ホームページを新しくしたのに、問い合わせの数が変わらない。写真を撮り直し、配色を整え、スマートフォンでも崩れないように直した。それでも、フォームは静かなままだった。
そういうご相談を受けたとき、私たちは制作の話から入りません。先に見るのは、そのサイトに誰が来ているかと、問い合わせの手前で何を約束しているかの2つです。見た目の話は、そのあとです。
順番をそう決めているのには、根拠があります。ダイレクトマーケティングの世界に、成果がどこで決まるかを配分で示した経験則があるからです。「40-40-20の法則」と呼ばれます。
この記事では、その法則が何を測った数字なのかを整理したうえで、ダイレクトメールのために作られた配分を、ホームページに置き換えると何がどう変わるのかを書きます。読み終えたとき、自社サイトのどこから手をつけるべきかが決まっている状態を目指します。
デザインを新しくしたのに、問い合わせは増えなかった
サイトを作り直したのに反応が変わらない。この現象は、ある会社の担当者が力不足だったから起きるわけではありません。直す場所の順番が、成果に効く順番と入れ替わっているときに起きます。
見た目は、社内の誰が見ても意見が言えます。「文字が小さい」「色が古い」「写真が暗い」。判断に専門知識が要らないので、会議で話が進みます。一方で「誰に来てほしいのか」「その人に何を約束するのか」は、答えを出すのに事業の理解が要ります。決めるのに時間がかかり、正解がすぐには分かりません。
結果として、判断しやすいところから手が動きます。判断しやすさと、成果への効きやすさは、別の話です。
この食い違いを数字にしたのが、次に見る法則です。
40-40-20の法則とは、何を測った数字なのか
40-40-20の法則は、ダイレクトメールの反応がどこで決まるかを、3つの要素の重みで表したものです。日本では、ダイレクトマーケティングの分野で知られるエド・バーネットという人物が提唱したものとして紹介されています。
配分はこうです。
| 要素 | 重み | 何を指すか |
|---|---|---|
| リスト | 40% | 誰に送るか。送り先の名簿そのもの |
| オファー | 40% | 何を提案するか。価格、条件、特典、申し込みの手軽さ |
| クリエイティブ | 20% | どう見せるか。文面、デザイン、封筒の形 |
数字そのものより、この法則が伝えている構造のほうが重要です。反応の8割は、封を開ける前に決まっているということです。
この法則が半世紀たっても引用され続ける理由
ダイレクトメールは、反応を数で確かめられる手法でした。同じ文面を違う名簿に送れば、名簿の差がそのまま反応の差になります。同じ名簿に違う条件を提示すれば、条件の差が数字に出ます。要素を1つずつ入れ替えて比べられたので、どこがどれだけ効くかを積み上げられました。
その積み上げから出てきたのが、この配分です。送って数えた結果として、いまも残っている数字です。
3つの要素は、それぞれ別の問いに答えている
3要素は並列に見えますが、答えている問いが違います。
| 要素 | 答えている問い | 間違えたときに起きること |
|---|---|---|
| リスト | この提案を必要とする人は誰か | 興味のない人に届く。何を書いても反応しない |
| オファー | その人にとって、受け取る価値があるか | 読まれはするが、行動する理由がない |
| クリエイティブ | その価値が、誤解なく伝わるか | 価値はあるのに、読む前に閉じられる |
ここで見落とされやすいのが、クリエイティブの20%は「小さい」という意味ではないという点です。20%は、上の2つが正しいときにだけ機能します。興味のない相手に、要らないものを、美しく見せても数字は動きません。
ホームページに置き換えると、3つの要素は何になるのか
ここからが本題です。40-40-20はダイレクトメールのための経験則なので、そのままホームページには持ち込めません。ホームページには、名簿がないからです。
ダイレクトメールは、送る相手をこちらが選びます。ホームページは、来る人を選べません。検索した人、広告を踏んだ人、名刺のURLを打ち込んだ人が、勝手に入ってきます。
では、リストの40%はホームページのどこが担っているのか。答えは入口です。
| ダイレクトメール | ホームページ | 具体的に何を指すか |
|---|---|---|
| リスト(40%) | 入口 | どんな検索語で見つかるか。広告の狙い。最初に着地するページ |
| オファー(40%) | 問い合わせの手前の約束 | 相談すると何が分かるか。何分かかるか。そのあとどうなるか |
| クリエイティブ(20%) | 見た目と読みやすさ | 配色、写真、余白、文字の大きさ、表示の速さ |
言い換えると、こうなります。あなたのサイトのリストは、検索エンジンが作っています。どんな言葉で見つかるサイトなのかが、そのまま「誰に届くか」を決めています。
入口が決まると、書くべき言葉が決まる
「ホームページ制作」という言葉で見つかるサイトと、「問い合わせフォーム 離脱 多い」という言葉で見つかるサイトでは、来る人の状態がまるで違います。前者はこれから作る人、後者はもう作った人です。同じ文章が両方に効くことはありません。
入口を放置したまま文章だけを磨いても、届く相手が変わらないので反応も変わりません。逆に、入口を絞ると来訪者の数は減りますが、問い合わせの数は増えることがあります。この理屈は後の章で扱います。
なぜ、多くの会社が20%のところから手をつけるのか
順番が入れ替わるのには、いくつか理由があります。担当者の判断が甘いからではありません。構造がそうさせています。
| 手をつけがちな順番 | そうなる理由 | 実際に起きること |
|---|---|---|
| 1. デザインを新しくする | 社内の全員が意見を言える。効果が目に見える | 見た目は良くなる。問い合わせは変わらない |
| 2. 写真を撮り直す | 費用と工程が読める。決裁を取りやすい | 印象は良くなる。行動する理由は増えない |
| 3. 文章を書き直す | デザインの次に手をつけやすい | 届く相手が同じなら、反応も同じ |
| 4. 誰に届けるかを決める | 事業の理解が要る。答えがすぐ出ない | ここを決めると、上の3つの答えも決まる |
提案する側にも、作り直しへ寄る事情がある
制作会社に相談すると、多くの場合「作り直し」の見積もりが出ます。不誠実だからそうなるわけではありません。作り直しのほうが、仕事の範囲を確定させやすいからです。ページ数と工程が決まれば、金額も納期も出せます。
一方で「入口を絞りましょう」「約束の書き方を変えましょう」は、範囲が読みにくい仕事です。効果が出るまでの期間も約束しにくい。結果として、提案は形のあるほうへ寄っていきます。
40%の側は、成果が出るまで時間差がある
デザインを変えれば、その日から見た目が変わります。入口を変えると、検索結果に反映されるまで時間がかかります。約束の書き方を変えても、母数が少なければ差が数字に出るまで数か月かかります。
この時間差が、判断をさらに手前へ引き戻します。すぐ結果が見える施策のほうが、社内で評価されるからです。
リストの40% — 誰が来ているかを、入口で決め直す
ホームページのリストは入口です。入口を直すというのは、来てほしい人が実際に打ち込む言葉に、ページを合わせることを指します。
まず、いま誰が来ているかを調べる
ここは想像で決めないでください。Google Search Consoleを開けば、自社のサイトがどんな検索語で表示され、どれがクリックされたかが分かります。管理画面を触ったことがなくても、見る場所は2つだけです。
1つは「検索パフォーマンス」のクエリ。実際に打ち込まれた言葉の一覧です。もう1つはページ。どのページが表示されているかの一覧です。
この2つを並べると、多くの会社で同じことが起きています。会社名での検索が上位を占めていて、悩みを表す言葉がほとんど入っていない。つまりもう自社を知っている人しか来ていない状態です。
| クエリの中身 | いま起きていること | 次にすること |
|---|---|---|
| 会社名・商品名ばかり | 知っている人しか来ていない。新規の入口がない | お客様が困りごとを言葉にしたときの表現を集める |
| 業界の一般名詞ばかり | 調べ物の段階の人が来ている。相談には遠い | 「どう選ぶか」「失敗しないには」の語を足す |
| 地名を含む語が多い | 近くで探している人が来ている。相談に近い | その地名のページを1枚作り込む |
| 表示は多いがクリックが少ない | 検索結果での説明文が中身と噛み合っていない | 各ページの説明文を、そのページの答えに書き換える |
| クエリがほとんど出てこない | そもそも検索に載っていない | 入口になるページを1枚決めて、そこだけ育てる |
来てほしい人が使う言葉は、社内にある
検索語を考えるとき、業界用語から入ると外します。お客様は業界用語で困りません。困った状態を、自分の言葉で打ち込みます。
その言葉がどこにあるかというと、過去の問い合わせメールと、初回の打ち合わせの録音です。「ホームページはあるんですけど、動いてないんですよね」「更新の仕方が分からなくて、3年止まってます」。こういう文が、そのまま検索語の材料になります。
私たちがご相談を受けるときも、最初にお願いするのはこれです。直近の問い合わせを10件、原文のまま見せてください、と。そこにある言葉のほうが、こちらが考えたキーワードより正確です。
入口を絞ると、来訪者は減って問い合わせは増える
ここが直感に反するところです。入口を絞れば、当然アクセスは減ります。それでも問い合わせが増えることがあるのは、母数の質が変わるからです。
数字で考えると分かりやすくなります。
| 広い入口 | 絞った入口 | |
|---|---|---|
| 月間の来訪者 | 1,000人 | 200人 |
| そのうち、いま困っている人 | 20人(2%) | 60人(30%) |
| 問い合わせに進む割合 | 5% | 15% |
| 月間の問い合わせ | 1件 | 9件 |
※この表は考え方を示すための仮の数字です。実際の割合は業種と商材で変わります。
アクセス数を目標に置いていると、この判断はできません。数を減らす決定になるからです。見る指標を問い合わせの数に変えたときに、初めて絞るという選択肢が机の上に乗ります。
オファーの40% — 問い合わせの手前で、何を約束しているか
入口を直しても、着地した先で何も約束していなければ、人は静かに戻ります。ここがオファーの40%です。
「お気軽にご相談ください」は、何も約束していない
ボタンの文言として最も多いのがこれです。読み手の側に立つと、この一文からは何も分かりません。相談すると何が起きるのか。何分かかるのか。そのあと営業されるのか。分からないことが3つ残ったまま、押すかどうかを決めさせている状態です。
人は、この先に何が起きるか分からないとき、動きを止めます。押さない理由を作っているのは、多くの場合ページの側です。
約束すべきことは3つある
問い合わせの手前で書いておくべきことは、次の3つに絞れます。
| 書くこと | 読み手の不安 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 何が分かるか | 時間の無駄になるかもしれない | いまのサイトのどこで読むのをやめられているかを、その場でお伝えします |
| 何をするか | 何を準備すればいいか分からない | 画面を共有しながら、御社のトップページを一緒に読みます |
| そのあとどうなるか | 断りにくい状況になるのが怖い | その場で契約のお願いはしません。続きは、必要になったときで構いません |
この3つを書き足すだけで、ボタンの文言を変えるより数字が動くことがあります。読み手を止めていたのは、見た目の問題ではありません。判断に要る情報が足りていなかったからです。
無料にすれば申し込まれる、というわけではない
オファーを強くしようとして、まず値段を下げる、あるいは無料にする。これはよく取られる手ですが、効き方には限りがあります。
無料が効くのは、相手が「払うほどか分からない」と迷っているときです。迷っている理由が「時間が取られること」や「断りにくくなること」なら、値段を下げても解決しません。
| 相手が止まっている理由 | 効かない手 | 効く手 |
|---|---|---|
| 払う価値があるか分からない | 説明を増やす | 初回を無料にする。返金の条件を書く |
| 時間が取られるのが嫌 | 無料にする | 所要時間を分単位で書く |
| 断りにくくなるのが怖い | 無料にする | その場で契約を求めないと明記する |
| 自分に当てはまるか分からない | 実績を並べる | 対象になる人の条件を先に書く |
| 社内で通せるか分からない | 安くする | 説明用の資料を渡すと書く |
止まっている理由が違えば、効く手も変わります。無料は万能ではありません。5つあるうちの1つの答えです。
入口を1つ作る、具体的な手順
ここまでで直す場所は決まりました。ここからは手順です。まず入口から書きます。
入口を作るというと、記事を何十本も書く話に聞こえるかもしれません。最初は1ページで構いません。1ページが人を連れてくることを確認してから、増やすかどうかを決めてください。
手順1:問い合わせの原文から、言葉を10個抜き出す
直近1年の問い合わせメールと、初回打ち合わせのメモを開きます。お客様が自分の状況を説明している文だけを、そのまま抜き出してください。要約しないことが大切です。
「更新の仕方が分からなくて放置してます」「作ってもらったんですが、どこを触っていいのか」。この生の言い回しに、検索語の材料が入っています。
手順2:その言葉が実際に検索されているかを確かめる
抜き出した言葉を、そのままGoogleで検索します。見るのは3点です。
| 見るもの | 判断 |
|---|---|
| 上位10件に大手のポータルサイトだけが並ぶ | 見送る。同じ土俵で勝てない |
| 上位に中小企業や個人のページが混ざっている | 狙える。入口の候補にする |
| 検索結果の下部にある「関連する検索キーワード」 | そこに出た語のほうが、実際の言い回しに近いことが多い |
検索数を調べるツールもありますが、最初はここまでで足ります。数が少なくても、困っている人が使う言葉のほうが問い合わせにつながります。
手順3:そのページで答えることを1つに決める
1ページに複数の答えを載せると、どれも中途半端になります。決めるのは「この言葉で来た人が、読み終えたときに何ができるようになっているか」の1つだけです。
例えば「ホームページ 更新 止まっている」で来た人なら、読み終えたときに再開する手順と、何から手をつけるかの順番が分かっている状態を目指します。
手順4:本文の前に、答えを先に書く
検索して来た人は、答えを探しています。前置きから始めると、答えに届く前に戻られます。冒頭で結論を書き、その根拠を後ろに置いてください。
手順5:問い合わせへの導線を、1本だけ置く
記事の下に複数の導線を置くと、読み手は選ぶことになります。1本に絞ってください。そのぶん、その1本の手前に「何が分かるか・何分か・その後どうなるか」を書きます。
| 手順 | やること | かかる時間の目安 | やりがちな失敗 |
|---|---|---|---|
| 1 | 問い合わせの原文から言葉を10個抜く | 1時間 | 要約してしまい、生の言い回しが消える |
| 2 | 検索して、上位の顔ぶれを見る | 30分 | 検索数の多さだけで選ぶ |
| 3 | 答えることを1つに決める | 30分 | 関連する話を詰め込む |
| 4 | 結論から書く | 3〜5時間 | 会社紹介から始める |
| 5 | 導線を1本置く | 30分 | ボタンを複数並べる |
約束の文章を、書き換えてみる
次はオファーの40%です。実際によく置かれている文と、その書き換えを並べます。
ボタンの手前に置く文
| よくある文 | 読み手に残る疑問 | 書き換えの方向 |
|---|---|---|
| お気軽にお問い合わせください | 何が起きるのか分からない | 30分で、いまのサイトのどこで読むのをやめられているかをお伝えします |
| まずはご相談ください | 何を準備すればいいのか | 準備は不要です。サイトのURLだけご用意ください |
| 無料相談受付中 | そのあと売り込まれるのでは | その場で契約のお願いはしません |
| 豊富な実績があります | 自分に当てはまるのか | 同じ規模、同じ業種の会社で起きたことをお話しします |
| 24時間受付 | いつ返事が来るのか | 翌営業日までにご返信します |
右の列に共通しているのは、読み手が次に何をするか、そして何が起きないかを書いている点です。褒め言葉を増やす方向ではありません。
フォームの手前で減らすもの
約束を強くするのと同じくらい効くのが、入力の負担を減らすことです。
| 項目 | 本当に必要か | 判断 |
|---|---|---|
| 会社名 | 連絡に必要 | 残す |
| お名前 | 連絡に必要 | 残す |
| メールアドレス | 連絡に必要 | 残す |
| 電話番号 | 初回の返信はメールで足りる | 任意にする |
| 部署名・役職 | 面談で聞ける | 外す |
| 住所 | オンライン面談なら不要 | 外す |
| 従業員数・年商 | 面談で聞ける | 外す |
| ご相談内容(必須) | 書けなくて止まる人がいる | 任意にする |
| どこで知ったか | こちらの都合 | 外す |
項目が増えるほど、書き終える前に離脱する人が増えます。聞きたいことは、面談の場で聞けます。フォームで全部そろえる必要はありません。
クリエイティブの20% — 最後に、読みやすさだけを直す
20%という数字は、デザインが軽んじられていいという意味ではありません。順番として最後に来る、という意味です。上の80%が整ったサイトでは、この20%が最後の差になります。
デザインで数字が動くのは、装飾より読みやすさ
見た目に手を入れて反応が変わるとき、効いているのはたいてい装飾の華やかさではありません。読む負担が減ったことです。
| 直す箇所 | 読み手に起きること | 目安 |
|---|---|---|
| 1行の長さ | 目が戻る位置を見失わなくなる | 日本語で35〜45字に収める |
| 行間 | 文字の塊が「読める形」に見える | 文字サイズの1.7〜2.0倍 |
| 段落の長さ | 途中で読むのをやめにくくなる | 3〜4行で区切る |
| 見出しの間隔 | 拾い読みでも中身が分かる | 見出しの上の余白を、下より広く取る |
| 表示の速さ | 読まれる前に閉じられなくなる | 画像を軽くする。最初の画面に大きな動画を置かない |
どれも派手な変更ではありません。それでも、読み手が最後まで到達する割合は変わります。
やめたほうがよいものが、足すものより多い
この20%の工程で最も効くのは、足すことより外すことです。
トップページに置かれがちなもので、問い合わせを減らしている側に回っているものを挙げます。自動で切り替わるスライド、複数並んだ色違いのボタン、最初の画面いっぱいの動画、閉じにくいポップアップ、そして「私たちについて」から始まる長い会社紹介。
これらは、どれも作った側の善意で置かれています。情報を多く渡したい、印象を強くしたい、という善意です。受け取る側から見ると、決めるべきことが増えるだけになっています。
ホームページでは、配分がさらに偏る
ここまでダイレクトメールの40-40-20をホームページに当てはめてきましたが、実務では配分そのものがもう少しずれます。理由は2つあります。
理由1:入口を自分で選べないぶん、入口の重みが増す
ダイレクトメールは、名簿を買い替えれば送り先を丸ごと入れ替えられます。ホームページは、検索エンジンの評価が変わるまで待つしかありません。変えにくいものほど、放置したときの損失が積み上がります。
逆に言えば、ここを一度整えると効果が長く続きます。半年前に書いた1ページが、いまも毎月人を連れてくる。この持続性はダイレクトメールにはないものです。
理由2:ホームページには「戻る」がある
ダイレクトメールは、届いた瞬間に読むか捨てるかが決まります。ホームページは、いつでも検索結果に戻れます。比較されることが前提になっているので、約束の書き方が他社と並べて読まれます。
この2つを踏まえると、ホームページでの実務的な配分はこうなります。
| 要素 | ダイレクトメール | ホームページ | ずれる理由 |
|---|---|---|---|
| 入口(リスト) | 40% | 45〜50% | 変えるのに時間がかかるぶん、放置の損失が大きい |
| 約束(オファー) | 40% | 35〜40% | 比較されるので、内容より書き方の差が出る |
| 見た目(クリエイティブ) | 20% | 10〜15% | 技術の平準化で、極端に悪いサイトが減った |
※この配分は、私たちがご相談を受けた案件で「どこを直したときに問い合わせが動いたか」を並べた実務上の目安です。業種と商材によって前後します。
細かい数字を覚える必要はありません。押さえるべきなのは、見た目の比重は、ダイレクトメールの時代よりさらに下がっているという方向だけです。
業種によって、どこが弱いかは違う
3つの要素のうち、どこが足を引っ張っているかは業種で傾向が分かれます。
| 業種 | 崩れやすい要素 | よくある状態 | 先に直す場所 |
|---|---|---|---|
| 製造業・BtoB | 約束 | 技術の説明は厚いが、問い合わせの手前が「お気軽に」だけ | 相談で何が決まるかを書く |
| 士業 | 入口 | 「相続」「離婚」など大きい語だけを狙い、大手に埋もれている | 状況を含む語で1ページ作る |
| 実店舗・サロン | 入口 | 地名が入った語での入口がなく、指名検索だけになっている | 地名を含むページを1枚作り込む |
| 建設・工務店 | 約束 | 施工事例は多いが、相談から着工までの流れが書かれていない | 工程と、いつ何が決まるかを書く |
| コンサル・研修 | 約束 | 実績と理念が中心で、初回に何をするかが読み取れない | 初回の所要時間と内容を書く |
| ECサイト | 見た目 | 商品数が多く、探す動線が入り組んでいる | 絞り込みの選択肢を減らす |
30分でできる、3つの点検
読み終えたその日にできる確認を、3つに絞ります。特別なツールは要りません。
点検1:入口(15分)
Google Search Consoleの「検索パフォーマンス」を開き、クエリの上位20件を書き出します。そのうち、会社名や商品名を含まないものが何件あるかを数えてください。
5件未満なら、いまのサイトは新規の入口をほとんど持っていません。文章の書き直しよりも、入口を作るほうが先です。
点検2:約束(10分)
問い合わせボタンのすぐ上を読み直します。3つの問いに、書いてある文だけで答えられるか確かめてください。
相談すると何が分かるか。何分かかるか。そのあと何が起きるか。1つでも答えられなければ、そこが止まっている場所です。
点検3:見た目(5分)
スマートフォンでトップページを開き、最初の画面に何個の選択肢があるかを数えます。押せるものすべてが対象です。メニュー、ボタン、リンク、電話番号。
5つを超えていたら、読み手は選ぶ前に迷っています。
| 点検 | 見る場所 | 危ない状態 | 次にすること |
|---|---|---|---|
| 入口 | Search Consoleのクエリ上位20件 | 会社名以外が5件未満 | お客様の言葉で入口を1つ作る |
| 約束 | 問い合わせボタンの真上 | 3つの問いに答えられない | 何が分かるか、何分か、その後どうなるかを書く |
| 見た目 | スマホの最初の画面 | 押せるものが6つ以上 | 1つに絞り、残りは下へ移す |
この法則を使うときに、間違えやすいこと
数字を厳密に受け取ってしまう
40対40対20は、測定値というより方向を示す目安です。「うちは38対42対20だ」と精密に測ることに意味はありません。どこから手をつけるかを決めるための道具として使ってください。
3つを同時に直してしまう
入口も約束も見た目も一度に変えると、数字が動いたときに何が効いたか分かりません。次の判断ができなくなります。1つずつ変えて、2週間から1か月は数字を見てください。
見た目を直す価値をゼロにしてしまう
この記事はデザインの優先度を下げていますが、価値がないという主張ではありません。上の80%が整った会社にとって、最後の20%は競合との差になります。順番の話であって、要不要の話ではありません。
よくある質問
Q. 入口を直すのに、どれくらい時間がかかりますか
新しく作ったページが検索結果に載り始めるまで、早くて数週間、多くは2〜3か月です。既にあるページの中身を直す場合はもう少し早く動きます。すぐに結果が出ないことを、あらかじめ社内で共有しておいてください。途中でやめてしまうのが、いちばんもったいない終わり方です。
Q. 広告を出せば、入口の問題は解決しますか
広告は入口を短時間で作れる手段です。ただし、止めた瞬間に入口も消えます。また、着地したページの約束が弱いままだと、広告費を払って同じ場所で人を止めることになります。約束を直してから広告を出すほうが、同じ予算でも結果が変わります。
Q. サイトを作り直したばかりです。また作り直すのですか
その必要はありません。この記事で挙げた3つの点検は、いまあるサイトのまま実行できます。入口は記事とページの追加で、約束はボタン周りの文章で直せます。作り直しは、直す場所が分かってから検討しても遅くありません。
Q. 社内に書ける人がいません
文章力の問題として捉えると止まります。必要なのは、お客様が実際に使った言葉を集めることです。過去の問い合わせメールと打ち合わせの記録があれば、材料は社内に揃っています。ゼロから考える必要はありません。既にある言葉を並べ替えるところから始めてください。
Q. アクセスを減らす判断を、社内でどう説明すればいいですか
見る指標を先に変えてください。アクセス数を目標にしている限り、絞る判断は後退に見えます。問い合わせの件数を目標に置き直せば、同じ判断が前進として説明できます。指標を変える合意が、施策より先に必要です。
まとめ — 直す順番が決まれば、費用の使い道も決まる
40-40-20の法則が教えているのは、成果の8割は見た目の手前で決まっている、という構造です。ホームページに置き換えると、リストは入口に、オファーは問い合わせの手前の約束に変わります。
そして、ホームページでは見た目の比重がさらに下がります。入口を自分で選べないぶん、入口の重みが増すからです。
今日できることは3つです。Search Consoleのクエリ上位20件のうち会社名以外が何件あるかを数える。問い合わせボタンの真上で3つの問いに答えられるか確かめる。スマートフォンの最初の画面で押せるものを数える。
なお、問い合わせが届いたあとの初動も、同じくらい費用をかけずに直せる場所です。返信までの時間で成果がどれだけ変わるかは、問い合わせの初動は5分以内|30分待つと話が進む見込みは21分の1になるにまとめました。
この3つを終えたとき、次に費用を使うべき場所が1つに決まっているはずです。順番が決まると、使わなくていい費用も同時に決まります。
自社のマーケティング課題を根本から解決しませんか?
ウェブサイトから要素を引き算し、訪れた人が迷わず次の一歩に進む形へ組み直す。初回60分のオンラインで御社のサイトを一緒に読み、どこから直すべきかをお伝えします。手順をまとめた無料の診断と解説動画もご用意しています。
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