半年です。ここは、どの方法でも同じだけ時間がかかります。
生成AIの回答での出方は、同じ質問でも揺れます。1回の確認では判断できないので、月に1度、同じ質問で確かめてください。
複数の資格を持っている場合、どう見せればいいですか
資格を並べるのではなく、それによって何が一度で済むかを書いてください。
相談者にとって意味があるのは、資格の数より、別の事務所へ行き直す手間が省けることです。「相続の手続きと、その後の申告まで、同じ窓口で進められます」。
この形で書いてください。
すでに検索上位にあるページも書き換えるべきですか
先ほどの研究には続きがあり、施策の効果が検索順位によって反転することが報告されています。すでに上位にあるページに同じ施策を足すと、下がる方向に働く場合があります。
3位以内に入っているページは、触らないでください。触るなら、検索結果に出ているタイトルと説明文の調整だけにとどめてください。
まとめ
士業のLLMO対策について、お伝えしたことを整理します。
いちばん空いている入口は、「誰に相談すればいいか分からない」です。各事務所が自分の業務範囲だけを書いていて、担当外を明示している事務所がほとんどありません。
広告規制と守秘義務があるので、事例や依頼者の声は使いにくくなります。代わりに書けるのは、相談の類型、資格ごとの役割の違い、手続きの条件と期限、必要な書類。
どれも、生成AIが答えを作るときに使いやすい形をしています。
そして、ページは業務の正式名称ではなく、困りごとの言葉で作ってください。相談者は正式名称を知りません。
知っていたら、専門家に相談する必要がありません。
まず、10分だけ使ってください
生成AIを開いて、相談者が打ちそうな質問を4つ投げる。自事務所が出てくるか、出てこないなら代わりに何が出てくるかを控える。
ここから始めてください。出てきたものが、いまその質問で選ばれている情報源です。
自事務所に足りていないものが、そこに書かれています。
この記事に書いたことを、そのまま御社のページに
生成AIに引用されるページを、お話しいただくだけでお作りします。お時間をいただくのは初回15分のヒアリングだけです。まず1ページ、無料でお作りします。
OKが出るまで、何度でも直します。事実が違う、言い回しが硬い、この話は入れないでほしい。どれも遠慮なくおっしゃってください。何度お直ししても、追加の料金はいただきません。
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