「記事を外注したら、あとはお任せできると思っていました」
外注を始めて半年ほど経った企業から、この言葉をよくお聞きします。だいたいは、こう続きます。記事は毎月ちゃんと納品されている。本数も積み上がってきた。それなのに、問い合わせが1件も増えていない、と。
ここでご相談に来られた方に、私たちが最初にお尋ねするのは、外注先の質のことではありません。
「その記事は、誰が読んで、読み終わったあと何をすると想定していますか」
この問いに即答できる企業は、多くありません。そして答えられない場合、外注先を変えても結果は変わりません。外注で失敗する原因の大半は、外注先の側ではなく、外注しても発注側に残るはずだった工程が、誰の手にも渡っていないことにあります。
この記事では、外注先の選び方や費用相場といった一般的な話も押さえたうえで、それ以上に重要な「発注側に残る工程」を具体的にお伝えします。何を自社で決め、何を依頼書に書き、納品物の何を確認するのか。読み終えたときに、そのまま社内で使える形にしました。
外注しても、発注側から消えない工程がある
記事制作の工程を分解すると、おおよそ次のようになります。
| 工程 | 外注できるか | 発注側に残る理由 |
|---|---|---|
| 誰に向けて書くかを決める | できない | 自社の商圏と、実際に問い合わせてくる相手を知っているのは自社だけ |
| どの検索語で拾うかを決める | 一部できる | 順位が取れる語と、売上につながる語は別。後者の判断は自社にしかできない |
| 記事の主張を決める | できない | 自社の立場を外部が代弁すると、他社と同じ内容になる |
| 構成を作る | できる | 主張が決まっていれば任せられる |
| 本文を書く | できる | ここが外注の中心 |
| 事実関係を確かめる | 一部できる | 自社に関する記述は、自社しか確かめられない |
| 読み終えた人の行き先を用意する | できない | サイト全体の設計に関わる |
| 公開後に成果を見て直す | 一部できる | 何をもって成果とするかは、自社の判断 |
この表で「できない」と書いた4つが、外注しても消えない工程です。ところが実際の発注では、ここが曖昧なまま「SEO記事を月4本」という形で始まります。
すると何が起きるか。外注先は、決まっていない部分を自分で埋めるしかありません。読者像は検索語から推測し、主張は上位表示されている記事の平均に寄せ、行き先は「お問い合わせはこちら」で締める。
その結果、どこの会社が書いても同じになる記事が積み上がります。外注先の質が低いわけではありません。決めるべき人が決めていないだけです。
外注先の種類と、それぞれで発注側に残るもの
外注先は大きく3つに分かれます。よく語られるのは費用と品質の違いですが、ここでは発注側にどれだけの工程が残るかという観点で整理します。
クラウドソーシング
不特定多数のライターに依頼する形です。1文字あたりの単価が最も低く、始めるまでの手間も少なくて済みます。
一方で、発注側に残る工程は最も多くなります。読者像も、主張も、構成も、参照してよい情報源も、すべて指示書に書かないと形になりません。書かなければ、書き手はネット上の似た記事を参照して書きます。
また、書き手が入れ替わるため、文体と品質が回ごとに変わります。1本ごとに検収する体制がないと、そのばらつきがそのまま公開されます。
フリーランスのライター
個人に継続して依頼する形です。単価はクラウドソーシングより高くなりますが、業界知識が蓄積されるため、回を重ねるほど指示が減っていきます。
発注側に残る工程は、初回が最も重く、そこから軽くなっていきます。逆に言えば、初回の設計をせずに始めると、その状態が固定されます。
注意点は、その人の稼働に依存することです。体調不良や他案件との重なりで止まると、代わりがいません。継続的に出す前提なら、複数名と関係を持つか、止まったときの手順を決めておく必要があります。
制作会社・記事代行サービス
組織として受注する形です。単価は最も高くなりますが、体制があるため納期は安定します。ディレクターが入る場合、構成や品質管理まで含めて任せられます。
ここで発注側に残るのは、主に「決める」工程です。誰に向けるか、何を主張するか、どこへ導くか。これらを渡さないまま任せると、その会社が過去に作った他社の記事と似た形に落ち着きます。
| 外注先 | 費用の目安 | 納期の安定 | 発注側に残る工程 | 向いている状況 |
|---|---|---|---|---|
| クラウドソーシング | 最も低い | 低い | 最も多い。読者像・主張・構成・情報源まで全部 | 指示書が既にあり、検収体制がある |
| フリーランス | 中程度 | 個人の稼働に依存 | 初回が重く、回を重ねると軽くなる | 長く同じテーマを扱い続ける |
| 制作会社・代行サービス | 最も高い | 高い | 「決める」工程に集中する | 本数を安定して出したい |
どれが正解ということはありません。ただ、「安いから」という理由だけでクラウドソーシングを選ぶと、浮いた費用の何倍もの時間が社内の指示と検収に消えます。費用は、金額と自社の工数の合計で見てください。
費用の見方:単価より、単価に含まれていないものを見る
費用相場を調べると、1文字あたり0.5円から10円以上まで、幅広い数字が出てきます。この幅は、書き手の力量の差だけで生まれているわけではありません。どこまでの工程が含まれているかの差です。
見積もりを比べるときは、金額の前に次の項目を確認してください。
| 確認する項目 | 含まれていないと起きること | 聞き方 |
|---|---|---|
| 構成案の作成 | 自社で見出し構成まで作ることになる | 「構成案は御社で作成いただけますか。それとも当社が用意しますか」 |
| 検索語の調査 | どの語で書くかを自社で指定する必要がある | 「対策する検索語は、どちらが決めますか」 |
| 一次情報の取材 | ネット上の情報だけで書かれる | 「取材や資料の読み込みは含まれますか。含まれる場合、何分ですか」 |
| 事実確認 | 誤った記述がそのまま納品される | 「数字や制度名の出所確認は、どこまで行いますか」 |
| 修正の回数 | 2回目以降が追加費用になる | 「修正は何回まで無料ですか。何を修正と数えますか」 |
| 画像の用意 | 自社で図表や写真を手配することになる | 「図表や画像は含まれますか。権利処理はどちらが行いますか」 |
| 入稿作業 | 納品されたテキストを自社でサイトへ載せる | 「入稿まで含まれますか。それとも原稿の納品までですか」 |
1文字1円で構成案も取材も含まれない見積もりと、1文字4円で構成から入稿まで含まれる見積もり。単価だけを見ると前者が安く見えますが、前者では自社の担当者が構成を考え、資料を渡し、事実を確かめ、サイトに載せる作業をすべて負います。
その時間を人件費に換算してから、もう一度並べてみてください。順位が入れ替わることは珍しくありません。
安い見積もりが、なぜ安いのか
極端に安い見積もりには、必ず理由があります。多くは次のどれかです。
- 構成案が定型で、テーマが変わっても骨格が同じ
- 参照するのが検索上位の記事だけで、一次情報に当たらない
- 1本あたりの制作時間が短く、書き手が数をこなす前提になっている
- 納品前の確認工程が省かれている
これらは、それ自体が悪いわけではありません。「決まった型で数を出す」ことが目的なら、合理的な選択です。問題になるのは、そこに「他社と違う内容」を期待したときです。期待と設計が食い違うと、何本出しても満たされません。
発注する前に、自社で決めておく5つ
ここからが、この記事の本題です。外注しても消えない工程を、発注前にどう埋めるか。
1. 誰に読ませるか
「中小企業の経営者」では足りません。次の3つまで下ろしてください。
- その人がいま困っていること(症状の言葉で。「集客できない」ではなく「問い合わせが月1件で止まっている」)
- その人がいまどんな手を打っているか(何もしていないのか、他社に頼んでいるのか)
- その人が問い合わせを迷う理由(費用か、効果への疑いか、社内の説得か)
この3つは、実際に問い合わせてきた方との会話から取れます。想像で埋めないでください。想像で埋めた読者像は、検索語から推測した読者像と結局同じものになります。
2. どの検索語で拾うか
検索数の多い語を狙うと、上位に大手が並んでいて届きません。逆に検索数が極端に少ない語では、書いても読まれません。
目安として、次の条件に当てはまる語を探してください。
- 上位10件のうち、半分以上が個人ブログや小規模サイトである
- その語で検索する人が、自社のサービスを必要としている段階にいる
- その語について、自社が経験から語れることがある
3つ目が特に重要です。経験から語れない語で記事を書くと、上位記事の要約にしかなりません。
3. 記事の主張は何か
その記事で、読者に何を伝えたいのか。1文で書けるまで絞ってください。
ここが空白のまま外注すると、外注先は「一般的に正しいこと」を書きます。一般的に正しいことは、すでに上位10件に書かれています。
主張は、自社の立場から出るものです。「この業界では〇〇が常識とされているが、実際に見てきた範囲ではそうではない」「多くの会社が△△をやろうとするが、その前に□□を確かめたほうが早い」。こうした判断は、外から来た人には書けません。
4. 読み終えた人に、次にどこへ行ってほしいか
記事の末尾に「お問い合わせはこちら」と置いて終わりにしている企業が、非常に多くあります。
ただ、記事を読み終えたばかりの人が、その場で問い合わせる確率は高くありません。まだ社名も知らず、費用感も分からず、自分が対象なのかも判断できていない段階です。
間に何を置くかを決めてください。会社を知ってもらうページ、費用の考え方をまとめたページ、自分が対象か判断できるページ。記事から問い合わせまでの距離が遠いほど、間に置くものが要ります。
5. 出した後、何を見て判断するか
公開して3か月後、その記事を残すのか、直すのか、下げるのか。何を見て決めるかを先に決めておきます。
検索順位だけを見ていると、順位は上がったが問い合わせは増えないという状態で、判断ができなくなります。順位、流入数、そして記事から次のページへ進んだ割合。この3つを揃えて見てください。
| 決めること | 決めていないと外注先がやること | 決めるための材料 |
|---|---|---|
| 誰に読ませるか | 検索語から読者像を推測する | 実際に問い合わせてきた方との会話 |
| どの検索語で拾うか | 検索数の多い語を選ぶ | 上位10件の顔ぶれと、自社が語れるかどうか |
| 記事の主張 | 一般的に正しいことを書く | 自社が現場で見てきたこと |
| 読み終えた人の行き先 | 末尾に問い合わせボタンを置く | 問い合わせまでの距離と、間に必要なページ |
| 何を見て判断するか | 順位の報告だけを出す | 順位・流入数・次のページへ進んだ割合 |
依頼書に書く項目
上の5つが決まったら、依頼書の形にします。口頭やメール本文で伝えると、担当者が変わったときに消えます。
1本ごとに作るのは大変なので、共通部分と記事ごとの部分に分けてください。
共通部分(一度作れば使い回せる)
- 自社の事業内容と、扱っている商圏
- 読者像(前述の3つ)
- 使ってよい表現と、使わない表現(社名の書き方、敬称、業界用語の扱い)
- 他社名を出してよいかどうか
- 参照してよい情報源の種類(公的機関、業界団体、自社資料など)
- 生成AIの利用の可否と、申告の形式
- 納品形式と、入稿の有無
- 修正の回数と、修正の定義
記事ごとの部分
- 対策する検索語
- その記事の主張(1文)
- 入れてほしい自社の情報(事例、数字、判断)
- 読み終えた人の行き先
- 文字数の目安
- 納期
記事ごとの部分は、慣れれば10分ほどで書けます。この10分を惜しむと、納品された原稿を直す時間が数時間かかります。
外注先を選ぶとき、面談で聞く質問
候補が絞れたら、契約の前に一度話をしてください。制作実績のサンプルを見るだけでは分からないことが、会話には出ます。
聞く順番も含めて、次の7つをおすすめしています。
1. 「この記事は、誰が読む想定で書きましたか」
提出された制作実績のうち1本を指して尋ねます。読者像が具体的に返ってくるか、「その業界の担当者の方ですね」といった曖昧な答えで終わるかで、設計から入る相手かどうかが分かります。
2. 「一次情報は、どこまで取りにいきますか」
取材をするのか、資料を読み込むのか、公的機関の統計に当たるのか。あるいは検索上位の記事を参照するのか。ここは費用に直結する部分なので、遠慮せず具体的に確認してください。
3. 「数字や制度名の出所は、どこまで確認しますか」
この問いに詰まる相手には、検収の負担が自社に来ます。それが悪いわけではなく、その分の工数を自社が持つ前提で見積もりを比べればよいだけです。
4. 「生成AIは、どの工程で使っていますか」
「使っていません」と即答されたら、少し掘り下げてください。構成案の作成、リサーチ、校正のどこかで使っているのが2026年の実態です。使っていること自体は問題ではありません。問題は、使っているのに使っていないと答える関係のほうです。
5. 「納品物の著作権は、どの時点で当社に移りますか」
ここが曖昧な相手とは、契約書で明確にしてから進めます。「もちろん御社のものです」という口頭の返答は、後で証拠になりません。
6. 「修正は何回まで含まれ、何を修正と数えますか」
実務で最も揉めるのがここです。誤字の指摘と、構成のやり直しが同じ1回として数えられていると、後から追加費用の話になります。
7. 「担当の方が動けなくなったとき、どうなりますか」
個人に依頼する場合も、会社に依頼する場合も聞いてください。答えがなければ、止まったときは自社が全部かぶることになります。
| 質問 | 望ましい答え | 注意したい答え |
|---|---|---|
| この記事は誰が読む想定か | 状況・段階・迷いまで具体的に返ってくる | 業種名だけで終わる |
| 一次情報はどこまで取るか | 取材・資料・統計のどれを使うか明確 | 「しっかり調べます」で具体がない |
| 数字の出所はどこまで確認するか | 確認する範囲と方法を答えられる | 質問の意図が伝わらない |
| 生成AIをどの工程で使うか | 使う工程と、人が確認する工程を分けて説明できる | 「一切使いません」と即答して掘ると曖昧になる |
| 著作権はいつ移るか | 契約書の条項として提示できる | 口頭で「御社のものです」とだけ答える |
| 修正の回数と定義 | 回数と、何を1回と数えるかが決まっている | 「柔軟に対応します」で範囲が定まらない |
| 担当が動けなくなったら | 代替の手順が用意されている | 考えたことがない |
契約と法務で、押さえておく点
記事の外注は、金額が小さいこともあって、契約書を交わさずに進むことが少なくありません。ただ、いくつかの点は書面にしておかないと、後で困ります。
請負か、準委任か
記事制作は、完成した原稿の納品を目的とするため、通常は請負に近い形になります。この場合、外注先は成果物を完成させる義務を負い、契約に定めた内容と違うものが納品されれば、修補や代金の減額を求められます。
一方、月額でリサーチや相談も含めて依頼する形は、準委任に近くなります。この場合、求められるのは業務を適切に行うことであって、特定の成果ではありません。
どちらの形で頼んでいるのかが曖昧だと、「順位が上がらないのは契約違反か」といった議論になったときに、判断の基準がありません。成果物の定義を契約に書いておくことが、この曖昧さを防ぎます。
下請法に当たる場合がある
自社の資本金の規模と、外注先の規模によっては、下請代金支払遅延等防止法の対象になります。対象となる場合、発注時の書面交付、支払期日の設定、不当なやり直しの禁止などが求められます。
該当するかどうかは資本金の区分で決まるため、自社の状況を一度確認しておいてください。該当する場合、口頭発注そのものが問題になります。
インボイスと源泉徴収
個人のライターに依頼する場合、原稿料は源泉徴収の対象です。支払時に差し引き、納付する必要があります。この処理を忘れると、後から精算が発生します。
また、外注先が適格請求書の発行事業者かどうかで、自社の消費税の扱いが変わります。発注前に確認しておくと、経理側でのやり直しを防げます。
| 論点 | 確認すること | 放置したときに起きること |
|---|---|---|
| 契約の型 | 成果物の定義を契約に書いているか | 何をもって完了とするかで揉める |
| 下請法の適用 | 自社と外注先の資本金の区分 | 書面交付や支払期日の義務に違反する |
| 源泉徴収 | 個人への支払いで差し引いているか | 後から精算と納付が発生する |
| 適格請求書 | 外注先が発行事業者か | 消費税の処理をやり直すことになる |
| 秘密保持 | 渡す資料の扱いを定めているか | 未公開情報が外部のツールへ渡る |
なお、ここに書いた内容は一般的な整理です。個別の判断については、顧問の税理士や弁護士にご確認ください。
記事のテーマを、社内で溜める仕組み
外注を続けていて必ず訪れるのが、「次に何を書けばよいか分からない」という状態です。
ここで検索語のツールに頼ると、検索数の多い一般的な語ばかりが並びます。そして、その語で書いた記事は、上位10件と同じ内容になります。
テーマは、外ではなく社内から出てきます。ただ、意識して溜めないと消えます。
溜める場所を1つにする
スプレッドシートでも、社内チャットの1つのチャンネルでも構いません。大事なのは場所が1つであることです。複数に分かれると、誰も見返さなくなります。
溜めるもの
- 問い合わせや商談で相手が使った言葉(そのままの表現で)
- その場で答えられなかった質問
- 断られたときの理由
- すでに他社に頼んでいると言われたときの、その理由
- 社内で「これはよく聞かれる」と話題になったこと
特に価値が高いのは、2つ目と3つ目です。答えられなかった質問は、読者も答えを持っていない問いです。そして、断られた理由は、サイト上で先回りできていない不安そのものです。
月に一度、並べて見る
溜めるだけでは記事になりません。月に一度、30分でよいので並べて見てください。同じ趣旨の記録が3つ以上溜まっていれば、それは1本の記事のテーマになります。
この作業を続けると、検索語のツールからは出てこないテーマが手に入ります。そして、そのテーマで書いた記事は、上位10件と内容が重なりません。実際に自社が受けた問いから出発しているからです。
| 溜めるもの | 取れる場所 | 記事にしたときの強み |
|---|---|---|
| 相手が使った言葉 | 問い合わせの電話、商談の冒頭 | 検索語として実際に使われている表現に近い |
| 答えられなかった質問 | 商談の途中、見積もり提示後 | 読者も答えを持っていない問いで、既存記事に答えがない |
| 断られた理由 | 見送りの連絡、その後のやり取り | サイトで先回りできていない不安が分かる |
| 他社に頼んでいる理由 | 初回の面談 | 自社が選ばれる条件が見える |
納品されたら、何を確認するか
検収の工程を持っていない企業がほとんどです。誤字脱字を見て、読んで違和感がなければ公開する。この形が多数派です。
確認すべきことは、大きく4つに分かれます。1本あたり20分ほどで回せます。
1. 主張が、依頼したものと同じか
最初に見るのはここです。依頼書に書いた1文の主張が、記事の中心に据わっているかを確認します。
よくあるのは、主張が薄まって「バランスの取れた解説」になっているケースです。読みやすくはなりますが、他社の記事と区別がつかなくなります。
見出しだけを上から読んでみてください。見出しの並びだけで主張が伝われば合格です。伝わらなければ、構成の段階から戻します。
2. 自社にしか書けない部分が入っているか
依頼時に渡した事例、数字、判断が、記事に反映されているかを見ます。
渡した情報が「参考程度」に触れられているだけで、本文の骨格が一般論のままということがあります。この場合、その記事は自社の資産になりません。他社が同じテーマで書いた記事と、置き換え可能だからです。
3. 事実関係に裏づけがあるか
本文に出てくる数字、調査結果、制度名、企業名を洗い出し、出所を確認します。
この工程は省かないでください。出所の確認されていない数字は、公開後に指摘を受けたとき、記事ごと取り下げるしかなくなります。そして、その1本の取り下げは、サイト全体の信頼に影響します。
生成AIを使った制作では、実在しない調査結果がもっともらしい形式で出力されることがあります。「〇〇の調査によると」という記述を見たら、必ずその調査を探してください。見つからなければ、記事から外します。
著作権と生成AIの確認については、外注した記事に生成AIは使われている?発注側がやるべき著作権の確認と検収手順で、契約書に入れる項目から検収の手順まで詳しくまとめています。あわせてご覧ください。
4. 読み終えた人の行き先が用意されているか
依頼書に書いた行き先へ、記事から自然につながっているかを見ます。
本文の内容と行き先がずれていると、読者はそこで止まります。費用の話をしていない記事から料金ページへ飛ばしても、読者の頭の中がつながりません。
| 確認すること | 崩れているときの症状 | 戻し方 |
|---|---|---|
| 主張が依頼どおりか | 見出しだけを読んでも何を言いたいか分からない | 構成の段階まで戻し、見出しを書き直してもらう |
| 自社にしか書けない部分 | 渡した事例が参考程度にしか触れられていない | その事例を骨格に据えた構成へ組み直す |
| 事実関係の裏づけ | 出所の分からない数字が本文にある | 出所を確認し、見つからなければ削除する |
| 読み終えた人の行き先 | 本文と行き先の話がつながっていない | 本文の終盤で行き先の話題に橋を架ける |
外注してはいけない工程
ここまで「発注側に残る工程」として説明してきたものを、あらためて別の角度から整理します。外注できるかどうかではなく、外注すると失うものがある工程という切り口です。
判断の理由
「なぜその検索語を選んだのか」「なぜその主張にしたのか」。この理由が社内に残らないと、記事が積み上がっても、次に何を書けばよいかが分かりません。
外注先に選定まで任せている場合、その理由は外注先の中にあります。契約が終われば、一緒に出ていきます。
顧客の言葉
問い合わせの電話で相手が使った言葉、商談で出た質問、断られたときの理由。これらは記事の材料として最も価値が高く、同時に外部からは絶対に取れません。
記録する場所を決めて、月に一度でよいので溜めてください。3か月分溜まると、記事のテーマが自然に出てきます。
成果の判断
外注先からの報告を、そのまま成果として受け取らないでください。
報告に出てくるのは、多くの場合、順位と流入数です。これは制作側が動かせる指標なので、報告に載ります。一方、問い合わせ数や商談化率は、サイト全体の設計に左右されるため、制作側の責任範囲から外れます。
だからこそ、そこは発注側が見る必要があります。誰も見ていない指標は、誰の課題にもなりません。
よくあるトラブルと、その手前で防ぐ方法
実際に起きるトラブルには、いくつかの型があります。それぞれ、発生してから対処するより、発注の時点で防ぐほうが安く済みます。
| トラブル | 起きる原因 | 発注時に防ぐ方法 |
|---|---|---|
| 納品物が期待と違う | 主張と読者像を渡していない | 依頼書に主張を1文で書く。初回は1本だけ発注して確かめる |
| 修正が何度も往復する | 修正の定義が決まっていない | 修正の回数と、何を修正と数えるかを契約に書く |
| 納期が守られない | 1人の書き手に依存している | 止まったときの手順を決める。複数名と関係を持つ |
| 他社の記事と似ている | 参照先が検索上位の記事だけになっている | 参照してよい情報源の種類を指定する |
| 著作権の帰属で揉める | 契約に権利の帰属を書いていない | 移転の時期と、著作者人格権の不行使を明記する |
| 担当者が辞めて引き継げない | やり取りがメールと口頭だけ | 依頼書と検収の手順を文書にして共有する |
| 費用が想定を超える | 単価だけで比較している | 含まれる工程を確認し、自社の工数も合計して比べる |
初回は1本だけ発注する
最も効く予防策がこれです。
「月4本を6か月」といった契約をいきなり結ぶと、1本目で違和感を覚えても、途中で止めにくくなります。まず1本だけ発注し、依頼書が伝わるか、検収で戻すべき点がどれだけ出るかを見てください。
この1本で分かることは多くあります。構成案の段階で相談があるか。渡した資料を読んだ形跡があるか。修正を伝えたときの反応はどうか。相性は、文章の巧拙より、この往復の中に出ます。
初めて外注する場合の、最初の3か月
ここまでの内容を、時間の流れに沿って並べ直します。これから外注を始める場合の進め方です。
1か月目:決めることに使う
この月は、記事を出しません。発注側で決める工程に充てます。
まず、直近1年で問い合わせてきた方を思い出せる範囲で書き出し、共通していた困りごとを3つに絞ります。次に、その困りごとに近い検索語を10個ほど並べ、上位10件の顔ぶれを見ます。大手と公的機関だけが並ぶ語を外し、残った語から3つを選びます。
そのうえで、依頼書の共通部分を作ります。事業内容、商圏、読者像、使ってよい表現、参照してよい情報源、生成AIの扱い、納品形式。ここまでで、おおよそ半日から1日です。
最後に、候補の外注先2社から3社と面談し、前述の7つを聞きます。
2か月目:1本だけ発注する
選んだ1社に、1本だけ発注します。この1本で見るのは、記事の出来だけではありません。
構成案の段階で相談があったか。渡した資料を読んだ形跡があるか。修正を伝えたときに、意図を汲んだ直し方が返ってきたか。この3つの往復が、その後6か月の付き合いを決めます。
あわせて、自社側の工程を実際に回してみます。依頼書は10分で書けたか。検収に何分かかったか。ここで測った時間が、翌月以降の本数を決める根拠になります。
3か月目:本数を決めて回し始める
2か月目に測った時間から、毎月確保できる本数を決めます。多くの場合、最初に思っていた本数より少なくなります。それで構いません。
この月から、テーマを溜める場所も動かし始めてください。問い合わせや商談で出た言葉を、その日のうちに1行だけ書き残す。これを続けると、4か月目以降のテーマに困らなくなります。
| 時期 | やること | この月で得るもの |
|---|---|---|
| 1か月目 | 読者像を3つに絞る/検索語を3つ選ぶ/依頼書の共通部分を作る/2〜3社と面談する | 外注先へ渡す前提が揃う |
| 2か月目 | 1本だけ発注する/往復の質を見る/自社側の工程時間を測る | 相性の判断材料と、本数を決める根拠 |
| 3か月目 | 本数を決めて回し始める/テーマを溜める場所を動かす | 続けられる形と、4か月目以降のテーマ |
3か月と聞くと長く感じられるかもしれません。ただ、決めずに始めて6か月分の記事を作り直すより、はるかに短く済みます。
途中でやめる判断も、先に決めておく
始めるときに、やめる条件も決めてください。
「3か月続けて、依頼書どおりの主張が記事に入ってこない」「検収で戻す点が毎回5つ以上ある」「自社側の工程が2か月続けて回らなかった」。このいずれかに当たったら、外注先を変えるか、本数を減らすか、いったん止める。
この条件を決めておかないと、成果が出ていない状態のまま契約が更新され続けます。そして、止めるかどうかの議論が「これまでかけた費用」の話にすり替わります。判断の基準は、始める前にしか冷静に決められません。
本数を決める前に、確保できる時間から逆算する
外注の相談で最も多いのが「月に何本くらい出すべきですか」というご質問です。
これに一般的な正解はありません。決まるのは、発注側が毎月確保できる時間のほうからです。
ここまでに挙げた発注側の工程を、1本あたりの時間で見積もると次のようになります。
| 工程 | 1本あたりの目安 | 省いたときに起きること |
|---|---|---|
| 記事ごとの依頼書を書く | 10〜15分 | 一般論の記事が納品される |
| 構成案を確認して戻す | 10分 | 本文が出てから作り直しになる |
| 自社の情報を渡す(事例・数字) | 15〜30分 | 他社と置き換え可能な記事になる |
| 納品物の検収 | 20分 | 誤りや権利の問題が公開後に見つかる |
| 公開後の確認(月まとめて) | 1時間/月 | 何を残し何を直すかの判断ができない |
1本あたり55分から75分ほど。月4本なら、4時間から5時間です。これに月1時間の確認を足すと、5時間から6時間になります。
この時間を確保できないのであれば、本数を減らしてください。発注側の工程が回らない状態で本数を増やしても、他社と同じ記事が増えるだけです。
月8本を出して4時間しか使えないより、月2本を出して同じ4時間を使うほうが、成果は出ます。記事の本数は、掛け算ではなく足し算でしか効きません。一方、1本あたりの質は、その記事が呼ぶ流入と、その先の行動の両方に効きます。
記事が増えても、問い合わせが増えない理由
ここまでの工程をすべて回すと、記事の質は確実に上がります。検索からの流入も増えていきます。
ただ、それでも問い合わせが増えないことがあります。私たちがご相談をお受けする中で、最も多い状態です。
この場合、私たちがまず拝見するのは記事ではありません。記事を読み終えた人が、次に開くページです。
集める工程と、受け止める工程は別のもの
記事は、人を連れてくるところまでしかできません。連れてきた人が「この会社に相談してみよう」と思うかどうかは、サイトの側で決まります。
記事を読んで興味を持った人が、社名で検索してトップページを開く。そこで目にするのは、会社の歴史、代表の想い、受賞歴、そして並んだサービスメニュー。
その人が知りたかったのは、「この会社は自分の状況を扱っているのか」「いくらくらいかかるのか」「頼んだら何が起きるのか」の3つだけです。そのどれも見つからないまま、静かに離れていきます。
記事に費用と時間をかけている一方で、トップページが5年前のまま、という企業は少なくありません。この状態で記事を増やしても、増えるのは通過する人の数だけです。
足す発想から、引く発想へ
この状態への対処として、多くの会社が「もっと情報を載せる」方向へ進みます。実績を増やし、サービスを増やし、訴求を増やす。
ところが、増やすほど問い合わせは減っていきます。読む側から見ると、情報が増えるほど「自分に関係のある部分」を探す手間が増えるからです。
私たちが「売れるサイトはみな謙虚」という考え方でお伝えしているのは、この逆です。自社が言いたいことを減らし、相手が知りたいことだけを残す。強みを1つに絞り、対象を明示し、頼んだ後に何が起きるかを先に示す。
謙虚とは、遠慮することではありません。相手の判断に必要なものだけを、迷いなく差し出すことです。自社の話を並べるのは、判断を相手に委ねているようでいて、判断の材料を渡していない状態です。
順番としては、受け皿を先に整えたほうが安い
記事を増やしてから受け皿を直すのと、受け皿を整えてから記事を増やすのとでは、後者のほうが費用が少なくて済みます。
先に記事を増やすと、受け皿が整った時点で「あの記事も導線を直したい」という作業が本数分だけ発生します。先に受け皿を整えておけば、その後に出す記事は、最初から正しい行き先を持ちます。
| 順番 | 起きること | 費用 |
|---|---|---|
| 記事を増やしてから受け皿を直す | 受け皿を直した後、既存記事の導線を1本ずつ直す作業が発生する | 記事の本数に比例して増える |
| 受け皿を整えてから記事を増やす | 出す記事が、最初から正しい行き先を持つ | 一度で済む |
よくあるご質問
外注と内製、どちらがよいですか
本数を安定して出したいなら外注、1本の深さを優先するなら内製、というのが基本の考え方です。ただ、外注しても発注側の工程は消えません。「外注すれば手が空く」という前提で始めると、想定と現実が食い違います。空くのは執筆の時間だけで、決める時間と確かめる時間は残ります。
依頼書を書く時間がありません。どこから省けますか
省くなら、記事ごとの部分ではなく共通部分の作り込みを後回しにしてください。共通部分は一度作れば使い回せますが、記事ごとの主張を渡さないと、その1本が一般論になります。最低限、対策する検索語と、主張の1文だけは毎回書いてください。
納品された記事の質が低いとき、どう伝えればよいですか
「読みにくい」「刺さらない」といった感想では伝わりません。依頼書に書いた主張と、納品物のどこがずれているかを示してください。「主張は〇〇でしたが、記事の中心が△△になっています」という形です。依頼書がないと、この伝え方ができません。
複数の外注先に同時に頼んでもよいですか
構いません。ただし、依頼書と検収の手順を共通にしてください。外注先ごとにやり方が違うと、社内の負担が本数以上に増えます。共通の依頼書があれば、相性を比べる材料にもなります。
記事を書いてもらう人に、業界知識は必要ですか
あるに越したことはありませんが、必須ではありません。必要なのは、自社の情報を正確に受け取って形にする力です。逆に、業界知識がある書き手ほど、自社に確認せずに書ける分、その人の理解がそのまま記事になる面もあります。どちらの場合も、検収は同じように必要です。
1文字いくらが適正ですか
単価だけでは判断できません。同じ1文字3円でも、構成案と取材と入稿まで含む場合と、原稿の執筆だけの場合では、まったく別のものです。含まれる工程を並べ、自社が負う工数を人件費に換算して、合計で比べてください。
外注先を変えるとき、何を引き継げばよいですか
依頼書の共通部分、これまでの記事一覧とそれぞれの主張、検収で戻した内容の記録。この3つがあれば、新しい外注先は初回から自社の考え方に沿って書けます。逆に、これらが社内になければ、外注先を変えるたびに一からになります。
生成AIで書かれていても構いませんか
使ったかどうかより、人間の判断がどれだけ入っているかが重要です。ただし、権利の面では確認すべき点があります。契約に書く項目と検収の手順は、この記事の中でも触れた別記事にまとめています。
社内に、記事の内容を判断できる人がいません
専門知識で判断する必要はありません。判断できるのは、依頼書に書いた主張が記事の中心に据わっているかどうかです。見出しだけを上から読んで、その主張が伝わるか。この確認は、業務内容を知っている方であれば誰でもできます。むしろ、専門知識のない方が読んで伝わらない記事は、読者にも伝わりません。
公開した記事は、あとから直してもよいのですか
直して構いません。むしろ、公開したまま何年も触らない記事のほうが問題になります。制度や数字を扱った記事は、前提が変わった時点で誤りになります。直したときは、どこを変えたのかを記事内に残しておくと、読む側の判断材料になります。
他社の記事を参考にするのは、どこまで許されますか
構成や切り口を参考にすること自体は問題ありません。著作権法が保護するのは具体的な表現であって、アイデアや構成の着想ではないためです。ただし、外注先への指示として「〇〇社の記事のような形で」と伝えるのは避けてください。表現が似た場合に、意図して真似たという記録が残ります。参考にしたい点は、社名ではなく要素の言葉に置き換えて伝えてください。
まとめ
記事を外注しても、発注側から消えない工程があります。誰に読ませるか、どの検索語で拾うか、記事の主張は何か、読み終えた人をどこへ導くか。この4つは、外部から代わりに決めることができません。
ここが空白のまま発注すると、外注先は決まっていない部分を自分で埋めます。読者像は検索語から推測し、主張は上位記事の平均に寄せ、行き先は問い合わせボタンで締める。その結果、どこの会社が書いても同じ記事が積み上がります。
防ぐ方法は難しくありません。発注前に5つを決め、依頼書に書き、納品物を4つの観点で確認する。1本あたり1時間ほどの工程です。この時間を確保できる本数から、月の本数を逆算してください。
そして、記事の質が上がっても問い合わせが増えないときは、記事ではなく、その先のページを見てください。集める工程と、受け止める工程。この2つが揃ってはじめて、Webサイトは成果を出します。
自社のマーケティング課題を根本から解決しませんか?
ウェブサイトから要素を引き算し、訪れた人が迷わず次の一歩に進む形へ組み直す。初回60分のオンラインで御社のサイトを一緒に読み、どこから直すべきかをお伝えします。手順をまとめた無料の診断と解説動画もご用意しています。
初回は無料・60分・オンライン完結・その場で契約のお願いはいたしません

