記事を書いても検索結果に出てこない。キーワード選定という言葉は知っているものの、どこから手を付ければよいのか決まらない。ホームページを持っている経営者の方から、この形の相談がよく届きます。
先に結論を書きます。キーワード選定でいちばん効くのは、高度な分析や有料の道具の手前にあります。その言葉を実際に打ち込んでいる人がいるかどうかを、書き始める前に確かめることです。ここを飛ばしたまま進むと、そのあとの手順をどれだけ丁寧にこなしても結果は同じ場所で止まります。
この記事では、Google が公式ドキュメントで書いている内容と、私たちが自社の3つのドメインで実際に測った数字だけを材料にして、キーワードの選び方を順番に整理します。実際に手を動かす6段階の作業手順は、狙う言葉を決める手順にまとめています。
書き始める前に、30秒の確認を入れてください
キーワード選定の手順を解説した記事は数多くあります。ただ、その手前に置くべき確認が1つあります。狙おうとしている言葉を、実際に検索している人が存在するかどうかの確認です。
使うのは検索窓の候補表示です。検索窓に言葉を打ち込むと、下に候補が並びます。あの候補は、実際にその言葉が打ち込まれた記録をもとに作られています。候補が出てこない言葉は、打っている人がほぼいない言葉です。
| 候補の数 | 意味 | どうするか |
|---|---|---|
| 0件 | 打っている人がいない | その言葉では記事を立てない |
| 1〜2件 | 実在するが末端 | 単独の記事にせず、別の記事の見出しで拾う |
| 3件以上 | 下に広がりがある | ここを狙う |
確認にかかる時間は、1つの言葉あたり30秒ほどです。この30秒を入れるかどうかで、その記事が誰かの画面に出るかどうかが決まります。
なぜ、これを先にやるのか
合同会社謙虚は、3つのドメインを検証のために並行して運用しています。書いているのは同じ人間で、記事の作り方も公開の頻度も同じです。変えているのは、狙う言葉の選び方だけです。2026年8月20日時点、直近28日の実測を並べます。
| 直近28日の実測 | 言いたいことから選んだ側 | 検索されている言葉から選んだ側 |
|---|---|---|
| 公開している記事 | 450本 | 653本 |
| 10位以内に入った記事 | 43本 | 157本 |
| 10位以内1本あたりの表示回数 | 2.0回 | 46.2回 |
| 10位以内のクリック率 | 4.7% | 2.9% |
表示回数に23倍の差が出ました。順位はどちらも取れています。クリック率にいたっては、言いたいことから選んだ側のほうが高い数字です。違ったのは、その順位が何回画面に出たかだけでした。
言いたいことから選んだ側は、1位を取っていても28日で2回しか表示されていませんでした。誰も検索していない言葉で1位を取っていた、という状態です。記事の質を上げる作業と、届く人数を増やす作業は、別々の作業でした。私たちは前者だけを2年続けていたことになります。
Google が公式に書いているキーワードの扱い
キーワード選定という言葉には、検索エンジンを出し抜く技術のような響きがあります。Google 自身が公開しているドキュメントを読むと、書かれている内容はもっと素直です。検索セントラルの「検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド」から2か所を引きます。
ユーザーがコンテンツを探すときに検索しそうなキーワードを考えてみましょう。そのトピックについてよく知っているユーザーは、よく知らないユーザーとは異なるキーワードを検索クエリで使用するかもしれません
読むべきは、読者の知識量によって使う言葉が変わると書かれている点です。同じ商品でも、業界にいる人は専門用語で検索し、初めて調べる人は日常の言葉で検索します。どちらを狙うかで、書く記事の中身が変わります。
もう1か所は、同じガイドの次の記述です。
Google の高度な言語マッチング システムは、ページとさまざまな検索語句との関連性を把握できるため、ページにそのとおりの語句を明示的に使用する必要はありません
狙った言葉を本文に何度も入れる作業について、Google 自身が不要だと書いています。キーワード選定で決めるのは、どの言葉を何回書くかよりも手前の話です。誰の、どの疑問に答える記事を書くかです。
検索している人の状態で、言葉は3つに分かれます
同じ商材でも、検索する人の状態によって打ち込まれる言葉は変わります。大きく3つに分かれます。
| 状態 | 打ち込まれる言葉の形 | その記事で受けるもの |
|---|---|---|
| 知りたい | 「◯◯とは」「◯◯ 方法」 | 解説記事。名前を覚えてもらう段階 |
| 行きたい | 会社名・サービス名・店舗名 | 会社案内や店舗ページ |
| 頼みたい・買いたい | 「◯◯ 費用」「◯◯ 比較」「地域名+◯◯」 | 料金ページや問い合わせへの導線 |
問い合わせにつながりやすいのは3行目です。ただし3行目だけを狙うと、記事の数が早い段階で頭打ちになります。1行目で名前を知ってもらい、3行目で受け止める。この2段構えにしておくと、記事を増やす余地が残ります。
気をつけたいのは、1行目の言葉で書いた記事に、いきなり申し込みボタンだけを置く形です。知りたい段階の人に決断を求めることになるため、そのまま離脱します。1行目の記事の出口には、次に読む記事を置いてください。
幅の広い言葉と、細かい言葉の使い分け
「SEO」のように短く一般的な言葉と、「地域名+整体院 口コミ」のように長く具体的な言葉があります。前者を幅の広い言葉、後者をロングテールと呼び分けることが多いです。
| 幅の広い言葉 | ロングテール | |
|---|---|---|
| 打ち込む人の数 | 多い | 少ない |
| 打った人の目的 | ばらつく | はっきりしている |
| 上位に並んでいる相手 | 大手や専門メディア | 同規模の会社も混ざる |
| 最初に狙う順番 | あと | 先 |
新しくサイトを育てる段階では、ロングテールから入るほうが現実的です。理由は競合の少なさに加えて、もう1つあります。目的がはっきりしている言葉のほうが、書くべき中身が決まりやすいからです。「SEO」で記事を書こうとすると何を書けばよいか決まりませんが、「地域名+整体院 口コミ」なら書くことは自然に決まります。
選ぶ前に、3つを決めておきます
キーワードを探す作業に入る前に、決めておく項目が3つあります。ここが空欄のまま調べ始めると、候補だけが増えて選べなくなります。
| 決めること | 具体的に書き出す内容 | 決まっていないと起きること |
|---|---|---|
| 誰に読ませるか | いま実際に取引している顧客の、業種・規模・困りごと | 言葉の候補が業界用語に寄る |
| 何を売るか | その記事から先にある商品やサービス | 読まれても次の一歩が置けない |
| どのページで受けるか | 記事から送る先のページ | 送り先が無いまま記事だけ増える |
1行目には、想像で作った人物像ではなく、実際の顧客を当ててください。既存の顧客が問い合わせのときに使った言葉、商談で口にした言い回し。ここが、いちばん外れにくいキーワードの材料です。
言葉の材料は、社内に溜まっています
キーワードを探す作業は、社内にある記録から始められます。自社の中に、実際に使われた言葉が残っています。
- 問い合わせフォームに書かれた本文。困りごとが読者の言葉で書かれています
- 電話や商談で最初に聞かれる質問。頻度が高いものほど、検索されている可能性も高いです
- Search Console の検索クエリ。すでに自社サイトが表示されている言葉が並びます
- 断られたときの理由。競合と比べられた軸が分かります
これらを書き出したうえで、先ほどの30秒の確認にかけます。社内で使っている言い回しが、そのまま検索されているとは限らないためです。候補が0件なら、同じ意味の別の言い回しを探します。
候補が0件だったときの、言い換えの探し方
30秒の確認で候補が出てこなかった場合、その言葉は捨てます。ただし、伝えたい内容まで捨てる必要はありません。同じ内容を指す別の言い回しを探します。
| 探す方向 | やること | 例 |
|---|---|---|
| 専門用語から日常語へ | 業界の外にいる人が使う言葉に置き換える | 「与信管理」を「取引先の支払い遅れ」に |
| 名前から状態へ | サービス名ではなく、困っている状態で言い直す | 「動線設計」を「サイトから問い合わせが来ない」に |
| 抽象から具体へ | 対象や地域を足して長くする | 「経理の効率化」を「小規模な会社 経理 手作業」に |
3行目のように長くすると、打ち込む人の数は減ります。それでも候補が3件以上出るなら、その言葉には需要があります。少ない代わりに、打った人の目的がはっきりしている分、問い合わせにつながる確率は上がります。
自社で名付けた造語や、社内でしか通じない略語は、この確認でほぼ0件になります。伝えたい概念に名前を付けて、その名前で記事を立てる。書き手としては筋が通って見える進め方ですが、その名前を検索窓に打つ人がいません。私たちが23倍の差を作ってしまった原因も、まさにこれでした。
狙う言葉が決まったら、上位の記事を読みます
言葉が決まったあと、すぐ書き始める前にもう1つやることがあります。その言葉で検索して、上位に並んでいる記事を数本読むことです。順位を調べるためではありません。検索した人が何を知りたがっているかを、検索結果から読み取るためです。
| 上位に並んでいるもの | 読み取れること | 自社が書くときの方針 |
|---|---|---|
| 用語の解説記事ばかり | まだ知りたい段階の人が多い | 解説から入り、出口で次の記事へ送る |
| 比較記事や一覧記事 | 選ぶ段階の人が多い | 選ぶ基準を示し、条件別に分ける |
| 料金や費用の記事 | 頼む直前の人が多い | 費用の決まり方と、問い合わせの導線を置く |
| 大手の企業ページばかり | 会社名で探されている | その言葉は避け、周辺の言葉へずらす |
読むときの目的は、上位記事の真似をすることではありません。Google は「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」というドキュメントで、他者の意見を要約しただけの内容や、独自の情報や洞察を加えていない内容を避けるよう自己評価の問いとして挙げています。上位の記事を読むのは、そこに書かれていない話を自社が持っているかを探すためです。
自社が持っている材料は、たいてい社外にありません。実際の見積書の内訳、断った案件の理由、うまくいかなかったときの記録。外に出しにくいものほど、他社の記事には並んでいません。
やらないほうがよいことが2つあります
本文への詰め込み
狙った言葉を本文に繰り返し入れる作業について、Google のスターター ガイドにはこう書かれています。
同じ言葉を何度も繰り返すことは(多少変化を持たせても)ユーザーをうんざりさせてしまうほか、キーワードの乱用は Google のスパムに関するポリシーに違反することにもなります
読みにくくなるうえに、スパムに関するポリシーの違反に当たると明記されています。回数を数えて本文に散らす作業は、ここでやめて構いません。
タイトルへの詰め込み
タイトルについても、Google は「タイトルリンクの作成方法」というドキュメントで方針を示しています。推奨されているのは、具体的で分かりやすいテキストを使うこと、ページごとに固有のタイトルを付けることです。避けるべきものとして挙げられているのは、キーワードの乱用、定型文の使い回し、そして中身と一致しないタイトルです。
実務での判断は単純です。そのタイトルを読んだ人が、中身を正しく想像できるか。この1点で決めてください。
公開したあとに見る数字の順番
記事を公開したら、Search Console を開きます。見る順番が決まっています。
| 順 | 見る数字 | 読み取ること | 低いときにやること |
|---|---|---|---|
| 1 | 表示回数 | そもそも画面に出ているか | 言葉の選び方を見直す |
| 2 | 平均掲載順位 | 候補に入っているか | 内容の厚みを足す |
| 3 | クリック率 | タイトルと説明文が読まれているか | タイトルを書き直す |
多くの人が2行目から見始めます。順番としては1行目が先です。私たちが23倍の差に気づけなかった理由も、順位だけを見ていたことにありました。順位が良くても表示回数が2桁に届かないなら、直すのは記事ではなく言葉のほうです。
判断できる状態になるまで、公開から2か月から3か月ほどかかります。1週間で上下した数字は、通常の変動と区別が付きません。
SEOキーワード選定に関するよくある質問
キーワードを選ぶ基準は何ですか
3つの順で見てください。1つ目は、検索候補が3件以上出るか。2つ目は、その言葉で来た人に売るものがあるか。3つ目は、上位に並んでいる記事より詳しく書けるか。3つとも当てはまる言葉から書き始めます。検索数の多さは、この3つのあとに来ます。
有料のツールは必要ですか
始める段階では、検索窓の候補表示と Search Console で足ります。どちらも費用がかかりません。有料の道具が効いてくるのは、記事が100本を超えて、どれを書き直すか選ぶ段階に入ってからです。道具を入れる前に、候補が3件以上ある言葉で書けているかを確かめてください。
1つの記事に、いくつの言葉を入れればよいですか
数える作業そのものが不要です。Google は、ページに語句をそのまま使う必要はないと公式に書いています。決めるのは、その記事が答える問いを1つに絞ることです。問いが1つなら、関連する言葉は自然に本文へ入ります。
すでに公開した記事のキーワードは、変えてよいですか
表示回数が2桁に届いていない記事であれば、書き直す価値があります。反対に、すでに検索上位で表示回数も出ている記事は、そのまま置いてください。順位が付いている記事に手を入れると、下がる場合があります。試すなら1本だけ書き換えて、4週間ほど推移を見てから広げます。
同じ言葉で複数の記事を書いてもよいですか
同じ言葉を狙った記事が社内で並ぶと、どちらを出すかを検索側が決めきれなくなります。似た言葉が出てきたときは、1本にまとめるか、答える問いをはっきり分けてください。分けるときは、記事の冒頭で「この記事が答える問い」を1文で書いておくと、書き手自身も迷わなくなります。
まとめ:勝てる言葉から始めてください
キーワード選定でやることを、順番に並べ直します。
- 狙う言葉を検索窓に打ち、候補が3件以上出るかを確かめる
- 誰に読ませるか、何を売るか、どのページで受けるかを書き出す
- 問い合わせや商談で実際に使われた言葉から、候補を拾う
- 幅の広い言葉より先に、目的のはっきりした言葉で書く
- 公開後は、表示回数、順位、クリック率の順に見る
この5つに、有料の道具は出てきません。Google 自身が公式ドキュメントで書いているのも、読者が探しそうな言葉を考えること、そして価値のある内容を作ることです。技術として新しいものを買う場面は、ここにはありません。
私たちは、3つのドメインを並べて測るまで、この差に気づけませんでした。1つのサイトだけを運用していると、比べる相手がいないからです。だからこそ、この記事の最初に30秒の確認を置きました。そこだけでも、今日から入れてみてください。
この記事に書いたことを、そのまま御社のページに
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