BtoBのWebサイトにおいて、「よくある質問(FAQ)」のページやセクションを設けている企業は多いでしょう。しかし、その9割以上の企業が、FAQの本当の「使い方」を完全に間違えています。
ほとんどのサイトのFAQには、以下のような質問が並んでいます。
「Q. 支払い方法は何がありますか?」「Q. パスワードを忘れた場合はどうすればいいですか?」
これらは単なる「既存顧客向けの操作マニュアル」や「事務的な辞書」に過ぎません。わざわざセールスレターの終盤(トップページの一番下など)で読ませるような内容ではないのです。
Webマーケティングにおいて、FAQとはマニュアルではありません。
それは、「見込み客が購入(問い合わせ)に踏み切れない”最後の不安”を、先回りして完全に論破し、強烈に背中を押すための最強のクロージングツール」なのです。
本記事では、ただの辞書に成り下がっているFAQを、24時間休まず働く「最強の営業マン」へと変貌させるコピーライティングの技術を解説します。
1. 「事前に想定される反論」をQ&Aにする
中野様をはじめとするトップマーケターが実践しているFAQの極意、それは「お客様が心の中で抱いている(しかし口には出さない)”想定される反論”を、あえて自らQ&Aの形で提示し、完璧に打ち返すこと」です。
見込み客があなたのサイトのセールスレターを読み、料金表を見て、「良さそうだな」と思ったとします。しかし、問い合わせボタンを押す直前、必ず彼らの脳内には「買わないための言い訳(反論)」が浮かび上がります。
- 「機能は良さそうだけど、うちみたいなITリテラシーの低いおじさん社員でも使いこなせるのかな?」
- 「導入までに何ヶ月もかかって、通常業務がストップしちゃうんじゃないの?」
- 「初期費用が高いけど、もし結果が出なかったらどう責任を取ってくれるんだ?」
こうした見えない不安(反論)を放置したままクロージングしようとするから、見込み客は離脱してしまうのです。だからこそ、見込み客が質問してくる前に、先回りしてQ&Aを作ります。
2. コンバージョンを獲る「最強のFAQ」例文
では、実際にどのように反論を潰せばいいのか。具体的なFAQの例文を見てみましょう。
【Q. パソコンが苦手な50代の社員ばかりですが、使いこなせますか?】
A. はい、全く問題ありません。当社のシステムは、あえて最新の複雑な機能を削ぎ落とし、「スマホでLINEが送れるレベル」の直感的な操作性のみを追求して設計されています。また、導入後1ヶ月間は専任のサポートスタッフが無料で操作説明のオンライン研修(回数無制限)を実施いたしますので、ITリテラシーに不安のある企業様ほど高い定着率を実現しています。
【Q. 導入準備に手間がかかって、今の業務が圧迫されませんか?】
A. お客様にお願いする作業は「最短1時間」のみです。初期設定や既存データの移行作業など、面倒な裏側のセットアップはすべて当社のエンジニアが丸投げで代行いたします。「明日からすぐに使える状態」でアカウントをお渡ししますので、現場の業務がストップすることは一切ありません。
いかがでしょうか。見込み客が「まさにそれが不安だったんだよ!」と思うような絶妙な質問を設定し、そこに対して「圧倒的な安心感とベネフィット(サポートの手厚さや手間のなさ)」をぶつける。これが、反論処理としての正しいFAQの姿です。
3. コンバージョンを下げる「最悪なFAQ」の2つのパターン
反論処理になっていない、むしろ見込み客を遠ざけてしまう最悪のFAQには、大きく分けて2つのパターンが存在します。
① 辞書のような「事実だけの無機質な回答」
【Q. 料金の分割払いは可能ですか?】
【A. いいえ、一括払いのみとなっております。】
このような冷たい回答は、見込み客の熱を完全に冷まします。
もし分割ができないのであれば、「申し訳ございませんが、現在は一括払いのみとなっております。しかし、導入によって毎月〇〇万円のコスト削減が見込めるため、わずか3ヶ月で初期費用を回収できたという事例が多数ございます」と、「できない事実+それをカバーする強烈なベネフィット」をセットで語らなければなりません。
② 専門用語を並べ立てた「自己満足の回答」
【Q. セキュリティ対策はどうなっていますか?】
【A. 当社のサーバーはISO27001を取得し、AES-256で暗号化され、WAFとIPSを常時稼働させています。】
これでは、ITの専門家以外には全く意味が通じません。
見込み客が本当に知りたいのは「自社の機密情報が絶対に漏れないかどうか」だけです。
「はい、ご安心ください。メガバンクや官公庁と同じレベルの最高水準のセキュリティシステムを導入しており、外部からのハッキングを100%遮断します」と、相手のわかる言葉に翻訳して安心感を与えることが重要です。
4. まとめ:FAQは「最後のクロージング担当者」である
BtoBのWebサイトにおいて、FAQ(よくある質問)は単なる「おまけのコンテンツ」ではありません。
トップページから始まり、事例を読み、料金表を見て、いよいよ「お問い合わせボタン」を押そうか迷っている見込み客の背中をポンッと押す、「最後の凄腕クロージング担当者」なのです。
もしあなたのサイトのコンバージョン率が低いなら、それは「見込み客の心の中にある不安(反論)」を放置したままにしているからです。
今すぐ、自社の営業マンに「商談の最後に、お客様からよく言われる『お断りの文句』や『懸念点』は何ですか?」とヒアリングしてみてください。そこで出てきた「リアルな反論」こそが、あなたのサイトのFAQに一番最初に載せるべき質問です。
見込み客の不安を先回りして完全に論破し、圧倒的な安心感を与えるFAQを作り込めば、サイトからの問い合わせの「数」と「質」は劇的に向上するでしょう。
