記事が200本、300本とたまってくると、必ず同じ相談が来ます。「昔の記事が古くなっているので、まとめて消したほうがいいですか」というものです。相談の背景にはたいてい、質の低いページはサイト全体の評価を下げるという話があります。その話自体は間違っていません。問題は、そこから「では古い順に消そう」へ一足飛びに進んでしまうところにあります。
実際にあった話をします。ある会社が、3年以上前に書いた記事を120本ほど、社内の判断でまとめて消しました。理由は「読み返したら内容が古かったから」。ここまでは誠実な動機です。ところが2か月後、問い合わせが目に見えて減りました。調べてみると、消した120本のうち14本が検索から人を運んでいて、そのうち3本は問い合わせフォームまで到達させていた記事でした。消す前は、誰もその数字を見ていませんでした。消した記事に人が来ていたことは、消したあとにしか分かりません。
この記事は「消すな」とも「消せ」とも言いません。読み終えたときに、手元の記事を1本ずつ数字で3つの箱に振り分けられる状態を作ります。振り分けの表と、消す場合に転送を張る手順まで具体的に書きます。転送を張らずに消して流入を失う事故は、手順を1つ足すだけで防げるものだからです。
まとめて消した会社に何が起きるのか
整理の話を数字から始める前に、事故がどういう形で起きるかを見ておきます。ここを飛ばすと、この記事の後半に出てくる手順が「面倒な追加作業」に見えてしまいます。手順が面倒に見えると、忙しい月には飛ばされます。飛ばされた瞬間に事故が起きるので、まず何が失われるのかをはっきりさせておきます。
消えたのは順位より先に、まず入口です
記事を1本消すと、その記事が取っていた検索順位が消えます。ここまでは誰でも想像できます。見落とされるのは、その記事が「サイトへの入口」だったという事実のほうです。検索から来た人は、まずその記事を読み、そこから会社概要やサービスのページへ移動していました。入口が閉じると、その先にあった移動も同時に消えます。
入口の数は、サイト全体で均等に散らばってはいません。多くのサイトでは、記事全体の1割から2割が検索流入の大半を運んでいます。残りの8割は、月に数人しか来ない静かな記事です。ここで厄介なのが、静かな記事の中に、ごく少数だけ「来る人数は少ないが、来た人がほぼ全員問い合わせる記事」が混じっていることです。導入事例に近い内容の記事や、かなり具体的な悩みに答えた記事が、この性質を持ちやすいと感じています。
この種の記事は、検索する人の数がそもそも少ない言葉で見つかっています。月に何万回も検索される言葉ではありません。その状況にいる人だけが打ち込む長い言葉です。だから表示回数もクリックも小さく出ます。数字が小さいという理由で消される側に回りやすく、しかも消えたときの痛みがいちばん大きい。整理の作業で最も注意すべき場所が、ここに集まっています。
アクセス数だけを見ると、その記事は「ゼロ」に見えます
サイトの管理画面に出るアクセス数は、たいてい「ページを見た回数」です。月に3人しか見ていない記事は、ほとんど誤差のように表示されます。一覧を上から見て、下のほうにある記事を選択して削除する。この操作のあいだ、画面のどこにも「この記事は先月、検索結果に1,800回表示されていました」とは出ません。
表示回数がサイトの中に記録されていないからです。表示回数はGoogleの側にある数字で、Search Consoleを開かないと見えません。削除の判断をサイトの管理画面だけで行うと、判断に必要な数字の半分を見ないまま決めることになります。
もう1つ、管理画面の一覧に出てこない数字があります。その記事を読んだ人が問い合わせへ進んだかどうかです。これはGA4の側にあります。整理の判断に必要な数字は、サイトの中と、Googleの検索の側と、解析の側の3か所に散らばっています。3か所を1枚の表にまとめる作業が、この記事で最初にやることになります。
「質の低い記事は評価を下げる」をどう受け取るか
この言い方は正しいのですが、粗いのです。ここで言う「質が低い」は、書かれた年が古いことを指していません。読んだ人が知りたかったことに答えていない状態を指します。5年前に書かれていても、答えになっている記事は今も評価されます。逆に先月書いた記事でも、検索した人の質問に答えていなければ評価されません。
年の古さと質を混同すると、判断の基準が「公開日」になります。公開日は並べ替えが簡単なので、作業としては進めやすい。進めやすいから、多くの会社がここで滑ります。冒頭の120本も、公開日で並べ替えて古いほうから選んだ結果でした。
Googleの案内でも、削除は最初に取る手ではないという趣旨が繰り返し示されています。まず直す。直せないものだけを消す。この順番が守られていれば、あの事故は起きませんでした。
| 整理の進め方 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 公開年が古い順に消した | 流入を運んでいた記事が混ざって消えている | 消した記事の一覧を作り、転送先を後追いで張る |
| アクセス数だけで消した | 表示回数が伸びている途中の記事を落としている | Search Consoleで表示回数を確認してから再判断する |
| 読み返した印象で消した | 判断が人によって変わり、記録が残らない | 数字の基準を紙に書き、次の担当者が同じ判断を再現できる形にする |
| 何も触っていない | 古い情報が残り、問い合わせ前の不信につながる | 上位30本だけを先に点検し、範囲を区切って始める |
判断の前に見る4つの数字
振り分けの表に入る前に、判断材料を揃えます。使う数字は4つだけです。多く見ようとすると、途中で作業が止まります。実際、指標を10個並べた集計表を作った会社が、3回目の更新でやめてしまったのを見たことがあります。続く仕組みにするために、意図的に少なくしています。
1つ目は表示回数です
その記事が検索結果に何回現れたかを表す数字です。Search Consoleの検索パフォーマンスで、ページ単位に切り替えると出てきます。この数字は「Googleがその記事を、どれくらいの人の質問に対する候補として扱っているか」を示します。
表示回数が3か月で0に近い記事は、Googleから候補として扱われていません。逆に表示回数が数百から数千あるのにクリックがほとんどない記事は、候補にはなっているが選ばれていない記事です。この2つは見た目のアクセス数が同じでも、やることがまったく違います。表示回数を見ずに削除を決めると、この2種類を区別できません。
2つ目はクリック数です
検索結果から実際にその記事へ来た人数です。表示回数と並べて見ることに意味があります。表示回数に対するクリックの割合が低い場合、タイトルと説明文が検索した人の質問と噛み合っていない可能性が高くなります。掲載順位が同じくらいの記事どうしで比べると、噛み合っていない記事が浮かび上がります。
ここで気をつけたいのは、順位を無視してクリックの割合だけを比べないことです。30位の記事のクリックが少ないのは当たり前で、直すべき点があるからではありません。比較は、順位の近い記事どうしで行います。
3つ目は平均掲載順位です
その記事が検索結果の何番目に出ているかの平均です。この数字は振り分けの優先順位を決めるうえで、いちばん実用的です。11位から20位のあたりに固まっている記事は、あと一歩で1ページ目に入る位置にいます。ここに手を入れると、同じ労力に対して返ってくるものが大きくなります。理由は後の節で詳しく書きます。
平均という点にも注意が要ります。ある記事が、ある言葉では8位、別の言葉では45位という状態は普通にあります。平均だけを見ると26位あたりに見えて、実態を見誤ります。振り分けの候補に上がった記事は、その記事に対する検索語の一覧を開いて、どの言葉で何位なのかを1度確認してください。
4つ目はその記事から先に進んだ人数です
3つの数字はすべてGoogleの側から見た数字です。4つ目だけは自社の側から見ます。その記事を読んだ人が、問い合わせフォームや資料請求のページへ進んだ人数です。GA4で、着地したページごとに、問い合わせページの表示や送信を数えれば出ます。
この数字を入れる理由ははっきりしています。アクセスが少ない記事の中に、事業にとっていちばん大事な記事が紛れているからです。月に20人しか読まないが、その20人のうち2人が問い合わせる記事は、月に3,000人が読んで誰も問い合わせない記事より価値があります。整理の目的が事業である以上、この数字を外すわけにはいきません。
設定が難しいと感じるなら、簡易な方法があります。問い合わせフォームのページを開く直前に見ていたページの一覧を、期間を指定して出すだけでも足ります。厳密な計測でなくてかまいません。ここで欲しいのは「この記事は問い合わせの手前にいたことがある」という事実の有無だけです。
4つを1枚の表にまとめます
集計の期間は直近3か月から6か月にします。1か月だと季節の波を拾ってしまい、12か月だと直近の変化が薄まります。表計算ソフトに、記事のURLと4つの数字を並べた表を作ります。この表が、以降のすべての判断の土台になります。
作業としては、Search Consoleからページ別の数字を書き出し、GA4から問い合わせ手前のページの一覧を書き出し、URLを鍵にして横に並べるだけです。記事が300本あっても、慣れれば1時間かかりません。最初の1回だけは、書き出しの手順を覚えるのに時間がかかりますが、2回目からは同じ操作の繰り返しになります。
| 見る数字 | どこで見るか | この数字が答えること |
|---|---|---|
| 表示回数 | Search Console・検索パフォーマンス・ページ別 | Googleが候補として扱っているかどうか |
| クリック数 | 同上 | 候補の中から選ばれているかどうか |
| 平均掲載順位 | 同上 | あと一歩で伸びる位置にいるかどうか |
| 先に進んだ人数 | GA4・着地ページ別の目標到達 | 読者が事業の入口へ動いているかどうか |
振り分けを始める前に決めておくこと
表が1枚できたら、すぐ振り分けに入りたくなります。その前に、決めておくと後戻りが減ることが3つあります。どれも5分で決まる話ですが、決めずに始めると作業の途中で議論が起き、そこで手が止まります。
今回どこまでやるかの範囲
記事が300本あるなら、300本を1度に扱う必要はありません。カテゴリを1つ選ぶ、あるいは公開年を1年分に区切る。範囲を決めてから始めると、終わりが見えます。終わりが見えない作業は、途中で止まったまま半年放置されます。
おすすめは、いちばん流入の多いカテゴリから始めることです。手を入れた効果が数字に出やすく、次を続ける動機になります。人の少ない会社では、この動機がそのまま作業が続くかどうかを決めます。
誰が最後に決めるか
消す判断には、必ず反対意見が出ます。「この記事は自分が書いたものだ」「取引先に見せたことがある」。意見が出ること自体は健全ですが、決める人を先に決めておかないと、そのたびに止まります。
決める人は1人にします。相談する相手は複数でかまいませんが、最後に決めるのは1人。そして決めた理由を記録に残す。この形にしておくと、後から「なぜ消したのか」と聞かれても答えられます。
元に戻せる状態を作っておく
記事を消す前に、本文をそのまま手元に保存しておきます。管理画面から書き出す機能を使うか、面倒なら文章を貼り付けたファイルを残すだけでも足ります。消した記事をもう1度出すことになったとき、本文が残っていれば1時間で戻せます。残っていなければ、書き直しになります。
保存しておく理由はもう1つあります。消した記事の本文は、他の記事を直すときの材料になります。まとめる作業でも、直す作業でも、過去に書いた具体例は使えます。捨てているのは本文そのものではありません。そのURLを公開しておくという判断のほうです。
| 始める前に決めること | 決めずに始めると起きること | 決め方の目安 |
|---|---|---|
| 今回扱う範囲 | 終わりが見えず途中で止まる | 流入の多いカテゴリ1つ、または公開年1年分に区切る |
| 最後に決める人 | 反対意見が出るたびに作業が止まる | 相談は複数、決定は1人と決めておく |
| 元に戻す手段 | 判断を誤ったときに書き直しになる | 消す前に本文を手元のファイルへ保存する |
| 次回の点検日 | 1回で終わり、3年後に同じ作業が要る | 作業当日に3か月後の予定を入れる |
数字で3つに振り分ける表
ここがこの記事の中心です。4つの数字が揃ったら、記事を「そのまま」「直す」「消す」の3つに振り分けます。判断を人の印象に任せないために、境目を数字で決めておきます。
振り分けの基準
下の表を、そのまま社内の基準として使えるように作りました。数字の水準はサイトの規模で調整してください。月に10万回表示されるサイトと、月に3,000回のサイトでは、同じ「表示回数50回」の意味が違うためです。目安としては、サイト全体の表示回数を記事数で割った平均値を出し、その1割を下限の線に置くと現実的な基準になります。
| この状態に当てはまる記事 | いま起きていること | 振り分けと次にすること |
|---|---|---|
| 掲載順位1〜10位・クリックあり | すでに評価されている | そのまま。触るのは事実の誤りと古い年号だけにする |
| 掲載順位11〜20位・表示回数あり | あと一歩で1ページ目に届く | 直す。最優先で手を入れる |
| 表示回数は多いがクリックが極端に少ない | 候補にはなるが選ばれていない | 直す。タイトルと説明文を先に書き換える |
| クリックは少ないが問い合わせにつながっている | 読者が事業の入口へ動いている | そのまま。数字が小さくても消さない |
| 表示回数もクリックも6か月ほぼ0・内容も薄い | 誰の質問にも答えていない | 消す。転送先を決めてから消す |
| 同じ狙いの記事が3本以上ある | 自社の記事どうしで票が割れている | 1本にまとめる。残す1本へ他を転送する |
振り分けは上から順に当てはめます
表は上の行から順に見ていきます。ある記事が複数の行に当てはまることがありますが、先に当たった行を採用します。理由は単純で、「消す」の行に当たる前に「そのまま」や「直す」の行で拾えるようにしてあるからです。この順番が、事故を防ぐ最後の網になります。
特に4行目は重要です。クリック数が小さいという理由だけで消される記事を、ここで確実に救い上げます。冒頭の120本の事故は、この行がなかったために起きました。作業をする人が変わっても同じ結果になるように、表は印刷して手元に置くくらいがちょうどよいと思います。
境目に落ちた記事はどうするか
実際に作業すると、どの行にも気持ちよく当てはまらない記事が2割ほど出ます。表示回数は少しあるが順位は40位、問い合わせも0。こういう記事です。ここで悩み込むと、作業全体が止まります。
決めごとを1つ置きます。迷った記事は「保留」に置き、次の点検まで触りません。保留は4つ目の箱ではありません。判断の先送りです。先送りには理由があります。消す判断は取り消しにくく、直す判断は時間を使います。どちらにも踏み切れない記事に、今その両方を投じる必要はありません。3か月後に同じ表を作れば、その記事は上下どちらかに動いています。
保留を作ると作業が終わらないように見えますが、逆です。迷う記事に判断を強いるから、整理は途中で止まります。迷わない記事だけを処理して先に進み、迷った記事は次回に回す。この形にすると、1回の作業時間が読めるようになり、続けられます。
「そのまま」に振り分ける記事
3つの箱のうち、いちばん軽く見られているのが「そのまま」です。整理を始めた人は何かを動かしたくなるので、触らないという判断が物足りなく感じます。ここで手を出して順位を落とす例が、思っているより多くあります。
上位に入っている記事は大きく触りません
1位から4位あたりに定着している記事は、検索した人の質問とすでに噛み合っています。ここを全面的に書き直すと、噛み合っていた部分まで一緒に動きます。見出しの構成を変え、本文を半分入れ替え、結論の位置を動かした結果、翌月に10位以下へ落ちた例を見たことがあります。戻すのに3か月かかりました。
上位記事に手を入れてよいのは、3種類だけだと考えています。事実として誤っている記述、時点が古くなった年号や制度の記述、そして読者が次に進むための案内が抜けている箇所です。文章の言い回しを整えたいという動機で触るのは、割に合いません。
どうしても大きく直したい場合は、記事全体を一気に入れ替えず、1か月に1つの見出しだけを直します。順位が動いたときに、どの変更が効いたのかが分かるからです。上位の記事ほど、変更は小分けにして入れます。
季節で戻ってくる記事があります
年末の準備、年度替わりの手続き、夏場の需要。こうした話題の記事は、1年のうち10か月は静かで、2か月だけ動きます。整理を静かな時期に行うと、この記事は「6か月ほぼ0」の条件に引っかかります。
集計期間を12か月に広げた列を1つ足しておくと、この取りこぼしを防げます。列を増やすのは面倒ですが、この1列だけは足す価値があります。季節の記事は毎年同じ時期に同じ人数を運んでくるので、1度消すと毎年の流入を失い続けることになるからです。
判断を先送りしてよい記事
先送りしてよい記事には、はっきりした型があります。公開から3か月経っていない記事は、まだ評価が定まっていません。この段階の数字は、記事の良し悪しよりも、Googleが内容を把握するまでの時間を反映しています。
もう1つは、社外に向けた記録の性格を持つ記事です。受賞の報告、拠点の開設、体制の変更。検索からは誰も来ませんが、社名で調べた人が会社の歩みを確かめる材料になります。数字で見れば消す側に入りますが、消す理由もありません。
3つ目は、社内で参照されている記事です。営業が商談の場で見せている、問い合わせの返信に貼っている、といった使われ方をしているものです。検索の数字はまったく動きませんが、消すと現場が困ります。営業と、問い合わせを受けている担当に一言聞けば分かります。
| そのままにする記事 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 掲載順位が1〜4位で安定している | 読者の質問と噛み合っている | 事実の誤りと古い年号だけ直し、構成は動かさない |
| 年に2か月だけ動く季節の記事 | 静かな時期に集計して低く見えている | 12か月の表示回数を1列足して判断し直す |
| 公開から3か月経っていない | 評価がまだ定まっていない | 次の点検まで数字を見るだけにする |
| 社内で商談や返信に使われている | 検索の数字には現れない用途がある | 営業と問い合わせ担当に使用の有無を聞く |
| 会社の記録として置いている | 検索からの流入はないが不都合もない | 集計の対象から外し、点検の手間を減らす |
「直す」に振り分けた記事の優先順位
直すと決めた記事が40本あったとして、40本を同時には直せません。どれから手をつけるかで、3か月後の結果が変わります。
11位から20位の記事から手をつける理由
検索結果の1ページ目に入るかどうかで、クリックの量は大きく変わります。1ページ目の下のほうと2ページ目の上のほうでは、順位の差は1つでも、実際に来る人数は何倍も違います。2ページ目を開く人は、1ページ目を見た人のごく一部だからです。
つまり11位から20位にいる記事は、あと数段のところで、ほとんどの読者に届いていない状態にあります。この記事を10位以内へ押し上げると、順位の変化は小さいのに、来る人数の変化は大きくなります。一方、50位の記事を40位に上げても、来る人数はほとんど変わりません。同じ作業時間をかけるなら、前者に使ったほうが返ってくるものが大きいという、それだけの話です。
作業の順番としては、11位から20位の記事を表示回数の多い順に並べ、上から5本ずつ手をつけるのが現実的です。5本終えたら結果が出るまで1か月待ち、次の5本に進みます。全部を一気に直すと、何が効いたのかが分からなくなります。
クリックだけが低い記事
順位は10位以内にいるのに、クリックが同じ順位の他の記事より明らかに少ない記事があります。この場合、本文を書き直しても意味がありません。読者はまだ本文にたどり着いていないからです。
直す場所はタイトルと、検索結果に出る説明文です。ここで確認するのは、検索した人が入力した言葉が、タイトルの前半に入っているかどうかです。Search Consoleの検索パフォーマンスで、その記事に対する検索語の一覧を出せば、実際に何と入力されているかが分かります。想定していた言葉と違うことは、珍しくありません。
タイトルを書き換えたら、変えた日付を記録しておきます。1か月後にクリックが増えていれば当たり、変わらなければ別の言葉で試す。この繰り返しは、本文を直すより短い時間でできます。時間が取れない月は、タイトルだけを直す月にしてもかまいません。
表示回数が伸びない記事
クリック以前に、そもそも検索結果に出ていない記事です。この場合、記事が答えようとしている質問と、実際に検索されている質問がずれています。
直し方は、記事の狙いを検索語のほうへ寄せることです。自社で使っている言い方を、読者が使っている言い方に置き換えます。業界の内側で通じる言葉は、外側では検索されません。ここは1度、社内の言葉を全部疑ってかかる必要があります。
言い換えの候補は、問い合わせの文面の中にあります。お客様が最初に書いてきたメールや、電話で最初に言った一言。そこに出てくる表現が、そのまま検索語に近いことがよくあります。社内の資料を探すより、受信箱を見たほうが早いのです。
順位が高いのに問い合わせが来ない記事
4つ目の数字だけが0の記事です。読者は来ていて、最後まで読んでいる可能性もあるのに、次へ進んでいません。
この記事に足りないのは、たいてい情報ではありません。読んだ人が次に何をすればよいかが、記事の中で決まっていないのです。調べものは終わったが、行き先が示されていないので、そのまま検索結果へ戻ってしまいます。記事の終わりに進める先を1つだけ置き、その1つに絞ります。行き先を3つ並べると、選ぶ手間が生まれて、結局どれも選ばれません。
| 数字の出方 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 順位11〜20位・表示回数あり | 1ページ目の手前で止まっている | 最優先で直す。5本ずつ進めて結果を見る |
| 順位10位以内・クリックが少ない | 本文まで届いていない | タイトルと説明文を、実際の検索語に合わせる |
| 表示回数そのものが少ない | 狙いと検索語がずれている | 社内の言い方を読者の言い方へ置き換える |
| 順位もクリックも高いが問い合わせ0 | 次の行き先が決まっていない | 記事末の行き先を1つに絞る |
| 順位が半年で下がり続けている | 他社の記事が更新されて追い越された | 上位の記事に無く自社にある具体を足す |
リライトで実際に書き換える場所
直すと決めた記事を前にして、どこから手を動かすかが決まらないという相談も多く受けます。書き換える場所には順番があります。
見出しを読者の質問の形に直す
古い記事の見出しは、書き手の都合で並んでいることが多くあります。「サービスの特徴」「導入の流れ」といった見出しは、社内の資料としては正しいのですが、検索して来た人の頭の中の質問とは形が違います。
見出しを、読者が口に出すであろう質問の形に置き換えます。「導入の流れ」を「申し込んでから使えるようになるまで何日かかるか」に変えるだけで、その見出しの下に書くべきことがはっきりします。日数を書いていない自分に気づく、という副産物もあります。
古い数字と古い前提を入れ替える
制度の名称、税率、対応している機器、営業の時間。こうした記述は、記事の主題と関係なく古びます。読者は主題については専門家ではありませんが、こういう細部の古さには敏感です。1か所古い記述があると、記事全体の信頼が下がります。
作業としては、記事の中の数字と固有の名称をすべて拾い出し、1つずつ今の状態と突き合わせます。手間はかかりますが、判断は要りません。作業が単純なので、書き手以外の人に任せられる部分でもあります。
結論を先頭に動かす
古い記事は、背景の説明から始まっていることが多いものです。検索から来た人は、答えを探しに来ています。記事の冒頭に答えを置き、その後で理由と手順を書く形に組み替えます。
この並べ替えは、AIによる検索の結果に引用されるかどうかにも関わります。質問に対する答えが、見出しの直後に短くまとまっている記事は、引用の単位として扱いやすいためです。表を使うのも同じ理由からで、比較や分類が表の形になっていると、そのまま切り出されやすくなります。
次の行き先を1つ決める
記事を直すときに、最後に必ずやることがあります。その記事を読み終えた人が、次に進むべき場所を1つ決めることです。この記事を読んだ人の状態を想像して、その状態の人に合う行き先を選びます。
比較の段階にいる人の記事から、いきなり申し込みへ送っても進みません。逆に、すでに具体的に検討している人の記事から、一般的な解説記事へ送るのも遠回りです。記事ごとに読者の温度が違うので、行き先も記事ごとに変わります。
| 直す場所 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 見出しが社内の言葉で並んでいる | 読者の質問と形が違う | 見出しを読者が口にする質問の形へ置き換える |
| 年号や制度の記述が古い | 細部の古さで記事全体の信頼が落ちている | 数字と名称を拾い出して今の状態と突き合わせる |
| 背景の説明から始まっている | 答えにたどり着く前に離脱している | 冒頭に答えを置き、理由と手順を後ろへ回す |
| 記事末に行き先がない | 読み終えた人が検索結果へ戻っている | 読者の段階に合う行き先を1つだけ置く |
公開日を新しくするだけの更新が効かない理由
整理の話をすると、必ず出てくるのが「日付を新しくすれば順位が上がるのか」という質問です。答えははっきりしています。上がりません。
日付は中身の保証になりません
Googleが見ているのは、記事の中身が読者の質問に答えているかどうかです。公開日の表示は、その判断の材料の1つにすぎません。中身がまったく同じで日付だけが新しい記事は、Googleから見れば中身がまったく同じ記事です。
むしろ逆に働くことがあります。日付だけ新しい記事を読んだ人が、本文の中に古い年号や古い制度の記述を見つけると、その記事は「新しいと言いながら更新されていない記事」になります。読者から見た信頼の落ち方としては、古い日付のまま正直に置いてあるほうがまだ軽いのです。
更新日を触ってよいのはどういうときか
本文に実質的な変更を加えたときだけです。目安として、記事の1割から2割以上の分量が入れ替わっているか、記事の結論が変わっているか、そのどちらかに当たるなら更新日を新しくしてかまいません。誤字を3か所直しただけで日付を動かすと、次に見たときにいつ何をしたのかが分からなくなります。
作業の記録という意味でも、更新日と実際の作業を一致させておく価値があります。半年後に「この記事は前回いつ何を直したか」を調べるとき、日付が唯一の手がかりになるからです。
| やろうとしていること | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 日付だけを新しくする | 中身が変わっていないので評価も変わらない | 日付を触る前に、本文のどこを変えるか決める |
| 誤字修正で日付を動かす | 作業の記録として使えなくなる | 日付は動かさず、修正の内容だけ手元に残す |
| 本文の2割以上を入れ替えた | 実質的に別の記事になっている | 更新日を新しくし、変更点を記録する |
| 結論そのものを変えた | 以前の読者と異なる案内をしている | 更新日を新しくし、変わった理由を本文に1行書く |
「消す」に振り分けた記事でやること
ここからが、事故がいちばん起きる場所です。消すという操作そのものは、管理画面のボタン1つで終わります。終わってしまうから危ないのです。
消す作業は「行き先を決める作業」です
考え方を1つ入れ替えます。記事を消すというのは、その記事のURLを閉じる作業です。閉じたURLには、この先も人が来ます。検索結果に残っている分、他のサイトから張られているリンク、社内の資料に貼られたURL、以前その記事を読んだ人の履歴。これらは記事を消しても消えません。
だから消す作業の本体は、「そのURLに来た人を、どこへ案内するか」を決めることです。案内先が決まっていない記事は、まだ消せる状態にありません。この一文を社内の手順書に入れておくだけで、冒頭の事故はほぼ防げます。
転送を先に作ってから消す
順番が大事です。先に消してから転送を張ろうとすると、消した記事のURLの一覧を作り直すところから始めることになります。管理画面のごみ箱から拾えることもありますが、確実ではありません。
作業の順番は次のとおりです。
| 順番 | やること | ここを飛ばすとどうなるか |
|---|---|---|
| 1 | 消す記事のURLを一覧に書き出す | 消したあとに何を消したか分からなくなる |
| 2 | 1本ずつ転送先のURLを決めて隣の列に書く | 転送先を決めないまま消し、404が残る |
| 3 | その記事へ張られている内部リンクを洗い出す | サイト内に行き止まりのリンクが残る |
| 4 | 転送の設定を入れて、動くことを確かめる | 設定したつもりで動いていない状態に気づけない |
| 5 | 内部リンクを転送先へ張り替える | 読者が転送を経由し続け、経路が分かりにくくなる |
| 6 | 記事を下書きへ戻すか削除する | ここを最初にやると、以降の作業が困難になる |
転送の設定は、使っているサイトの仕組みによって場所が変わります。多くのサイトでは、管理画面に転送を管理する機能が入っています。入っていない場合は、サーバー側の設定ファイルに書く形になります。どちらの場合も、設定したあとに実際にそのURLを開いて、転送先が表示されることを目で確かめます。設定した気になっているだけで動いていない、という事故が普通に起きます。
確認は1本ずつ手で開くのがいちばん確実です。数が多いときは、転送元のURLを一覧にして、順番に開いていきます。10本や20本なら数分で終わります。ここを省いて、あとから流入が消えていることに気づくほうが、はるかに高くつきます。
転送先の選び方
転送先は「消した記事を探しに来た人が、次に読んで納得するページ」です。とりあえず全部トップページへ送るという方法がよく取られますが、これはあまり良い手ではありません。具体的な悩みを持って来た人が、いきなり会社のトップページに着くと、自分の探していたものが見つからないまま離れます。
| 消す記事の性格 | いま起きていること | 転送先の決め方 |
|---|---|---|
| 同じ話題の記事が他にもある | 自社の記事どうしで内容が重なっている | いちばん詳しい1本へ転送する |
| 提供をやめたサービスの説明 | 読者が今は買えないものを探している | 近い内容の現行サービスのページへ転送する |
| 終わった催しの案内 | 日付が過ぎた情報を読んでいる | 催しの一覧ページへ転送する |
| 話題がサイトの本業と関係ない | 読者の関心と会社の提供が噛み合わない | 転送先を無理に作らず、削除して検索結果から外れるのを待つ |
| 内容が薄く重なる記事もない | 誰の質問にも答えていない | 近い主題のカテゴリ一覧へ転送する |
転送を張らずに消すと何が起きるか
時間の流れとして書いておきます。消した直後、検索結果にはまだその記事が残っています。ここを押した人は、ページが見つからない画面に着きます。この人はほぼ確実に戻ります。1週間から1か月ほどのあいだ、この状態が続きます。
やがて検索結果からその記事が消えます。ここで流入が消えます。同時に、その記事へ他のサイトから張られていたリンクの評価も行き場を失います。もともと評価の高い記事だった場合、失うものが大きくなります。
さらに、サイト内から張られたリンクが行き止まりになります。読者がサイトの中を回っている途中で行き止まりに当たると、その時点で離れます。ここまでの3つは、転送を1本張っておけばすべて起きません。転送を張れば、来た人は行き先のページを読み、評価も行き先へ引き継がれます。
もう1つ、日程の面で気をつけたいことがあります。繁忙期の直前に大量の記事を消すのは避けてください。数字が動いたときに、それが整理の影響なのか季節の影響なのかを切り分けられなくなります。切り分けられないと、次にどうすればよいかも決まりません。消す作業は、流入が安定している時期にまとめて行い、その前後1か月は他の大きな変更を入れないようにします。
消す前に様子を見たいとき
消す判断に自信がないときの中間手段があります。記事を検索結果に表示しない指定にして、しばらく置いておく方法です。ページ自体は残るので、URLを知っている人は読めますし、社内の資料からのリンクも生きています。検索からの流入だけが止まります。
この状態で1か月から2か月置き、サイト全体の数字に悪い変化が出なければ、その記事は消してよいと判断できます。逆に何かが下がったなら、その記事は何らかの役割を持っていたことになります。時間はかかりますが、取り返しのつかない操作を避けられます。
似た記事を1本にまとめる手順
整理を進めると、必ずぶつかるのが「同じような記事が3本ある」という状態です。数年にわたって複数の担当者が書いていると、ほぼ確実に起きます。
まず、どれを残すかを決めます
残す1本を選ぶ基準は、内容の良さではありません。いちばん数字が出ている記事を残します。表示回数が多い記事、順位が高い記事です。中身は後からいくらでも足せますが、すでに検索結果で得ている位置は簡単には作れないからです。
中身がいちばん良い記事が、いちばん数字が出ている記事とは限りません。この2つが食い違ったとき、数字の出ている記事を器にして、良い記事の中身をそこへ移すのが正しい順番です。逆をやると、せっかくの位置を捨てることになります。
本文を移す
残す記事に、消す記事にしかない内容を足していきます。全部を貼り付けるわけではありません。重なっている部分は残す記事のものを使い、消す記事にしか書かれていない具体例、手順、数字だけを移します。
この作業をすると、残す記事の分量が増えます。増えた結果、記事の中で話が散らかることがあります。その場合は見出しを立て直して、話の順番を組み直します。まとめた記事が読みにくくなっては、まとめた意味がありません。
内部リンクを張り替える
消す記事へ張られているサイト内のリンクを、残す記事へ向け直します。サイト内の検索窓で記事のURLの一部を検索するか、記事のタイトルで検索すると、張られている場所が見つかります。数が多いときは、リンク先の一覧を出せるツールを使うと早く済みます。
まとめた後に見る数字
まとめた直後、順位が一時的に動くことがあります。ここで慌てて元に戻すと、いちばん中途半端な状態になります。判断は最低でも1か月、できれば2か月置いてから行います。
2か月後に見るのは、まとめた記事1本の数字と、まとめる前の3本の合計です。合計を超えていれば成功、下回っていれば、移し損ねた内容があるか、まとめたことで記事の狙いがぼやけた可能性があります。前者なら足す、後者なら見出しを整理し直します。
| まとめる前の状態 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 同じ狙いの記事が3本、順位はどれも20位台 | 自社の記事どうしで力が分散している | いちばん数字が出ている1本へ内容を集める |
| 1本だけ上位、他は圏外 | すでに1本に集約されつつある | 圏外の2本の具体例だけを移し、転送を張る |
| 狙いは似ているが読者の段階が違う | 比較段階と検討段階が別々に機能している | まとめずに残し、相互にリンクを張る |
| タイトルは似ているが中身は別の話 | タイトルだけが重複している | まとめずにタイトルを書き分ける |
内部リンクと導線を壊さない
記事の整理で見落とされやすいのが、消した記事を指していた側の記事です。消される記事のことは考えても、その記事を指している記事のことは考えないまま作業が進みます。
消す記事を指している記事を先に洗います
作業の順番の3番目に置いたのがこれです。1本の記事が5か所から張られていることは珍しくありません。その5か所は、それぞれ別の記事の中にあります。転送を張っておけば読者は行き先へ進めますが、リンクの表示されている文言と行き先の内容が食い違うことになります。
「詳しい手順はこちらの記事で解説しています」と書かれたリンクを押したら、まったく違う記事が開く。読者から見ると、これは壊れているのと同じです。リンクの文言ごと書き換えるか、リンク自体を外します。
一覧ページと手で置いたリンク
カテゴリの一覧、タグの一覧、サイト内の検索結果。これらのページは自動で作られるので、記事を消せば自動で更新されます。ただし、記事を手作業で並べた「おすすめ記事」のような箇所は自動では直りません。トップページやサイドバーに手で置いたリンクがないか、消す前に確認します。
もう1か所、忘れられがちなのがメールマガジンや資料の中に書いたURLです。これは自社では直せません。ここに載せたURLの記事は、転送を長めに残す前提で扱います。
中小企業のサイトでよくあるつまずき
ここまでの手順は、記事が数百本あるサイトを想定して書きました。実際に相談を受けるサイトは、もっと小さいことのほうが多いのです。規模が小さいときには、別の注意点が出てきます。
記事が50本しかないうちは、消す作業をほぼしません
記事が50本のサイトで10本消すと、2割が消えます。この規模では、消して得られるものより、失う入口のほうが大きくなります。同じ時間を、上位30本の点検と、11位から20位の記事の書き直しに使ったほうが、結果として問い合わせが増えます。
この規模で消すべきなのは、明らかに主題と関係のない記事だけです。社員旅行の報告や、季節の挨拶のような記事がこれに当たります。それも、消さずにサイトの別の場所へ移す方法があるなら、そちらを選びます。
サービスページと記事が食い合っている
これは記事どうしの重複より深刻です。会社が売りたいサービスのページと、そのサービスについて解説した記事が、同じ検索語で並んでいる状態です。Googleはどちらを出すか迷い、日によって出すページが変わります。結果として、どちらの順位も安定しません。
直し方は、役割を分けることです。サービスのページは、そのサービスを検討している人に向けた言葉で書き、記事のほうは、まだ検討に入っていない人が調べる言葉に寄せます。そのうえで、記事からサービスのページへ1本リンクを張ります。両方が同じ言葉を狙っている限り、片方を消すまで問題は残ります。
担当が変わって経緯が分からない
前の担当者が書いた記事について、なぜその記事があるのかが分からない。中小企業では最も多い状態かもしれません。この場合、経緯を調べる時間を使うより、数字で判断してしまうほうが早く進みます。この記事で並べた4つの数字は、経緯を知らなくても取れます。
ただし、社外との約束が絡む記事だけは例外です。取材を受けて掲載された記事、共同で出した告知、顧客の許可を得て載せた事例。これらは消す前に一言確認します。数字には現れませんが、消したことが問題になる種類の記事です。
制作を外に頼んでいて、自分では直せない
記事の更新も削除も制作会社に依頼する形になっていると、1本直すたびに時間と手間がかかります。この状態では、そもそも整理が進みません。
先にやることは、自社で本文とタイトルを直せる範囲を確認することです。多くの場合、記事の編集画面には触れるようになっています。触れるなら、タイトルと本文の修正は自社で回し、転送の設定のように仕組みに関わる部分だけを依頼する。この線引きをしておくと、整理が自社の速度で進みます。
| サイトの状態 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 記事が50本以下 | 入口の数がもともと少ない | 消す作業はせず、上位30本の点検に時間を使う |
| サービスページと記事が同じ言葉を狙っている | Googleがどちらを出すか決めきれていない | 読者の段階で役割を分け、記事からリンクを張る |
| 前任者の記事の意図が分からない | 経緯の調査で作業が止まっている | 4つの数字だけで振り分け、経緯は追わない |
| 更新をすべて外部に依頼している | 1本直すたびに時間がかかり整理が進まない | 自社で直せる範囲を確認し、依頼を転送の設定に絞る |
| 社外が関わっている記事がある | 数字には現れない事情がある | 消す前に関係者へ一言確認する |
整理を1回で終わらせない
記事の整理は、1度やって終わる作業ではありません。今日そのままに振り分けた記事は、来年には直す側に移ります。1回だけの大掃除として実施すると、3年後に同じ規模の作業がまた必要になります。
3か月ごとに同じ表を作る
4つの数字を並べた表を、3か月に1度作り直します。作り直すといっても、集計の期間を変えて出し直すだけなので、慣れれば1時間ほどで終わります。大事なのは、前回の表を捨てないことです。前回と今回を並べると、どの記事が上がってどの記事が下がったかが見えます。
この差分が、次に何をするかを教えてくれます。順位が下がった記事は、同じ言葉を狙う他社の記事が更新された可能性があります。表示回数が急に増えた記事は、その話題への関心が高まっている可能性があります。1回きりの表からは、こうした動きは読み取れません。
判断の記録を残す
振り分けた結果と、その理由を1行ずつ残します。「この記事は問い合わせが月1件あるので残した」と書いてあれば、次の担当者は迷いません。記録がないと、半年後に同じ記事を前にして、また同じ時間をかけて考えることになります。
記録の形式は表計算ソフトで十分です。記事のURL、判断した日、振り分けた結果、理由の4列があれば足ります。この表があると、整理の作業が個人の記憶から離れて、会社の手順になります。
| 点検の回数 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 1回目 | 判断材料がなく、印象で決めそうになる | 4つの数字を集めて表を作り、振り分けだけ行う |
| 2回目・3か月後 | 前回の判断が正しかったか分からない | 前回の表と並べ、上下に動いた記事を拾う |
| 4回目・1年後 | 季節の記事の動きが見えてくる | 12か月の数字で季節の記事を確定させる |
| 継続 | 判断が個人の記憶に依存している | 判断と理由を記録し、担当が変わっても再現できる形にする |
消してはいけない記事を最後にもう1度
手順を全部読んだあとで、いちばん大事なところだけをもう1度並べます。ここに当てはまる記事は、他の条件がどうであっても消しません。
| 消してはいけない記事 | なぜ消してはいけないか | 代わりにやること |
|---|---|---|
| アクセスは少ないが問い合わせにつながっている | 事業の入口として機能している | そのまま残し、記事末の案内だけ整える |
| 他のサイトから紹介されている | 失うと取り戻せない評価がある | 内容を直して残す。どうしても消すなら転送を必ず張る |
| 年に数か月だけ動く季節の記事 | 静かな時期の数字だけを見て判断している | 12か月の数字で見直す |
| 社外との約束が絡んでいる | 数字に現れない事情がある | 関係者に確認してから判断する |
| 公開から3か月経っていない | 評価がまだ定まっていない | 次の点検まで待つ |
| 転送先がまだ決まっていない | 来た人の行き先がない | 行き先を決めてから消す |
よくある質問
古い記事を消すと順位は上がりますか
上がることもありますが、消したこと自体が理由ではありません。上がるのは、消した記事が他の記事と同じ言葉を狙っていて、力が分散していた場合です。分散が解消されて、残った記事に集まります。同じ言葉を狙っていない記事をいくら消しても、残った記事の順位は動きません。まず、狙っている言葉が重なっている記事がないかを確認してください。
転送はいつまで張っておく必要がありますか
最低でも1年は残します。Googleの担当者からも、1年ほど続ければ外してよいという趣旨の説明が出ています。ただし外す前に、そのURLへまだ人が来ていないかを確認してください。来ているなら、来なくなるまで残します。設定を消す手間はわずかなので、迷うなら残しておくほうが安全です。
ページが見つからない画面を用意すれば転送は要りませんか
要ります。見つからない画面は、来た人に「ここには何もない」と伝えるだけの場所です。丁寧に作ってあっても、読者が探していたものは出てきません。転送は、探していたものに近いページへ連れて行く仕組みです。役割が違うので、どちらか一方では足りません。両方を用意して、転送で拾いきれなかった人を見つからない画面が受け止める形にします。
記事を消さずに検索結果から外すだけでもよいですか
判断に迷っている段階では、その方法が向いています。検索からの流入だけを止めて、ページは残しておけます。ただしこれを長く続けると、読まれないページがサイトに積み上がっていきます。1か月から2か月を目安に、消すか残すかを決めてください。中間の状態を放置すると、次の担当者がその記事の扱いに困ります。
記事を直す時間がありません。どこから手をつければよいですか
掲載順位が11位から20位の記事を、表示回数の多い順に3本だけ選んでください。その3本のタイトルと、記事の冒頭200字だけを直します。これなら1本あたり30分ほどで終わります。本文全体を直すのは、この3本の結果を見てからで間に合います。時間がないときほど、範囲を狭く区切ることが効きます。
まとめ
古くなった記事をどうするかという問いには、消すか残すかの2択で答えないほうがうまくいきます。表示回数、クリック数、平均掲載順位、その記事から先に進んだ人数。この4つを並べれば、記事は「そのまま」「直す」「消す」の3つに機械的に振り分けられます。振り分けの表を上から順に当てはめれば、判断が人によってぶれることもなくなります。
消す判断をした記事については、消す前に転送先を決めます。消してから考えると、何を消したかを思い出すところから始めることになります。転送を張らずに消すと、検索からの流入と、他のサイトから受けていた評価と、サイト内の導線が、順番に失われます。1本の転送を張るだけで、この3つは起きません。
直す記事は11位から20位のものから手をつけます。1ページ目に入るかどうかで来る人数が大きく変わるので、同じ作業時間に対して返ってくるものがいちばん大きくなります。そして迷った記事は保留に置き、3か月後にもう1度同じ表を作ります。整理は1度で終わらせる大掃除ではありません。3か月ごとに繰り返す点検です。
その日にできる点検
最後に、この記事を読み終えてから30分でできることを表にしました。今日はここまでで十分です。
| 手順 | やること | ここで分かること |
|---|---|---|
| 1 | Search Consoleを開き、直近3か月をページ別に並べる | どの記事が入口になっているか |
| 2 | 平均掲載順位で並べ替え、11〜20位の記事を数える | あと一歩の記事が何本あるか |
| 3 | その中で表示回数が多い3本に印をつける | 次に直すべき3本 |
| 4 | GA4で、問い合わせページの手前にいた記事を出す | アクセスが少なくても消せない記事 |
| 5 | 消す候補の記事があれば、転送先を隣の列に書く | 行き先が決まっていない記事がどれか |
| 6 | ここまでの表を保存し、3か月後の日付を予定に入れる | 次回に比較する土台ができたこと |
4つの数字を並べた表が1枚できていれば、この記事の目的は果たされています。その表を前にして、どの記事から直すか決めきれないときは、御社のサイトを一緒に開いて、上から順に振り分けるところまでお手伝いします。
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