問い合わせを増やしたい、という相談を受けるとき、経営者やウェブ担当者は「もっと人を集めたい」という話から入ります。広告を出す、記事を増やす、SNSを回す。入口を広げれば問い合わせも比例して増えるはずだ、という前提です。ところが実際にアクセス解析を一緒に開いてみると、人はすでに来ているのに、来た人のほとんどが問い合わせをせずに帰っている、という状態がとても多い。集める前に、いま来ている人をどこで取りこぼしているかを数えていないのです。
この記事は、問い合わせの母数を増やす作業に入る前に、今のサイトがどこで見込み客を落としているかを1つずつ数える手順をまとめたものです。アクセスを増やす施策は最後に回します。理由は単純で、取りこぼす割合が同じままで母数だけ増やしても、増えた分もまた同じ割合で漏れていくからです。バケツに穴が空いたまま水を足しても水位は上がりにくい。まず穴の位置を数え、ふさげるところからふさぐ。読み終えたとき、自社サイトのどこを最初に直すかが1つ決まっている状態を目指します。
問い合わせを増やす前に「今いくつ取りこぼしているか」を数える
「増やす」には2つの意味がある
「増やす」という言葉には、実は2つの意味が混ざっています。1つは、サイトに来る人そのものを増やすこと。もう1つは、来た人のうち問い合わせに至る割合を上げることです。相談の現場でこの2つを分けずに話が進むと、集客の話ばかりが膨らんで、来た人を取りこぼしている事実が最後まで見えないまま終わります。まずこの2つを、頭の中で別々の作業として置いてください。
取りこぼしから先に手をつける理由
取りこぼしから手をつける理由は、費用と時間の順番にあります。人を集める施策は、広告にせよ記事にせよ、効果が出るまでに費用と月単位の時間がかかります。いっぽう取りこぼしを減らす作業は、多くが今あるページの中の修正で済み、来週にも着手できます。同じ1件の問い合わせを増やすのに、安く早いほうから先に取りかかる。これが順番の基本です。ある製造業のサイトでは、フォームに到達した人の言葉として「入力の途中で必須項目が多くて、途中でやめた」という声が実際に届いていました。集客に頼らずとも、到達後の一手で拾えたはずの1件です。
取りこぼしを数えるとは、感覚で「なんとなく問い合わせが少ない」と言うのをやめて、どの段階で何割の人が消えているかを数字で押さえることです。次の表は、問い合わせに至るまでの段階と、それぞれで起きがちな取りこぼし、そして最初の一手を並べたものです。自社がどの段階でいちばん多く落としているかを当てはめながら読んでください。
| 読者が当てはめる分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 入口の取りこぼし | 検索やSNSから来ても、そのページで用が済んで帰る | 入口ページごとに次の一歩を1つ置く |
| 導線の取りこぼし | 問い合わせページの場所が分からず離脱する | 全ページから2クリック以内に問い合わせを置く |
| フォームの取りこぼし | 入力の途中で項目の多さに手が止まる | 必須項目を数え、名前と連絡先と用件まで削る |
| 信頼の取りこぼし | 送る直前で「本当に返事が来るのか」と迷う | 送信ボタンの近くに実績と返答の目安を置く |
この4つの段階のどこで落ちているかは、サイトによって違います。だからこそ、他社の成功事例をそのまま真似ず、まず自社の数字を段階ごとに切り分けることが先になります。切り分けの方法はこの記事の後半で具体的に扱います。
問い合わせが増えない本当の順番
4つの段階のどこで人が消えるか
問い合わせに至る道は、大きく4つの段階に分かれます。サイトに来る、中身を見る、問い合わせフォームまでたどり着く、送信する。この4つのうち、どこか1か所で大きく人が消えていると、その先の段階をいくら磨いても全体の数は増えません。増やす作業は、いちばん多く漏れている段階から始めるのが鉄則です。
割合の掛け算を見落とさない
ここで大半の人がつまずくのは、割合の掛け算を見落とすことです。仮に100人が来て、そのうち10人がフォームに到達し、その10人のうち2人が送信するとします。このとき問い合わせは2件です。母数を200人に倍増させても、途中の割合が同じなら、送信は4人にしかなりません。手間をかけて集客を倍にしても、到達2割・送信2割のままなら、増える幅は限られる。逆に到達を2割から4割に上げれば、母数はそのままでも送信は倍になります。どちらが安く早いかは、ここまで読めばもう明らかです。
相談を受けた小売業の担当者は「アクセスは前年より伸びているのに、問い合わせだけ横ばいで理由が分からない」と話していました。数を切り分けると、フォーム到達までは同じ割合で増えていて、送信の段階だけが伸びていませんでした。原因は、送信ボタンの直前に置かれた長い同意文で読み手が止まっていたことです。集客を頑張るほど、この最後の段階で取りこぼす実数は増えていた。順番を間違えると、努力が漏れを太らせる方向に働きます。
| 読者が当てはめる分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 来る(アクセス) | 検索や広告で人は来ているが直帰が多い | 入口ページと検索語のずれを確かめる |
| 見る(閲覧) | 1ページだけ見て他を回遊せず帰る | 読み終わりに次のページへの誘導を置く |
| 到達(フォーム表示) | 問い合わせページまで来る人が少ない | 本文の途中にも問い合わせの入口を差す |
| 送信(完了) | フォームは開くが送信されず離脱する | 項目数と送信直前の不安要素を減らす |
この表の4段階それぞれで、来た人の何割が次に進んでいるかを1度数えてみてください。数えると、たいていは自分が思っていた段階とは違うところで人が消えています。感覚で当てた原因と、数字が示す原因がずれるのは珍しくありません。数える価値はそこにあります。
取りこぼしの棚卸し(1)入口はどこか
棚卸しの最初は入口です。人がどのページから入ってきているかを見ないまま導線を直しても、直した場所に人が来ていなければ効果はありません。総務省が公表した通信利用動向調査によると、企業のホームページ開設率はおおむね9割に達しています。つまりサイトを持っていること自体は差になりません。差になるのは、来た人をどの入口で受け止め、次にどこへ渡すかの設計です。
トップページに来る人と記事に来る人は目的が違う
会社名で検索してトップページに来る人は、すでに自社を知っていて、連絡先や実績を確かめに来ています。いっぽう課題を検索して記事に来る人は、自社をまだ知らず、悩みの答えを探しに来ています。この2種類の来訪者に、同じ「会社案内」を見せても噛み合いません。トップに来た人には迷わず問い合わせへ、記事に来た人にはまず読み進めてもらい、その流れの中で自社を知ってもらう。入口ごとに用意する次の一手が変わります。
ある建設業のサイトでは、施工事例のページに検索から相当数の人が来ていたのに、そのページに問い合わせへの導線が1つもありませんでした。事例を見て「この会社に頼みたい」と思った人が、次にどこを押せばいいか分からず、そのまま離れていた。いちばん温度が高い来訪者を、入口の設計だけで逃していたわけです。アクセス解析で入口ページの上位を並べれば、こうした「人は来ているのに出口が無いページ」がすぐ見つかります。
入口ページごとに次の一歩を1つ置く
入口の棚卸しでやることは、来訪の多い上位のページを10件ほど並べ、それぞれに「このページを見た人が次に押すもの」が置いてあるかを確かめる作業です。無ければ足す。事例ページには問い合わせへの案内を、記事には関連する記事や資料への案内を、料金に関わるページには相談への案内を置きます。1ページに1つ、そのページの読者にいちばん合う次の一歩だけを置くのがこつです。選択肢を並べすぎると、かえって手が止まります。
| 読者が当てはめる分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| トップページ入口 | 会社を知る人が来るが問い合わせが目立たない | 画面の上部に問い合わせの入口を固定する |
| 事例・実績ページ入口 | 温度の高い人が来るが次の出口が無い | 事例の末尾に問い合わせへの案内を置く |
| 記事・お役立ち入口 | 悩みを持つ人が来るが1ページで帰る | 関連記事と資料への案内で読み進めてもらう |
| サービス紹介入口 | 比較検討中の人が来るが決め手が無い | 選ぶ基準と相談への案内を並べて置く |
入口の棚卸しが終わると、「どのページを直せばいちばん大勢に届くか」が分かります。来訪の少ないページを丁寧に直しても、届く人は少ない。来訪の多い入口から順に手を入れるのが、時間を無駄にしない進め方です。
取りこぼしの棚卸し(2)次の一歩が見えているか
入口を整えたら、次は導線です。導線とは、あるページを見た人が問い合わせまで進む道のことです。ここでの取りこぼしは、道が見えないか、道の途中で迷うことで起きます。来訪者は、自分がいま何を押せば問い合わせにたどり着くのかを、探す手間なく分かる必要があります。
1画面に選択肢が多いと手が止まる
導線を良くしようとして、問い合わせ、資料請求、電話、メール、チャットと出口を並べる人がいます。選択肢を増やせば誰かの都合に合うだろう、という発想です。ところが選択肢が増えるほど、来訪者は「どれが自分に合うのか」を考える手間を負い、その手間の前で止まります。相談現場で聞いた言葉に「ボタンがいくつもあって、どれを押せば早いのか分からなかった」というものがありました。親切のつもりの選択肢が、迷いを生んでいた例です。
やることは引き算です。そのページの読者にとっていちばん自然な次の一歩を1つに決め、それを目立たせる。他の出口を消す必要はありませんが、主役を1つに絞って、残りは控えめに置きます。1画面の中で、いちばん押してほしいものが一目で分かる状態を作る。これだけで、迷って離れる人が目に見えて減ります。
問い合わせ以外の出口を数える
問い合わせという言葉は、来訪者にとって重い一歩です。まだ検討の初期にいる人は、いきなり営業に連絡するほどの気持ちにはなっていません。この段階の人に問い合わせだけを迫ると、まだ早いと感じて帰ります。ここで役に立つのが、より軽い出口を用意しておくことです。資料のダウンロード、事例集の閲覧、メールでの案内の受け取り。連絡先だけを残してもらい、こちらから追いかける道を作ります。
軽い出口は、問い合わせを減らすものではありません。今すぐ連絡するほどではない人の連絡先を先に受け取り、時間をかけて問い合わせへ育てるための入口です。相談を受けたある企業では、資料ダウンロードの窓口を1つ足しただけで、それまで数字に現れなかった検討初期の人の連絡先が月に十数件たまるようになりました。そのうちの一部が、数週間後に問い合わせへ変わっていきます。今すぐの1件だけを追わず、後から実る種も数えておく。
| 読者が当てはめる分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 出口が多すぎる画面 | 選択肢が並び来訪者が選べず止まる | 主役の出口を1つに絞り残りを控えめにする |
| 問い合わせしか出口が無い | 検討初期の人が重く感じて帰る | 資料や事例集など軽い出口を1つ足す |
| 本文の途中に入口が無い | 読み終える前に離れると出口に届かない | 本文の区切りにも問い合わせの入口を差す |
| 電話番号だけ載せている | 営業時間外や日中に動けない人を逃す | 時間に縛られないフォームを主にする |
導線の棚卸しでは、来訪の多い入口ページを開き、そこから問い合わせまで自分で押していってみるのが確実です。何回押せば着くか、途中で迷う場所はどこか。自分でやって迷うなら、初めて来た人はもっと迷います。
取りこぼしの棚卸し(3)フォームに到達してから送信まで
フォームは、問い合わせに至る最後の関門です。ここまで来た人は、すでに連絡する気持ちを持っています。それなのに送信されずに離れるとしたら、フォーム自体が壁になっています。到達した人のうち何割が送信を終えているかは、アクセス解析で数えられます。この割合が低いページは、集客を増やすより先に直す価値が高い場所です。
項目数と離脱の関係
フォームの項目が多いほど、入力の途中で手が止まる人が増えます。会社名、部署、役職、住所、電話、複数の選択肢、そして長い自由記入欄。作る側は情報を多く取りたくなりますが、来訪者にとっては入力の1つ1つが手間です。相談現場で届いた声に「入力を始めたら想像より項目が多くて、あとでやろうと思って閉じた」というものがありました。あとでやろう、はほとんどの場合戻ってきません。
最初のやり取りに本当に必要な項目だけまで削ってください。名前、連絡先、用件。この3つがあれば、返事を返して会話を始められます。残りの情報は、会話が始まってから聞けばよいものがほとんどです。項目を減らすと問い合わせの質が下がると心配する人がいますが、質を決めるのは項目の数ではありません。その後のやり取りで見極められます。まず送信してもらい、会話に入るほうが先です。
エラーで戻される回数
入力を終えて送信ボタンを押したのに、入力形式の誤りで赤い文字が出て戻される。この体験は、送る気持ちを一気に冷まします。電話番号にハイフンを入れると弾かれる、全角と半角の違いで弾かれる、といった細かい制約が、最後の1押しを奪っています。フォームは、多少表記が揺れても受け取れるように作るのが親切です。人は正確に入力する機械ではありません。
確かめ方は、自分のスマートフォンで実際に送信してみることです。指で打って、誤りが出るか、出たらどこで出るか、直しやすいか。パソコンの大きな画面では気づかない引っかかりが、小さな画面では山ほど出てきます。来訪者の多くがスマートフォンから来ている今、この確認を飛ばすと、いちばん多い経路の取りこぼしを見逃します。
| 読者が当てはめる分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 項目が多いフォーム | 入力の途中で手間を感じて閉じる | 名前と連絡先と用件の3つまで削る |
| 入力形式に厳しいフォーム | 表記の揺れで送信が弾かれ冷める | ハイフンや全角半角の違いを受け入れる |
| スマートフォンで崩れる | 小さな画面で押しにくく入力しづらい | 実機で送信し引っかかる場所を直す |
| 送信後の画面が無い | 送れたのか分からず不安が残る | 受け付けと返答の目安を伝える画面を出す |
フォームの棚卸しは、来た人がいちばん気持ちを固めた段階での取りこぼしを拾う作業です。ここで1件拾えることの重みは、入口で新しく1人集めるより大きい。もう連絡する気になっている人だからです。
取りこぼしの棚卸し(4)送信を決める最後の材料
フォームまで来た人が、送信ボタンの前で最後に確かめるのは、「この会社は信頼できるか」「送ったら本当に返事が来るのか」という点です。ここに材料が無いと、あと一歩で止まります。信頼の取りこぼしは、目に見えにくいぶん見落とされがちですが、送信の直前という最も惜しい場所で起きています。
実績が「送る直前」にあるか
実績や事例は、たいていのサイトで専用ページにまとめられています。ところが、問い合わせフォームまで来た人は、もう実績ページには戻りません。目の前の送信ボタンを押すかどうかを決めている最中だからです。この瞬間に効くのは、フォームのすぐ近くに置かれた短い実績です。取引先の数、対応してきた業種、これまでの件数。1行でよいので、送信ボタンの近くに信頼の根拠を置く。
お客様の声を載せるときは、必ず本人の許可を取ってください。許可の無い声を勝手に載せると、信頼を得るはずの材料が逆に問題になります。実名で出せないなら、業種と担当者という形で、事実だけを正確に書きます。相談を受けた企業で「導入した会社の声を送信ボタンの上に1つ置いたら、送信率が上向いた」という変化がありました。決め手は、まさに決める場所に材料があったことです。
誰が受け取るのかが見えているか
問い合わせをためらう人の中には、「送った内容がどう扱われるのか」「しつこく営業されないか」を気にしている人がいます。この不安に、フォームの近くで先に答えておきます。返答の目安の時間、受け取る担当、初回は相談だけで構わないこと。送る前に不安が消えていれば、最後の1押しは軽くなります。相談現場で「送ったあと、いつ返事が来るのか分からず不安だった」という声を何度も聞きました。伝えるべきは、送ったあとに何が起きるかです。
| 読者が当てはめる分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 実績が別ページだけ | 送信の直前に信頼の材料が目に入らない | フォーム付近に1行の実績を置く |
| お客様の声が無い | 他社に頼んだ人の様子が分からず迷う | 許可を取った声を送信ボタンの近くに置く |
| 返答の目安が無い | 送っても返事が来るか分からず止まる | 返答までの日数の目安を明記する |
| 送信後の不安が残る | 強い営業を警戒して連絡をためらう | 初回は相談だけで構わないと伝える |
信頼の棚卸しは、送信ボタンの周り1画面に、決め手の材料がそろっているかを見る作業です。実績も、声も、返答の約束も、決める場所に置いてはじめて効きます。良い材料を持っていても、置き場所が遠ければ無いのと同じです。
取りこぼしを数える道具
ここまでの4つの棚卸しは、感覚に頼らず数字で確かめてはじめて意味を持ちます。どこで人が消えているかを目で見るための道具は、すでに無料で使えるものがそろっています。難しい設定は要りません。見るべき数を絞れば、専門家でなくても取りこぼしの場所は分かります。
アクセス解析で見る3つの数
まず見るのは、入口ページごとの来訪数です。どのページに人が集まっているかが分かれば、直す優先順位が決まります。次に見るのは、問い合わせページに到達した人の数と、実際に送信を終えた人の数です。この2つの比を取れば、フォームで何割を取りこぼしているかが分かります。最後に、入口から問い合わせまでの経路を追える範囲で追い、どのページを経由して問い合わせに至っているかを見ます。この3つだけで、4つの段階のどこが弱いかの見当がつきます。
数を見るときの注意は、1日だけの数字で判断しないことです。曜日によって来訪の傾向は変わり、平日と休日では動きが違います。少なくとも数週間分をまとめて見て、傾向として何割が消えているかを押さえます。1日の上下に一喜一憂すると、直すべき場所を見誤ります。
録画とヒートマップで止まる場所を見る
数字はどこで消えたかを教えてくれますが、なぜ消えたかまでは教えてくれません。そこで役に立つのが、来訪者の画面の動きを記録する道具です。どこまで読んで、どこで止まって、どこで戻ったか。実際の動きを見ると、フォームのどの項目で手が止まったか、どのボタンが押されずに素通りされたかが分かります。数字が示した弱い段階を、動きで裏づける使い方です。
ヒートマップは、ページのどこがよく見られ、どこが押されているかを色で示します。押してほしいボタンが押されていない、逆に押せない場所が押されている、といったずれが色で分かります。相談現場では、押せないロゴ画像が何度も押されていた例がありました。来訪者はそこを入口だと思っていた。作り手の想定と来訪者の行動のずれは、こうした道具で初めて見えます。
| 読者が当てはめる分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 入口ページの来訪数 | どのページに人が集まるか把握していない | 来訪の多い上位10ページを書き出す |
| 到達と送信の比 | フォームでの取りこぼし割合が分からない | 到達数と送信数を数週間分で割り出す |
| 来訪者の画面の記録 | 止まる理由が数字だけでは見えない | 録画でフォームの離脱地点を確かめる |
| ヒートマップ | 押されている場所と想定がずれている | 押せない場所への誤クリックを直す |
道具は増やすほど良いものではありません。まずアクセス解析で弱い段階を絞り、その段階だけを録画やヒートマップで深く見る。この順で使えば、見るべき場所が散らばらずに済みます。
棚卸しが終わってから母数に手をつける
4つの棚卸しを終え、取りこぼしをふさぐ手を打ったら、いよいよ母数を増やす番です。ここで初めて集客に取りかかります。順番を守る理由は繰り返しになりますが、取りこぼしの割合を下げてから母数を増やすと、増えた分がそのまま問い合わせに乗るからです。穴をふさいでから水を足す。逆にすると、足した水の多くがまた漏れます。
まず割合を上げ、次に母数
割合を上げる作業には、費用がほとんどかかりません。今あるページの直しで済むからです。母数を増やす作業には、広告費や記事を作る時間がかかります。安くて早いほうを先にやり、効果を確かめてから、費用のかかるほうへ進む。この順にすると、集客に投じた費用の1円あたりが生む問い合わせの数が大きくなります。同じ予算でも、順番だけで結果が変わります。
割合が十分に上がったかどうかは、棚卸しで使った到達と送信の比で確かめられます。直す前と後で、この比がどれだけ動いたか。動いていれば、その施策は効いています。動いていなければ、直した場所が原因ではなかった、ということです。数字で確かめながら進めば、効いていない作業を続ける無駄を避けられます。
母数を増やす前に検索需要を確かめる
母数を増やすとき、記事を書いて検索から人を集める方法は費用を抑えやすい選択です。ただし、書く前に必ず確かめることがあります。その言葉を実際に検索している人がいるか、です。誰も検索していない言葉で上位に立っても、人は来ません。相談の現場でも、丁寧に書かれた記事が並んでいるのに問い合わせにつながらないサイトは、そもそも検索されない言葉で書かれていることが多い。集客の前に、需要の有無を数で確かめる。
検索需要は、キーワードを調べる道具で当たりをつけられます。月にどれくらい検索されているか、関連してどんな言葉が打たれているか。数の大きい言葉ほど競合も強くなりますが、まったく検索されない言葉に労力を注ぐより、需要のある言葉を選ぶほうが、書いた分だけ人に届きます。母数を増やす作業は、この確認から始めます。
| 読者が当てはめる分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 割合の改善 | 取りこぼしをふさぐ前に集客を始めている | 先に到達と送信の比を上げてから集客する |
| 費用の順番 | 費用のかかる集客から手をつけている | 今あるページの直しを先に済ませる |
| 検索需要の確認 | 検索されない言葉で記事を書いている | 書く前に検索数と関連語を確かめる |
| 効果の測定 | 直した効果を数で確かめていない | 施策の前後で比の変化を記録する |
母数を増やす作業は、棚卸しという土台の上に乗せてはじめて効きます。土台が無いまま集客だけを積むと、集めた人の多くが取りこぼされ、費用に見合った問い合わせが返ってきません。順番こそが、費用対効果を決めます。
会社の規模別につまずく場所が違う
取りこぼしの起きやすい場所は、会社の規模によって傾向が変わります。人手や体制の違いが、弱くなる段階を左右するからです。自社の規模に近い行を見て、まずどこを疑うかの当たりをつけてください。あくまで傾向であり、最終的には自社の数字で確かめます。
担当者が1人で兼任している小さな組織では、フォームや導線を直す時間が取れず、作った当初のまま放置されがちです。この場合、いちばん来訪の多い1ページだけに絞って手を入れるのが現実的です。全部を一度に直そうとすると、結局どれも進みません。1か所を直し、効果を確かめ、次へ進む。小さく回すことが、続けられる秘訣です。
ある程度の体制がある組織では、部門ごとに施策がばらばらに動いて、来訪者から見た道が途切れる取りこぼしが起きます。営業が求めるリードの質と、サイトが集める人がずれている場合もあります。ここでは、問い合わせに至る道を1本の線として引き直し、部門をまたいで数字を共有することが効きます。誰が見ても同じ数字を見ている状態を作る。
| 読者が当てはめる分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 担当者1人の小規模 | 直す時間が取れずフォームが古いまま | 来訪の多い1ページだけに絞って直す |
| 数人のチーム | 手は動くが優先順位が定まらない | 到達と送信の比が低い段階から着手する |
| 部門が分かれた組織 | 部門ごとに施策が割れ道が途切れる | 問い合わせまでの道を1本に引き直す |
| 営業と連携する組織 | 集める人と欲しいリードがずれている | 営業と数字を共有し入口の言葉を合わせる |
規模が違えば、限られた時間の使いどころも変わります。小さい組織は絞って深く、大きい組織はつなげて広く。自社の体制に合った進め方を選ぶと、無理なく続けられます。
一週間でできる取りこぼしの点検手順
棚卸しは、まとまった時間が無くても始められます。1日1つずつ、順番に見ていけば、一週間で自社の弱い段階が見えてきます。ここでは、月曜から始める前提で、日ごとにやることを並べます。全部を完璧にやろうとせず、その日の分だけを終える。積み重ねると、週の終わりには直す場所が決まっています。
最初の数日は数える作業に充てます。入口ページの来訪数、フォームの到達と送信の数。数えると、思っていた段階と違う場所で人が消えていることに気づきます。後半は、いちばん弱い段階を1つ選んで直す作業に充てます。全部を直そうとせず、いちばん多く漏れている1か所に集中する。1週間で1か所直れば、翌週にはその効果を数字で確かめられます。
| 読者が当てはめる分類 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 1日目から2日目 | どのページに人が来るか見えていない | 入口の来訪数の上位10ページを書き出す |
| 3日目 | フォームでの取りこぼしが数字で出ていない | 到達数と送信数を数え比を出す |
| 4日目 | なぜ止まるかが数字だけでは分からない | 録画で離脱地点を1件ずつ確かめる |
| 5日目から7日目 | 弱い段階が分かっても直せていない | いちばん漏れる1か所を選んで直す |
この手順の狙いは、大がかりな改修に着手する前に、自分の手で自社の取りこぼしを1度数え切ることです。数え切ると、外部に相談するときも「どこが弱いか」を自分の言葉で説明できます。丸ごと任せず、弱点を押さえたうえで相談すれば、話が早く、費用も抑えられます。
よくある質問
アクセスは十分あるのに問い合わせが増えません。何から見ればよいですか。
アクセスがあるなら、問題は取りこぼしの段階にあります。まずフォームの到達数と送信数を数え、比を出してください。この比が低ければフォームか信頼の段階、フォームへの到達そのものが少なければ導線の段階が弱いという見当がつきます。数える前に施策を打つと、効かない場所を直してしまいます。数えてから、いちばん漏れている段階に手を入れてください。
問い合わせフォームの項目はどこまで減らしてよいですか。
最初のやり取りに必要なのは、名前と連絡先と用件の3つです。この3つがあれば返事を返して会話を始められます。役職や住所や予算といった情報は、会話が始まってから聞けば足ります。項目を減らすと質が下がると心配されますが、質はその後のやり取りで見極めるもので、入力項目の数で決まるものではありません。まず送信してもらうことを優先してください。
問い合わせ以外の出口を作ると、問い合わせが減りませんか。
減りません。資料のダウンロードのような軽い出口は、今すぐ連絡するほどではない人の連絡先を先に受け取る入口です。その人たちは、問い合わせをしないまま帰っていた層です。連絡先が残れば、時間をかけて問い合わせへ育てられます。今すぐの1件と、後から実る種を、両方数えてください。軽い出口は種を拾う仕組みです。
広告を出せば問い合わせは増えますか。
取りこぼしの割合が高いままだと、広告で集めた人の多くも同じ割合で漏れます。費用をかけて集めるほど、漏れる実数も増えます。先にフォームや導線の取りこぼしをふさぎ、来た人が問い合わせに至る割合を上げてから広告に進むと、同じ費用で返ってくる問い合わせが増えます。順番を守るだけで、広告の費用対効果が変わります。
専門知識が無くても取りこぼしは数えられますか。
数えられます。無料のアクセス解析で、入口ページの来訪数、フォームの到達数と送信数を見るところから始められます。この3つの数だけで、4つの段階のどこが弱いかの見当がつきます。難しい分析は要りません。数週間分をまとめて見て、傾向として何割が消えているかを押さえる。ここまでは、担当者が1人でも進められます。
まとめ
問い合わせを増やす作業は、人を集めることから始めたくなります。ところが実際には、来た人をどの段階で取りこぼしているかを数えるほうが先です。入口、導線、フォーム、信頼。この4つの段階のどこで人が消えているかを数字で押さえ、いちばん多く漏れている1か所からふさいでいく。割合を上げてから母数を増やせば、増えた分がそのまま問い合わせに乗ります。
今日できるのは、アクセス解析を開いて、入口ページの来訪数とフォームの到達数と送信数を書き出すことです。それだけで、自分が思っていた段階と違うところで人が消えている事実が見えてきます。下の表を使って、その日のうちに1か所、直す場所を決めてください。大がかりな改修の前に、自分の手で取りこぼしを数え切ることが、いちばん安くて早い一歩です。
| その日に見る分類 | いま起きていること | その日にすること |
|---|---|---|
| 入口の来訪数 | どのページに人が集まるか把握していない | 来訪の多い上位10ページを書き出す |
| フォームの到達と送信 | 取りこぼしの割合が数字で見えていない | 到達数と送信数を数え比を出す |
| 導線の分かりやすさ | 次に押すものが探さないと見つからない | 入口から問い合わせまで自分で押して確かめる |
| 送信直前の材料 | 実績や返答の目安が決める場所に無い | フォーム付近に実績を1行と返答の目安を置く |
| 直す1か所の決定 | 全部を一度に直そうとして進まない | いちばん漏れる段階を1つ選んで着手する |
自社のマーケティング課題を根本から解決しませんか?
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