社会的証明とは、人が意思決定をする際に「他者の行動」を判断基準とする心理現象です。口コミ、利用者数、評価の星を販促に載せると効くのは、この働きがあるからです。
載せる側には、守る決まりもあります。広告であることを隠した宣伝は「ステルスマーケティング」(略してステマ)と呼ばれ、令和5年(2023年)10月1日から、景品表示法(商品やサービスの表示と景品を規制する法律)にもとづく告示で規制の対象になっています。
この記事は、消費者庁の告示・運用基準・ガイドブック・Q&A、e-Govの法令、消費者庁の実態調査報告書、Googleの公式ヘルプ、出版社の書誌、論文の本文を、2026年10月26日に開いて確かめた内容だけで書いています。引用は日本語版の原文どおりに「」で示し、論文の英文は筆者が訳し、「(英文の訳)」と添えています。筆者の整理や推測は、そう分かる言い方で書き分けます。
社会的証明とは?意味と出どころ、先に押さえる用語
定義
社会的証明は、他の人がどう行動しているかを、自分の判断の手がかりにする心理現象です。
他の人が買っている、予約している、高く評価している、という情報を、自分が選ぶときの材料にします。
販促では、利用者の声、評価の星、利用者数、No.1表示、専門家のコメントが、この働きを使う材料になります(筆者の整理)。
社会的証明は、見る側の心に起きる現象の名前です。載せ方が景品表示法に触れるかどうかは、心理学とは別に確かめることになります。
著者と書名
心理学者のロバート・B・チャルディーニ氏の著書『影響力の武器』(誠信書房)が、社会的証明を章の題に掲げています。第三版(2014年7月10日発売)も新版(2023年11月10日発売)も、第4章の題は「社会的証明―真実は私たちに」です。
著者の肩書きは、出版社の紹介に「アリゾナ州立大学リージェンツ名誉教授(心理学およびマーケティング)」とあります。
6つの原理のなかの位置
出版社の新版の紹介は、人を動かす原理として「返報性」「コミットメントと一貫性」「社会的証明」「好意」「権威」「希少性」の6つを挙げています。同じ紹介に、新版では7つ目の承諾誘導戦略が加わったとあり、目次の第8章は「一体性」です。
| 原理 | 新版の章 | 販促に出る形(筆者の整理) |
|---|---|---|
| 返報性 | 第2章 | 無料の資料や試供品を先に渡す |
| 好意 | 第3章 | 担当者の顔や人柄を見せる |
| 社会的証明 | 第4章 | 利用者の声、星の評価、利用者数 |
| 権威 | 第5章 | 専門家のコメント、認定の表示 |
| 希少性 | 第6章 | 数量限定、期間限定 |
| コミットメントと一貫性 | 第7章 | 小さな申し込みから始めてもらう |
| 一体性 | 第8章 | 「私たち」と呼べる仲間意識を示す |
この表のうち、他の人の行動を手がかりにするのが社会的証明です。以降は、これを販促に使うときの話に絞ります。
この記事で使う用語
後の節に何度も出る語を、先に表へまとめます。
| 用語 | 意味 | 出どころ |
|---|---|---|
| 記述的規範 | 他の人が実際にしていること。論文の例は「大多数の宿泊客がタオルを再利用している」(英文の訳) | タオル実験の論文 |
| 命令的規範 | 社会が認めていること、認めていないこと。社会的な承認や不承認を伝えるメッセージ | 省エネ実験の論文の要旨 |
| 景品表示法 | 正式名称は不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)。商品やサービスの表示と景品を規制する法律 | e-Gov法令検索、運用基準 |
| 告示 | 令和5年内閣府告示第19号「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」。景品表示法第5条第3号にもとづく指定 | 消費者庁 |
| 運用基準 | 告示の考え方を示した、令和5年3月28日の消費者庁長官決定 | 消費者庁 |
| 事業者の表示 | 「顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品・サービスの品質、規格、その他の内容や価格等の取引条件について行う表示」 | Q&A Q3の注 |
| 措置命令 | 違反が認められたとき、消費者庁が事業者に命じる行政処分 | Q&A Q2 |
| 優良誤認表示・有利誤認表示 | 優良誤認は、品質などを実際よりも著しく優良だと示す表示(第5条第1号)。有利誤認は、価格などの取引条件を実際よりも著しく有利だと誤認させる表示(第5条第2号) | e-Gov法令検索 |
| 構造化データ | ページの内容を検索エンジンに伝える、標準化されたデータ形式 | Google検索セントラル |
ホテルのタオル実験に見る、他の人の行動を示す効果
他の人の行動を示すと行動が変わるのかを、ホテルの現場で確かめた研究があります。
実験の設定
消費者研究の学術誌『Journal of Consumer Research』第35巻(2008年8月号)に載った、ゴールドスタイン氏とチャルディーニ氏ら3人の論文です。
場所は、米国南西部にある全国チェーンの中規模・中価格帯のホテルです。客は、自分が実験の対象になっていることを知りませんでした。
洗面所のタオル掛けにタオルの再利用を呼びかける掲示を置き、客室係が再利用の有無を記録しています。記録は2泊以上の客だけで、同じ客は最初の対象日の1回だけを使い、1枚以上を再利用したかどうかで数えました。
実験1は80日間、190室で行い、各部屋に2種類の掲示のどちらかを無作為に割り当てています。
掲示の文面
標準の掲示は、環境保護だけを呼びかけました。論文の英文を筆者が訳すと、「環境を守る手助けを。滞在中にタオルを再利用することで、自然への敬意を示し、環境を守る手助けができます」という趣旨です。
記述的規範の掲示は、「ほかの宿泊客と一緒に環境を守りましょう」と呼びかけたうえで、「この新しい省資源プログラムへの参加を求められた宿泊客のほぼ75%が、タオルを2回以上使うことで協力しています」と伝えました(英文の訳)。
実験1の結果
再利用率は、記述的規範の掲示が44.1%、環境保護の掲示が35.1%でした。論文は、この差を統計的に有意だと報告しています。
筆者の計算では、差は9.0ポイントです。
実験2の結果
同じホテルで、掲示を5種類に増やしました。環境保護だけを呼びかける標準の掲示が1種類、「約75%が参加した」という数字を載せて、誰の行動かを変えた掲示が4種類です。
4種類とは、宿泊客全体、同じ部屋に泊まった宿泊客、市民、男女のそれぞれです。
| 実験 | 掲示の内容 | タオルの再利用率 |
|---|---|---|
| 実験1 | 環境保護だけを呼びかける | 35.1% |
| 実験1 | ほぼ75%の宿泊客が協力していると伝える | 44.1% |
| 実験2 | 環境保護だけを呼びかける(標準) | 37.2% |
| 実験2 | 75%の宿泊客が参加したと伝える | 44.0% |
| 実験2 | この部屋に泊まった宿泊客の75%が参加したと伝える | 49.3% |
| 実験2 | 市民の行動として伝える | 43.5% |
| 実験2 | 男女の行動として伝える | 40.9% |
論文が4種類をまとめて示した値は44.5%で、標準の掲示の37.2%を上回りました。
最も高かったのは、同じ部屋に泊まった宿泊客の行動を示した掲示の49.3%です。論文がほかの3種類をまとめて示した値は42.8%で、それより高い結果でした。
宿泊客全体、市民、男女と言い方を変えた3種類は、40.9%から44.0%の間でした。論文は、最も身近な状況に合わせた集団の行動を示した掲示が、最も効いたと書いています。
この実験から読み取れること、読み取れないこと
筆者の整理では、読み取れることは3つあります。
- 他の宿泊客の行動を示した掲示は、環境保護だけを呼びかけた標準の掲示より、2回の実験とも再利用率が高かった。
- 示す相手を変えた掲示の間でも、同じ部屋の宿泊客に絞った掲示が最も高かった。全体・市民・男女の3種類は40.9%から44.0%の間だった。
- 標準の掲示との差は、実験1が9.0ポイント、実験2が4種類をまとめた値で7.3ポイント(筆者の計算)だった。
読み取れないことも書いておきます。論文が確かめたのは1軒のホテルでのタオルの再利用で、別の業種や日本の販促で同じ差が出るかどうかは、この論文からは分かりません。
掲示の「75%」も、実験のために選んだ表現です。自社の販促に載せる数字は、自社で確かめたものにします。
他の人の行動を示すと逆効果になる場合
住宅の省エネを調べた実験
社会的な規範を伝えるメッセージは、実験室では効果が確かめられてきました。ところが現場では成果にばらつきがあり、逆効果を示した研究もあります。
この点を調べた論文が、2007年に心理学の学術誌『Psychological Science』第18巻5号(429〜434ページ)に載りました。チャルディーニ氏とゴールドスタイン氏を含む5人の共著です。
論文の要旨(英語)を筆者が訳すと、家庭の省エネを促す現場実験で、近所の平均使用量を伝える記述的なメッセージは、世帯がもともと使用量の少ない側か多い側かによって、望ましい省エネになる場合と、望ましくない逆効果(ブーメラン効果)になる場合に分かれました。要旨には、どちらの側で省エネになり、どちらの側で逆効果になったかまでは書かれていません。
そこに命令的なメッセージ、つまり社会的な承認または不承認を伝える内容を足すと、逆効果は消えました。
記述的規範と命令的規範
記述的規範は、他の人が実際にしていることです。タオルの掲示の「ほぼ75%の宿泊客が協力しています」が、この形です。
命令的規範は、社会が認めていること、認めていないことです。論文の要旨は、社会的な承認や不承認を伝えるメッセージと説明しています。
販促に載せる口コミや利用者数は、ほとんどが記述的規範にあたります。「他の人もこうしている」と見せる形だからです(筆者の整理)。
販促に当てはめるときの注意(筆者の推測)
ここから先は論文の要旨にもとづく筆者の推測で、販促の現場で確かめた結果ではありません。
近所の平均を伝えることは、平均の使い方が普通だと伝えることでもあります。他の人の行動を示す文は、自社が望む行動と同じ向きのものだけを載せるほうが安全です。「他の人も〇〇している」と伝えれば、〇〇が望ましくない行動でも、それが普通だという情報になりえます。
たとえば「無断キャンセルが増えています」という注意書きは、無断キャンセルが多数派の行動だと伝える形になるおそれがあります。
販促で使う社会的証明の6種類と、関わる決まり
販促に載せる社会的証明を、筆者は次の6種類に分けて整理しています。種類によって関わる決まりが違います。
| 種類 | 載せるもの | 関わる決まり(この記事で原文を開いたもの) |
|---|---|---|
| お客様の声 | アンケートの回答の抜粋、手紙、感想 | 運用基準、Q&A Q10・Q16 |
| 星の評価・口コミサイトの引用 | 点数、星、口コミの転載 | 運用基準、Q&A Q6・Q7、Googleの構造化データのガイドライン |
| 利用者数・実績 | 累計の人数、導入の数 | 景品表示法第5条第1号・第7条第2項 |
| No.1・満足度の割合 | 順位、「満足度◯%」 | 景品表示法、消費者庁の実態調査報告書 |
| 専門家のコメント | 肩書きつきの推薦 | 運用基準 第3の2⑵、Q&A Q13、実態調査報告書 |
| SNS投稿の引用・インフルエンサー | 投稿の埋め込み、依頼した投稿 | 運用基準、Q&A Q4・Q5・Q16 |
景品表示法が対象にする「表示」
景品表示法の第2条第4項は、「表示」を「顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示であつて、内閣総理大臣が指定するもの」と定義しています。告示がそのひとつを指定しています。
自社のホームページやチラシに載せる口コミや実績の数字は、事業者が行う表示にあたりうるため、この法律の規制を確かめる対象になります(筆者の整理)。
この記事で開いた運用基準・Q&A・報告書には、利用者数や導入数そのものを名指しした規定が見つかりませんでした。実数であることを資料で示せる状態にしておくのが無難です(筆者の整理)。
ステマ告示が対象にするもの
ステマ告示(ステルスマーケティングを規制する告示)が対象にするのは、事業者の表示なのに第三者の表示に見えるものです。運用基準は、事業者の表示であることが「一般消費者にとって明瞭である又は社会通念上明らかである」ものを、告示の対象から外しています。
自社サイトの表示は、通常この「明らか」にあたります。自社サイトの中の特定のページが第三者の意見に見える場合は別で、後の「お客様の声」ページと専門家のコメントの節で扱います。
ステマ規制の出どころ:告示・運用基準・ガイドブック・Q&A
ステマ規制には、似た名前の資料が4つあります。混ぜて呼ぶと、どの文書に何が書いてあるのかが分からなくなります。
4つの資料の違い
| 資料 | 出した所と日付 | 何が書いてあるか |
|---|---|---|
| 告示 | 令和5年3月28日内閣府告示第19号。施行は令和5年10月1日 | 規制の本体。文言は短い |
| 運用基準 | 令和5年3月28日の消費者庁長官決定。10ページ | 告示の考え方。事業者の表示になる場合、明瞭な表示の例 |
| ガイドブック | 消費者庁表示対策課。令和5年6月作成、令和6年11月改訂 | 事例で説明した冊子 |
| Q&A | 消費者庁のウェブページ「ステルスマーケティングに関するQ&A」。21問 | 具体的な場面への答え |
運用基準をガイドブックと呼んだり、ガイドブックの文を運用基準の条文として引いたりしないよう、この記事は資料の名前を毎回書き分けます。
告示の文言
告示は、景品表示法第5条第3号の規定にもとづいて、次の表示を指定しています。
「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」
言い換えると、事業者の表示なのに、一般の消費者が事業者の表示だと分からないものです。
ガイドブック(6ページ)は、「広告であるにもかかわらず広告であることを隠すことをいわゆる「ステルスマーケティング」といいます」と説明しています。
規制の対象と、違反したとき
ガイドブック(8ページ)によると、規制の対象は、商品・サービスを供給する事業者(広告主)です。
Q&A Q1は、広告主から依頼を受けて投稿するインフルエンサーやアフィリエイターを規制の対象外としています。広告主と共同して商品などを供給している例外的な場合だけは、対象になります。インフルエンサーの投稿が事業者の表示にあたる場合も、措置の対象になるのは依頼した広告主です。
違反が認められると、消費者庁は事業者に措置命令を出します。Q&A Q2は、課徴金納付命令の対象にはならないと書いています。
ただし、違反の内容に優良誤認表示または有利誤認表示が含まれる場合は、課徴金納付命令の対象になることがあります。
違反の事実が認められなくても、違反のおそれのある行為がみられたときは、「指導」(行政指導)を行うとQ&Aにあります。
規制の理由
運用基準の第1は、理由をこう書いています。「一般消費者は、事業者の表示であると認識すれば、表示内容に、ある程度の誇張・誇大が含まれることはあり得ると考え、商品選択の上でそのことを考慮に入れる」。
筆者の見方では、社会的証明が効く仕組みと、この規制の理由は同じところにあります。第三者の声だと思って受け取る分、割り引かずに信じやすいからです。
口コミが「事業者の表示」になる境目
判断の中心は、表示内容の決定への関与
運用基準の第2は、外形上は第三者の表示に見えるものが事業者の表示になる場合を、こう書いています。「事業者が表示内容の決定に関与したと認められる、つまり、客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められない場合である」。
基準は、内容を事業者が決めたと見られるかどうかです。口コミを頼んだかどうかは、その判断材料のひとつにとどまります。
関与の有無を見る材料
運用基準の第2の1⑵イは、第三者の自主的な意思による表示かどうかを、次の4点などの実態を総合して判断するとしています。
- 事業者と第三者の具体的なやり取りの態様と内容(メール、口頭、送付状など)。
- 事業者が第三者の表示に対して提供する対価の内容。
- 対価を提供する主な理由(宣伝する目的かどうかなど)。
- 事業者と第三者の関係性の状況(過去に対価を提供していた関係がどの程度続いたか、今後どの程度続くか)。
対価の範囲は広く取られています。運用基準の注は、「金銭又は物品に限らず、その他の経済上の利益(例えば、イベント招待等のきょう応)など、対価性を有する一切のものが含まれる」と書いています。
事業者の表示になる場合、ならない場合
| 場面 | 運用基準の整理 | 条文 |
|---|---|---|
| 第三者に、自社の商品についてSNSや口コミサイトに表示させる | 事業者の表示 | 第2の1⑵ア(ア) |
| ECサイトの出店者が、ブローカーや購入者に依頼して、ECサイトのレビューを通じて表示させる | 事業者の表示 | 第2の1⑵ア(イ) |
| 他の事業者に依頼して、競合の商品を自社と比べて低く評価する口コミを表示させる | 事業者の表示 | 第2の1⑵ア(エ) |
| 商品を無償で提供してSNS投稿を依頼し、事業者の方針や内容に沿った表示になった | 事業者の表示 | 第2の1⑵イ(ア) |
| 第三者が自分の好みで、SNSに自主的に投稿した | 事業者の表示ではない | 第2の2⑴ア |
| 商品を無償で提供して投稿を依頼したが、第三者が自主的な意思で内容を決めた | 事業者の表示ではない | 第2の2⑴イ |
| 購入者が自主的な意思で、ECサイトにレビューを投稿した | 事業者の表示ではない | 第2の2⑴エ |
| SNSのキャンペーンに応募するため、第三者が自主的な意思で投稿した | 事業者の表示ではない | 第2の2⑴カ |
| 自社サイトで第三者の表示を、恣意的に抜き出さず、変更も加えず、そのまま引用した | その部分は事業者の表示ではない | 第2の2⑴キ |
明示的に頼んでいなくても事業者の表示になる場合
運用基準の第2の1⑵イは、内容を明示的に頼んだり指示したりしていなくても、事業者が第三者の表示内容を決められる程度の関係があれば、事業者の表示になると書いています。
例のひとつは、事業者が「第三者に対してSNSへの投稿を明示的に依頼しないものの、当該第三者が投稿すれば自らとの今後の取引の実現可能性に言及すること」です。経済上の利益を言外から感じさせる形が、これにあたります。
社員の投稿
Q&A Q3は、従業員が自分のSNSで自社商品の感想を投稿しても、「それだけで直ちに、その投稿が告示に違反する(「事業者の表示」に当たる)と判断されることはありません」と答えています。
ただし、商品の販売を促進する地位や立場にある人、たとえば販売や開発に係る役員、管理職、担当チームの一員などが、販売促進のために投稿する場合は、事業者の表示にあたると考えられるとQ&Aにあります。
口コミを頼む・見返りを渡すときの線引き
口コミを集めたいときに出る疑問は、お礼を渡してよいか、星の数や内容を指定してよいか、の2つに集まります。運用基準とQ&Aの事例を、場面ごとに並べます。
| 場面 | Q&Aの答え | 出どころ |
|---|---|---|
| サービス利用後に予約サイトの口コミ投稿を条件に割引する(内容は指定しない) | 通常は事業者の表示にあたらない | Q6 |
| 同じ条件で、「星5」を付けることを条件にする | 事業者の表示にあたる。サービスの品質や価格などを推奨するコメントを条件にした場合も同じ | Q6 |
| EC購入者に、レビュー投稿を条件に次回のクーポンを渡す | 通常は事業者の表示にあたらない | Q7 |
| 感想を書いた顧客に、自社に都合のよい内容へ改めるよう依頼する | 修正後の投稿は事業者の表示にあたる | Q9 |
| 実際には存在しない性能の記載や、他社の名誉を毀損する内容の訂正を依頼する | それだけでは事業者の表示にあたらない | Q9 |
| 感想の投稿キャンペーンで抽選の景品を出す(内容は指定しない) | 通常は事業者の表示にあたらない | Q8 |
| 同じキャンペーンで、「#毎日食べたい美味しさ!」など具体的な感想の記載を応募条件にする | 事業者の表示にあたる | Q8 |
| 街頭で試供品を配り、「感想をSNSに投稿してください」と声をかける | 通常は事業者の表示にあたらない | Q4 |
| 特定のインフルエンサーに無償で商品を提供し、投稿を依頼する | やり取りや取引関係など、個別の事情による | Q5 |
割引やクーポンを渡す場合
Q&A Q6は、口コミ投稿を条件に割引価格で提供する場合について、「口コミ投稿の内容についての指示は含まれていません」と述べ、割引程度の対価であることも踏まえて、表示内容の決定に関与しているとはいえないと答えています。
運用基準の第2の2⑴オも、次回の割引クーポンを配る場合でも、投稿内容について情報のやり取りが「一切」行われていなければ、事業者の表示にあたらないとしています。「一切」は日本語版の原文にある語です。
星や内容を条件にする場合
Q6の後段は、口コミ投稿に「星5」を付けることが条件の場合を取り上げ、「事業者は表示(投稿)の内容を決定しているといえるため、「事業者の表示」に当たると考えられます」と答えています。
事業者の表示にあたるときは、事業者の表示であることを明瞭にしなければ、告示に違反します。
修正を頼む場合
Q9は、事実に反する内容や他社の名誉を毀損する内容の訂正を頼むだけなら、事業者の表示にならないとしています。
顧客が購入商品を使った感想を書いているのに、自社に都合のよい内容へ改めるよう頼めば、修正後の投稿は事業者の表示にあたると考えられる、という区別です。
キャンペーン、試供品、無償提供の場合
Q4とQ8の前段は、内容の指示がなく、不特定多数への呼びかけにとどまる限り、通常は事業者の表示にあたらないとしています。
特定のインフルエンサーを選んで無償で提供するQ5は、やり取りの内容、無償提供の目的、将来の取引の可能性などによって、事業者の表示にあたる場合があると答えています。
SNS運用やインフルエンサー、社員の発信まで広げた実務は、関連記事の中小企業のためのステマ規制実務ガイドにまとめています。お客様に書いてもらう手順そのものは、口コミを増やす方法の記事で扱っています。
「お客様の声」ページを作るときの決まり
無作為に選び、変更せずに載せる
運用基準の第2の2⑴キは、自社サイトの一部で第三者の表示を使う場合でも、恣意的に抽出せず、内容に変更を加えず、そのまま引用するなら、事業者の表示にあたらないとしています。
Q&A Q10は、顧客のアンケート回答を「お客様の声」として載せる場合を取り上げ、「アンケートの回答の中から、無作為に選んだ回答を引用して掲載する場合には「事業者の表示」に当たらないと考えられます」と答えています。
好意的な部分だけを抜くと、事業者の表示になる
Q10は、反対の場合も書いています。「商品について好意的な評価をしているものだけを選んで引用する場合や、商品の「良い点」・「悪い点」を挙げている回答の「良い点」の部分だけを引用する場合は、「事業者の表示」に当たると考えられます」。
そのうえで、事業者の表示にあたる場合は、事業者の表示であることを明瞭にしなければ告示に違反すると、Q10にあります。
運用基準が例に挙げる抜き出しの偏りは、2つあります。事業者の評判を上げる意見だけを抜き出すこと、良い点と悪い点が書かれた投稿から一方だけを取り上げることです。
依頼して書いてもらった声を混ぜない
Q&A Q16は、プロモーションのために依頼したインフルエンサーの投稿を、「お客様の声」として自社サイトに載せたい場合を取り上げています。
答えは、「「お客様の声」という場合、通常、顧客の自主的な意思に基づく感想等が記載されていると理解されるため、「事業者の表示」に当たるインフルエンサーの投稿を、「お客様の声」として自社のウェブサイト上に掲載することは適当ではありません」です。
依頼して書いてもらったコメントを載せるなら、自社が依頼したものだと分かる形にします。運用基準の第3の2⑵オ(イ)は、表示の例として「弊社から○○先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。」を挙げています。
専門家のコメントを載せるとき
Q&A Q13はアフィリエイトサイトについての答えです。サイトの一部に、専門家の客観的な意見のように書きながら、実際は報酬を払ってコメントを依頼している「事業者の表示」が含まれる場合を例に挙げています。
その付近に依頼したと分かる記載を置き、その一部を見ただけの消費者にも、事業者の表示だと明瞭になっている必要がある、という内容です。自社サイトについては、運用基準の第3の2⑵オ(ア)が同じ状況を取り上げています。
お客様の声の載せ方を返信や依頼まで含めて整理した記事として、口コミ・レビューとAI検索も用意しています。
事業者の表示だと分かるように書く
事業者の表示にあたる場合の義務は、「事業者の表示であること」を消費者に分かるようにすることです。運用基準の第3は、表示内容全体から判断するとしています。
明瞭とされる例、不明瞭とされる例
| 区分 | 運用基準の例(第3) |
|---|---|
| 明瞭とされる | 「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」といった文言を使う。ただし、これらの文言があっても、表示内容全体から明瞭と認められない場合はある |
| 明瞭とされる | 「A社から商品の提供を受けて投稿している」のような文章で示す |
| 不明瞭とされる | 事業者の表示である旨を、部分的にしか表示していない |
| 不明瞭とされる | 文章の冒頭に「広告」とあるのに、文中に「これは第三者として感想を記載しています。」と書き、分かりにくくする |
| 不明瞭とされる | 動画で、消費者が認識できないほど短い時間しか示さない。動画の冒頭以外にだけ示す場合も含む |
| 不明瞭とされる | 表示の末尾など視認しにくい位置に示す。周囲の文字より小さい、薄い色、長い文章で示す |
| 不明瞭とされる | SNSの投稿で、大量のハッシュタグの中に埋もれさせる |
文言は決まっていない
Q&A Q11は、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」以外の言い方を禁じているわけではないと答えています。「表示内容全体から、一般消費者にとって「事業者の表示」であることが明瞭となっていればよく」と書いています。
社員が個人のSNSで宣伝する場合について、Q12は、「私は〇〇社の社員です。」と所属を示しただけでは、「事業者の表示」であることが明瞭になっているとは「必ずしもいえない」と考えられると答えています。
SNSと動画での注意
Q14は、投稿の本文とは別のツリー(リプライ)に「広告」と書いた場合を取り上げ、消費者が気づかないおそれがあるため、明瞭とはいえない場合が多いと考えられると答えています。
動画について、Q15は、冒頭に「広告」と出すだけでは見逃すおそれがあると述べ、「画面上に常に「広告」と表示するなど、動画全体を通して「事業者の表示」であることが明瞭となるようにしておくことが望ましい」と書いています。
No.1や満足度の数字を載せる前に確かめること
「満足度No.1」「医師の90%が推奨」のような表示は、第三者の主観的な評価を根拠にする社会的証明です。消費者庁表示対策課が令和6年(2024年)9月26日にまとめた「No.1表示に関する実態調査報告書」が、景品表示法の考え方を示しています。
法律の側にある2つの条文
景品表示法の第5条第1号は、品質などの内容について、一般消費者に対し、「実際のものよりも著しく優良であると示し」、不当に顧客を誘引し、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある表示を禁じています。
第7条第2項は、表示の裏付けとなる根拠を示させる仕組みです。内閣総理大臣は、期間を定めて、「当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる」とあり、事業者が資料を出さないときは、「当該表示は同号に該当する表示とみなす」と定めています(同号は、前の段落の第5条第1号)。
根拠資料が手元に残っていないと、表示が正しいかどうかを争う前に、不当表示として扱われます。
合理的な根拠の4つの条件
報告書は、主観的評価によるNo.1表示の調査結果が合理的な根拠と認められるには、「少なくとも次の①から④までを満たしている必要がある」と書いています。
| 条件 | 報告書が不適切とする例 |
|---|---|
| ①比較する商品等が適切に選定されていること | 市場の主要な同種商品の一部または全部を比較対象に含めない。検索結果で上位に表示された商品を比較対象にしただけで、主要な商品を含めない |
| ②調査対象者が適切に選定されていること | 自社の商品を継続的に購入している顧客だけを対象にする。自社の社員や関係者を対象にする。「顧客満足度」と表示しながら、商品を使ったことがない人や、利用経験を確かめていない人を対象にする |
| ③調査が公平な方法で実施されていること | 自社に有利になるよう回答を誘導する。自社の商品が1位になるまで調査を繰り返す、1位になったタイミングで終える |
| ④表示内容と調査結果が適切に対応していること | 表示で示した調査内容と、実際に行った調査の内容が食い違う(報告書は、この例を調査対象者の属性の項で挙げています) |
消費者はどう受け取るか
報告書の消費者の意識調査(消費者1,000名)では、「顧客満足度」のNo.1表示を見て、実際の利用者に調査をしていると思う(「とても当てはまる」または「やや当てはまる」)と答えた人が56.8%、「人気」のNo.1表示で57.7%でした。
購入の意思決定への影響を尋ねた調査では、No.1表示や高評価の割合表示を見たことがある人のそれぞれ約5割が、「かなり影響する」または「やや影響する」と答えています。
報告書は、消費者が実際の利用者による評価だと受け取るから、他社より優れていると受け取る、という関係がうかがわれると述べています。No.1表示が効く仕組みを、消費者庁が調査で確かめた例として読めます(筆者の整理)。
「医師の90%が推奨」のような表示
報告書は、「医師の○%が推奨しています。」のような表示を「高評価%表示」と呼び、主観的評価によるNo.1表示と同様に、合理的な根拠が必要だと整理しています。
専門家の評価を訴える表示では、調査対象者の選び方に特に注意が要ります。報告書が不適切になりうる例として挙げたのは、医師かどうかを自己申告で確認しただけの場合、医師の専門分野が対象商品の評価に必要な知見と合っていない場合、調査会社から合理的な根拠のない情報を渡されて回答した場合の3つです。
検索結果に星を出したいときのGoogleのルール
自社サイトに口コミを載せ、検索結果に星を出したい場合は、景品表示法とは別に、Googleの掲載条件があります。Googleの検索セントラルが「クチコミ抜粋」の構造化データのガイドラインで定めています。
自社への口コミには星が付かない場合がある
ローカルビジネスや組織の口コミについて、日本語版のガイドラインは、「レビューされる側のエンティティが自身のレビューを管理している場合」、その種類の構造化データを使っているページは、「スターレビュー機能の対象外となります」と書いています。
ローカルビジネスの評価については、「評価は、ユーザーから直接入手する必要があります。」「ローカル ビジネスの評価情報の作成、選定、編集を、人間の編集者が行うことは認められていません。」という条件も並んでいます。
「他のウェブサイトからのクチコミや評価は集計に含めないでください。」という一般の条件もあります。
特典つきの口コミ
日本語版のガイドラインは、「虚偽の報酬が伴うクチコミや、報酬が伴うことを開示していないクチコミ」を含めないよう求めています。例には、「特典(金銭、割引、クーポン、無料の商品など)と引き換えに作成されたレビューで、特典の提供が明確かつ目立つように開示されていないもの」があります。
景品表示法の運用基準では、内容を指示しない割引は通常、事業者の表示にあたりません。
Googleのガイドラインは、星の表示に使う構造化データについて、特典の開示を求めています。2つの決まりは別のものとして確認します(筆者の整理)。
日本語版と英語版の違い
2026年10月26日に確かめたところ、日本語版の最終更新日は2026年9月17日(UTC)、英語版は2026年9月8日(UTC)でした。
特典つき口コミの例は、どちらの版にも2項目(実際の経験にもとづかないレビュー、特典を明確に開示していないレビュー)が並びます。英語版の見出しの趣旨は「偽の、または特典を開示していないレビュー」(英語版の訳)で、日本語版の「虚偽の報酬が伴うクチコミ」とは言い回しが違います。
載せる前の確認は4つの順で(筆者の整理)
ここまでの資料を、口コミ1件、または数字1つを載せる前の確認として並べ直したものが、次の図です。
この順番は公式の手順ではありません。筆者の整理です。
4つの確認は、この順で当てます。確認2は、確認1で関与が分かったときと、確認3で好意的な部分だけを抜いていたと分かったときに使います。確認1で関与がないと分かった場合も、確認3と確認4は残ります。
確認の中身
| 確認 | 見ること | 根拠にした資料 |
|---|---|---|
| 確認1 誰の意思で書かれたか | 依頼、指示、対価、修正依頼で、事業者が内容の決定に関わっていないか | 運用基準 第2、Q&A Q6・Q9 |
| 確認2 事業者の表示と分かる形か | 関与があるなら、表示内容全体から事業者の表示だと分かる書き方になっているか | 運用基準 第3、Q&A Q11・Q14・Q15 |
| 確認3 抜き出し方に偏りがないか | 好意的な部分だけを選んでいないか、内容に変更を加えていないか | 運用基準 第2の2⑴キ、Q&A Q10 |
| 確認4 数字・順位の根拠資料があるか | 調査の対象者、比較対象、方法を示す資料が手元にあるか | 景品表示法 第7条第2項、実態調査報告書 |
担当者1人で抱えない:管理上の措置の7項目
景品表示法が事業者に求めていること
景品表示法の第22条第1項は、事業者に、表示によって不当に顧客を誘引し、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害することのないよう、景品類の提供と表示を適正に管理するために、「必要な体制の整備その他の必要な措置を講じなければならない」と定めています。
実態調査報告書は、この義務の参考になる指針として、「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」(平成26年内閣府告示第276号)を挙げ、事業者の規模や業態に応じて「必要かつ適切な範囲で」措置を講じるとしています。
7項目の内容
| 項目 | 報告書に書かれた内容 |
|---|---|
| 1 景品表示法の考え方の周知・啓発 | 表示に関係する役職者に、職務に応じて周知・啓発を行う |
| 2 法令遵守の方針等の明確化 | 法令遵守の方針と、とるべき手順を明確にする |
| 3 表示等に関する情報の確認 | 商品の長所を積極的に表示するときは、表示の根拠となる情報を確認する |
| 4 表示等に関する情報の共有 | 確認した情報を、関係する部門が必要に応じて共有し、確認できるようにする |
| 5 表示等を管理する担当者等を定める | 担当者・担当部門をあらかじめ定める |
| 6 根拠となる情報を事後的に確認する措置 | 確認した情報を、商品が消費者に供給されうると合理的に考えられる期間、保管する |
| 7 不当な表示等が明らかになったときの対応 | 事実関係を迅速に確認し、再発防止の措置をとる |
小さな会社には、担当者の置き方が気になるところです。報告書の脚注は、表示等管理担当者は「必ずしも専任の担当者又は担当部門である必要はなく」、一般的な法令遵守の担当者がその業務の一環として管理してもよいとしています。
根拠の確認についても、報告書は、「単に、第三者機関による調査が実施されていることのみを確認するだけでは不十分であり」、調査内容が表示内容と適切に対応しているかを自らの責任で確認する必要があると書いています。
よくある質問
「お客様の声」は、自社サイトに載せてよいですか
載せられます。アンケートの回答から無作為に選んだものを、変更せずに引用して載せる場合は、事業者の表示にあたらないとQ&A Q10が答えています。
好意的なものだけを選ぶ場合や、良い点だけを抜く場合は、事業者の表示にあたるため、事業者の表示だと分かるようにします。依頼して書いてもらった声を「お客様の声」として載せるのは、Q16が「適当ではありません」と答えています。
口コミを書いてくれたお客様に、割引やクーポンを渡してよいですか
内容を指示せず、割引程度の対価であれば、通常は事業者の表示にあたらないとQ&A Q6とQ7が答えています。
「星5」や、推奨するコメントを条件にすると、事業者の表示にあたります。Googleの星の表示に使う構造化データでは、特典と引き換えのレビューは、特典の提供を明確に開示する必要があります。
社員が自社商品をSNSに投稿するのは問題ですか
Q&A Q3は、社員が自分のSNSで感想を投稿しても、それだけで直ちに違反と判断されることはないと答えています。
販売促進が必要とされる地位や立場の人(販売や開発に係る役員、管理職、担当チームの一員など)が、販売促進のために投稿すれば、事業者の表示にあたると考えられます。
その場合は、「広告」などの表示で明瞭にします。所属を書くだけでは足りない場合があると、Q12は答えています。
自社サイトの口コミで、検索結果に星を出せますか
ローカルビジネスや組織の口コミで、評価される側が自分のレビューを管理している場合は、星の表示の対象外になると、Googleの日本語版ガイドラインにあります。
商品など、ほかの種類のレビューを星にするときの条件は、この記事では原文を確かめていません。星を出したい種類ごとに、公式ページの原文で確かめてください。
ステマ規制に違反すると、どうなりますか
消費者庁が事業者に措置命令を出します。課徴金納付命令の対象にはなりません。
ただし、違反の内容に優良誤認表示または有利誤認表示が含まれる場合は、課徴金納付命令の対象になることがあるとQ&A Q2にあります。
告示の施行日(令和5年10月1日)より前に投稿された表示でも、施行後も表示が続き、事業者の表示であることが明瞭でなければ、行政処分の対象になる可能性があるとQ&A Q20が答えています。
まとめ
社会的証明は、他の人の行動を判断の手がかりにする心理現象です。ホテルのタオルの実験では、他の宿泊客の行動を示した掲示のほうが、環境保護だけを呼びかけた掲示より再利用率が高い結果でした。
伝える相手がもともとどう行動していたかによって逆効果が出た研究もあるので、自社が望む行動と同じ向きの情報を載せます(筆者の推測を含む)。
載せる側の決まりは、事業者が表示内容の決定に関与したかどうかで分かれます。関与があれば事業者の表示として、消費者に分かる書き方にします。
載せる前は、4つの確認をこの順で当てます。誰の意思で書かれたか、事業者の表示と分かる形か、抜き出し方に偏りがないか、数字や順位の根拠資料があるか、の4つです。
今日できる点検
| 点検 | 見る場所 | 見つかったときの直し方 |
|---|---|---|
| 確認1 口コミを頼んだ文面に、星の数や感想の内容の指定が入っていないか | お願いのメール、依頼状、投稿キャンペーンの応募条件 | 指定を外す。外せない場合は、事業者の表示だと分かる形で載せる |
| 確認2 依頼して書いてもらったコメントに、依頼したと分かる表示があるか | 専門家や取引先のコメント欄 | 「弊社から○○先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。」の趣旨の一文を近くに置く |
| 確認3 「お客様の声」を、どう選んで載せたか | 自社サイトの「お客様の声」ページ | 回答から無作為に選び直す。良い点だけを抜いたものは、事業者の表示だと分かる形にする |
| 確認4 No.1・満足度・「◯%」の根拠資料が手元にあるか | 表示の元になった調査報告書、調査会社とのやり取り | 調査の対象者、比較対象、方法を確かめ、資料を保管する。確かめられない表示は外す |
| 令和5年10月1日より前に始めた投稿や表示が、まだ載っていないか | 古い口コミ、過去に依頼したSNS投稿 | 事業者の表示にあたるものに、明瞭な表示を足す(Q&A Q20) |
| 表示を管理する担当者が決まっているか | 社内の役割分担 | 担当者を決める。専任でなくてよい(実態調査報告書の脚注) |
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