公開した記事の検索順位が下がってきた、あるいは表示はされているのに読まれている手応えがない。そうした状態に対して、記事を書き足したり書き直したりする作業がリライトです。新しく1本書くより手数が少なく、すでに検索エンジンに認識されている記事を土台にできるため、書き手が1人か2人しかいない小規模な事業では特に検討する価値があります。
一方で、闇雲に手を入れると、それまで読まれていた記事の評価まで揺らします。この記事では、どの記事にどの順番で手を入れるか、どこまで変えてよいか、変えた後に何を見るかを整理します。数値の目標や外部ツールの話には踏み込まず、手元のデータと記事本文だけで判断できる範囲にしぼって書きます。
リライトが新規記事より先に効く状況
リライトと新規記事は、どちらが優れているという関係ではありません。効く場面が違います。判断の分かれ目は、狙っているテーマについて、すでに検索結果に載っている記事が自社にあるかどうかです。
検索結果の2ページ目あたりに顔を出している記事は、検索エンジンからそのテーマの回答候補として認識されています。この記事に不足している情報を足すほうが、同じテーマで白紙から1本書くより手数は少なくて済みます。逆に、そのテーマの記事が自社に1本もない場合、リライトする対象そのものがありません。この場合は新規で書きます。
サイトを立ち上げて間もない時期は、後者に当たる場面が大半です。記事の総数が少ないうちは、テーマの幅を広げることが優先されます。リライトを本格的に回し始めるのは、公開した記事のうち何本かが検索結果に安定して載るようになってからで間に合います。
どの記事から手をつけるか
手元にある記事をすべて見直そうとすると、途中で止まります。優先順位をつけて、上から順に片づけます。判断材料は、検索での表示のされ方と、記事を開いた後の読まれ方の2つです。
| 記事の状態 | 考えられること | 手を入れる場所 |
|---|---|---|
| 表示は多いが読まれていない | 検索結果に出る文言と、読者が求めた答えがずれている | タイトルと冒頭の3段落 |
| 検索結果の2ページ目付近で止まっている | 回答としては認められているが、内容が薄い | 見出しの構成と情報量 |
| 以前より順位が下がった | 情報が古い、または他の記事に追い越された | 数字・年月・手順の更新 |
| 開いてすぐ離脱されている | 冒頭で答えにたどり着けていない | 結論の位置 |
| 読まれているが問い合わせに届かない | 読み終えた後の行き先がない | 記事末の案内 |
この表は上から順に優先度が高いと考えて構いません。表示されているのに読まれていない記事は、読者の手前まで来ている状態です。タイトルを検索意図に寄せるだけで流入が変わることがあり、作業量に対して動きが出やすい部分にあたります。
逆に、そもそも表示回数がごく少ない記事は、リライトの効果が見えにくい対象です。誰も検索していないテーマを磨いても、読む人は増えません。この種の記事は後回しにするか、テーマそのものを別の切り口へ差し替える判断が要ります。
手を入れる前に確かめる4つのこと
記事を開いて文章を直し始める前に、確認しておくと手戻りが減る項目があります。
その記事は実際どの言葉で読まれているか
執筆時に狙った言葉と、実際に読者が打ち込んでいる言葉は食い違うことがあります。検索エンジンの管理ツールでは、1本の記事がどの検索語で表示されたかを一覧できます。狙った言葉より別の言葉での表示のほうが多い場合、記事はその別の言葉の答えとして読まれています。この場合、実際に読まれている言葉に寄せて見出しを組み直すほうが、当初の狙いに戻そうとするより早く結果が出ます。
検索結果の上位に何が並んでいるか
狙う言葉で実際に検索し、上位に並ぶページの型を見ます。手順を説明したページが並んでいるのか、比較表が並んでいるのか、用語の定義が並んでいるのかで、読者が求めている形が分かります。自社の記事がその型から外れている場合、文章の巧拙より先に、記事の形そのものを合わせます。
古くなった記述はどこか
年号の入った記述、料金や制度に触れた記述、画面の操作手順は、時間とともに実態からずれます。読者がその1か所で信頼を落とすと、残りの正しい記述も読まれなくなります。本文を上から読み直し、いま同じことを書くかどうかで判定します。
読み終えた人の行き先があるか
記事を最後まで読んだ人が次に進める場所を用意しているかを見ます。関連する記事へのリンク、問い合わせへの案内、資料の案内などです。流入だけを増やしても、行き先がなければ読者はそのまま戻ります。
リライトの手順
確認が済んだら、次の順番で作業します。上から順に進めることで、大きな判断を先に済ませ、細かい文章の手直しを最後に回せます。
- 狙う検索語を1つに決める。1本の記事で複数の言葉を追うと、どちらの答えとしても中途半端になります。実際に表示されている言葉の中から、事業につながるものを1つ選びます。
- 見出しを組み直す。本文を書き換える前に、見出しだけを並べて読み、読者の疑問が出てくる順に並んでいるかを見ます。ここで抜けている論点を足し、重複した節をまとめます。
- 不足している中身を書く。組み直した見出しに沿って、足りない説明を書き足します。既存の文章で使える部分はそのまま残します。
- 古い記述を差し替える。年号、手順、金額に関する記述を現在の内容へ直します。根拠が示せない数字は、数字を使わずに書き直すほうが安全です。
- タイトルと冒頭を最後に直す。本文が固まってから、その中身を最も端的に表す言葉でタイトルを決めます。冒頭の3段落には、読者が知りたい答えの要点を先に置きます。
作業を終えたら、記事の更新日を反映させ、検索エンジンにインデックスの再取得を依頼します。ここまでが1本分の作業です。
何を足すと記事が変わるか
見出しを組み直したあと、多くの記事で問題になるのは「何を書き足すか」です。検索結果の上位に並ぶ記事を読んで、そこにある話題を集めてくると、結果として上位記事の平均のような記事ができあがります。読者にとっては、すでにどこかで読んだ内容が並んでいるだけの記事になります。
差がつくのは、自社の中にしかない情報です。小規模な事業ほど、この種の情報を多く持っています。
実際に受けた質問
問い合わせの電話やメール、商談の場で繰り返し出てくる質問は、検索窓に打ち込まれる言葉とほぼ同じ疑問です。相談を受けた人が答えている内容を、そのまま記事の1節にできます。上位記事に載っていない質問が混ざっていれば、その部分が記事の独自性になります。
判断に使っている基準
見積もりを出すとき、受けるか断るかを決めるとき、社内では何らかの基準を使っています。その基準を文章にすると、読者は自分の状況を当てはめて考えられます。一般論として「状況によります」と書かれた記事より、判断の分かれ目が示された記事のほうが読み終えたときに次の行動が決まります。
手順の中でつまずきやすい箇所
作業手順を説明する記事では、順番を並べただけの説明は他社の記事と似通います。実際にその作業を進めた人が引っかかる箇所と、そこでの対処を書き添えると、記事の内容が具体的になります。これも社内の経験からしか出てこない情報です。
変えてよい範囲と、慎重に扱う範囲
リライトで順位が下がることがあります。多くは、変更の量が大きすぎて、それまでその記事が答えていた質問とは別の記事になってしまった場合です。
| 変更の内容 | 扱い |
|---|---|
| 説明の追記、見出しの追加 | そのまま進めてよい |
| 古い記述の差し替え | そのまま進めてよい |
| タイトルの言い回しの調整 | 変更前を控えたうえで実施する |
| 記事のテーマそのものの変更 | 別の記事として新規に作る |
| 本文の大半の削除 | 削る理由を確認してから実施する |
テーマを変えたい場合は、既存の記事を書き換えるより、新しい記事として公開するほうが安全です。既存の記事が別の言葉で読まれ続けているなら、その流入を失う理由はありません。
また、変更前の本文は必ず控えておきます。順位が下がった場合に元へ戻せる状態にしておくと、判断が速くなります。
効果をどう見るか
リライトの結果は、数日では判断できません。検索エンジンが更新後の記事を再度読み込み、評価を反映するまでに時間がかかるためです。目安としては、更新から数週間の幅を取って観察します。
見る指標は、順位そのものより、表示回数とクリック数の組み合わせが実用的です。表示回数が増えてクリックが伸びていれば、検索語との一致が改善しています。表示回数が変わらずクリックだけ増えていれば、タイトルの調整が効いています。どちらも動かない場合、記事の中身ではなく、そもそも狙った検索語に需要があるかを疑います。
1回のリライトで狙い通りになることは稀です。手を入れた記事を一覧で管理し、更新した日付と変更点を記録しておくと、次に手を入れるときの判断材料になります。
作業を続けるための記録
リライトは1回きりの施策ではなく、公開済みの記事を定期的に見直す運用です。続けるうえで効いてくるのが、何をいつ変えたかの記録です。記録がないと、数か月後に順位が動いたとき、その原因が更新にあるのか外部の変化にあるのかを切り分けられません。
表計算ソフトで足りるので、記事ごとに次の項目を並べておきます。
- 記事のURLと、その記事で狙っている検索語
- 更新した日付
- 変更した内容を1行で(見出しの追加、タイトルの調整、古い記述の差し替えなど)
- 更新前の表示回数とクリック数
- 次に見直す予定の時期
この記録があると、効いた変更の型が見えてきます。タイトルの調整が効きやすい記事群、情報の更新が効きやすい記事群といった傾向が分かれば、次に手を入れる記事の選び方が変わります。担当者が変わったときの引き継ぎにも、この一覧がそのまま使えます。
更新の頻度は、手元の体制で無理なく回せる本数から逆算します。月に2本でも、1年続ければ24本が見直された状態になります。一度に多くの記事へ手を出して止まるより、本数を絞って続けるほうが積み上がります。
手を入れても動かないとき
手順どおりに直しても表示回数もクリックも動かない記事が出てきます。この場合、記事の中身より前の段階に原因があることが多く、本文をさらに書き足しても状況は変わりにくくなります。確認する順番は次のとおりです。
まず、その検索語を実際に検索している人がいるかを見ます。検索窓に打ち込んだときに候補が出てこない言葉や、検索結果に広告も比較記事も並ばない言葉は、探している人がごく少ない可能性があります。需要のない言葉に合わせて記事を磨いても、読む人は増えません。この場合は、同じテーマでもう少し広い言葉へ狙いを移します。
次に、検索結果の上位が何で占められているかを見ます。公的機関のページや大手の比較サイトが上位を固めているテーマでは、記事の質を上げても上位へ届きにくい場合があります。その場合は、テーマを自社の地域や業種に寄せて絞り込むほうが、読者にも検索エンジンにも位置づけが伝わります。
さらに、同じテーマの記事が自社内に複数ないかを確認します。似た内容の記事が何本もあると、検索エンジンがどれを代表として扱うか定まらず、どの記事も伸びにくくなります。この場合は、最も内容の厚い1本に情報を集約し、残りはその記事へ案内する形に整理します。
よくある質問
どのくらいの頻度でリライトすべきですか
一律の頻度を決めるより、記事の性質で分けるほうが現実的です。制度や料金に触れた記事は情報が変わるたびに、考え方を説明した記事は年に1度ほど見直す、といった分け方になります。すべての記事を同じ周期で回そうとすると、運用が続きません。
文字数は増やしたほうがよいですか
文字数それ自体が評価されるわけではないため、増やすことを目的にした加筆は逆効果になります。読者の疑問に答えるために必要な説明を足した結果として文字数が増えるのが自然な順序です。同じ内容を言い換えて長くした記事は、読み進めるのが難しくなります。
リライトと新規記事のどちらに時間を使うべきですか
手元に検索結果へ載っている記事が何本かあるなら、まずそれを磨きます。載っている記事が乏しいなら、新規記事に時間を使います。両方を同時に進めるより、どちらかに寄せたほうが結果を読み取りやすくなります。
外注した記事もリライトの対象になりますか
対象になります。ただし、外部に書いてもらった記事は、自社でしか持っていない情報が薄いことがあります。実際の相談内容、対応した事例の傾向、社内で使っている判断基準といった、自社にしかない情報を足す作業が、最も差がつく加筆になります。
まとめ
リライトは、すでに手元にある記事を資産として扱う作業です。優先順位をつけ、検索語を1つに定め、見出しから組み直し、古い記述を差し替える。この順番を守れば、作業量に対して結果が読み取りやすくなります。
同時に、リライトで伸ばせる範囲には限りがあります。検索する人が少ない言葉、上位が固定されたテーマ、社内で重複している記事は、本文の手直しでは動きません。その見極めがつけば、時間を使う先を新規記事や記事の統合へ切り替えられます。
手を広げるより、1本ずつ確実に仕上げるほうが、小規模な体制には合っています。更新した記事と変更点を記録に残しながら、今日直す1本を決めるところから始めてください。
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