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アクセスはあるのにコンバージョンしないサイトの直し方

2026 8/25
funnel

先日、Q&Aサイトでこのような切実な悩みを拝見しました。「自社サイトへのアクセスは、月に数千あります。検索からもそれなりに来ていて、記事もよく読まれています。ところが、問い合わせや資料請求といった行動に進む人が、月に1件あるかないかです。人は来ているのに成果につながらない。広告費を増やすべきか、それともサイトを作り直すべきか、判断がつきません」。人が来ているだけに、あと一歩のところで取りこぼしている感覚があり、なおさらもどかしい。訪問者はいるのに行動が生まれない、この状態で足踏みしている会社は、とても多くあります。

結論から書きます。アクセスがあるのに行動が生まれないなら、足すべきは集客ではありません。いま来ている人を行動に導く設計に、手を入れる番です。人を増やす前に、来た人が動くようにする。順番を逆にすると、行動しないサイトに広告費を注ぎ込むことになり、集めた人をそのまま逃がし続けます。この記事では、来ている人がなぜ動かないのかを分解し、読み終えたときに自社サイトで最初に直すべき1か所が決まっている状態まで持っていきます。

目次

「アクセスはあるのに行動が生まれない」を分解する

問い合わせが少ないという悩みは、実は2つのまったく違う問題が同じ顔をしています。1つは、そもそも来ている人が少ないという集客の問題。もう1つは、来ているのに行動しないという転換の問題です。この2つは打ち手がまったく異なるので、まず自分がどちらなのかを見分ける必要があります。

見分け方は単純です。アクセス解析で、月にどれくらいの人が来ているかを見てください。月に数百人以上が来ているのに行動がほとんどないなら、それは転換の問題です。集客はすでに足りています。人は足りています。足りていないのは、来た人を行動に運ぶ設計のほうです。この状態で広告費を足すと、穴の空いたバケツに水を足すことになり、注いだ分だけ漏れていきます。かつて相談に来られた小売業の方は、この状態を「毎月、集めては逃がしていた」と表現しました。集めることばかりに気を取られ、集めた人がどこで漏れているかに目が向いていなかったのです。バケツの穴をふさぐのが先で、水を足すのはその後です。

いま起きていること どちらの問題か 先にやること
そもそも訪問者が少ない 集客の問題 入り口を増やす
訪問者はいるが行動しない 転換の問題 行動への設計を直す
特定のページだけ人が来る 転換の問題 そのページに出口を作る
広告で来た人が帰る 転換の問題 受け皿を整えてから出稿する

アクセスがあるのに行動が生まれないこの記事は、後者、転換の問題に絞って書いています。人を増やす話は、行動が生まれる設計を整えた後で取り組めば十分です。順番を守るだけで、同じ手間と費用から返ってくる成果が変わります。

訪問者はみな同じ温度で来ているわけではない

行動が生まれない最初の理由は、訪れた人の温度を無視して、全員に同じ扱いをしていることです。同じ1人の訪問者でも、いますぐ発注先を探している人と、なんとなく情報を集め始めたばかりの人では、求めているものがまるで違います。前者にはすぐ問い合わせへの道を、後者には判断を助ける情報を差し出す必要があります。ところが多くのサイトは、全員にいきなり「お問い合わせはこちら」を突きつけます。これは、来店したばかりの客に、店員が開口一番「ご契約はこちらです」と迫るようなものです。まだ見て回りたいだけの人は、その圧に驚いて店を出ていきます。

まだ情報を集め始めたばかりの人に、いきなり商談を求めるのは、初対面の相手にいきなり結婚を申し込むようなものです。相手はまだそこまでの気持ちになっていません。温度の低い人には、まず信頼を積む段階を用意し、温度が上がってから問い合わせへ導く。この順番を踏むと、これまで取りこぼしていた層が動き始めます。

訪問者の温度 その人が求めているもの 差し出すべき出口
いますぐ発注先を探している すぐ相談できる相手 問い合わせ・見積もりへの直行
比較検討をしている 選ぶための判断材料 事例・比較の観点・資料
情報を集め始めたばかり そもそもの考え方 役立つ記事・入門的な解説
まだ課題に気づいていない 気づきのきっかけ 問題を可視化する診断や記事

いきなり問い合わせを求めるから動かない

行動が生まれないもう1つの大きな理由は、出口が問い合わせという1段だけしかないことです。問い合わせは、訪れた人にとって高い階段です。名乗り、時間を割き、返事を待つ。この負担を、まだ温度の低い人にいきなり求めても、多くは踏みとどまります。ここで効くのが、階段を低く刻むという考え方です。

出口を階段のように刻む

問い合わせという高い一段の手前に、もっと軽い段を用意します。資料をもらう、無料の診断を受ける、事例集を読む、動画を見る。こうした軽い行動なら、温度が低い人でも踏み出せます。一度小さな行動を取った人は、次の段にも進みやすくなります。いきなり頂上を求めず、まず一段目に足をかけてもらう設計に変えると、行動する人の総数が増えます。一段目を踏んだ人は、こちらが名前や連絡先を知っている相手になります。すぐ問い合わせに進まなくても、後から役立つ情報を届けたり、頃合いを見て声をかけたりできます。高い段に登れなかった人を、ただ見送るのと、名前を知ったうえで見送るのとでは、その後にできることがまるで違います。

階段の段 訪問者の負担 用意する出口の例
いちばん低い段 ほぼ負担なし 役立つ記事を読む
低い段 連絡先を軽く渡す 資料や事例集をもらう
中ほどの段 少し具体的に関わる 無料の診断を受ける
高い段 本格的に相談する 問い合わせ・見積もり

大切なのは、高い段だけを見せて満足しないことです。問い合わせボタンしか置いていないサイトは、頂上へのはしごを1本かけただけで、そこに登れない大多数の人を見送っています。低い段を用意することは、そのまま行動する人の裾野を広げることにつながります。頂上に登れる人は、いつの時代もごくわずかです。その少数だけを相手にするより、麓に集まっている多数に一段目を差し出すほうが、結果として頂上まで登る人の数も増えます。

小さな「はい」を積み重ねる

階段の考え方は、心理の面からも裏づけられます。人は、一度小さな行動を取ると、その次の行動を取りやすくなります。最初に資料を受け取った人は、その会社に対して少しだけ心を開きます。次に事例を読み、診断を受け、気づけば問い合わせに進んでいる。この小さな「はい」の積み重ねが、大きな「はい」への道になります。

この考え方でサイトを見直すと、いままで無駄に思えた軽い出口が、実は問い合わせへの助走だったことが分かります。資料請求は、それ自体が成果であると同時に、次の行動への入り口です。軽い出口を「問い合わせほど価値がない」と切り捨てず、階段の一段として大事に置いてください。

小さな行動 それ自体の価値 次につながる効果
記事を読む 会社を知ってもらう 信頼の入り口になる
資料をもらう 連絡先が手に入る 後から接触できる
診断を受ける 相手の課題が見える 提案の糸口になる

各ページに役割を1つだけ持たせる

行動が生まれないサイトを見ると、1つのページにあれもこれも詰め込まれていることがよくあります。会社案内なのにサービスの説明が始まり、途中で採用の話になり、最後に問い合わせを求める。訪れた人は、そのページで何をすればいいのか分からなくなります。ページには、してほしい行動を1つだけ持たせてください。

サービス紹介のページなら、そのサービスに興味を持った人を次の一歩へ送ることに専念させます。事例のページなら、事例を読んで信頼した人を問い合わせへ送る。役割が1つに定まると、そのページに置くべきボタンも、書くべき言葉も自然に決まります。逆に言えば、ボタンや言葉に迷うのは、そのページの役割がまだ1つに絞れていない証拠です。何を書くか迷ったら、まず「このページを読んだ人に、次に何をしてほしいのか」を一言で言えるかどうかを確かめてください。1ページに複数の行動を求めると、どれも中途半端になり、結局どれも選ばれません。人は、選択肢が増えるほど選べなくなります。良かれと思って並べた複数のボタンが、そのまま迷いを生み、行動を止めているのです。

ページの種類 持たせる役割 置くべき出口
トップページ 悩みに合う入り口へ振り分ける 悩み別の入り口
サービス紹介 興味を次の一歩へ送る 資料請求か問い合わせ
事例・実績 信頼を問い合わせに変える 問い合わせへの導線
記事・ブログ 知識を提供し信頼を積む 関連する軽い出口

行動を促すボタンの位置と文言

出口の設計が整ったら、次はその出口を分かりやすく見せる番です。行動を促すボタンは、置く場所と書く言葉で、押される数が変わります。

読み終えた場所に置く

ボタンは、訪れた人の気持ちが動いた場所に置くのが基本です。サービスの説明を読み終えた下、事例を読み終えた下、記事の末尾。長いページなら、上のほうにも1つ置いておくと、すでに気持ちが固まっている人がすぐ行動できます。逆に、ページの途中に脈絡なくボタンを差し込むと、まだ読み終えていない人の集中を切ってしまいます。

押した先が見える言葉にする

ボタンの文言は、その先の行動が見える言葉にします。「送信」や「こちら」より、「無料で資料を受け取る」「30分の相談を予約する」のように、押した後に何が起きるかが分かる言葉のほうが押されます。押すことでどんな良いことがあるのかが伝わると、迷っている人の背中を押せます。ボタンは、行動そのものを命じる場所というより、行動した先にある良いことを約束する場所だと考えてください。命じられると人は身構えますが、良いことを差し出されると手が伸びます。

ボタンの状態 訪問者が感じること 直したあと
「送信」とだけ書いてある 押した先が見えず不安 その先の行動を言葉にする
ページの隅に小さくある 存在に気づかない 読み終えた場所へ大きく置く
同じページに何種類も並ぶ どれを押すか迷う 主となる行動を1つに絞る

証拠の見せ方で行動する数は変わる

訪れた人が行動する手前で必ず抱えるのが、「この会社で本当に解決するのか」という不安です。この不安を消すのが証拠の役割です。証拠が弱いと、どれだけボタンを目立たせても、最後のところで手が止まります。人は、失敗を恐れる生き物です。とりわけ会社の予算を使う判断では、選んで間違えたときの責任が頭をよぎります。証拠は、その恐れをやわらげ、選んでも大丈夫だと思わせるための材料です。

効くのは、訪れた人が自分を重ねられる証拠です。同じ業種、同じ規模、同じ悩みを抱えていた相手の事例が1つあれば、抽象的な実績を並べるより心が動きます。「うちと同じような会社が、ここで解決できたのか」と思ってもらえれば、それが行動への後押しになります。数字の実績を出すときも、累計の件数を大きく見せるより、読者に近い状況での具体的な変化を1つ示すほうが効きます。

証拠の種類 弱い見せ方 効く見せ方
お客様の声 抽象的な感謝を並べる 導入前の悩みと後の変化を具体的に
導入事例 有名企業だけを載せる 読者と同じ業種や規模の例を添える
実績の数字 累計をただ大きく出す 近い状況での変化を1つ示す

比較検討している人を取りこぼさない

行動しない人の中には、実は前向きに検討している層が隠れています。あなたのサイトを見て、他社のサイトも見て、どこに頼むか迷っている人です。この層は、あと少しの後押しがあれば動きます。ところが多くのサイトは、この「比べている人」に向けた材料を用意していません。自社の良さを語ることには熱心でも、迷っている人が知りたい「選び方」には答えていないのです。比べている人にとって、いちばんありがたいのは、公平な判断の物差しを渡してくれる相手です。

比べている人が知りたいのは、選ぶための観点です。どういう基準で選べばいいのか、依頼する前に何を確かめるべきか。これを、選ぶ側を助ける情報として提示すると、その誠実さがそのまま信頼になります。自社の宣伝の色を消すほど効きます。他社の名前を出す必要はありません。判断の基準だけを示せば、読んだ人は自然と、その基準を満たしている会社を選びます。

比べている人の疑問 用意しておく材料 効果
どう選べばいいか 選ぶための判断基準 誠実さが信頼になる
失敗したくない 依頼前に確かめる点 不安が下がり前へ進む
自社に合うか 向く場合と向かない場合 合う人だけが安心して進む

「まだ問い合わせない人」との関係を切らない

サイトを訪れた人の大半は、その日には行動しません。必要になる時期がまだ先だったり、他の候補と比べている途中だったりします。この「まだ問い合わせない人」を、来なかった人として忘れてしまうのは、大きな取りこぼしです。いま動かない人の中に、数か月後の顧客が確実に混じっています。

だからこそ、低い段の出口が生きてきます。資料を受け取ってもらう、役立つ情報を継続して届ける約束をする。こうして名前と連絡先という細い糸でつながっておけば、相手の時期が来たときに、思い出してもらえる関係が残ります。一度の訪問で問い合わせまで求めるのは、その場で結論を迫るのと同じです。すぐには決めない人とも、糸を残しておく。その積み重ねが、時間をかけて成果に変わります。今日の問い合わせだけを追うと、この長い時間軸で育つ成果を見落とします。いま名前を知った人が、半年後に顧客になる。その流れを設計に組み込めるかどうかが、行動する数を長い目で大きく変えます。

まだ動かない人の状態 糸を残さないと 残しておく糸
時期がまだ先 時期が来ても思い出されない 資料と継続的な情報提供
比較の途中 他社に決まって終わる 選ぶ基準を渡して信頼を残す
予算をこれから作る 予算がついた頃には忘れられる 役立つ発信で接点を保つ

行動を測る前に「何を行動と呼ぶか」を決める

改善に入る前に、まず決めておくことがあります。このサイトで、何が起きたら成果とみなすのかを、はっきり定義することです。問い合わせだけを成果と呼ぶのか、資料請求も数えるのか、動画の視聴まで含めるのか。ここが曖昧なままだと、階段を刻んでも、その効果を測れません。測れないものは、続けるべきかやめるべきかの判断ができません。最初に「何を成果と呼ぶか」を言葉にしておくことは、後から自分の手当てを正しく評価するための土台になります。

階段を刻む考え方に沿うなら、いちばん高い段の問い合わせだけでなく、途中の段の行動も測っておく必要があります。資料請求が増えたなら、たとえ問い合わせがまだ増えていなくても、階段の一段目は機能し始めています。この途中の変化を見ずに問い合わせの件数だけを追うと、効いている手当てを「効いていない」と誤って判断し、やめてしまいます。

測る対象 使う道具 この数字が示すこと
問い合わせの完了 アクセス解析の計測設定 いちばん高い段の成果
資料請求や診断 アクセス解析の計測設定 途中の段が機能しているか
ページごとの離脱 アクセス解析 どのページで人が消えるか
検索から来た言葉 サーチコンソール 訪問者の温度と関心

最初の画面で「自分ごと」だと伝わっているか

行動が生まれない原因をたどっていくと、多くの場合、いちばん手前の最初の画面に行き着きます。訪れた人は、スクロールせずに見える最初の範囲で、このサイトが自分に関係あるかどうかを数秒で判断します。ここで「自分のためのサイトだ」と感じられなければ、その先の出口がどれだけよくできていても、そもそも読み進めてもらえません。行動は、読み進めた人の中からしか生まれません。どんなに手の込んだ出口を下のほうに用意しても、そこまで読まれなければ存在しないのと同じです。最初の画面は、その先の全部を読んでもらえるかどうかを決める、いちばん大事な関門です。

最初の画面で会社の理念や抽象的なキャッチコピーだけが並んでいると、訪れた人は自分との関わりを見つけられず、静かに離れます。逆に、その人が抱えている悩みを最初の一文で言い当てられれば、「これは自分の話だ」と感じて読み進めます。行動を増やしたいなら、出口の設計より先に、この入り口で読者をつかめているかを確かめてください。

最初の画面の状態 訪問者の反応 直したあと
会社の理念だけが並ぶ 自分との関わりが見えず離れる 悩みを言い当てる一文を最上部へ
抽象的なキャッチコピー 何の会社か分からない 誰の何を解決するかを明記する
大きな画像だけが目立つ 読む手がかりがない 画像に頼らず言葉で伝える

「読む」から「動く」へ切り替わる瞬間を逃さない

訪れた人がサイトを読んでいる間、その気持ちは少しずつ温まっていきます。悩みに共感し、解決の道筋が見え、この会社なら任せられそうだと感じる。この温まりが頂点に達した瞬間が、行動へ切り替わるいちばんのチャンスです。気持ちには賞味期限があります。同じ人でも、温まった直後なら動くのに、時間が経って冷めてしまえば、もう動きません。ここで目の前に進む道があれば、人は動きます。逆に、この瞬間に出口がなければ、温まった気持ちはそのまま冷めていきます。

切り替わりの瞬間は、たいてい何かを読み終えた直後に訪れます。サービスの利点を理解した直後、事例を読んで納得した直後、料金の考え方に触れた直後。こうした場所に出口を置いておくと、温まった気持ちを逃さずに受け止められます。多くのサイトは、この気持ちが動く場所を素通りして、ページの最後にだけ出口を置いています。読み終える前に離れた人は、その出口にたどり着きません。

気持ちが動く場所 訪問者の心の状態 置いておく出口
利点を理解した直後 役に立ちそうだと感じる 資料で詳しく知る
事例を読んだ直後 自分にもできそうだと思う 相談してみる
不安が解けた直後 ここなら任せられそう 問い合わせへ進む

業種によって効く出口は違う

階段の刻み方や出口の種類は、業種によって変わります。検討に時間がかかる業種ほど、低い段を丁寧に用意する必要があります。逆に、その場で決まりやすい業種なら、低い段を挟まず、すぐ問い合わせや予約へ導くほうが早いこともあります。自分の業種で、顧客がどれくらいの時間をかけて決めるのかを思い浮かべてください。

検討が長い業種で、いきなり問い合わせだけを求めると、まだ決めきれない大多数を取りこぼします。ここでは、資料や事例で信頼を積む低い段が効きます。一方、困りごとが起きてすぐ探すような業種では、迷っている時間が短いので、探した瞬間にすぐ連絡できる道を目立たせるほうが取りこぼしを防げます。

業種の型 顧客が決めるまでの時間 効きやすい出口
検討が長く単価が高い 数週間から数か月 資料・事例で信頼を積む段
相談から受注する 数日から数週間 無料相談への申し込み
困ってすぐ探す その日のうち すぐ連絡できる電話とフォーム

広告を出すなら、受け皿を先に整える

行動が生まれる設計を整えないまま広告を出すのは、いちばんもったいない使い方です。広告は、お金を払って人を連れてくる仕組みです。連れてきた人が行動せずに帰るなら、払ったお金はそのまま消えます。行動が生まれる設計、つまり温度に合った出口と、心が動く場所に置かれたボタンと、不安を消す証拠。これらが整ってはじめて、広告費は成果に変わります。

順番としては、まずいま来ている人で設計を試し、行動が生まれることを確かめてから広告に進みます。いま来ている人で動かないものは、広告で連れてきた人でも動きません。無料で来た人が素通りする出口を、お金を払って連れてきた人だけが使う理由はありません。広告は、良い設計の効きを何倍にもする拡声器のようなものです。元の声が小さければ、大きくしても伝わる中身は変わりません。むしろ、広告で来た人は目的がはっきりしている分、受け皿の粗さがそのまま数字に出ます。受け皿を整える前の出稿は、粗さを高いお金で確かめる行為になってしまいます。

広告を出す前の状態 そのまま出したときの結果 先にやること
出口が問い合わせだけ 温度の低い人が全員帰る 低い段の出口を足す
証拠が弱い 最後の一歩で手が止まる 近い事例を1つ用意する
着地ページが会社案内 探していた情報に届かない 広告に合う受け皿を作る

改善は一度に1か所ずつ試す

ここまで挙げた手当ては数多くありますが、一度に全部を変えないでください。同時に複数の場所を直すと、行動が増えても、どの変更が効いたのか分からなくなります。分からなければ、次にどこへ力を入れるべきかも決められません。1か所だけ変えて、しばらく数字を見て、効いたかどうかを確かめる。この地味な繰り返しが、確実に成果を積み上げる進め方です。

最初に変える1か所は、いちばん人が来ているページに置く出口です。すでに人が集まっている場所に出口を作るのが、いちばん早く効きます。人の来ないページをいくら磨いても、見る人がいないので変化は現れません。まず、いま人がいる場所から手をつけて、小さな成功を1つ作る。その成功が、次の改善への手がかりと、社内の合意の両方を連れてきます。理屈でいくら説明しても動かなかった社内が、小さくても動いた数字を見せると、次の一手に前向きになります。最初の1か所は、成果を出すためであると同時に、次を進めるための味方を作る作業でもあります。

「無料相談」が押されないときに疑うこと

低い段のつもりで置いた「無料相談」が、思ったほど押されないことがあります。無料なのに動かないのは、値段の問題ではありません。相談することで何が得られるのか、相談したら何をされるのかが見えていないからです。無料という言葉だけでは、人は動きません。むしろ、無料ほど「その後で何か売りつけられるのではないか」という警戒を生むこともあります。

ここで効くのは、相談の中身を具体的に見せることです。何分くらいで、何を話し、終わったときに何が手元に残るのか。その場で契約を求めないなら、そう明記する。相談という言葉のまわりに、得られるものと、されないことを添えるだけで、押される数が変わります。人は、先が見えない扉より、中が見えている扉のほうを開けます。

無料相談が押されない理由 訪問者の心の声 添える一言
中身が見えない 何をするのか分からない 時間と話す内容を具体的に書く
売り込まれそう 契約を迫られそうで怖い その場で契約は求めないと明記
得るものが不明 相談して何が変わるのか 終わったとき手元に残るものを示す

数字が動かない期間をどう耐えるか

設計を直しても、数字がすぐ大きく動くとは限りません。とりわけ、検討に時間のかかる業種では、いま低い段を踏んだ人が高い段まで登るのに、数週間から数か月かかります。この間、問い合わせの件数だけを見ていると、「効いていない」と焦ってしまいます。ここで手を止めると、せっかく積み始めた階段を自分で崩すことになります。

耐えるための支えになるのが、途中の段の数字です。問い合わせがまだ増えていなくても、資料請求や相談の申し込みが増えているなら、階段は確実に機能しています。低い段の数字を先行して見ておくと、成果が表に出る前の手ごたえをつかめます。数字は、いちばん高い段だけでなく、途中の段まで含めて眺めてください。そうすれば、焦って正しい手をやめる失敗を避けられます。

よくある質問

Q. アクセスは多いのに問い合わせがありません。広告を増やすべきですか。

アクセスが多いのに行動がないなら、先に手を入れるのは、来た人を行動に導く設計です。広告はその後で足ります。行動しないサイトに広告で人を足しても、集めた人はそのまま帰ります。まず、いま来ている人が動く形を作ってから、その形に人を流し込むのが正しい順番です。まず出口を階段のように刻み、来ている人が動くようにしてから、人を増やす段階に進んでください。

Q. 問い合わせボタンは目立たせています。それでも押されません。

ボタンが目立っていても押されないなら、多くの場合、ボタンの手前で温度が足りていません。いきなり問い合わせを求める前に、資料請求や診断といった軽い出口を手前に用意してください。低い段から踏み出せるようにすると、これまで押せなかった層が動き始めます。ボタンの色や大きさをいじる前に、そのボタンが求めている行動が、いまの訪問者の温度に対して高すぎないかを疑ってください。

Q. 事例を載せていますが効果を感じません。

事例は、読者が自分を重ねられるかどうかで効き方が変わります。有名な企業の事例だけでは、規模の違う読者は自分ごとに感じません。読者と同じ業種や規模の事例を1つ添えると、「自分にも当てはまる」と感じてもらえます。事例は数を競うものではありません。読者にいちばん近い一例が1つあれば、それが十件の実績よりも強く効きます。導入前の悩みと導入後の変化を具体的に書くことも大切です。「何がどう良かったか」が具体的であるほど、読者は自分の場合に置き換えて想像できます。抽象的な感謝の言葉は、いくつ並べても、読者の頭の中に絵を描かせません。

Q. どの数字を見れば改善できているか分かりますか。

問い合わせの件数だけを追わないでください。資料請求や診断といった、途中の段の行動も一緒に測ります。問い合わせがまだ増えていなくても、途中の段が増えているなら、階段は機能し始めています。ページごとの離脱も見ると、どこで人が消えているかが分かります。

Q. すぐに成果を出したいのですが、どこから手をつければよいですか。

いちばん人が来ているページを1つ選び、そこに軽い出口を1つ足すところから始めてください。すでに人が集まっている場所に出口を作るのが、いちばん早く効きます。人の来ないページを直しても、見る人がいないので変化は現れません。すでに人が集まっている場所こそ、いちばん少ない手間で大きく効く場所です。まず、いま人がいる場所から手をつけます。人の来ないページを磨く時間を、人の来るページに出口を作る時間に振り向けるだけで、同じ労力の見返りが大きく変わります。

まとめ

アクセスがあるのに行動が生まれないのは、来た人を行動に導く設計の問題です。集客が足りないわけではありません。ここで広告を足すと、行動しないサイトに人を注ぎ込み、集めた人を逃がし続けることになります。手を入れる順番は、人を増やすより先に、来た人が動くようにすることです。

やるべきことは、訪れた人の温度を認め、出口を階段のように刻むことです。問い合わせという高い一段だけでなく、資料請求や診断といった低い段を手前に置く。各ページには行動を1つだけ持たせ、証拠は読者が自分を重ねられる形で見せる。この中から、いま自社でいちばん人が来ているページを1つ選び、そこに軽い出口を足すことから始めてください。その小さな成功が、次にどこへ手を入れるべきかを教えてくれます。行動が生まれるサイトへの転換は、大がかりな作り直しから始まるわけではありません。いま人がいる場所に置く、たった1つの軽い出口から始まります。焦って全部を変える前に、まずその一段を刻んでください。

今日できる点検

点検する場所 いま確かめること 今日やること
アクセス解析 集客と転換のどちらの問題か 訪問者数と行動数を並べて見る
出口の設計 問い合わせしか出口がないか 軽い出口を1つ考える
いちばん人が来るページ そこに出口があるか 読み終えた場所に出口を足す
事例の見せ方 読者が自分を重ねられるか 近い業種の例を1つ選ぶ
測っている指標 途中の段も数えているか 資料請求も成果に加える

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この記事を書いた人

中野輝規のアバター 中野輝規

合同会社謙虚 代表社員。20代から、売る言葉だけを仕事にしてきました。電話営業で受話器を握っていた時代から、数千社のWEB集客に関わったいままで。詳しいプロフィールはこちら

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