SEO対策の費用を調べると、相場の表が出てきます。月額いくらから、記事1本あたりいくら、初期費用いくら。数字は並んでいるのですが、それを見ても判断できないことがあります。
自社の場合、その金額を払う価値があるのかどうか。相場の表は、そこを教えてくれません。
合同会社謙虚は、ウェブサイトから要素を引き算して、訪れた人が迷わず次の一歩へ進む形へ組み直す仕事をしています。自社でも3つのドメインを並行して運用し、何を変えると数字が動くかを測り続けています。
この記事では、金額の表を出しません。代わりに、その金額が何で決まっているのかと、見積もりを受け取ったときに確かめる項目をお伝えします。
金額の表を出さない理由
先に、この記事の立場を書いておきます。
SEO対策の費用は、依頼先によって大きく開きます。同じ作業内容でも数倍の差がつきますし、同じ金額でも作業内容がまったく違います。相場の数字を見ても、目の前の見積もりが高いのか安いのか判断できません。
判断できるようになるのは、その金額に何が含まれているかが分かったときです。だから、そこを書きます。
費用は、3つの作業のどれにいくら使うかで決まります
SEO対策と呼ばれているものは、3つに分かれます。
| 作業 | 中身 | 費用の性質 | 効きはじめ |
|---|---|---|---|
| コンテンツ対策 | 需要のある言葉でページを作る | 作った本数に比例する | 2〜6か月 |
| 内部対策 | サイトの構造と記述を整える | 一度で終わる部分が多い | 数週間〜2か月 |
| 外部対策 | 他のサイトから紹介される | 買ってはいけない | 数か月〜 |
見積もりを受け取ったら、まず金額がこの3つのどこに配分されているかを聞いてください。ここが分かれば、判断の半分は終わります。
3行目に費用が入っている見積もりは、避けてください
外部対策として、リンクの購入が含まれていることがあります。リンクを買う、相互にリンクを貼り合う、無関係なサイトから大量に集める。この種の形は、評価されないか、逆に不利に働きます。
「被リンク◯本」という項目が見積もりにあったら、どこから、どういう方法で獲得するのかを聞いてください。明確な答えが返ってこない場合は、購入である可能性があります。
2行目だけの見積もりも、注意が必要です
内部対策は、作業がはっきりしていて終わりが見えるので、見積もりを作りやすい部分です。だから、ここだけで構成された提案が出てきやすくなります。
ところが、内部対策はすでにあるページの評価を正しく伝えるための作業です。伝えるべきページが無い状態でやっても、効果が出ません。
金額を左右する要素は、5つです
同じ「記事を作る」でも、何が含まれるかで工数が変わります。
| 要素 | 含まれている場合 | 含まれていない場合 |
|---|---|---|
| 狙う言葉を決める作業 | 需要を確かめてから書く | 渡された言葉で書くだけ |
| 取材や社内への聞き取り | 他社が書けない内容が入る | 一般論になる |
| 公開の作業 | そのまま公開まで進む | 自社で公開する |
| 公開後の数字の確認 | 効いたかどうかが分かる | 出しっぱなしになる |
| 直しの回数 | 納得するまで直る | 初稿で確定 |
1行目が、いちばん金額に効いて、いちばん結果に効きます。そして、いちばん省かれやすい部分でもあります。
1行目が省かれると、何が起きるか
自社は3つのドメインを検証のために並行して運用しています。書いているのは同じ人間で、記事の作り方も公開の頻度も同じです。変えているのは、狙う言葉の選び方だけです。
| 直近28日の実測 | 言いたいことから選んだ側 | 検索されている言葉から選んだ側 |
|---|---|---|
| 公開している記事 | 450本 | 653本 |
| 10位以内に入った記事 | 43本 | 157本 |
| 10位以内1本あたりの表示回数 | 2.0回 | 46.2回 |
| 10位以内のクリック率 | 4.7% | 正常な範囲 |
23倍の差が出ました。順位はどちらも取れていて、クリック率もどちらも正常です。違ったのは、その順位が何回画面に出たかだけでした。
言いたいことから選んだ側は、1位を取っていても月に2回しか表示されていませんでした。同じ費用をかけて、この差が出ます。
この確認にかかる時間は、1語あたり10秒です
狙う言葉を検索窓に打ち込んで、下に出る候補の数を見るだけです。
| 候補の数 | 意味 | どうするか |
|---|---|---|
| 0件 | 誰も打っていない | その言葉では書かない |
| 1〜2件 | 実在するが末端 | 単独の記事にせず、別の記事の見出しで拾う |
| 3件以上 | 下に広がりがある | ここを狙う |
10秒で終わる作業です。それでも、含まれていない見積もりが多くあります。依頼する前に、必ず聞いてください。
見積もりを受け取ったら、5つ聞いてください
金額の妥当性は、この5つで判断できます。
1つ目:狙う言葉を、どう決めますか
ここで「御社の事業内容に合わせて選定します」としか返ってこない場合、その言葉に検索需要があるかを確かめる工程が入っていません。
聞き方を変えると、答えが引き出せます。「選定した言葉について、検索需要をどう確かめているか教えてください」。方法が具体的に返ってくるかどうかを見てください。
2つ目:何をもって成果とみなしますか
順位だけを成果にしている場合、注意が必要です。順位が上がっているのに問い合わせが増えない状態に、気づけません。
報告に、次の3つが含まれるかを確かめてください。
- 社名以外の言葉で表示された回数
- 10位以内の記事1本あたりの表示回数
- 問い合わせページへ到達した数
2つ目が、いちばん重要です。ここが月10回に届いていないなら、順位を上げる作業をいくら続けても結果は変わりません。
3つ目:誰が書きますか
自社の事業内容を知らない人が書くと、どの会社のサイトにも書いてある内容になります。
聞くのは、取材や聞き取りが工程に入っているかどうかです。入っていない場合、金額は下がりますが、他社が書けない内容も入りません。
どちらを選ぶかは、目的によります。ただし、入っていないことを知らずに契約すると、後で「一般論しか書いてない」となります。
4つ目:期間はどのくらいを想定していますか
公開した記事が検索結果に安定して出るまで、早くて2か月、遅いと半年です。ここを短くする方法はありません。
3か月で成果を約束する提案があれば、何をもって成果とするのかを確かめてください。順位のことなのか、表示回数のことなのか、問い合わせのことなのかで、意味がまったく違います。
5つ目:やめるときは、どうなりますか
これを聞いていない会社が多くあります。
確かめるのは、作った記事が自社のものとして残るかどうかです。契約が終わった後も、そのページが残って人を連れてくるのかどうか。
ここが曖昧な契約だと、やめた月に流入が消えることがあります。あわせて、記事の著作権と、掲載しているドメインを確かめてください。
契約前に、書面で確かめる7項目
口頭で確認しただけだと、後から食い違います。次の7つは、書面に残してください。
| 項目 | 確かめること | 抜けていると |
|---|---|---|
| 成果物の所有 | 記事の著作権が自社に移るか | 解約時に使えなくなる |
| 掲載する場所 | 自社ドメイン内か | 解約でページが消える |
| 納品の単位 | 本数か、月額か、成果か | 数え方でもめる |
| 修正の回数 | 何回まで無償か | 直すたびに追加費用 |
| 報告の中身 | 順位だけか、表示回数まで見るか | 効いたか分からない |
| 解約の予告期間 | 何か月前か | やめたい月にやめられない |
| 担当者の交代 | 交代時に引き継ぐ内容 | ゼロから説明し直しになる |
1行目と2行目は、必ず確かめてください。この2つが曖昧だと、乗り換えた時点でそれまでの投資が消えます。
7行目を書いている契約は、ほとんどありません
担当者が代わると、自社の事業内容を最初から説明し直すことになります。そして、なぜその言葉を狙っているのかという判断の理由が、引き継がれません。
防ぐ方法は簡単です。狙っている言葉の一覧と、それを選んだ理由を、自社側でも持っておいてください。依頼先の担当者の頭の中だけに置かないことです。
広告と比べるときの、費用の性格の違い
予算をどちらに配分するかで迷う場面です。金額の大小ではなく、性格が違います。
| 検索からの記事 | 検索連動の広告 | |
|---|---|---|
| 効きはじめ | 2〜6か月 | その日から |
| 止めたとき | すぐには減らない | その月に0へ戻る |
| 費用の性質 | 作った分が残る | 使い切り |
| 単価の推移 | 時間とともに下がる | 競合が増えると上がる |
| 向いている場面 | 来年の集客を作る | 今月の数が要る |
4行目が、長く見たときに効いてきます。記事は増えるほど1件あたりの負担が下がりますが、広告は競合が増えると上がります。
広告を、記事の下調べに使えます
あまり書かれていない使い方です。広告を少額で回すと、その言葉で実際に人が来るか、来た人が問い合わせるかが数日で分かります。
記事は結果が出るまで数か月かかります。その数か月を費やす前に確かめておくと、外れたときの損失が小さくなります。
順番としては、広告で当たりが出た言葉から記事を作る。この形だと、時間のかかる作業を確度の高い言葉に使えます。
業種によって、必要な量が変わります
同じ金額でも、業種によって必要な本数が違います。理由は、狙う言葉の数が違うためです。
| 業種 | 狙う言葉の数 | 費用の目安になる考え方 |
|---|---|---|
| 地域密着(店舗・工務店・クリニック) | 少ない | 地域×サービスの組み合わせの数 |
| 士業・コンサルティング | 中 | 相談の類型の数 |
| 製造業・法人向け | 中 | 用途と加工条件の組み合わせ |
| 通販・小売 | 多い | 商品カテゴリの数 |
| 不動産 | 多い | 町名・学区の数 |
上の2つは、狙う言葉が10〜30個に収まることが多くなります。この場合、月に2本のペースでも1年で足ります。大量の記事を提案されたら、なぜその本数が要るのかを聞いてください。
下の2つは、数が必要になります。ただし、数が必要なことと、中身が薄くてよいことは別です。町名だけを入れ替えたページを量産する形は、キーワードの詰め込みに当たります。
本数で契約するときの注意
「月◯本」という契約は分かりやすいのですが、落とし穴があります。本数を満たすことが目的になると、需要の無い言葉でも書かれます。
自社では、1つの領域に105本の記事が散らばっていた時期がありました。90日間の表示回数は、105本の合計で65回です。1本あたり0.6回でした。
本数で契約する場合は、「需要が確認できた言葉が足りない月は、本数を減らして構わない」という一文を入れてください。これがあるだけで、無理に書かれることがなくなります。
自分でやる場合、費用ではなく時間がかかります
外注しない選択もあります。その場合の負担を、正直に書きます。
| 作業 | 1回あたりの目安 | 頻度 |
|---|---|---|
| 狙う言葉を確かめる | 1語10秒 | 書く前に毎回 |
| 記事を1本書く | 5〜10時間 | 月に2本 |
| 数字を確認する | 30分 | 月に1回 |
| タイトルと説明文を直す | 1本20分 | 月に2〜3本 |
月に2本のペースで、20時間ほどです。この20時間を1年続けられるかどうかが、判断の分かれ目になります。
止まる原因は、忙しさではありません
自分でやると決めた会社の多くが、3か月で止まります。原因は、書く題材が尽きることです。
最初の数本は書けます。よく聞かれる質問、事業への思い、サービスの説明。ここまでで在庫が尽きて、次の題材が思いつかなくなります。
始める前に、現場でよく聞かれる質問を20個書き出しておいてください。10か月分の題材が先にあれば、何を書くかで迷いません。この作業に調査は要りません。
分けて頼むこともできます
| 社内でやること | 外に出せること |
|---|---|
| 誰に何を売っているかを言葉にする | 検索需要を確かめる作業 |
| よく聞かれる質問と、それへの答え | 決まった言葉で毎週書き続ける作業 |
| 実務での判断の分かれ目 | 公開の作業と、数字の確認 |
右の列の2番目が、いちばん外に出す価値があります。毎週1本を1年続けるのは、本業を持っている人には現実的ではありません。
費用対効果を、どう計算するか
払う金額が妥当かどうかは、この計算で決まります。
1件の受注から逆算します
自社の1件あたりの受注金額と、問い合わせから受注になる割合が分かれば、必要な問い合わせの件数が出ます。
そして、検索から来た人のうち何割が問い合わせるかを掛けると、必要なアクセス数が出ます。この数字と、いまのアクセス数の差が、埋めるべき量です。
ここまで出せば、月額の費用が何か月で回収できるかが計算できます。相場の表を見るより、この計算のほうが判断に使えます。
ただし、前提が1つあります
この計算が成り立つのは、いまの問い合わせから受注になる割合を、実際に数えている場合だけです。
数えていない状態で計算すると、都合のいい数字を置いてしまいます。先に、先月の問い合わせ件数と受注件数を数えてください。1時間かかりません。
止めた後も残る、という性質を計算に入れてください
検索から人が来る仕組みは、費用を止めた月に0へ戻りません。作った記事は残り、しばらくは人を連れてきます。
広告と比べるときに、ここが抜けやすくなります。広告は止めた月に0へ戻ります。同じ金額でも、残るものが違います。
安い見積もりで、何が省かれているか
金額に開きがある理由を、具体的に書きます。
| 省かれやすい工程 | 省くと何が起きるか |
|---|---|
| 検索需要の確認 | 誰も打っていない言葉の記事が積み上がる |
| 自社サイト内の重複確認 | 似た記事が増えて、自社同士で競合する |
| 取材・聞き取り | どこにでもある一般論になる |
| 出典の確認 | 実在しない資料が引かれることがある |
| 公開後の数字の確認 | 効いたかどうかが分からない |
4行目について、補足します。AI検索向けに文章を整える提案が増えていますが、その中に実在しない出典が混ざることがあります。
2024年に発表された論文で、生成AIの回答に引用されやすくなる書き方が測られています。出典を明記すると27.5%上がる、という結果です。
ただし、実験に使われたプログラムを読むと、実在しない情報源を作ってよいという指示が含まれていました。つまりあの数値は、本物の出典を付けた場合ではなく、出典らしきものが付いている場合の効果です。
実在しない出典が入ったページは、読んだ人が1つ確かめた時点で信用を失います。中小企業にとって、失った信用を取り戻すコストは、順位1つの価値をはるかに超えます。
2行目も、見落とされます
自社では、1つの領域に105本の記事が散らばっていた時期がありました。90日間の表示回数は、105本の合計で65回です。1本あたり0.6回でした。
本数が足りなかったのではなく、105本が票を割り合っていました。本数で契約すると、この状態が起きやすくなります。
費用をかけずに、先にできること
依頼を検討している段階で、無料でできることがあります。やっておくと、見積もりの精度が上がります。
| やること | 時間 | 分かること |
|---|---|---|
| 検索の管理ツールを登録する | 15分 | いまどの言葉で表示されているか |
| 社名以外で表示された回数を数える | 10分 | 入口が詰まっているかどうか |
| 先月の問い合わせ件数と受注件数を数える | 30分 | 費用対効果の計算ができる |
| 現場でよく聞かれる質問を20個書き出す | 1時間 | 書く題材があるかどうか |
この4つを持って相談すると、提案の中身が変わります。数字が無い状態だと、どの会社にも使い回せる提案しか出てきません。
よくいただく質問
成果報酬型は、どうですか
何をもって成果とするかを、契約前に必ず確かめてください。
順位を成果にしている場合、需要の無い言葉で1位を取っても成果として計上されます。自社の実測で言えば、1位を取っていても月に2回しか表示されない言葉があります。
成果の定義が、表示回数や問い合わせになっているかを確かめてください。
月額と一括、どちらがいいですか
作業の性質で決まります。
内部対策は一度で終わる部分が多いので、一括に向きます。記事を作る作業は続けるものなので、月額に向きます。両方が月額に含まれている場合、内部対策の分が毎月かかり続けていないかを確かめてください。
最低でも、いくらから始められますか
金額で答える代わりに、優先順位でお答えします。
予算が限られている場合、いちばん先に確保すべきなのは検索需要のある言葉で記事を作る費用です。ここが無いと、他の作業がすべて空回りします。
内部対策と外部対策は、後回しにできます。特に外部対策は、費用をかけるものではありません。
何か月で結果が出ますか
新しく作った記事が検索結果に安定して出るまで、早くて2か月、遅いと半年です。
ただし、すでに人が来ているサイトなら、検索結果に出ているタイトルと説明文の書き換えは3〜7日で効きます。時間がかかるのは、人を連れてくる部分だけです。
3か月で判断しないでください。3か月は、ようやく動き始める時期です。
途中で乗り換えることはできますか
できます。ただし、確かめておくことがあります。
作った記事が自社のドメインにあり、著作権が自社にあるかどうか。ここが曖昧だと、乗り換えた時点でページが消えることがあります。
契約前に、この2点だけは書面で確かめてください。
まとめ
SEO対策の費用は、依頼先によって大きく開きます。相場の表を見ても、目の前の見積もりが妥当かどうかは判断できません。
判断できるようになるのは、その金額に何が含まれているかが分かったときです。作業はコンテンツ・内部・外部の3つに分かれ、外部対策に費用が入っている見積もりは避けてください。
そして、いちばん省かれやすいのが狙う言葉の検索需要を確かめる工程です。10秒で終わる作業ですが、ここが抜けると同じ費用で23倍の差がつきます。
見積もりを受け取ったら、5つ聞いてください。狙う言葉をどう決めるか、何をもって成果とするか、誰が書くか、期間はどのくらいか、やめるときはどうなるか。
相談する前に、1時間だけ使ってください
検索の管理ツールを登録して、社名以外の言葉で何回表示されているかを数える。そして、先月の問い合わせ件数と受注件数を数える。
この数字を持って相談すると、提案の中身が変わります。数字が無い状態だと、どの会社にも使い回せる提案しか出てきません。
作業の中身については、SEO対策とは何かを1文で言うとで3つに分けて扱っています。
自社のマーケティング課題を根本から解決しませんか?
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