記事を何本か書いたところで、次のテーマを決めようとして手が止まる。「これは誰に向けた記事なのか」に答えられないまま、思いついた話題を順に書いてきたことに気づく。
ブログのターゲットは、4つの手順で決められます。1つ目は、既存のお客様の記録から「どんな困りごとで来た人か」を集めること。2つ目は、その共通点を1文のターゲット文にすること。3つ目は、その人が検索する言葉に直すこと。4つ目は、Search ConsoleとGA4で、想定した読者と実際に読んでいる人を見比べることです。
ターゲットは、書き手が置く仮説です。公開してからデータで確かめ、ずれていれば直します。直しながら使う基準として扱うと、次のテーマも選びやすくなります。
この記事で引く資料は、Googleの公式ドキュメント、Search ConsoleとGA4のヘルプ、中小企業庁の「2024年版小規模企業白書」、個人情報保護委員会のQ&Aとガイドライン、法律の条文です。いずれも2026年10月22日に原文を開いて確かめました。
先に結論:状況別の最初の一手
いまの状況によって、最初に読む節が変わります。次の表で、自分に近い行を探してください。
| いまの状況 | 起きていること | 最初にすること |
|---|---|---|
| ブログを始めたばかりで、お客様の記録も少ない | テーマの基準がなく、書く前に迷う | 手順1の「お客様の記録がまだ少ないとき」を読み、見込み客の質問を集める |
| 記事は数本あるが、誰向けかを決めていない | 記事ごとに語り口や難しさがばらつく | 手順1と手順2で、ターゲット文を1文で書く |
| 記事は増えたが、問い合わせにつながらない | 読んでいる人とお客様の層がずれている可能性がある | 手順4でクエリ(検索された語句)とランディングページ(最初に開かれたページ)を見る |
| 担当者が替わり、過去の記事の狙いが分からない | 既存記事を何の基準で見直すか決まらない | 手順2のターゲット文を作り、記事を照らし合わせる |
ブログのターゲットとは何かを整理する
ターゲットは「この記事を届けたい相手」を言葉にしたもの
ブログのターゲットとは、記事を届けたい相手を、状況と困りごとまで含めて言葉にしたものです。「30代の男性」とだけ書いても、その人がどんな検索をして、どんな答えを求めるのかは出てきません。年齢や性別の枠だけでは、書く内容が決まらないためです。
「取引先からブログで事例を見たいと言われ、何を書くか決められない総務担当」まで書けば、記事のテーマ、使う言葉、載せる事例が絞れます。これは書き方の例で、実在の誰かを指したものではありません。
ターゲット、ペルソナ、STPの違い
ターゲットの近くには、ペルソナとSTPという言葉が出てきます。3つは決める範囲が違います。比べるために、表の最後の行には実際の読者も並べました。表の説明は、筆者の整理です。
| 用語 | 決めること | ブログでの使いどころ |
|---|---|---|
| ターゲット | 届けたい相手の状況と困りごと | 記事のテーマと言葉を選ぶ基準にする |
| ペルソナ | ターゲットを1人の人物像に具体化したもの(仕事、1日の流れなど) | 書き手が複数いるときに、読者のイメージをそろえる |
| STP | 市場を分ける(セグメンテーション)、狙う層を選ぶ(ターゲティング)、その層に対する自社の立ち位置を決める(ポジショニング) | 事業全体の戦略。ブログのターゲットは、ターゲティングで選んだ層を、状況と困りごとまで言葉にしたもの |
| 実際の読者 | アクセスデータに現れた人たち | ターゲットとのずれを確かめる対象にする |
ターゲットと実際の読者は、別のものとして扱う
ターゲットは書き手が置く仮説で、実際の読者は公開後にSearch ConsoleやGA4へ現れる人たちです。両者が一致する保証はありません。手順4は、この一致を確かめる作業にあたります。
ターゲットが曖昧なままだと、何が起きるか
書く前に起きること:テーマが決まらない
誰に向けるかが決まっていないと、テーマを選ぶ基準がありません。思いついた話題を順に書くことになり、次のテーマを決めるたびに時間がかかります。担当者が複数いれば、人によって想定する読者が違い、サイトの中で語り口や難しさがばらつきます。
書いた後に起きること:読まれても、問い合わせにつながらない
検索で読まれても、読んだ人が自社のお客様の層とずれていれば、問い合わせは増えません。アクセス数は伸びているのに問い合わせが動かない状態は、ターゲットとのずれが原因になっている場合があります。
Googleの公式ガイドが問う「誰のための記事か」
Googleは「有用で信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツ」のページで、自己評価のための質問を並べています。その中に、次の質問があります。
特定のユーザー層がすでに存在しているか、想定されており、その人たちがビジネスまたはサイトを直接訪問した際に、コンテンツを有用だと感じてくれると思いますか。
同じページには「サイトには主要な目的またはテーマがありますか。」という質問もあります。検索エンジン向けのコンテンツに陥っていないかを確かめる質問群には、話題になっているというだけの理由で記事を書いていないか、という項目が入っています。
ページは「そもそもなぜコンテンツを作成したのでしょうか。」と問いかけます。その答えが主として検索エンジンからのアクセス数を増やすことであれば、Googleのシステムに高く評価されるための方法に即していないと述べています。このページの最終更新日は2026年10月7日(UTC)でした。
筆者の読みでは、ターゲットを決める作業は、最初に引いた「特定のユーザー層が…」の質問への答えを、書く前に文章にしておく作業にあたります。
曖昧さの症状を表で確認する
| 症状 | 起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 次のテーマが決まらない | テーマを選ぶ基準がない | 手順2でターゲット文を書き、テーマを照らし合わせる |
| 記事ごとに語り口や難しさが違う | 書き手ごとに想定する読者が違う | ターゲット文を共有し、各記事が想定する読者の場面をそろえる |
| アクセスはあるが問い合わせがない | 読者とお客様の層がずれている可能性がある | 手順4でクエリ(検索された語句)とランディングページ(最初に開かれたページ)を見る |
| 他社と同じ話題ばかりになる | 自社のお客様に固有の困りごとを使っていない | 手順1でお客様の記録を集める |
| 書いても反応を読み取れない | 確かめる仮説が置かれていない | ターゲット文を仮説として置き、データで確かめる |
小規模企業白書2024が示す、顧客ターゲットを明確にすることの意味
白書が見た調査の範囲
中小企業庁の「2024年版小規模企業白書」第2部第1章第1節は、2023年12月に行われたウェブ調査を使っています。対象は商工会・商工会議所の会員である小規模事業者で、有効回答数は6,080件です。
この節が扱うのは、ブログに限らない販路開拓全般です。そのため「ブログのターゲットはこうだ」と読むのは、資料の範囲を超えます。ここで借りるのは、顧客ターゲットを明確にしている事業者に、どんな傾向が見られたかという点です。
顧客ターゲットが明確な事業者で、売上の見通しが高い傾向
第2-1-16図は、販路開拓に取り組んでいる事業者を、顧客ターゲットを明確にできているかどうかで分けて比べています。「明確にできている」と答えた事業者では、2019年と比べた2023年の売上の見通しが「大幅に増加」「増加」となる割合が高い傾向にある、と示しています。白書はこれを受けて「販路開拓を行う上で、顧客ターゲットを明確にすることが重要だと示唆される。」と結んでいます。
情報を集めて分析する事業者ほど、ターゲットが明確な傾向
第2-1-17図は、内部環境と外部環境の情報を収集し、分析している事業者ほど、顧客ターゲットが明確である傾向にあることが読み取れる、としています。
筆者の読みでは、手順1でお客様の記録を集める作業と、手順4でアクセスデータを見る作業は、この情報の収集と分析にあたります。
白書の数字から言えることと、言えないこと
| 白書の記載 | 言えること | 言えないこと |
|---|---|---|
| 顧客ターゲットが明確な事業者は、売上の見通しが高い傾向 | 両者に関連が見られる | ターゲットを明確にしたから売上が伸びた、という因果 |
| 調査したのは売上の「見通し」 | 事業者の予想の傾向 | 実際の売上の結果 |
| 対象は小規模事業者の販路開拓全般 | 販路開拓の取り組み全体の傾向 | ブログに絞った効果 |
| 表現は「傾向」「示唆」 | 方向性の手がかり | どの会社でも同じ結果になるという保証 |
白書の事例2件:ターゲットを決め直して、新しい客層を得た
白書には、ターゲットを決め直して新しい客層を得た事例が2件あります。店名は省いて紹介します。
1件目は岐阜市の喫茶店です。利用者を時間帯、性別、年代ごとに表へ記録したところ、利用者の中心は60代から80代の女性で、ほぼ同じ時間帯に来店していました。高齢の利用者は徒歩や自転車で来店するため、天候によって売上に波が出ます。そこで、車で来店し1組あたりの単価も高い40代から50代の女性とファミリーを主なターゲットに決め、朝のメニューを終日提供する形に変えています。平日の1日あたり利用者は80〜90人から120人に、週末は約150人になったと記されています。
2件目は伊賀市の和菓子店です。新しいお客様を得るために、長く通ってくれる可能性の高い30代から40代の女性をターゲットに決め、SNSに毎日同じ時間に投稿を続けました。売上は取り組む前と比べて2〜3割増え、ターゲットにした30代から40代の女性を中心に、遠方からの新しいお客様も得たとされています。
どちらも店舗の事例で、ブログの成果を示したものではありません。また、1件目の喫茶店が記録したのは時間帯・性別・年代で、この記事の手順1が集める困りごととは違います。それでも、先に利用実態を記録してからターゲットを選んだ順序は、手順1と同じです。
ブログのターゲットを決める4つの手順
4つの手順の流れ
手順は4つで、順番に進めます。
手順ごとに使う材料と出来上がるもの
| 手順 | 使う材料 | 出来上がるもの |
|---|---|---|
| 1 お客様の記録を集める | 問い合わせの文面、商談メモ、見積依頼、よく聞かれる質問 | 困りごとの一覧 |
| 2 ターゲット文にする | 手順1の一覧 | 立場・場面・困りごとを含む1文 |
| 3 検索語に直す | 手順2のターゲット文 | 検索キーワードの候補 |
| 4 データでずれを確かめる | Search Console、GA4 | ずれの一覧と、直す箇所 |
この順番にする理由
検索数の多いキーワードから逆算して決める方法もあります。ただ、先に検索語から入ると、検索数の多い話題に引かれて、自社のお客様の層から離れやすくなります。筆者が手順1から始めるのは、自社に実在する相手から決めるためです。
手順1:既存のお客様の記録から、どんな困りごとで来た人かを集める
お客様の記録を最初の材料にする理由
自社にすでに来ているお客様の記録は、実在する人についての、手元にあるデータです。想像で作った読者像には、書き手の願望が混ざります。お客様の記録には、実際に何に困って連絡してきたかが残っています。
集める材料と、そこから拾う項目
| 材料 | 拾う項目 | 注意すること |
|---|---|---|
| 問い合わせフォームの文面 | 困りごと、きっかけ、使われている言葉 | 氏名や連絡先は写さない |
| 商談・面談のメモ | 検討の背景、比較していたもの、決め手 | 個人名や会社名は書き写さない |
| 見積依頼 | 依頼の規模感、希望の納期 | 取引先名は書き写さない |
| お客様へのひと言アンケート | 来た経緯、検索した言葉 | 利用目的を伝えてから集める |
| 営業や受付で繰り返される質問 | 契約の前に引っかかる点 | 聞かれた回数を数えて記録する |
拾い方:1件ずつ、立場・場面・困りごとを1行にする
記録を読み、1件ごとに「どんな立場の人が、どんな場面で、何に困って連絡したか」を1行で書きます。10件ほど書き出して読み比べると、同じ言葉や同じ場面が繰り返し出ていないかが見えてきます。
繰り返し出てくる部分が、ターゲット文の材料になります。1件にしか出てこない特殊な事情は、いったん脇に置きます。
お客様の記録がまだ少ないとき、代わりに使える材料
開業したばかりで記録がほとんどない場合は、見込み客から受けた質問、営業先で聞かれたこと、自分が過去に同じ立場で困った経験を使います。条件は、実在の誰かが実際に口にした困りごとであることです。想像で補った項目は、別に印を付けておきます。
記録を扱うときの注意は、後の節で詳しく書く
氏名や連絡先と結びついた形でお客様の記録を分析に使うと、個人情報保護法の対象になりえます。詳しくは「お客様の記録とアクセスデータを扱うときの、個人情報の注意」の節にまとめました。
手順2:共通点を1文のターゲット文にする
ターゲット文の型
型は1つです。「[立場]が、[場面]で、[困りごと]とき」と書きます。
立場は、仕事上の役割や、お客様との関係です。場面は、その困りごとが起きるきっかけです。困りごとは、手順1で何度も出てきた言葉をそのまま使います。その人が望む状態が分かっていれば、困りごとの中に含めます。次の見本では「先方の信頼につながる」がそれに当たります。
書き方の見本(実在の事例ではありません)
次の見本は、型の使い方を示すために筆者が作った例です。企業のブログ運営を手伝う会社が、自社ブログの読者を決める場面を想定しています。実在の企業や調査結果ではありません。
製造業の総務担当が、取引先から「ブログで事例を見たい」と言われた場面で、何を書けば先方の信頼につながるのかを決められないとき
この1文があれば、事例記事の書き方、取引先が事例で確かめたい項目、社内で事例を集める手順、といった具合にテーマが絞れます。反対に、個人がブログを始める方法の記事は、この文に合わないと判断できます。
広すぎるターゲット文を、使える文に直す
| 書き方の例 | 起きる問題 | 直し方 |
|---|---|---|
| 中小企業の経営者全般 | 立場が広く、場面と困りごとがないため、テーマが決まらない | 場面と困りごとを足す。例:後継者への引き継ぎを考え始めたときの迷い |
| 30代の女性 | 属性だけで、検索する動機が分からない | その人が困る場面を足す。年齢は、記録に根拠があるときだけ残す |
| ブログに興味がある人 | 誰でも当てはまり、どの記事にも使える | 状況で絞る。例:ブログを始めたが、次に何を書くか決められない担当者 |
| 売上を上げたい人 | 目的が広く、1本の記事では答えを出せない | 測れる状態にする。例:問い合わせが増えない原因を探している人 |
この表の例も、書き方を示すための例です。実在の調査結果ではありません。
ペルソナにまで広げるかを決める
ターゲット文ができたあと、ペルソナまで作るかどうかは、書き手の人数で決めます。書き手が複数いて、読者のイメージをそろえたいときに作ります。1人で書いている間は、ターゲット文だけで足りると筆者は考えています。
ペルソナを作る場合の手順は、ペルソナの作り方の記事で説明しています。人物像を細かくするほど、実在のお客様から離れる危険があります。手順1の記録に根拠のある項目だけを残してください。
手順3:ターゲット文を、その人が検索する言葉に直す
同じテーマでも、知っている人と知らない人で検索語が違う
Googleの「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」は、読者の検索キーワードを予測する節で、「そのトピックについてよく知っているユーザーは、よく知らないユーザーとは異なるキーワードを検索クエリで使用するかもしれません。」と述べています。続けて「こういった検索行動の違いを予測し、読者を意識して執筆することで、検索結果でのパフォーマンスに良い影響を与えることができます。」としています。このページの最終更新日は2025年12月18日(UTC)でした。
手順2のターゲット文にある立場と場面が、その人がどれだけ知っているかを決めます。見本の総務担当なら、ブログ運営の用語に詳しくない前提で、「ブログ 事例 書き方」のような言葉で調べる、と予測します。これは見本に基づく筆者の読みです。
検索の目的を4つに分けて考える
Googleが検索品質の評価者向けに公開している「General Guidelines」(2025年9月11日版、英語)は、検索の意図を4つに分けて説明しています。次の説明は、筆者による日本語訳です。
Knowの検索は、情報を見つけること、またはトピックを調べることが目的です。Doの検索は、目標を達成することや、活動に取り組むことが目的で、ダウンロード、購入、入手、娯楽、サイトやアプリの操作が含まれます。Websiteの検索は特定のサイトやページを探すもので、Visit-in-personの検索は実際に訪れる場所を探すものです。
| 検索の意図 | 検索する人の状態 | ブログでの扱い |
|---|---|---|
| Know(知りたい) | 情報を探している、トピックを調べている | 解説、比較、手順の記事。ブログの記事の筆者の見るかぎり、多くはここに当たる |
| Do(実行したい) | ダウンロードや購入、申し込みなどをしたい | 手順の記事の末尾に、申し込み先や資料への案内を置く |
| Website(サイトを探す) | 特定のサイトやページに行きたい | 社名やサービス名で検索した人。手順4で、ほかの検索と分けて見る |
| Visit-in-person(訪れたい) | 店舗や施設など、訪れる場所を探している | 来店型の事業なら、所在地や営業時間の記事を用意する |
このガイドラインは評価者向けの手引きで、ブログの書き方を説明した資料ではありません。ここでは、検索する人の目的を整理する枠として借りています。
予測しきれない言い回しは、無理に全部拾わない
同じスターターガイドは、すべての検索方法を予測する必要はないとも述べています。理由として「Google の高度な言語マッチング システムは、ページとさまざまな検索語句との関連性を把握できる」ことを挙げ、ページにそのとおりの語句を明示的に使う必要はないとしています。
検索語の候補は、網羅を目指さず、ターゲット文の困りごとに近いものから並べれば足ります。
検索語の候補を書き出す
ターゲット文を読み返し、その人が打ち込みそうな言葉を、悩みの言葉と解決策の言葉に分けて書き出します。見本なら、悩みの言葉は「ブログ 何を書けばいい」、解決策の言葉は「ブログ 事例 書き方」のような形です。
候補ができたら、実際に検索して、上位に出るページがターゲットの困りごとに答えているかを確かめます。上位のページが、想定した人とは別の立場の人に向けて書かれているときは、検索語と狙いのどちらかを見直します。
ターゲット文と検索語が決まると、テーマの候補が作れます。筆者は、検索語の候補ごとに1本の記事を当て、そのままテーマの一覧にしています。ネタが尽きたときの考え方は、ブログのネタ切れを解消する記事にまとめています。
手順4-1:Search Consoleで、想定した読者との違いを確かめる
見る画面と、最初の設定
Search Consoleの「検索パフォーマンス」レポートは、既定では過去3か月のデータを表示します。指標は、クリック数、インプレッション数(表示回数)、CTR(クリック率)、平均掲載順位の4つです。切り分けの項目(ディメンション)には、クエリ、ページ、国、デバイス、検索での見え方、日付があります。
この一覧には、年齢や性別を切り分ける項目がありません。年齢層はGA4で見ます。
クエリで見る:想定した検索語が出ているか
Googleは、クエリのディメンションの使い方を「クエリ ディメンションを使用して、想定されるクエリと想定外のクエリを探したり、表示回数が多くクリック率が低いクエリを探して、ページのタイトルと説明を改善する機会を見つけることができます。」と説明しています。
手順3で作った検索語の候補を手元に置き、記事ごとにクエリを見ます。想定した検索語が出ていれば、ターゲット文と検索の実態が合っています。想定外のクエリが上位に並ぶときは、読者が別の目的で来ている可能性があります。
ブランドクエリを分けて見る
社名やサービス名で検索した人は、すでに自社を知っています。ブログのターゲットを確かめたいときは、この人たちを分けて見ます。
Search Consoleには、ブランドクエリと非ブランドクエリのフィルタがあります。表示回数が少ないサイトでは使えません。2025年3月に導入され、16か月分のデータ履歴が提供されます。分類は情報提供が目的で、一部の検索語句が誤って識別されることがあると案内されています。
データの限界を先に知っておく
| 限界 | 公式の記載 | 対処 |
|---|---|---|
| 匿名化されたクエリ | プライバシー保護のため、一部のクエリは表から除外される。クエリフィルタを適用しない限り、グラフの合計には含まれる | 表のクエリを足しても、グラフの合計と一致しないことがある |
| 表の行数 | 表には1,000行までしか表示されない | ページなどで絞り込んで見る。一括データエクスポートを使う方法もある |
| 暫定データ | 最新のデータは暫定値の可能性があり、グラフ上は点線で表示される | 点線の部分では結論を出さない |
| 既定の期間 | 既定では過去3か月を表示する | ターゲットの確認は、複数月の傾向で行う |
毎月の見方の手順は、Search Consoleの月次チェックに書いています。
手順4-2:GA4で、来ている人と読まれ方を確かめる
ユーザー属性の概要で、年齢層と地域を見る
GA4では、「レポート」>「ユーザー コレクション」>「ユーザー属性」>「概要」に、国別、都市別、性別ごと、インタレストごと、年齢層ごと、言語ごとのアクティブ ユーザー数のカードが並びます。年齢層の区分は、18〜24歳、25〜34歳、35〜44歳、45〜54歳、55〜64歳、65歳以上です。
ターゲット文を年齢で書いていなくても、この区分は参考になります。たとえば企業の担当者向けに書いているのに、読者の年齢層や地域がお客様の傾向と大きく違えば、読まれ方が想定と違うと分かります。
ランディングページで、どの記事から入られているか
「レポート」>「エンゲージメント」>「ランディング ページ」では、ページごとに、セッションあたりの平均エンゲージメント時間、アクティブ ユーザー数、キーイベント、新規ユーザーを見られます。平均エンゲージメント時間は、ページが画面の前面に表示されていた時間の平均で、どれだけ読まれたかの目安になります。
ターゲットを想定して書いた記事の平均エンゲージメント時間が、ほかの記事より短いかどうかを見ます。短い場合は、記事の冒頭が読者の場面に合っていない可能性があります。これは筆者の読みです。
トラフィック獲得で、Google検索から来た人に絞る
「レポート」>「集客」>「トラフィック獲得」で、検索ボックスに「google / organic」と入れると、Google検索から来たセッションに絞れます。検索から来た人だけを見ると、ターゲット文と検索語の関係を確かめやすくなります。
データのしきい値と、アクセスが少ないときの見方
GA4には「データのしきい値」があります。ユーザー属性データなどから、個別のユーザーの身元や機密情報を推測できないようにするための仕組みで、データが除外されることがあります。
ヘルプには「データのしきい値はシステムによって定義されるため、ご自身で調整することはできません。」とあります。一方で、閲覧する期間が短くユーザー数が少ないときは、期間の指定を広げると、除外されていたデータが表示されることがあるとも書かれています。しきい値がかかっているときは、レポート上部のデータ品質のインジケーターにメッセージが出ます。
見たい疑問ごとの画面
| 見たい疑問 | 見る画面 | 読み方の注意 |
|---|---|---|
| どの検索語で来ているか | Search Console「検索パフォーマンス」のクエリ | 匿名化されたクエリは表に出ない |
| どの記事から入っているか | GA4「ランディング ページ」 | 読まれ方は平均エンゲージメント時間で見る |
| 来た人の年齢層や地域 | GA4「ユーザー属性」の概要 | しきい値でデータが出ないことがある。期間を広げる |
| Google検索から来た人だけを見る | GA4「トラフィック獲得」で「google / organic」 | ほかの流入元とは分けて読む |
| どの端末で読まれているか | GA4「ユーザーの環境」の概要 | ブラウザ、OS、デバイスカテゴリ別に見られる |
画面の見方を日常の確認に落とす手順は、GA4で最低限見る指標の記事にまとめています。
想定した読者と実際の読者のずれを、どう読んで直すか
ずれの型を表で見分ける
| ずれの型 | 見えるデータ | 次にすること |
|---|---|---|
| 想定外の検索語で来ている | Search Consoleのクエリに、手順3の候補が少ない | その検索語に合う記事を別に作る。複数の記事で同じずれが続くなら、ターゲット文を検索の実態に合わせて直す |
| 表示は多いがクリックが少ない | 表示回数が多く、CTRが低いクエリがある | 公式の方法にならい、ページのタイトルと説明を見直す |
| クリックはあるが読まれない | ランディングページの平均エンゲージメント時間が短い | 記事の冒頭を、読者の場面に合わせて書き直す |
| 想定した層が出てこない | GA4の年齢層や地域が、ターゲット文と違う | 手順1の記録に戻り、ターゲット文の前提を見直す |
| 問い合わせの内容が想定と違う | 問い合わせ文面の困りごとが、ターゲット文と別物 | 手順1に戻り、新しい記録を加えて共通点を取り直す |
直す順番:読者に近いところから
直すときは、読者に近いところから順に手を付けます。タイトルと説明文、記事の冒頭、記事の中身、手順3の検索語、最後にターゲット文の順です。ターゲット文はほかの記事すべての基準になるため、筆者は最後に動かしています。
ターゲット文を変えるかどうかの判断
1本の記事のデータだけでは、ターゲット文を変えません。同じずれが複数の記事に出たときに変えます。筆者は、Search Consoleの既定の表示期間に合わせて、3か月分の傾向を見てから判断しています。
データが少ないときは、結論を急がない
公開したばかりの記事は、表示回数もクリック数も少なく、クエリの表にほとんど行が並びません。この段階で「想定外の読者が来ている」と判断するのは早すぎます。傾向が見えるまで待ち、その間は手順1の記録を増やす作業に時間を使います。
お客様の記録とアクセスデータを扱うときの、個人情報の注意
統計にすれば、個人情報には当たらないと考えられる
個人情報保護委員会のQ&A(Q1-17)は、統計情報について「特定の個人との対応関係が排斥されている限りにおいては、『個人に関する情報』に該当するものではないため、『個人情報』にも該当しないと考えられます。」と答えています。Q2-5では、利用目的の特定は個人情報が対象であるため、個人情報に該当しない統計データは対象にならず、「統計データへの加工を行うこと自体を利用目的とする必要はありません」としています。
筆者の読みでは、Search ConsoleやGA4の画面に出る集計値は、この統計情報に近い性質のものです。ただし、個別の場合に個人情報に当たるかどうかは、事情によって変わります。
お客様の記録を分析に使うときは、利用目的を確かめる
個人情報保護法の第17条第1項は、個人情報取扱事業者に、利用目的をできる限り特定することを求めています。第18条第1項は、あらかじめ本人の同意を得ないで、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならないと定めています。個人情報を取得したときは、第21条第1項により、あらかじめ利用目的を公表している場合を除いて、速やかに本人へ通知するか公表する必要があります。条文は、2026年10月22日時点で現行のものを、e-Govの法令検索で確かめました。
お客様の問い合わせ文面を、氏名や連絡先と結びついたまま分析に使うなら、取得したときに伝えた利用目的の範囲に収まるかを確認します。範囲に入るか迷うときは、氏名や連絡先を外して集計し、共通点だけを残す形で使います。これは筆者の実務上の判断です。
利用目的の書き方:広すぎる例と、具体的な例
個人情報保護委員会の通則編ガイドライン(令和8年6月一部改正)は、利用目的の特定が足りない例として「事業活動に用いるため」「マーケティング活動に用いるため」を挙げています。特定できている例には「取得した閲覧履歴や購買履歴等の情報を分析して、趣味・嗜好に応じた新商品・サービスに関する広告のために利用いたします。」があります。
さらに、本人から得た情報から行動や関心を分析する場合は、どのような取り扱いが行われているかを本人が予測できる程度に利用目的を特定するよう求めています。自社のプライバシーポリシーが「マーケティング活動に用いるため」の1行で終わっていないか、点検してください。
| 作業 | 関係する定め | 気をつけること |
|---|---|---|
| お客様の記録から共通点を拾う | 個人情報保護法 第17条・第18条 | 取得時の利用目的の範囲内か確認する。個人が分かる形では残さない |
| Search ConsoleやGA4の集計値を見る | 個人情報保護委員会 Q&A Q1-17 | 特定の個人との対応関係がない統計情報は、個人情報に当たらないと考えられる |
| 利用目的を決めて公表する | 第17条・第21条、通則編3-1-1 | 「マーケティング活動に用いるため」は特定が足りない例とされる |
| 分析を外部に任せる | 個人情報保護委員会 Q&A Q7-38 | 委託先が取り扱えるのは、委託された範囲内に限られる |
この表は法律の助言ではありません。個別の判断は、個人情報保護委員会の相談窓口や専門家に確認してください。
絞りすぎと広げすぎの、ちょうどよい幅
広げすぎたときに起きること
ターゲット文が広いと、どの会社のブログにも当てはまる文章になります。別の会社の記事にそのまま移せる文は、読者にとって読む理由がありません。手順1の記録にある具体的な場面が、文の中に残っているかを確認します。
絞りすぎたときに起きること
絞りすぎると、検索される言葉が少なくなり、書けるテーマが早く尽きます。1件のお客様の特殊な事情をそのままターゲット文にした場合も、この状態になります。
幅の判断は、検索語の候補で確かめる
手順3で、検索語の候補が書き出せるかどうかで、幅を確かめます。筆者の目安では、ひとつも書けなければ絞りすぎ、整理できないほど出てくれば広げすぎです。
| 状態 | 見える兆候 | 直し方 |
|---|---|---|
| 広げすぎ | どの会社の記事にも移せる文になる。検索語の候補が多すぎて整理できない | 手順1の記録から、具体的な場面を足す |
| ちょうどよい | テーマの候補と検索語が、無理なく書き出せる | そのまま運用し、手順4で確かめる |
| 絞りすぎ | 検索語の候補が書けない。テーマがすぐ尽きる | 共通点が複数のお客様に当てはまるところまで戻す |
ターゲットを見直す時期と、見直すときの材料
見直しの合図
見直す合図は、次のような変化です。新しいサービスや商品を始めたとき、お客様の層が変わったとき、Search Consoleのクエリの傾向が変わったとき、担当者が替わったときです。
見直しの頻度
筆者は3か月ごとに、ターゲット文と実際の読者を見比べることを勧めます。「ターゲット文を変えるかどうかの判断」で見る3か月分の傾向と、同じ長さにそろえた提案で、公式の推奨とは別のものです。
見直した履歴を残す
ターゲット文を変えたら、変えた日付と理由を残します。後から担当者が替わっても、なぜその文になっているかが分かります。
よくある質問
ターゲットとペルソナは、どちらを先に決めますか。
ターゲットを先に決めます。ペルソナは、ターゲット文を1人の人物像に具体化したものなので、ターゲット文の後に作ります。書き手が1人なら、ペルソナまで作らなくても進められます。
お客様の記録がまだ少ない場合は、どう決めますか。
見込み客から受けた質問、営業先で聞かれたこと、自分が過去に同じ立場で困った経験を材料にします。想像で補った部分には印を付け、公開後にSearch Consoleのクエリで確かめます。
ターゲットは複数にしてよいですか。
筆者は、1本の記事に1つのターゲット文を当てています。ブログ全体では、お客様の層が複数あれば、ターゲット文も複数持てます。記事ごとに、どのターゲット文に向けたかを記録しておくと、手順4で見比べやすくなります。
アクセスが少なく、GA4に属性が出ません。どう確かめますか。
GA4のデータのしきい値で、属性データが除外されている可能性があります。期間の指定を広げると表示されることがあります。それでも出ないときは、Search Consoleのクエリとページを見て、検索語から読者の目的を読み取ります。
すでに書いた記事は、ターゲット文を決めてからどうしますか。
記事を1本ずつターゲット文に照らし、合っている、直せば合う、合わない、の3つに分けます。合わない記事は、すぐに消さず、Search Consoleで表示やクリックがあるかを確かめてから扱いを決めます。
まとめ
ブログのターゲットは、お客様の記録から困りごとを集め、1文のターゲット文にし、検索語に直し、データで確かめるという4つの手順で決めます。ターゲット文は仮説なので、Search ConsoleとGA4で想定した読者と実際の読者を見比べ、ずれがあれば直します。
小規模企業白書2024が示すのは、顧客ターゲットを明確にしている事業者に、売上の見通しが高い傾向が見られたことまでです。因果や効果の保証は示していません。Googleの公式ガイドも、自己評価の質問の中で、想定するユーザー層がいるかを問いかけています。
お客様の記録を使うときは、利用目的の範囲を確かめ、集計した形で扱ってください。迷ったら、直近の問い合わせを10件、1行ずつ書き出すところから始めてください。記録が少ないときは、冒頭の表で自分に近い行から始めます。
今日できる点検
| 点検すること | 確かめる内容 | 当てはまったときの次の作業 |
|---|---|---|
| 直近の問い合わせを10件、1行ずつ書き出す | 同じ困りごとや場面が重なっているか | 重なった言葉を使って、ターゲット文を1文で書く |
| ターゲット文を読み返す | 立場・場面・困りごとが入っているか | 欠けた要素を、お客様の記録から足す |
| Search Consoleで直近3か月のクエリを開く | 手順3で作った検索語が出ているか | 出ていなければ、記事のタイトルと冒頭を見直す |
| GA4でランディング ページを開く | 平均エンゲージメント時間がほかの記事と比べて短い記事があるか | その記事の冒頭を、読者の場面に合わせて書き直す |
| プライバシーポリシーの利用目的を読む | 「マーケティング活動に用いるため」のような広い書き方か | 何のためにどの情報を使うかを具体的に書き直す |
| ターゲット文に日付を付けて共有する | 社内の全員が同じ文を見ているか | 共有の場所に保存し、変更の理由も残す |
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